2025年06月21日 23:00 真「恋する方法」 元スレ 全てのレス 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/16(月) 23:43:50.62 :4R+NdB7Xo 友達の境界線を超えるという意味で、ボクは昔から女の子が好きだった。 スポーツをしたり、遊んだりする仲間が男の子。その中で恋をするということはなかった。 ……そういう関係だったからこそ、思考が男の子っぽくなっていったのかな、と思う。 「真ちゃん、何を読んでるの?」 「『恋する方法』って本」 読む →
2025年06月20日 22:30 高垣楓「ひなたぼっこ」 元スレ 全てのレス 1: ◆qEJgO2U6bM:2014/06/13(金) 22:43:41.59 :oQBsmBqvO サァァァ… 楓「……」 楓「…?」ツン ニャーニャー 楓「…にゃー」 ニャー 楓「ふふ。にゃあにゃあ。ごろごろー」ナデナデ ニャー P(なにあれ可愛い) ・楓さん 読む →
2025年06月20日 18:00 小鳥「だぁれもいない事務所」 元スレ 全てのレス 1: ◆ycDKV.3ZYU:2014/06/19(木) 23:30:13.75 :6vCqGqXAO ――765プロ事務所 ――20:30 「こんなに、好きなのに」 分かって、もらえない。 「こんなに、愛してるのに」 知って、もらえない。 「はぁ…難しいなぁ…」 ほんと、恋愛って、難しい。 読む →
2025年06月16日 21:00 竜華「なんや…慰めてくれるん?」 元スレ 全てのレス 1: ◆9NgV143E7U:2014/06/11(水) 20:32:46.32 :ANr+ltkSO 竜華「ってか、私そんなに落ち込んでるように見える?」 竜華「ひどいカオしてるって…も、もうちょい言い方あるやろー」 竜華「実はなー…」 竜華「怜がな…別の相手作ってよろしくやってんねん…」 読む →
2025年06月16日 18:00 高垣楓「Sweet Softly Birthday」 元スレ 全てのレス 2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/06/14(土) 00:57:18.70 :w4dJa8ww0 楓「……Pさん?」 P「あれ? 楓さん、どうしました?」 楓「まだ、お仕事ですか?」 P「ええ、まあ。あと少しですけど」 P「楓さんは、今日飲み会?」 楓「はい」 P「お誕生会、ですよね?」 楓「もうそんなかわいらしい歳ではありませんけどね」 P「いや、いくつになったって、お祝い事は嬉しいもんですよ」 楓「そうですね。……でも」 P「でも?」 読む →
2025年06月06日 18:00 向日葵「片想い」 元スレ 全てのレス 2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/01/15(金) 21:48:22.25 :ft438Vl90 風の鳴く音が聞こえる。 その風に導かれ、薄い綿のような雲が月光を遮り、月を隠した。 部屋の灯りを無くした私は、冷たい暗闇の中で覚えたばかりの詩を口ずさむ。 「…つれづれと、空ぞ見らるる、思ふ人」 「天降り来むものならなくに…」 「はぁ…」 独りよがりのこの想いは、私の胸を締めつける。 なぜ、あの人を好きになってしまったのだろう。 終わらない自問自答を繰り返し、冷たい布団の中へ身を潜らせる。 読む →
2025年06月02日 15:35 果南「約束の貝殻」【ラブライブ!サンシャイン!!】 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/03(金) 19:32:22.94 :5MCYTnF6o 果南「そうだなぁ……。 初めは、変な人だなぁって印象だった。 こんな小さな町のことだから、私たちは自分の周りの同世代の人たちには大体皆面識があるんだ。それは親しげな反面、どこか新鮮味にかけるところもあって─── だからこの浦の星女学院に転校生が来る、しかも外国人とのハーフ!って言う情報は、私たちに特大の衝撃を与えたわけで。千歌なんてもう大興奮で、 「転校生さんが来たら誰よりも早く一番美味しいみかんを持っていかなきゃ! ああでも、相手はぐろーばるな人なんだからこんなちゃちなもの要らないって断られちゃうかも……! だったらこうしてみかんにリボンとか巻いてデコレーションして……」 とか何とか、もう落ち着かせるのは不可能だったね。でも千歌だけが特別だったわけじゃなくて、(千歌はちょっと気持ちの表現がオーバーだけどね……)周りも皆浮足立ったような雰囲気に包まれてたのを覚えてるな。私もちょっとウキウキしてたと思う。 読む →
2025年05月28日 19:30 【モバマス】モバP「輝子に嫌われたのかもしれない」 元スレ 1:◆KQ9OMhlEUtzQ:2017/08/22(火)02:39:48 :HLz モバP(以下P)「…………ハァー……」ちひろ「プロデューサーさんが何を言ってるのかさっぱりですけど、なんでまた」P「いえ、最近……輝子がワシャワシャさせてくれなくなりまして……」ちひろ「あー。確かに最近見なくなりましたね」 読む →
2025年05月23日 18:00 梨子「ナイトサイクリング」 元スレ 全てのレス 2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/04/03(月) 21:53:57.63 :gvjh+I4r0 ニュース『―――数百年に1度と言われる〇〇座流星群は今夜が最も見頃と言われ―――』 梨子(流星…か。) 内浦に引っ越してきて数ヶ月。まだ知らない 道や場所も多くて、登下校の道から逸れると 不安が募る毎日。 梨子(東京は夜でも明るくて…星空なんて見上げたことないかも) 内浦の浜辺で、誰にも邪魔されずに 満天の星空を見上げられたら どんなに綺麗だろう。 そして、私の隣にいる人が――――― 好きな人だったら、どんなに幸せだろう。 読む →
2025年05月08日 15:00 【モバマスss】First of all【フレデリカ】 元スレ 1:名無しさん@おーぷん:19/05/12(日)13:40:28 :ZwA フレちゃんのSSです。クレイジークレイジーを聞いていたらこれができていた。何を言っているかわかんねえと思うが(ry一つだけ言えるとしたら、イノタクは神。 2:名無しさん@おーぷん:19/05/12(日)13:40:45 :ZwA ◇「らびゅ─!アナタのアイドル、宮本・アンドレ・ザ・フレデリカだよー♪」「よく知ってる。それでフレちゃん、なぜ今ここに? 」「なぜってー?」「今はレッスンの時間では? 」「ふっふっふ……プロデューサー、フレちゃんの潜在能力を見誤っているな─? もうこれ以上ないくらい完璧に終わらせて、やることないって言われたから帰ってきちゃった─!」「トレーナーさんに電話……っと。」「あっ信用してなーい!」「…はい、いつもお世話になっております、宮本の担当のものですが、今こちらに宮本が来ているんですが……えっ終わった? 完璧? 言うことない? ……はい、お世話になりました、今後ともよろしくお願いします……」「ふふふー!フレちゃんはおサボりなんかしないもんね!」「いや、これは済まなかったフレちゃん。」「担当アイドルを信用していない悪徳プロデューサーには罰として、あたしが淹れたコーヒーを飲んでもらおう!」「いつも思うんだがそれはむしろガチのご褒美なのでは?」「1/2 の確率でカップ焼きそばの湯切り前に間違って液体ソースを入れてしまった時の汁を飲むことになるけどねー!」「確率もすげぇし外れた時のヤバさもすげぇや。まあ、甘んじて受けさせてもらおうかな。」「フッフフーン、任せてね!フレちゃんのホットココアは絶品なんだよ!」「おっと何が出てくるのかもう皆目見当つかねぇや」 読む →
2025年04月29日 22:30 神谷奈緒「愛してるって伝えたい」 元スレ 全てのレス 2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/03(水) 00:31:11.02 :p05Go1m30 あたしがプロデューサーさんと出会ったのは本当に偶然だった。 あたしは街中で友達を待って居た、ただそれだけだった。 そしたら見知らぬ男が近づいて来て…最初はティッシュマンかと思って警戒したたら、あたしをスカウトするだの言いだして…。 ほんと、夢みたいな話だよな。今でもたまに夢だったんじゃないかって思う時がある。 読む →
2025年04月28日 07:00 【ガヴドロSS】ヴィーネ「もうすぐ卒業か……」 元スレ 全てのレス 1:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/06/11(日) 23:04:48.048 :/HT5NYIO0.net 【学校】 サターニャ「ねえ、ヴィネット。もうすぐ卒業式ね」 ヴィーネ「急にどうしたのよ……そうね、後半月ぐらいかしらね」 サターニャ「この3年間楽しかった?」 ヴィーネ「楽しかったわ。皆と海に行ったり、温泉宿に泊まったり色々な行事に参加したり……サターニャはどうなの?」 サターニャ「私も同じよ。でも……」 ヴィーネ「でも?」 読む →
2025年04月25日 07:00 果南「ルビィはなんでも知ってるの?」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/04/17(月) 00:35:28.98 :qLEKtzXc0 ――土曜日 果南(ちょっと早く着きすぎたかな) 果南(みんなまだ来てないだろうなぁ) 果南(……あれ? 部室から何か……) ルビィ「素直になーらーなーくちゃ」 果南(ルビィの声だ) ルビィ「打ち明けてみようほんとのこーとー」 果南(……何の歌だろ) 読む →
2025年04月24日 22:30 まつりのあと【ミリマス】 元スレ 全てのレス 1: ◆KakafR9KkQ:2017/04/19(水) 21:08:43.58 :p9vze/+c0 ピピピ、ピピピ うぅん…… ピピピ、ピピピ 少し…… 静かにして、彼女が起きちゃうでしょう? 読む →
2025年04月23日 12:25 王子「囚われの姫君に恋をした」 元スレ 全てのレス 1: ◆WnJdwN8j0.:2015/05/11(月) 17:00:23.82 :+o0lHeNe0 つい最近世界は生まれ変わった。 王子が訪れたのは無人の城。 王子の胸は、冒険心でウズウズ落ち着きがなかった。 王子「おおぉ~、これが魔王の玉座かぁ~!」 主を失った玉座に腰掛け、威張ったポーズを取ってみる。 つい先日まで、人間と争っていた魔王。 今は亡き魔物達の王は、毎日ここで、この光景を見ていたのか。 王子「さーてさて」 そんなちょっとした魔王ごっこもすぐに飽き、彼は城内を駆ける。何か他に面白いものはないか――そんな期待を抱きながら。 王子「…ん?」 ふと、窓の外を見た。 少し離れた所に、塔がそびえ立っている。 王子「何だ…あの塔?」 読む →
2025年04月19日 22:30 【艦これ】響「恋し合い」 元スレ 全てのレス 1: ◆VgLY1HQ3xE:2015/05/03(日) 21:20:14.56 :+OSu9AIqo <縁側> 提督「…」 提督「…」パラッ 響「あれ、司令官じゃないか」 提督「ん…ああなんだ響か、どうした?」 読む →
2025年04月17日 19:30 男「きみは?」チョ娘「チョ娘ですよー」 後編 関連SS 男「きみは?」チョ娘「チョ娘ですよー」 前編 男「きみは?」チョ娘「チョ娘ですよー」 後編 元スレ 全てのレス 3:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/04/16(木) 00:18:24.141 :jXKvCKdj0.net チョ娘「韓国ではバレンタインデー、ホワイトデー」 チョ娘「そして、今日4/14はブラックデーというらしいです」 男「・・・で?」 チョ娘「ブラックデーは、バレンタインデー、ホワイトデーに贈り物されなかった人が一人寂しく黒い物を食べる風習があるそうです!」 男「・・・ほう、ほう」 チョ娘「食べなくていいんですか?」 男「よっしゃ! そのケンカ買った!」 チョ娘「今日はパワプロにしましょう」 読む →
2025年04月11日 21:00 幼女「友達になろうよ!」 ポニテ「……なんで」 元スレ 全てのレス 1: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/19(火) 16:16:30.60 :/NmkyU4H0 とある小学校の教室 先生「はい、それでは今から席替えを始めます。順番に前のくじを引いていってください」 ワイワイガヤガヤ 友「席替えかー、もうこの席になってからそんなに経つんだね」 幼女「ねえねえ、友ちゃん何番だった?」 友「あ、私まだ引いてないの。でも今までみたいに近い席だといいね」 幼女「うん!」 ガヤガヤ ポニテ「……」 2: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/19(火) 16:27:05.45 :/NmkyU4H0 幼女「引いた?」 友「うん、えっと……3番」 幼女「あー、なんだ全然ダメじゃん」 友「あらら、むしろ真逆だね。まあくじだからこんなもんだよ。残念だけど」 幼女「ちぇー」 友「幼女ちゃん、窓側の一番端っこの席なんだね。羨ましいなー、寝てても先生にばれなさそう」 幼女「そお?でもさ」 友「なに?」 幼女「私の席の隣だけピンク色なんだけど……」 友「え?なんの話?」 幼女「みんな隣白いのに」 友「あ、ああ、黒板の座席表の文字の話?ピンクが女子で白が男子だよ」 幼女「うん、でも」 友「そっかー、このまえ転入生が来て女子が男子より二人多くなったから女子同士の席ができたんだね」 幼女「?」 友「えっと、普通は男子と女子で一緒の席になるんだけど、女子が二人多くてその分……」 幼女「???」 友「……ま、要するに幼女ちゃんの隣には女の子が来るってこと」 幼女「へー、そっかー、だれだろー」 3: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/19(火) 16:32:12.50 :/NmkyU4H0 先生「はい、みなさんくじを引き終わりましたね。じゃあ番号の場所に席を移動していってください」 ガタガタガタ 幼女「よいしょ、よいしょ、よし到着」 幼女「隣の人はまだ来てないのかー」 幼女「だれだろうなー、仲いい人かなー、全然話したことない人かなー」ワクワク ガタン 幼女「お?」 ポニテ「……」 幼女「……」ジー ポニテ「……?」 幼女「ああっ!てんにゅーせー!」 ポニテ「」ビクッ 4: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/19(火) 16:36:40.46 :/NmkyU4H0 ポニテ「な、なに」 幼女「てんにゅーせーだ」 ポニテ「指ささないでよ」スワリ 幼女「隣なの?」スワリ ポニテ「まあ、そうみたい」 幼女「ほー」 幼女「」ジロジロ ポニテ「……」 幼女「てんにゅーせーはどこから来たんだっけ」 ポニテ「てんにゅーせーじゃなくて、ちゃんと名前あるから、私」 幼女「何?」 ポニテ「ポニテ……」 幼女「私は幼女!よろしく!」 ポニテ「……」 5: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/19(火) 16:47:07.48 :/NmkyU4H0 幼女「それでどこから来たんだっけ」 ポニテ「別にどこでもいいでしょ……」 幼女「とおいところ?」 ポニテ「まあ、それなりに」 幼女「ほー、今までどの席だったっけ」 ポニテ「……あっちらへん」 幼女「誕生日いつ?好きな食べ物は?」 ポニテ「……何」 幼女「何って、せっかく隣になったんだしいろいろ知りたいでしょ?」 ポニテ「私の誕生日がいつだろうと、私の好きな食べ物がなんだろうとあんたには関係ない……」 幼女「そうかな」 ポニテ「……」 先生「全員移動しましたね、それでは授業を始めます」 先生「それでは教科書の……」 6: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/19(火) 16:55:44.62 :/NmkyU4H0 先生「……なのでここの式が……そこの男子二人うるさいですよー、集中してください」 ポニテ「」カリカリ 幼女「んー……んー?」 幼女「難しい……」カリカリ ポニテ「」カリカリ ポニテ「」ポロッ 幼女「あ」 幼女「ポニテちゃん、消しゴム落ちたよ」ヒロイ ポニテ「あ……ありがと」 ポニテ「……」カリカリ 幼女「」ジー ポニテ「」ポニーテールユラユラ 幼女「」バシッ ポニテ「……」 幼女「」バシッバシッ ポニテ「やめて」 幼女「ああっ!見てたらつい」 ポニテ「猫?猫なの?」 幼女「猫じゃないけど、でも綺麗な髪だねー」 ポニテ「そう」 7: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/19(火) 17:01:11.40 :/NmkyU4H0 幼女「」カリカリ ポニテ「」カリカリ 幼女「……」 ポニテ「」カリカリ 幼女「」ゴソゴソ 幼女「ポニテちゃんポニテちゃん」ツンツン ポニテ「何」 幼女「じゃーん、ポニーテール」 ポニテ「……」 幼女「おそろい」 ポニテ「あっそ」 幼女「……」 ポニテ「」カリカリ 8: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/19(火) 17:08:24.27 :/NmkyU4H0 幼女「……」 幼女「」マジックデオヤユビニカオカキ 幼女「やあ!こんにちはポニテちゃん!(裏声)」 ポニテ「……」 幼女「ボク、親指の里から来たオヤユビーン9世!君の名前は?」 ポニテ「」ギロッ 幼女「ひっ」ビクッ ポニテ「……」 幼女「に、睨まないで……」 ポニテ「冗談か何かのつもりだろうけど、おもしろくない」 幼女「そっかー、じゃあねー、この前友ちゃんを笑わせまくった渾身の一発ギャグを……」 ポニテ「あのさ」 幼女「?」 ポニテ「話しかけないでくれる?」 幼女「え」 ポニテ「私、あんたみたいな人、苦手だし、嫌いだから」 幼女「……」 ポニテ「」カリカリ 幼女「……」 9: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/19(火) 17:14:12.18 :/NmkyU4H0 先生「……じゃあこの問題、幼女さん」 幼女「……」 先生「幼女さん?」 幼女「っ!はっ、はい!」ガタッ 先生「解いてください」 幼女「あ、えーと、うーん、そ、その……」アタフタ 先生「わかりませんか?」 幼女「あっ!いえ!わかります!その、えと……」 幼女「じゅ、じゅうさん……」 先生「……」 幼女「……ち、違いました?」 先生「じゃあかわりにポニテさん」 ポニテ「はい、十八です」 先生「そうですね、それでは次の問題……」 幼女「……」 ポニテ「」カリカリ 10: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/19(火) 17:20:34.41 :/NmkyU4H0 休み時間 男子「よーし!みんなでサッカーやろうぜ!全員校庭集合な!」 ワーワーガタガタ 友「はー、男子は毎日飽きもせずよくやってるよねー」 幼女「おー、サッカーかー、私もやってみたいなー」 友「えー、やめときなよー、校庭行っても男子しかいないよー」 幼女「そっかー」 友「そんなことより幼女ちゃん、一緒に図書館行こうよ、このまえ借りた本まだ返してないんでしょ?」 幼女「なんだっけ」 友「ほら、図書委員に催促されてたじゃん。はよ返せって」 幼女「あー!そうだった!じゃあいこっか」 11: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/19(火) 17:26:23.49 :/NmkyU4H0 図書館 ピッ 幼女「よし、返却っと」 友「あー!このシリーズ新刊出てたんだー!うわー、知らなかった」 幼女「」キョロキョロ 友「ねえねえ幼女ちゃん、これ……」 幼女「」ジー 友「幼女ちゃん?」 ポニテ「……」 幼女(ポニテちゃんだ) 幼女(本読んでる) 幼女「」タタタ ポニテ「……」ペラ 幼女「」ソー ポニテ「……」 幼女「」ノゾキ ポニテ「……」 幼女「」ウロチョロ ポニテ「……何」 幼女「」ビクッ 12: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/19(火) 17:29:29.81 :/NmkyU4H0 幼女「」アセアセ ポニテ「……」 幼女「」ユビサシ ポニテ「?」 幼女「」ジェスチャー ポニテ「何?なんでジェスチャーしてんの?」 幼女「」ジェスチャー ポニテ「喋っていいから」 幼女「だって話しかけるなって……」 ポニテ「そういう意味じゃないから」 13: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/19(火) 17:34:34.57 :/NmkyU4H0 ポニテ「なにしにきたの」 幼女「なに読んでるのかなーって」 ポニテ「だから、関係ないって言ってるでしょ?」 幼女「もらいっ」バシッ ポニテ「あ、ちょっと、返してよ」 幼女(難しそうな本。文字が小さい……)ペラペラ ポニテ「……読みたいの?」 幼女「うん」 ポニテ「……」 幼女「……」 14: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/19(火) 17:37:22.91 :/NmkyU4H0 ポニテ「……」 幼女「……」 ポニテ「……」 幼女「……」 ポニテ「……何してんの?」 幼女「……」 ポニテ「おーい」 幼女「読んでる……」 ポニテ「本持って突っ立ってるようにしか見えないんだけど」 幼女「……」 幼女「」ペラ ポニテ(や、やっとページめくった……おっそ) 15: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/19(火) 17:42:30.01 :/NmkyU4H0 ポニテ「もう、イライラする!」バシッ 幼女「ああっ、読んでる途中だったのに」 ポニテ「あんたさ」 幼女「何?」 ポニテ「今日の授業、あんたあてられたとき」 幼女「うん」 ポニテ「なんであんな簡単な問題も解けないの?」 幼女「ええ、簡単じゃないよ、難しいよ」 ポニテ「しかもさ、わからないならわかんないって言えばいいのに、どうして中途半端に意地張ってるの?男子とか、クスクス笑ってる奴いたよ?」 幼女「だって……」 ポニテ「とにかく、もうかかわらないでね、いい加減」 幼女「……」 ポニテ「」スタスタ 16: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/19(火) 17:53:28.76 :/NmkyU4H0 幼女「……」 友「だ、大丈夫?なんかあった?」 幼女「大丈夫……」 友「大丈夫に見えないんだけど……ポニテさんとなんかあった?」 幼女「隣の席になったの」 友「あ、幼女ちゃんの隣ってポニテさんになったんだ……」 幼女「うん」 友「あ、あのさ、ポニテさんなんだけど、あんまりしつこく話しかけない方がいいかも」 幼女「なんで?」 友「ポニテさんが転入してきたときの話なんだけど」 幼女「うん」 友「ほら、転入生って注目されるじゃん?だから転入してきたその日はいろんな人がポニテさんの近くに集まってさ。 ポニテさん、質問攻めにあっちゃって」 友「それでポニテさんも最初は適当に答えてたんだけど、繰り返し繰り返しあーだこーだいわれて……」 友「周りのみんなをすっごい睨んだの。口には出さなかったけど、もうやめろ、近寄るなかかわるなみたいな」 幼女「あ、私もポニテちゃんに睨まれた……」 17: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/19(火) 17:59:50.61 :/NmkyU4H0 友「先生はあんまり人と話すのが好きじゃない子だって言ってたけど」 友「だからあんまり……」 幼女「うーん……でも」 友「でも?」 幼女「隣だから」 授業中 先生「はい、ここで作中の主人公は……」 幼女「ポニテちゃん、話しかけてもいい?」 ポニテ「……」 幼女「じゃーんみてこれ」 ポニテ「……あ」 幼女「ポニテちゃんが読んでた本だよ。探したら同じのあったから借りてきた」 ポニテ「はあ……」 幼女「?」 ポニテ「あんたがそれ読めるわけないでしょ……」 18: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/19(火) 18:02:38.14 :/NmkyU4H0 幼女「なんでさ」 ポニテ「ページめくるのにあんなに時間かかってたのに……」 幼女「それでも読めるよ」 ポニテ「推理小説だよ?仮に全部読めたとしても、話分かるの?」 幼女「わかるよ!」 先生「ちょっと、幼女さん静かに」 幼女「あっ……すいませ……」 ポニテ「はあ……」 19: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/19(火) 18:38:57.17 :/NmkyU4H0 幼女「とにかく、私この本読むから」 ポニテ「あんたさ、何がしたいの?」 幼女「何って」 ポニテ「さっきから私の周りうろちょろうろちょろ、なんでそんなにつきまとってくるの?」 ポニテ「何?一緒に遊んでほしいの?周りのやつらとへらへら笑って適当に馴れ合いたいなら別のやつのとこ行けばいいじゃん。 私じゃなくても」 ポニテ「隣だから?関係ない。いい加減にして」 幼女「……だって」 ポニテ「だってなに?」 幼女「友達に……なりたくて」 ポニテ「……」 幼女「友達になろうよ!」 ポニテ「……なんで」 25: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/21(木) 16:21:16.28 :qn+HKYUN0 帰り道 ポニテ「」スタスタ 幼女「」トコトコ ポニテ「……ねえ」 幼女「なに?」 ポニテ「なんでついてくるの」 幼女「別についてきてないよ!私だって帰ってる途中だもん」 ポニテ「明らかに遠回りしてるでしょうが……私の帰り道にあわせてるでしょ」 幼女「」キョロキョロ 幼女「ここら辺の道、人通り少ないねー」 ポニテ「……」スタスタ 幼女「ねえポニテちゃん!ポニテちゃんの家ってどこにあるの?」 ポニテ「! まさか家までついてくるつもりじゃ」 幼女「友達になるんだから、どこに家あるかくらい知りたい!」 26: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/21(木) 16:27:12.21 :qn+HKYUN0 ポニテ「冗談じゃない……なんであんたに家の場所なんて教えなくちゃいけないの」 幼女「だって友達」 ポニテ「友達になんてならないから!ついてこないでよ!」 幼女「えー……」 ポニテ「」ダッ 幼女「あっ!待ってポニテちゃん!」 ポニテ「はあ、はあ、ここら辺曲がり角多いからうまくまけば……」タッタッ 幼女「まて~!」ダダダ ポニテ「うっ!速っ!」 幼女「捕まえた!」 ポニテ「へぶっ!」 27: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/21(木) 16:33:33.95 :qn+HKYUN0 幼女「逮捕だ」 ポニテ「わ、わかったから、はなして」 幼女「よし、じゃあ交代ね」 ポニテ「こ、交代?」 幼女「今度私が逃げるからポニテちゃんが追いかけて捕まえて」アシブミ ポニテ「はあ?鬼ごっこじゃないんだから。あのね、ふざけてるわけじゃ……」 ポニテ「ん……いや……そう、だね、鬼ごっこしよう」 幼女「よしきた!」 ポニテ「じゃあ私が十数えるからその間に逃げてね」 幼女「うん!」 ポニテ「じゃあいくよ、十……」 幼女「つかまえてごらーん!」ダダダ ポニテ「……」 幼女「」ダダダ… ポニテ「……」 ポニテ「さてと帰るか……」 28: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/21(木) 16:39:55.22 :qn+HKYUN0 次の日 幼女「」ムスー ポニテ「……何」 幼女「なんで昨日おいていったの」 ポニテ「なんのこと」 幼女「私あれから結構走り回ってたんだからな!」 ポニテ「ふん、騙されるのが悪いんじゃん」 幼女「なんだとー!」 幼女「怒った!もうポニテちゃんとは口きいてあげないから!」 ポニテ「へえ、嬉しい」 幼女「あ……」 幼女「じゃあ逆!口きく!ききまくる!一日中ポニテちゃんに喋りかけまくるから!」 ポニテ「あっそ、別に、何言われようが無視するだけだから」 幼女「むー!」 29: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/21(木) 16:43:35.90 :qn+HKYUN0 授業中 幼女「」カリカリ ポニテ「」カリカリ 幼女「……?」 幼女「ポニテちゃん、この問題」 ポニテ「……」 幼女「ちょっとよくわからないんだけど、解き方教えて?」 ポニテ「」プイ 幼女「……むぅ」 幼女「人を無視すると地獄に落ちるってお母さん言ってたぞー」 ポニテ「……」 30: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/21(木) 16:48:50.96 :qn+HKYUN0 休み時間の図書館 幼女「ポニテちゃーん」 ポニテ「……」 幼女「まえの本ねー、十ページまで読んだよー」 ポニテ(まだ十ページ) 幼女「なんかね、えっと、すっごいおもしろいと思う!」 ポニテ(十ページじゃまだ何もわかんないでしょ) 幼女「私もなんかポニテちゃんに紹介してあげる!絵本いっぱい読んだのあるから!」 ポニテ(絵本とか、ださ) 31: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/21(木) 16:56:33.44 :qn+HKYUN0 給食中 幼女「」パクパク ポニテ「」モグモグ 幼女「ポニテちゃん、今日のご飯おいしいね!」 ポニテ「」モグモグ 幼女「……?」 ポニテ「」モグモグ 幼女「ポニテちゃん、野菜食べないの?」 ポニテ「……」 幼女「たしか前も残してたよね、嫌いなの?」 ポニテ「……」 幼女「ポニテちゃーん、好き嫌いはよくないよ、こんなにおいしいのに」パクパク ポニテ「」イラッ ポニテ「」スッ 幼女「お?」 ポニテ「」パク 幼女「おー」 ポニテ「」パクパク 幼女「なんだ食べれるんじゃーん、だったらわざわざ残さなくても……」 ポニテ「げほっ!」 幼女「!? ポニテちゃん!?」 ポニテ「げっほ!ごほごほ、ごほっ」 幼女「えええ、だ、大丈夫!?あ、えと、せ、せんせ!ポニテちゃんが!」 ナンダナンダザワザワ 32: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/21(木) 17:00:15.65 :qn+HKYUN0 昼休み 幼女「ごめんなさい……」 ポニテ「……」 幼女「ま、まさか吐くほど嫌いだなんて知らなくて……」 ポニテ(吐くとか言ったらゲロ吐いたみたいじゃんやめてよ) 幼女「で、でも!昨日のこともあるから!これでおあいこだね!」 ポニテ「……」 幼女「今日も一緒に帰ろうね!」 ポニテ「」プイ 33: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/21(木) 17:04:30.38 :qn+HKYUN0 当番「これで帰りの会を終わります、きりーつ、さようならー」 ガヤガヤ 幼女「さてと……」 友「幼女ちゃーん」 幼女「あ、友ちゃん」 友「一緒に帰ろー」 幼女「あー……ごめん、今日別の友達と帰る約束してるから」 友「あ、そうなの?じゃあさ、ちょっとこれだけ話しときたいんだけど……」 幼女「何?」 34: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/21(木) 17:07:44.17 :qn+HKYUN0 友「じゃ、そういうことで、じゃあね幼女ちゃんまた明日」 幼女「うん、じゃあねー」ノシ 友「」スタスタ 幼女「……?」 幼女「はて、何か忘れているような……」 幼女「! そうだ!ポニテちゃん!」 幼女「い、いない……先に帰っちゃったんだ、私と友ちゃんが話してる間に……」 幼女「くそー、一緒に帰るって言ったのにー!いまから追いかければ間に合うかな……」タタタ 35: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/21(木) 17:10:38.39 :qn+HKYUN0 帰り道 ポニテ「はあ……」 ポニテ(一日中あいつに付きまとわれたし……) ポニテ(ほんとなんなのあいつ……友達になりたいとか、意味わかんないし……) ポニテ(はあ、もういいや、はやく帰ろ) ニャー ポニテ(……?) ポニテ(にゃー?) 子猫「ニャー」 ポニテ「!?」 36: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/21(木) 17:15:06.35 :qn+HKYUN0 子猫「ニャー」 ポニテ(え、え、猫?なんでこんなことろに……) ポニテ(ダンボール……捨て猫かな) 子猫「ニャー」 ポニテ(う、うわあ……ちっさ……か、かわ……) 子猫「」ジー ポニテ(こ、こっちみてる……) ポニテ(さわれるかな……) ポニテ「」ソー 子猫「ニャ」 ポニテ「」ナデナデ 子猫「ニャーン」 ポニテ(ふ、ふわふわだ……) 37: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/21(木) 17:18:00.57 :qn+HKYUN0 ポニテ「」ナデナデ 子猫「」ゴロゴロ ポニテ(だ、だっことか、できる?) 子猫「ニャ」 ポニテ「」ソー ポニテ「」ダッコ 子猫「」ゴロゴロ ポニテ「」ナデナデ 子猫「」ゴロゴロ 38: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/21(木) 17:21:05.28 :qn+HKYUN0 幼女「……」 ポニテ「ナデナデ」 子猫「」ゴロゴロ ポニテ「」ニコニコ 幼女「……ポニテちゃん?」 ポニテ「」ビクッ ポニテ「……あ」 幼女「」ジー ポニテ「」スッ ポニテ「」ダッ 幼女「」ガシッ ポニテ「うっ」 幼女「今日は逃がさないからな!」 ポニテ「わ、わかったよ、わかったから、どこにも逃げないからはなして」 39: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/21(木) 17:25:02.24 :qn+HKYUN0 幼女「お、ポニテちゃん口きいた」 ポニテ「もういいから、そういうの」 幼女「……猫?」 ポニテ「……うん」 幼女「捨て猫?」 ポニテ「ダンボールに入ってるから……多分」 子猫「ニャー」 幼女「ポニテちゃん今すごい顔してたよ、すごいニコニコ、にへーって」 幼女「ポニテちゃんってあんな顔するんだね」 ポニテ「っ……やめてよ」 41: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/21(木) 17:29:11.80 :qn+HKYUN0 ポニテ「」ナデナデ 子猫「ニャア」 幼女「かわいいねー」 ポニテ「うん……」 幼女「猫好きなの?」 ポニテ「まあ……嫌いじゃないけど」 幼女(嘘だ、嬉しそうだもん、すごい好きなんだ) 子猫「」ゴロゴロ 幼女「どうするの?」 ポニテ「なにが?」 幼女「拾っちゃえば?かわいいし」 ポニテ「……」 幼女「?」 ポニテ「うちのアパート……ペット禁止だから」 幼女「そうなの……」 42: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/21(木) 17:34:50.89 :qn+HKYUN0 ポニテ「……帰るね」 幼女「え」 ポニテ「……」 幼女「いいの?」 ポニテ「……」 幼女「ここの通り人少ないし、このままほっといたら……」 ポニテ「……でも」 ポニテ「ちゃんと飼えないのに拾うわけにいかない。衝動的に動いて無責任なのが、一番、ダメ」 ポニテ「……大丈夫、全く人がいないわけじゃないから。そのうちもっとちゃんとしたいい人が拾ってくれるよ」 幼女「……」 ポニテ「……ついてこないでね」 ポニテ「」スタスタ 幼女「……」 43: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/21(木) 17:36:50.51 :qn+HKYUN0 次の日の朝 ポニテ「」スタスタ ニャー ポニテ(あ……) ポニテ(今日もいる……) 子猫「ニャー……」 ポニテ「……」 ポニテ(はやく誰か拾ってあげれば……) 子猫「ニャ……」 ポニテ「……」 44: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/21(木) 17:38:13.88 :qn+HKYUN0 また次の日の朝 ポニテ「……」 子猫「ニャ……」 ポニテ(まだいる……) 子猫「……」 ポニテ(……やっぱり) ポニテ「」ゴソゴソ 45: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/21(木) 17:42:11.70 :qn+HKYUN0 数日後 当番「きりーつ、さようならー」 幼女「ポニテちゃーん!」 ポニテ「うわ、何」 幼女「今日は一緒に帰るぞ!久しぶりに!」 ポニテ「思い出したように……今まではどうしてたの」 幼女「あ、ちょっと新しく仲良くなった友達がいるからその子と帰ってた。でも今日はポニテちゃんと帰る」 ポニテ「じゃあずっとそうしてればいいじゃん……ついてこないでって言ってるでしょ」 幼女「ついてくるんじゃなくて、一緒に帰るんだよ、友達でしょ?」 ポニテ「友達じゃないからっ」 幼女「それに、あの猫の事も気になるんだよねー、どうなった?やっぱり誰かが拾ってくれた?」 ポニテ「……」 幼女「?」 46: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/21(木) 17:46:07.51 :qn+HKYUN0 子猫「ニャー」 幼女「ま、まだいるんだ……」 ポニテ「……」 幼女「あれ?でも……」 幼女「ご飯が用意されて……それにこの毛布……」 ポニテ「……」 幼女「ポニテちゃんがやったの?」 ポニテ「……うん」 ポニテ「毎朝……来るたびに」 幼女「へえ……」 ポニテ「あと……おしっこの処理とかも……した」 幼女「……ポニテちゃん」 ポニテ「?」 幼女「ポニテちゃんってやっぱりいい人だよね、優しい」 ポニテ「……」 ポニテ(優しい?私が?) 47: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/21(木) 17:51:54.89 :qn+HKYUN0 ポニテ「」ナデナデ 子猫「」ゴロゴロ 幼女「かわいー」 ポニテ「」ニコ 子猫「ニャー」 幼女「……」 ポニテ「……きなこ」ボソッ 幼女「……きなこ?」 ポニテ「あッ……いや、なんでも……」 幼女「?」 ポニテ「……名前」 ポニテ「きな粉色だから……」 幼女「へえー、いい名前じゃん!」 ポニテ「……」 幼女「きなこー」ナデナデ きなこ「ニャー」ゴロゴロ 48: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/21(木) 17:56:57.83 :qn+HKYUN0 ポニテ「はあ……」 幼女「どうしたの?」 ポニテ「ダメだよね……私」 幼女「え、なんで」 ポニテ「まともに飼ってあげられるわけでもないのにこんな風に相手して」 幼女「そ、そんなことないよ、ポニテちゃんはなにもダメじゃないよ」 ポニテ「育てられないのに、中途半端に可愛がって、そういうのが、ダメなんだよ」 ポニテ「わたしだって……」 ポニテ「……」 幼女「わたしだって?」 ポニテ「……なんでもない」 49: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/21(木) 18:03:28.29 :qn+HKYUN0 幼女「ねえ、やっぱりポニテちゃんが飼ってあげたほうがいいんじゃないかな」 ポニテ「え……」 幼女「ずっとお世話してあげてたんでしょ」 ポニテ「お世話っていうか……」 幼女「きなこもポニテちゃんになついてるし」 ポニテ「うん、でも……」 幼女「……やっぱりだめか」 ポニテ「前も言ったけど、ペット……」 幼女「……あのねポニテちゃん」 ポニテ「何?」 幼女「このまえね、お母さんに捨て猫見つけたから飼ってもいいかって聞いたら、ちゃんと世話するなら飼ってもいい、って言われたの」 ポニテ「……」 幼女「私はポニテちゃんが飼うのが一番よくって、ベストだと思うけど、ポニテちゃんも事情があるみたいだし」 幼女「ずっとこのまま放っておいたら可愛そうだから……ね?」 ポニテ「……」 50: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/21(木) 18:08:15.01 :qn+HKYUN0 ポニテ「」ダッコ きなこ「ニャーン」 ポニテ(なにそれ) ポニテ(それって、きなこが、幼女ちゃんちの猫になるってことじゃん) ポニテ(それって……) ポニテ(……) ポニテ(……でもきなこは私の猫じゃないし) ポニテ(幼女ちゃんの言う通りこのまま放っておいたら) ポニテ(それに) ポニテ(きなこも、そっちのほうが幸せだ) ポニテ「……」 幼女「……ポニテちゃん」 ポニテ「……お願い」 ポニテ「ちゃんと飼ってね」 幼女「うん!」 きなこ「ニャー」 54: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/25(月) 16:16:11.88 :bPvlw08s0 次の日 幼女「ポニテちゃーん、私結局ポニテちゃんの家知れてないんだけど」 ポニテ「知らなくていいから、そんなの」 幼女「なんでさー、友達なんだから遊びに行きたいよー」 ポニテ「だから友達じゃ……」 幼女「あ、そうだ、じゃあ逆に私の家に遊びに来る?」 ポニテ「別に、行く意味ないし」 幼女「そんなことないよ、一緒にあそぼーよーねー」 ポニテ「そんなことより」 幼女「?」 ポニテ「きなこ……どうなった?」 55: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/25(月) 16:20:37.51 :bPvlw08s0 幼女「あーうん!家にいるよ!」 ポニテ「どんな感じ?」 幼女「えっとね、最初は怯えててダンボールから出てこなかったんだけど……でもしばらくしたら出てきて、 ご飯も食べてた!私が外からねこじゃらしとってきて、それで遊んだよ!」 ポニテ「そう、元気なんだ」 幼女「うん!」 ポニテ「よかった……」 幼女「……」 ポニテ「……」 幼女「ポニテちゃん」 ポニテ「何?」 幼女「家、来る?」 ポニテ「え?」 56: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/25(月) 16:23:45.53 :bPvlw08s0 ポニテ「だから別に、行く意味ないって……」 幼女「意味ならあるよ!きなこ、見たいでしょ?」 ポニテ「……」 幼女「きなこもうすっかり元気だし、かわいいから見においでよ! きなこも、世話してくれたポニテちゃんの顔見て安心すると思う!」 ポニテ「そうかな……」 幼女「うん!」 ポニテ「……」 57: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/25(月) 16:29:05.77 :bPvlw08s0 帰り道 ワイワイガヤガヤ ポニテ「……」キョロキョロ 幼女「どうしたの?」 ポニテ「いっぱいいる……」 幼女「あー、ポニテちゃんの通学路人少ないもんねー、こっちの方角から帰る人多いから」 ポニテ「家、どこにあるの?」 幼女「んー、あっちらへん」 ポニテ「どっちよ」 幼女「あっち」 ポニテ「自分の家の地区の名前くらい憶えときなさいよ……」 58: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/25(月) 16:35:41.43 :bPvlw08s0 幼女「ふふふー、私の家ねー、畳屋なんだー」 ポニテ「畳屋?」 幼女「そ!家の隣にお父さんが畳つくるところがある!」 ポニテ「へー……」 幼女「あ、ここを曲がっていくんだよ!」 ポニテ(人通り少なくなってきた、みんなバラバラの方向に帰ったんだ) ポニテ「まだなの?」 幼女「もうすぐ着くよ」 ポニテ「」トコトコ 幼女「ふふ、隣」 ポニテ「?」 幼女「私今ポニテちゃんの隣にいる」 ポニテ「うん」 幼女「学校でも隣にいる」 ポニテ「うん」 幼女「えへへ」 ポニテ「何……へんなの」 59: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/25(月) 16:41:41.77 :bPvlw08s0 幼女「あ!着いたよ!ここだよ!」ユビサシ ポニテ「へー」 幼女「どう?」 ポニテ「どうって……別に、普通の家じゃん」 幼女「ここが畳つくるところ!」 ポニテ「……」 幼女「ここが玄関!」 幼女「あそこがトイレ!あそこが子供部屋!あそこが……」 ポニテ「ストップ、外から指さして説明されてもわかんないから」 幼女「そうだね!じゃあ入って」 ポニテ「……お邪魔します」ボソッ 幼女「おかーさーん!友達来たー!」トタトタ ポニテ「……」 60: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/25(月) 16:51:06.26 :bPvlw08s0 母「あら、こんにちは。ちょっと幼女、ちゃんと手洗いなさい」 ポニテ「こ、こんにちわ」 幼女「ポニテちゃーん!きなここっちにいるよー!」 母「えーと、来たことある子?」 ポニテ「あ、いえ、ポニテです。初めて来ました」 母「だよね、よかったー、私が覚えてないだけかと思った」 母「幼女も妹もいろんな子連れてくるのよー、全員ちゃんと覚えられなくって。このまえ初めましてって言ったら来たことありますって 言われて。いやでしょー、もう」 ポニテ「はは……」アイソワライ 母「あ、お菓子なんか持ってくるからちょっと待っててね」 ポニテ「あ、お構いなく……」 ポニテ「……」 幼女「ポニテちゃーん、こっちこっち!」 ポニテ「うん……」 61: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/25(月) 16:57:34.61 :bPvlw08s0 幼女「えーと、このダンボールの中に……」 幼女「……あれ」 ポニテ「いないじゃん」 幼女「おかーさーん!きなこはー?」 母「猫ちゃん?猫ちゃんなら妹がなんか持って行ってたわよ。はいチョコあったからあげる。幼女、一人で全部食べちゃダメよ」 幼女「食べないよ!はいポニテちゃん」 ポニテ「ああ、うん……それできなこは」 幼女「妹多分子供部屋にいると思う、来て」 ポニテ「うん」 幼女「」トタトタ ポニテ(階段……二階か、いいな……) 幼女「ポニテちゃんー」 ポニテ「」トタトタ 62: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/25(月) 17:04:13.83 :bPvlw08s0 子供部屋 幼女「いもうとーいるー?」ガチャ 妹「答えよ、そなたは何者じゃ」 きなこ「ニャー」 妹「ふむ、猫か。やはり吾輩は猫であるなら名前はまだないのか」 きなこ「ニャー」 妹「ならばつけてしんぜよう、うーぬ」 きなこ「ニャー」 妹「ニャー助!ニャーとなくからニャー助だ!ニャー助ー」ナデナデ きなこ「ニャーン」 幼女「……なにやってんの?」 妹「あッ、お姉ちゃんいたの?」 ポニテ「……」 妹「? お姉ちゃんの友達?」 幼女「そうだよ」 妹「ふーん」ジー」 ポニテ「……」 63: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/25(月) 17:09:48.49 :bPvlw08s0 幼女「ねえ妹、きなこかして」 妹「ニャー助は今私と取り込み中です」 幼女「にゃ、ニャー助じゃないよ、きなこだよ!いいからかして!」 妹「えーなにきなこって。ニャー助の方がイケてるー、ねーニャー助」ナデナデ きなこ「ニャー」 幼女「もういい加減にしてよ!きなこって名前はポニテちゃんが……!」 ポニテ「いいよ」 幼女「え?」 ポニテ「いいよ、ニャー助で。元々私に名前付ける資格なんかなかったし、 もう幼女ちゃんちの猫なんだから好きにつければ」 幼女「で、でも……」 妹「だってさーニャー助ー」ナデナデ 64: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/25(月) 17:14:05.19 :bPvlw08s0 幼女「……妹、一階にチョコあるよ」 妹「え、ほんと!?」 妹「」ガチャトタトタ ポニテ「……」 幼女「」ナデナデ きなこ「」ゴロゴロ 幼女「きなこー」ナデナデ きなこ「」トコトコ ポニテ「?」 きなこ「」スリ ポニテ「あ……」 きなこ「」スリスリ 幼女「やっぱりちゃんと覚えてるね、ポニテちゃんの事」 ポニテ「きなこ……」 きなこ「ニャー」スリスリ 65: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/25(月) 17:19:23.32 :bPvlw08s0 ポニテ「」ナデナデ きなこ「ニャー」 ポニテ「」ニコ 幼女「会えてよかったねー」 ポニテ「べ、別に……昨日も会ってたし」 きなこ「」ゴロゴロ ポニテ「……」 ポニテ(お別れ言わなきゃ、もう幼女ちゃんちの猫なんだから) ポニテ(いい家にこれてよかったね、きなこ) ポニテ(あ……そうか、もうきなこじゃないんだ) ポニテ(……) きなこ「」ゴロゴロ 66: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/25(月) 17:27:48.93 :bPvlw08s0 ポニテ「妹いたんだ」 幼女「うん!あとお姉ちゃんもいるよ!」 ポニテ「へえ……結構多いね」 幼女「うん!五人家族!」 ポニテ「五人と一匹、ね」 幼女「そっか!ねえポニテちゃんは兄弟いるの?」 ポニテ「いないよ、一人」 幼女「ほんとー?いいなー」 ポニテ「え、なんで」 幼女「だってさ!外で食事するとき喧嘩にならないじゃん!一人っ子だったらいつでも自分の好きな店に行けるでしょ!」 ポニテ「そんな理由……」 幼女「ポニテちゃんやっぱり外で食べるとき好きなとこ連れてってくれるの?」 ポニテ「……外食自体、あんましない」 幼女「そっかー、私が一人っ子だったら毎回あそこのレストランにするんだけどなー」 ポニテ「……」 67: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/25(月) 17:38:10.52 :bPvlw08s0 幼女「そうそう!ねえ聞いてよー!兄弟で思い出したんだけどさ!」 ポニテ「なに」 幼女「私自分の部屋持ってないんだよー!この部屋!子供部屋ってひとくくりにされてさ!妹と共有なの!」 ポニテ「ふーん」 幼女「しかもさ!それなのにお姉ちゃんは自分の部屋持ってる!ずるいでしょー、お母さんはお姉ちゃんが一番上だからって 言うけど、私だって自分の部屋欲しい!ねえ、どう思う?」 ポニテ「どう思うって言われても」 幼女「友達に聞いたらさー、私の部屋にはテレビついてるよー、とか。羨ましいなーほんと」 ポニテ「私の部屋テレビあるけど」 幼女「ほんと!?うわー!ますます行きたい!ていうか部屋あるんだ!いいなーいいなー」 ポニテ「……べつに、そんないいもんじゃないから」 幼女「ちぇー、部屋持ってるからそういうこと言えるんだよーぶーぶー」 ポニテ「……」 きなこ「」ゴロゴロ 68: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/25(月) 17:42:10.63 :bPvlw08s0 ポニテ「私、もう帰るね」 幼女「えっ!?まだ来たばっかじゃん!もうちょとゆっくりしてけばいいのに」 ポニテ「猫に会いにきただけで、遊びに来たわけじゃないから。もう十分」 ポニテ(お別れも言ったし) 幼女「そう……じゃあお見送りするね」 ポニテ「別にいいよ」 幼女「そんなこと言わずに」 69: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/25(月) 17:45:35.65 :bPvlw08s0 ポニテ「」トタトタ ガラガラ ポニテ「?」 姉「ただいまー」 幼女「あ、お姉ちゃん帰ってきた」 母「もう、姉も、ちゃんと手洗いなさい」 姉「わかってるよーもう、いちいち言わなくていいからさー」 ポニテ「……」 姉「お、知らない子」チラッ ポニテ「……」 姉「」スタスタ 70: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/25(月) 17:52:32.01 :bPvlw08s0 母「あら、ポニテちゃんもう帰るの?」 ポニテ「あ、はい、長くいると悪いので」 母「別にそんなことないのにー、またいつでも遊びに来てねー」 ポニテ「ど、どうも」 ガラガラ ポニテ「別に見送りとかいいって言ったのに」 幼女「それじゃ、次はポニテちゃんの家行くからね」 ポニテ「来なくていいから」 幼女「絶対行くから!」 ポニテ「うるさいな……」 幼女「じゃ、また明日」 ポニテ「うん……」 幼女「……」 ポニテ「……ニャー助」ボソッ 幼女「!」 ポニテ「よろしくね」 幼女「……」 ポニテ「」スタスタ 71: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/25(月) 17:58:30.81 :bPvlw08s0 幼女「待って!」 ポニテ「?」クルッ 幼女「私はね、ポニテちゃん」 幼女「きなこを飼うとは言ったけど、違うの。もらった訳じゃない」 幼女「ポニテちゃんは事情があるから、私がかわりなの。預かってるだけなの」 幼女「きなこは今でもきなこだし、きなこは今でもポニテちゃんの猫だよ!」ニコッ ポニテ「……幼女ちゃん」 幼女「だから、さ、これからもこうやって会いにおいでよ。きなこもポニテちゃんに会いたがってるよ!」 ポニテ「……」 幼女「ね?」 ポニテ「……」 ポニテ「……都合のいいこと言わないで」 72: ◆pCsbWLFMKc:2016/01/25(月) 18:04:48.55 :bPvlw08s0 ポニテ「そうやって調子いいこと言って、私を定期的に家に誘う気でしょ」 幼女「ええ、いや、そういうわけじゃ……」 ポニテ「私だってきなことお別れは嫌だったけど、もう、いいから、そういうの。余計な心配しなくても、いい」 ポニテ「今回の猫の一件で、仲良くなった気にならないで」 幼女「……」 ポニテ「……」 幼女「……」 ポニテ「……でも」 幼女「……?」 ポニテ「……ありがと」 幼女「……」 ポニテ「じゃあ、ね、また明日」 ポニテ「」スタスタ 幼女「」ニコッ 幼女「じゃーねー!ポニテちゃん!明日も一緒に帰ろうねー!!」ノシ ポニテ「」ノシ 74:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/01/25(月) 19:09:01.67 :aej0xtEro デレた! 読む →
2025年03月26日 22:30 ミリP「イツカノミライ」 元スレ 全てのレス 2: ◆5Zs67o7uls:2017/03/15(水) 23:51:02.66 :Onqs0ttV0 彼女はそこに座っていた つい先ほどまで事務所のソファに 窓から吹き込む風は事務所に入り、そしてそそくさと立ち去り心地よさを与えてくる 明日はかつて夢見た会場でのライブ 夢は現実になろうとしている 明日の開演は18時 そしていまの時間は10時 読む →
2025年03月25日 23:00 道明寺歌鈴「雨に想いを」 元スレ 全てのレス 2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/06/05(月) 20:11:55.80 :90zEq/8Po お仕事が終わっていざ帰ろうとすると、しとしとと雨が降っていました。 読む →
2025年03月19日 22:30 【モバマス】キモチを言葉に 元スレ 全てのレス 2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/03/03(木) 18:59:31.95 :BQNul1gr0 ああ そうだ やっと……やっとわかりました この気持ちの意味が そうだ これは 読む →
2025年03月14日 07:00 櫻井桃華「恋しい、愛おしい、プロデューサーちゃま」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/04/05(水) 17:13:20.26 :H3m5qLwCO ……プロデューサーちゃま。わたくし、分かりませんでしたの。 恋というものがどういうものなのか、分かりませんでした。 恋しい。恋い慕う。恋い焦がれる。 恋というものが、恋という気持ちが、恋という想いがなんなのか、分かりませんでしたのよ。 本では読みましたわ。 恋をして、恋に溺れて、恋に生きるいろいろな登場人物のお話は読みました。 考えてはみましたわ。 恋というのはこんな感じなのかしら、こうした風なのかしら、こういう心地なのかしら……と、そうして考えました。 恋する人は見ましたわ。 誰かに恋心を抱いて、誰かを恋しく感じて、誰かへの恋に染まった人たちの姿は見てきました。 でも、それでも分かりませんでしたの。 なんとなく、霧がかった想像で、もやもやした形では考えられるようにもなりましたけれど。 きちんと、しっかり、本当のそれがどうなのかということは分かりませんでしたの。 だから聞きましたわ。 恋とはいったい? 恋とはどういうこと? 恋をするというのは、どんな気持ちなのかしら? そう聞きましたの。 みんな……この事務所にいるアイドルのみんなへ、聞きましたのよ。 聞いて、そして教えてもらいましたの。 読む →
2025年02月22日 21:05 サーバル「こわい夢」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/19(月) 23:58:31.87 :IBiS+bJA0 「博士、少し聞きたいことが」 「なんですか、助手」 「実は昨日、かばんの作ったカレーを食べたのです」 「か、かばんのカレーを食べたのですか!? 一人だけずるいですよ、助手!!」がたっ 「最後まで聞いてください、博士。確かに私はカレーを食べていました。ですが、気づいた時には、普段寝ているベッドの上にいたのです」 「…………?? 助手が何を言っているのか、全然分からないのです……」 「夢ですよ」 「夢?」 「後で調べてみたら、図書館の本に書いてあったのです。ヒトは寝ている間に、脳が頭の中を整理します。その時に見る映像を『夢』と呼ぶのだそうです」 「そ、それなら知っているのです! まったく、分かりにくく言わないでほしいのですよ!」ぷんすこ (かわいい……) 「なんなのですか、その目は!」 「いえ……すみません、博士。今まで見た覚えがほとんどなかったので、つい珍しくて話したのです」 「それは仕方がないのです。夢は見ても忘れることが多いのですよ」 「……ですから、次からはカレーの夢を見た時は教えるのですよ! 博士にも食べさせろです!」 「ど、どうやって食べるつもりですか………………それより、私がその夢を覚えていたのはなぜでしょうか?」 「それはきっと、かばんのカレーのおかげなのです」 「カレー?」 「おそらく、自分の好きなものが出てきたから、強く記憶に残ったのです」 「なるほど…………ということは、逆の場合もあるのですか?」 「ありますよ。嫌いなものの出る夢も、記憶に残りやすいのです。例えば……」 「過去の思い出したくない出来事が夢に出てくることもあるそうですよ」 2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 00:02:43.34 :PoruoH2d0 大切なもの。 離したくないもの。 かけがえのないもの。 失いたくないもの。 いつも近くにいるのが当たり前で、気がつくと忘れている時がある。 「かばんちゃん!」 サーバルの隣にいるのは、さばんなちほーで出会ったヒトのフレンズ、かばん。 「なあに、サーバルちゃん」 「手、繋ご!」 「うん、いいよ」 二人は片方の手をぎゅっと握り合って歩く。手から感じるのは、じんわりとした温もり。ぐっと握れば、相手からぐっと握り返される、小さな幸せ。 その温もりは、セルリアンによって、一度失いかけたもの。 そして、みんなで救い出したもの。 「こうしているとね、かばんちゃんがちゃんとここにいるんだな、って思えて嬉しくなるの」 「ぼくも、こうしているのは好きかな」 「えへへっ……かばんちゃん、これからも一緒だよ」 「……うん、もちろんだよ、サーバルちゃん」 あれから二人は、一緒にいる時間が増えた。大切なものをまた失ってしまうのが怖くて、何となく気がかりだったから。 二人は時々、あの時のことを思い出してしまう。そんな時――心臓がどくどくと波打つ時は、いつも互いの手を握る。 お互いの存在を確かめるように、お互いの鼓動を合わせるように、二人は横に並んで歩く。 誰にも負けないと自信を持って言える、強い絆と、何にも変えがたい、たくさんの思い出を胸にしまって。 もう大丈夫だよ。もう離さないよ。 二人は相手に、自分自身に、そう言い聞かせる。 そんな二人のもとに、それは突然やって来た。 3:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 00:07:03.54 :PoruoH2d0 地響きのような音。辺り一面の真っ暗闇。 何も見えないのに、「何かがいる」と野生の本能が感じ取る。 その「何か」は巨体の向きをぐるりと変えて、一つ目が、ギョロリと私を見つめている。 大きな、大きなセルリアン。 そのあまりの巨体に、思わず頭が真っ白になる。 逃げなきゃ――! そう思った私は、すぐさま体を動かそうとする。 ……あれ? 動かない? いくら動こうとしても、体が言うことを聞こうとしない。逃げられない。 このままじゃ、私―――― どすん 「うみゃあっ!」 ぐらりと体の中心が傾き、その場で尻もちをついてしまう。 「いっ…………たた…………」 痛い。 ずきずきと痛みを感じて、体に力が入らない。 手でなんとか後ろに後ずさるが、それだけで逃げられるはずもなかった。それを見下ろすセルリアンは、大きな目を下に向けて、私をじっと凝視する。 あまりの大きさに圧倒されて、体から力が抜けてしまう。 ぐらっ セルリアンは大きく傾いた。 ああ。 私、死ぬんだ。 セルリアンの体に飲み込まれる直前、私の頭に浮かんだのは、その言葉だけだった。 4:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 00:10:06.22 :PoruoH2d0 「!!」がばっ 現実に引き戻され、飛び起きた私は、すぐさま辺りをきょろきょろと見回す。 今の、何? 木。野草。風の音。青い空。 セルリアンの姿は、どこにも見当たらない。 「すー…………すー…………」 隣で眠るかばんちゃんの寝息を聞いて、私はやっと我に帰る。私とかばんちゃんは木陰でお昼寝をしている真っ最中。夜行性の私が昼間に起きているのを心配したかばんちゃんが、私のために作ってくれた時間だった。 私が見ていたのはただの夢。 ただの、夢? それにしては、あまりにもリアルだった。 本当に、あれは夢なの? 「ち……違う」 違う、違う、あんなの違う。あんなの現実じゃない。 あんなの、ただのまやかし…………嘘に決まってる。 私もかばんちゃんも無事に生き延びて、今こうして生きている。それは揺るがない事実のはずだ。 でも………… それなら、どうしてあんなにリアルだったんだろう……? どくん、どくん、どくん 「っ…………」 おいしい空気で満たされているはずなのに、呼吸はやけに苦しい。 心臓の鼓動はまだ収まらなかった。 5:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 00:11:34.05 :PoruoH2d0 「ここは……?」 場所はおそらく、真っ暗な森の中。 目の前に立っているのは、また、巨大なセルリアン。 ただ、前の夢と違い、こちらの様子に気づいていない上、足が問題なく動く。 それなら早く逃げた方がいいと、私はセルリアンに気づかれないよう、ゆっくりと後退していく。 けど……何だろう? 何か違和感を感じる。 セルリアンの様子が以前とは違うような―― どさっ 「えっ……」 その時、セルリアンの体から何かが落ちてくるのが見えた。 見覚えのあるシルエットに、思わず背筋が凍りつく。 かばんちゃんの、かばんだ。 「かばん…………ちゃん…………?」 見たくもない、目を背けたくなる光景があると分かっていても、私はゆっくり、ゆっくりと視線を上へ動かしていく。 セルリアンの真っ黒い体の中に、かばんちゃんは一人、ぷかぷかと浮かんでいた。 6:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 00:15:18.84 :PoruoH2d0 その瞬間、恐怖の感情は消え失せ、逆に怒りが沸騰するように湧き出した。 「…………みゃ」 「うみゃあああああぁぁぁっ!!!」 さっきまで凍りついていた私の体は、反射的にセルリアンの体へと飛びついていた。 ぎらりと先を尖らせた爪で、がりがり、がりがりと、セルリアンを引き裂いて、 引き裂いて、引き裂いて、引き裂いて、 がりっ、がりっがりっ、がりりっ 「みゃあっ!! うみゃああぁっ!! 返して、返してよっ!! かばんちゃんを返して!!!」 がり、がりがりがり、がりっ 「みゃっ!! うみゃっ!! うみゃーーーっ!!!」 「はあっ、はあっ………………」 「かばんちゃんは…………怖がりだけど優しくて、困ってる子のためにいろんなことを考えて、とっても頑張り屋さんで…………」 「まだお話したいことも、一緒に行きたいところも、たっくさんあって…………」 「だから、だから返して……………っ」 「かばんちゃんを、返してよーーーーーっっ!!!」 世界に自分一人しかいないとさえ思えてしまうくらい、静かな夜の森を突き抜けるように、私の大きな声は辺りに響き渡った。 ぐらっ 「え…………きゃあっ!」 精いっぱいの思いもむなしく、私の体はやすやすと、セルリアンの黒い足に吹き飛ばされた。 7:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 00:16:49.01 :PoruoH2d0 「いたい…………っ…………」 私の攻撃に怖気づいたのか、それともただの気まぐれか、セルリアンはぐるんと向きを変え、どすどすと地面を鳴らしながら走り始めた。 「ま、待って、かばんちゃ……っ!」 ずきっ 「いたっ……!」 慌てて追いかけようとすると、ずきん、と足にひびが入ったかのような痛みに体が固まる。 吹き飛ばされ、勢いよく地面にたたきつけられた私の足は、思うように動かなくなっていた。 「そんな……いやっ、だめ…………だめ…………!」 私は両手で地面をひっつかみ、這いつくばって前に進もうとする。 だが、そんな悪あがきをしたところで、セルリアンとの距離が縮むはずもない。 セルリアンの足音は遠ざかり、小さくなっていく。 「…………やだ…………っ………………かばんちゃん………………行かないで…………」 「いや…………いやっ………………いやだぁ………………」 やがて、音の一切が聞こえなくなり、私の体力が尽きて動けなくなった頃、 世界は真っ暗な闇に包まれた。 8:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 00:19:15.37 :PoruoH2d0 「…………ちゃん…………かばん……ちゃん……」 「かばんちゃん!!」 「えっ?」 「うみゃっ…………あれ………………?」 「サーバルちゃん、どうかしたの?」 「あ…………かばんちゃん、生きてる……生きてるの?」 「え……何言ってるの?」 「かばん……ちゃん………………かばんちゃんっ!!」だきっ 「わっ、サーバルちゃん!?」どさっ 「よかった…………よかったぁ…………っ」 私は一目散にかばんちゃんに飛びつく。二人でごろごろとバスの中を転がって、バスの車体がぐらっと揺れた。 目の前のきょとんとしたかばんちゃんの姿を見ただけで、嬉しさと、安堵と、喜びでいっぱいになる。 ぎゅっと抱きついた場所から、かばんちゃんの体温がじんわりと伝わって、体と心を温めてくれる。 「本当にどうしたの? さっきまで苦しそうに唸ってたのに、起きたら急に飛びついて……」 「……あ、ごっ、ごめんね! 迷惑だったかな?」 「平気だよ。少しびっくりしたけど……それよりサーバルちゃんは……」 「え、えーっと、ほんとに何でもないから! 心配しないで!」 「そう? それならいいけど……」 かばんちゃんに嘘をついている背徳感からか、私はまっすぐに目を合わせることもできず、何も無い場所を見ながら言ってしまう。 ごめんね、かばんちゃん。でも、こんなこと言えないよ。 かばんちゃんが私の前からいなくなるなんて、そんなの私…… ずきっ (いやっ!) 心臓に針がささったような痛みを感じて、私はすぐに考えるのをやめた。 9:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 00:20:54.01 :PoruoH2d0 「カバン、今日ハジャパリカフェニ行クンジャナカッタノ?」 かばんちゃんの手元でちっちゃくなったボスが、ツッコミを入れるように言う。 「あ、そうでしたね、ラッキーさん。すぐ行きましょう」 かばんちゃんはボスにそう伝えると、いそいそとバスの運転席へと向かった。 巨大セルリアンを倒した後、私とかばんちゃんは「無事セルリアンを倒せた&かばん何の動物か分かっておめでとうの会」をゆうえんちで開催するために、各地のちほーを飛び回っている。 単にお誘いするだけの時もあるし、ちょっとしたお仕事を担当してほしいと頼んだりもする。みんなかばんちゃんのことが大好きだから、誰もが喜んで引き受けてくれた。 今日はこうざんのジャパリカフェに向かう日。 あそこにはカフェを営むアルパカ、紅茶を飲みに来るトキに加えて、最近新しく増えたお客さんも何人かいるらしい。 なるべくたくさんのフレンズに来てほしいなら、カフェでアルパカさんに宣伝してもらうといいと思う、と提案したのはかばんちゃんだった。かばんちゃんは本当に頭がいい。 「どんなフレンズが遊びに来るのか、今から楽しみだね」とかばんちゃんに後ろから話しかける。かばんちゃんは「そうだね」と楽しそうに返してくれた。 どく、どく、どく、どく………… 血液が波打つ心臓。鼓動はまだ速いまま。 …………大丈夫。かばんちゃんはすぐ目の前にいる。 大丈夫……大丈夫…… 私は自分に言い聞かせ続ける。 10:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 00:23:10.76 :PoruoH2d0 「ふわああぁ! いらっしゃあい! ようこそぉ、ジャパリカフェへ~」 「お久しぶりです、アルパカさん」 カフェの経営主であるアルパカは、以前バスの電池を充電しに来た時と何ら変わらない笑顔で、私たちを迎え入れてくれた。 「あんれぇ、二人とも久しぶりだねぇ! どうぞどうぞお、ゆっくりしてってぇ! これねぇ、新しい種類の紅茶なんだゆぉ〜。飲んで感想を聞かせてほしいなぁ~」 「ぜひ、飲ませてください!」 「あら、久しぶりじゃない。といっても、セルリアンの時以来かしら」 「トキさんもいたんですね」 「もしかして、また私の歌を聴きに来たの? ふふ、歌ならいつでも歓迎よ。ここに来るようになってから喉の調子がずっといいの」 「そのことなんですが……トキさん、その歌を、もっとたくさんのフレンズに聞かせたいと思いませんか?」 「……? それって、どういうこと?」きょとん 「へえ……なるほどね」 「PPPのみなさんも呼ぶ予定なので、コラボしてみるとかどうでしょう?」 「むふふ、いいじゃない。あのPPPと歌えるなんて光栄だわ。私の歌をフレンズに知ってもらうきっかけにもなるわね。お友達のショウジョウトキも呼ぼうかしら」 「ぜひそうしてください!」 「新しい紅茶持って来たよぉ~!」 トキとかばんちゃんが楽しそうに話していると、アルパカが新しく仕入れたという紅茶を持ってきた。 「いただきまーす!」 「あ、これおいしいです!」 「ほんとぉ? よかったぁ」 かばんちゃんの言葉はお世辞でもなんでもなく、本当においしい紅茶だった。何の植物を使っているのかは相変わらずさっぱり分からないけど、ちょっと嗅ぐだけで鼻の中にふわっと広がって、頭が痺れるようないい香り。 さっきまで冷えていた心も、紅茶が体の中からじんわりと温めてくれる。 11:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 00:24:32.69 :PoruoH2d0 「本当だ。すごくおいしい!」 「えへへぇ、褒めてくれてうれしいなぁ」 「ではここで一曲。すぅーー…………みんなで飲む紅茶はあぁ~~とってもぉ~~~最高なの〜〜よぉ~~~~」 「ふう……どうだった?」 「とっても素敵な歌でした! 前に歌ってた時よりもさらに良くなっていると思います!」 「むっふっふ……こう見えてちゃんと毎日練習してるのよ。PPPとコラボするなら、この歌声もさらに磨きをかけなきゃいけないわね」 「すごーい! PPPとのコラボ、楽しみだね!」 「そうだね、サーバルちゃん」 「あははっ……」 紅茶だけじゃない。お店の雰囲気も、アルパカの嬉しそうな笑顔も、トキの歌声も。 今は何もかもが温かい。 (ずっとこうしていられたらいいのにな……) 「……それにしても、あなたも大変だったわね」 「えっ?」 「飲み込まれたんでしょ、セルリアンに」 どきっ 「怖くなかった? 仲間を守るために飛び込むなんて、あなたは勇敢なのね」 「そんなことないですよ。あの時は必死で……」 だめ。 やめて、それ以上は。 12:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 00:26:48.07 :PoruoH2d0 「追い詰められた時に、獣の本性は現れるものよ」 「逃げずに立ち向かうなんて、かばんさんはすごいにぇ」 逃げずに立ち向かって、かばんちゃんはセルリアンに、 セルリアンに、 セルリアンに、 どく、どく、どく、どく、どく…… 「……サーバル?」 「……ぁ、え、何……?」 「あなた、顔が真っ青よ。具合でも悪いの?」 「ちが……何にもないよ……」 かたかたかたかた…… 「手が震えてるじゃない」 「違うの、これは……」 セルリアンの中に、 真っ黒い体に、 体に、 かばんちゃんが、 かばんちゃんが、 かばんちゃんが、 「気をつけてねぇ。セルリアンがいなくなったわけじゃないから、油断してるとまた食べ…………」 「いやあっ!!!!」 13:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 00:29:12.82 :PoruoH2d0 がちゃん! 「わああっ!! た、食べ…………!?」びくっ 「はあっ……はあっ……はあっ……」 「サ、サーバルちゃん、大丈夫!?」 「はあ………………はあ…………」 私、今、何して……? ゆっくりと顔を上げると、さっきまで飲んでいた紅茶が床に飛び散り、ティーカップは破片となって辺りに散乱していた。 「あれまぁ、どうしたのぉ?」 「ご、ごめんなさい! カップを割っちゃった……」 「カップなんて他にもあるからいいんだよぉ。それより大丈夫? けがはない?」 「……はい…………」 「よかったぁ。ちょっと待っててねぇ、箒とちりとり持ってくるからぁ」 アルカパは席を立ち、奥の部屋に掃除道具を取りに行ってしまった。 取り残された三人の間に、ずっしりと重たくなった空気が立ちこめる。 「…………」 「…………」 「…………」 「さ……サーバルちゃん」 「……何?」 「その……あんまり気を落とすことないよ。誰にでも、こういう失敗はあるから……」 「うん…………そう、だね…………」 ぐっ、と毛皮を掴む手の力が強くなる。 きゅっ、と唇を噛む力が強くなる。 目を合わせるのも躊躇ってしまう。 視界の端でかばんちゃんが、なんて声をかけたらいいのか、迷っている顔を見せていた。 14:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 00:30:34.26 :PoruoH2d0 そんなかばんちゃんを他所に、トキはぽつりと口を開く。 「……サーバル。あなたは何を見ているの?」 「……え」 「今のあなた、まるで別人よ。原因は分からないけど、ずっと何かに怯えた顔をしてる」 「あなたが恐れているのは、一体何なの?」 「っ…………!」 トキは鋭い。私が怯えていることに、もうとっくに気がついていた。 言うべき、なのかな。 確かに、今ここで全部吐き出してしまった方が、気分は楽になるかもしれない。 けど、ここで言ってしまったら、かばんちゃんは―― 「おまたせぇ! 箒とちりとり持ってきたよぉ~」」 私が口を開こうとするのと、アルパカが戻ってくるのはほぼ同時で、私たちの会話はそれきり打ち切られた。 15:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 00:32:38.33 :PoruoH2d0 夢は、終わることを知らない。 正しく表すなら、夢は「中断」と「再開」を繰り返す存在。 現実を蝕み、食い尽くし、あたかもこちらが現実だ、さっさと認めろと言わんばかりに主張する。 一度目を開けて現実に戻っても、次に目を閉じれば、また夢はやってくる。 夢の中では絶望に叩きのめされ、夢の外ではまた見る夢への恐怖に怯える。 夢に支配され、頭の中をぐちゃぐちゃに掻き乱されている気分だった。 夢を見るようになってから、私はかばんちゃんの側を離れられなくなった。 セルリアンがいないかどうか不安で、常に周囲を警戒しなければいけなくなった。 精神は日に日に擦り切れ、まともに眠れなくなったことで体力も次第に衰えていく。 私は次第に追い詰められていった。 16:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 00:35:01.08 :PoruoH2d0 「あ、あれ……ここは……?」 ここはどこ? どうしてこんなに真っ暗なの? セルリアンの中? 真っ暗な森の中? かばんちゃんはどこにいるの? 誰もいない。 何も聞こえない。 あるのはただ、一面に広がる黒一色。 真っ暗闇よりさらに黒い、真の暗黒。 「かばんちゃん、どこにいるの?」 私は問いかける。 かばんちゃんの声どころか、返ってくる音一つ無い。 嫌な予感がした。 「かばんちゃんっ!」 私は走った。 かばんちゃんの名前を叫びながら、どこまでも、どこまでも。 「かばんちゃん、どこにいるの!? 返事してーー!!」 「かばんちゃーーん!! 私だよーーー!!」 「かばんちゃーーん!!!」 けど、いくら走っても、ここは一面に暗黒が広がる世界。 私が発する音以外に、聞こえる音は何も無い。 17:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 00:38:04.86 :PoruoH2d0 いつの間にか、私は涙を流して走っていた。 「かばん……ちゃん……っ…………どこにいるの……っ」 「かばんちゃんっ…………はあっ……はあっ……」 見た目はヒトの姿とはいえ、特徴はサーバルキャットの頃と変わらない。 長時間走るのは得意ではなかった。 「っ…………かばん……ちゃんっ……!」 「はあっ…………」 やがて体力は底をつき、私はその場でうずくまった。 「かばんちゃ……げほっ……げほっ……!」 「げほっ、げふっ、げっ…………かば、んちゃ、げほっ……!」 持ち前の大きな声さえ枯れ果てて、もう上手く出せなくなっていた。 「う、ううっ、ううぅ……」 八方塞がりになった私の目から、涙がぼろぼろと溢れ出る。 私は、かばんちゃんを守れない。 ……いや、私には到底無理なことだったのかもしれない。 「さばんながいど」なんて言って、ジャパリパークについて教えて、何も知らないかばんちゃんを助けてあげようと思っていたのに。 何も知らないのは私の方だ。 かばんちゃんを救う方法も。かばんちゃんがどこにいるのかも。私は何も知らない。何もできない。 悔しい。悔しいよ。 「かばんちゃん…………」 鎖が心に巻きついて、ぎゅうぎゅうと私の心臓を締めつけるようで、涙と嗚咽に濡れた私は、ただ泣くことしかできなかった。 18:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 00:39:28.85 :PoruoH2d0 「…………サー…………ちゃん……」 「サーバルちゃん!」 「みゃっ…………!!」ばっ 飛び起きた私の目に映ったのは、ジャパリバス、かばんちゃん、そしてちっちゃくなったボス。 いつもの光景。 「おはよう、サーバルちゃん」 「あ、えっと……おはよう、かばんちゃん」 (また、夢……) 「サーバルちゃん、泣いてるの?」 「え?」 「だって、涙が……」 かばんちゃんに言われるまで気がつかなかったけど、私の頬には確かに幾筋かの涙が流れていた。 「な……泣いてないよ。これはその……あくびで出ただけだから」 「……そう」 もう何回目かも分からない嘘をつく。 「それじゃ、ここから早く出発したいから、バスに乗ろうか」 夢から目覚めた私はまだ夢うつつの状態で、言われるがままにジャパリバスに乗った。 昨日は確か、さばくちほーのフレンズに会いに行ったから……次に目指すのはこはんのはずだ。 19:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 00:41:42.65 :PoruoH2d0 前の座席に座ったかばんちゃんは、静かにバスを運転し始めた。 「無理やり起こしちゃったけど、もっと寝ていたかった? 着くまでまだ時間がかかるから、バスの中で寝てていいよ」 「ううん、私は大丈夫だよ。むしろ――――」 起こしてくれて、ありがとう。 そう言いたかったけれど、直前になって口を閉じた。かばんちゃんに不思議に思われたくなかったからだ。 ジャパリバスの車内は、無人のように静かだった。私が何一つ話さなくなったから、かばんちゃんも声をかけづらいのだ。 かばんちゃんはボスの代わりにハンドルを握っているから、前より自由におしゃべりできないけれど、それでも私たちは、バスの中でいつもたくさんの話をしていた。 出会ったフレンズの話。 周りの景色の話。 ジャパリまんの話。 私が動物だった時の話は、かばんちゃんにしかしていない。 今は何も話す気が起きず、ただただ気怠い。 それに加えて、頭にずきずきと痛みを感じる。 バスの中で横になろうにも、頭の痛みは治まらず、余計に意識がそこに集中される。 それでも、寝たらまたあの夢を見ることになるので、そうなるよりはよっぽどいいのも確かだった。 「っ………………ううっ……!」 バスの中で横になってからしばらく経っても、痛みは一向に治まる気配はない。 ……それどころか、痛みが少しずつ増していっている。 頭を刃物で突かれるような痛みが、奥深くまで突き刺すような痛みに変わっていた。 「ぃ…………っ!」 言うつもりは無くても、痛みが走ると条件反射のように苦痛の声をあげてしまう。 両側から挟み込むように手を置いて、少しでも痛みから気を逸らそうと、私は必死になっていた。 20:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 00:43:17.54 :PoruoH2d0 「――――サーバルちゃん」 かばんちゃんの声が聞こえて、私ははっと我に帰る。 こちらを向いてこそいなかったが、声色からは様々な感情が滲み出ていて、バスのハンドルを握る手に、僅かに力が入っているのが分かった。 「頭、痛いの?」 その問いが何を意味しているのか、この時の私には分からなかった。おそらく、かばんちゃんは私のことを試していたのだと思う。私が嘘をついているのか、ついていないのかを知るために。 「わ、私はへーきだよ。気にしないで……」 「っ…………!」 その時、私は確かに、かばんちゃんの息が詰まり、微妙に空気が揺れ動いたのを感じ取った。 やりきれない感情が鼻先まで詰まって、息をしようにも上手くできなくなる、そんな動き。 「……あのね、サーバルちゃん。今から言うことに、正直に答えてほしいんだけど」 「何?」 「サーバルちゃんは、どうして――――」 がたっ! 「うわっ!?」 「うみゃあっ!?」 突然、バスが大きく車体を揺らした後、やがて死んだように動かなくなってしまった。 「どうしよう、動かない……」 「何かあったの? バス死んじゃったの?」 「ドウヤラ、タイヤガ挟マッタミタイダネ」 外へ出て確認してみると、ボスの言った通り、バスの後輪が地面の溝にはまり、動けなくなっていた。 21:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 00:46:06.41 :PoruoH2d0 「どうすればいいの、ボス?」 「バスヲ押シテ、溝カラ出スシカナイネ」 「ええ、できるかなあ……」 「二人でやればきっとできるよ、やってみよ!」 「え、でも」 かばんちゃんは心配そうな顔をしていた。 「サーバルちゃん、体調は……」 「私は全然平気だよ! だから早くやろうよ、ね?」 「う……うん」 かばんちゃんはまだ疑っているように見えたけど、私が無理やり押し通して、最終的に渋々承諾した。 「じゃあ、いくよ……せーのっ」 「「えいっ……!」」 難なくバスを押し出してかばんちゃんを安心させようと、私は持っている力を全部出すくらいの意気込みでバスの背中を押した。が、二人の努力も空しく、どんなに押してもバスは微動だにしない。結局、力を入れて始めてからほんの数十秒で、私たちはその場にどさっと座り込んでしまった。 「はああ……やっぱり、重たいね…………」 「み…………みんみぃ…………」 この調子じゃ、到底動かせそうにない……とため息をついていた、 その時。 ガサッ 「!」ぴくっ 「かばんちゃん、今何か音がしなかった?」 「え、そう? ぼくは何も聞こえなかったけど」 ガサッ ガサッ 「ほら、やっぱりするよ。ガサガサって……」 22:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 00:49:44.94 :PoruoH2d0 「あ」 「サーバルちゃん……?」 「う……し……ろ……」 「……!!」 私もかばんちゃんも(そしてボスも)、お互いバスに夢中で全く気がついていなかった。かばんちゃんの背後から、セルリアンがわらわらと出てきていたのだ。 「セルリアン!……とりあえず、今はここから逃げよう!」 ガサッ 「!!」 逃げようとするかばんちゃんを遮ったのは、さらに別のセルリアン。背後だけじゃない。四方八方が埋め尽くされ、私たちは完全にセルリアンに取り囲まれていた。 数は少なくとも十体以上。さらに部の悪いことに、さばんなちほーでかばんちゃんが初めて出会ったのより少し大きいサイズの個体だらけだった。 「…………サーバルちゃん、悪いけど協力してくれるかな? ぼくが松明に火をつけてセルリアンを引きつけるから、そのうちに――――」 「――サーバルちゃん?」 「あ、あ、あぁ…………」 喉の奥に何かが詰まったように、私は上手く呼吸ができなくなった。バスの側面に背中がついて、これ以上動けなくなる。 じりじりと、少しずつ、確実に近づいてくる恐怖。無機質無感情な一つ目が、こちらを覗き込むように目を向ける。 怖い 怖い 怖い 怖い……! 「いや……いや、いや、いや、いや」 「サーバルちゃん、聞こえ――――」 「いやあああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」 「サーバルちゃん!?」 23:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 00:50:54.57 :PoruoH2d0 パニック状態に陥った私は、頭を抱え込んで、狂ったように叫び出す。 「いやっ!! いやああっ!! やだあああああぁぁぁっ!!!」 「サーバルちゃん、どうしたの!? 落ち着いて!」 「やだっ、やめてよっ!! かばんちゃんを奪わないでえぇっっ!!!」 「サーバルちゃん!!」 また、失う。 奪われる。 殺される。 目の前にかばんちゃんとセルリアンが並ぶだけで、あの映像が、あの巨体が、あの黒い黒い漆黒の闇が蘇ってしまう。 頭の中心はぐらぐらして、目は涙で濡れて、手足はがくがく震えて、恐怖に全身が包まれて。 頭がどうにかなってしまいそうだった。 かばんちゃんが私のもとへ駆け寄り、何か声をかけているらしいが、当の私はパニックになっていて何も聞こえない。 そうこうしているうちに、セルリアンは既にかなり距離を狭めていた。 かばんちゃんにも武器のたいまつはあったが、今から取り出しても間に合わない。 襲われるのを覚悟し、かばんちゃんが目を瞑ったその瞬間―― 三つの影が、私たちの上空を駆け抜けた。 24:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 00:52:44.41 :PoruoH2d0 ずばっ、ざしゅっと石が砕ける音がしたと思うと、一気に三体のセルリアンが倒れた。 「二人とも大丈夫ですか?」 「その声は……キンシコウさん! ヒグマさんとリカオンさんまで!」 「我々セルリアンハンターが来たからにはもう大丈夫ですよ! 今助けますから!」 ヒグマ、キンシコウ、それにリカオンの三人は、それぞれセルリアンの間を縦横無尽に駆け回り始めた。 そして、目にも止まらぬ速さで、次々とセルリアンに斬りかかった。 片方が注意を引き、その隙に片方が石を割るというように、見事な連携でどんどんセルリアンを倒していく。 あっという間に殲滅し、かろうじて生き残った数体は恐れをなして逃げ、セルリアンの影は辺りに一つも見当たらなくなった。 「ったく、世話かけさせやがって。私たちが通りがかってなかったら死んでたぞ」 「あらあら、二人の声を聞きつけて真っ先に助けに行ったのは誰だったかしらー?」にこにこ 「キンシコウ!!///」 「本当にありがとうございます。おかげで助かりました」 「お役に立てて良かったです。最近この辺でセルリアンが大量発生しているとの情報があったので、重点的にパトロールしてたんですよ」 ああ、よかった…… リカオンと話すかばんちゃんの余裕のある表情を見て、私は安堵の表情を浮かばせた。 でも、結局、私は何も出来なかった。 役立たずだ…… 25:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 00:56:45.49 :PoruoH2d0 「おい」 「…………」 「おい、サーバル!」 「えっ!?」 「おまえは大丈夫なのか?」 「あ、えっと…………私も大丈夫だよ。助けてくれてありがとう、キンシコウ、ヒグマ、リ――」 ずきっ 「!?」 「……サーバルちゃん?」 「いっ…………あぁっ…………!」 突然、激しい頭痛を感じた私は、あまりの痛さにその場から動けなくなった。 「うぅっ……」 どさっ ぐらりと足から崩れて、私の体はかばんちゃんにもたれかかる。 「さ……サーバルちゃん! サーバルちゃん!」 疲労、恐怖、焦燥感……さまざまなストレスが積もり積もった体は、もうとっくに許容量をオーバーしていたのかもしれない。 かばんちゃんの必死に叫ぶ声さえも、どこか遠い世界の出来事のようで。 私は再び目を閉じた。 夢は、いつまでも終わらない。 26:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 00:58:04.38 :PoruoH2d0 サーバルちゃんがおかしい。 それが可能性から確信に変わるまで、そう時間はかからなかった。 「ね、かばんちゃん。また手を繋いでいい?」 「うん、いいよ」 ぎゅっ 「…………?」 「っ……」 最初に違和感を感じたのは、手を握った時。 いつもより強く、僅かながら震えていたその手は、 まるで、ぼくが離れるのをひどく恐れているようだった。 「サーバルちゃん」 「…………」 「サーバルちゃん!」 「えっ…………どうかしたの、かばんちゃん?」 しばらく経つと、今度は意識を朦朧とさせるようになった。 目はうっすら半目で、考え事をしているのか、それとも何も考えていないのか分からない顔で、ただ何もない空虚を見つめていた。 話す時も、はきはきした声ではなく「へえ……」とか「そう、なんだ」と素っ気なく、やんわりした返答が返るだけ。 サーバルちゃんがサーバルちゃんじゃなくなったみたいで――――まるで何かに取り憑かれてしまったように見えて、ぼくは怖かった。 27:>>26からかばんちゃん視点です:2018/02/20(火) 01:01:02.68 :PoruoH2d0 「…………かばん…………ちゃん……」 「ん……?」 「いや……っ…………行か……ないで…………」 そして、寝ている時。 サーバルちゃんは何かにうなされていた。 体をがたがたと震わせて、何度もぼくの名前を呼び、目もとには涙をためていた。 左右の手は地面に向かって爪を立て、何かよりすがれるものを探しているように見えた。 うなされているサーバルちゃんに気づく度に、ぼくはサーバルちゃんの頭を優しく撫でる。そうすると、次第に彼女の呼吸も落ち着いてきて、普段通り眠れるようになる。 ぼくにできることはこれくらいしか無かった。サーバルちゃんのように夜行性じゃないから、知らない間にサーバルちゃんが苦しんでいることも、きっと何度もあるだろう。そう思うと胸が苦しくなった。 そういった日々が何日も続いて、ぼくは眠っているサーバルちゃんの顔を見ながら、密かに確信するようになった。 サーバルちゃんは怯えている。 それも、とてつもなく大きな何かに。 28:>>26からかばんちゃん視点です:2018/02/20(火) 01:03:36.73 :PoruoH2d0 「サーバルちゃん、しっかりして! サーバルちゃん!!」 ぼくにもたれかかったサーバルちゃんは、いくら声をかけても、一向に目覚める気配がなかった。 どうすればいい?どうしたらいい? 突然の事態に頭が混乱する。 「とりあえず、どこか安全な場所で休ませた方が良さそうですね……」 「……そういえば、この森を抜けた場所に『こはん』がありませんでしたっけ?」 「はい、ビーバーさんとプレーリードックさんが住んでいる……」 「そうそう、そこです。あそこならサーバルもゆっくり休めると思いますよ」 キンシコウはぼくに言った。こんな時でも、彼女は相変わらず冷静だ。ぼくにはその姿がとてもたのもしく感じられた。 「ただ、ここからだと少し距離がある場所ですけど……」 「それなら大丈夫です、ジャパリバスが……」 「…………そうだ、動けなくなってるんだった……」 セルリアンやサーバルに気を取られてすっかり忘れていたが、ジャパリバスはタイヤが挟まり、いまだに動けないままだった。このままだとどうすることもできない。 普段なら何かいい方法が思いつくのに、肝心な時に限って、何も良いアイデアが浮かんでこない。 「うう……どうすれば……」 「…………おい、リカオン。ちょっとこれ持っててくれ」ぱしっ 「えっ、別にいいですけど、何かするんですか?」 「……バスを押し出せばいいんだな?」 「えっ、ヒグマさん、やるんですか!?」 「あ、あまり無理しない方が……」 「つべこべ言うな。黙って見てろ」 ヒグマはバスの後部に手をかけると、両手に思いきり力を加え始める。 その途端、ずずず……と動きだし、バスはものの十秒ほどであっという間に押し出された。目の前の出来事に、キンシコウとリカオンまで驚いている。 29:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 01:05:20.06 :PoruoH2d0 「す……すごい」 「本当に一人で持ち上げるなんて……」 「こ、これくらい余裕だ。ほら、せっかく動けるようにしたんだ。さっさと行きな」 ぼくたちの反応に満更でもない顔を一瞬浮かべ、すぐさま慌てて目を背けたヒグマは、ぼくに声をかけて促した。 素直じゃないけれど、ぼくのことを思って言ってくれているのが伝わってきた。 「キンシコウさん、リカオンさん、ヒグマさん。本当にありがとうございました!」 「……じゃあな」 「またね、かばんさん。サーバルを助けてあげてね」 「気をつけてくださいねー!」 「はい!」 三人の優しいフレンズに見送られながら、ぼくはバスを走らせる。 目指す「こはん」まで一直線だ。 30:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 01:07:14.58 :PoruoH2d0 「……行っちゃいましたね」 「大丈夫ですかね、かばんさん」 「あの子は強いから、きっと大丈夫ですよ」 「一人であのでかいセルリアンに立ち向かったくらいですから、芯の強さは並大抵じゃ無いですよね。まあ、いくらなんでも無茶だとは思いますけど……」 「いいじゃない。大切な人を守ろうと全力で戦うなんて……」 「…………」 「……ヒグマ? どうかしたんですか?」 「…………うっ」くらっ 「ちょっ、ヒグマ!」 「はぁー……やっぱだめだ。キンシコウ、すまないが運んでくれないか」 「……やっぱり無理してたんですね」 「何も一人で持ち上げなくても……ぼくたちも手伝ったのに」 「……なんとなくな」 「え?」 「要は、かばんさんに少しでも良いところを見せたかったってことですね」 「そんなこと言ってないだろ!!」 「ふふ、冗談ですよ、冗談。担ぎますから、しっかり掴まっていてくださいね」 31:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 01:08:02.21 :PoruoH2d0 「…………あいつがあんなに落ち込んでるの、初めて見たな」 「かばんさんが、ですか?」 「ああ。出会ってから日が浅いってのもあるだろうが……それだけ大切な仲間が苦しんでいるのを見るのは辛かったんだろう」 「あいつは確かに強い。けどそれは、守りたいと思うフレンズ――サーバルがいたからなのかもな」 「……ふふ」 「……何がおかしいんだよ?」 「まさかヒグマが他人にそこまで同情するなんてね」 「なっ…………別にいいだろ。我ながら変だとは思うけど」 「それはおそらく、ヒグマにも守りたいと思うフレンズがいるんじゃないですか?」 「そりゃ、まあ……」ちらっ 「それって、もしかしてぼくたち……?」 「いっ、言わねーからな!!///」 「もう、素直じゃないなあ……」 32:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 01:08:52.15 :PoruoH2d0 再びバスに乗ったぼくは、ひたすら道を走り続ける。 ビーバー達の住む「こはん」はなかなか見えず、その焦れったさにぼくは苦しめられた。 時折、後ろで横になっているサーバルちゃんの声が聞こえてくる。 恐怖に怯え、苦しみを滲ませ、か弱く震えたその声が。 「サーバルちゃん……」 「アワワワワワ……」 「ラッキーさん、サーバルちゃんの苦しみを和らげられる方法はないんですか?」 「検索中……検索中……」 藁にもすがる気持ちでラッキーさんに聞いても、検索中という言葉を何度も繰り返すのみで、一向に回答は得られない。 残念だけど、こういう時に限って役に立てないのはラッキーさんも同じらしい。 一刻も早く、助けないと。 でも、もし、助けられなかったら? 答えのない問い、考えたくもない最悪の事態が頭の中に浮かんでは消え、浮かんでは消えを繰り返す。ハンドルを持つ手も自然と震えていた。 そうこうしているうちに、バスは森を抜けた。 33:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 01:09:59.80 :PoruoH2d0 ばっと太陽の光が差し込み、それに伴って視界が開け、バスはなだらかな丘に差し掛かった。あちこちに咲いた草花と、遠くにそびえ立つ雄大な雪山の景色は、何の煩いも無い人間が見たとしら、息を飲んで見とれるに違いない。 ……もっとも、今のぼくはその例外に当てはまるのだが。 バスを道沿いに走らせながら、ぼくは事故を起こさないよう注意しながら辺りを見回して、ビーバーさんたちが建てた、小さな木造の家が見当たらないか探した。 「……あっ、あれだ!」 森を抜けてからそう時間はかからず、ちょうど土地が低くなっている場所に、それなりに広い湖と、そのほとりに建つ家を発見した。 「あっ、かばんさんじゃないスか! お久しぶりっス!」 「ビーバーさん、助けてください! サーバルちゃんが……!」 「うええっ!? ど、どうしたっスか?」 事情をかいつまんで説明すると、ビーバーさんはぼくにサーバルちゃんが休めそうな木陰のある場所まで案内してくれた。ぼくはサーバルちゃんをバスからゆっくりと降ろし、落とさないよう慎重に運ぶ。 「サーバルちゃん大丈夫? ぼくの声、聞こえるかな?」 木の根元にそっと寝かせたサーバルちゃんに、ぼくは恐る恐る話しかけた。 「…………んん………………っ」 「……!」 「ぁ……かばん……ちゃん……?」 「サーバルちゃん……!」 「私………………あれ、ここは……?」 「サーバルちゃんはそこで休んでて。ぼくが水を持ってくるから」 ぼくはサーバルちゃんに代わって水辺へ向かい、両手になるべく多くの水を掬う。 それを彼女の口元まで持っていくと、少しずつ、ちろちろと舌を使って飲み始めた。 「ん……」 「そうそう、ゆっくりでいいからね……」 両手で作った器から水が無くなるまで与えたら、またぼくは水を掬いサーバルちゃんの目の前に持ってくる。 そんな行為を何回も、何回も繰り返した。実際は数回しかしてないはずなのに、ぼくにはそれが、とてつもなく長い時間に感じられた。 34:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 01:11:26.47 :PoruoH2d0 「……ありがとう」 しばらくして、サーバルちゃんはぼくの方に目を向けて言い――またすぐに逸らす。 まだ本調子に戻ったとは言い難いが、顔つきはさっきと比べるとだいぶ良くなっていた。 ただ、その顔に浮かべる表情は……笑顔で取り繕うことすらも諦めた、衰弱しきった顔色だった。 「いいんだよ。ぼくはサーバルちゃんが良くなってくれれば、それで…………」 「うん…………」 「…………」 話すことが無くなると、またぼくたちは黙ってしまう。サーバルちゃんはあまり目を合わせようとしないし、ぼくは何も言い出せない。静寂を埋めるかのように、二人の間に風と水のせせらぎが通り抜ける。 ぼくはサーバルちゃんの横にぺたんと座って、彼女の髪をすっと撫でた。ぼくは苦しかった。サーバルちゃんが薄目になって気持ちよさそうな表情をするのが、唯一の救いだった。 こんなこと、今まで無かったのに。サーバルちゃんはいつも元気で、いつも笑顔で、いつもぼくを楽しませようとしてくれた。ぼくはそれにずっと支えられていたから、どんなに困難があっても乗り越えることができたのに。 今のサーバルちゃんは、まるで別人だ。 こんなに元気がなくて、疲れ果てて、弱った姿なんて、見たことがない。 ぼくは一体、どうすれば…… 「カバン、チョットイイカナ」 しばらくして、腕に巻かれたラッキーさんが、ぼくに向かって話しかけてきた。二人きりで話したいと言われたので、ぼくはサーバルちゃんから少し離れた場所に移動した。 「今日ハココデ一泊シヨウカ」 「えっ…………」 口を開けるやいなやの提案に、ぼくは驚いた。 もともとラッキーさんには、いままでに出会ったフレンズさんと再び会うために、これまで旅をしたルートをもう一度回ると予め伝えていたし、今日だってその予定のスケジュール通りに動いていた。 こんな状況とはいえ、ラッキーさんの方から予定の変更を提案するなんて、ぼくは思ってもみなかったのだ。 「サーバルノ苦シミヲ和ラゲルタメダヨ。カバント二人キリデユックリ過ゴスノガ、今ノサーバル二トッテ、一番気持チガ落チ着クダロウカラネ」 「ラッキーさん……!」 どうやら、さっきぼくがバスの中で見つけて欲しいと言った「サーバルちゃんの苦しみを和らげる方法」を、ラッキーさんはずっと探し、自分なりの答えを見つけてくれたみたいだ。 35:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/02/20(火) 01:12:57.16 :PoruoH2d0 「……確かに、ラッキーさんの言う通りです。分かりました。ぼくがなんとかしてサーバルちゃんを元気にしてみせます」 「ヨロシクネ。ソレカラ」 ラッキーさんは一旦間を置いた。 「サーバルガ何ニ苦シンデイルノカ、チャント聞カナキャダメダヨ」 「……はい」 ぼくが返事をすると、二人の会話は終わり、辺りは再び静かになった。 そう、分かっていた。 サーバルちゃんが何かに怯えているということに。 それなのに、何度聞いても、サーバルちゃんは平気なふりをして答えようとしない。 『サーバルちゃんは、どうして――――』 バスの中で言おうと思って、途中で中断されたあの言葉。 『どうして、教えてくれないの?』 今思えば、とても残酷な言葉だ。 サーバルちゃんの言葉を信じていないということになるのだから。 それでも、サーバルちゃんが何かを隠しているのは、もはや否定する方が難しかった。 ぼくだって怖い。 サーバルちゃんでさえ怯えてしまうような何かに、果たしてぼくは立ち向かうことができるのか。 再び彼女の笑顔を取り戻すことができるのか。 それを考えると、ぼくはとても臆病な気持ちになってしまう。 けど、今はそんなことを考えてなんかいられない。 あんなにサーバルちゃんが苦しんでいるのに、何もしないなんてできるはずがない。 「かばん殿ー!」 「あ……プレーリーさん!」 「お久しぶりであります! 元気でありましたか?」 「ぼくは元気…………んむっ!?」 「ん……ぷはっ。プレーリー式の挨拶であります!」 「あ、ああ……そんなのありましたね……(いまだに慣れない……)」 「かばんさん! サーバルの様子はどうっスか?」 「ひとまずは落ち着いたと思います。まだ元気は無いですけど……」 読む →
2025年02月21日 21:00 梨子「月がきれいね」千歌「!」 元スレ 全てのレス 1: ◆UUDpSWciis:2017/12/06(水) 01:00:21.69 :4ZJiHYISO 今日の月が円くてよかったので初投稿です 梨子「そう思わない?」 千歌「う、うん」 千歌(これってまさか、告白!?) 読む →
2025年02月20日 18:00 【ガルパン】エリカ「弱くて強いあなたに」 元スレ 全てのレス 1: ◆saI1ZNzQKuJn:2018/03/18(日) 21:33:38.81 :TwK3jZfv0 審判「黒森峰フラッグ車行動不能!大洗の勝利です!」 小梅「あーみほさんはやっぱり強いなぁ。練習試合とはいえまた負けちゃうなんて。」 大洗女子学園と黒森峰女学園の何度目かの練習試合、 車数を大洗に合わせていることもあってかここ最近は大洗が連戦連勝。 黒森峰の新隊長である逸見エリカはこの結果に表情を暗くさせていた。 読む →
2025年01月23日 19:30 貴音「外は白い雪の夜」 元スレ 全てのレス 1: ◆dY9RWPXaDQ:2015/01/22(木) 00:12:34.32 :E6AlHoQN0 「貴音」 「いや、もう気にならないよ」 「これまで何度も待たされたしな」 「はは、わかってるよ。事務所が変わってから、忙しくなったもんな」 「俺が、担当を外れてから…」 読む →
2025年01月21日 12:00 美希「恋人」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/21(水) 23:21:05.88 :GQ59esKU0 美希「…そんなに悲しい顔しないでほしいの」 美希「これで、もう会えなくなるわけじゃないんだし」 美希「出会ったこと、後悔してるなんて思ってないよ?」 美希「ミキも、楽しかったよ。もちろん、別れるのは悲しいけど…」 美希「でもプロデューサーは、これからもミキのプロデューサーなの」 読む →
2025年01月19日 21:00 真「結婚しようよ」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/01/21(水) 22:11:42.04 :GQ59esKU0 真「ねぇ、結婚しましょうよ」 真「…そんな、鳩が豆鉄砲食らったような顔しなくたっていいじゃないですか」 真「私はプロデューサーのこと、ずっと好きでしたよ?」 真「プロデューサーはどうなんですか?」 真「へへ…。その答えが聞きたかったんです」 読む →
2025年01月18日 21:00 千鶴「恋する凡人」 元スレ 全てのレス 1: ◆ksPx5/M7Wg:2016/01/12(火) 23:16:37.24 :eTT4YJw50 ・松尾千鶴ちゃんのSSです ・百合注意 2: ◆ksPx5/M7Wg:2016/01/12(火) 23:17:04.02 :eTT4YJw50 いつからだろう。 意識し始めたのは。 読む →
2025年01月18日 12:00 女「私は好きだよ、アンタの事」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/01/10(日) 23:31:08.78 :YSY4iPZSo 友「……またここにいたんだ」 女「なんだ、お前か」 友「……今、何か隠した?」 女「お前が来るなら別に隠さなかったよ」 友「……身体に悪いよ」 女「言われなくても分かってるさ」 友「……もう」 読む →
2025年01月13日 07:00 絵里「冬がくれた予感」 元スレ 全てのレス 1: ◆/mZLy8NPNI:2017/01/18(水) 19:51:32.42 :VUvytcqj0 初投稿です。のぞえりです。 BiBiの「冬がくれた予感」の世界観です。 2: ◆/mZLy8NPNI:2017/01/18(水) 19:52:51.26 :VUvytcqj0 12月24日 アキバの街角 「寒い・・・。」 今日は聖なる夜、クリスマスイブ。 街はカップルで溢れ、みんな笑顔で幸せな時間を過ごしている。 それはもう、見ているこっちが思わずにやけてしまうほど甘々だ。 こんなこと言っていたら勘違いされるかもしれないから一応私の名誉の為に言っておくが、私にだって恋人は居る。 彼女の名は東條希。音ノ木坂学院の三年生。 私のクラスメイトだ。 女子校で出会い、惹かれて、告白して、付き合った。 世間から見たら異常かもしれないが、 私達は互いに心の底から愛し合っている。 ラブラブでお似合いな二人(ふうふ)なのよ。 今日、その希と一緒に居ないのには訳がある。 と言っても大した訳ではない。 私がつまらない意地を張っただけ。 ・・・何であんな事したのかしら。 読む →
2025年01月12日 22:35 女「私さ…」男「そっか」 元スレ 全てのレス 1: ◆nRrk0j/cII:2017/01/09(月) 22:54:55.66 :k5oh5eLS0 もっと触って もっと確かめて 私の存在を証明して それができるのは貴方だけ それが分かるのは私だけ ほら雨が降り出した この雨みたいに混ざり合おう ずっと一緒に 永遠に 読む →
2025年01月12日 07:00 【ガルパン】 紗希「…梓…涙」 梓「…紗希…涙」 元スレ 全てのレス 2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/01/27(金) 00:53:33.99 :IMwBNu+gO 3 梓 『いつからだろう…』 『紗希は極端に口数が少ない、そのうえぼんやりとした見た目から頼りない印象を与えがちだ、でも他の装填手と比べて決して技術が劣るものではなかった。』 『無駄のない動き、確実な装填は砲手との間合いを狂わせることはない。それは車長として頼もしい心の支えだった。』 『なにより支えとなったのは紗希は一度も愚痴をこぼしたことがない。戦車の中が「暑い」「寒い」「うるさい」「狭い」こんなことは日常会話の中だったが紗希からは一言も聞いたことがない。』 『試合や練習で早々と撃破されてしまった時は「何やってんのよ!」とメンバー全員に怒鳴られたが、紗希は違った。心配そうな目で私を見たあと、優しくそっと微笑んでくれた。』 『目が合えばいつも優しく微笑んでくれる。』 『試合前、その笑顔は緊張で潰されそうな私をいつも救ってくれた。何度その笑顔に救われたことか?』 読む →
2025年01月08日 21:00 【ラブライブ】雪穂「夕暮れのプリンセス」 元スレ 全てのレス 2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/01/09(月) 02:22:50.36 :mmYkrG800 ~ 昔、お姉ちゃんとことりさんと海未さんと一緒に、隣町に遊びに行ったことがある。 でも、道にはぐれてしまった。 雪穂『どうしよう海未ちゃん。ことりちゃん とお姉ちゃんとはぐれちゃったよ!』 海未『大丈夫です。雪穂は私が何があっても 守ります。』 雪穂『でも、道に迷っちゃったよ?』 海未『大丈夫です。確か、ここを通れば…』 そう言った海未さんは、誰よりもかっこよくて… しばらくついていくと、 海未『ほら、見てください!雪穂!この道、 覚えているでしょう?』 読む →
2025年01月06日 23:00 女「理由なんてさ…」男「そっか」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/01/04(水) 00:20:43.86 :Zo82c8PU0 鳥が一羽カゴの中 飛びたそうに外を見る 鍵はかかっていないけど 開ける者は誰1人としていない 他者を拒んだ鳥は悔やんだ しかし遅かった 誰も来ないまま鳥は羽を失った 羽ばたくことを恐れたから 自ら羽をもいだことすら 自覚できていなかった 読む →
2025年01月03日 07:00 (デレマスSS)渋谷凛「涙の雨」 元スレ 全てのレス 1: ◆stww/BS79E:2016/01/03(日) 20:28:44.00 :A+8yXyVa0 デレマスSSです。 注意事項としまして、このSSは百合です。 苦手な方はお気を付けください。 2: ◆stww/BS79E:2016/01/03(日) 20:30:14.34 :A+8yXyVa0 いつも通りのレッスンの後だった。 「ねぇねぇ、しぶりん♪」 いつもの明るい声で未央が話しかけてくる…でも内容はきっと… 「未央?どうしたの?」 私はその先の言葉を分かっていながら未央の言葉に付き合う。 「にっひっひー…最近、ある方とお熱い仲だと噂なのですが…真相はどうなのですかな~?」 イタズラな笑顔での質問……その内容は、ここ数日ずっと繰り返されているものだ。 私は、何度も無視をしようとしていたけど……流石にそこまで出来なくて…… 「またその話?今日だけで3回目なんだけど?」 でも、やっぱり少し飽き飽きしてしまって、不機嫌だと分かるように伝える。 「ちゃんと答えてくれれば終わるんだよー!」 未央は1回目や2回目と同じように怒ったようなしぐさで答えを求めてくる。 『暖簾に腕押し』ってこういうことを言うのかな…… 「そんなの私の勝手でしょ」 さっきより、少し強めに突き放そうとしてみる。 けど…… 「そ・れ・に!うら若き乙女としては、コイバナは気になるものなのだよ!」 やっぱり暖簾に腕押しだった…… なら、話題を変えてみようかな? 「それより未央、次のライブの準備は大丈夫?」 「この未央さまはばっちりである!」 「追加のリクエスト曲もあるけど、そっちも?」 「そっちは……きっと大丈夫!」 何とか話題は変わったかな? 私は、その未央の返事の間に荷物をそそくさとバックに詰めて、 一気に帰り支度を終わらせる。 「じゃあ、また明日」 そして、一瞬の隙を見てレッスンルームの控え室から出て行った。 「あ、しぶりーん!逃げないでよーー!!」 何とか……今日も逃げられたかな? そんなことを考えながら事務所の問の前まで来た。 読む →
2024年12月30日 18:00 【ミリマス】百合子「「私は卑怯だ」」杏奈【グリマス】 元スレ 全てのレス 2: ◆LaAqvoH0NE:2015/12/26(土) 02:48:45.61 :bIU819BG0 私には好きな人がいます。 それはとても大切な仲間。 一緒に仕事をするときも、一緒にゲームをするときもいつでも仲良くしてくれる大切な友達。 前から変なもやもやが心にかかっていました。 読む →
2024年12月28日 18:00 「待ち合わせ」 【ミリオンライブ】 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/12/24(日) 21:48:21.97 :icNS8jpJO 君にもメリークリスマス 2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/12/24(日) 21:51:41.13 :Ze4I81eZO 12月24日、東京。 街は色づき、待ちゆく人も楽しそうな顔つきを心ないししている気がする。 そう、今日はクリスマス・イブ。 駅前からちょっと離れた、少しだけ駅の喧騒から離れた場所。 道路ぞいに街路樹と電灯が交互に立っている街路樹の下で。 読む →
2024年12月26日 21:00 千歌「ラストクリスマス」曜「特別な君へ」 元スレ 全てのレス 1: ◆PChhdNeYjM:2017/12/25(月) 02:05:04.91 :C2hlEurIO ――― ― 千歌「ハー……」 曜「うぅ、寒い」 千歌「息が白いねー」 曜「なんでこんな日にバイト入れちゃったかなあ」 読む →
2024年11月29日 07:00 幸子「月がきれいですね」 元スレ 全てのレス 2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/11/25(土) 23:26:53.58 :8Me0A/7o0 P「ん…そうだな…」 幸子「……まあ、月よりボクのほうがカワイイですけどね!」 P「きれいとカワイイは違うと思うぞ」 幸子「そこはカワイイって言ってくださいよ!」 P「ハイハイ、カワイイカワイイ」 幸子「その適当なのやめてください!」 P「いやあ、確かに今日の月は奇麗だな」 幸子「露骨に話題を変えないでくださいよ!」 読む →
2024年11月27日 18:00 【艦これ】提督「うちの金剛は処女ビッチ」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/08/04(金) 23:54:02.20 :INjWsPWK0 艦これもSSも初心者です。拙い文ですがご了承下さい。 この提督の性別は男です。 金剛「ヘーイ!提督ゥー!貴方の愛しの金剛が帰ってきたデース!」バーン 提督「金剛……ドアは静かに開けようね」カキカキ 金剛「うぅ……少しでも早く会いたくて……スミマセーン……」 「それより提督ゥー……二人きりの提督室……今なら何をしても大丈夫デスヨ?」タニマヨセ 提督「執務中だから無理かなぁ」カキカキ 金剛「む……でも提督の主砲はそんなになって……ないデスネ……」 提督「そろそろティータイムの時間だろ?比叡達が待っているんじゃないか?」 金剛「そういえばそうデシタ!悔しいデスケドこの続きはまた今度にするデース!」バーン 提督「……」フゥ…… 読む →
2024年11月08日 22:30 女「好きだよって…それだけ」男「そっか」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/12/02(金) 23:35:45.97 :byq5W9Mg0 恋をした。 好きだった。 それはもう何年か前の話。 私が恋をした彼は不思議だった。 そこにいるようでいないような、 どことなく哀しげな雰囲気で、 またあるいは貴族のように気高く、 ときどき天使のようにふわっとしていた。 彼の持つ世界観がそうさせていたのだろう。 読む →
2024年11月08日 21:00 マキ「ヘッドセットの中で君を探す」 元スレ 全てのレス 1:ixItZzdx0:2016/12/02(金) 22:54:46.50 :7S1DcAfN0 昼下がりの教室 午前の授業での疲れと昼食で満たしたお腹のせいで睡魔と格闘しているものが大半で マキ「ううー...」カクカク この少女もまた、その一人である マキ「・・・」 マキ「...!」ハッ マキ(ヤバイ、今寝てた) マキ(くそう、こんな時にゆかりんと同じクラスなら...) 読む →
2024年10月20日 12:00 【ブルアカ】カヨコ√に入った 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2024/10/19(土) 19:16:14.14 :FPzf9Wlv0 そろそろ出ようと扉に手をかけたところで、カヨコは立ち止まった。 玄関の外から慌ただしい物音が徐々に近づいてきていた。沈黙し、手を戻して、数歩だけ扉から下がった。 ドタバタとした足音が扉の前で止まって、 「ああ、もう…鍵、鍵…!」 慌てた声と身をまさぐる音が扉の向こうから聞こえてくる。 「開いてるよ」 カヨコが声を掛けると、扉の向こうにいる人物が押し黙った。 すぐに扉が開くと、驚いた表情のアルが顔をのぞかせた。 「カ、カヨコ…?今日は、有給じゃなかった…?どうして事務所にいるの?って、それどころじゃなくて!」 言いながら、焦った様子で事務所に入り込んで、カヨコの横を慌ただしく通り過ぎる。 「今日、三人で仕事してたんじゃなかったの?」 「そうなのよ…!今もう、大変で…!」 自席に駆け寄るアルを目で追いながら、扉に背を向ける。 パーカーのポケットに手を突っ込んで、ドタドタと忙しない物音に近づいた。 読む →
2024年10月15日 19:30 乃莉「線香花火の君へ」 関連SS なずな「打ち上げ花火の君へ」 乃莉「線香花火の君へ」 元スレ 全てのレス 2: ◆K27FRRVqmQ:2016/10/14(金) 20:46:21.33 :v/vb2/8JO 玄関のチャイムが鳴った。 私はヘッドホンを外すと、一旦パソコンをスリープにしてから玄関に向かった。 宅配便とか、そんなんだったら別に付けっぱなしでもいいんだけど。 でも、手が勝手に電源ボタンを押していたのは、なんとなく予感めいたものがあったからなんだと思う。 これから楽しいことが起こるような、そんな予感が。 なずな「乃莉ちゃん」 乃莉「あ、なずな」 ドアを開けると、なずなが立っていた。 読む →
2024年10月15日 07:00 なずな「打ち上げ花火の君へ」 関連SS なずな「打ち上げ花火の君へ」 乃莉「線香花火の君へ」 元スレ 全てのレス 2: ◆K27FRRVqmQ:2016/10/12(水) 18:19:47.57 :KohKIjyCO 視界の端で、何かが光ったような気がした。そちらを向くと、携帯のライトがゆっくりと赤く点滅している。 画面を見ると、乃莉ちゃんからメールが来ていたみたい。着信時間は……4時ってことは、もう1時間くらい過ぎている。 急ぎの用だったらどうしよう。ちらっとそんなことを考えたけれど、本当に急いでるなら階段を上がってうちに来ればいいだけだから、 ちょっとメールに気付かなくても大丈夫かな、なんて思いながら、乃莉ちゃんのメールを開いた。 近くで花火大会あるみたいだけど、なずな、行ったことある? 花火大会かあ。 最後に行ったのは、確か中学の時に友達と。それからだいぶ前に家族で行ったこともある。 そういえば、そろそろ花火大会の季節だっけ。窓の外を見ると、水色の空をバックに真っ白な入道雲が伸びていた。 何回か行ったことあるよ とりあえずメールを返してから、ちょっとそっけなかったかなあ、と少しだけ後悔してしまった。 返事、遅くなってごめんね、とか。 花火大会っていつなんだっけ?とか。 それから……もしよければ、一緒に行きたいな、なんて。 話したいことはもっともっとあるのに、どうしてうまく言えないんだろう。 読む →
2024年10月14日 20:00 にこの選択 元スレ 全てのレス 2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/12(日) 00:33:39.03 :hmlKwuKq0 にこ「ずっと前から大好きだったの」 にこ「私と付き合ってください」 勇気を出して告白した でも 希「ごめんなさい」 希「にこっちの気持ちは嬉しいけど…本当にごめんなさい」 最初からわかってた 絶対に届かない存在だということはわかってた だってあの2人に付け入る隙なんかないでしょ 所構わず見せつけてくれてたもんね なにをするにもいつも2人一緒 こいつら夫婦かってぐらいベタベタして 私の気持ちも知らないで 読む →
2024年10月11日 19:30 にこ「タイムカプセル」 元スレ 全てのレス 1: ◆/CKI6UlDEfWN:2014/10/10(金) 08:58:06.27 :EVKxcKDW0 にこ「花陽、昨日のあれ、見たわよね?」 花陽「もちろん! もう流石って感じで……」 にこ「そうよね、歌もパフォーマンスも超一流で」 花陽「まさに!」 にこ「まさに?」 にこぱな「「生きる伝説!」」 にこ「よね!」グッ 花陽「うんっ!」グッ 読む →
2024年10月07日 19:30 ちなつ「ごらく部」 元スレ 全てのレス 2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/10/14(火) 00:13:01.10 :Sc7juh7n0 「おーす、みんな!」 いつものように、大きな声をあげながら襖を開ける。この二年間で染み付いた行為だ。 私は、この瞬間がとても好き。授業が終わってから、みんなの集まる部室に行くのが、たまらなく好きだった。 「あれ、今日はちなつちゃんだけ?」 綾乃に絡まれていた所為で来るのが遅くなったから、当然一年生の二人はもういるものだと思っていた。しかし、この和室を見渡す限りあかりはいない。トイレにでも行っているのだろうか。 「私だけで悪かったですね。あかりちゃんはお姉さんとデートがあるって帰っちゃいましたよ」 ちなつちゃんが、不貞腐れるように言った。 読む →
2024年10月07日 12:00 【ミリマスSS】琴葉「日記」 元スレ 全てのレス 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/05(日) 16:06:30.69 :Yr6qmuxh0 10/5 今日は私の誕生日だった。劇場のみんながプレゼントをくれるのもあってとても嬉しかった。…美也や瑞希ちゃん、麗花さんのはよく分からなかったけれど。 そうそう、今日から日記を付けることにした。というのも、プロデューサーに誕生日なんだから、何か新しいことを始めてみないか?と言われたからだ。 なぜ日記にしたのか私も良く分からない。 もしプロデューサーからの誕生日プレゼントが日記帳だったらそれを使いたかったけれど、仕方ないから昔お母さんから貰ったものを使っている。 これから忙しくなってくるけど、毎日短くてもいいから続けていけたらいいな。 読む →