六花「今そういうツッコミいいから」

内海「あ、はい」

六花「さすがに家から女の子出てくるのはアウトだよ。完全にアウト」

内海「いやさぁ……怒るのも分かるけど、親戚が来てたみたいな考えには及ばないわけ」

六花「あっ、なるほど……。確かに親戚が遠くにいるみたいな話してたっけ……。じゃあもしかして？」

内海「いや違うけど」

六花「……ちっ」

内海「し、舌打ち？」

裕太「……」ｶﾞﾀｶﾞﾀ

内海「あとさっきから気になってたけどなんで裕太こんなにビビってるんだよ！　同じようなことしか言わないし！」

裕太「ビ、ビビってないからぁ！　ぜ、全然これっぽっちも……！」

六花「親戚でもなんでもない女子高生を家に連れ込んでるのは完全にアウトだよね……？　それもう浮気ってことだよね……？」

裕太「ﾋｨｨｨｨ」

内海「めちゃくちゃビビってるじゃん……」

六花「親戚でもなんでもない女子高生を家に連れ込んでるのは完全にアウトだよね……？　それもう浮気ってことだよね……？」

裕太「ﾋｨｨｨｨ」

内海「めちゃくちゃビビってるじゃん……」

六花「はっすがさぁ、泣いてたんだよ……？　あんまり弱ったとこ見せないはっすがさぁ……！」

内海「それでそんなに怒ってるのか……」

六花「当たり前でしょ！？　友達泣かされてるのに怒らないわけないじゃん！」

裕太「そうだぞ内海」

六花「説明……してくれるよね……？」ｺﾞｺﾞｺﾞ

内海「どっちにしろ機会見つけて説明しようとは思ってたけど……ただ、その前に一つだけ言わせてもらう」

六花「なに？」

内海「こうなったのは裕太と六花さんのせいだからな！　二人が四六時中イチャイチャして離れないせいで俺はもっっっのすごい大変な目にあったんだからな！！！」

六花＆裕太「……はあ！？」

六花「最っっっ低！　浮気した理由を私たちのせいにする気！？　そんな人だと思わなかった！」

内海「俺が女子高生と家から出てきたのは事実だ！　だがなあ、誓って浮気はしてない！」

六花「いやいや無理だから。家に女子高生連れ込んでる時点でアウトだから。彼女持ちの男子がそんなことしてたら……こう！」ｸﾞｼｬｯ！

裕太「ﾋｨｨｨｨ」
裕太（ジャンクが片手で握りつぶされた！）

六花「ここからさぁ、どんな説明なら納得させてくれるわけ？」

内海「新条さん」

裕太＆六花「……え？」

内海「はっすが見たっていう、俺の家から出てきた女子高生。それ新条さん」

裕太「新条さんってあの……新条アカネさん？」

内海「そう、その新条アカネさん」

六花「つまり……あろうことかアカネと浮気してたってこと……？」

内海「ちげーよ！　なんでそうなるんだよ！　新条さんが俺と浮気するためにこの世界に干渉するわけないだろ！」

裕太「確かに」

内海「新条さんが俺に会いにきたのは怪獣案件だよ。真面目に世界を救うために俺に会いにきたんだ」

六花「……なんで私とか裕太じゃなくて内海くんなわけ？」ｺﾞｺﾞｺﾞ

内海「だから！　それが！　二人がイチャイチャしてるせいなんですぅー！」

裕太「？？？」

内海「そりゃ新条さんだって最初はグリッドマンに干渉しようとしたさ。でも今回は怪獣側も悪知恵が働いてたみたいで、直接干渉ができなかったんだ。んで、裕太に接触しようとしたけど、グリッドマンの力が宿ってる裕太にも干渉ができなかった」

六花「なら次は普通私じゃない？」

裕太「そうだぞ内海」

内海「ああ、だから新条さんもそうしようとしたらしいけど……二人、ここ最近ほぼ24時間ずっと一緒にいたろ」

六花「そ、それは……///」
裕太「まあ……そうだけど……///」

内海「そのせいで！　仕方なくって感じで俺の家に来られたんだよ！」

六花「なるほど」

内海「分かるか！？　家帰ったら自分の部屋に初恋の子兼世界の神がいた俺の驚きが！　そんな新条さんに『仕方なく内海くんに会いにきたよ』って言われた悲しみが！」

裕太＆六花「……ごめん」

裕太「でもそういうことなら、内海から俺たちに連絡してくれればよかったのに」

内海「したよ！　二人ともに電話しまくったよ！」

六花「あ、ほんとだ……スマホあんまり見てなかった……」

内海「嘘だろ……スマホ見ないほどイチャイチャしてたのかよ……」

裕太「い、いやでも、それなら家に直接来れば……」

内海「行きづらいわ！　付き合ってる二人が二人とも電話に出ないんだぞ！？　何してるのか分からなくて行けねえよ！」

裕太「べ、別にナニしてるなんて……///」
六花「……///」

内海（うわ行かなくてよかった）

六花「アカネがその後私たちに会いに来ないってことは解決したってこと？」

内海「なんとかな。グリッドナイトやダイナゼノンに協力してもらって怪獣は倒したよ。……まあその後も浮かれポンチ大怪獣とか出てきてすげえ大変だったけど。そこはもう怪獣使いに任せて帰ってきた」

裕太「蓬、大変そう……」

内海「あ、蓬たちにこっちの現状話してきたから、多分次会った時めちゃくちゃいじられるぞ」

六花「最悪……」

内海「しかもその後、連絡取れたグリッドマンから『どうして裕太がアクセプターに答えないのか』に対してめちゃくちゃ気を使って答えるハメになるし」

裕太＆六花「マジでごめん……」

内海「怪獣も倒した、浮かれポンチも任せてきた、グリッドマンにも人間の営みを知ってもらって『さすがに疲れた！　よし、駅前の安いファミレスで打ち上げだー！』っなって新条さんと家からファミレスに向かってたところをはっすが見たんだろうな」

六花「そうだったんだ……」

内海「なにか言うことは？」

裕太＆六花「本当にすみませんでした」

内海「よろしい」

六花「……でも、どうしようか」

裕太「どうするって、なにを？」

六花「はっすのこと。私たちは説明してもらえば分かるけどさ、同じ説明をはっすにするわけにもいかないじゃん？」

内海「そこなんだよな……」

六花「……親戚って話にしちゃう？」

内海「それしかないか……よし、とりあえず今からはっすに説明してくるよ」

六花「ちゃんと安心させてきてね」

内海「ああ、もちろん」

＊＊＊

内海「失敗しました……」

裕太＆六花「なんで！？」

内海「前に『親戚には同い年がいない』って話してたの忘れてた……」

裕太「あちゃあ……」

六花「あ、今はっすからメールが……うわ超病んでる……」

内海「さっきも超キレてたし超泣いてた……」

裕太「そりゃ浮気してるって疑ってるところに嘘の説明されたらね……」

六花「確かに。私がもしはっすの立場だったら……」ｸﾞｼｬｱﾊﾞｷｨ！

裕太「ﾋｨｨｨｨｨｨ」
裕太（ジャンクが粉々に！）

六花「……なら、元カノってことにしちゃう？」

内海「も、元カノ……？」

六花「それなら嘘ついたのも『ちょっと言いにくくて』って説明できるし、家来たのも忘れ物渡してたとかで誤魔化せるし」

内海「でもそれは新条さんに悪い気がするな……」

裕太「勝手に内海の元カノ扱いか……結構ひどいことしてるかも……」

内海「おい」

六花「んー、だめかー」

内海「いや、それでいこう。前に『家こない？』って誘ってもらったことあるし、元カノ扱いくらいなら許してくれるはず」

六花「それ初耳なんだけど」

裕太「内海って新条さんと本当にそんな仲だったの！？」

内海「違う違う。結局家には行かなかったから」

裕太「な、なんだ……」

内海「ただ、もしあの時新条さんの『親いないし……なんならお泊まりする？』って誘いに乗ってたらどうなってだんだろうとは思うな」

裕太「もっとすごい話出てきた！」

六花「その話絶対はっすにしちゃダメだからね！」

内海「するわけないって。……よし、それじゃあもう一回説明しに行ってくるわ！」

＊＊＊

内海「大失敗しました……」

裕太＆六花「なんで！？」

内海「前に『お前が初彼女だよ』って話してたの忘れてた……」

六花「忘れすぎなんだけど！」

内海「しかも焦って家誘われたことも話しちゃった……」

裕太「最悪のパターンじゃん！」

内海「なんで元カノって設定は信じないのに、家誘われたところだけは信じちゃうんだよ……」

六花「はっす、どんな感じだった……？」

内海「……もし今の俺と同じことを裕太がしたら、六花さんならどうなる？」

六花「……」ｸﾞｼｬｱﾊﾞｷｨﾄﾞｺﾞｵ！

裕太「ﾋｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨ」
裕太（ジャンクが……ジャンクがぁ！）

内海「そんな感じだった」

裕太「よく生きて帰って来れたね……」

内海「どんな怪獣より怖かった……」

六花「え、やばっ」

内海「どうした？」

六花「はっすがなみこと一緒に愚痴りにウチ来るって」

内海「俺が今ここにいるのやばすぎるな……！」

六花「と、とりあえず内海くんは帰って！　裕太は……裕太？」

内海「おいどうした？　そんなに考え込んで……」

裕太「……俺に考えがある」

六花「考え？」

裕太「うん。だから内海はこのままここにいてほしい」

内海「だけど……」

裕太「大丈夫、信じて」

内海「……分かった」

六花「は、はっすたち、もう来る！」

内海「だ、大丈夫なのか裕太？　なにか準備する時間とかなさそうだけど」

裕太「もう準備は整ってるよ」

六花＆内海「？」

はっす「ひっく……ぐすっ……」

なみこ「六花ぁーいるー？　……って、え！？　内海きさまぁ！なぜいる！」

内海「貴様って……」

はっす「…………」

なみこ「六花、これはどういうこと……？」

六花「それは……」

裕太「はっすさんとなみこさんに内海と一緒に見てほしいものがあるんだ。それでここにいてもらってる」

なみこ「……ほう。響くん、それならどういうことか説明をーー」

裕太「説明は後で！　行こう、グリッドマン！」
グリッドマン in ジャンク「ああ！」

裕太「アクセス！　フラーッシュ！！！」

六花＆内海「！？」

はっす＆なみこ「え、えええええええええええ！？」

はっす「響くんが……」

なみこ「これ、もしかして演劇の時の……」

グリッドマン（ミニ）「私はハイパーエージェント、グリッドマン」

六花「そ、その前に！」

内海「グリッドマン小さくないか！？」

グリッドマン「出力を調整することで人型サイズになっている」

裕太 in グリッドマン「小さくなるのは結構自由にできるみたい」

なみこ「い、いやいやいやいやいやいや！　六花も内海もなに普通に喋ってるの！？　え、っていうか響くんの声とイケボがこの人……人？から両方聞こえてくるんだけど！」

はっす「？？？」

内海「なんで、怪獣が出たわけでもないのにどうしてグリッドマンが……」

裕太「俺がお願いして来てもらったんだ。やっぱり、新条さんのことは全部話しちゃうのがいいんじゃないかって思って。あとなみこさんだけ仲間はずれは可哀想だし」

内海「でも、そんなことだけのために……」

裕太「そんなこと、じゃないよ。内海が本気で悩んでて、それを俺とグリッドマンだけが解決できるなら力を貸すのは当然だって。ね、グリッドマン」

グリッドマン「その通りだ、内海。私は君に助けてもらってばかりだった。君が困っているなら喜んで力を貸そう」

内海「助けてもらってばっかりって、俺はなんにも……」

グリッドマン「記憶を失い、何も分からない私に寄り添ってくれた。怪獣が現れて怖いはずだったのに、私の友でいてくれた。それがどれだけ心強かったことか」

内海「グリッドマン……！」

グリッドマン「はっす、なみこ。話は裕太から聞いている。どうか信じてほしい、これから内海や六花が君たちに話す物語は、全てこの町で……いや、このユニバースで本当にあったことだ。そしてもう一つ信じてほしい、はっす、内海は君のことを心から愛している」

内海「ちょ、グリッドマン！？」

はっす「…………」

内海「あー、その」

はっす「説明、してくれんだよね……？」

内海「……ああ、するよ。全部話す。俺たちの話を」

内海（それから俺と六花さん、あとはグリッドマンと裕太全員でこれまでの話を全て説明した。グリッドマンのこと、ダイナゼノンのこと、グリッドマンユニバースという劇は俺たちの実話だったこと）

内海（そして、新条さんのことも）

なみこ「え、えー……信じられない話ばっかりだわ。確かにグリッドマン見てからじゃないと嘘つくなってキレてたかも」

六花「まあそりゃそうだよね……」

裕太「俺だって最初は信じられなかったもん」

なみこ「最前線で戦ってたのに」

裕太「だって記憶ないし……」

グリッドマン「すまない……」

裕太「ちがっ、責めてるわけじゃないから！」

内海「っつうわけで、お前が見たのは新条さんなんだよ。後、家に誘われたのは怪獣が見せてた夢の中でだから、現実で誘われたのとはちょっと違ってて」

はっす「それは、まあ、信じるけど……もう一個の方はさ、信じていいわけ？」

内海「もう一個って……あれは、その……」

はっす「…………」

内海「……信じていいよ」

はっす「……もう一声」

内海「ああもう！　だから！　俺はお前のことが大好きで……心から愛してるよ！」

はっす「ふ、ふふっ」

内海「あ、お前っ！」

はっす「笑うつもりはなかったけど……なんかもう信じられないことが起こりすぎて笑えてきちゃった」

内海「まあ……それはそうか」

はっす「ここは作られた世界で……他にも世界があって……しかも一回グリッドマンが宇宙になって……もうほんと、意味分からなすぎ」

内海「……ところで」

はっす「？」

内海「俺だけ恥ずかしい思いするのは不公平だと思わね？」

はっす「……！」

内海「はっすが俺をどう思ってるのかも聞きたいなぁ！」

はっす「ターボ……！」

内海「ターボ言うな」

はっす「……えっと」

内海「ん？」

はっす「私も……あ、愛してる」

裕太＆六花＆なみこ＆新世紀中学生＆ガウマ隊＆グリッドナイト同盟「ひゅーひゅー！」

内海「ちょ、からかうな……って多っ！　なんでこんなに増えてんの！？」

グリッドマン「内海の一大事ということで、できるだけ多くの仲間に集まってもらった」

内海「逆効果！」

グリッドマン「す、すまない内海。私は……」

内海「怒ってない！　怒ってないから！　グリッドマンが凹むとまたユニバースしちゃうから！」

はっす「……ふふっ」

内海（こうして、ものすごい恥ずかしい目にはあったけど、はっすにはちゃんと説明ができた）

内海「めでたしめでたし……かな？」

後日談「恐・怖」

裕太の家

裕太「ただいま〜」

アカネ「おかえり〜、ずいぶん遅かったね」

裕太「内海たちからかってたら、次は俺と六花がターゲットになっちゃってさ……っ！？」

アカネ「へー、あ、ベッド温めておいたよ〜。……一緒に入る？」

裕太「し、新条さん！？　なんで当たり前みたいに家にいるの！？」

アカネ「なに分からないフリしてんすか……あんなことまでしたのに……」

裕太（お、俺……まさか記憶がない時に新条さんとなにか……）

アカネ「まあそれは冗談で、実はまた怪獣が……」

裕太（いやそれより！　今の状況はヤバい！）

ちょっと前の六花『いやいや無理だから。家に女子高生連れ込んでる時点でアウトだから。彼女持ちの男子がそんなことしてたら……こう！』ｸﾞｼｬｯ！

アカネ「だからグリッドマンの力をーー」

裕太「ﾋｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨ！！！！！！！！！」

終わり