809:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/19(金) 20:12:39.06 :XNpZWEUzo
凛「わかってる。何度も言わなくて良いから」
武内P「いえ、一応確認ですので」
アーニャ「何かあった時のため、ですね?」
武内P「はい、その通りです」
武内P「それでは、また明日」
武内P「おやすみなさい」
凛・アーニャ「おやすみなさい、プロデューサー」
凛「わかってる。何度も言わなくて良いから」
武内P「いえ、一応確認ですので」
アーニャ「何かあった時のため、ですね?」
武内P「はい、その通りです」
武内P「それでは、また明日」
武内P「おやすみなさい」
凛・アーニャ「おやすみなさい、プロデューサー」
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810:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/19(金) 20:16:12.46 :XNpZWEUzo
・ ・ ・
凛「……ホント、心配性なんだから」
アーニャ「フフッ! それが、プロデューサーのいい所、です♪」
凛「……まあ、否定はしないけど」
アーニャ「同じ部屋で寝るのは、初めてですね」
凛「二人っきりで、っていうのは……そうかも」
凛・アーニャ「……」チラッ
凛・アーニャ「……」
・ ・ ・
凛「……ホント、心配性なんだから」
アーニャ「フフッ! それが、プロデューサーのいい所、です♪」
凛「……まあ、否定はしないけど」
アーニャ「同じ部屋で寝るのは、初めてですね」
凛「二人っきりで、っていうのは……そうかも」
凛・アーニャ「……」チラッ
凛・アーニャ「……」
811:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/19(金) 20:18:52.44 :XNpZWEUzo
凛「ねえ、今……何を見たの?」
アーニャ「リンも、どこかを見ていましたね?」
凛「私は……まあ、壁だけど?」
アーニャ「ダー、私も、壁です」
凛・アーニャ「……」
凛・アーニャ「……」チラッ
凛・アーニャ「……」
凛「ねえ、今……何を見たの?」
アーニャ「リンも、どこかを見ていましたね?」
凛「私は……まあ、壁だけど?」
アーニャ「ダー、私も、壁です」
凛・アーニャ「……」
凛・アーニャ「……」チラッ
凛・アーニャ「……」
812:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/19(金) 20:22:34.39 :XNpZWEUzo
凛「……とりあえず、シャワー先にどうぞ」
アーニャ「ニェート……いいえ、リンが先に、どうぞ」
凛「私は後で良いって」
アーニャ「アー、遠慮は、しなくても大丈夫、ですよ?」
凛「アーニャ。アーニャが、先にシャワーを」
アーニャ「リン。リンが、先に浴びるべき、です」
凛・アーニャ「……」
凛「……とりあえず、シャワー先にどうぞ」
アーニャ「ニェート……いいえ、リンが先に、どうぞ」
凛「私は後で良いって」
アーニャ「アー、遠慮は、しなくても大丈夫、ですよ?」
凛「アーニャ。アーニャが、先にシャワーを」
アーニャ「リン。リンが、先に浴びるべき、です」
凛・アーニャ「……」
813:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/19(金) 20:26:25.61 :XNpZWEUzo
凛「……じゃあ、こうしようか」
アーニャ「シトー?」
凛「……ジャンケン」
アーニャ「っ!?」
凛「…………五回勝負」
アーニャ「……それなら」
アーニャ「それなら、アー、受けて立ちます」
凛「……じゃあ、こうしようか」
アーニャ「シトー?」
凛「……ジャンケン」
アーニャ「っ!?」
凛「…………五回勝負」
アーニャ「……それなら」
アーニャ「それなら、アー、受けて立ちます」
814:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/19(金) 20:28:16.12 :XNpZWEUzo
アーニャ「……勝負の前に、トイレに行っても?」
凛「良いよ、行ってきて」
アーニャ「スパシーバ、リン」
ガチャッ、バタンッ
凛「……」
凛「……」
凛「……アーニャ?」
アーニャ「……勝負の前に、トイレに行っても?」
凛「良いよ、行ってきて」
アーニャ「スパシーバ、リン」
ガチャッ、バタンッ
凛「……」
凛「……」
凛「……アーニャ?」
815:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/19(金) 20:30:53.37 :XNpZWEUzo
凛「……アーニャ?」
コンコン
凛「アーニャ、居るんでしょ?」
コンコン
凛「……ごめん、開けるね」
カチャッ
凛「……――居ない……!?」
凛「――まさか!」バッ!
凛「……アーニャ?」
コンコン
凛「アーニャ、居るんでしょ?」
コンコン
凛「……ごめん、開けるね」
カチャッ
凛「……――居ない……!?」
凛「――まさか!」バッ!
816:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/19(金) 20:37:27.96 :XNpZWEUzo
・ ・ ・
武内P「――待ってください、アナスタシアさん!」
アーニャ「ニェート! 待てない、です!」
ぐいぐいっ!
アーニャ「早く、中に! 早ーく! ヴィーストラ!」
ぐいぐいっ!
武内P「だ、駄目です! いけません!」
アーニャ「ヴィーストラ! ヴィーストラ! ヴィーストラ!」
ぐいぐいっ!
武内P「な、何が……何故……!?」
・ ・ ・
武内P「――待ってください、アナスタシアさん!」
アーニャ「ニェート! 待てない、です!」
ぐいぐいっ!
アーニャ「早く、中に! 早ーく! ヴィーストラ!」
ぐいぐいっ!
武内P「だ、駄目です! いけません!」
アーニャ「ヴィーストラ! ヴィーストラ! ヴィーストラ!」
ぐいぐいっ!
武内P「な、何が……何故……!?」
817:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/19(金) 20:40:33.78 :XNpZWEUzo
・ ・ ・
凛「――ふーん、間取りは同じなんだ」
凛「……って、同じホテルの隣の部屋だし、そうだよね」
アーニャ「……早かった、ですね?」
凛「そうかな」
アーニャ「……」
武内P「あ、あの……!」
武内P「自分の部屋に、戻って頂けませんか……!?」
・ ・ ・
凛「――ふーん、間取りは同じなんだ」
凛「……って、同じホテルの隣の部屋だし、そうだよね」
アーニャ「……早かった、ですね?」
凛「そうかな」
アーニャ「……」
武内P「あ、あの……!」
武内P「自分の部屋に、戻って頂けませんか……!?」
818:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/19(金) 20:45:37.38 :XNpZWEUzo
凛「別に良くない? まだ、九時前だし」
アーニャ「ダー、まだ眠るには早い、ですね?」
武内P「いえ、しかし!」
武内P「アイドルの方が、夜にプロデューサーの部屋に――」
凛・アーニャ「――!」
アーニャ「シトー? シトシトー? アー、ンー?」
凛「ごめん、ちょっとわからないんだけど」
凛・アーニャ「何が、問題?」
武内P「……」
武内P「えっ?」
凛「別に良くない? まだ、九時前だし」
アーニャ「ダー、まだ眠るには早い、ですね?」
武内P「いえ、しかし!」
武内P「アイドルの方が、夜にプロデューサーの部屋に――」
凛・アーニャ「――!」
アーニャ「シトー? シトシトー? アー、ンー?」
凛「ごめん、ちょっとわからないんだけど」
凛・アーニャ「何が、問題?」
武内P「……」
武内P「えっ?」
819:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/19(金) 20:48:50.83 :XNpZWEUzo
武内P「いえ、ですから……!」
凛「何? もしかして、私達の事……そういう風に見てるの?」
アーニャ「ニェート! プロデューサーに限って、有り得ない、です!」
武内P「そ、それは……はい」
武内P「で……ですが!」
凛「私達、ちょっと話でもしようかな、って思っただけなんだけど」
アーニャ「それも駄目、ですか? プロデューサー?」
武内P「……!?」
武内P「いえ、ですから……!」
凛「何? もしかして、私達の事……そういう風に見てるの?」
アーニャ「ニェート! プロデューサーに限って、有り得ない、です!」
武内P「そ、それは……はい」
武内P「で……ですが!」
凛「私達、ちょっと話でもしようかな、って思っただけなんだけど」
アーニャ「それも駄目、ですか? プロデューサー?」
武内P「……!?」
820:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/19(金) 20:51:55.12 :XNpZWEUzo
凛「ねえ、それも駄目なの?」
アーニャ「プロデューサー?」
武内P「あ……あの」
武内P「先程、物凄い剣幕で部屋に押し入ってきたのは……」
武内P「……ただ、話をしたいと思ったからだ、と……?」
凛「うん」
アーニャ「ダー」
武内P「……!?」
凛「ねえ、それも駄目なの?」
アーニャ「プロデューサー?」
武内P「あ……あの」
武内P「先程、物凄い剣幕で部屋に押し入ってきたのは……」
武内P「……ただ、話をしたいと思ったからだ、と……?」
凛「うん」
アーニャ「ダー」
武内P「……!?」
821:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/19(金) 20:55:58.44 :XNpZWEUzo
武内P「で……でしたら」
武内P「ロビーの方へ……移動しましょう」
凛「私、もう寝る時の格好しちゃってるんだけど」
アーニャ「私も、です。この格好で、ロビーは……」
武内P「な……ならば!」
武内P「寝て、起きたらで……それで、お願いします!」
凛・アーニャ「……」
武内P「……!」
武内P「で……でしたら」
武内P「ロビーの方へ……移動しましょう」
凛「私、もう寝る時の格好しちゃってるんだけど」
アーニャ「私も、です。この格好で、ロビーは……」
武内P「な……ならば!」
武内P「寝て、起きたらで……それで、お願いします!」
凛・アーニャ「……」
武内P「……!」
822:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/19(金) 20:59:39.00 :XNpZWEUzo
凛「……はぁ……そこまで言うなら、わかった」
アーニャ「……ダー……プロデューサーの言うことは、絶対、です」
武内P「!」パアッ!
凛「――それじゃ、寝ようか」
アーニャ「――おやすみなさい」
もぞもぞっ…
武内P「!?」
武内P「渋谷さん、アナスタシアさん!?」
武内P「何故、この部屋のベッドに潜り込んでいるのですか!?」
凛「……はぁ……そこまで言うなら、わかった」
アーニャ「……ダー……プロデューサーの言うことは、絶対、です」
武内P「!」パアッ!
凛「――それじゃ、寝ようか」
アーニャ「――おやすみなさい」
もぞもぞっ…
武内P「!?」
武内P「渋谷さん、アナスタシアさん!?」
武内P「何故、この部屋のベッドに潜り込んでいるのですか!?」
823:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/19(金) 21:04:53.93 :XNpZWEUzo
凛「一人なのに、ツインの部屋で助かったかな」
アーニャ「ダー、ベッドの取り合いになる所、でした」
凛「あっ、そうだ……シャワー浴びてない」
アーニャ「オー……私も、忘れてました」
凛「パジャマには着替えたけど――」
アーニャ「このまま、だと――」
凛・アーニャ「――ベッドに、匂いがついちゃう」
武内P「……!?」
凛「一人なのに、ツインの部屋で助かったかな」
アーニャ「ダー、ベッドの取り合いになる所、でした」
凛「あっ、そうだ……シャワー浴びてない」
アーニャ「オー……私も、忘れてました」
凛「パジャマには着替えたけど――」
アーニャ「このまま、だと――」
凛・アーニャ「――ベッドに、匂いがついちゃう」
武内P「……!?」
824:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/19(金) 21:12:38.52 :XNpZWEUzo
武内P「お……お二人とも、何を仰っているのですか……!?」
凛「別に、そのままの意味だけど」
アーニャ「特に、おかしな事は言っていませんね?」
凛「別に良いでしょ、寝ろって言ったのはプロデューサーだし」
アーニャ「ダーダーダー! 私も、聞いていました!」
武内P「いえ、あの……!」
武内P「ご自分の部屋に、戻って頂けませんか……!?」
武内P「お……お二人とも、何を仰っているのですか……!?」
凛「別に、そのままの意味だけど」
アーニャ「特に、おかしな事は言っていませんね?」
凛「別に良いでしょ、寝ろって言ったのはプロデューサーだし」
アーニャ「ダーダーダー! 私も、聞いていました!」
武内P「いえ、あの……!」
武内P「ご自分の部屋に、戻って頂けませんか……!?」
825:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/19(金) 21:18:16.49 :XNpZWEUzo
凛「部屋に戻れって……もう、寝る体勢なんだけど」
アーニャ「目を閉じたら、朝までスヤスヤ、です」
武内P「あの……私のベッドが、なくなったのですが」
凛「くっつけば、二人は寝られると思う」
アーニャ「枕は、アー、腕枕で良い、です」
武内P「……」
凛・アーニャ「プロデューサー」
凛・アーニャ「寝るベッドは、どっち?」
武内P「……」
凛「部屋に戻れって……もう、寝る体勢なんだけど」
アーニャ「目を閉じたら、朝までスヤスヤ、です」
武内P「あの……私のベッドが、なくなったのですが」
凛「くっつけば、二人は寝られると思う」
アーニャ「枕は、アー、腕枕で良い、です」
武内P「……」
凛・アーニャ「プロデューサー」
凛・アーニャ「寝るベッドは、どっち?」
武内P「……」
826:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/19(金) 21:22:35.61 :XNpZWEUzo
武内P「その……どちらかを決める前に、ですね」
武内P「シャワーを浴びてこよう、と」
武内P「……そう、思います」
凛・アーニャ「えっ?」
武内P「仮に、一緒に眠る場合ですが」
武内P「清潔な方が良い」
武内P「……そう、思いますから」
凛・アーニャ「……!」
武内P「その……どちらかを決める前に、ですね」
武内P「シャワーを浴びてこよう、と」
武内P「……そう、思います」
凛・アーニャ「えっ?」
武内P「仮に、一緒に眠る場合ですが」
武内P「清潔な方が良い」
武内P「……そう、思いますから」
凛・アーニャ「……!」
827:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/19(金) 21:30:39.02 :XNpZWEUzo
凛「せ、清潔な方と……一緒に寝るって事!?」
アーニャ「プロデューサー!?……本当、ですか!?」
武内P「……」
凛「ふざけないでよ!」
凛「――違う、間違えた! 今の、無し!」
凛「……この状況は何なの!?」
アーニャ「――部屋に、戻ります!」
アーニャ「急いで、アー、ンー! ちょ、チョッパヤ!」
アーニャ「チョッパヤで、シャワーを浴びてきます!」
凛・アーニャ「!」バッ!
凛「せ、清潔な方と……一緒に寝るって事!?」
アーニャ「プロデューサー!?……本当、ですか!?」
武内P「……」
凛「ふざけないでよ!」
凛「――違う、間違えた! 今の、無し!」
凛「……この状況は何なの!?」
アーニャ「――部屋に、戻ります!」
アーニャ「急いで、アー、ンー! ちょ、チョッパヤ!」
アーニャ「チョッパヤで、シャワーを浴びてきます!」
凛・アーニャ「!」バッ!
828:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/19(金) 21:35:13.97 :XNpZWEUzo
凛・アーニャ「っ!」
バッ!
凛・アーニャ「……!」
ダダダダダッ!
凛・アーニャ「!」
カチャッ、バタンッ!
凛「――ふざけないでよ! 部屋に戻るんでしょ!?」
アーニャ「――ニェ――ット! リンが、戻ります!」
凛「その間に、私を締め出すつもりでしょ!?」
アーニャ「当然、です! 一緒に寝るのは、アーニャ!」
武内P「……」
凛・アーニャ「っ!」
バッ!
凛・アーニャ「……!」
ダダダダダッ!
凛・アーニャ「!」
カチャッ、バタンッ!
凛「――ふざけないでよ! 部屋に戻るんでしょ!?」
アーニャ「――ニェ――ット! リンが、戻ります!」
凛「その間に、私を締め出すつもりでしょ!?」
アーニャ「当然、です! 一緒に寝るのは、アーニャ!」
武内P「……」
829:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/19(金) 21:44:12.62 :XNpZWEUzo
「有り得ない! 私、ここでシャワー浴びるから!」
「……ニェニェニェニェ――ット! エッチな下着、です!」
「何それ!? ねえ、パンツすらはいてなかったの!?」
「リンには、見えない下着、です! リンには!」
「はあっ!? 何、バカって言いたいわけ!?」
「シト~ッ? そんな事、言ってませんね? シィットォ~~ッ?」
「ふ――んっ!」
「ニェ――ット! 冷たい! バカ! リン、バカ!」
武内P「……」
「有り得ない! 私、ここでシャワー浴びるから!」
「……ニェニェニェニェ――ット! エッチな下着、です!」
「何それ!? ねえ、パンツすらはいてなかったの!?」
「リンには、見えない下着、です! リンには!」
「はあっ!? 何、バカって言いたいわけ!?」
「シト~ッ? そんな事、言ってませんね? シィットォ~~ッ?」
「ふ――んっ!」
「ニェ――ット! 冷たい! バカ! リン、バカ!」
武内P「……」
830:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/19(金) 21:56:52.93 :XNpZWEUzo
「あっ、ごめん! まだ、下着つけてたんだよね!」
「ウラ――ッ!」
「わっ、ぷ!? 何するの!? ビショ濡れになっちゃったでしょ!」
「イズヴィニーチェ、すみません……アー、発情期、ですか?」
「そういう意味じゃないから! 何なの!? はっ、は、発情期!?」
「リン、ボディソープ、取ってくれますか?」
「うん……じゃなくて!」
「ニェ――ット! 即、流さないで、ください!」
武内P「……」
「あっ、ごめん! まだ、下着つけてたんだよね!」
「ウラ――ッ!」
「わっ、ぷ!? 何するの!? ビショ濡れになっちゃったでしょ!」
「イズヴィニーチェ、すみません……アー、発情期、ですか?」
「そういう意味じゃないから! 何なの!? はっ、は、発情期!?」
「リン、ボディソープ、取ってくれますか?」
「うん……じゃなくて!」
「ニェ――ット! 即、流さないで、ください!」
武内P「……」
831:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/19(金) 22:00:59.43 :XNpZWEUzo
武内P「……」
コンコン
武内P「すみません」
「「ちょっと待って!」」
武内P「……クローゼットの中に、ガウンが入っています」
武内P「着ていた服は濡れてしまっていそうなので……」
武内P「……そちらを着て、この部屋で寝てください」
「「……プロデューサー?」」
武内P「……」
武内P「……」
コンコン
武内P「すみません」
「「ちょっと待って!」」
武内P「……クローゼットの中に、ガウンが入っています」
武内P「着ていた服は濡れてしまっていそうなので……」
武内P「……そちらを着て、この部屋で寝てください」
「「……プロデューサー?」」
武内P「……」
832:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/19(金) 22:11:04.38 :XNpZWEUzo
武内P「千川さんに……何かあった時のため、と」
武内P「そう、言われていたのですが……正解でしたね」
武内P「……本当に、残念ですが」
「「プロデューサー!?」」
武内P「お二人とも、シャワーを浴びたら」
武内P「この部屋で、一緒に寝てください」
「「プロデューサーは!?」」
武内P「私の部屋は隣です」
武内P「もう一つ、隣になります」
武内P「千川さんに……何かあった時のため、と」
武内P「そう、言われていたのですが……正解でしたね」
武内P「……本当に、残念ですが」
「「プロデューサー!?」」
武内P「お二人とも、シャワーを浴びたら」
武内P「この部屋で、一緒に寝てください」
「「プロデューサーは!?」」
武内P「私の部屋は隣です」
武内P「もう一つ、隣になります」
833:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/19(金) 22:18:08.98 :XNpZWEUzo
「……冗談! 冗談だから!」
「……ダー! リンの言う通り、です!」
武内P「渋谷さん、アナスタシアさん」
武内P「明日の朝、お話がありますので」
「「……」」
武内P「それでは、また明日」
武内P「おやすみなさい」
「「……おやすみなさい、プロデューサー」」
おわり
「……冗談! 冗談だから!」
「……ダー! リンの言う通り、です!」
武内P「渋谷さん、アナスタシアさん」
武内P「明日の朝、お話がありますので」
「「……」」
武内P「それでは、また明日」
武内P「おやすみなさい」
「「……おやすみなさい、プロデューサー」」
おわり
835:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/19(金) 22:53:19.64 :XNpZWEUzo
「……」
息を潜め、気配を殺す。
自分でさえ、ここに自分が居ない様に錯覚する程に。
悟られては、いけない。
気付かれてしまっては、全てが終わってしまう。
「ちょ、ちょ~っとわかんないにぃ!」
すぐ近くで、私の担当するアイドルの声が聞こえた。
普段よりも、声の調子が幾分高いのは、気の所為ではない。
彼女は……耐えているのだ。
きっと、その額には脂汗が滲み、いつもの陽気な笑顔には、
苦悶という名のラインが引かれている事だろう。
「うん……ごめんに゙ぃっ!」
だが、今の私には、それを確認する術は無かった。
すぐ近くに居るとは言っても、表情は全く見えない状況。
「うっ、ううん! 何でも無いゆ!?」
恐らくだが、今の言葉に合わせて身振りをしたのだろう。
それにより、彼女の耐久値は削られ、深刻な被害をもたらした。
被害状況は、確認出来る。
――ビニール袋を持った私の手に、彼女のガクガクと震える足が当たっているので。
「にょ……わぁぁ……!」
此処は、プロジェクトルームの、私のデスクのすぐ近く。
入り口からは、陰になって見えない場所。
ただ、状況は――最悪を通り越し、どう表現するのが正しいのか判断がつかない。
「……」
今、私は、中に居る。
腹痛に耐えている担当アイドルの、ロングスカートの中に。
「……」
助けは、呼べない。
声も、あげられない。
「……」
息を潜め、気配を殺す。
自分でさえ、ここに自分が居ない様に錯覚する程に。
悟られては、いけない。
気付かれてしまっては、全てが終わってしまう。
「ちょ、ちょ~っとわかんないにぃ!」
すぐ近くで、私の担当するアイドルの声が聞こえた。
普段よりも、声の調子が幾分高いのは、気の所為ではない。
彼女は……耐えているのだ。
きっと、その額には脂汗が滲み、いつもの陽気な笑顔には、
苦悶という名のラインが引かれている事だろう。
「うん……ごめんに゙ぃっ!」
だが、今の私には、それを確認する術は無かった。
すぐ近くに居るとは言っても、表情は全く見えない状況。
「うっ、ううん! 何でも無いゆ!?」
恐らくだが、今の言葉に合わせて身振りをしたのだろう。
それにより、彼女の耐久値は削られ、深刻な被害をもたらした。
被害状況は、確認出来る。
――ビニール袋を持った私の手に、彼女のガクガクと震える足が当たっているので。
「にょ……わぁぁ……!」
此処は、プロジェクトルームの、私のデスクのすぐ近く。
入り口からは、陰になって見えない場所。
ただ、状況は――最悪を通り越し、どう表現するのが正しいのか判断がつかない。
「……」
今、私は、中に居る。
腹痛に耐えている担当アイドルの、ロングスカートの中に。
「……」
助けは、呼べない。
声も、あげられない。
836:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/19(金) 23:24:19.36 :XNpZWEUzo
「……」
この足の震えから察するに、恐らく、一歩も移動出来ないだろう。
一歩を踏み出し、その足が地に着いた時点で、崩壊する。
むしろ、一歩を踏み出そうと片足に力を込めた時点で、そうなる可能性が高い。
今も、ダムが決壊していないのが不思議な位だ。
「うぇへへ……!」
そうなっていないのは、私がここに……スカートの中に居るから。
彼女は、私のため――だけではないだろうが――耐えているのだ。
強靭な意志と、括約筋の大活躍によって。
そんな私に出来る事は……あまりに、少ない。
「……」
スカート中から、出る。
それは、彼女の尊厳を守る一本の細い蜘蛛の糸を切るに等しい行動だ。
私の存在が防波堤となっている現在、それがなくなった時に迎える未来は――脱糞。
それも、彼女を慕う仲間達の前での、壮絶な脱糞だ。
「……」
加えて、確実に誤解される。
私がスカートの中から出た途端の爆発は、
私が中に何らかの爆弾を仕掛けたようにしか見えないからだ。
デスクの下の引き出しから、袋を取り出している間に、スカートの中に入れられただけ。
こう言って、信じてくれる人間が果たしてどれだけ居るだろうか?
「……」
もう一つの選択肢は、諦める。
諦めて、この擬似的な密室の中で、至近距離で、レッツゴーハッピーする。
輝いてぜったい、ははい! だってぜったい、ははい!
元気百倍の未来へ――
――は、無理です! さすがに、それは出来ません! すみません!
「……!」
どうすれば……!?
私は……彼女は、一体どうすれば救われるのだ!?
「ハピハピするに゙ぃ!」
アンハッピーな、この状況。
止まってしまいそうだった心の車輪が、彼女の声でまた動き出す。
彼女は、今もまだ戦い続けている。
ならば、私も諦めるわけにはいかないのだ。
「……!」
良い、笑顔のために。
「……」
この足の震えから察するに、恐らく、一歩も移動出来ないだろう。
一歩を踏み出し、その足が地に着いた時点で、崩壊する。
むしろ、一歩を踏み出そうと片足に力を込めた時点で、そうなる可能性が高い。
今も、ダムが決壊していないのが不思議な位だ。
「うぇへへ……!」
そうなっていないのは、私がここに……スカートの中に居るから。
彼女は、私のため――だけではないだろうが――耐えているのだ。
強靭な意志と、括約筋の大活躍によって。
そんな私に出来る事は……あまりに、少ない。
「……」
スカート中から、出る。
それは、彼女の尊厳を守る一本の細い蜘蛛の糸を切るに等しい行動だ。
私の存在が防波堤となっている現在、それがなくなった時に迎える未来は――脱糞。
それも、彼女を慕う仲間達の前での、壮絶な脱糞だ。
「……」
加えて、確実に誤解される。
私がスカートの中から出た途端の爆発は、
私が中に何らかの爆弾を仕掛けたようにしか見えないからだ。
デスクの下の引き出しから、袋を取り出している間に、スカートの中に入れられただけ。
こう言って、信じてくれる人間が果たしてどれだけ居るだろうか?
「……」
もう一つの選択肢は、諦める。
諦めて、この擬似的な密室の中で、至近距離で、レッツゴーハッピーする。
輝いてぜったい、ははい! だってぜったい、ははい!
元気百倍の未来へ――
――は、無理です! さすがに、それは出来ません! すみません!
「……!」
どうすれば……!?
私は……彼女は、一体どうすれば救われるのだ!?
「ハピハピするに゙ぃ!」
アンハッピーな、この状況。
止まってしまいそうだった心の車輪が、彼女の声でまた動き出す。
彼女は、今もまだ戦い続けている。
ならば、私も諦めるわけにはいかないのだ。
「……!」
良い、笑顔のために。
837:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/19(金) 23:52:40.22 :XNpZWEUzo
「……」
恐らく、勝負は一瞬。
チャンスは、一度切り。
「……」
成功率を高めるため、スカートの中を移動する。
刺激をしないよう、ゆっくりと。
気づかれないよう、ひっそりと。
「……」
暗闇に目が慣れてきたため、位置取りは完璧だ。
長身でスタイルの良い彼女の、長い脚と丸い臀部の形がハッキリとわかる。
羨ましい、と、そう思う方も居るかも知れません。
ですが、今の私には、アームストロング砲と、それを運ぶ車輪にしか見えません。
「……」
カサリと、可能な限り音を立てずにビニール袋を広げる。
口の広がったそれを左手で持ち、彼女の尻の少し上の方に位置させた。
そして、右手を足を迂回するようにして前に回し、待機させた。
これで、あとは機を待つのみ。
「が……がん゙ばろうに゙ぃ!」
無謀と言えば、無謀。
だが、この状況下においては、これが最適だと判断した。
これは、勇気。
蛮勇ではなく、紛れもない、勇気ある行動だと言えよう。
「……」
……一瞬。
「……」
一瞬で、前に回した右手を彼女の脚と脚の間に滑り込ませ、
「……」
後ろにセットした袋を掴んで引き抜いた後、
「……」
爆発が、全てビニール袋の中に収まるよう、広げて、覆う。
「……」
この様な、絶望的な選択肢しか選べないのだ。
もしも、アイドルの神に会う機会があったとしたら。
私は、己の全てを拳に乗せて、神に叩きつける事だろう。
「……」
恐らく、勝負は一瞬。
チャンスは、一度切り。
「……」
成功率を高めるため、スカートの中を移動する。
刺激をしないよう、ゆっくりと。
気づかれないよう、ひっそりと。
「……」
暗闇に目が慣れてきたため、位置取りは完璧だ。
長身でスタイルの良い彼女の、長い脚と丸い臀部の形がハッキリとわかる。
羨ましい、と、そう思う方も居るかも知れません。
ですが、今の私には、アームストロング砲と、それを運ぶ車輪にしか見えません。
「……」
カサリと、可能な限り音を立てずにビニール袋を広げる。
口の広がったそれを左手で持ち、彼女の尻の少し上の方に位置させた。
そして、右手を足を迂回するようにして前に回し、待機させた。
これで、あとは機を待つのみ。
「が……がん゙ばろうに゙ぃ!」
無謀と言えば、無謀。
だが、この状況下においては、これが最適だと判断した。
これは、勇気。
蛮勇ではなく、紛れもない、勇気ある行動だと言えよう。
「……」
……一瞬。
「……」
一瞬で、前に回した右手を彼女の脚と脚の間に滑り込ませ、
「……」
後ろにセットした袋を掴んで引き抜いた後、
「……」
爆発が、全てビニール袋の中に収まるよう、広げて、覆う。
「……」
この様な、絶望的な選択肢しか選べないのだ。
もしも、アイドルの神に会う機会があったとしたら。
私は、己の全てを拳に乗せて、神に叩きつける事だろう。
838:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/20(土) 00:23:58.42 :vkkE8umeo
「う、うん……また、後で……に゙ぃ゙!」
どうやら、会話の相手が部屋から出ていくようだ。
勝負の時は、近い。
ドアが開き、閉まった――その一瞬。
いくら彼女とは言え、気が緩むのは避けられないだろう。
「……」
その緩みが――精神が、肉体に影響を及ぼす。
閉じられた砲門と、耐えるためにピッタリと閉じている脚が、開く。
タイミングは、そこしかない。
それを逃せば、死あるのみだ。
――ガチャッ。
「……!」
来る。
大きなウン命の分かれ道が。
――バタンッ。
「!」
右の手刀を両脚の間に滑り込ませ――
「!?」
――手が、脚に当たる感触が無い!?
いや、今はビニール袋を――
――明日を掴め!
「……P……ちゃ、ん……!」
絞り出すような声。
それを聞き、私は全てを察した。
彼女は……私を信じてくれていたのだ。
だからこそ、決壊の瞬間、両脚をあえてパカリと開いたのだ。
私が、彼女を救うための、何らかの手立てを講じている、と。
「にょ――」
……ああ、何と、
「――わぁっ……!」
何と反応して良いか、わからない信頼だと、そう、思います。
「う、うん……また、後で……に゙ぃ゙!」
どうやら、会話の相手が部屋から出ていくようだ。
勝負の時は、近い。
ドアが開き、閉まった――その一瞬。
いくら彼女とは言え、気が緩むのは避けられないだろう。
「……」
その緩みが――精神が、肉体に影響を及ぼす。
閉じられた砲門と、耐えるためにピッタリと閉じている脚が、開く。
タイミングは、そこしかない。
それを逃せば、死あるのみだ。
――ガチャッ。
「……!」
来る。
大きなウン命の分かれ道が。
――バタンッ。
「!」
右の手刀を両脚の間に滑り込ませ――
「!?」
――手が、脚に当たる感触が無い!?
いや、今はビニール袋を――
――明日を掴め!
「……P……ちゃ、ん……!」
絞り出すような声。
それを聞き、私は全てを察した。
彼女は……私を信じてくれていたのだ。
だからこそ、決壊の瞬間、両脚をあえてパカリと開いたのだ。
私が、彼女を救うための、何らかの手立てを講じている、と。
「にょ――」
……ああ、何と、
「――わぁっ……!」
何と反応して良いか、わからない信頼だと、そう、思います。
839:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/20(土) 00:45:48.36 :vkkE8umeo
・ ・ ・
「……」
ナイアガラの滝を皆さんは御存知だろうか。
世界三大瀑布の一つでありながら、周辺の観光地化の臭いためか、
世界遺産に登録されていない、有名な臭う滝だ。
しかし、自然の雄大……大……雄大さを! 感じられ、う、むっ!
「……」
スカートの中に漂う異臭は、尋常では無い。
可能な限りビニール袋で封印を施しているのだが、
完全にその臭いを閉じ込めるには至っていない。
おおっ……ぐ、うおおっ……!
「……」
すぐにでも、ここから出たい。
が、
「そっ……そうだにぃ!」
……居るのだ。
私と、彼女以外にも、人が!
事が済み、いざスカートから出ようとした時、ドアが開く音がした。
そして、入ってきて――会話が、始まってしまった。
誰かはわからないが……それが、良いだろう。
私は、誰かを憎いとは思いたくありませんから。
「……」
だから、今はただ待とう。
「……」
何故か、目頭が熱くなった。
きっと、臭いが目にしみたのだ、と。
……そういう事に、しておきます。
おわり
・ ・ ・
「……」
ナイアガラの滝を皆さんは御存知だろうか。
世界三大瀑布の一つでありながら、周辺の観光地化の臭いためか、
世界遺産に登録されていない、有名な臭う滝だ。
しかし、自然の雄大……大……雄大さを! 感じられ、う、むっ!
「……」
スカートの中に漂う異臭は、尋常では無い。
可能な限りビニール袋で封印を施しているのだが、
完全にその臭いを閉じ込めるには至っていない。
おおっ……ぐ、うおおっ……!
「……」
すぐにでも、ここから出たい。
が、
「そっ……そうだにぃ!」
……居るのだ。
私と、彼女以外にも、人が!
事が済み、いざスカートから出ようとした時、ドアが開く音がした。
そして、入ってきて――会話が、始まってしまった。
誰かはわからないが……それが、良いだろう。
私は、誰かを憎いとは思いたくありませんから。
「……」
だから、今はただ待とう。
「……」
何故か、目頭が熱くなった。
きっと、臭いが目にしみたのだ、と。
……そういう事に、しておきます。
おわり
843:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/20(土) 20:07:36.47 :vkkE8umeo
「……」
毎日が、面白くねえ。
別に、つまらねえって事は無い。
ただ、面白くねえんだ。
「……」
聖羅服を着て、ガッコに行って。
そういう、所謂『当たり前』ってヤツが、どうも性に合わねえ。
勉強が嫌いなんて、そんなしみったれた理由じゃないぜ?
むしろ、そっちは割と得意……まあ、柄じゃねえけどな。
「……」
こうやって、教室の机に大人しく座って、空を見てると。
あの青空が、太陽が、「なんで大人しくしてんだ?」って言ってる気がすんだよ。
別に、好きで大人しくしてんじゃねえっての。
教室で、無意味に暴れるほど、アタシはガキじゃねえってんだ。
「……」
胸の奥で、何かが燻ってる。
マジになれるだけの何かを求めて、爆発寸前だ。
それが毎日続いてるのが、今のアタシだ。
どうだ? 少しは、アタシの気持ちってもんがわかったか?
「……」
流行りの何かなんて、興味ねえ。
そんなもんじゃ、アタシの気合を受け止められねえ。
――何か、ねえのかよ。
――アタシの全部……ありったけをぶつけられる、何かが。
「――……井! 向井拓海!」
チッ……うるせえな。
でけえ声出すんじゃねえよ。
「居るよ。見りゃわかんだろ」
教壇の上に立つ先公を見て、言う。
……別に、睨んじゃいねえし、無視してたわけでもねえっての。
アタシだって、考え事して上の空になる時もあんだよ。
「……」
毎日が、面白くねえ。
別に、つまらねえって事は無い。
ただ、面白くねえんだ。
「……」
聖羅服を着て、ガッコに行って。
そういう、所謂『当たり前』ってヤツが、どうも性に合わねえ。
勉強が嫌いなんて、そんなしみったれた理由じゃないぜ?
むしろ、そっちは割と得意……まあ、柄じゃねえけどな。
「……」
こうやって、教室の机に大人しく座って、空を見てると。
あの青空が、太陽が、「なんで大人しくしてんだ?」って言ってる気がすんだよ。
別に、好きで大人しくしてんじゃねえっての。
教室で、無意味に暴れるほど、アタシはガキじゃねえってんだ。
「……」
胸の奥で、何かが燻ってる。
マジになれるだけの何かを求めて、爆発寸前だ。
それが毎日続いてるのが、今のアタシだ。
どうだ? 少しは、アタシの気持ちってもんがわかったか?
「……」
流行りの何かなんて、興味ねえ。
そんなもんじゃ、アタシの気合を受け止められねえ。
――何か、ねえのかよ。
――アタシの全部……ありったけをぶつけられる、何かが。
「――……井! 向井拓海!」
チッ……うるせえな。
でけえ声出すんじゃねえよ。
「居るよ。見りゃわかんだろ」
教壇の上に立つ先公を見て、言う。
……別に、睨んじゃいねえし、無視してたわけでもねえっての。
アタシだって、考え事して上の空になる時もあんだよ。
844:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/20(土) 20:39:35.97 :vkkE8umeo
・ ・ ・
「……」
単車に乗って、走ってる時。
風の抵抗を受けて、それを切り裂いて。
まるで、アタシ自身が風になったと思えるくらい、かっとばす。
アタシは、その瞬間が一番好きだ。
「……」
頭ん中が空っぽになって、全てを忘れさせてくれる。
胸の奥で燻ってる何かも、置き去りにして、ぶっちぎれる。
ずっと走り続けられるとしたら、
それが多分、今のアタシが考えらえる最高の生き方だ。
「……」
……けどよ、さすがにそりゃ無理だ。
事故って死にてえ訳じゃねえしな。
「オイ! 何ボケっとしてんだ、あぁ!?」
眼の前の、頭の悪ぃ奴らの中から、一際頭の悪そうなのがズイと一歩前に出た。
目つきは鋭く、真っ直ぐにアタシにガンくれてきやがる。
それを見て、アタシの周囲の仲間たちが色めきだった。
オイオイ、慌てんじゃねえよ。
「キャンキャンうるせえんだよ、コラ」
先陣は、アタシが切る。
「んだとぉ!?」
相手が、一歩近づいた。
「うるせえって言ってんだろ」
金の刺繍が入った紫色の特攻服を翻し、アタシも前に出る。
きつく巻いたサラシが、高ぶる気合と一緒に身を引き締めてくれる。
ビシッとキメたこの格好が、アタシの勝負服だ。
あぁ? 何の勝負かって?
「特攻隊長――……向井拓海」
決まってんだろ。
喧嘩だよ、喧嘩。
・ ・ ・
「……」
単車に乗って、走ってる時。
風の抵抗を受けて、それを切り裂いて。
まるで、アタシ自身が風になったと思えるくらい、かっとばす。
アタシは、その瞬間が一番好きだ。
「……」
頭ん中が空っぽになって、全てを忘れさせてくれる。
胸の奥で燻ってる何かも、置き去りにして、ぶっちぎれる。
ずっと走り続けられるとしたら、
それが多分、今のアタシが考えらえる最高の生き方だ。
「……」
……けどよ、さすがにそりゃ無理だ。
事故って死にてえ訳じゃねえしな。
「オイ! 何ボケっとしてんだ、あぁ!?」
眼の前の、頭の悪ぃ奴らの中から、一際頭の悪そうなのがズイと一歩前に出た。
目つきは鋭く、真っ直ぐにアタシにガンくれてきやがる。
それを見て、アタシの周囲の仲間たちが色めきだった。
オイオイ、慌てんじゃねえよ。
「キャンキャンうるせえんだよ、コラ」
先陣は、アタシが切る。
「んだとぉ!?」
相手が、一歩近づいた。
「うるせえって言ってんだろ」
金の刺繍が入った紫色の特攻服を翻し、アタシも前に出る。
きつく巻いたサラシが、高ぶる気合と一緒に身を引き締めてくれる。
ビシッとキメたこの格好が、アタシの勝負服だ。
あぁ? 何の勝負かって?
「特攻隊長――……向井拓海」
決まってんだろ。
喧嘩だよ、喧嘩。
845:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/20(土) 21:08:56.09 :vkkE8umeo
「テメエの名前なんて聞いちゃいねえよ!」
アタシが名乗っても、目の前の奴はビビらなかった。
地元じゃ、そこそこ名前が知られてきたと思ってたんだがよ。
アタシ達みたいな奴の間では、だけどな。
「――はっ! 上等だ!」
アタシにビビらないってのは、最高だ。
ビビってる相手に拳を振るうのは、ダセえからな。
ブリーチした髪の生え際が黒く、プリンになっちまうよりも。
喧嘩する気の無い相手をボコるのが、一番ダセえ。
「来いよ、プリン頭」
ニイッと笑って、言い放つ。
「……ブッ殺す!」
それに、目の前のコイツは応えた。
相手の、頭の悪ぃ奴らの中の、一番頭の悪ぃ奴。
そしてアタシは、アタシらの中で、一番頭が悪ぃ。
先ずは、頭の悪ぃテッペン同士のタイマンだ。
それがアタシらの流儀ってやつだ。
「――オイ! なんだテメエ!」
そんな、良い喧嘩に邪魔が入りやがったらしい。
向こうのチームの背後から、誰かが来たみてえだ。
ポリじゃあねえみたいだが……チッ!
これからって時に、邪魔すんじゃ――
「GURUUUUOOOOOOOO!!」
――……あ?
んだよ、今の……叫び声は?
人間が出すようなもんじゃ……ねえ。
まるで……獣の咆哮。
「GUUUURUUOOOOOOAAAAA!!」
また、空気が震えた。
アタシらは、頭が悪ぃなりに、わかっちまった。
何かヤベエのが来やがった、ってよ。
「テメエの名前なんて聞いちゃいねえよ!」
アタシが名乗っても、目の前の奴はビビらなかった。
地元じゃ、そこそこ名前が知られてきたと思ってたんだがよ。
アタシ達みたいな奴の間では、だけどな。
「――はっ! 上等だ!」
アタシにビビらないってのは、最高だ。
ビビってる相手に拳を振るうのは、ダセえからな。
ブリーチした髪の生え際が黒く、プリンになっちまうよりも。
喧嘩する気の無い相手をボコるのが、一番ダセえ。
「来いよ、プリン頭」
ニイッと笑って、言い放つ。
「……ブッ殺す!」
それに、目の前のコイツは応えた。
相手の、頭の悪ぃ奴らの中の、一番頭の悪ぃ奴。
そしてアタシは、アタシらの中で、一番頭が悪ぃ。
先ずは、頭の悪ぃテッペン同士のタイマンだ。
それがアタシらの流儀ってやつだ。
「――オイ! なんだテメエ!」
そんな、良い喧嘩に邪魔が入りやがったらしい。
向こうのチームの背後から、誰かが来たみてえだ。
ポリじゃあねえみたいだが……チッ!
これからって時に、邪魔すんじゃ――
「GURUUUUOOOOOOOO!!」
――……あ?
んだよ、今の……叫び声は?
人間が出すようなもんじゃ……ねえ。
まるで……獣の咆哮。
「GUUUURUUOOOOOOAAAAA!!」
また、空気が震えた。
アタシらは、頭が悪ぃなりに、わかっちまった。
何かヤベエのが来やがった、ってよ。
846:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/20(土) 21:38:49.32 :vkkE8umeo
「……!」
人垣が、割れていく。
得体の知れねえ何かから、遠ざかるように。
そして、見えた。
真っ直ぐ、ゆっくりとこっちに向かってくる――
「GURRRRR……!!」
――ライオンの……怪物が。
「な……何、あれ……?」
アタシに背を向けたプリン頭が、素の声を出しやがった。
さっきまでの気合の入ったもんじゃねえ、可愛いと言っても良い声で。
って、んな事考えてる場合じゃねえだろ!
どう見ても、アイツはヤベえ!
「――オイ! 何ボケっとしてんだ、あぁ!?」
さっき、全く同じ台詞を言われた気がしやがる。
けどよ、さっきとは状況がまるで違う。
アタシらがやろうとしてたのは、喧嘩だ。
アイツが、これからやろうとしてるのは、
「GUUUURROOOOOOOAAAA!!」
一方的な、狩りだ。
「さっさと逃げるんだよ!」
アタシのチームの奴らは、アタシが「逃げろ」と言った事の意味。
特攻隊長、向井拓海がそう言ったことの意味をキッチリわかった。
バイクに乗れば、逃げ切れると思う。
停めてある場所までに追いつかれ、襲われたら……終いだ。
「GURRRRR……!!」
幸か不幸か、チームの皆は標的にされなかった。
アイツは、もう獲物に狙いを定めていた。
ライオンの顔をしてやがるのに、その口元が笑っているように見える。
いや……あれは、笑っていやがるに違いねえ。
「……上等だよ」
ビビったら、負けだ。
狙われてんのは――アタシだ。
「かかって来い、オラァ!」
アタシは、きっとあの怪物……いや、半分人の形をしてるから、怪人だな。
怪人に、殺されるだろう。
「……!」
人垣が、割れていく。
得体の知れねえ何かから、遠ざかるように。
そして、見えた。
真っ直ぐ、ゆっくりとこっちに向かってくる――
「GURRRRR……!!」
――ライオンの……怪物が。
「な……何、あれ……?」
アタシに背を向けたプリン頭が、素の声を出しやがった。
さっきまでの気合の入ったもんじゃねえ、可愛いと言っても良い声で。
って、んな事考えてる場合じゃねえだろ!
どう見ても、アイツはヤベえ!
「――オイ! 何ボケっとしてんだ、あぁ!?」
さっき、全く同じ台詞を言われた気がしやがる。
けどよ、さっきとは状況がまるで違う。
アタシらがやろうとしてたのは、喧嘩だ。
アイツが、これからやろうとしてるのは、
「GUUUURROOOOOOOAAAA!!」
一方的な、狩りだ。
「さっさと逃げるんだよ!」
アタシのチームの奴らは、アタシが「逃げろ」と言った事の意味。
特攻隊長、向井拓海がそう言ったことの意味をキッチリわかった。
バイクに乗れば、逃げ切れると思う。
停めてある場所までに追いつかれ、襲われたら……終いだ。
「GURRRRR……!!」
幸か不幸か、チームの皆は標的にされなかった。
アイツは、もう獲物に狙いを定めていた。
ライオンの顔をしてやがるのに、その口元が笑っているように見える。
いや……あれは、笑っていやがるに違いねえ。
「……上等だよ」
ビビったら、負けだ。
狙われてんのは――アタシだ。
「かかって来い、オラァ!」
アタシは、きっとあの怪物……いや、半分人の形をしてるから、怪人だな。
怪人に、殺されるだろう。
847:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/20(土) 22:09:59.96 :vkkE8umeo
「なっ!? お前!?」
プリン頭が、驚いた顔でこっちを見てきやがる。
んな暇があったら、テメエもさっさと逃げろってんだよ。
まとめて殺される理由なんてねえんだ。
ビビって逃げらんねえって訳でも無いだろうが。
「アイツは、アタシを狙ってる」
アイツの細められた目は、楽しそうに笑ってる証拠だ。
ヤロウ、やっぱり笑ってやがったな。
ふざけんじゃねえ。
アタシは、特攻隊長――向井拓海だぞ。
「テメエは逃げろ」
ライオンの怪人から、目を逸らさずに言った。
目を逸らした瞬間、アイツは襲いかかってくるだろう。
何が目的か、全部はわからねえ。
アタシをやった後……チームの皆を襲わないとも限らねえからな。
「ケツは、アタシが持つ」
特攻隊長がケツ持ちたぁ、何とも締まらねえな、オイ。
「ふっ……ざけんなよ!」
「!? オイ!」
プリン頭が叫び声を上げ、アタシの特攻服の袖を掴んだ。
完全に、予想外の行動。
この馬鹿は、アタシをこの場から連れ出そうとしやがったんだ。
そのせいで――
「GUUURUOOOOOOOOAAAA!!」
――ライオンの怪人の標的が、アタシから移った。
無防備に背を向けて、走り出そうとしてる……プリン頭に。
「やめ――」
止めようと思って声を上げた所で、それは何の壁にもなりやしねえ。
迫りくる巨体も、鋭い爪も、牙も、何一つ止められねえ。
ライオンの怪人が右腕を振り下ろすのが、やけにゆっくるに感じる。
やられる。
そう、思った時――
『ぴにゃぴっぴ』
――そんな、低い、間抜けな鳴き声と共に現れた巨大な黒い塊が、
「GUUUURRROOOOOO!?」
ライオンの怪人を撥ね飛ばした。
「なっ!? お前!?」
プリン頭が、驚いた顔でこっちを見てきやがる。
んな暇があったら、テメエもさっさと逃げろってんだよ。
まとめて殺される理由なんてねえんだ。
ビビって逃げらんねえって訳でも無いだろうが。
「アイツは、アタシを狙ってる」
アイツの細められた目は、楽しそうに笑ってる証拠だ。
ヤロウ、やっぱり笑ってやがったな。
ふざけんじゃねえ。
アタシは、特攻隊長――向井拓海だぞ。
「テメエは逃げろ」
ライオンの怪人から、目を逸らさずに言った。
目を逸らした瞬間、アイツは襲いかかってくるだろう。
何が目的か、全部はわからねえ。
アタシをやった後……チームの皆を襲わないとも限らねえからな。
「ケツは、アタシが持つ」
特攻隊長がケツ持ちたぁ、何とも締まらねえな、オイ。
「ふっ……ざけんなよ!」
「!? オイ!」
プリン頭が叫び声を上げ、アタシの特攻服の袖を掴んだ。
完全に、予想外の行動。
この馬鹿は、アタシをこの場から連れ出そうとしやがったんだ。
そのせいで――
「GUUURUOOOOOOOOAAAA!!」
――ライオンの怪人の標的が、アタシから移った。
無防備に背を向けて、走り出そうとしてる……プリン頭に。
「やめ――」
止めようと思って声を上げた所で、それは何の壁にもなりやしねえ。
迫りくる巨体も、鋭い爪も、牙も、何一つ止められねえ。
ライオンの怪人が右腕を振り下ろすのが、やけにゆっくるに感じる。
やられる。
そう、思った時――
『ぴにゃぴっぴ』
――そんな、低い、間抜けな鳴き声と共に現れた巨大な黒い塊が、
「GUUUURRROOOOOO!?」
ライオンの怪人を撥ね飛ばした。
848:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/20(土) 22:46:39.87 :vkkE8umeo
「なっ、何だ!? 何が……」
「早く!」
強引に腕を引かれ、確認する暇を与えられなかった。
チラリと見えたが、あの黒い塊は――バイクだった。
けど、誰も乗っちゃ居なかった。
誰も乗ってないバイクが……まるで、意志があるみてえに、アタシ達を助けた。
「っ!?」
「うおっ!? オイ、何で急に……」
立ち止まってんだ、って言葉を飲み込んだ。
プリン頭が立ち止まった理由が、わかっちまったからよ。
そいつは、すげえ単純な理由。
「……」
アタシ達の正面から、一人の野郎が歩いてきたからだ。
でかくて、無表情で、スーツ姿。
淀みなく、何の躊躇いもなく、こっちに来やがる。
特攻服を着た、アタシらに向かって。
「……」
普通だったら、避けるような格好をしてるのはわかってんだぜ。
だってのに、あの野郎は、真っ直ぐに。
「っ……!」
さっきの怪人を見てなきゃ、当たり前に喧嘩を売ってたかもしれねえ。
……だけどよ、なんつーか、空気がちげえんだ。
でなきゃ、こんなにヒリついた感じはしねえ。
「――失礼」
低い、低い声。
周りには、誰も居ねえ。
明らかに、アタシらに向かって放たれた言葉。
それを聞いて、アタシもプリン頭も身構えた。
「っ……!」
「……」
そんな、身構えたアタシ達の横を野郎は通り過ぎて行った。
まるで、何事も無かったみてえに。
……って!
「まっ、待てよ! オイ!」
そっちには……怪人が居んだよ!
「なっ、何だ!? 何が……」
「早く!」
強引に腕を引かれ、確認する暇を与えられなかった。
チラリと見えたが、あの黒い塊は――バイクだった。
けど、誰も乗っちゃ居なかった。
誰も乗ってないバイクが……まるで、意志があるみてえに、アタシ達を助けた。
「っ!?」
「うおっ!? オイ、何で急に……」
立ち止まってんだ、って言葉を飲み込んだ。
プリン頭が立ち止まった理由が、わかっちまったからよ。
そいつは、すげえ単純な理由。
「……」
アタシ達の正面から、一人の野郎が歩いてきたからだ。
でかくて、無表情で、スーツ姿。
淀みなく、何の躊躇いもなく、こっちに来やがる。
特攻服を着た、アタシらに向かって。
「……」
普通だったら、避けるような格好をしてるのはわかってんだぜ。
だってのに、あの野郎は、真っ直ぐに。
「っ……!」
さっきの怪人を見てなきゃ、当たり前に喧嘩を売ってたかもしれねえ。
……だけどよ、なんつーか、空気がちげえんだ。
でなきゃ、こんなにヒリついた感じはしねえ。
「――失礼」
低い、低い声。
周りには、誰も居ねえ。
明らかに、アタシらに向かって放たれた言葉。
それを聞いて、アタシもプリン頭も身構えた。
「っ……!」
「……」
そんな、身構えたアタシ達の横を野郎は通り過ぎて行った。
まるで、何事も無かったみてえに。
……って!
「まっ、待てよ! オイ!」
そっちには……怪人が居んだよ!
849:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/20(土) 23:06:47.70 :vkkE8umeo
「すみません。急いでいるので……」
男は、チラッとだけこちらを振り返ってそう言うと、
また、ライオンの怪人が居る方へ歩き出した。
普段だったら、アタシから逃げたと思う所だ。
でもよ、あれは……そうじゃねえ。
「オイ! もう放っとけって! でなきゃ――」
プリン頭が、アタシの袖を引いた。
その時、
「GUUUURRRUOOOOOOO!!」
聞きたくなかった咆哮が、聞こえやがった。
アタシの視線の先。
スーツ姿の野郎の向こうから、ライオンの怪人が走ってきてやがる。
……だってのに、
「……」
あの野郎、ボサッと突っ立ってやがる!
明らかにヤベエ状況だってのに、どうして何の反応もしねえんだよ!
『ぴにゃ~』
さっきも聞いた、低い、間抜けな鳴き声。
鳴き声と共に、巨大な黒いバイクが姿を現した。
最初の時に比べて、その鳴き声は申し訳なさそうだ。
「ピニャコラッター、彼女達を安全な所へ」
ぴ、ぴにゃこらったー?
『ぴにゃぴっぴ!』
任せろと言わんばかりの、気合の入った鳴き声。
巨大な黒いバイクは、アタシ達の前にピタリと停車し、
『ぴにゃ~』
また、一声鳴いた。
「の……乗れっつってんのか……?」
『ぴにゃっ!』
……オイオイ、マジかよ。
「すみません。急いでいるので……」
男は、チラッとだけこちらを振り返ってそう言うと、
また、ライオンの怪人が居る方へ歩き出した。
普段だったら、アタシから逃げたと思う所だ。
でもよ、あれは……そうじゃねえ。
「オイ! もう放っとけって! でなきゃ――」
プリン頭が、アタシの袖を引いた。
その時、
「GUUUURRRUOOOOOOO!!」
聞きたくなかった咆哮が、聞こえやがった。
アタシの視線の先。
スーツ姿の野郎の向こうから、ライオンの怪人が走ってきてやがる。
……だってのに、
「……」
あの野郎、ボサッと突っ立ってやがる!
明らかにヤベエ状況だってのに、どうして何の反応もしねえんだよ!
『ぴにゃ~』
さっきも聞いた、低い、間抜けな鳴き声。
鳴き声と共に、巨大な黒いバイクが姿を現した。
最初の時に比べて、その鳴き声は申し訳なさそうだ。
「ピニャコラッター、彼女達を安全な所へ」
ぴ、ぴにゃこらったー?
『ぴにゃぴっぴ!』
任せろと言わんばかりの、気合の入った鳴き声。
巨大な黒いバイクは、アタシ達の前にピタリと停車し、
『ぴにゃ~』
また、一声鳴いた。
「の……乗れっつってんのか……?」
『ぴにゃっ!』
……オイオイ、マジかよ。
850:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/20(土) 23:29:16.49 :vkkE8umeo
「で、でけえな、オイ……」
プリン頭が、おずおずと車体に跨った。
あまりにもでかい車体に、乗るってーか、載せられてやがる。
いや、まあ……今の場合、その方が合ってんだろうけどよ。
「ホラ! お前も!」
『ぴにゃ~』
差し出された、手。
乗れという、鳴き声。
「……アタシは良い、行け」
……だけどよ、しょうがねえだろ。
「GUUUUURROOOOOOOOO!!」
見たくなっちまってんだ。
「……」
ライオンの怪人の前に立ちはだかる、あの野郎が何をするのか。
「行けっ!」
それに、人に言われた通りに行動するなんて、まっぴらゴメンだ。
んな器用な真似が出来るんだったら、ヤンキーなんてやっちゃいねえ。
胸の奥で燻ってる、何か。
その何かが、叫んでんだよ!
ここが、気合の入れ所だってな!
「……お前、とんでもねえ馬鹿だな」
プリン頭が、信じられないという顔をした。
「うるせえ、ブッ殺すぞ」
わかってんだよ、んな事ぁよ。
「で、でけえな、オイ……」
プリン頭が、おずおずと車体に跨った。
あまりにもでかい車体に、乗るってーか、載せられてやがる。
いや、まあ……今の場合、その方が合ってんだろうけどよ。
「ホラ! お前も!」
『ぴにゃ~』
差し出された、手。
乗れという、鳴き声。
「……アタシは良い、行け」
……だけどよ、しょうがねえだろ。
「GUUUUURROOOOOOOOO!!」
見たくなっちまってんだ。
「……」
ライオンの怪人の前に立ちはだかる、あの野郎が何をするのか。
「行けっ!」
それに、人に言われた通りに行動するなんて、まっぴらゴメンだ。
んな器用な真似が出来るんだったら、ヤンキーなんてやっちゃいねえ。
胸の奥で燻ってる、何か。
その何かが、叫んでんだよ!
ここが、気合の入れ所だってな!
「……お前、とんでもねえ馬鹿だな」
プリン頭が、信じられないという顔をした。
「うるせえ、ブッ殺すぞ」
わかってんだよ、んな事ぁよ。
851:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/20(土) 23:59:02.54 :vkkE8umeo
「GUUURRRRR……!!」
ライオンの怪人が、唸り声を上げている。
怪人と、アタシの丁度中間の位置に立つ野郎は、
右手を首筋にやって、少しだけ背を丸めた。
……んだよ、文句あんなら口で言え、口で!
「仕方……ありませんね」
野郎は、上着のボタンをプチリプチリと外し、上着を翻し言った。
振り返った腰元には、大きな銀色のベルトが輝いていた。
「貴女のお名前を聞いても、よろしいですか?」
そう言いながら、右のポケットからスマートフォンを取り出した。
それ……この状況で聞くことか?
だけど、まあ……聞かれたからには、
「特攻隊長――向井拓海だよ!」
ビシッと、笑って答えねえとな!
ハッ! んだよ、その顔?
怪人には驚かねえのに、目を丸くしやがって!
「……良い、笑顔です」
野郎はそう言うと、スマートフォンのホームボタンを素早く三回押し、画面を起動。
流れるように、暗証番号を画面を見ずに打ち込んでいった。
――3――4――6!
『LIVE――』
スマートフォンから、女の声が聞こえた。
そして、野郎はそれを銀色のベルトにかざし、
「変身ッ!」
そう、言った。
『――START!』
野郎の体を光が包み込んでいく。
「GUURRRROOOOOOO!!」
ライオンの怪人が、その光に飛びかかった。
圧倒的な力で振り下ろされただろう右腕は――
「……お待たせしました」
――黒い、鋼鉄の手で受け止められていた。
「GUUURRRRR……!!」
ライオンの怪人が、唸り声を上げている。
怪人と、アタシの丁度中間の位置に立つ野郎は、
右手を首筋にやって、少しだけ背を丸めた。
……んだよ、文句あんなら口で言え、口で!
「仕方……ありませんね」
野郎は、上着のボタンをプチリプチリと外し、上着を翻し言った。
振り返った腰元には、大きな銀色のベルトが輝いていた。
「貴女のお名前を聞いても、よろしいですか?」
そう言いながら、右のポケットからスマートフォンを取り出した。
それ……この状況で聞くことか?
だけど、まあ……聞かれたからには、
「特攻隊長――向井拓海だよ!」
ビシッと、笑って答えねえとな!
ハッ! んだよ、その顔?
怪人には驚かねえのに、目を丸くしやがって!
「……良い、笑顔です」
野郎はそう言うと、スマートフォンのホームボタンを素早く三回押し、画面を起動。
流れるように、暗証番号を画面を見ずに打ち込んでいった。
――3――4――6!
『LIVE――』
スマートフォンから、女の声が聞こえた。
そして、野郎はそれを銀色のベルトにかざし、
「変身ッ!」
そう、言った。
『――START!』
野郎の体を光が包み込んでいく。
「GUURRRROOOOOOO!!」
ライオンの怪人が、その光に飛びかかった。
圧倒的な力で振り下ろされただろう右腕は――
「……お待たせしました」
――黒い、鋼鉄の手で受け止められていた。
852:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/21(日) 00:40:51.78 :4eXdRCL1o
「……」
さっきまでは、普通のスーツ姿だった。
今の野郎は、スーツみてえな色合いの鎧に全身を覆われてやがる。
黒を基調とした鎧には白い箇所もあって、胸元にはピンクとブルー、イエローの宝石が。
フルフェイスの頭は、さっきの黒いバイクに似ていた。
「GUUURRRRR……!?」
「……」
腰を入れてもねえ、ただ、手を上げてるだけ。
だってのに、ライオンの怪人の腕を掴んで離さず、微塵も動かない。
「GURUUUOOOAAA!!」
ライオンの怪人が、左腕を振りかぶった――が、
「――企画!」
それよりも早く、野郎のピンク色の光を纏った右の拳が、
軌跡を描きながらライオンの怪人の腹にぶち込まれた。
「GUUUUUOOO……!?」
『Cute!!』
腹パンに、ライオンの怪人の体が折れ曲がった。
無防備になったライオンの怪人の頭に、
「――検討中です!」
ブルーの光を纏った右足による、ハイキック。
『CooL!!』
綺麗に決まったそれは、ライオンの怪人の体を吹き飛ばした。
離れた、距離。
野郎は、一瞬でその距離を詰め、
「……!」
再び襲いかかろうと、鋭い牙が並ぶ巨大な口を開けていたライオン怪人の、
その、口の中に左手を差し入れた。
「せめて!」
イエローの光が、ライオンの怪人の後頭部を貫いて溢れ出した。
『Passioooooooon!!』
ライオンの怪人の巨体が、光の粒子になって消えていく。
「……名刺だけでも」
『LIVE SUCCESS!!』
空に登っていく光の粒子を見ながら、アタシは思った。
やっぱ、気合の入れ所だってのは間違いじゃなかった、ってよ。
「……」
さっきまでは、普通のスーツ姿だった。
今の野郎は、スーツみてえな色合いの鎧に全身を覆われてやがる。
黒を基調とした鎧には白い箇所もあって、胸元にはピンクとブルー、イエローの宝石が。
フルフェイスの頭は、さっきの黒いバイクに似ていた。
「GUUURRRRR……!?」
「……」
腰を入れてもねえ、ただ、手を上げてるだけ。
だってのに、ライオンの怪人の腕を掴んで離さず、微塵も動かない。
「GURUUUOOOAAA!!」
ライオンの怪人が、左腕を振りかぶった――が、
「――企画!」
それよりも早く、野郎のピンク色の光を纏った右の拳が、
軌跡を描きながらライオンの怪人の腹にぶち込まれた。
「GUUUUUOOO……!?」
『Cute!!』
腹パンに、ライオンの怪人の体が折れ曲がった。
無防備になったライオンの怪人の頭に、
「――検討中です!」
ブルーの光を纏った右足による、ハイキック。
『CooL!!』
綺麗に決まったそれは、ライオンの怪人の体を吹き飛ばした。
離れた、距離。
野郎は、一瞬でその距離を詰め、
「……!」
再び襲いかかろうと、鋭い牙が並ぶ巨大な口を開けていたライオン怪人の、
その、口の中に左手を差し入れた。
「せめて!」
イエローの光が、ライオンの怪人の後頭部を貫いて溢れ出した。
『Passioooooooon!!』
ライオンの怪人の巨体が、光の粒子になって消えていく。
「……名刺だけでも」
『LIVE SUCCESS!!』
空に登っていく光の粒子を見ながら、アタシは思った。
やっぱ、気合の入れ所だってのは間違いじゃなかった、ってよ。
854:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/21(日) 01:04:51.94 :4eXdRCL1o
「……」
パキン、と音を立てて、野郎の纏っていた鎧が光の粒子になり、消えた。
外れていたスーツの上着のボタンを留めるその姿は、
さっきまでの戦いが無かったかのように、落ち着いていやがる。
野郎は、身だしなみを整えると、アタシに向かって歩いてきた。
「向井、拓海さん……でしたか」
でけえ。
目の前に立たれると、身長差で見上げる形になっちまう。
でもよ、そんなのはゴメンだ。
顎を引いて、腕を組み、気合を入れて両脚を伸ばして、立つ。
「あぁ、そうだよ」
さっきのヤツは、何だ?
テメエは、何者だ?
全部、聞かせてくれんだろうな。
じゃなきゃ、承知しねえぞ、オラ!
「私は……こういう者です」
野郎は、胸ポケットから小さなケースを取り出すと、
中から一枚の紙を抜き取って、両手でそれを差し出してきた。
……んだよ、コレ?
それを右手でむしり取り、見る。
「……名刺?」
346プロダクション?
プロデューサー?
「向井さん。貴女は、今、楽しいですか?」
低い声で、そんな事を言われた。
楽しくは……無い。
でも、だから何だってんだよ?
テメエには、関係ねえだろうが。
「アイドルに、興味はありませんか?」
……は? オイ、今何つった?
……アイドル?
「っ!?」
手元の名刺を確認すると、書いてありやがった。
アイドル事業部……ってお前、まさか!
「アタシをスカウトしてんのか!?」
何なんだ……何なんだよ、この馬鹿野郎は!
おわり
「……」
パキン、と音を立てて、野郎の纏っていた鎧が光の粒子になり、消えた。
外れていたスーツの上着のボタンを留めるその姿は、
さっきまでの戦いが無かったかのように、落ち着いていやがる。
野郎は、身だしなみを整えると、アタシに向かって歩いてきた。
「向井、拓海さん……でしたか」
でけえ。
目の前に立たれると、身長差で見上げる形になっちまう。
でもよ、そんなのはゴメンだ。
顎を引いて、腕を組み、気合を入れて両脚を伸ばして、立つ。
「あぁ、そうだよ」
さっきのヤツは、何だ?
テメエは、何者だ?
全部、聞かせてくれんだろうな。
じゃなきゃ、承知しねえぞ、オラ!
「私は……こういう者です」
野郎は、胸ポケットから小さなケースを取り出すと、
中から一枚の紙を抜き取って、両手でそれを差し出してきた。
……んだよ、コレ?
それを右手でむしり取り、見る。
「……名刺?」
346プロダクション?
プロデューサー?
「向井さん。貴女は、今、楽しいですか?」
低い声で、そんな事を言われた。
楽しくは……無い。
でも、だから何だってんだよ?
テメエには、関係ねえだろうが。
「アイドルに、興味はありませんか?」
……は? オイ、今何つった?
……アイドル?
「っ!?」
手元の名刺を確認すると、書いてありやがった。
アイドル事業部……ってお前、まさか!
「アタシをスカウトしてんのか!?」
何なんだ……何なんだよ、この馬鹿野郎は!
おわり
コメント 1
コメント一覧 (1)
>武内P「……ただ、話をしたいと思ったからだ、と……?」
凛「プロデューサー…腹を割って話そうよ」
アーニャ「カメラ…回します…!」
武内P「い、いえ!私は別な不満は何もありません…!問題なし、ノープロブレムですので…!」
森きのこ
がしました