2: ◆y7//w4A.QY:2017/03/11(土) 20:30:12.00 :RjIOA7Qm0
暑い夏の日だった。
バンドギア王国の郊外、ど田舎のミルー村でギラギラと照りつける太陽の下、ミラは前歯でアイスクリームのコーンを噛み砕いた。
巻き紙の部分をまわし、外周をかじっていく。内側のアイスを吸い舐め最後のコーンを口に放り込むと両手を打ち鳴らした。
ミラ「カケル、面白いものを見せてあげる」
整った切れ長の一重の目をチラリと向けて、眉をひそめる俺に含みをもたせてこう言った。どうせろくでもないと訝しみながらも、誘いに乗ることにした。
しばらく無言で歩きながら、やるせない気分のまま、ぼんやりと視線を流れる景色に向ける。
俺の気持ちは、いつも深い霧に包まれているようだった。
なぜ、こいつの家の近くに生まれたのだろう。
なぜ、こいつにいつも振り回されるのだろう。
なぜ、こいつは、こんなにも! 自己中心的なんだ!!
注意しておく。俺は別段、どこか体調がすぐれないわけでもない。ましてや精神を病んでるわけでもない。
一見して見れば絶世の美女とも見間違えるほど、ミラの容姿は整っている。うらやましがる物好きな連中がいるのも俺は知っている。
しかし、俺が我慢できないのは、ミラの傍若無人な振る舞いだ!
誰か! 変われるなら変わってくれ!
ミラには、もっとふさわしい世界があるはずだと俺は思う。
どんなに絶望的な状況も切り抜けられる、さながらの尻に火がつく事態も、けっして自暴自棄になることもなく、自己邁進して我が道を突き進む。
そんな漫画のような世界がミラには合ってるんだ――。
こんな、毎日を惰性に身を任せている俺とは違う。
何度も何度も逃げようとした。
ある時は――。
カケル『今日は用事が……』
ミラ『なんの用事? 終わるまで待ってあげる!』
また、ある時は――。
カケル『(よし、いないな……)』
ミラ『カケルっ!! ……なに驚いてるの?』
カケル「(お前から逃げようとしてたんじゃボケェっ!!)」
このように、ミラから逃げようとともがくほど、否応なく気がつかされたことは、恐ろしい勘で先回りされ、いつのまにか側に立っている。そんな状況だった。
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暑い夏の日だった。
バンドギア王国の郊外、ど田舎のミルー村でギラギラと照りつける太陽の下、ミラは前歯でアイスクリームのコーンを噛み砕いた。
巻き紙の部分をまわし、外周をかじっていく。内側のアイスを吸い舐め最後のコーンを口に放り込むと両手を打ち鳴らした。
ミラ「カケル、面白いものを見せてあげる」
整った切れ長の一重の目をチラリと向けて、眉をひそめる俺に含みをもたせてこう言った。どうせろくでもないと訝しみながらも、誘いに乗ることにした。
しばらく無言で歩きながら、やるせない気分のまま、ぼんやりと視線を流れる景色に向ける。
俺の気持ちは、いつも深い霧に包まれているようだった。
なぜ、こいつの家の近くに生まれたのだろう。
なぜ、こいつにいつも振り回されるのだろう。
なぜ、こいつは、こんなにも! 自己中心的なんだ!!
注意しておく。俺は別段、どこか体調がすぐれないわけでもない。ましてや精神を病んでるわけでもない。
一見して見れば絶世の美女とも見間違えるほど、ミラの容姿は整っている。うらやましがる物好きな連中がいるのも俺は知っている。
しかし、俺が我慢できないのは、ミラの傍若無人な振る舞いだ!
誰か! 変われるなら変わってくれ!
ミラには、もっとふさわしい世界があるはずだと俺は思う。
どんなに絶望的な状況も切り抜けられる、さながらの尻に火がつく事態も、けっして自暴自棄になることもなく、自己邁進して我が道を突き進む。
そんな漫画のような世界がミラには合ってるんだ――。
こんな、毎日を惰性に身を任せている俺とは違う。
何度も何度も逃げようとした。
ある時は――。
カケル『今日は用事が……』
ミラ『なんの用事? 終わるまで待ってあげる!』
また、ある時は――。
カケル『(よし、いないな……)』
ミラ『カケルっ!! ……なに驚いてるの?』
カケル「(お前から逃げようとしてたんじゃボケェっ!!)」
このように、ミラから逃げようとともがくほど、否応なく気がつかされたことは、恐ろしい勘で先回りされ、いつのまにか側に立っている。そんな状況だった。