161: ◆0rjCWOlcd8we:2019/08/19(月) 13:39:25.84 :MxzcDZH50
第13話
Speak Like a Child/kin(←→)
8月13日 午前9時07分
鎮守府 埠頭
非番の時清霜はいつもこの埠頭で吹いている
どんなことがあろうと彼女はいつも吹き続け、四季をここで感じ取っていた
ただ時折ハプニングも起きる
この日は雲行きが怪しく、ついにはポツポツと雨が降り始めた
天気予報じゃ曇りのままだったのにと愚痴をこぼす清霜だったがそれ言っても仕方がなく、急いで雨の日に練習するトンネルまで逃げていった
トンネルに入るや否や雨はザアザアと振りはじめる
「うう~傘持ってくるの忘れちゃた... 今日曇りだってきいたのに...」
不幸にも傘すらなく、しばらくここで練習する以外何もできなくなってしまった
「...ううん! ここで練習しよう!」
トンネルに彼女のサックスが響き渡る
第13話
Speak Like a Child/kin(←→)
8月13日 午前9時07分
鎮守府 埠頭
非番の時清霜はいつもこの埠頭で吹いている
どんなことがあろうと彼女はいつも吹き続け、四季をここで感じ取っていた
ただ時折ハプニングも起きる
この日は雲行きが怪しく、ついにはポツポツと雨が降り始めた
天気予報じゃ曇りのままだったのにと愚痴をこぼす清霜だったがそれ言っても仕方がなく、急いで雨の日に練習するトンネルまで逃げていった
トンネルに入るや否や雨はザアザアと振りはじめる
「うう~傘持ってくるの忘れちゃた... 今日曇りだってきいたのに...」
不幸にも傘すらなく、しばらくここで練習する以外何もできなくなってしまった
「...ううん! ここで練習しよう!」
トンネルに彼女のサックスが響き渡る
【画像】主婦「マジで旦那ぶっ殺すぞおいこらクソオスが」
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【日向坂46】ひなあい、大事件が勃発!?
韓国からポーランドに輸出されるはずだった戦車、軽戦闘機、自走砲などの「K防産」、すべて霧散して夢と終わる可能性も…
162: ◆0rjCWOlcd8we:2019/08/19(月) 13:40:02.04 :MxzcDZH50
午後12時22分
トンネル
「もう戻らないといけない時間なのにまだ雨降ってる... 」
雨は依然勢いを増しとても帰れる状況じゃなかった
そんな中傘を持ち清霜を迎えに来る者がいた
武蔵だった
「清霜、迎えにきたぞ」
「あ! 武蔵さん!!」
清霜の憧れでもありサックスを与えてくれた武蔵が来たと言うことに喜びを隠せなかった
「武蔵さんが来てくれるなんて... すごく嬉しい!」
「清霜がいつも外で練習してるのは知ってたからな、それでなかなか帰ってこないから心配したんだ」
「本当にありがとう! 武蔵さん!」
「さ、帰るぞ」
「あ、ねえ武蔵さん」
「ん?」
「武蔵さんがさ、昔サックスやってた頃のお話聞いてみたいなって... 少し」
「... 昔の話か」
「うん」
「いいだろう」
ーーーーーーーー
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午後12時22分
トンネル
「もう戻らないといけない時間なのにまだ雨降ってる... 」
雨は依然勢いを増しとても帰れる状況じゃなかった
そんな中傘を持ち清霜を迎えに来る者がいた
武蔵だった
「清霜、迎えにきたぞ」
「あ! 武蔵さん!!」
清霜の憧れでもありサックスを与えてくれた武蔵が来たと言うことに喜びを隠せなかった
「武蔵さんが来てくれるなんて... すごく嬉しい!」
「清霜がいつも外で練習してるのは知ってたからな、それでなかなか帰ってこないから心配したんだ」
「本当にありがとう! 武蔵さん!」
「さ、帰るぞ」
「あ、ねえ武蔵さん」
「ん?」
「武蔵さんがさ、昔サックスやってた頃のお話聞いてみたいなって... 少し」
「... 昔の話か」
「うん」
「いいだろう」
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163: ◆0rjCWOlcd8we:2019/08/19(月) 13:40:42.78 :MxzcDZH50
「私がサックスを始めたのは10歳の頃だった、父親がサックス、母親がピアノをやってて自然とサックスをやりたいと思うようになっていたんだ」
「練習を重ねて海外の音大に入学した、そこでリシュリューと出会ったんだ 」
「彼女はすごかったよ、スタンゲッツが相当好きで音もフレーズもそっくりだった」
「私は彼女をライバルでもあり目標にしていた、よく一緒にライブもやってたさ」
武蔵は目を輝かせ、子供のように話していた
「初めてのライブ! あれは良かった! 私とリシュリューがバトルソロ(※)をしたんだが客はみんなスタンディングオベーションだ、何もかもが上手くいってた」
※バトルソロ 二人で交互にソロを回すこと
「お互い馬があっていつも将来はどうしたいとかどう言うのをやりたいか、Blue Noteでいつか演奏したいとか色々語り合ってた!」
「でもある日だった...」
ーーーーーーーーー
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「私がサックスを始めたのは10歳の頃だった、父親がサックス、母親がピアノをやってて自然とサックスをやりたいと思うようになっていたんだ」
「練習を重ねて海外の音大に入学した、そこでリシュリューと出会ったんだ 」
「彼女はすごかったよ、スタンゲッツが相当好きで音もフレーズもそっくりだった」
「私は彼女をライバルでもあり目標にしていた、よく一緒にライブもやってたさ」
武蔵は目を輝かせ、子供のように話していた
「初めてのライブ! あれは良かった! 私とリシュリューがバトルソロ(※)をしたんだが客はみんなスタンディングオベーションだ、何もかもが上手くいってた」
※バトルソロ 二人で交互にソロを回すこと
「お互い馬があっていつも将来はどうしたいとかどう言うのをやりたいか、Blue Noteでいつか演奏したいとか色々語り合ってた!」
「でもある日だった...」
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164: ◆0rjCWOlcd8we:2019/08/19(月) 13:41:10.93 :MxzcDZH50
数年前
アメリカ ニューヨーク 武蔵とリシュリューのアパート
「アンナ(※)! 帰ったぞ! いいスコッチを差し入れでもらったんだ! 飲もうか!」
※リシュリューが艦娘になる前の名前と思ってください、今更ですが艦娘は人間設定です
「...」
「アンナ...? お、おい! どうした! なんかされたのか!!」
「私は... もうだめみたいね」
「何があったんだ!」
「私は... 古い人間だった...」
「な...」
「私はスタンゲッツが好きでこの世界に入った... なのにそれを根底から否定されたら... 私は何をしたらいいの?」
「...」
「『君の音は古すぎる』『君は場末のパブで演奏をしたいのか、第一線に立って世界で活躍したいのかどっちなんだ? 今の君の音はただの模倣に過ぎない』」
「そんな...」
「私は... 巨人の足跡をなぞっていただけだった...」
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数年前
アメリカ ニューヨーク 武蔵とリシュリューのアパート
「アンナ(※)! 帰ったぞ! いいスコッチを差し入れでもらったんだ! 飲もうか!」
※リシュリューが艦娘になる前の名前と思ってください、今更ですが艦娘は人間設定です
「...」
「アンナ...? お、おい! どうした! なんかされたのか!!」
「私は... もうだめみたいね」
「何があったんだ!」
「私は... 古い人間だった...」
「な...」
「私はスタンゲッツが好きでこの世界に入った... なのにそれを根底から否定されたら... 私は何をしたらいいの?」
「...」
「『君の音は古すぎる』『君は場末のパブで演奏をしたいのか、第一線に立って世界で活躍したいのかどっちなんだ? 今の君の音はただの模倣に過ぎない』」
「そんな...」
「私は... 巨人の足跡をなぞっていただけだった...」
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165: ◆0rjCWOlcd8we:2019/08/19(月) 13:41:37.97 :MxzcDZH50
「私もそんな彼女をみて、ジャズの世界で巨人を目指すのは無理だと思ったんだ」
「そうだったんですか...」
「二人で音大をやめて、新しいことをやろう、そこで艦娘募集の案内を見て今に至ったんだ」
「...」
「リシュリューは... 今でもサックスをやってるな」
「はい、教わりました」
「彼女の心は、今もきっとニューヨークにあるんだろうな... 」
「あの、武蔵さん」
「なんだ?」
「どうして私にそんな大事なサックス、渡してくれたんですか?」
「なんでだろうな... ただ...」
「ただ?」
「巨人になってくれると、直感で思ったんだ」
「私もそんな彼女をみて、ジャズの世界で巨人を目指すのは無理だと思ったんだ」
「そうだったんですか...」
「二人で音大をやめて、新しいことをやろう、そこで艦娘募集の案内を見て今に至ったんだ」
「...」
「リシュリューは... 今でもサックスをやってるな」
「はい、教わりました」
「彼女の心は、今もきっとニューヨークにあるんだろうな... 」
「あの、武蔵さん」
「なんだ?」
「どうして私にそんな大事なサックス、渡してくれたんですか?」
「なんでだろうな... ただ...」
「ただ?」
「巨人になってくれると、直感で思ったんだ」
166: ◆0rjCWOlcd8we:2019/08/19(月) 13:42:04.41 :MxzcDZH50
午後12時39分
トンネル外
先ほどまでの雨が嘘のように晴れ、水たまりが太陽を反射し、より一層輝きを見せた
二人は鎮守府へと帰ろうとしていた
「ねえ武蔵さん」
「なんだ?」
「ジャズの巨人になろうとして多くの人が失敗してきた... 私もなれるかどうかわからない」
「...そうか」
「でもね、私は毎日自分はなれるって信じて吹いてる」
「!!」
「だから、私 なるよ ジャズの巨人に」
「...ああ!! お前ならやってくれる!」
魂は引き継がれる、時代を超えて
第13話
おわり
午後12時39分
トンネル外
先ほどまでの雨が嘘のように晴れ、水たまりが太陽を反射し、より一層輝きを見せた
二人は鎮守府へと帰ろうとしていた
「ねえ武蔵さん」
「なんだ?」
「ジャズの巨人になろうとして多くの人が失敗してきた... 私もなれるかどうかわからない」
「...そうか」
「でもね、私は毎日自分はなれるって信じて吹いてる」
「!!」
「だから、私 なるよ ジャズの巨人に」
「...ああ!! お前ならやってくれる!」
魂は引き継がれる、時代を超えて
第13話
おわり
167: ◆0rjCWOlcd8we:2019/08/19(月) 13:43:22.80 :MxzcDZH50
今日はここまで、清霜を主人公にしたのは真っ直ぐさを持っている子だと思ったからです
誰もがなれるわけではないジャズの巨人、本気で目指そうと思える、そんな子だと思ってます
ありがとうございました
誰もがなれるわけではないジャズの巨人、本気で目指そうと思える、そんな子だと思ってます
ありがとうございました
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