124: ◆0rjCWOlcd8we:2019/07/16(火) 22:35:01.79 :ZfbL7gDA0
第9話
Mayden Voyage(前編)
6月15日 午後11時08分
空母寮 ガンビアベイの自室
「ふう... まだまだだけど...コードは覚えてきた...!」
(そういえばいろんなピアニストの曲聞いてみたけど... バドパウエルって人、なんかいいな)
あれから1ヶ月半、演習や出撃が終わると彼女は必ずピアノに向かうことを習慣にしていた
この前の初めてのセッション、あの感覚が忘れられなかった
もっと上手くなりたい
彼女は胸にその思いを秘めていた
コンコンコン
そう思う彼女の元に誰かが訪ねてきた
こんな遅い時間に? と疑問に思いながらも返事をする
第9話
Mayden Voyage(前編)
6月15日 午後11時08分
空母寮 ガンビアベイの自室
「ふう... まだまだだけど...コードは覚えてきた...!」
(そういえばいろんなピアニストの曲聞いてみたけど... バドパウエルって人、なんかいいな)
あれから1ヶ月半、演習や出撃が終わると彼女は必ずピアノに向かうことを習慣にしていた
この前の初めてのセッション、あの感覚が忘れられなかった
もっと上手くなりたい
彼女は胸にその思いを秘めていた
コンコンコン
そう思う彼女の元に誰かが訪ねてきた
こんな遅い時間に? と疑問に思いながらも返事をする
【画像】主婦「マジで旦那ぶっ殺すぞおいこらクソオスが」
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韓国からポーランドに輸出されるはずだった戦車、軽戦闘機、自走砲などの「K防産」、すべて霧散して夢と終わる可能性も…
125: ◆0rjCWOlcd8we:2019/07/16(火) 22:35:49.44 :ZfbL7gDA0
「へ? あ、はーい!」
「おう、ガンビー 入っていいかー?」
「あ、摩耶さん どうぞー」
ドアを開け入ってきたのは摩耶だった
なにかの打ち合わせだろうかと彼女は考えた
「どうしたんですか? こんな時間に?」
「ああ、それがな 今度お前もいれてライブをすることが決まった」
「へ!? ええ!?」
「んな驚くなよ、やりたがってたろ?」
「うう、でもまだへたっぴだし...」
「で? それだったらいつまでやらないつもりだ?」
「え...」
「下手だからやらない、上手くなるまで、じゃあずっとやらないのか?」
「うう...」
「一回、人前で弾いてみろ」
「やっぱりむ...」
そう言いかけたガンビアベイ
だがすぐに思い立った
(無理っていうのは簡単だけど... ここで逃げたら... たった一ヶ月ちょっとでもピアノと向き合って自分を裏切ることになる...!)
「...摩耶さん、私やってみます」
「そうこなくっちゃな!」
「頑張ります!」
「で、これがセトリ(※)」
※セットリスト 曲目のこと
「へ? あ、はーい!」
「おう、ガンビー 入っていいかー?」
「あ、摩耶さん どうぞー」
ドアを開け入ってきたのは摩耶だった
なにかの打ち合わせだろうかと彼女は考えた
「どうしたんですか? こんな時間に?」
「ああ、それがな 今度お前もいれてライブをすることが決まった」
「へ!? ええ!?」
「んな驚くなよ、やりたがってたろ?」
「うう、でもまだへたっぴだし...」
「で? それだったらいつまでやらないつもりだ?」
「え...」
「下手だからやらない、上手くなるまで、じゃあずっとやらないのか?」
「うう...」
「一回、人前で弾いてみろ」
「やっぱりむ...」
そう言いかけたガンビアベイ
だがすぐに思い立った
(無理っていうのは簡単だけど... ここで逃げたら... たった一ヶ月ちょっとでもピアノと向き合って自分を裏切ることになる...!)
「...摩耶さん、私やってみます」
「そうこなくっちゃな!」
「頑張ります!」
「で、これがセトリ(※)」
※セットリスト 曲目のこと
126: ◆0rjCWOlcd8we:2019/07/16(火) 22:36:21.29 :ZfbL7gDA0
「えっとやるのは4曲...」
「で、やるのはLazy Birdでじゃない」
「え」
「鎮守府の外でやる」
「え、ええっーー!? 無理無理無理!」
「んだよ! さっきやるって!」
「だって外でやるなんて思わなかったし!!」
「アタシらの演奏もうみんな知ってるから外でやった方がいいだろ? 2週間後、D♭って店でやるから」
「ええ...」
「来週一回合わせるから練習しとけよ! じゃあな!」
「え、あっ! ちょっと!」
言い終わるより前に摩耶は足早に去っていく
部屋にはガンビアベイ一人が残されていた
「どうしよう...」
コンコンコン
ガチャ
「あの... ガンビーさん、毎日頑張ってるみたいですし大福の差し入れ...」
「春日丸さん~!!」
「ふえっ!?」
「た、助けて~...」
「ど、どうしたんですか...」
「えっとやるのは4曲...」
「で、やるのはLazy Birdでじゃない」
「え」
「鎮守府の外でやる」
「え、ええっーー!? 無理無理無理!」
「んだよ! さっきやるって!」
「だって外でやるなんて思わなかったし!!」
「アタシらの演奏もうみんな知ってるから外でやった方がいいだろ? 2週間後、D♭って店でやるから」
「ええ...」
「来週一回合わせるから練習しとけよ! じゃあな!」
「え、あっ! ちょっと!」
言い終わるより前に摩耶は足早に去っていく
部屋にはガンビアベイ一人が残されていた
「どうしよう...」
コンコンコン
ガチャ
「あの... ガンビーさん、毎日頑張ってるみたいですし大福の差し入れ...」
「春日丸さん~!!」
「ふえっ!?」
「た、助けて~...」
「ど、どうしたんですか...」
127: ◆0rjCWOlcd8we:2019/07/16(火) 22:37:00.67 :ZfbL7gDA0
「...なるほど今度ライブが」
「そうなんです... でも自信なくて」
「それは大変ですね...」
「怖くって...」
「...でもガンビーさん、それってすごいことなんじゃないですか?」
「へ?」
「だって初めてまだ間もないのに一緒に本番やろうだなんて、普通言われませんよ」
「え...」
「ガンビーさんが頑張ってるところ、きっと伝わってるんですよ だから胸を張ってみましょうよ!」
「ま、まるさん~(※)」
※春日丸
「私、応援しますね!」
「うう~ ありがとうございます~!」
「...なるほど今度ライブが」
「そうなんです... でも自信なくて」
「それは大変ですね...」
「怖くって...」
「...でもガンビーさん、それってすごいことなんじゃないですか?」
「へ?」
「だって初めてまだ間もないのに一緒に本番やろうだなんて、普通言われませんよ」
「え...」
「ガンビーさんが頑張ってるところ、きっと伝わってるんですよ だから胸を張ってみましょうよ!」
「ま、まるさん~(※)」
※春日丸
「私、応援しますね!」
「うう~ ありがとうございます~!」
128: ◆0rjCWOlcd8we:2019/07/16(火) 22:38:55.50 :ZfbL7gDA0
6月22日午後9時00分
Lazy Bird
練習日として貸し切られている今日、ステージには四人
清霜、摩耶、榛名、そしてガンビアベイ
何度かセッションは行なっていたがライブに向けて合わせるのはこれが初めてだった
店での誰かに向けての演奏、特に清霜とガンビアベイには初めての経験となる
これがどう転ぶかは、まだ誰にもわからない
「さて... 一曲目から合わせるぞ 榛名、カウント」
「ワン、ツー ワンツー」
バッバラー バラバラ
必死に食らいつこうとするガンビアベイを見て摩耶はふと思った
(ガンビーのやつ、前に比べて... なんつーか 掴んできたな)
ーーーーーーーー
ーーーーーーーー
「ふー吹いたー!」
「清霜ちゃん、なんか前より抑え気味な気がするけど... 気のせいかしら?」
「へ? 清霜が?」
「あー言われてみりゃ、どうしたんだ?」
「うーん... 言われてみれば... なんでだろ? なんかこう... いまいち枠から出られないのかも」
「枠だあ?」
「うん、なんかね 出られる時と出られない時があって... どうしてだかわからないけど」
「本番で枠から出なかったらぶっ飛ばすぞ」
「摩耶さんも、榛名のドラムだけじゃなく他の人の音聞いてね」
「あん!? んだよ!」
「清霜ちゃんの音も、ガンビーさんの音もちゃんと聞いて あなたはベースなんだから」
「わかったよ...」
「もー 本番大丈夫かなー...」
そんなやりとりを側から眺めるガンビアベイ
弾くことに必死で他人の様子なんてまるでわからなかった
(あんな風に... 言い合えるんだ)
(でも、私は...?)
6月22日午後9時00分
Lazy Bird
練習日として貸し切られている今日、ステージには四人
清霜、摩耶、榛名、そしてガンビアベイ
何度かセッションは行なっていたがライブに向けて合わせるのはこれが初めてだった
店での誰かに向けての演奏、特に清霜とガンビアベイには初めての経験となる
これがどう転ぶかは、まだ誰にもわからない
「さて... 一曲目から合わせるぞ 榛名、カウント」
「ワン、ツー ワンツー」
バッバラー バラバラ
必死に食らいつこうとするガンビアベイを見て摩耶はふと思った
(ガンビーのやつ、前に比べて... なんつーか 掴んできたな)
ーーーーーーーー
ーーーーーーーー
「ふー吹いたー!」
「清霜ちゃん、なんか前より抑え気味な気がするけど... 気のせいかしら?」
「へ? 清霜が?」
「あー言われてみりゃ、どうしたんだ?」
「うーん... 言われてみれば... なんでだろ? なんかこう... いまいち枠から出られないのかも」
「枠だあ?」
「うん、なんかね 出られる時と出られない時があって... どうしてだかわからないけど」
「本番で枠から出なかったらぶっ飛ばすぞ」
「摩耶さんも、榛名のドラムだけじゃなく他の人の音聞いてね」
「あん!? んだよ!」
「清霜ちゃんの音も、ガンビーさんの音もちゃんと聞いて あなたはベースなんだから」
「わかったよ...」
「もー 本番大丈夫かなー...」
そんなやりとりを側から眺めるガンビアベイ
弾くことに必死で他人の様子なんてまるでわからなかった
(あんな風に... 言い合えるんだ)
(でも、私は...?)
129: ◆0rjCWOlcd8we:2019/07/16(火) 22:39:41.29 :ZfbL7gDA0
6月23日 午後7時00分
Lazy Bird
客で賑う店内、今日は艦娘による演奏が開かれる
それを聞きに今宵も人が集まる
「ねーねーそういえばさー 私たちバンド名決めてないよね?」
「あら、そういえば決めてなかったわね」
「あーすっかり忘れてたな」
「どうするんですか?」
バンド名、結成してまだ間もない彼女たちは全くそのことを考えてなかった
皆アイデアを出し合うがいまいちピンとくるものがなく難航していた
そんな時に早霜のかけるレコードからある曲が流れる
Blue7/Sonny Rollins
(あ、Blue7...)
聞き慣れているこの曲、そしてそれを聞いた瞬間思いついたように清霜は言葉を発した
「Blue4!!」
「あん?」
「へ?」
「ブルー4...?」
「そう! 四人だし! ちょうどいいかなって!」
「おい清霜、お前まさか今Blue7が流れてるからそういったな?」
「うん!」
「うふふ、清霜ちゃんらしいわね」
「おい、もうちょっと考え――」
「あ、あの! いいと思います!」
ガンビアベイの声に思わず驚く摩耶と榛名
摩耶は何か言いたげだったが彼女は続ける
「なんていうか... たしかにその場の思いつきかもしれないけど... でもなんかそれもなんていうかジャズっぽいなって... 勝手に思ったり...」
ジャズっぽいね... と口をこぼす摩耶
しかし先ほどとは打って変わって笑みを浮かべていた
「即興って意味じゃあってるかもな」
「榛名も、その名前いいと思うわ」
「ふふーん! 言ってみるもんだね!」
「Blue4かあ...」
一歩、たった一歩だが進んだ気がする
そしてその一歩はいつか巨人の一歩となる
第9話
おわり
6月23日 午後7時00分
Lazy Bird
客で賑う店内、今日は艦娘による演奏が開かれる
それを聞きに今宵も人が集まる
「ねーねーそういえばさー 私たちバンド名決めてないよね?」
「あら、そういえば決めてなかったわね」
「あーすっかり忘れてたな」
「どうするんですか?」
バンド名、結成してまだ間もない彼女たちは全くそのことを考えてなかった
皆アイデアを出し合うがいまいちピンとくるものがなく難航していた
そんな時に早霜のかけるレコードからある曲が流れる
Blue7/Sonny Rollins
(あ、Blue7...)
聞き慣れているこの曲、そしてそれを聞いた瞬間思いついたように清霜は言葉を発した
「Blue4!!」
「あん?」
「へ?」
「ブルー4...?」
「そう! 四人だし! ちょうどいいかなって!」
「おい清霜、お前まさか今Blue7が流れてるからそういったな?」
「うん!」
「うふふ、清霜ちゃんらしいわね」
「おい、もうちょっと考え――」
「あ、あの! いいと思います!」
ガンビアベイの声に思わず驚く摩耶と榛名
摩耶は何か言いたげだったが彼女は続ける
「なんていうか... たしかにその場の思いつきかもしれないけど... でもなんかそれもなんていうかジャズっぽいなって... 勝手に思ったり...」
ジャズっぽいね... と口をこぼす摩耶
しかし先ほどとは打って変わって笑みを浮かべていた
「即興って意味じゃあってるかもな」
「榛名も、その名前いいと思うわ」
「ふふーん! 言ってみるもんだね!」
「Blue4かあ...」
一歩、たった一歩だが進んだ気がする
そしてその一歩はいつか巨人の一歩となる
第9話
おわり
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