2: ◆.FkqD6/oh.:2015/04/15(水) 20:02:18.29 :Vh3ueQ7n0
「柚は準備、オッケーだよ!」
はーい。それでは赤ずきんの、はじまりはじまり……。
こほん。
むかしむかしあるところに、とても可愛らしい女の子がいました。
その女の子は、おばあさんからもらった赤いずきんを頭に……。
「パーカー!」
えっ?
「柚はパーカーがいいなっ」
え、えっと……じゃあ、パーカーにしますね。
その女の子は、おばあさんからもらった赤いパーカーをよく着ていました。
フードをかぶった姿がとってもよく似合っていたので……。
「ゆずずきん!」
……そう、みんなからゆずずきんと呼ばれていました。
「やった! ゆずずきんだっ♪」
「柚は準備、オッケーだよ!」
はーい。それでは赤ずきんの、はじまりはじまり……。
こほん。
むかしむかしあるところに、とても可愛らしい女の子がいました。
その女の子は、おばあさんからもらった赤いずきんを頭に……。
「パーカー!」
えっ?
「柚はパーカーがいいなっ」
え、えっと……じゃあ、パーカーにしますね。
その女の子は、おばあさんからもらった赤いパーカーをよく着ていました。
フードをかぶった姿がとってもよく似合っていたので……。
「ゆずずきん!」
……そう、みんなからゆずずきんと呼ばれていました。
「やった! ゆずずきんだっ♪」

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3: ◆.FkqD6/oh.:2015/04/15(水) 20:03:42.10 :Vh3ueQ7n0
ある日の事でした。お母さんが、ゆずずきんを呼んで言いました。
……あれっ、これも私の台詞ですか?
「そうだよー。ほら、早く早く」
「あっ、駄目だよおおかみサン! まだ出番じゃないよ!」
「ごめんごめん。出番来なくてヒマでさー」
いいですか? では、続けますね。
「赤ず……ゆずずきん、おばあさんが病気になってしまったの」
……あれ、おばあさん役って私ですよね?
「細かいことは、気にしないっ」
「そうそう。あたし達4人しかいないし」
そ、そうですか……そうですよね。よしっ!
「おばあさんのお見舞いに行ってきてくれるかしら。きっと喜ぶわよ」
「はーいっ! 柚におまかせっ」
ある日の事でした。お母さんが、ゆずずきんを呼んで言いました。
……あれっ、これも私の台詞ですか?
「そうだよー。ほら、早く早く」
「あっ、駄目だよおおかみサン! まだ出番じゃないよ!」
「ごめんごめん。出番来なくてヒマでさー」
いいですか? では、続けますね。
「赤ず……ゆずずきん、おばあさんが病気になってしまったの」
……あれ、おばあさん役って私ですよね?
「細かいことは、気にしないっ」
「そうそう。あたし達4人しかいないし」
そ、そうですか……そうですよね。よしっ!
「おばあさんのお見舞いに行ってきてくれるかしら。きっと喜ぶわよ」
「はーいっ! 柚におまかせっ」
4: ◆.FkqD6/oh.:2015/04/15(水) 20:06:36.15 :Vh3ueQ7n0
「ありがとう、ゆずずきん。でもお母さん、用事があって一緒には行けないの」
「へーきへーき! 柚一人でも、大丈夫大丈夫っ♪」
「それじゃあ、このケーキとワインを持って行ってね。おばあさんも喜ぶわ」
ですが、ゆずずきんが一人でおばあさんの所に行くのは、これが初めてです。
お母さんは、ゆずずきんのことが心配で心配でなりませんでした。
「いい、ゆずずきん? 途中で道草をしてはいけませんよ」
「それから、おおかみには気を付けてね? 何を言われても、信じては駄目よ」
「はーいっ! ゆずずきん、行ってきまーす!」
ゆずずきんは元気よく、おばあさんの家へと出掛けて行きました。
……こんな感じで、良かったんでしょうか?
「うんうん、演技派って感じ。さすが泰葉だねー」
ふふ……ありがとうございます。
「泰葉チャン、本当にお母サンみたい!」
えっと……それは、喜んでいいのかな……?
「ありがとう、ゆずずきん。でもお母さん、用事があって一緒には行けないの」
「へーきへーき! 柚一人でも、大丈夫大丈夫っ♪」
「それじゃあ、このケーキとワインを持って行ってね。おばあさんも喜ぶわ」
ですが、ゆずずきんが一人でおばあさんの所に行くのは、これが初めてです。
お母さんは、ゆずずきんのことが心配で心配でなりませんでした。
「いい、ゆずずきん? 途中で道草をしてはいけませんよ」
「それから、おおかみには気を付けてね? 何を言われても、信じては駄目よ」
「はーいっ! ゆずずきん、行ってきまーす!」
ゆずずきんは元気よく、おばあさんの家へと出掛けて行きました。
……こんな感じで、良かったんでしょうか?
「うんうん、演技派って感じ。さすが泰葉だねー」
ふふ……ありがとうございます。
「泰葉チャン、本当にお母サンみたい!」
えっと……それは、喜んでいいのかな……?
5: ◆.FkqD6/oh.:2015/04/15(水) 20:08:41.63 :Vh3ueQ7n0
……おばあさんの家は、赤ずきんの家から歩いて30分くらいの森の中にあります。
「こーんこんっ……あ、間違った。わおーん。おおかみだぞー」
楽しそうに歩いていたゆずずきんでしたが、そこにおおかみが近づいていました。
「……おっ、ゆずずきんだ。おーい、ゆずずきーん」
「あれ、おおかみサンだ。こんにちは、おおかみサン!」
おおかみはにこにこしながら、ゆずずきんに近づきます。
「こんなところに一人で来て、どしたのゆずずきん?」
「へへっ、よくぞ聞いてくれました! 柚はこれから、おばあサンのお見舞いに行くんだー♪」
「へぇー。ゆずずきんは偉いね。えらいえらい」
「ありがとっ、おおかみサン!」
おおかみは少し考えたあとに、にやりと笑ってゆずずきんに尋ねました。
「そのバスケットには、何が入ってるの?」
「ケーキとワインだよっ。おばあさんに持って行くんだー」
「なるほどなるほど。ゆずずきんのおばあさんって、どこに住んでるん?」
「このまままっすぐ! あと10分くらい?」
……おばあさんの家は、赤ずきんの家から歩いて30分くらいの森の中にあります。
「こーんこんっ……あ、間違った。わおーん。おおかみだぞー」
楽しそうに歩いていたゆずずきんでしたが、そこにおおかみが近づいていました。
「……おっ、ゆずずきんだ。おーい、ゆずずきーん」
「あれ、おおかみサンだ。こんにちは、おおかみサン!」
おおかみはにこにこしながら、ゆずずきんに近づきます。
「こんなところに一人で来て、どしたのゆずずきん?」
「へへっ、よくぞ聞いてくれました! 柚はこれから、おばあサンのお見舞いに行くんだー♪」
「へぇー。ゆずずきんは偉いね。えらいえらい」
「ありがとっ、おおかみサン!」
おおかみは少し考えたあとに、にやりと笑ってゆずずきんに尋ねました。
「そのバスケットには、何が入ってるの?」
「ケーキとワインだよっ。おばあさんに持って行くんだー」
「なるほどなるほど。ゆずずきんのおばあさんって、どこに住んでるん?」
「このまままっすぐ! あと10分くらい?」
6: ◆.FkqD6/oh.:2015/04/15(水) 20:10:48.31 :Vh3ueQ7n0
おおかみは、さらに考えました。
おばあさんの家を探して、おばあさんを食べてしまうには、もう少し時間が必要そうです。
「んー、なるほどね。ゆずずきん、いいこと教えてあげるよ」
「いいこと?」
「ゆずずきん、おばあさんにお花を持っていったらいいんじゃない? おばあさん喜ぶよー」
「あっ、確かに! ありがとおおかみサン!」
「さらに今なら……はい。うちの実家の和菓子まで付けちゃう」
「おおー……いいの、おおかみサン?」
「ん、いーのいーの。和菓子はゆずずきんにあげたんだから、お花でも見ながらのんびり食べなよ」
「へへっ、ありがとうおおかみサン!」
「それじゃ頑張ってねー。あたしはお散歩してこよっかな」
ゆずずきんはおおかみと別れて、さっそくお花を……。
「んっ……生八つ橋うまー♪」
……お花を見ながら、のんびりしていました。
おおかみは、さらに考えました。
おばあさんの家を探して、おばあさんを食べてしまうには、もう少し時間が必要そうです。
「んー、なるほどね。ゆずずきん、いいこと教えてあげるよ」
「いいこと?」
「ゆずずきん、おばあさんにお花を持っていったらいいんじゃない? おばあさん喜ぶよー」
「あっ、確かに! ありがとおおかみサン!」
「さらに今なら……はい。うちの実家の和菓子まで付けちゃう」
「おおー……いいの、おおかみサン?」
「ん、いーのいーの。和菓子はゆずずきんにあげたんだから、お花でも見ながらのんびり食べなよ」
「へへっ、ありがとうおおかみサン!」
「それじゃ頑張ってねー。あたしはお散歩してこよっかな」
ゆずずきんはおおかみと別れて、さっそくお花を……。
「んっ……生八つ橋うまー♪」
……お花を見ながら、のんびりしていました。
7: ◆.FkqD6/oh.:2015/04/15(水) 20:13:26.09 :Vh3ueQ7n0
ゆずずきんと別れたおおかみは、おばあさんの家に来ていました。
「へへっ、おばあさんの家はここだなー?」
とんとん、とドアを叩くと……あっ、私ですよね。
「はいはい、どなたでしょう?」
と、おばあさんの声がしました。
「ん、あたしあたし。ゆずずきんだよー。おばあさんのお見舞いに来たんだ」
それを聞いたおばあさんは、うれしそうに言いました。
「おや、ゆずずきんだったのね。いらっしゃい、鍵はかかっていないから、勝手に入っておくれ」
「はいはーい。それじゃあ遠慮なく……どーん!」
おおかみはドアを蹴破ると、ベッドに寝ていたおばあさんに飛びかかり……あっ、周子さん、待って! やめっ……!
「ふっふー……お腹すいたーん♪」
あっ、周子さ、そこはダメ……ひゃぁっ!?
ゆっ、柚ちゃっ、あとは任せ……ひゃっ、や、やめっ! あはっ、あははっ、くすぐったい、ですってばっ!
「えぇー……仕方ないなぁ」
ゆずずきんと別れたおおかみは、おばあさんの家に来ていました。
「へへっ、おばあさんの家はここだなー?」
とんとん、とドアを叩くと……あっ、私ですよね。
「はいはい、どなたでしょう?」
と、おばあさんの声がしました。
「ん、あたしあたし。ゆずずきんだよー。おばあさんのお見舞いに来たんだ」
それを聞いたおばあさんは、うれしそうに言いました。
「おや、ゆずずきんだったのね。いらっしゃい、鍵はかかっていないから、勝手に入っておくれ」
「はいはーい。それじゃあ遠慮なく……どーん!」
おおかみはドアを蹴破ると、ベッドに寝ていたおばあさんに飛びかかり……あっ、周子さん、待って! やめっ……!
「ふっふー……お腹すいたーん♪」
あっ、周子さ、そこはダメ……ひゃぁっ!?
ゆっ、柚ちゃっ、あとは任せ……ひゃっ、や、やめっ! あはっ、あははっ、くすぐったい、ですってばっ!
「えぇー……仕方ないなぁ」
8: ◆.FkqD6/oh.:2015/04/15(水) 20:15:07.82 :Vh3ueQ7n0
「えーっと……がぶーっ! おおかみサンはおばあサンを食べてしまいました!」
「それからおおかみサンは、おばあサンの着ていた服を着て……」
「おおっ?」
やっ、ダメです! ダメですからね!?
「ダメだよ周子サン?」
「ちぇー」
「おばあサンになりすましたおおかみサンは、おばあサンのベッドに潜り込みました!」
「……大丈夫、泰葉チャン?」
ええ、なんとか……いっぱいくすぐられましたけど……。
「はい、泰葉チャン落ち着いて……」
ありがとう、柚ちゃん……ふう、あとは私がやりますね。
「えーっと……がぶーっ! おおかみサンはおばあサンを食べてしまいました!」
「それからおおかみサンは、おばあサンの着ていた服を着て……」
「おおっ?」
やっ、ダメです! ダメですからね!?
「ダメだよ周子サン?」
「ちぇー」
「おばあサンになりすましたおおかみサンは、おばあサンのベッドに潜り込みました!」
「……大丈夫、泰葉チャン?」
ええ、なんとか……いっぱいくすぐられましたけど……。
「はい、泰葉チャン落ち着いて……」
ありがとう、柚ちゃん……ふう、あとは私がやりますね。
9: ◆.FkqD6/oh.:2015/04/15(水) 20:17:03.22 :Vh3ueQ7n0
一方その頃、ゆずずきんは……。
「うーん、お花はこれくらいでいいカナ? そろそろおばあさんの家に行かなきゃ!」
やっとおばあさんの家に行くことを思い出しました。
「おばあサン、大丈夫かなー?」
その時、たまたま通りかかった猟師がゆずずきんに声を……あれ、乃々ちゃんは?
「あれっ、さっきまでここに……あーっ! いなくなってる!」
「また机の下とか……って、ここにはいないね」
ちょっと探してみましょうか。別の机かもしれませんし。
「あっ、いたいた。乃々ちゃんみーっけ」
「うぅ……なんでまた、もりくぼは猟師なんですか……ぜったいに猟師なんて向いてないんですけど……」
「まあまあ、乃々チャン。気にしない気にしないっ」
そうですよ。それに乃々ちゃんの衣装、とても似合ってますよ!
「あ、あぅ……」
一方その頃、ゆずずきんは……。
「うーん、お花はこれくらいでいいカナ? そろそろおばあさんの家に行かなきゃ!」
やっとおばあさんの家に行くことを思い出しました。
「おばあサン、大丈夫かなー?」
その時、たまたま通りかかった猟師がゆずずきんに声を……あれ、乃々ちゃんは?
「あれっ、さっきまでここに……あーっ! いなくなってる!」
「また机の下とか……って、ここにはいないね」
ちょっと探してみましょうか。別の机かもしれませんし。
「あっ、いたいた。乃々ちゃんみーっけ」
「うぅ……なんでまた、もりくぼは猟師なんですか……ぜったいに猟師なんて向いてないんですけど……」
「まあまあ、乃々チャン。気にしない気にしないっ」
そうですよ。それに乃々ちゃんの衣装、とても似合ってますよ!
「あ、あぅ……」
10: ◆.FkqD6/oh.:2015/04/15(水) 20:19:15.59 :Vh3ueQ7n0
気を取り直して……ゆずずきんがおばあさんの家に向かおうとした、その時でした。
「あ、あの……」
「あれ、どうしたの猟師サン?」
「この辺りにおおかみが現れるって聞いて、来たんですけど……というか、さっきおおかみと話しているのを見たんですけど……」
「そうだよ! やさしいおおかみサンだったかも? 生八つ橋くれたし」
「おおかみに餌付けされてるんですけど……」
「……あっ!? 確かに!」
「その、おおかみは嘘を付きますし、危ないので近づかないでほしいんですけど……」
「はーいっ! 分かりました!」
「もしおおかみを見つけたら……私に教えてください。私がもっとすごい猟師さんに伝えるので……」
「おおー……って、猟師サンはおおかみサンと戦わないの?」
「おおかみとか怖いですし……もりくぼにはむーりぃー……」
「そんなぁ、それじゃあおおかみサンと出会ったらどうするの?!」
「撃ちますけど……」
「えっ」
「死にたくないですし……」
気を取り直して……ゆずずきんがおばあさんの家に向かおうとした、その時でした。
「あ、あの……」
「あれ、どうしたの猟師サン?」
「この辺りにおおかみが現れるって聞いて、来たんですけど……というか、さっきおおかみと話しているのを見たんですけど……」
「そうだよ! やさしいおおかみサンだったかも? 生八つ橋くれたし」
「おおかみに餌付けされてるんですけど……」
「……あっ!? 確かに!」
「その、おおかみは嘘を付きますし、危ないので近づかないでほしいんですけど……」
「はーいっ! 分かりました!」
「もしおおかみを見つけたら……私に教えてください。私がもっとすごい猟師さんに伝えるので……」
「おおー……って、猟師サンはおおかみサンと戦わないの?」
「おおかみとか怖いですし……もりくぼにはむーりぃー……」
「そんなぁ、それじゃあおおかみサンと出会ったらどうするの?!」
「撃ちますけど……」
「えっ」
「死にたくないですし……」
11: ◆.FkqD6/oh.:2015/04/15(水) 20:21:44.11 :Vh3ueQ7n0
おおかみを探しに行った猟師と別れ、ゆずずきんはおばあさんの家に着きました。
「あれっ? ドアがないよ?」
ゆずずきんは疑問に思いました。でも……
「おや、ゆずずきんかい? 今ちょっと換気をしてるんだ、入っていいよー」
「なるほどー。それじゃ、おじゃましますっ♪」
あっさり入ってしまいました。
「こんにちは、おばあサン! 具合は大丈夫?」
「あー、うん。もう大丈夫だよ。それより、そのバスケットのケーキが食べたいなー」
「はーい……って、おばあサン? どうしてケーキを持ってきたのが分かったの?」
「あっ」
おおかみは冷や汗を浮かべました。
それもそのはず、おばあさんはゆずずきんがケーキを持ってくることなんて知りません。
おばあさんになりすましたおおかみは、どうするのでしょうか。
おおかみを探しに行った猟師と別れ、ゆずずきんはおばあさんの家に着きました。
「あれっ? ドアがないよ?」
ゆずずきんは疑問に思いました。でも……
「おや、ゆずずきんかい? 今ちょっと換気をしてるんだ、入っていいよー」
「なるほどー。それじゃ、おじゃましますっ♪」
あっさり入ってしまいました。
「こんにちは、おばあサン! 具合は大丈夫?」
「あー、うん。もう大丈夫だよ。それより、そのバスケットのケーキが食べたいなー」
「はーい……って、おばあサン? どうしてケーキを持ってきたのが分かったの?」
「あっ」
おおかみは冷や汗を浮かべました。
それもそのはず、おばあさんはゆずずきんがケーキを持ってくることなんて知りません。
おばあさんになりすましたおおかみは、どうするのでしょうか。
12: ◆.FkqD6/oh.:2015/04/15(水) 20:25:15.17 :Vh3ueQ7n0
「えーと、そう。あたしは鼻がいいからね」
「……そうだっけ?」
ゆずずきんは、おばあさんがいつもとは違うことにようやく気付きました。
「あっ! おばあサンの耳、とっても大きい!」
「それは、ゆずずきんの声をよく聞くためだよ」
「おばあサンの肌、すごく真っ白!」
「あたし、日焼けしたら赤くなっちゃうんだー」
「おばあサンの髪、サラサラできれい!」
「でしょ? よく聞かれるけど、地毛なんだよねー」
「えっと、それから……なんだっけ、泰葉チャン?」
……口ですよ、ゆずずきん。
「あ、そうそう♪ おばあサンの口は、どうしてそんなに大きいの?」
「おっ、ようやく聞いてくれたね。それは……」
「えーと、そう。あたしは鼻がいいからね」
「……そうだっけ?」
ゆずずきんは、おばあさんがいつもとは違うことにようやく気付きました。
「あっ! おばあサンの耳、とっても大きい!」
「それは、ゆずずきんの声をよく聞くためだよ」
「おばあサンの肌、すごく真っ白!」
「あたし、日焼けしたら赤くなっちゃうんだー」
「おばあサンの髪、サラサラできれい!」
「でしょ? よく聞かれるけど、地毛なんだよねー」
「えっと、それから……なんだっけ、泰葉チャン?」
……口ですよ、ゆずずきん。
「あ、そうそう♪ おばあサンの口は、どうしてそんなに大きいの?」
「おっ、ようやく聞いてくれたね。それは……」
13: ◆.FkqD6/oh.:2015/04/15(水) 20:26:33.66 :Vh3ueQ7n0
「お前を食べるためだからだーっ!」
「わぁーっ!?」
おおかみはそう言うと、大きな口を開けてゆずずきんを食べてしまいました。
「へへへ、いただきまーすっ」
「お、お手柔らかに……ひぁっ!? しゅ、周子サン、そこはダメっ!」
「ほれほれー、ここかー? ここがええのんかー?」
「ひゃっ、くすぐったいってば! あはっ、あはははっ! やめてよ周子サンっ、あっ、ひゃぁぁぁっ!」
「あ、あの、もりくぼ帰っていいですか……」
……乃々ちゃん、私を一人にしないでください!
「でも……これは、ちょっと……」
……こほん。周子さん、そろそろ続けてもいいですか?
「あ、ごめんごめん」
「うぅ……ひどいよ周子サン……」
「お前を食べるためだからだーっ!」
「わぁーっ!?」
おおかみはそう言うと、大きな口を開けてゆずずきんを食べてしまいました。
「へへへ、いただきまーすっ」
「お、お手柔らかに……ひぁっ!? しゅ、周子サン、そこはダメっ!」
「ほれほれー、ここかー? ここがええのんかー?」
「ひゃっ、くすぐったいってば! あはっ、あはははっ! やめてよ周子サンっ、あっ、ひゃぁぁぁっ!」
「あ、あの、もりくぼ帰っていいですか……」
……乃々ちゃん、私を一人にしないでください!
「でも……これは、ちょっと……」
……こほん。周子さん、そろそろ続けてもいいですか?
「あ、ごめんごめん」
「うぅ……ひどいよ周子サン……」
14: ◆.FkqD6/oh.:2015/04/15(水) 20:28:35.78 :Vh3ueQ7n0
……えー、残念ながらゆずずきんはおおかみに食べられてしまいました。
「はー、美味しかったーん♪」
おおかみはおばあさんとゆずずきんを食べて、お腹がいっぱいです。
なんだか、眠くなってきました。
「ふぁぁー……んー、眠くなってきたなー」
おおかみはベッドに横たわると、すっかり眠ってしまいました。
「ぐがー、ぐおー」
「なんだか嫌な音が聞こえるんですけど……すっごく棒読みないびきなんですけど……」
たまたま近くを通った猟師が、おばあさんの異変に気付いたようです。
「えぇ……行きたくないんですけど……帰っていいですか……」
……乃々ちゃん、お話が進みませんから早く私達を助けて下さい!
「は、はいぃ……」
……えー、残念ながらゆずずきんはおおかみに食べられてしまいました。
「はー、美味しかったーん♪」
おおかみはおばあさんとゆずずきんを食べて、お腹がいっぱいです。
なんだか、眠くなってきました。
「ふぁぁー……んー、眠くなってきたなー」
おおかみはベッドに横たわると、すっかり眠ってしまいました。
「ぐがー、ぐおー」
「なんだか嫌な音が聞こえるんですけど……すっごく棒読みないびきなんですけど……」
たまたま近くを通った猟師が、おばあさんの異変に気付いたようです。
「えぇ……行きたくないんですけど……帰っていいですか……」
……乃々ちゃん、お話が進みませんから早く私達を助けて下さい!
「は、はいぃ……」
15: ◆.FkqD6/oh.:2015/04/15(水) 20:30:10.92 :Vh3ueQ7n0
「あ、あの、おばあさんはいますか……というかドアが外れてるんですけど……」
猟師はびくびくしながら、銃を構えて中に入りました。
ベッドに近づくと……。
「ぐおー、ぐがー」
「ひぃっ、お、お、おおかみ、おおかみ……!!!」
突然おおかみに出くわした猟師でしたが、なんとかこらえました。
「すー、はー、すー、はー……え、えっと……どうしたらいいんでしょう……」
「ぐがー、すぴー」
猟師は、おおかみのお腹がとっても大きくなっていることに気付きました。
それにおばあさんの姿も、ゆずずきんの姿も見えません。
「あ、あれ……?」
おばあさんやゆずずきんは、おおかみに食べられてしまったのでは、と猟師は考えました。
「あ、あわわ……大変なんですけど……」
「あ、あの、おばあさんはいますか……というかドアが外れてるんですけど……」
猟師はびくびくしながら、銃を構えて中に入りました。
ベッドに近づくと……。
「ぐおー、ぐがー」
「ひぃっ、お、お、おおかみ、おおかみ……!!!」
突然おおかみに出くわした猟師でしたが、なんとかこらえました。
「すー、はー、すー、はー……え、えっと……どうしたらいいんでしょう……」
「ぐがー、すぴー」
猟師は、おおかみのお腹がとっても大きくなっていることに気付きました。
それにおばあさんの姿も、ゆずずきんの姿も見えません。
「あ、あれ……?」
おばあさんやゆずずきんは、おおかみに食べられてしまったのでは、と猟師は考えました。
「あ、あわわ……大変なんですけど……」
16: ◆.FkqD6/oh.:2015/04/15(水) 20:51:54.39 :Vh3ueQ7n0
もしかしたら、おばあさんやゆずずきんはまだ生きているかもしれません。
「でも……た、助けるの……むーりぃー」
「乃々チャン、頑張って!」
「ぐー、ぐー」
「えっと……おおかみのお腹を切れば出てきますか……」
いいえ、もっといい方法を猟師は思いつきました!
「えっ?」
おおかみのお腹を思いっきりくすぐったら、おばあさんやゆずずきんがお腹から出られるかもしれません!
「ちょっ、泰葉! 台本とちが……」
今です、乃々ちゃん! 柚ちゃん!
「へへっ、周子サンかくごっ!」
「あっ、柚!? 泰葉!?」
今です、乃々ちゃん! 私達が押さえているうちに!
もしかしたら、おばあさんやゆずずきんはまだ生きているかもしれません。
「でも……た、助けるの……むーりぃー」
「乃々チャン、頑張って!」
「ぐー、ぐー」
「えっと……おおかみのお腹を切れば出てきますか……」
いいえ、もっといい方法を猟師は思いつきました!
「えっ?」
おおかみのお腹を思いっきりくすぐったら、おばあさんやゆずずきんがお腹から出られるかもしれません!
「ちょっ、泰葉! 台本とちが……」
今です、乃々ちゃん! 柚ちゃん!
「へへっ、周子サンかくごっ!」
「あっ、柚!? 泰葉!?」
今です、乃々ちゃん! 私達が押さえているうちに!
17: ◆.FkqD6/oh.:2015/04/15(水) 20:52:41.55 :Vh3ueQ7n0
「ねっ、乃々ちゃん? ちょっと待とうよ、台本通りに……」
「えっと……もりくぼは食べられたくないので……」
「あっ、ちょ、乃々ちゃ……ひゃぁっ?!」
「あっ、あははっ、の、乃々ちゃ、やめっ、あたし、逃げられないのにっ、やっ、あっ、ひゃぁっ!」
「……」
「ちょっ、激しっ、やんっ! 待って、待って待って! あっ、あぁ……んっ!」
乃々ちゃん……いいえ、猟師のおかげで、おばあさんとゆずずきんはおおかみのお腹から出られました。
「……なんだかすごく喜びづらい気がする!」
「あの、周子さん、ごめんなさい……もりくぼも生きるのに必死なので……」
「あぅぅ……もうお嫁に行かれへん……」
「え、えっと……元気だしてください……」
「ねっ、乃々ちゃん? ちょっと待とうよ、台本通りに……」
「えっと……もりくぼは食べられたくないので……」
「あっ、ちょ、乃々ちゃ……ひゃぁっ?!」
「あっ、あははっ、の、乃々ちゃ、やめっ、あたし、逃げられないのにっ、やっ、あっ、ひゃぁっ!」
「……」
「ちょっ、激しっ、やんっ! 待って、待って待って! あっ、あぁ……んっ!」
乃々ちゃん……いいえ、猟師のおかげで、おばあさんとゆずずきんはおおかみのお腹から出られました。
「……なんだかすごく喜びづらい気がする!」
「あの、周子さん、ごめんなさい……もりくぼも生きるのに必死なので……」
「あぅぅ……もうお嫁に行かれへん……」
「え、えっと……元気だしてください……」
18: ◆.FkqD6/oh.:2015/04/15(水) 20:53:44.82 :Vh3ueQ7n0
おばあさんとゆずずきんを吐き出した衝撃で、おおかみは気絶してしまいました。
「や、やられたー。ばたんっ」
「やった! 柚、ふっかーつ!」
「あら、ありがとうねぇ、猟師さん」
「い、いえ……私は特に、何もしてませんけど……」
そして、おばあさんはゆずずきんに言いました。
「ゆずずきんや、庭にある石をいっぱい持ってきてちょうだい。悪いおおかみは、こらしめないといけないからねぇ」
「はーいっ!」
「え、もう十分こらしめれたんだけど……」
ゆずずきんが庭にある石を持ってくると……あ、どうしましょう。
「おおかみのお腹が開いてないから、石が詰め込めないんですけど……」
じゃあ食べさせましょう。
「えっ」
「くらえーっ!」
「わぁーっ!?」
おばあさんとゆずずきんを吐き出した衝撃で、おおかみは気絶してしまいました。
「や、やられたー。ばたんっ」
「やった! 柚、ふっかーつ!」
「あら、ありがとうねぇ、猟師さん」
「い、いえ……私は特に、何もしてませんけど……」
そして、おばあさんはゆずずきんに言いました。
「ゆずずきんや、庭にある石をいっぱい持ってきてちょうだい。悪いおおかみは、こらしめないといけないからねぇ」
「はーいっ!」
「え、もう十分こらしめれたんだけど……」
ゆずずきんが庭にある石を持ってくると……あ、どうしましょう。
「おおかみのお腹が開いてないから、石が詰め込めないんですけど……」
じゃあ食べさせましょう。
「えっ」
「くらえーっ!」
「わぁーっ!?」
19: ◆.FkqD6/oh.:2015/04/15(水) 20:55:27.57 :Vh3ueQ7n0
こうしておおかみのお腹には石が詰め込まれました。
ゆずずきんとおばあさん、猟師はこっそり隠れて、おおかみが起きるのを待ちました。
「ふぁぁ……ん、よく寝たーん」
喉が乾いたおおかみは、川へ水を飲みに行きました。
「あれ、お腹が重い……食べ過ぎたかなー」
「ま、いっか……うわーっ」
おおかみが水を飲もうとしたその時、お腹の石が重くておおかみはバランスを崩してしまいました。
そしてそのまま川にどぼん、と落ちてしまいました。
「わー、お腹が重くて泳げなーい」
それを見た三人は、ほっと一安心。
悪いおおかみをこらしめて、大喜びです。
「やったーっ!」
「せ、正義は勝ちますけど……」
こうしておおかみのお腹には石が詰め込まれました。
ゆずずきんとおばあさん、猟師はこっそり隠れて、おおかみが起きるのを待ちました。
「ふぁぁ……ん、よく寝たーん」
喉が乾いたおおかみは、川へ水を飲みに行きました。
「あれ、お腹が重い……食べ過ぎたかなー」
「ま、いっか……うわーっ」
おおかみが水を飲もうとしたその時、お腹の石が重くておおかみはバランスを崩してしまいました。
そしてそのまま川にどぼん、と落ちてしまいました。
「わー、お腹が重くて泳げなーい」
それを見た三人は、ほっと一安心。
悪いおおかみをこらしめて、大喜びです。
「やったーっ!」
「せ、正義は勝ちますけど……」
20: ◆.FkqD6/oh.:2015/04/15(水) 20:56:33.22 :Vh3ueQ7n0
「これでめでたしめでたしだねっ!」
ゆずずきん、なにか忘れていませんか?
「えっ? なんだろ……あ、ケーキとワイン!」
違います。
「えー……?」
ほら、お母さんから言われたでしょう?
道草をしない、おおかみには気をつけて、って……。
「あ、確かに!」
……こほん。ゆずずきんはお母さんの言いつけを思い出しました。
そして、道草をしないこと、おおかみには気を付けることを自分に言い聞かせたのでした。
めでたしめでたし……。
「これでめでたしめでたしだねっ!」
ゆずずきん、なにか忘れていませんか?
「えっ? なんだろ……あ、ケーキとワイン!」
違います。
「えー……?」
ほら、お母さんから言われたでしょう?
道草をしない、おおかみには気をつけて、って……。
「あ、確かに!」
……こほん。ゆずずきんはお母さんの言いつけを思い出しました。
そして、道草をしないこと、おおかみには気を付けることを自分に言い聞かせたのでした。
めでたしめでたし……。
21: ◆.FkqD6/oh.:2015/04/15(水) 20:58:35.07 :Vh3ueQ7n0
――――――――――――――――――――
泰葉「めでたしめでたし……」
柚「……」
周子「……」
乃々「……」
柚「……柚たち、結構いけるかも!?」
周子「思いつきだったけど、結構楽しかったねー。あ、ケーキ食べよ?」
泰葉「そうですね……でもみんな、台本無視してませんでしたか?」
周子「でも泰葉だってアドリブしてたでしょ?」
乃々「元はと言えば周子さんが悪いのでは……?」
柚「周子サン、次はくすぐり禁止だよ?」
周子「あー、うんうん。流石にあたしも懲りたからね」
泰葉「それじゃあ、次は何をやりましょうか!」
乃々「ま、またやるんですか……」
ワイワイガヤガヤ……
P「……」
P「……そろそろ、机の前を返してくれないかなぁ」
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泰葉「めでたしめでたし……」
柚「……」
周子「……」
乃々「……」
柚「……柚たち、結構いけるかも!?」
周子「思いつきだったけど、結構楽しかったねー。あ、ケーキ食べよ?」
泰葉「そうですね……でもみんな、台本無視してませんでしたか?」
周子「でも泰葉だってアドリブしてたでしょ?」
乃々「元はと言えば周子さんが悪いのでは……?」
柚「周子サン、次はくすぐり禁止だよ?」
周子「あー、うんうん。流石にあたしも懲りたからね」
泰葉「それじゃあ、次は何をやりましょうか!」
乃々「ま、またやるんですか……」
ワイワイガヤガヤ……
P「……」
P「……そろそろ、机の前を返してくれないかなぁ」
22: ◆.FkqD6/oh.:2015/04/15(水) 21:01:26.38 :Vh3ueQ7n0
以上で終わりです。
ありがとうございました
ありがとうございました
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