1: ◆ZKbJze6bBryN:2019/03/03(日) 16:41:24.99 :nGbAwA8f0
一花「えっ。先週今月分のお小遣いあげたよね」
風太郎「いろいろ金、かかるんだよ。就職活動ってのは」
一花「フータロー君……1週間で10万円は……使いすぎだと思うよ」
風太郎「チッ……金ねーなら、いいわ。他から借りてくっから」
一花「他って……誰から?」
風太郎「どこでもいいだろ。どーしても今日金ないと駄目なんだよ。じゃあな、あばよ」
一花「待って!お金……いくら?」
風太郎「あー……3……いや、5だな」
一花(私だって今月仕事なくて厳しいのに)
一花「わかったよ、フータロー君。就職活動のため、だよね」
風太郎「おう。仕事ゲットのためにはいろいろ金かかンだよ」
一花「……」フルフルつ50000円
風太郎「……」グワシャ
風太郎「サンキュー、一花。やっぱお前が一番だわ」カチャカチャ
一花「ちょっとフータロー君。何ズボン下ろしてるの」
風太郎「外出る前によ、綺麗にしてくれよ、一花」ボロン
一花「あっ……うん……///」
一花「えっ。先週今月分のお小遣いあげたよね」
風太郎「いろいろ金、かかるんだよ。就職活動ってのは」
一花「フータロー君……1週間で10万円は……使いすぎだと思うよ」
風太郎「チッ……金ねーなら、いいわ。他から借りてくっから」
一花「他って……誰から?」
風太郎「どこでもいいだろ。どーしても今日金ないと駄目なんだよ。じゃあな、あばよ」
一花「待って!お金……いくら?」
風太郎「あー……3……いや、5だな」
一花(私だって今月仕事なくて厳しいのに)
一花「わかったよ、フータロー君。就職活動のため、だよね」
風太郎「おう。仕事ゲットのためにはいろいろ金かかンだよ」
一花「……」フルフルつ50000円
風太郎「……」グワシャ
風太郎「サンキュー、一花。やっぱお前が一番だわ」カチャカチャ
一花「ちょっとフータロー君。何ズボン下ろしてるの」
風太郎「外出る前によ、綺麗にしてくれよ、一花」ボロン
一花「あっ……うん……///」
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3: ◆ZKbJze6bBryN:2019/03/03(日) 17:03:31.31 :nGbAwA8f0
フータロー君が大学を卒業した後、紆余曲折を経て私達は同棲を始めた。
女優として脂が乗り始めて、そこそこ大きな仕事もこなすようになっていたあの頃だった。
妹の夫で、初恋のあの人と再開した時、彼は仕事を大失敗して打ちひしがれていた。
高校時代は私に見向きもしてくれなかったけど、大人になれば価値観も変わる。
あの時、借金を肩代わりしてあげたら、彼はひどく私に感謝していた。
それから何度か会って、懇ろの関係になるまで時間はかからなかった。
女優なんて仕事をしていれば、いい男から悪い男まで選り取りみどりで男が寄ってくる。
彼はそんな男達と比べれば、地味で冴えない無職の甲斐性なしだ。
相変わらずデリカシーの欠片もなく、女の子の扱いだって、下手くそのままだった。
でも、彼を手に入れた時、私はあの子達に対する優越感にどっぷり浸ってしまった。
一度は負けたけど、最後に勝ったのは私。
そしてまだ私は勝っている。女の幸せを独占しているのは私だ。
五等分どころか、一切れだって渡したくない。
フータロー君が大学を卒業した後、紆余曲折を経て私達は同棲を始めた。
女優として脂が乗り始めて、そこそこ大きな仕事もこなすようになっていたあの頃だった。
妹の夫で、初恋のあの人と再開した時、彼は仕事を大失敗して打ちひしがれていた。
高校時代は私に見向きもしてくれなかったけど、大人になれば価値観も変わる。
あの時、借金を肩代わりしてあげたら、彼はひどく私に感謝していた。
それから何度か会って、懇ろの関係になるまで時間はかからなかった。
女優なんて仕事をしていれば、いい男から悪い男まで選り取りみどりで男が寄ってくる。
彼はそんな男達と比べれば、地味で冴えない無職の甲斐性なしだ。
相変わらずデリカシーの欠片もなく、女の子の扱いだって、下手くそのままだった。
でも、彼を手に入れた時、私はあの子達に対する優越感にどっぷり浸ってしまった。
一度は負けたけど、最後に勝ったのは私。
そしてまだ私は勝っている。女の幸せを独占しているのは私だ。
五等分どころか、一切れだって渡したくない。
4: ◆ZKbJze6bBryN:2019/03/03(日) 17:18:15.71 :nGbAwA8f0
一花(でもいくらお金あっても足りないよ……)クポポ
彼のを喉の奥までしっぽり咥え込んだ。
一花(フータロー君、君は幸せ者だぞ。お金だけじゃなくて、私に心も体もこんなに貢がせるなんて)
玄関先で、フータロー君に命じられるまま、私は跪いて彼のをしゃぶった。
一花(意外と大きくて、硬いんだよね……フータロー君の……何より私と相性ばっちり)クポクポ
ここ数日ご無沙汰だったのもあって、いつもより熱い。
彼が私からもらったお金を何に使っているのかは怖くて聞けない。
でも私は知っている。彼がお金を渡しに無心する時、いつもココが固くなっている事を。
だから、少しでも外の悪い虫に手を出さないように、私がココも管理してあげなくちゃ。
風太郎「あ~~、一花、いいわ、それ」
一花(でもいくらお金あっても足りないよ……)クポポ
彼のを喉の奥までしっぽり咥え込んだ。
一花(フータロー君、君は幸せ者だぞ。お金だけじゃなくて、私に心も体もこんなに貢がせるなんて)
玄関先で、フータロー君に命じられるまま、私は跪いて彼のをしゃぶった。
一花(意外と大きくて、硬いんだよね……フータロー君の……何より私と相性ばっちり)クポクポ
ここ数日ご無沙汰だったのもあって、いつもより熱い。
彼が私からもらったお金を何に使っているのかは怖くて聞けない。
でも私は知っている。彼がお金を渡しに無心する時、いつもココが固くなっている事を。
だから、少しでも外の悪い虫に手を出さないように、私がココも管理してあげなくちゃ。
風太郎「あ~~、一花、いいわ、それ」
5: ◆ZKbJze6bBryN:2019/03/03(日) 17:26:20.73 :nGbAwA8f0
どんどん血液がソコに集まってくるのがわかる。この時、物欲しそうに上目遣いで、彼を見上げて、眼と眼が合う。
フータロー君は、大人になって、こんな駄目男になっちゃったけど、私にはわかる。
彼の奥底にまだ、あの頃の優しさが残っているって。
風太郎「うっ」ドクッ
フータロー君は私に呼吸を合わせるように達してくれた。
一花「んぐっ、んっ」ドプドプドプ
口の中で脈打つフータロー君のそれを飲み下す。
風太郎「はぁ、はぁ……うっ」ドプッ
一花「ジュルジュル……ジュポッ」
最後の一滴まで、丁寧に私の口の中に出し切って、少しやわらかくなったソレの中身を吸い上げながら、口から抜いた。
一花「はぁ、はぁ……ごちそうさま。んっ」
どんどん血液がソコに集まってくるのがわかる。この時、物欲しそうに上目遣いで、彼を見上げて、眼と眼が合う。
フータロー君は、大人になって、こんな駄目男になっちゃったけど、私にはわかる。
彼の奥底にまだ、あの頃の優しさが残っているって。
風太郎「うっ」ドクッ
フータロー君は私に呼吸を合わせるように達してくれた。
一花「んぐっ、んっ」ドプドプドプ
口の中で脈打つフータロー君のそれを飲み下す。
風太郎「はぁ、はぁ……うっ」ドプッ
一花「ジュルジュル……ジュポッ」
最後の一滴まで、丁寧に私の口の中に出し切って、少しやわらかくなったソレの中身を吸い上げながら、口から抜いた。
一花「はぁ、はぁ……ごちそうさま。んっ」
6: ◆ZKbJze6bBryN:2019/03/03(日) 17:35:26.02 :nGbAwA8f0
風太郎「一花。ベッド行くぞ」
一花「へ?就職活動は」
風太郎「今日はやめだ。あんなフェラさられたら収まンねぇよ」グイッ
一花「キャッ」
風太郎「明日仕事あるか?」
一花「明日は……休むから」
風太郎「それじゃあ一日中できるな。今夜は寝かさねぇからよ」
一花「……///」フルフル
フータロー君は分かっている。私の欲しいものを。
ここ最近の彼は、お小遣い日前と当日以外は、もう私の体に飽きましたよって感じで、基本的に夜はすぐ寝てしまう。
最初の頃はいろいろ頑張って誘ったけど、結局、これが一番効率がいいんだ。
その晩、私達は熱く乱れた。
けだるい朝は幸せ一杯だ。他の誰も、彼にこんなに愛されていないんだから。
風太郎「一花。ベッド行くぞ」
一花「へ?就職活動は」
風太郎「今日はやめだ。あんなフェラさられたら収まンねぇよ」グイッ
一花「キャッ」
風太郎「明日仕事あるか?」
一花「明日は……休むから」
風太郎「それじゃあ一日中できるな。今夜は寝かさねぇからよ」
一花「……///」フルフル
フータロー君は分かっている。私の欲しいものを。
ここ最近の彼は、お小遣い日前と当日以外は、もう私の体に飽きましたよって感じで、基本的に夜はすぐ寝てしまう。
最初の頃はいろいろ頑張って誘ったけど、結局、これが一番効率がいいんだ。
その晩、私達は熱く乱れた。
けだるい朝は幸せ一杯だ。他の誰も、彼にこんなに愛されていないんだから。
7: ◆ZKbJze6bBryN:2019/03/03(日) 17:49:06.46 :nGbAwA8f0
社長「頼むよ一花く~ん、仕事遅れる時は連絡くれないと」
一花「ふぁぁ~~い」
あくびをしながら、社長の小言に耳を傾ける。
結局、陽が昇るまでヤッたけど、私もいい大人だから仕事には行かないといけない。
でも、女の朝は時間がかかる。化粧にドレスアップを済ませて事務所についたらもう11時を回っていた。
社長「まあ、あんな小さい仕事、一花君じゃなくても埋まるから大丈夫、大丈夫。暇そうな若い娘にまかせておいたよ」
一花(私もまだ若いんだけどなー……って、十台の娘に比べればもうバアサンか)
社長「それはそうと、来週は例の最終オーディションだけど、準備大丈夫?」
一花「んー、バッチグーです」
社長「頼むよ~!僕の勘だと大ヒット間違いなし!漫画『五等分の花婿』の映画の主人公役だからね!絶対射止めてよ~」
一花「社長も最初から言ってたじゃないですか。まさに私のためにあるような映画だって」
社長「でもね~、他の事務所も最近力入れてるからなァ。これ、絶対ヒットするし。シリーズ化もするかもよ?」
一時期はたくさんあった仕事もここ最近はめっきり減って、特に映画の仕事はなくなって久しい。
高校生の頃から二人三脚でやってきた社長が大逆転の一手として探してきた仕事が、漫画原作の映画の主人公の役だった。
社長「頼むよ一花く~ん、仕事遅れる時は連絡くれないと」
一花「ふぁぁ~~い」
あくびをしながら、社長の小言に耳を傾ける。
結局、陽が昇るまでヤッたけど、私もいい大人だから仕事には行かないといけない。
でも、女の朝は時間がかかる。化粧にドレスアップを済ませて事務所についたらもう11時を回っていた。
社長「まあ、あんな小さい仕事、一花君じゃなくても埋まるから大丈夫、大丈夫。暇そうな若い娘にまかせておいたよ」
一花(私もまだ若いんだけどなー……って、十台の娘に比べればもうバアサンか)
社長「それはそうと、来週は例の最終オーディションだけど、準備大丈夫?」
一花「んー、バッチグーです」
社長「頼むよ~!僕の勘だと大ヒット間違いなし!漫画『五等分の花婿』の映画の主人公役だからね!絶対射止めてよ~」
一花「社長も最初から言ってたじゃないですか。まさに私のためにあるような映画だって」
社長「でもね~、他の事務所も最近力入れてるからなァ。これ、絶対ヒットするし。シリーズ化もするかもよ?」
一時期はたくさんあった仕事もここ最近はめっきり減って、特に映画の仕事はなくなって久しい。
高校生の頃から二人三脚でやってきた社長が大逆転の一手として探してきた仕事が、漫画原作の映画の主人公の役だった。
8: ◆ZKbJze6bBryN:2019/03/03(日) 17:51:34.73 :nGbAwA8f0
仕事がないからお給料も少ない。女優業は実力主義だ。
期待の若手時代には、テレビのバラエティ番組にも呼ばれたりして、びっくりするくらいのお給料をもらっていた。
それが今じゃ普通のOLの方が貰っているんじゃないかというくらいのお給料。
それでも、生活レベルはなかなか落とせなくて、最近は今、彼と住んでいるマンションを売っぱらって別の賃貸にグレードダウンしようか悩んでいた。
でも、セキュリティーの問題もあるし、女優としてのプライドだってある。
それにフータロー君に心配をかけるわけにはいかない。
だから、この仕事を是が非でもとって、貯金を切り崩す今の生活から脱却しないといけなかった。
一花「大丈夫だよ、社長。私ほど、あの主人公に感情移入できる女優はいない」
社長「そうだね。まさに君が適役。長くこの業界で働いているけど、そう確信できるよ」
社長「だからこそ、僕は不安なんだ」
一花「?」
社長「もし、君がこの仕事を射止められなかったら。この先、これ以上の適役は回ってこないだろう。そうなると、わかるよね、一花君」
社長のこんな本気な顔を久しぶりに見た。
社長「これは君の女優としての最後のチャンスだ」
仕事がないからお給料も少ない。女優業は実力主義だ。
期待の若手時代には、テレビのバラエティ番組にも呼ばれたりして、びっくりするくらいのお給料をもらっていた。
それが今じゃ普通のOLの方が貰っているんじゃないかというくらいのお給料。
それでも、生活レベルはなかなか落とせなくて、最近は今、彼と住んでいるマンションを売っぱらって別の賃貸にグレードダウンしようか悩んでいた。
でも、セキュリティーの問題もあるし、女優としてのプライドだってある。
それにフータロー君に心配をかけるわけにはいかない。
だから、この仕事を是が非でもとって、貯金を切り崩す今の生活から脱却しないといけなかった。
一花「大丈夫だよ、社長。私ほど、あの主人公に感情移入できる女優はいない」
社長「そうだね。まさに君が適役。長くこの業界で働いているけど、そう確信できるよ」
社長「だからこそ、僕は不安なんだ」
一花「?」
社長「もし、君がこの仕事を射止められなかったら。この先、これ以上の適役は回ってこないだろう。そうなると、わかるよね、一花君」
社長のこんな本気な顔を久しぶりに見た。
社長「これは君の女優としての最後のチャンスだ」
9: ◆ZKbJze6bBryN:2019/03/03(日) 18:19:38.70 :nGbAwA8f0
一花「ただいまー」
マンションの中は真っ暗だけど、一応声をかける。
一花「でかけてるんだ、フータロー君」
玄関の電気をつけると、彼の靴がないのでわかる。
一花「ご飯どうしよっかなー……今晩、帰ってくるのかなー帰ってくるなら手料理作ってあげたいけど」
一花「多分、帰って来ないよねー」
一花「……はぁ」
最後のチャンス。確かに役には自信がある。演技だって、天性のセンス+努力で誰にも負けない。ライバル事務所の乳臭いガキ共に負けるはずがない。
一花「私は大女優、私は大女優、中野一花だぞっ」
洗面台で化粧を落として、鏡を見た。小じわも増えた。
一花「私の仕事は、赤点ギリギリのイケメン五つ子達への家庭教師。女子高生役とか久しぶりだけど……まだまだいけるよね?」
一花「原作も読んだけど、花婿争いで修羅場なんだよね。真っ直ぐで行動的な次男に対して、奥ゆかしくも芯は熱い三男の、主人公を巡る河原での殴り合いは熱かったなー」
一花「四男は最初から最後まで主人公の味方、心優しくて気遣いできるし、こういう男の子っていまどきいないよねー絶対もてると思う!」
一花「五男は食いしん坊キャラで、ネットで相撲部屋に行けって馬鹿にされてるけど、ファンからは愛されているよね」
一花「長男はこっすい手使うからなー、もっと男らしくドーンと行くべき……だったと思う」
一花「……はぁ。フータロー君。なんでこんな時にいないのかなー」
一花「こういう日は、隣にいてくれるだけでいいのに」
一花「もし私が、女優じゃなくなったら。私が、今までのように、あなたに与えられなくなったら」
一花「……いなくなったりしないよね?」
鏡の前に立っている女は、まるで死んだように蒼ざめていた。
たまらない不安と、その先に待つ絶望も、彼女は一人で受けないといけない。
一花「ただいまー」
マンションの中は真っ暗だけど、一応声をかける。
一花「でかけてるんだ、フータロー君」
玄関の電気をつけると、彼の靴がないのでわかる。
一花「ご飯どうしよっかなー……今晩、帰ってくるのかなー帰ってくるなら手料理作ってあげたいけど」
一花「多分、帰って来ないよねー」
一花「……はぁ」
最後のチャンス。確かに役には自信がある。演技だって、天性のセンス+努力で誰にも負けない。ライバル事務所の乳臭いガキ共に負けるはずがない。
一花「私は大女優、私は大女優、中野一花だぞっ」
洗面台で化粧を落として、鏡を見た。小じわも増えた。
一花「私の仕事は、赤点ギリギリのイケメン五つ子達への家庭教師。女子高生役とか久しぶりだけど……まだまだいけるよね?」
一花「原作も読んだけど、花婿争いで修羅場なんだよね。真っ直ぐで行動的な次男に対して、奥ゆかしくも芯は熱い三男の、主人公を巡る河原での殴り合いは熱かったなー」
一花「四男は最初から最後まで主人公の味方、心優しくて気遣いできるし、こういう男の子っていまどきいないよねー絶対もてると思う!」
一花「五男は食いしん坊キャラで、ネットで相撲部屋に行けって馬鹿にされてるけど、ファンからは愛されているよね」
一花「長男はこっすい手使うからなー、もっと男らしくドーンと行くべき……だったと思う」
一花「……はぁ。フータロー君。なんでこんな時にいないのかなー」
一花「こういう日は、隣にいてくれるだけでいいのに」
一花「もし私が、女優じゃなくなったら。私が、今までのように、あなたに与えられなくなったら」
一花「……いなくなったりしないよね?」
鏡の前に立っている女は、まるで死んだように蒼ざめていた。
たまらない不安と、その先に待つ絶望も、彼女は一人で受けないといけない。
10: ◆ZKbJze6bBryN:2019/03/03(日) 21:33:26.17 :nGbAwA8f0
風太郎「一花、先帰ってたのか。そんなとこで寝てたら風邪引くぞ」
一花「……んっ」
気がついたら、お酒を飲んで、椅子に座って寝ていた。
時刻は深夜0時を回っていた。
一花(フータロー君から、知らない香水の匂いがする)
一花「フータロー君、コッチの方はうまく行ってる?」
風太郎「何の話だ?」
一花「り・こ・ん・ちょ・う・て・い」
風太郎「……お前が紹介してくれた弁護士に任せてるよ」
一花「もう、何ヶ月も長引いてるよね?慰謝料のことも、大分譲歩しているのに」
風太郎「……チッ」シュボッ
一花「煙草は体に毒だぞぉ?」
風太郎「……ガキの認知の件で揉めてンだよ」
一花「あの子はなんて言ってるの?」
風太郎「フー……絶対に認知しろって。父なし子にはしたくねーんだと。そこんとこ、裁判で結構揉めて大変なンだわ」
一花「微妙な時期に出来た子なんでしょ?」
風太郎「ああ。でも、間違いなく俺の子だ……」
一瞬、彼の目が泳いだ。まだ未練があるのかもしれない。
そして、私達姉妹の仲を、修復不能なほどにボロボロにしてしまった負い目も。
彼は私の前で、裁判の話をするのをいつも嫌がっていた。
風太郎「一花、先帰ってたのか。そんなとこで寝てたら風邪引くぞ」
一花「……んっ」
気がついたら、お酒を飲んで、椅子に座って寝ていた。
時刻は深夜0時を回っていた。
一花(フータロー君から、知らない香水の匂いがする)
一花「フータロー君、コッチの方はうまく行ってる?」
風太郎「何の話だ?」
一花「り・こ・ん・ちょ・う・て・い」
風太郎「……お前が紹介してくれた弁護士に任せてるよ」
一花「もう、何ヶ月も長引いてるよね?慰謝料のことも、大分譲歩しているのに」
風太郎「……チッ」シュボッ
一花「煙草は体に毒だぞぉ?」
風太郎「……ガキの認知の件で揉めてンだよ」
一花「あの子はなんて言ってるの?」
風太郎「フー……絶対に認知しろって。父なし子にはしたくねーんだと。そこんとこ、裁判で結構揉めて大変なンだわ」
一花「微妙な時期に出来た子なんでしょ?」
風太郎「ああ。でも、間違いなく俺の子だ……」
一瞬、彼の目が泳いだ。まだ未練があるのかもしれない。
そして、私達姉妹の仲を、修復不能なほどにボロボロにしてしまった負い目も。
彼は私の前で、裁判の話をするのをいつも嫌がっていた。
11: ◆ZKbJze6bBryN:2019/03/03(日) 22:02:05.57 :nGbAwA8f0
一花「ねぇ。フータロー君。私達も作らない?」
風太郎「あ?」
一花「赤ちゃん、作ろうよ」
彼の耳元で囁いて、私はゆっくり腰に手を回した。
風太郎「お前、仕事は」
一花「……出来たら、一旦休もうと思ってる。最近映画の仕事もないし」
風太郎「しかし、収入が…!」
一花「フータロー君は心配しないで。たっぷり貯金あるから」
風太郎「だが……」
一花「あの子と同じDNAだぞ?きっと、あの子との子供を忘れさせてくれるくらい……可愛い子、産まれるよ?」
彼の股を探ると、アレがトンデモなく硬く反り返っているのがわかった。
始めて出会ったときから分かっていたことだ。
私達は、多分遺伝子レベルで引き合っている。あの頃、姉妹の誰もが気がついていなかったけど。
みんなフータロー君の事を好きになったのは、きっと、私達、全員、あなたの子を孕みたかったから。
そして同じことは多分、彼にも言える。
一花「ねぇ。フータロー君。私達も作らない?」
風太郎「あ?」
一花「赤ちゃん、作ろうよ」
彼の耳元で囁いて、私はゆっくり腰に手を回した。
風太郎「お前、仕事は」
一花「……出来たら、一旦休もうと思ってる。最近映画の仕事もないし」
風太郎「しかし、収入が…!」
一花「フータロー君は心配しないで。たっぷり貯金あるから」
風太郎「だが……」
一花「あの子と同じDNAだぞ?きっと、あの子との子供を忘れさせてくれるくらい……可愛い子、産まれるよ?」
彼の股を探ると、アレがトンデモなく硬く反り返っているのがわかった。
始めて出会ったときから分かっていたことだ。
私達は、多分遺伝子レベルで引き合っている。あの頃、姉妹の誰もが気がついていなかったけど。
みんなフータロー君の事を好きになったのは、きっと、私達、全員、あなたの子を孕みたかったから。
そして同じことは多分、彼にも言える。
12: ◆ZKbJze6bBryN:2019/03/03(日) 22:12:37.19 :nGbAwA8f0
これは保険だ。映画の主役が手に入らなかった時、彼を繋ぎ止めるための、愛の楔。
彼は、あの子との子供の話をするときだけ、苦悩の表情を見せる。
どんなにお酒に溺れて、女に溺れて、駄目になったとしても、自分の子供の事だけはきっと最後まで愛してくれる。そんな人だ。
・・・・・・もし、映画の主役の座を射止めて女優を続けられることになったら?
その時は、何もなかったことにすればいい。
ねえ、フータロー君。私、今、どんな顔しているかな?
これは保険だ。映画の主役が手に入らなかった時、彼を繋ぎ止めるための、愛の楔。
彼は、あの子との子供の話をするときだけ、苦悩の表情を見せる。
どんなにお酒に溺れて、女に溺れて、駄目になったとしても、自分の子供の事だけはきっと最後まで愛してくれる。そんな人だ。
・・・・・・もし、映画の主役の座を射止めて女優を続けられることになったら?
その時は、何もなかったことにすればいい。
ねえ、フータロー君。私、今、どんな顔しているかな?
14: ◆ZKbJze6bBryN:2019/03/03(日) 22:42:42.90 :nGbAwA8f0
一花「今日から私が君のパートナーだ!!」ドン!
審査員「「「おおおぉ……」」」
審査員A「流石に実力派……」
審査員B「若手女優にはこの味は出せない……!」
ざわ・・・ざわ・・・
社長「……」
社長「お疲れ様、一花君」
一花「どうでした?今日のオーディション」
社長「久しぶりに気合入っていたね。最高の演技だった。表情に、この前までなかった凄みがあったよ」
一花「そりゃー、社長があんなプレッシャーかけるんですもん、必死になりますよ、こっちも」
社長「……君の演技を見て、僕はふと、あの花火大会の時のオーディションを思い出した。あの時の君の演技は100点満点中、150点だった。」
一花「懐かしいなー……高校生の頃ですよね」
まだ、彼と出会ったばかりの頃。今でも気恥ずかしいくらい、青臭い恋をしていたっけ。
一花「今日から私が君のパートナーだ!!」ドン!
審査員「「「おおおぉ……」」」
審査員A「流石に実力派……」
審査員B「若手女優にはこの味は出せない……!」
ざわ・・・ざわ・・・
社長「……」
社長「お疲れ様、一花君」
一花「どうでした?今日のオーディション」
社長「久しぶりに気合入っていたね。最高の演技だった。表情に、この前までなかった凄みがあったよ」
一花「そりゃー、社長があんなプレッシャーかけるんですもん、必死になりますよ、こっちも」
社長「……君の演技を見て、僕はふと、あの花火大会の時のオーディションを思い出した。あの時の君の演技は100点満点中、150点だった。」
一花「懐かしいなー……高校生の頃ですよね」
まだ、彼と出会ったばかりの頃。今でも気恥ずかしいくらい、青臭い恋をしていたっけ。
15: ◆ZKbJze6bBryN:2019/03/03(日) 22:55:58.31 :nGbAwA8f0
社長「あの時の彼、元気かい?」
一花「さぁ……高校卒業してからぱったり。」
社長「彼には光るものを感じたのだが……それはあの時の君にも然りだ。君は磨けば磨くほど光るダイヤの原石だった」
一花「突然何を口説いているんですかー、社長」
社長「……あの時の君には、合格間違いなし、と太鼓判を押せたんだがね」
一花「あの頃のちょい役とは話が違いますからね。数十億円のお金が動く、一大プロジェクト。その顔を決めるオーディションですから」
社長「……ああ。本当の戦いはここからだよ、一花君」
社長「このままじゃあ君は勝てない。あの審査員はただの飾りだ。この映画の本当の主役を決めるのは、もっと上……まあ有り体に言えば金を出している連中だからね」
社長「とりあえず、某テレビ局の重役が今週の金曜日の夜、君と2人で食事をしたいらしい。どうするかい?」
噂では聞いていた。全国上映のビッグタイトルのヒロインや主役を決めるのに、こういう寝技を用いる事務所もあると。
でも、ウチはこれまでそういうことはしていなかった。それは社長の主義でもあるし、私も実力一本で戦いたかったから。
一花「社長、冗談きつい。私、枕絶対やらないって昔言ったじゃない」
公平に行こうぜ。誰かが昔言ってた気がする。
社長「君の、女優にかける想いがその程度なら、ここまでだ。君の今日の演技は100点だった。だが、150点じゃあなかった。心のどこかに……なにか、逃げ道を用意しているね?」
社長「僕の目はごまかせない。今の君に必要なのは覚悟だ。泥水を啜ってでも、欲しいものを手に入れるという覚悟だ。君ならわかるだろう?一花君」
一花「……わかりました」
実直で、公平で、素直であっても欲しいものは手に入らない。
狡猾に、貪欲に。
恋も仕事も同じだ。
社長「あの時の彼、元気かい?」
一花「さぁ……高校卒業してからぱったり。」
社長「彼には光るものを感じたのだが……それはあの時の君にも然りだ。君は磨けば磨くほど光るダイヤの原石だった」
一花「突然何を口説いているんですかー、社長」
社長「……あの時の君には、合格間違いなし、と太鼓判を押せたんだがね」
一花「あの頃のちょい役とは話が違いますからね。数十億円のお金が動く、一大プロジェクト。その顔を決めるオーディションですから」
社長「……ああ。本当の戦いはここからだよ、一花君」
社長「このままじゃあ君は勝てない。あの審査員はただの飾りだ。この映画の本当の主役を決めるのは、もっと上……まあ有り体に言えば金を出している連中だからね」
社長「とりあえず、某テレビ局の重役が今週の金曜日の夜、君と2人で食事をしたいらしい。どうするかい?」
噂では聞いていた。全国上映のビッグタイトルのヒロインや主役を決めるのに、こういう寝技を用いる事務所もあると。
でも、ウチはこれまでそういうことはしていなかった。それは社長の主義でもあるし、私も実力一本で戦いたかったから。
一花「社長、冗談きつい。私、枕絶対やらないって昔言ったじゃない」
公平に行こうぜ。誰かが昔言ってた気がする。
社長「君の、女優にかける想いがその程度なら、ここまでだ。君の今日の演技は100点だった。だが、150点じゃあなかった。心のどこかに……なにか、逃げ道を用意しているね?」
社長「僕の目はごまかせない。今の君に必要なのは覚悟だ。泥水を啜ってでも、欲しいものを手に入れるという覚悟だ。君ならわかるだろう?一花君」
一花「……わかりました」
実直で、公平で、素直であっても欲しいものは手に入らない。
狡猾に、貪欲に。
恋も仕事も同じだ。
16: ◆ZKbJze6bBryN:2019/03/03(日) 23:10:41.62 :nGbAwA8f0
でも、私には優先順位がある。
一番上にフータロー君。女優の仕事はその次で、あくまで今、フータロー君を繋ぎ止めるために必要だからというだけだ。
万が一に備えて保険は用意しつつ、あくまで本線は女優業。
問題の枕営業だけど、好きでもない男に仕事のために体を許す、というのは、私の中での優先順位を考えればありえない話だった。
枕営業をしなければ女優でいられないのならやめた方がまし。
他の何においても、私はフータロー君だけは裏切れない。
じゃあどうする?
一花(ここに来るのも久しぶりだな)
「どなたのお見舞いでしょうか」
高校を卒業してから、父の病院で彼女は働いていた。
学歴もないから、受付の仕事くらいしか出来ないらしい。
父は、将来有望な跡継ぎを探して、四葉に嫁がせようとしていたけど、彼女は頑なに拒んでいた。
それは、多分今も変わらない。
姉妹だからわかる。きっと、彼女も彼じゃなきゃ駄目なんだ。
一花「やっほー、久しぶり、四葉」
四葉「あっ……一花……」
欲しいものは全部手に入れる。それが一番大事って教えてくれたの、あなただよね?四葉。
第一部 おわり
でも、私には優先順位がある。
一番上にフータロー君。女優の仕事はその次で、あくまで今、フータロー君を繋ぎ止めるために必要だからというだけだ。
万が一に備えて保険は用意しつつ、あくまで本線は女優業。
問題の枕営業だけど、好きでもない男に仕事のために体を許す、というのは、私の中での優先順位を考えればありえない話だった。
枕営業をしなければ女優でいられないのならやめた方がまし。
他の何においても、私はフータロー君だけは裏切れない。
じゃあどうする?
一花(ここに来るのも久しぶりだな)
「どなたのお見舞いでしょうか」
高校を卒業してから、父の病院で彼女は働いていた。
学歴もないから、受付の仕事くらいしか出来ないらしい。
父は、将来有望な跡継ぎを探して、四葉に嫁がせようとしていたけど、彼女は頑なに拒んでいた。
それは、多分今も変わらない。
姉妹だからわかる。きっと、彼女も彼じゃなきゃ駄目なんだ。
一花「やっほー、久しぶり、四葉」
四葉「あっ……一花……」
欲しいものは全部手に入れる。それが一番大事って教えてくれたの、あなただよね?四葉。
第一部 おわり
コメント 3
コメント一覧 (3)
つまり枕を4に任せるってことか?
森きのこ
がしました
続きあったらまとめてくれ
森きのこ
がしました
森きのこ
がしました