1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/09/16(土) 21:23:33.11 :CmBggu+u0
勇者「何が言いたい」
魔王「つまりだな、魔の王たる我でさえ束縛するこの食事という文化は貴様よりも幾分も崇高である、という事だ」
勇者「食事を褒めるのか私を馬鹿にするのかどちらかにしたらどうだ」
勇者「何が言いたい」
魔王「つまりだな、魔の王たる我でさえ束縛するこの食事という文化は貴様よりも幾分も崇高である、という事だ」
勇者「食事を褒めるのか私を馬鹿にするのかどちらかにしたらどうだ」
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2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/09/16(土) 21:24:37.23 :CmBggu+u0
魔王「例えばこの米という物は忌まわしい、そうは思わんか、勇者よ」
勇者「何が言いたい」
魔王「つまりだな、私の毎朝を支配するこの白米は貴様のように貧弱なものとは格が違う、という事だ」
勇者「朝の米粒を頬に付けたまま私を貶すな」
魔王「例えばこの米という物は忌まわしい、そうは思わんか、勇者よ」
勇者「何が言いたい」
魔王「つまりだな、私の毎朝を支配するこの白米は貴様のように貧弱なものとは格が違う、という事だ」
勇者「朝の米粒を頬に付けたまま私を貶すな」
4:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/09/16(土) 21:28:17.51 :CmBggu+u0
魔王「この魚という物は忌まわしい、そうは思わんか、勇者よ」
勇者「何が言いたい」
魔王「つまりだな、食べる事も眺める事も出来る魚さえ見応えのないお前とは訳が違う、という事だ」
勇者「更に骨を喉に刺さらせてダメージまで与えるからな」
魔王「貴様より強いかもしれんな」
魔王「この魚という物は忌まわしい、そうは思わんか、勇者よ」
勇者「何が言いたい」
魔王「つまりだな、食べる事も眺める事も出来る魚さえ見応えのないお前とは訳が違う、という事だ」
勇者「更に骨を喉に刺さらせてダメージまで与えるからな」
魔王「貴様より強いかもしれんな」
5:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/09/16(土) 21:30:27.12 :CmBggu+u0
魔王「この漬け物という物は忌まわしい、そうは思わんか、勇者よ」
勇者「何が言いたい」
魔王「つまりだな、忌まわしくとも長く漬ける漬け物と魔物を倒し手っ取り早く経験を得ようとする貴様では超えられぬ差がある、という事だ」
勇者「私に文句を言うなら魔物を出すのを止めれば良いだろう」
魔王「魔物に人間の町から食べ物を奪わせて来ている私には無理な相談だ」
勇者「襲わせるついでに私用で強盗紛いのことを指令する魔王というのは色々とどうなんだ」
魔王「この漬け物という物は忌まわしい、そうは思わんか、勇者よ」
勇者「何が言いたい」
魔王「つまりだな、忌まわしくとも長く漬ける漬け物と魔物を倒し手っ取り早く経験を得ようとする貴様では超えられぬ差がある、という事だ」
勇者「私に文句を言うなら魔物を出すのを止めれば良いだろう」
魔王「魔物に人間の町から食べ物を奪わせて来ている私には無理な相談だ」
勇者「襲わせるついでに私用で強盗紛いのことを指令する魔王というのは色々とどうなんだ」
6:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/09/16(土) 21:33:11.99 :CmBggu+u0
魔王「この酒という物は忌まわしい、そうは思わんか、勇者よ」
勇者「何が言いたい」
魔王「つまりだな、この私を倒した事のあるこれは貴様程の強さを遥かに上回っている、という事だ」
勇者「酒に弱いのか」
魔王「弱くは無いが、少し舌で舐めると真っ赤になって倒れたな」
勇者「それを世間一般では弱いというのだ」
魔王「この酒という物は忌まわしい、そうは思わんか、勇者よ」
勇者「何が言いたい」
魔王「つまりだな、この私を倒した事のあるこれは貴様程の強さを遥かに上回っている、という事だ」
勇者「酒に弱いのか」
魔王「弱くは無いが、少し舌で舐めると真っ赤になって倒れたな」
勇者「それを世間一般では弱いというのだ」
7:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/09/16(土) 21:34:09.23 :CmBggu+u0
魔王「この味噌汁という物は忌まわしい、そうは思わんか、勇者よ」
勇者「何が言いたい」
魔王「つまりだな、朝の白米の友である味噌汁は、一人旅をするお前の心よりもずっと暖かい、という事だ」
勇者「私とて好きで一人でいるわけでは無い」
魔王「愛していた者に逃げられた貴様が言っても説得力はなかろう」
勇者「…………」
魔王「………すまん、言い過ぎた」
魔王「この味噌汁という物は忌まわしい、そうは思わんか、勇者よ」
勇者「何が言いたい」
魔王「つまりだな、朝の白米の友である味噌汁は、一人旅をするお前の心よりもずっと暖かい、という事だ」
勇者「私とて好きで一人でいるわけでは無い」
魔王「愛していた者に逃げられた貴様が言っても説得力はなかろう」
勇者「…………」
魔王「………すまん、言い過ぎた」
8:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/09/16(土) 21:36:15.26 :CmBggu+u0
魔王「この焼肉という物は忌まわしい、そうは思わんか、勇者よ」
勇者「何が言いたい」
魔王「つまりだな、肉は焼ける前から存在感を放つが、始めから存在感の無い貴様では天と地ほどの差がある、という事だ」
勇者「焼肉は美味いタレと合わせるのが至高だ」
魔王「美味いタレがあるなら魔王たる我の秘宝と交換してやろう」
勇者「お前の中での食べ物の優先順位はどうなっているんだ」
魔王「この焼肉という物は忌まわしい、そうは思わんか、勇者よ」
勇者「何が言いたい」
魔王「つまりだな、肉は焼ける前から存在感を放つが、始めから存在感の無い貴様では天と地ほどの差がある、という事だ」
勇者「焼肉は美味いタレと合わせるのが至高だ」
魔王「美味いタレがあるなら魔王たる我の秘宝と交換してやろう」
勇者「お前の中での食べ物の優先順位はどうなっているんだ」
9:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/09/16(土) 21:40:28.27 :CmBggu+u0
魔王「このカレーという物は忌まわしい、そうは思わんか、勇者よ」
勇者「何が言いたい」
魔王「つまりだな、貴様程度の軟弱な攻撃では、我が初めて辛口のカレーを食べた時の衝撃以下だ、という事だ」
勇者「それでどうしてカレーが忌まわしい事になるんだ」
魔王「二日目も三日目も食事がカレーになる事だ」
勇者「一度に作り過ぎだ」
魔王「このカレーという物は忌まわしい、そうは思わんか、勇者よ」
勇者「何が言いたい」
魔王「つまりだな、貴様程度の軟弱な攻撃では、我が初めて辛口のカレーを食べた時の衝撃以下だ、という事だ」
勇者「それでどうしてカレーが忌まわしい事になるんだ」
魔王「二日目も三日目も食事がカレーになる事だ」
勇者「一度に作り過ぎだ」
10:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/09/16(土) 21:42:12.30 :CmBggu+u0
魔王「このピザという物は忌まわしい、そうは思わんか、勇者よ」
勇者「何が言いたい」
魔王「つまりだな、多彩な物を載せる事が出来るピザとは違い、貴様の戦い方は一辺倒だ、という事だ」
勇者「とろりと伸びるチーズ、そして香り漂うトマトソースは偉大な発明というわけだ」
魔王「やめろ、ピザが食べたくなるだろう」
勇者「そうだろう、私の夕食はピザだったのだ」
魔王「小癪な真似を……」
魔王「このピザという物は忌まわしい、そうは思わんか、勇者よ」
勇者「何が言いたい」
魔王「つまりだな、多彩な物を載せる事が出来るピザとは違い、貴様の戦い方は一辺倒だ、という事だ」
勇者「とろりと伸びるチーズ、そして香り漂うトマトソースは偉大な発明というわけだ」
魔王「やめろ、ピザが食べたくなるだろう」
勇者「そうだろう、私の夕食はピザだったのだ」
魔王「小癪な真似を……」
11:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/09/16(土) 21:43:40.19 :CmBggu+u0
魔王「このうどんという物は忌まわしい、そうは思わんか、勇者よ」
勇者「何が言いたい」
魔王「つまりだな、ただ小麦粉を練っただけの物のように、貴様の人生には何の面白みもない、という事だ」
勇者「ほう、私はともかく食べ物であるうどんまで貶すか」
魔王「私はうどんが嫌いだからな」
勇者「悪いが、お前がうどんを貶す理由の方が余程面白みがないぞ」
魔王「このうどんという物は忌まわしい、そうは思わんか、勇者よ」
勇者「何が言いたい」
魔王「つまりだな、ただ小麦粉を練っただけの物のように、貴様の人生には何の面白みもない、という事だ」
勇者「ほう、私はともかく食べ物であるうどんまで貶すか」
魔王「私はうどんが嫌いだからな」
勇者「悪いが、お前がうどんを貶す理由の方が余程面白みがないぞ」
12:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/09/16(土) 21:49:06.45 :CmBggu+u0
魔王「このパンというものは忌まわしい、そうは思わんか、勇者よ」
勇者「何が言いたい」
魔王「つまりだな、これもうどんと同じように小麦粉から練って作っているわけだ」
勇者「まぁ……そうだな」
魔王「それにもかかわらず、味を取っても見た目を取ってもうどんとは似ても似つかぬ」
勇者「そうだな」
魔王「つまり、次の勇者こそは貴様とは違いさぞ有能なのだろう、という事だ」
勇者「多少語りが変わって期待したが、私を貶すという終着点は同じなのだな」
魔王「このパンというものは忌まわしい、そうは思わんか、勇者よ」
勇者「何が言いたい」
魔王「つまりだな、これもうどんと同じように小麦粉から練って作っているわけだ」
勇者「まぁ……そうだな」
魔王「それにもかかわらず、味を取っても見た目を取ってもうどんとは似ても似つかぬ」
勇者「そうだな」
魔王「つまり、次の勇者こそは貴様とは違いさぞ有能なのだろう、という事だ」
勇者「多少語りが変わって期待したが、私を貶すという終着点は同じなのだな」
13:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/09/16(土) 21:57:21.34 :CmBggu+u0
魔王「このカツ丼という物は忌まわしい、そうは思わんか、勇者よ」
勇者「何が言いたい」
魔王「つまりだな、ジューシーなカツを出汁の効いた卵で閉じ、今我を最も魅了するこれと貴様とではそれこそアリと像ほどの違いがある、という事だ」
勇者「気に入ったのか」
魔王「ちなみにこれを受けて、魔王城では現在大量の豚を飼育している」
勇者「魔王城が魔王城ではない何かになっているのだが」
魔王「このカツ丼という物は忌まわしい、そうは思わんか、勇者よ」
勇者「何が言いたい」
魔王「つまりだな、ジューシーなカツを出汁の効いた卵で閉じ、今我を最も魅了するこれと貴様とではそれこそアリと像ほどの違いがある、という事だ」
勇者「気に入ったのか」
魔王「ちなみにこれを受けて、魔王城では現在大量の豚を飼育している」
勇者「魔王城が魔王城ではない何かになっているのだが」
14:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/09/16(土) 22:03:00.65 :CmBggu+u0
魔王「このサラダという物は忌まわしい、そうは思わんか、勇者よ」
勇者「何が言いたい」
魔王「つまりだな、色とりどりのサラダとは違い、貴様の人生は灰色一色である、という事だ」
勇者「名誉の為に言っておくが、私にだって輝いていた時期はあったぞ」
魔王「魔物を倒す為に愛する者と離別している時点で、とうに貴様の人生など濁りきっておるわ」
勇者「……その話を持ち出すとは、外道めが」
魔王「我は魔王だからな」
魔王「このサラダという物は忌まわしい、そうは思わんか、勇者よ」
勇者「何が言いたい」
魔王「つまりだな、色とりどりのサラダとは違い、貴様の人生は灰色一色である、という事だ」
勇者「名誉の為に言っておくが、私にだって輝いていた時期はあったぞ」
魔王「魔物を倒す為に愛する者と離別している時点で、とうに貴様の人生など濁りきっておるわ」
勇者「……その話を持ち出すとは、外道めが」
魔王「我は魔王だからな」
15:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/09/16(土) 22:08:07.24 :CmBggu+u0
魔王「この茶という物は忌まわしい、そうは思わんか、勇者よ」
勇者「何が言いたい」
魔王「つまりだな、食事の始まりと終わりに飲む茶は、貴様のように我が城に遠慮なく乗り込んで来る輩とは何から何まで違う、という事だ」
勇者「魔王の城に乗り込むのに遠慮する勇者がこの世のどこにいるのだ」
魔王「我は部屋で待っているというのに、貴様は本当に品が無いのだな」
勇者「思い切りエントランスですれ違っただろう」
魔王「この茶という物は忌まわしい、そうは思わんか、勇者よ」
勇者「何が言いたい」
魔王「つまりだな、食事の始まりと終わりに飲む茶は、貴様のように我が城に遠慮なく乗り込んで来る輩とは何から何まで違う、という事だ」
勇者「魔王の城に乗り込むのに遠慮する勇者がこの世のどこにいるのだ」
魔王「我は部屋で待っているというのに、貴様は本当に品が無いのだな」
勇者「思い切りエントランスですれ違っただろう」
16:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/09/16(土) 22:09:47.94 :CmBggu+u0
魔王「やはり食こそ人の生み出した最悪の発明。そうは思わんか、勇者よ」
勇者「何が言いたい」
魔王「つまりだな、人間と魔物の平和条約の架け橋となった食という文化は、我の悲願を遮るには大き過ぎる障害であった、という事だ」
勇者「ならば条約を破棄し、世界征服をやり直すか?」
魔王「いいや、世界征服はもう諦めた」
勇者「ならば、人々にとってはこの上なく最高の発明として歴史に残るだろうな」
魔王「世界征服は諦めたが、我は世界の食べ物を食べ尽くす事を悲願としたのだ」
勇者「ほう」
魔王「さぁ、次の食べ物を探すぞ、勇者よ」
魔王「やはり食こそ人の生み出した最悪の発明。そうは思わんか、勇者よ」
勇者「何が言いたい」
魔王「つまりだな、人間と魔物の平和条約の架け橋となった食という文化は、我の悲願を遮るには大き過ぎる障害であった、という事だ」
勇者「ならば条約を破棄し、世界征服をやり直すか?」
魔王「いいや、世界征服はもう諦めた」
勇者「ならば、人々にとってはこの上なく最高の発明として歴史に残るだろうな」
魔王「世界征服は諦めたが、我は世界の食べ物を食べ尽くす事を悲願としたのだ」
勇者「ほう」
魔王「さぁ、次の食べ物を探すぞ、勇者よ」
17:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/09/16(土) 22:11:02.52 :CmBggu+u0
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森きのこ
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