2024年07月27日 12:00 高森藍子「それじゃあ問題です!」 元スレ 全てのレス 2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/08/23(木) 22:07:08.59 :F/HgQNzhO 藍子「それじゃあ問題です!」 藍子「私が美穂ちゃんを漢字一文字で表すと何?」 美穂「えー、なんだろう」 藍子「これね、絶対当たらないと思う」 美穂「えー、そんなに当たらないの。なんだろ、、」 読む →
2024年05月02日 07:00 小日向美穂「プロデューサーくん」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/03/30(木) 19:07:37.21 :KzC4Vy7jO 「ああ……ああ、ありがとうございます」 「本当に、ありがとうございます……プロデューサーさん」 「嬉しいです」 「とっても」 「心の底から」 「本当に本当に」 「私、嬉しいです」 「胸から溢れて湧いてくる熱いものに、身体の全部を溶かされていっちゃうのを抑えられないぐらい」 「気持ちよくて心地いい甘い痺れが、全身へ広がって奥へ奥へ浸み込んでいくのを止められないぐらい」 「幸せな温かさに全部を満たされて……どうしようもないくらいたまらなくなっちゃうのを、もうどうにもできないぐらい」 「嬉しいです」 「プロデューサーさんが私を選んでくれて」 「プロデューサーさんが私を受け入れてくれて」 「プロデューサーさんが私を好きになってくれて……他の誰よりも、私のことを愛してくれて」 「私は、嬉しいです」 「だから……プロデューサーさん、ありがとうございます」 「何度も伝えていることですけど」 「何回も贈っていることですけど」 「でもまた、もう一度、貴方に言わせてください」 「ありがとうございます」 「私を選んで私を受け入れて……そして、私を大切な唯一の相手にしてくれて」 「ありがとうございます、プロデューサーさん」 読む →
2023年10月10日 18:00 美穂「私のかわいい妹」 元スレ 全てのレス 2: ◆STv2N39zIfEc:2017/05/07(日) 20:55:14.03 :uqsOoVkc0 今日は、響子ちゃん受賞おめでとうパーティー、じゃなかった、響子のこと、受賞させてくれてありがとうパーティーをしました。受賞させてくれてありがとうだなんて、響子ちゃんらしいなあ……。 上京してから書き始めた日記も、今では書いてからじゃないと落ち着いて寝られない! ってくらい習慣になっちゃいました。 ただ書きたいことがたくさんありすぎて、書き終わるころにはいつも12時をすぎちゃいます。でも、それだけ毎日が楽しいってことだよね! 卯月ちゃんからもらったピンクのかわいいボールペンを置いたときには、12時を5分だけすぎていました。 読む →
2023年09月05日 15:05 モバP「あなたが好き」 美穂「え‥‥?」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/02/27(月) 18:39:03.56 :eZwaXIdCo モバP(以下P)「あなたを好き」 美穂「え‥‥えっと、そ、それは‥‥」 P「どう思う?」 美穂「ど、どうと言われましても、そ、そのぉ‥‥あの‥‥///わ、私は‥‥///」 P「俺は後者の方が日本語として好きだ」 美穂「‥‥え?」 ※短いです 読む →
2023年08月23日 18:00 藍子「ある日の昼下がり」 元スレ 全てのレス 1: ◆8dLnQgHb2qlg:2016/05/06(金) 19:06:33.62 :J9K9lNQH0 「おはようござい、まー……す」 とある冬の日。 ドアを開けながら元気よく挨拶をして……その声は段々萎んでいった。 ゆっくりと中に入って、静かにドアを閉める。 「すぅ……………………」 今日はそれなりに早く来たつもりだったけど、美穂ちゃんのほうが早かったらしい。 ドアの方を向いてソファに座って、熊のぬいぐるみを抱きしめながら眠っていた。 私が近づいて向かいのソファに座っても起きる気配はない。 「美穂ちゃんの寝顔、久々に見たなぁ……そうだ」 音を立てないようにバッグの中に手を入れる。 お目当ての赤いカメラは取り出しやすい場所にしまってあるから、すぐに見つかった。 「はい、美穂ちゃん。起きないでくださいねー……」 パシャ、と静かな部屋にシャッター音が響いた。 「…………ふみゅ」 これくらいでは起きないみたい。 「それじゃあ、もう一枚――」 「おはようございます♪」 写真を撮ろうとしたところで、ドアの開く音と共に明るい声が聞こえた。 「んぅ……」 「ちょ……卯月ちゃん」 少し身じろぎをする美穂ちゃんを見て、勢いよく振り向いてしまった。 「どうかしたの? 藍子ちゃん?」 そのまま無言で後ろを指差す。 「あっ、美穂ちゃんがお昼寝中だったんですね。ふふっ、かわいいです♪」 卯月ちゃんがそのままそっと歩いて近寄ってきた。 読む →
2023年03月21日 18:00 蘭子「わが根源の言霊とな…?」美穂「えと… 熊本弁ですか?」 元スレ 全てのレス 2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2014/03/30(日) 01:15:27.09 :kegcy7efo 蘭子「ふふふ… よくぞ聞いた! そは起源をいにしえの真言に求め…(熊本弁ですね! 私得意です!) 美穂「あ、あの… そっじゃなかとよ…」 蘭子「……………………ふぇ?」 美穂「えと… 蘭子ちゃん、前に私と熊本弁で、会話したよね…?」 蘭子「ともがらとの戯れであるか…(劇場263話ですね)」 美穂「なんか、あれで肩透かしを食らったヒトが居たみたいで…」 蘭子「…そは真か?(え、そうなんですか…?)」 美穂「あのね、そんでね、今度はホンキで熊本弁で喋ることになったと」 蘭子「……そぎゃん?」 美穂「そぎゃん」 読む →
2023年02月14日 07:00 緒方智絵里「困ったことになりました…」 元スレ 2:◆6RLd267PvQ:23/02/13(月) 22:02:25 :p1mT 智絵里「困ったことになりました…」卯月「智絵里ちゃん?」美穂「何か困ってる?私達で良ければ話、聞くよ?」島村「えー、この後プロデューサーさんに貢がせに行くのに」美穂「卯月」ニコッ島村「アッハイ」 読む →
2022年11月18日 20:30 モバP「バスケの練習?」 美穂「は、はい!」 元スレ 全てのレス 2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/04(月) 14:25:26.99 :GkURCnRM0 P「ああ…今回のスポーツ祭か。バスケにしたの?」 美穂「はい。ですけどあんまり得意じゃないんです……そこでプロデューサーさん、お願いがあります!」 P「練習に付き合えってか?」 美穂「えっ…」 P「俺じゃ嫌か…まあ俺も得意ってわけじゃないしな……他のひ」 美穂「プロデューサーさんがいいですっ!」 P「へっ…?」 美穂「だめ……ですか?」 P「あ、いや…ただ仕事が残ってるから一時間ぐらいね」 美穂「えっと…今からですか?」 P「もちろん、善は急げだ。行くぞ!」 美穂「あっ待ってください~」 読む →
2022年08月01日 15:00 五十嵐響子「トリクロマティック・ナチュレと美穂ちゃんの水着の話」 関連SS とりくろ!シリーズ:目次 元スレ 584:◆6RLd267PvQ:22/08/01(月) 01:28:05 :U6oL ~事務所~藍子「暇だなぁ」加蓮「嫌な予感しかしない」響子「同感です」卯月「あっ、響子ちゃーん響子ちゃーん響子ちゃーん」響子「えっ」藍子「もう少し緩急付けて…こうかな」ユルフワムゲンチカラー卯月「きょっきょっきょこちゃんきょこちゃんパッション!」デーレラジー加蓮「音MADだこれ」ジトメ 読む →
2022年07月05日 21:00 北条加蓮「トリ軟骨」 関連SS とりくろ!シリーズ:目次 元スレ 233:◆6RLd267PvQ:22/07/05(火) 00:06:45 :Yv3o ~女子寮・キッチン~加蓮「軟骨って凄いよね、食べられるし」ポリポリ美穂「そうなんですよ、煮て良し、揚げて良し、お酒のおつまみに良し…」響子「飲んでませんよね」美穂「だ、大丈夫だよ、まだちゃんと飲んだことは……」加蓮「ちゃんと」 読む →
2022年05月14日 22:30 P「美穂が寝ている…」 元スレ 全てのレス 2: ◆vFEWRAh8RU:2016/12/19(月) 22:56:48.10 :uxKj09or0 「…よし」 これで今日の仕事は片づけた。今日は早めに帰れそうだな…ん?美穂がソファで寝てる。そういえば… 読む →
2022年02月21日 21:00 美穂「スキ スキ スキ」 元スレ 全てのレス 2: ◆8nxXVxj6ho:2015/12/16(水) 00:02:31.66 :puUQS6LR0 ――某日・撮影スタジオ 美穂「ということで!わ、私たちピンクチェックスクールの新曲を聞いていただきました!」 響子「今度ミニライブも開催するので楽しみにしていてくださいねっ♪」 卯月「とびっきりの笑顔を見せちゃいます!」 美穂「せーの…」 3人「よろしくお願いします!」 スタッフ「はいオッケーでーす!今日の収録終了になりまーす。お疲れ様でしたー!」 3人「お疲れ様でした!」 タッタッタッタッ P「3人ともお疲れ!ばっちりだったぞ。美穂のMCも良かったな」 美穂「ほ、ほんとですか?良かったぁ…」 卯月「さすが美穂ちゃんでした!」 響子「うんうん♪」 美穂「えへへ…二人ともありがとう。二人と一緒だとリラックスできるかも♪」 P「いいことだ。それはそうと、今日はこの後3人ともオフになるけど…どうする?送ってくか?」 読む →
2022年01月31日 21:05 美穂「ちいさな冒険」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/05/02(土) 16:18:10.17 :H+ohExYo0 「あっお姉ちゃんだ!」 美穂「へっ?」 「お姉ちゃんっ! 探してたんだよっ!」 美穂「えっ…ええぇ?!」 読む →
2021年12月17日 07:00 【デレマス】普通だけど特別でいい時 元スレ 全てのレス 2: ◆iGEcIiQPPHZy:2021/12/16(木) 23:52:31.79 :pD97DDMz0 「撮影楽しかったですね!」 「また来年もやりたいね」 「絶対やろうね」 今日はP.C.Sでのクリスマス番組撮影日。 3人ともクリスマスのための特別な衣装を着てミニライブやミニゲームの様子を撮影しました。 ただ、ずっとがんばってきたつもりでも私たちはあくまで番組の一企画。結構頑張ってきたつもりだったけどクリスマス番組のメインには程遠い。 一番のユニットを目指すと誓ってからもまだまだその立ち位置は遠い。 普通の私たちが本当に一番になんてなれるんだろうか? 読む →
2021年10月20日 21:00 P「なに!? 美穂のはパンツがくまさんじゃないだって!?」 元スレ 全てのレス 2: ◆TJvIWD.URQ:2014/12/16(火) 00:16:19.79 :uLqocZOn0 P「それは確かな情報なのか、凛?」 凛「うん、確かな情報だよ。何せ一緒に銭湯に行ってきたまゆからの証言だからね」 P「まゆと美穂の二人でか、ちょっと意外だな」 凛「え、私とまゆの二人でだけど?」 P「いや、それだとお前たち、美穂のパンツを見る機会がないじゃん……」 読む →
2021年08月26日 12:00 武内P「私がハロウィンの仮装、ですか?」 元スレ 全てのレス 745:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/10/17(水) 20:50:50.99 :KuX77SX5o 小梅「う、うん……ダメ、かな……?」 武内P「駄目というわけでは、ありませんが……」 小梅「ほ……本当に? やってくれる……の?」 武内P「白坂さん監修、との事ですが」 小梅「うん……頑張る、よ?」 武内P「それはゾンビですか?」 小梅「……えへへ///」 読む →
2021年06月30日 18:00 武内P「何も聞いていません」 元スレ 全てのレス 138:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/07/21(土) 20:54:37.94 :NEnjp6wvo 美穂「ほっ、本当ですか!?」 武内P「はい、本当です」 美穂「本当に、本当に、本当ですか!?」 武内P「本当に、本当に、本当です」 美穂「……ふぅ~、良かったですぅ」 美穂「ぬいぐるみに、プロデューサーさんの名前をつけてるなんて……」 美穂「はぁ……聞かれて無くて、本当に良かったぁ~」ニコッ! 武内P「……」 読む →
2021年05月20日 12:00 武内P「恥ずかしがり屋を克服したい?」 元スレ 全てのレス 670:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/06/11(月) 09:19:16.35 :4+7Eg3wSo 美穂「は、はい……」 武内P「しかし、小日向さんはアイドルとして立派に活動されています」 美穂「そ、そうですか? でっ、でも……」 武内P「……」 美穂「いつか、大事な場面で恥ずかしがって、失敗したらと思うと……」 武内P「……なるほど」 読む →
2021年02月28日 09:00 【モバマス安価】P「暇つぶしに嘘でもつくか」 3 関連SS 【モバマス安価】P「暇つぶしに嘘でもつくか」:目次 元スレ 全てのレス 101: ◆bL5b7ovQmQ:2021/02/21(日) 21:19:54.74 :FKAiZFMu0 ~翌日~ P「嘘をつきたいのになぜか嘘をつけていない....」 P「これじゃタイトル詐欺で訴えられる可能性があるな....」 P「早く嘘をつかないと!」 誰が来た? >>103 103:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/02/21(日) 21:20:21.59 :/ZytvumrO 美穂 読む →
2021年02月14日 15:05 【モバマス】小日向美穂「ふふっ……今日はいっぱい甘えてもいいよ……♪」 元スレ 全てのレス 1: ◆7P/ioTJZG.:2021/02/14(日) 10:32:33.96 :FLtURqiy0 美穂「ね、私のこと、好き?」 美穂「もう、どうしたの、そんなに顔真っ赤にして。……あ」 美穂「もしかして、耳が敏感なんだ……じゃあ♪」 美穂「ふーっ、ふーっ……どう、かな?」 美穂「こっちの耳も同じように……ふーっ、ふーっ」 美穂「ふふっ、女の子みたいな声出してる……かわいい……♪」 読む →
2020年05月08日 23:35 【デレマス】忍「二人で」美穂「お仕事」 関連SS 【デレマス】朋「フォーチュン・ドリーマーズの」日菜子「お仕事」 【デレマス】忍「二人で」美穂「お仕事」 【デレマス】忍「智絵里ちゃんと」美穂「お仕事」 【デレマス】愛海「二人で」七海「お仕事」 元スレ 全てのレス 1: ◆lrSDAkq2tQ:2020/05/08(金) 23:18:31.09 :4AL72qk10 工藤忍「ちょっとプロデューサーさん、大変だよ!」 P 「どうした?忍と美穂の出番はもうすぐだぞ」 忍 「だから問題なの!撮影直前になってこんなこと…とにかく楽屋に来て!」 P 「あ、ああ」 ~楽屋~ 小日向美穂「はぁ…私、すぐ緊張しちゃって…」 P 「お疲れ、美穂」 美穂「緊張の解き方…プロデューサーさんと見つめ合ったり?…あわわっ」 P 「相変わらずだな。本番直前はやっぱり緊張するか」 美穂「ふぅ…。落ち着くために、プロデューサーさんを見てようかな」 P 「ははっ、何だそりゃ。こっちが恥ずかしいじゃないか」 忍 「呑気に会話してるけど、何か気付かない?」 P 「何かって、別段おかしいところは…。普段通りの美穂にしか見えない」 美穂「プロデューサーさんが側にいると元気が出ます!」 P 「そう言ってもらえると嬉しいよ。忍も何か言ってやれよ」 忍 「無駄だよ。今の美穂ちゃんとは会話が成立しないよ」 P 「何だ?すぐあがって会話どころじゃなくなるからか?」 美穂「遊ばないでくださいね、プロデューサーさん。私、単純ですからっ」 P 「悪かった悪かった」 忍 「本当に気付いてないね。とにかく美穂ちゃんの言う内容をよく聞いて」 美穂「緊張しぃは直らないけど…少しずつ!」 P 「仕事前の美穂の日常にしか」 美穂「あわてなくても、ケーキは逃げませんよ。ゆっくり楽しみましょうっ!」 P 「ケーキ?」 美穂「シャボン玉に包まれて、女の子らしさでいっぱいですっ。」 P 「シャボン玉?ずいぶん前の仕事の話だな」 美穂「卯月ちゃん、お正月が似合うなぁ。笑う門には福来たる、って感じだね!」 P 「卯月?今日はいないぞ?」 美穂「おはようございますっ。今日も一日頑張りましょうっ!」 P 「!?こ、これはまさか!」 忍 「そう、そのまさかだよ」 美穂「お昼ですね。ふわぁ…眠くなってきちゃいました…お昼寝しても…?」 P 「さっきからどこかで聞き覚えがある言い回しばかりだと思ったが」 美穂「わっ、こんな時間まで頑張ってるんですか。すごいなぁ…」 忍 「デレステのカード台詞しかしゃべれなくなってるの」 P 「なんじゃそりゃ!!!!?」 読む →
2020年03月04日 19:00 【デレマス】比奈・日菜子・美穂「ひな飾りあれこれ」 元スレ 全てのレス 2: ◆lrSDAkq2tQ:2020/03/04(水) 11:53:04.36 :P4R1UtFK0 喜多日菜子「むふふふふふ~~~~!!」 小日向美穂「あれ?」 荒木比奈「お、日菜子ちゃんが事務所のひな飾りの前で妄想暴走してるっスね。今日は3月3日、さっきみんなでお昼にちらし寿司を食べたりしましたけど、その時から百面相しながらもぐもぐしてましたし」 美穂 「な、なんだか説明的に話しますね・・・」 比奈 「いろいろお話つくってると、段々導入作りが面倒になってくるんスよ」 美穂 「聞かなかったことにさせてください・・・」 比奈 「日菜子ちゃん、日菜子ちゃん」 日菜子「むふふふふふ~~~~!!」 美穂 「あー、これしばらく戻ってこれないやつじゃないですか」 比奈 「日菜子ちゃん~!!」 日菜子「むふ・・・むふぐっふぇあふううう!?」 比奈 「!?」 美穂 「!?」 比奈 「大丈夫っスか!」 日菜子「ああ、すみません、妄想に浸っていたらイメージが日菜子の手を離れて好き勝手にあんなことやこんなことを・・・!」 比奈 「漫画家とかでたまに聞く『キャラが勝手に動いてくれた』みたいなこと言いまスね」 美穂 「と、とりあえず落ち着こう?」 日菜子「そうですね。むふー、むふー」 比奈 「それ深呼吸っスか!?」 美穂 「吐くしかできない音じゃない!?」 比奈 「(しかもこれが公式ネタときてまスからねえ)」 作者注;茄子、光、日菜子のデレステ営業コミュをご覧ください 読む →
2020年01月25日 15:00 モバP「どうしてこうなったんだっけ…」 関連SS モバP「どうしてこうなった。」 モバP「どうしてこうなる…」 モバP「こうするしかないよな...」 モバP「なんでこんなことになる...」 モバP「まあ、嫌な予感はしてたよ…」 モバP「どうしてこうなったんだっけ…」 モバP「こうなるとは思わなかった…」 モバP「どうしよう…」 モバP「LiPPSの彼氏として…」 モバP「なんでいる......。」 モバP「こうなるとは…。」 元スレ 全てのレス 2:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/01/24(金) 23:29:33.81 :P/6GDTno0 島村卯月「うー…」ムスー 五十嵐響子「う、卯月ちゃん…その、私たちも、悪いからっ///」 小日向美穂「うぅ…///」 モバP「」 読む →
2020年01月20日 00:30 【モバマス】やっぱり百合が好き【P.C.S】 元スレ 全てのレス 2: ◆wsnmryEd4g:2020/01/19(日) 22:28:07.73 :NMxnreKf0 響子「ただいまー」 美穂「おかえり~。わ、いっぱい買ってきたね」 響子「えへへ、お腹すいてたから、つい……う~さむっ! おこたつちょーだいー」ゴソゴソ 美穂「コーヒー淹れる? お茶の方がいい?」 響子「お茶がいい~」 卯月「あ、わたしミルクティーおかわり~」 美穂「卯月ちゃんはだめー」 卯月「え~なんでえ~?」 美穂「今日それで何杯目? そんなに飲んだらカフェイン中毒になるよ?」 卯月「まだ10杯だよ? 美穂ちゃんおおげさだなあ」 美穂「いや10杯は結構やばいと思うよ」 卯月「大丈夫大丈夫。ただちょっとミルクティー飲まないと手が震えてきちゃうだけだから……」 美穂「完全に中毒症状のそれだよ!」 卯月「中毒症状……あっ! ティンときた!」カキカキ 響子「どう? 作詞、ちょっとは進んだ?」 美穂「あんまり、だね。頑張って考えてはいるんだけど……」 読む →
2019年12月16日 23:59 小日向美穂「グッバイ、ネヴァーランド」 元スレ 全てのレス 1: ◆d26MZoI9xM:2019/12/16(月) 00:14:06.27 :nY0iWbpOO 小日向美穂さん、誕生日おめでとうございます。 2: ◆d26MZoI9xM:2019/12/16(月) 00:15:13.81 :nY0iWbpOO 「いーやっふー!」 「きゃー!」 「きゃっふー! あはは! 楽しい!」 カモメがキューキューと鳴きながら空を飛び、心地よい潮騒を裂くようにジェットスキーが爆音を鳴らし航跡波を引く。邪智暴虐の王様が如く無茶苦茶な運転だけど咎めるものは誰もいない。 「あー、最高! って美穂大丈夫? 目が回っているけど」 「だ、大丈夫だよ……響子ちゃんで絶叫マシンは慣れているから……」 満足するまで海の上のツーリングを楽しんだ加蓮とは対照的にタンデムしていた美穂は頭の上にカモメとひよこがキューキューピヨピヨと飛んでいるようだ。 「おーい、美穂ー」 「プロデューサーさぁん……フラフラします……でもあまり見ないでください……水着はやっぱり恥ずかしいです」 「あ、すんません」 カメラもないし何回も水着を着ているのに未だに慣れそうにないみたいだ。そういうところが実に彼女らしい。 読む →
2019年12月15日 23:55 モバP「ミホホン」 元スレ 全てのレス 1: ◆twOYNJxMJs:2019/12/15(日) 23:23:36.12 :2fDrl/Q30 ―事務所― ちひろ「よいしょっ……と! うふふっ♪」 P「ちひろさん、ニコニコでダンボールを抱えてどうしたんですか」 ちひろ「ああプロデューサーさん、届いたんですよ!」 P「届いた? 今日は衣装合わせの予定とか無いはずですが」 ちひろ「話すよりは見た方が早いですね……じゃーん! ミホホンです!」 P「ミホホン……? どうみても小さなロボットですが、いや頭の上のアンテナは美穂のアホ毛ですか。いつの間にこんなものを?」 ちひろ「このプロジェクトは私が担当なのでプロデューサーさんは余り関わってなかったですよね」 P「えーっと……確か家電メーカーから美穂とコラボしたいって話があったのは覚えていますが」 ちひろ「そうです! そのメーカーが発売しているロボットと美穂ちゃんがコラボして生まれたのがこのミホホンなのです!」 P「なんで美穂とコラボしようと考えたんですかね」 ちひろ「さぁ……? 何でも美穂ちゃん達の歌を聞いた開発部チームの方が是非コラボしたいと」 P「まさかその曲ってアタシポンコツ……」 ちひろ「ど、どうなんでしょうね……」 P「ま、まぁ美穂の新しい仕事に繋がったのならありがたいことじゃないですか。それより起動してみませんか?」 読む →
2019年09月25日 18:30 小日向美穂「修学旅行Masque:Rade」 関連SS 小日向美穂「恋愛相談Masque:Rade」 小日向美穂「観光案内Masque:Rade」 小日向美穂「修学旅行Masque:Rade」 元スレ 全てのレス 2: ◆x8ozAX/AOWSO:2019/09/25(水) 16:39:11.34 :Q6TRdUfrO 加蓮「~~~~♪」 加蓮「~~~~♪」 加蓮「~~~~♪」 加蓮「~~~~♪」 加蓮「……………」 まゆ「……………」 美穂「……………」 加蓮「……~~♪」 加蓮「~~~~♪」 加蓮「~~♪!♪!」 加蓮「♪♪♪!!!!」 加蓮「♪!!!!!!」 加蓮「ねぇなんで私が楽しそうに鼻歌歌ってるのに誰も話しかけてこないの?!」 まゆ「冒頭からうるっせぇぇんですよぉぉ!!」 読む →
2019年09月18日 17:05 小日向美穂「観光案内Masque:Rade」 関連SS 小日向美穂「恋愛相談Masque:Rade」 小日向美穂「観光案内Masque:Rade」 小日向美穂「修学旅行Masque:Rade」 元スレ 全てのレス 2: ◆x8ozAX/AOWSO:2019/09/18(水) 16:44:31.78 :bY3revutO 美穂「うーん……どうしようかな……」 智絵里「はぁ…………」 美穂「智絵里ちゃん、お願いだからそっぽ向かないで?」 智絵里「……あ、おはようございます、美穂ちゃん」 美穂「うん、おはよう智絵里ちゃん!」 智絵里「はい……じゃあ、お疲れ様でした」 美穂「待って待って待って! びーくわいえ!」 智絵里「何と言い間違えたんだろ……」 美穂「わたし! とても! 相談事!」 智絵里「…………なんでわたし?」 美穂「まゆちゃんと加蓮ちゃんじゃ、ほら、ね?」 智絵里「……同レベルだと思いま……あ、え、えへへ……?」 読む →
2019年09月02日 18:30 小日向美穂「恋愛相談Masque:Rade」 関連SS 小日向美穂「恋愛相談Masque:Rade」 小日向美穂「観光案内Masque:Rade」 小日向美穂「修学旅行Masque:Rade」 元スレ 全てのレス 2: ◆x8ozAX/AOWSO:2019/09/02(月) 17:43:34.48 :vSnMJdTm0 美穂「…………うーん……うーん……」 智絵里「…………」ペラッ 美穂「大丈夫かなぁ……うーん……」 智絵里「……………………」ペラッ 美穂「…………大丈夫かなぁ、不安だなぁ……」 智絵里「………………………………」ペラッ 美穂「不安だなぁ! 今わたし、とっても不安ですっ!!」 智絵里「………………………………」 美穂「じーーーーーっ」 智絵里「……ど、どうしたんですか? 美穂ちゃん……」 美穂「あ、丁度いいところに智絵里ちゃんっ! わたし、今とっても不安なんですっ!」 智絵里「……そ、そうなんだ……」 美穂「うん、そうなんですっ!」 読む →
2019年05月26日 19:00 【デレマス(デレステ)】久川颯「はーはPちゃんが好きなの」 関連SS 【デレマス(デレステ)】久川颯「はーはPちゃんが好きなの」 【デレマス(デレステ)】黒埼ちとせ「私の望みは――」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2019/04/09(火) 00:13:10.27 :DckViXll0 颯「Pちゃん、これって……」 凪「わーお」 モバP(以下、「P表記」)「ああ、そうだ」 P「お前らmiroirの歌を聴いてくれる人は、こんなにたくさんいるんだぞ」 颯(はーとなーの「O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!」がシングルランキングでTOP10入りした) 颯(はーは自分のことを完璧だって言い張って強がってきたけど、本当は自分に自信がないだけ) 颯(「O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!」をリリースしたあとだって、曲の順位を見るのは怖くてできなかった) 颯(だから、Pちゃんとなーに「一緒に見よ!」って言って恐る恐るランキングを見たんだ) 颯(順位がすっごく低かったらどうしよう、この曲が売れてなくてアイドルを続けられなかったらどうしよう、なんて) 颯(ついさっきまでそんな不安に駆られてた。でも……) 颯「はーたち、アイドル、続けられるんだよね」 P「?」 颯「はーたち、アイドル、続けてもいいんだよね」 P「当たり前だろ、miroirを求めてる人たちに答えるのがお前たちの仕事だ。それに――」 P「――俺はお前たちのファン1号だ。俺がいる限り、miroirは活躍しつづけるんだよ!」 凪「おやおや、P選手、ここでマンガの最終回のような台詞を言ってしまう。これはmiroir引退フラグだろうか」 P「凪……ちょっとはかっこつけさせてくれって」 颯「ははっ、Pちゃんかっこわるーい」 颯(ううん、嘘。Pちゃんはかっこいい) 颯(はーとなーがここまで来れたのだって、Pちゃんのおかげ) 颯(はー、Pちゃんがいないと……) 読む →
2019年04月23日 21:10 まゆ「浮気ですねぇ」加蓮「浮気だね」 元スレ 全てのレス 2: ◆x8ozAX/AOWSO:2019/04/23(火) 17:12:27.24 :tos28C3+0 「ーーです! 許せないですよねぇ!」 「ーー! ほんっとありえない!!」 美穂「…………?」 美穂(こんにちは、小日向美穂ですっ! 部屋の中からなにやら只事ではない雰囲気の会話が聞こえてきます) 美穂(こう言う時は大体ロクな事じゃ無いんだけど、荷物がお部屋の中なので……さっと、こう、ささっと回収して帰ろうと思います!) ガチャ まゆ「浮気です! 浮気に間違いありません!!」 加蓮「そんな男さっさと別れちゃいなよまゆ」 美穂(そろーり、そろーり) まゆ「うぅぅぅぅっっ! ビェェェェェェッ!」 加蓮「ちょっと男子ー! まゆ泣いてんじゃん!!」 美穂(巻き込まれない様に……隠れて気配を消して……) まゆ「あら? デスクの向こうにアホ毛が……」 加蓮「ほんとだ、美穂が生えてる」 美穂「わ、わたしは居ませんっ!」 加蓮「美穂居ないってさ」 まゆ「みたいですねぇ」 美穂(ほっ、バレずに済んだみたいです……) 読む →
2019年03月24日 00:00 モバP「女子寮のお風呂の調子が悪くなっただとっ!?」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2019/03/23(土) 20:57:53.45 :Oq8btru50 ある日、事務所にて…… モバP「女子寮のお風呂の調子が悪くなっただとっ!?」 ちひろ「ええ、昨日業者の人に見てもらったんですけど、修理が完了するまでに数日かかるようで」 モバP「それは大変だ……。仕事やレッスンで忙しいアイドルたちがお風呂で一日の疲れや汚れを洗い落とせないんじゃ、ストレスが溜まってしまう!!」 ちひろ「そうですね、なんとかしないと」 モバP「で、調子が悪いと言いますけど、具体的には?」 ちひろ「お湯が出なくなっちゃったんですよ。シャワーを使えなくて、だから今のところアイドルたちにはペットボトルの水を使ってもらってます」 モバP「なるほど、ペットボトルの水じゃ不便ですよね」 ちひろ「うーん……あ、そうだ! プロデューサーにお願いがあります」 モバP「えっ……」 読む →
2019年03月22日 21:00 モバP「女子寮のお風呂が壊れただと!?」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2019/03/22(金) 20:09:10.51 :9kPHjZNb0 ある日、事務所にて……、 モバP「女子寮のお風呂が壊れただと!?」 ちひろ「そうなんですよ。最近になって調子が悪くなって、ついに昨日壊れちゃったらしくね」 モバP「なるほど……でも寮に住んでいるアイドル達はこれからどうするんですか? お風呂に入れないんじゃ一日の汚れを落とせないし、ストレスも溜まるでしょう」 ちひろ「なんとか対応してるんですけど、数が多いですからね……あっ、そうだ!」 モバP「ん? ちひろさん、何か良い案を思いついたんですか?」 ちひろ「プロデューサーさん、プロデューサーさんの自宅のお風呂を貸し出ししてもらえませんか?」 読む →
2019年03月14日 22:30 【デレマス】コミホとプロデューサーくん 元スレ 全てのレス 2: ◆U.8lOt6xMsuG:2019/01/01(火) 02:30:57.54 :7imqMhW20 よぉ、俺はプロデューサーくんだ。プロデューサーじゃねぇ、『プロデューサーくん』だ。ぬいぐるみだよ喋ってるんだ。 なんで喋ってるのかって?しらねぇよ、俺が一番俺が喋ったことに驚いてるわ。 ……そもそも俺の事を知ってるかいあんた。しょうがねぇ、自己紹介だ。 俺はプロデューサーくん、アイドル小日向美穂が持っている熊のぬいぐるみだ 読む →
2019年03月09日 07:00 【モバマス】美穂「乙女ゲームのお仕事ですか?」 元スレ 2:名無しさん@おーぷん:2019/03/09(土)01:45:55 :fbW \俺、お前のことが好きだっ!付き合ってくれ!/\俺は中途半端な恋には興味ねえぞ。俺が欲しいってならそこはわかっといてくれ/\おじさんが良いの?若いコちゃんの趣味ってよくわかんないけど…期待に応えなきゃね!/美穂「…ゲームの宣伝ですか?」P「ああ。いわゆる乙女ゲームの販促の仕事依頼がお前たちに来てね」卯月「内容は…ゲーム紹介イベントでのミニステージですか!頑張ります!」響子「でもなんでよりによって私たちに?こういうお仕事は男性アイドルの方が向いてるんじゃ…」P「このゲームはどうも男性にもターゲットを当ててるらしくてね。女性はこういう情報はすぐに集めるだろうし男性の顧客層を広げる目的でお前たちに仕事が来たらしい」美穂「へえー。男性にもこういうのって需要あるんですね」P「一部の人だけだぞ、たぶん」 読む →
2019年02月06日 20:00 【デレマス】午後四時、路地裏で。 元スレ 全てのレス 1:あまなつ ◆VwJdgftwpk:2019/02/05(火) 20:06:04.52 :EqNTQXW50 注:屋外での性行為描写・軽い人格崩壊あり。Pは出てこず、美穂ちゃんがアイドルになる前の舞台設定です。 お気分を害される方がいらっしゃいましたら、ブラウザバックを強く推奨いたします。 2:あまなつ ◆VwJdgftwpk:2019/02/05(火) 20:11:34.10 :EqNTQXW50 降りしきる雨の中。私は彼と並んで二人、傘もささずに、学校から歩いて帰っていた。 生まれた時から隣の家、同じ学校、同じクラス。ひとには、腐れ縁だとよく言われる。 ありがちな少女漫画のように、恋愛感情とかはなかった。友達以上、恋人未満。 改めて考えてみると、客観的に観ないでもやっぱり腐れ縁だった。 読む →
2019年02月05日 23:00 卯月「私達、P.C.Sです!」美穂「C抜き!」 元スレ 全てのレス 2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2019/02/05(火) 21:39:50.83 :jQbLLRxF0 ー事務所ー 卯月「美穂ちゃん、おはようございます!」 美穂「おはよう、卯月ちゃん!今日も頑張って生き残ろうね!」 卯月「今日そんな命がけの仕事でしたっけ!?」 プルルルル… 美穂「はい、もしもし…え!?響子ちゃんが風邪で休み…!?」 卯月「え!?どど、どうしましょう!今日はP.C.S全員必要な仕事ばっかりなのに…!」 美穂「…心配しないで卯月ちゃん。平成の響子ちゃんマスターと呼ばれたこの私が、何とかしてみせる…!」 卯月「そんな肩書き初めて聞きましたよ!?」 読む →
2018年12月31日 01:05 【たぬき】五十嵐響子「年末お掃除黙示録」 関連SS こひなたぬき シリーズ:目次 元スレ 全てのレス 2: ◆DAC.3Z2hLk:2018/12/30(日) 23:08:52.04 :h01ruCys0 ―― 12月某日 事務所 P「ちひろさーん。こっちのファイルどこでしたっけー?」 ちひろ「そこの棚の一番右上ですー」 茄子「神棚のお掃除終わりました~」 奈緒「この衣装ってどこに返せばいいんだー?」 フレデリカ「うえきちゃんって放置で良かったっけ~?」 志希「ひまわり星人はー?」 藍子「写真はアルバムにまとめておきますねっ」 みく「みんな持てる私物は持って帰ってねー!」 ワイワイ テキパキ … 読む →
2018年12月19日 21:30 【モバマス】水曜日の午後には、温かいお茶を淹れて 関連SS 【デレマス】「先輩プロデューサーが過労で倒れた」 【デレマス】「先輩プロデューサーが過労で倒れた」完結編 【モバマス】水曜日の午後には、温かいお茶を淹れて 元スレ 全てのレス 2: ◆Z5wk4/jklI:2018/12/04(火) 21:40:49.14 :gOTfw+RA0 1.Syringa vulgaris 「あんたみたいな人、芸能界に居るべきじゃないと思う」 オーディションが終わった直後の控室の中、低くて冷たい声で、その人が言った。 「さっき言ってたよね。誰かを元気にするために頑張りたい、だっけ? じゃあまず、あたしを元気にしてよ。あんたが落ちて、あたしが通ったら、あたし超元気になれるよ」 私は何も言い返すことができなくて、ただ、その人の目を見つめ返すしかできなくて。 「中途半端な気持ちで来んの、迷惑」 そこまで言って――その人は、私の目のまえから、煙のように消えちゃった。ううん、消えちゃったと思ったのは私の勘違い。控室の床が崩れて、私は暗闇へと真っ逆さまに落ちていたんだ。 その人は、見下すように、私のことを見下ろしてた。 私は必死で、どこかにつかまるために手を伸ばし―― --- 「……あ」 スマートフォンにセットしていたアラームが鳴ってる。部屋のカーテンのすきまから、柔らかい朝日が差し込んでいた。 ベッドの外までぐっと伸びっぱなしの右手。私は身体を起こして、枕元のスマートフォンのアラームを止める。 「……んんっ……ふぅ」 伸びをして、ひとつ息をついた。首元にはじっとりと嫌な汗。 「また、同じ夢……見ちゃったなぁ」 右手を胸に。まだ少し、鼓動が早いまま。 一か月ほど前、たまたまオーディションで一緒になった他のプロダクションの人から言われた言葉は、頭のなかでずっと渦を巻いてた。グループ面接形式の、ドラマのキャストを決めるためのオーディション。意気込みを聞かれ、私は誰かを元気にしたいと言い、その人は自分自身が輝きたいと言っていた。 オーディションが終わってから、控室でその人は強い声と表情で、私に……さっき夢で見た通りのことを言ったんだ。 オーディションの結果は、私は落選。彼女は通過。 友達やトレーナーさんは、気にする必要はないと言ってくれたし、私も気にするつもりはなかったけど……どうしてか、あのときの言葉は、私が自覚してるよりもずっと深く私の胸に刺さったみたいで、こうしてよく夢にも現れてる。 気にする事ではないとは思っているけど。でも……私はデビュー以来ずっと、外部のオーディションに落ち続けていて。 誰かのためになりたいと思っていたはずの私は、誰のためにもなれないまま、時間だけが過ぎていった。 --- 読む →
2018年12月17日 05:00 小日向美穂と冬夜の温もり 元スレ 全てのレス 2: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/12/16(日) 23:37:04.61 :Wi4dcB/qO 12月16日。 既に夕陽は沈んで空は黒く、辺りは夜に染まる頃。 都内某所に存在する女子寮の入り口付近に、小日向美穂は立って居た。 関東でも雪が降った日の夜風は余りにも寒く、ほんの数分前に部屋を抜け出したばかりなのに既に指は悴み切っていて。 それを温める為に吹き掛けた吐息の白さが、その寒さを更に主張している。 スマホのバッテリーも消費が早く、あっという間に半分を下回ってしまっていた。 「……まだかなぁ」 約束の時間まで、おそらく後十分ほど。 今か今かと、まるで恋人を待ち焦がれるかの様に空を見上げる。 雲に隠れた月は、綺麗に半分。 幸い雨はあがってくれたが、この雲ではまた降り出してもおかしくは無かった。 焦りは無かった、絶対時間ピッタリに来てくれると信じていたから。 今から出掛ければ寮の門限ギリギリとなってしまう事は分かっていたが、それでもこれからの事へのワクワクが上回り。 一応窓の鍵は開けて出て来たから、最悪の事態は回避出来る様になっている。 もっとも、いざとなったら他の子の部屋に窓から入れてもらうだけだけれど。 約束の時間まで、あと一分。 寮の前の道路が、ライトに照らされた。 少しずつ車が近付いてくる音がする。 その音源の接近はだんだんゆっくりとなり、そのまま入り口の前で五回ブレーキを踏んでから通り過ぎて行った。 ……通り過ぎて行った。 「……あ、あの……っ! 此処です! 此処ですよーっ!!」 読む →
2018年12月17日 04:00 【たぬき】小日向美穂「魔女とケーキと誕生日」 関連SS こひなたぬき シリーズ:目次 元スレ 全てのレス 2: ◆DAC.3Z2hLk:2018/12/16(日) 23:14:56.35 :kbM1fmIl0 ―― 12月某日 事務所 P「フムン」 美穂「プロデューサーさーん」 P「ん~~~~…………」 美穂「プロデューサーさん? あのー、ぷろでゅーさーさーーんっ」パタパタ P「んむむむむむ…………ん?」 美穂「あっやっと気付いた。どうしたんですか、考えこんじゃって?」 P「うん、ちょっとな。ケーキのことを考えてた」 美穂「ケーキ?」 P「うちの子達の誕生日は毎回事務所で祝ってるけど、みんな色々やってくれてる割に俺だけ何もしてない気がしてさ」 P「なのでここはひとつ、おっさんなりにケーキの一つでも作り方を覚えてこう、当日にお出しするのはどうだろうと考えていたんだ」 P「美穂の誕生日も近いしな。そのへん美穂はどう思う?」 読む →
2018年12月16日 00:30 まゆ「明日は美穂ちゃんの」加蓮「誕生日!」 元スレ 全てのレス 2: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/12/16(日) 00:01:14.24 :1A5suEAO0 ~12/15(土)、都内某所のアイドル事務所~ まゆ「……本日、皆さんに集まって頂いたのは他でもありません」 加蓮「さっさと本題言えば良いのにわざわざ持ち出されて否定された他の気持ち考えた事ある?」 まゆ「えー、明日に迫った美穂ちゃんの誕生日ですが」 加蓮「ねぇちょっと! 無視しないでよ!!」 智絵里「プレゼントなら、用意してあります……!」フンスッ まゆ「よろしい」 加蓮「よろしくないよろしくない!」 李衣菜「で、サプライズだから内緒にしとくんだっけ?」 まゆ「はい、明日朝一で女子寮に押し掛けます。プレゼントはみくちゃんや輝子ちゃんの部屋に隠させて貰うと良いでしょう」 加蓮「あーもー私帰る! 無視するんだっら帰る!」 まゆ「るっせぇですよぉ! 小学生ですかぁ?!」 智絵里「ばいばい、加蓮ちゃん」 加蓮「…………止めないの? 私本当に帰っちゃうよ?」 李衣菜「……ま、まぁまぁ」 加蓮「まぁ? みんなにそこまで謝られたら私も自己中でごめんね、って感じだし」 智絵里「…………ダルい……」 読む →
2018年11月17日 20:00 【デレマス】美穂と茜のとある日の一幕 元スレ 全てのレス 2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/11/17(土) 18:16:30.87 :mTH/DuGh0 茜「おっはようごさいまーっす!!」 美穂「おはよう茜ちゃん♪」 茜「おはようございます美穂ちゃんっ!」 美穂「今日は一緒の基礎レッスンだからよろしくね?」 茜「はいっ!」 美穂(茜ちゃん、なんだか小型犬みたいで可愛いなぁ)ピコピコ 茜「……」 美穂「ど、どうしたの? 顔に何か付いてた?」 茜「いえっ! 美穂ちゃんのそのピョンと伸びた髪がピョコピョコ動いているのが可愛くて見入ってしまいましたっ!!」 美穂「か、可愛っ!?」 茜「はいっ! 前から気になってたんですが、どうして美穂ちゃんはそんなに可愛いんですかっ!?」 美穂「え、えぇっ!? ……あ、茜ちゃんも可愛いよ!」 読む →
2018年10月22日 02:00 幼馴染でクラスメイトな小日向美穂 元スレ 全てのレス 1: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/10/21(日) 21:29:10.26 :ueo6A56r0 これはモバマスssです かなりの独自設定があります 2: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/10/21(日) 21:30:36.21 :ueo6A56r0 幼馴染 幼い頃に親しくしていた友達の事。 英語で書くと old playmate 同性・異性を問わない「友達」を指す。 けれど一般的には幼馴染という単語を聞くと異性の相手を思い浮かべる人が多く。 まぁ僕も異性の事を指す意味として使っている。 なぜ僕が月曜日の朝っぱらに布団から抜け出すよりも早く幼馴染について語っているのかと言えば。 それはもちろん、それに関するお話しをしようとしているからで。 で、今回もまた例に漏れず異性としての幼馴染の話になる訳だけど。 さて……と、本題。 美穂「……ぅうぅん……Pくん…………寝てません……寝てま……」 幼馴染である小日向美穂が、今日も今日とて僕の布団に潜り込んで眠っていた。 高校も二年生にあがりそこそこ慣れて来た五月の頭、第一週目の月曜日。 本日も当然の如く学校があって七時に掛けたアラームで目を覚ませば、隣には毎日見ている幼馴染の顔。 P「……まぁ、慣れてるけどさ」 小学校よりも前からの付き合いであるこいつは、朝に弱い。 なのに、何故か毎日朝早く僕の家に来る。 そしてバスが目の前で出発してしまうくらいの頻度で、僕のベッドで寝落ちする。 なぜ来る、ほんと、なんで来るんだろう。 P「……家で寝てればいいのに……」 かなり昔になんでくるの? と尋ねたところ、起こしに来てあげてるんですっ! とふんすふんすしながらドヤ顔で答えてくれたけれども。 小日向がその役目を果たしてくれたのはおそらく片手以上両手未満の回数と記憶している。 確かに中学あがりたての思春期入った頃はドキッとして目がぱっちり覚める事はあったが。 もう、うん、慣れた。 読む →
2018年10月02日 15:00 小日向美穂「好きを想う」 元スレ 全てのレス 1: ◆i/Ay6sgovU:2016/03/21(月) 19:23:39.50 :YEu02TvIO 「ふう……。今日もレッスン、疲れたな……」 ベッドの上で横になりながら、黒髪の少女は呟く。 「アイドル……かぁ……」 まるで他人事のような言い方は、当然、自分の状況に向けられたものだ。 そしてその口調からは、自分の飛び込んだ環境への戸惑いが滲み浮かんでいる。 「明日も頑張ろう……」 小さな声を残して眠りについたこの少女――小日向美穂――は、つい数日前まではただの、養成所に通う、アイドルを夢見る1人に過ぎなかった。 読む →
2018年09月11日 21:30 モバP「懐かしのお隣さん」美穂「お、お兄さん!?」 関連SS モバP「未来のお嫁さん?」響子「はい!」 モバP「懐かしのお隣さん」美穂「お、お兄さん!?」 モバP「僕は魔法使い」卯月「私がシンデレラ?」 モバP「癒しの休日」ゆかり「ふふっ…♪」 モバP「白詰草に想いを込めて」智絵里「見捨てないで…!」 モバP「アイドル?」千枝「千枝をオトナにしてください!」 モバP「向日葵みたいなその笑顔で」薫「せんせぇ!」 モバP「ラヴィアンローズのお嬢様」桃華「ですわっ」 モバP「素直になれない女の子」ありす「橘ですっ!」 モバP「大切な家族」雪美「……ずっと傍で」 元スレ 3:◇UpHOrkEMJ2:2018/09/10(月)12:28:31 :Hte 人生は驚きの連続です。誰が言い始めたのかわからないけど、“事実は小説より奇なり”という言葉があります。私はそれを今、身をもって体験しています。P「もしかして…美穂ちゃん?」美穂「お、お兄さん!?ど、どどどどうしてここに!?」これは、私とお兄さん。二人の出会いと別れ、そして再会のお話です。 読む →
2018年07月24日 20:00 まゆ「今日は楽しい」加蓮「クリスマス」 元スレ 全てのレス 2: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/24(火) 16:23:57.84 :aQlXF2obO ~24日、事務所にて~ 加蓮「クーリスマスが今年もやあてくるっ!」 まゆ「るるるんるんるんふふふんふんふん」 加蓮「歌詞うろ覚え過ぎない?」 まゆ「大丈夫です、クリスマスで大切なのは気分ですから」 加蓮「それもそうだね!」 まゆ「ケーキはどうしますかぁ?」 加蓮「用意してないしポテトのキッシュで良いんじゃない?」 まゆ「ジャガイモも買ってきてませんが……」 加蓮「じゃあもうポテチで良いや」 まゆ「あっ、見てください加蓮ちゃん。雪です、窓の外に雪が降ってますよぉ」 加蓮「ホワイトクリスマスかー、帰りは寒そうだね」 まゆ「寒ければ寒い程、大切な人から伝わる温もりが幸せなものになりますから」 加蓮「ふふっ、たしかに!」 美穂「加蓮ちゃんまゆちゃん気をたしかに!!」 読む →
2018年07月24日 01:30 美穂「ぬいぐるみから離れなくて…」ぷちみほ「クマシャンダー♪」 関連SS モバマス ぷちかれ シリーズ 元スレ 187:名無しさん@おーぷん:2018/07/23(月)15:34:00 :UYp 〜事務所〜P「ふむ…」カタカタカタ加蓮「じゃあ次、こっちの芋は」ぷちかれ「ジャマイモ」加蓮「じゃがいもね…うーん、なかなか覚えてくれないなぁ…」美穂「おはようございますっ」P「お、美穂。おはよう……って」加蓮「え、美穂だよね…?ほとんど熊のぬいぐるみで見えないんだけど…」ぷちみほ「クマシャンダー」スリスリ美穂「それが……この子がぬいぐるみから離れてくれないんですよ〜…」P「それで抱えてきたのか、そのでっかいぬいぐるみ…」 読む →
2018年07月23日 06:30 【モバマス】Scarlet Days 元スレ 2: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/18(水) 13:50:58.10 :CoeaNds6O ピピピピッ、ピピピピッ 朝、目覚ましの音で目を覚ます。 今日は月曜天気は晴れ、嫌になる程空は明るい。 ここ数日で一気に蒸し暑くなった梅雨突入前の空気が、身体を起こすのを躊躇わせる。 P「……っし!気合い入れるか!」 仕事があるのだからこんな悠長にしている時間が勿体無い。 さっさと身体を起こして歯を洗い、ヒゲを剃って色々と整える。 丁度炊けた炊飯器の音が少し気分を良くしてくれた。 P「適当なもんで良いかな」 小鍋を火にかけお湯を沸かし、味噌汁の準備をしつつシャケを焼く。 冷蔵庫から昨夜の残りを引っ張って、ちょっとだけ豪華に見せてみたり。 さて……と。 そろそろ、起きてくる頃かな。 美穂「……ふぁぁ……おはようございます……」 P「おはよう美穂、そろそろ出来るから座って待ってろ」 美穂「うぅん……良い匂いが……」 寝ボケた美穂が、パジャマの袖で目を擦りつつ椅子に着く。 二十歳になった今でも可愛さは衰える事を知らず、追加で綺麗・美しいステータスもどんどん上がっていた。 アイドルを引退したのが二十歳の誕生日で半年前だから、だとするともう半年後にはどうなってしまうのだろう。 楽しみは尽きないが、それは置いといて然るべき事を叱らなければならない。 3: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/18(水) 13:51:32.27 :CoeaNds6O P「今日は一限からだろ?」 美穂「自主休講……しませんよっ?しませんからねっ?!」 P「先週の月曜一限サボっただろ?」 美穂「ち、遅刻で済んだもんっ!」 P「やっぱり遅刻はしたんだな」 美穂「……卑怯です!誘導尋問なんてっ!」 自爆しただけじゃないだろうか。 それはそれとして、今日はお互い普通に間に合いそうだ。 まぁ先週は前日の夜に……ゴホンッ! 同棲生活を始めて約半年、俺たちの関係は山あり谷ありだが概ね良好と言えた。 喧嘩の理由なんて、大体俺が仕事で帰りが遅くなった時くらいだし。 最初は価値観や生活感等々を寄せ合うので大変だったが、今ではこうして…… 美穂「あれ?七味切れてませんか?」 P「……悪い、一昨日ブチまけて失くなってから補充してない」 美穂「……買う時間が無かったんですか?」 P「……忘れていただけです」 美穂「買って下さい」 P「はい」 ……最高の同棲生活を送れている。 あ、ゴメンほんとすまん帰りに必ず買ってくるから。 美穂「……それと……朝ご飯、いつもありがとうございます」 P「良いって別に、その分夜は任せちゃってるし」 朝弱い美穂を起こすのに、味噌汁の香りは適任だし。 夜遅くなる事が多い俺を、夕飯準備して待っててくれてる訳だし。 P「それじゃ、いただきます」 美穂「いただきます」 4: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/18(水) 13:52:39.42 :CoeaNds6O 美穂「あれっ?わたし昨日定期何処に置いたっけ……」 P「いつもはテレビの前にあるだろ」 美穂「無いんです!」 P「じゃあ洗面台」 美穂「そこにもありませんでした!」 P「スマホカバーの裏は?」 美穂「……ありました」 こうして慌ただしい朝を何度過ごして来ただろう。 高頻度でどちらかが何かしらを紛失し、もう片方が場所を当てる。 これも同棲の醍醐味……なのか? P「よし、行くぞー」 美穂「あ、ちょっと待って下さい!何か、忘れてませんか?」 目を瞑って、此方に顔を向けてくる美穂。 P「忘れる訳無いだろ」 ちゅっ、っと。 軽く唇を重ねる。 美穂「……えへへ、行って来ますっ!」 P「おう、俺も行って来ますだ」 鍵を掛け、二人並んで最寄りへと歩く。 既に引退したとは言え美穂の人気は凄いもので、今でも変装を怠るとファンから声を掛けられる。 だから今は帽子を被っている訳だが、うん、とても可愛い。 どのくらい可愛いかと言うと、昨日の美穂の二倍くらい可愛い。 毎日指数的に可愛くなってゆく同居人の隣に立っているのが俺で良いのか、当然何度も自問した。 美穂「……不満ですか?」 P「不安なんだよ」 美穂「もう……何度も言ったじゃないですか。わたしが、貴方を選んだんです……から…………」 後半は尻すぼみになっていったが、美穂の言葉はちゃんと届いてる。 照れた美穂がとんでもなく可愛いし、良いか。 うん、俺ももう少しオシャレとかに気を使ってみよう。 スーツだからどうしようもない部分もあるが。 5: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/18(水) 13:53:07.29 :CoeaNds6O P「放課後の予定は?」 美穂「李衣菜ちゃんとお酒ツアーです!Pさんも帰って来ませんよね?」 P「いや帰っては来るよ?遅くなるだけで。ってか明日も大学あるんだから程々にな」 美穂「あ、明日は休講が重なってお休みです。それと、わたし達も誘ってくれれば良かったのに……」 P「すまんって、智絵里が二人きりで落ち着いて飲みたいって言ってたからさ」 美穂「……むー……」 P「ごめんごめん。今月のどっかで全員で集まれる様セッディングするから」 美穂「絶対ですよ?わたしだって智絵里ちゃんに会いたいんですから」 P「おう、未来の旦那さんを信じろ」 美穂「はいっ!旦那さんっ!」 P「…………」 美穂「…………」 P「……最近、暑くなってきたよな」 美穂「……ですね……え、えへへ……」 勢いで小っ恥ずかしい事を口走ってしまった。 いやまぁ、いずれは現実となる訳だが。 今はまだ仕事が落ち着かなかったり美穂が学生だったりと、タイミング的にはここでは無いから。 P「それじゃ、俺こっちだから」 美穂「はいっ!行ってらっしゃい、旦那さんっ!」 美穂が笑顔で改札を抜けて行った。 ……あぁ、もう。 最後にとんでもない爆弾を残して行きやがったな。 これから俺は、不審者だと思われない様に真顔耐久レースをしなければいけなくなったじゃないか。 6: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/18(水) 13:53:53.60 :CoeaNds6O ちひろ「おはようございます、プロデューサーさん。今日も随分と顔色が良いですね」 P「おはようございますちひろさん。今日も一段とお若いですね」 ちひろ「あらあら、美穂ちゃん程じゃありませんよ」 P「……いや、あの……他意があったり皮肉を言った訳じゃ無いんで……」 ちひろさんと朝の挨拶を交わしながら、仲良く会話する。 ちひろさん、今何歳だ? 確か二十八だっけかな……そうは思えないくらい若く見えるのは本当だ。 ちひろ「美穂ちゃんとはどうですか?最近は」 P「どうって……良好だと思いますよ」 ちひろ「犬も食わない喧嘩をしたりは?」 P「一応まだ夫婦では無いので……」 ちひろ「時間の問題ですよねー」 P「案外問題は山積みですよ」 今は以前から住んでた俺のアパートで暮らしているが、これから先を見据えるなら引っ越しも視野に入ってくる。 それから美穂がどんな将来を選ぶのか等々。 ちひろ「うぅ……幸せ者のオーラが独り身に染みますね……眩しい……苦しい……」 P「はいはい、コーヒー買ってきたんで今日も頑張りましょ」 ちひろ「今は無糖な気分なのでそっちを貰っても良いですか?」 P「まぁ構いませんが……」 カシュッっと心地良い音、それからほんのりとコーヒーの香り。 さて、今日も一日頑張るか。 これが終わったらお酒が待っている。 7: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/18(水) 13:55:20.46 :CoeaNds6O まゆ「うふふ、何やら楽しそうですねぇ」 P「ん、おはようまゆ。随分早いな」 まゆ「早起きは三文の得と言いますから」 P「で、何か良い事はあったか?」 まゆ「電車がいつもより少し混んでました……」 しょぼーんオーラを全身から滲ませるまゆ。 十九歳になったまゆは、容姿もだが演技力や歌唱力にも磨きがかかっていて。 さっきまでは現役アイドルの権化の様な美人だったのに、今では自転車の鍵を川に落としたおばさんの様になっている。 凄い、なんかこう、演技から凄みを感じた。 まゆ「そう言えば、今日は智絵里ちゃんの誕生日ですねぇ」 P「あぁ、二十歳だな。成人祝いにお酒に付き合う予定なんだ」 まゆ「むむ……二人きりですかぁ?嫉妬しちゃいますねぇ」 P「まゆはまだ十九歳だからな。二十歳になったら連れてってやるよ」 まゆ「うふふ、期待しちゃいますっ!」 ちひろ「智絵里ちゃん、引退してからあんまり事務所に顔出してくれないので近況を把握出来て無いんですが……どうなんですか?」 P「前に会った時は普通の女子大生やってましたね。とは言え学校ではかなりの人気で色々大変だーって笑ってた」 まゆ「ちょっと人気な普通の女の子、エンジョイ出来てるんですね」 P「あぁ。李衣菜もそんな感じだ」 まゆ「李衣菜ちゃんとはまゆもよく連絡取ってます。美穂ちゃんと飲みに付き合うと翌日自主休講本気で検討するから気を付けないとって笑ってました」 美穂……そういや今日飲むって言ってたけど、李衣菜は明日休講なのか? 李衣菜はそこらへんソツなく上手く真面目にこなす人だから大丈夫だろうけど。 8: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/18(水) 13:56:41.09 :CoeaNds6O ちひろ「プロデューサーさん。智絵里ちゃんと会うなら写真とか持って行きますか?」 P「そうですね。まぁ半年前とは言え色々ありましたし、のんびり振り返りながら話すのも良いかもしれません」 ちひろさんから、Masque:Radeの全員が映った写真を何枚か受け取った。 うっわみんな若……俺もまだ若いなぁ。 これ何年前だ……? ……三年以上前……マジで……? 加蓮「おっはよー。今日蒸し暑くない?」 P「おはよう加蓮、除湿は付けてあるぞ」 加蓮も今では十九歳で、見た目の美人感は更に磨きが掛かっていた。 加蓮「暑い、温度下げて」 P「少しすれば涼しくなるだろ」 加蓮「待てないんだけど。時間進めてくれたりしない?」 P「出来る訳無いし、もし出来るんだとしたらそんな超人にそんな雑に頼むな」 加蓮「分かってるって。うっわー今日夜雨降るじゃん」 まゆ「加蓮ちゃんは歳を取っても相変わらずいつも通りですねぇ」 加蓮「いきなり何?あ、結成したての頃の写真じゃん!」 ちひろ「ふふっ、まだまだありますよ」 引き出しからアルバムを取り出すちひろさん。 おぉ……懐かしい…… 9: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/18(水) 13:57:35.72 :CoeaNds6O まゆ「……三年以上前ですか……未だにこうして加蓮ちゃんと活動を続けてるって考えると、なんだか不思議な気分になりますねぇ」 加蓮「ねー、最初は即解散すると思ってた」 まゆ「奇遇ですねぇ、まゆもです」 笑いながらいがみ合う二人は、なんだかんだ相性は良い。 でなければ、二人になってもMasque:Radeとしての活動を続けたいだなんて言わないだろうし。 ちひろ「あ、一応言っておきますけど……この写真、他の方には見せないで下さいね?事務所として撮ったものなので」 P「分かってますって。肝に命じておきます」 加蓮「肝!分かってる?!肝!!」 まゆ「……何を言ってるんですかぁ?」 加蓮「肝に命じてるんだけど?」 まゆ「加蓮ちゃんは本当に変わりませんねぇ……」 加蓮「成長はしてるよ?こことか」 まゆ「指差しをしなくても伝わると思われてるあたりイラつきますねぇ」 加蓮「えっ?私何処とも言ってないけど?」 まゆ「素知らぬ顔がまた実に加蓮ちゃんです」 加蓮「どういう意味?!」 まゆ「ウザいって意味ですよぉ。辞書でウザいの項目を引けば加蓮ちゃんの名前が顔写真付きで載ってると思います」 加蓮「あーもーそういう事言う人にはポテトのクーポン分けてあーげない!」 まゆ「いえそれは本当に結構ですが……」 P「……ははっ」 ちひろ「……ふふっ」 仲、良いなぁ。 この二人を見ていると色々と安心する。 美穂が引退する事に不安が無かった訳ではないし、次いで智絵里と李衣菜の引退で俺も精神が不安定になりかけたりもしたが。 なんだかんだ、助けられてるんだと実感する。 ちひろ「まゆちゃんは週刊ファラデーの撮影、加蓮ちゃんはドラマの撮影ですよね?そろそろ向かった方が良いんじゃないですか?」 まゆ「あら、とてつもなく無駄な会話で時間を浪費してしまいましたねぇ」 加蓮「まゆの時間に無駄じゃないのってあるの?」 まゆ「……言い返しませんよ?まゆももういい大人なので」 加蓮「は?私が子供みたいな言い方やめてくれる?!私の方が誕生日早いんだけど!!」 まゆ「……そう言う所ですよぉ……」 加蓮「まゆ自分の事まゆ呼びじゃん!子供じゃん!」 まゆ「……そうですねぇ、まゆですねぇ」 加蓮「相手にしてよ!!」 楽しそうに会話しながら部屋を出て行く二人。 さて、それじゃ。 六月十一日、いつも通りの業務の始まりだ。 10: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/18(水) 14:10:49.90 :CoeaNds6O P「っふー……終わり!」 ちひろ「お疲れ様です、プロデューサーさん」 P「そっちはどうですか?」 ちひろ「私も後十五分くらいで終わりそうですが……待たなくても大丈夫ですよ?智絵里ちゃんのと約束があるんですよね?」 P「はい。それじゃ、お言葉に甘えさせて頂きます」 パソコンの電源を切って、荷物を片付け事務所を出る。 加蓮もまゆも既に帰宅済み。 美穂からは画像が……李衣菜、強く生きろ。 さて、んじゃ俺も約束の駅に向かうとしよう。 夜は雨って加蓮が言ってたけど、まだそんなに曇ってないし大丈夫だろう。 地下鉄に乗って、智絵里と約束した駅に向かう。 がたん、ごとん。 電車に揺られながら、俺はユニット結成当時の事を思い返していた。 最初の頃は加蓮とまゆがよくいがみ合って……今もか。 五人でドームを熱狂の渦に巻き込んで。 それぞれ個人での活躍も凄いもので、沢山の番組に出演して。 今朝ちひろさんから渡された写真で、色々あったんだなぁと再認識して。 後でそれを眺めながら智絵里と飲むお酒が、凄く楽しみで。 気付けばあっという間に目的の駅に到着していた。 P「ん……少し早かったかな」 スマホで時間を確認すれば十九時半。 約束の時間までまだ後十五分はある。 近くの喫茶店でコーヒーでも飲んでるか……? 11: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/18(水) 14:11:19.33 :CoeaNds6O 智絵里「あっ……お、お久し振りです……!」 P「ん、おぉ。もう来てたのか。久し振り、智絵里」 どうやら、智絵里も早くに着いてしまっていた様だ。 かつてのトレードマークであるツインテールは降ろされているが、可愛さは全く衰えていない。 にこにこと微笑みながら此方へ近寄ってくる智絵里は、こりゃ大学でも言い寄ってくる男子もさぞかし多い事だろうと思わされる。 智絵里「えへへ……その、楽しみだったから……」 P「うん、まぁ予約取ったのが二十時だから入れるか分からないんだけどな」 智絵里「それでも、久し振りだから遅れたくなくって……」 P「そっか。ありがと、智絵里」 取り敢えずお店の方に早くに入れないか連絡を掛けてみる。 P「……あ、では今から向かいます。っと、もう入れるってさ」 智絵里「良かった……今日はありがとうございます。二人っきりでってワガママ、聞いて貰っちゃって……」 P「良いって良いって。あ、でも今月空いてたら美穂とも飲んでやってくれよ。あいつも会いたがってたから」 智絵里「……はい。もちろんです」 のんびり、並んで歩きながら会話して。 ……あ、そうだ。 最初に言うべきだったな。 P「智絵里。誕生日、成人おめでとう」 智絵里「ふふっ、ありがとうございます。とっても……楽しみでした……!」 天使の様な笑顔を浮かべる智絵里と、予約していた店に入る。 直前、なんとなく見上げた空は、分厚い雲に覆われていた。 12: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/18(水) 17:11:50.54 :CoeaNds6O P「改めて……おめでとう。乾杯っ!」 智絵里「えへへ、ありがとうございます……っ」 カンッ 小気味良い音が響き、グラスが打つかる。 こじんまりとした半個室の卓上にチップスとソーセージ。 飲んでるのは日本酒でもビールでもなく果実酒。 智絵里「あ……これ、とっても飲みやすいです」 P「お、良かった良かった。メニューのこの辺りのは飲みやすいと思うから、気になるのあったら注文しちゃって」 全てのドリンクメニューに丁寧に説明と写真が添えてある。 これなら多分智絵里が大外れを引き当てる事はないだろう。 智絵里「それなら次は……カルーアミルク?にしてみます」 P「はいよ。すみませーん!」 ドリンクとフードを少しずつ注文する。 あ、ここギネスあるのか次頼もう。 P「さて……うーん……えっと、最近どうだ?」 智絵里「……ふふっ。おじさんみたいですよ、Pさん」 P「む……辛いな。うん、辛い」 智絵里「わたしは……うーん、とっても楽しいです。大学の友達と遊びに行ったり、遠くに出掛けたりして」 P「そっか、良かった。たまには、気が向いた時にでも事務所に顔出してくれても良いんだぞ?」 智絵里「……そうですね。あんまり伺えて無かった気もします……」 P「まぁそれだけ毎日が充実してるって事か」 智絵里「……Pさんは、どう……ですか……?」 P「ん?Masque:Radeは二人になったけど、それでも上手くやってけてるよ」 五人の時ほどの活気は無いけどな。 そう笑いながら、俺は写真を取り出した。 P「懐かしいだろ?」 智絵里「わぁ……若い……」 P「智絵里は今でも十分若いだろ」 智絵里「それじゃ、えっと……幼い……?」 P「それはそれでどうなんだ」 ちひろさんから受け取った写真を、グラスを片手に眺めてゆく。 智絵里「懐かしいなぁ……」 P「なー、ほんと。みんな頑張ってたよ」 智絵里「加蓮ちゃんとまゆちゃん、今もよく喧嘩してるんですか?」 P「うん、あの頃と変わらず」 智絵里「ふふっ、想像がつきます」 13: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/18(水) 17:12:40.44 :CoeaNds6O 笑いながら、グラスを傾けながら。 様々なお酒に挑戦しつつ、過去の思い出に浸る智絵里。 ……今からでも、智絵里が戻ろうと思えば戻れる。 けれど、そんな未来が選ばれる事は無いだろう。 俺だって無理に引き戻そうとは思わない。 その辺りの話は一通り終えたし、智絵里の芯の強さは俺も理解している。 P「……ん、もう飲み物無くなってんな。次は何飲む?」 智絵里「……それじゃ、このブルーマルガリータでお願いします」 P「それ結構アルコール強いけど……まぁ飲めなかったら俺が飲むし良いか」 注文を終え、再び写真に目を戻す。 ……本当に、懐かしいな。 この中の一人と付き合って同棲を始める事になるだなんて、当時は微塵も思っていなかった。 智絵里「……ところで……美穂ちゃんとは……?」 P「良い感じかな。喧嘩少なめ甘さ増し増しだと思いたい」 智絵里「へぇ…………楽しそうですね」 P「幸せもんだよ俺は」 あんな優しい美人と、一緒に暮らせているんだから。 智絵里「……そうですか……」 P「大丈夫か?気分悪い?」 智絵里「あっ、いえ。大丈夫です」 二十歳なりたてだから心配になる。 初めてなのに飲ませ過ぎてしまっただろうか? まあ酔っ払ってる感じでは無さそうだし大丈夫だろう。 P「悪い、ちょっとお手洗い行ってくる。フード足りなかったら何か頼んでて」 智絵里「あっ、はい」 席を立ち、お手洗いついでに美穂からの連絡チェック。 また画像が送られて来ていた。 ……頑張れ、李衣菜。 にしても……智絵里、ほんと綺麗になったな。 二十歳か……お酒飲めるじゃん。 ……さては俺、少し酔ってるのでは? 鏡の前で顔をピシャッと叩いてお手洗いを出る。 14: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/18(水) 17:13:34.02 :CoeaNds6O 智絵里「うぅ……ちょっとお口に合いませんでした……」 ブルーマルガリータのグラスがこちらに押された。 P「あーうん。いいよいいよ別の頼んじゃいな」 案の定と言うか、そんな気はしてたというか。 まぁ二十歳になりたてで飲むような物じゃ無いのは確かだな。 智絵里「ごめんなさい……」 P「良いって。一応度数表示されてるから低めの物にしとこうな」 この歳で間接キスなんて気にする必要も無いだろう。 青いグラスをグイッと煽る。 ……あ、強い。げ、25%とか書いてある。 智絵里「……えへへ、ありがとうございます」 P「うん、思ったより強かった」 智絵里「もう……格好付きませんね」 ニコニコと笑う智絵里。 あぁ、可愛い。 P「そういえば、智絵里って大学で恋人とか出来たのか?」 智絵里「……デリカシー、無さすぎませんか……?」 P「……彼氏出来た?」 智絵里「言い方じゃなくって……いませんけど……」 P「アイドルだった間は恋愛とか出来なかったから、どうなんだろうなーって思って……すまん、流石に無遠慮過ぎたな」 ちょっと拗ねた様な表情も、かつての子供っぽいものとは異なって。 仕草や表情の一つ一つから、もう二十歳の大人なんだなぁと思い知らされる。 P「ん、ところで時間は大丈夫か?」 もうすぐ二十二半時になろうとしているが、終電は大丈夫だろうか。 智絵里「あ、わたしの家そんなに遠くないから……」 逃しても大丈夫、という意味だろうか。 だとしたら明日の大学に差し支えない程度までは付き合おう。 俺もまぁ、最悪タクシー使えば良いし。 美穂はまだまだ飲んでるだろうし。 一応ラインをチェックする。 ……うちで飲んでんのか。 逆に帰りたく無いな。 智絵里「……Pさんは大丈夫ですか?」 P「あぁ……まだまだ飲める……」 ……ん、急にさっきのが回って来たかな。 酔いと同時に眠気までやってきた。 智絵里「…………大丈夫ですか?」 P「ん……ちょっと……、まず……」 智絵里「……時間は大丈夫ですから。気にしないで下さい」 まさか、成人祝いに付き合ったら俺の方がこんな事になるなんて…… ……しこうまでおぼつかなくなってきた…… ねそう……ねむ…… 智絵里「……おやすみなさい、Pさん」 15: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/18(水) 17:17:00.67 :CoeaNds6O P「……っ!」 智絵里「あ……おはようございます、Pさん」 目が覚め頭を起こすと、目の前に智絵里が居た。 周りを見れば見慣れた寝室ではなく、事務所のデスクでもなく…… P「……あっ、すまん智絵里」 そうだ、智絵里の成人祝いに来ていたんだった。 だというのに、俺は眠ってしまって…… まだ妙に頭が重いな。 智絵里「いえ、大丈夫です。とってもお疲れだったんですよね……?なのにわたしが無理言って付き合って貰っちゃって……」 P「いや、俺が調子乗って自分のペースで飲まなかったから」 スマホを開けば二十四時を回っている。 どうやら一時間と少し眠ってしまっていた様だ。 P「……終電、無いな」 智絵里「わたしもです……あ、でもわたしは歩いて帰れる距離だから……」 閉店作業をしていた店員さんに謝って支払いを済ます。 優しい店員さんで良かった、次もまた来たいものだ。 P「……うっわ……」 智絵里「うわぁ……」 ザァァァァァッ! 外は迫真の大雨だった。 折りたたみは持ってないし、近くのコンビニに着くまでに濡れ鼠になるだろう。 P「送ってくよ。タクシー使うか」 智絵里「あ、わたし折りたたみ持って来てますから」 P「タクシー代も俺が持つから気にしなくていいんだぞ?」 智絵里「いえ……その、少し酔い覚ましに歩きたい気分だから……」 P「……それじゃ、悪いけどそこのコンビニまで入れて貰えるか?」 智絵里「えへへ、もちろんです」 小さな傘にお邪魔して、少し先のコンビニに向かう。 傘と……水も一応買ってくか。 P「んじゃ改めて、送らせて貰うよ」 智絵里「ふふっ、送り狼ですか?」 P「同棲してるのにそんな勇気は無いな」 他愛の無い会話をしながら、雨の中を歩く。 風も冷たいし、良い酔い覚ましになるな。 まぁ当然と言えば当然だが、傘程度じゃ雨は防ぎ切れずズボンの裾と靴はびっちゃびちゃになっていた。 帰り、どうするかな…… これなら近場の漫画喫茶でも探した方が楽な気がする。 16: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/18(水) 17:17:48.87 :CoeaNds6O 智絵里「……もうすぐです」 P「ほんとに近くだったんだな。ならまた次もあの店で飲むか」 智絵里「お誘い、お待ちしてますね……?」 P「あぁ、暇が出来たら連絡くれれば」 角を曲がって、智絵里が指差す先には小綺麗なアパート。 そういえば今は一人暮らしをしてるんだったか。 かんかんかん 階段を上って、廊下を歩いて。 『緒方』と書かれた表札の部屋の前へと到着。 P「それじゃ、お疲れ様。またな」 さて、帰るか。 智絵里「……あ、あのっ!」 そう言って廊下を戻ろうとした俺のスーツの裾を。 智絵里が、ぎゅっと握りしめてきた。 智絵里「えっ、っと……その……Pさんも濡れちゃってますから、シャワーだけでも浴びて行きませんか……?」 P「いや、悪いし良いよ。近くの漫画喫茶でシャワー借りるし」 智絵里「……この辺り、そういった施設が充実していませんから……」 P「……とは言えなぁ……それならタクシーでも拾って……」 智絵里「……もう少しだけ、Pさんとお話してたいんです……誕生日プレゼントだと思って……ダメ、かな……」 ……一人暮らし、だもんなぁ。 折角の誕生日、一人きりというのは確かに寂しいかもしれない。 それなら、話し相手になるくらいなら。 うん、まだ俺も話し足りないし。 P「……それじゃ、お言葉に甘えさせて貰うよ」 智絵里「……えへへっ。どうぞ、いらっしゃいませ」 P「あぁ、お邪魔します」 濡れた靴を脱ぎ、タオルで足を拭いて智絵里の部屋に上がる。 女性の一人暮らしは、思ったより普通だった。 もっと部屋が散らかってたり、逆にとても綺麗に整頓されてたり。 そんな予想は遠く外れ、物が少なくなんだか寂しいと感じる部屋で。 17: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/18(水) 17:18:21.78 :CoeaNds6O 智絵里「……そんなにジロジロ見るのは、その……」 P「あぁ、すまん。デリカシー不足だったな」 智絵里「……それで……どうですか?」 P「どう、って……部屋の感想か?」 智絵里「…………はい」 P「……物が少ないな、って感じた」 あまりにも、生活感が薄い。 洗面台に化粧品が少ない。 キッチンに器具や調味料が少ない。 クローゼットや棚も、見るからにすっからかんで。 部屋の隅に置かれた段ボールは、埃を被っていた。 智絵里「……居心地、悪いですか……?」 P「いや、別にそういう訳じゃないよ」 智絵里「ほっ……良かった……」 ついついそこらへんを観察してしまったのは、美穂と比較して随分異なる部分が多いなと思ったから。 あいつはきちんと整理整頓はするが、そもそも物が多くて所々ゴチャゴチャしてるし。 智絵里「あ、お湯沸かしてますから……お先にどうぞ?」 P「いや、家主より先に入るのは悪いし良いよ」 智絵里「いえいえ、Pさんこそ先に……」 あ、これ平行線になるやつだ。 P「……それじゃ、お言葉に甘えさせて貰うよ」 智絵里「はい、バスタオルは出しておきましたから。着替えは……ズボン乾かしておきますから、ハンガーに掛けておいて下さい」 P「何から何までありがとな、智絵里」 智絵里「わたしのワガママに付き合って貰っちゃってますから」 仕事柄帰れなくなる事が多いから、肌着と靴下は持ち歩いてて良かった。 お言葉に甘えて先に浴室に向かう。 服を脱いでズボンを言われた通りハンガーに掛け、シャワーを浴びた。 うん、サッパリする。 ……さて、と。 どのタイミングで帰ろうか。 あがって即お邪魔しましたは申し訳なさ過ぎるし、かと言って朝まで居座るのも智絵里に悪いしな…… あ、それに美穂に連絡してない。 あがったら今日は帰らないってだけでも伝えておかないと。 李衣菜と飲んでたから、もう寝てそうではあるけど。 18: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/18(水) 17:19:12.77 :CoeaNds6O コンコン 智絵里「失礼します。ズボン、アイロン掛けておきましたから」 P「すまん、ありがとな」 それにしても……あまりにも不用心だったかもしれない。 一人暮らしの女性の部屋に上がり込むなんて。 それ程智絵里は俺の事を信頼してくれているんだろうが、有難いとは言え不安になる。 貞操観念が薄い……って訳じゃ無い……よな? 浴室から出てパパッと身体を拭き、服を着つつドライヤーを掛ける。 ……うん、やっぱり。 美穂と比べて、物が少ない。 女性の洗面台ってもっと名前も分からない美容品で溢れかえってるものだと思ってたが、一般的にはそうでもないんだろうか。 P「……お先頂きましたーっと」 智絵里「手持ち無沙汰だったら、冷蔵庫にリンゴが切ってありますから」 P「あぁいや、大丈夫。次どうぞ」 智絵里が浴室へと向かって行った。 ……テレビも無いんだな。 本人が居るところではアレだったから改めて部屋を見回す。 ……あぁ、成る程。 この部屋、写真や置物が無いんだ。 部屋を装飾する物が殆ど無いんだ。 あんまり新しい暮らしに馴染めてないんだろうか。 P「おっと、美穂にラインを…………ん?」 美穂とのトーク欄を開けば、連絡が来ていた。 美穂『ふーんだ……分かりました、風邪はひかないように気を付けて下さいね?』 ……何が分かりましたなんだ? 少し上にスクロールする。 P『すまん、終電逃しそうでさ。今日は適当な漫画喫茶にでも泊まるから』 P「……あれ?」 二十三時頃、俺の方から送信されている。 俺、美穂にこんなライン送っただろうか? 全く覚えてないが……そうとう酔ってたのかな。 寝ぼけながらも、きちんと連絡は取らなきゃと考えたのかもしれない。 それはそれとして美穂に改めて連絡する必要は無さそうだ。 浴室の方から聞こえてくるシャワーの音と、窓の外から響く雨の音。 それ以外、何も聞こえて来ない。 こんな部屋で、智絵里はいつも一人で生活しているんだな。 一枚くらい、Masque:Radeの五人が映った写真を渡しても…… いや、ダメか。 そうちひろさんに言われてたな。 のんびり近場の泊まれそうな施設を探しつつ、始発を調べる。 あ、二つ隣の駅にあるっちゃあるな…… 19: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/18(水) 17:19:51.21 :CoeaNds6O 智絵里「……あの……あがりました……」 P「おう。んじゃ……っ?!」 見れば、智絵里は薄手のシャツしか身にまとっていなかった。 いや、多分見えてないだけで下着は着けているんだろうが。 智絵里「えっ?あっ……その、いつもは一人だから……」 そう言いながら、俺の隣に腰を下ろす智絵里。 ほんわりと柔らかな良い香りが漂ってくる。 何故こうも同じシャンプーを使わせて貰った筈なのに、女の子は良い香りがするんだろう。 P「いやいや、気を付けろよ。まぁ部屋に男性がいるなんてあんまり無かったからなのかもしれないけどさ」 智絵里「……大丈夫、です」 こてん、と。 俺の肩に、智絵里の頭が乗せられた。 P「大丈夫って……」 智絵里「わたしは……Pさんなら……」 P「……まぁ俺はそんなつもりは無いから大丈夫だけどさ……」 智絵里「……それは……わたしにとっては、大丈夫じゃないです……」 P「にしても、ちょっと近くないか?」 そう言って、智絵里の方に目を向けると。 智絵里の肩は、小さく震えていた。 P「……寒いのか?今になって酔いがきたか?」 智絵里「……そうじゃ無いんです……っ!誰かと一緒に居るのが……久し振りだったから……!」 ぎゅっ、っと。 俺のシャツが握られた。 智絵里「こうやって、誰かが近くに居てくれて……一緒にお喋りしてくれて……安心出来るのが……とっても嬉しくって……っ!」 シャツに、涙のシミを作る智絵里。 ……大学生活、上手くいって無かったんだろうか。 俺に心配を掛けまいと、嘘を吐いてたんだろうか。 智絵里「お友達がいない訳じゃ無いけど……どうしても、あんまり落ち着けなくって……やっぱり、わたしにはPさんしかいないから……!」 ぎゅぅぅっ、っと。 強く、俺に抱き付いて来た。 当然胸が密着するが、変な気を起こす訳にもいかない。 背中に手を回し、軽くさすりつつ抱き締め返した。 智絵里「……Pさん……どうして……」 智絵里の声は、涙に震えていて。 20: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/18(水) 17:20:29.76 :CoeaNds6O 智絵里「どうして……美穂ちゃんなんですか……?」 智絵里の言葉に、心臓がドクンと跳ねた。 P「えっ?それは、どういう……」 智絵里「どうして、Pさんは……美穂ちゃんを選んだんですか……?」 それは、美穂が俺の事を想ってくれていて。 俺もまた、美穂の事が好きだったから。 それに関しては、何度か伝えた気もするが。 智絵里が、それを問い掛けてくるという事は…… 智絵里「……わたしも……!Pさんの事が大好きだったのに……!!」 涙を流しながら、智絵里はそう想いを口にした。 P「……そう、だったのか……」 考えた事も無かった。 俺たちの事を、智絵里は祝福してくれていて。 おめでとう、って、そう言ってくれたのに。 それなのに、本当はそんな気持ちだったなんて。 それをずっと、隠し続けていただなんて。 P「……ごめん……」 謝る事しか出来ない。 智絵里「……ごめんなさい……突然こんな事言われても、迷惑ですよね……」 P「……ごめん……」 他に、なんて言えば良いのか分からないから。 そんな俺に向けて。 智絵里「…………ねぇ、Pさん……」 上目遣いで。 涙に濡れた瞳を上げて。 智絵里は、呟いた。 21: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/18(水) 17:21:12.43 :CoeaNds6O 智絵里「……わたしの事…………抱いてくれませんか……?」 P「…………えっ?」 抱いて、だと? 智絵里が、そう言ったのか? 脳の処理速度が間に合わずオーバーヒートしそうだ。 智絵里「……一度だけで良いですから……」 P「……そういう訳には……俺には美穂がいるから……」 智絵里「お願いします……っ!それで、きちんと諦めるから……」 P「いや……でも……」 智絵里「もう……寂しいのはイヤなんです……ずっとPさんの事を想って暮らすのは辛いから……っ!」 涙で顔を濡らして、懇願する様に言葉を続ける智絵里。 智絵里「ずっと大好きだったのに……それでも諦めようって思って、でも諦められなくて……!お願いだから……一度だけ……わたしを……!」 抱き付く力を強くする智絵里。 智絵里「お酒のせいにして良いですから……っ!忘れても良いから……無かった事にしても良いですから……っ!」 こんなにも、強く想ってくれていて。 そのせいで、辛く寂しい思いを。 俺が……俺のせいで…… 智絵里「……お願いです、Pさん……わたしを!大人にして下さい……!」 子供のままでい続けたく無いから、と。 そう呟く智絵里に。 もうこれ以上、智絵里に辛い思いをさせたくなかったから。 智絵里の苦しそうな表情を見たくなかったから。 誕生日を、成人した日を悲しい思い出にさせたくなかったから。 P「…………あぁ、分かった……良いんだな……?」 俺は、そう言ってしまった。 智絵里「……ううぅぅぅぅっ!Pさん……っ!」 更に強く抱き締められて。 次いで、唇が重ねられた。 智絵里「ちゅっ……んぅ、ちゅっ……っん、っちゅぅ……っ」 そのままお互い、ひたすらに唇を貪る。 智絵里は、寂しさで塗れた心を埋める様に。 俺は、頭から美穂の事をしばらくの間だけ忘れる為に。 智絵里「……っふぁぅ……ありがとう……ございます……っ」 頬を赤く染めてはにかむ智絵里。 そんな智絵里を、ゆっくりと布団に押し倒して。 六月十一日の深夜二十六時。 このシンデレラの魔法は、すぐに解けると分かっていながらも。 いや、既に解けていたのかもしれないが。 一度きりと決めた過ちを、お酒と誕生日のせいにして。 俺は、智絵里が心身共に大人へと成長する瞬間を。 一番近くで、誰よりもそばで祝う事になった。 25: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/19(木) 17:42:42.87 :/R9jD9wf0 ピピピピッ、ピピピピッ 繰り返し機能により平日は全て同じ時間にセットされたアラームで、俺は目を覚ました。 頭がまだ微妙に重いのは、まだ昨晩のお酒が残っているからか。 うるさいアラームを止めようとスマホに手を伸ばしたところで、誰かが俺に抱き付いている事に気付いた。 P「美穂……?」 智絵里「んぅ……ぅうん……」 P「…………え……?」 智絵里が、一糸纏わぬ姿で俺に抱き付いていた。 改めて見れば俺も何も着ていない。 不味い、状況が全く把握出来ない。 なんで俺たちは裸で抱き合って…… P「……あ……」 昨晩の事を、全て思い出した。 思い出してしまった。 智絵里「あ……おはようございます、Pさん……」 智絵里はまだ寝ぼけている。 取り敢えず身体を起こして、智絵里に布団を掛けつつ服を着た。 美穂からの連絡は……無し、と。 良かった、今はあまりやりとりをしたくない。 後ろめたさと罪悪感で押し潰されてしまうから。 智絵里「朝ご飯、食べて行きませんか?わたしが振る舞いますから」 P「ん?良いのか……?」 智絵里「はい……えっ?あっ、きゃっ……!」 ようやく自分が何も身に纏っていない事に気付いたらしい。 智絵里「あっ……あぁぁっ!っうぅぅ……」 ぷしゅーっと効果音が出そうなくらい顔を真っ赤にして、智絵里は布団の中に潜って行った。 なんだか微笑ましい。 確か美穂との初めての翌朝も同じ感じだった気が…… 美穂の事を思い出して、改めて苦しくなった。 ……いや、今回だけだ。 この一度だけ、もう絶対にしない。 26: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/19(木) 17:43:26.18 :/R9jD9wf0 智絵里「……あぅ……ふふ……えへへ……」 智絵里の微笑む声が聞こえてくる。 というか布団の隙間から、両手で頬を抑えているのが見えてる。 ……智絵里も、もうこれで色々と吹っ切れてくれただろう。 これで良かったんだと、自分に何度も言い聞かせた。 智絵里「……あ、時間は大丈夫ですか?」 P「多分。こっからだと……あ、微妙だな」 智絵里「だったら、お味噌汁だけでも……インスタントですけど……」 そそくさと服を着て、お湯を沸かす智絵里。 寝起きでもこんなに可愛いんだから、きっと化粧もそんなに必要無いんだろうな。 P「智絵里は?一限はあるのか?」 智絵里「いえ、今日は三限からだから大丈夫です」 P「そっか、なら良かった」 そんな会話をしながら、インスタント味噌汁を作る。 お酒飲んだ次の日の味噌汁って凄く魅力的に見えるな。 智絵里「はい、どうぞ」 P「ありがと。頂きます」 うん、美味しい。 空腹に味噌汁の優しさが染み渡る。 ピロンッ P「ん……?」 美穂からラインが来た。 美穂『おはようございます。今日は帰ってきますか?帰ってこないんですか?』 若干棘があるな…… P『きちんと帰るよ。夕飯、お願いして良いか?』 美穂『Pさんの態度次第です』 P『お土産に甘いものを買わせて頂きます』 美穂『七味も忘れずに、ですよ』 P『はい、必ず買って帰ります』 美穂『よろしいでしょう。待ってますからねっ!』 智絵里「……美穂ちゃん……ですか……?」 P「ん?あ、あぁ……」 少し寂しそうな智絵里の声。 目の前でするべき事では無かったな。 智絵里「……ふふっ。お幸せにね?Pさん」 P「……あぁ。ありがとう」 そう、微笑んで言ってくれた。 だから、きっとこれは間違いじゃ無かったんだ。 27: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/19(木) 17:44:00.14 :/R9jD9wf0 P「それじゃ、お邪魔しました」 智絵里「行ってきます、でも良いんですよ……?」 P「またいずれ飲みに行こうな。今度はみんなも一緒に」 智絵里「……はい。是非、声を掛けて下さいね?」 あ、そうだ。 一枚くらいなら、きっと大丈夫だろう。 P「はい、Masque:Radeの写真。良かったら飾ってみてくれ」 五人並んで写った写真を、智絵里に手渡した。 部屋に写真無かったし、あった方が良いかなと思ったから。 智絵里「……はい!ありがとうございます……!」 P「じゃ、またな」 智絵里「またね、Pさん」 そう言って、俺は智絵里の部屋を後にする。 空は、まだ曇っていた。 28: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/19(木) 17:45:35.41 :l6LXopvHO P「おはようございます、ちひろさん」 ちひろ「おはようございます、プロデューサーさん」 事務所に入ると、既にちひろさんが居た。 コーヒーを片手に書類とにらめっこしている。 ちひろ「智絵里ちゃん、どうでしたか?」 P「えっと……まぁ、楽しそうでした。また飲みに行きたいって言ってくれたんで」 ちひろ「ふふっ、それは良かったですね」 P「はい。あ、それで……その、一枚だけ写真を渡しちゃったんですけど……」 ちひろ「あ、智絵里ちゃんになら問題ありませんよ?本人ですから」 P「良かった……」 ちひろ「よっぽど過去話で盛り上がったんですね」 P「今度、ちひろさんも一緒にどうですか?」 ちひろ「あら、良いんですか?」 P「美穂や李衣菜も誘って、みんなで飲みに行きましょう」 まゆ「まゆも誘って下さいよぉ……」 P「うぉっ?!」 突然、まゆが会話に混ざって来た。 いつのまに来てたんだ…… まゆ「最初から居ましたよぉ……はい、コーヒーです」 P「ありがとう、まゆ」 まゆ「ところで…………昨日はどれくらい飲んだんですか?」 P「んー、まぁそこそこ。色々あるお店でついつい沢山飲んじゃったよ。俺もしかして酒臭い……?」 まゆ「あ、それは大丈夫です。お酒の匂いは、全くしませんから。気になるならファブリースしときますか?」 P「良かった……そうだな、一応使っとくか」 まゆ「二人とも、終電は間に合ったんですか?」 バクン、と心臓が跳ねる。 いや、大丈夫だ。 下手な事を言わなければバレる筈がない。 美穂とまゆはよく連絡を取ってるし、下手な嘘は吐けないから…… 29: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/19(木) 17:46:02.28 :l6LXopvHO P「間に合わなかったから、智絵里を家の近くまで送った後に漫画喫茶に泊まったよ」 これなら大丈夫だろう。 ちひろ「領収書はありますか?」 P「あっ、貰い損ねた……出た感じですかね?」 ちひろ「そういう訳ではありませんけどね」 P「なら良いか」 ちひろ「貰っておかないと後々後悔するかもしれませんよ?」 P「今後は気を付けます……」 まゆ「羨ましいですねぇ……九月が待ち遠しいです」 P「そう言えば、加蓮は今日は現場に直接向かうんでしたっけ?」 ちひろ「そうですね。そのまま直帰になってます」 まゆ「これはもうまゆと二人きりでランチするしかありませんねぇ!」 P「あ、悪い。俺千葉の方行かなきゃいけないから」 まゆ「うぅぅぅぅ……っ、ビェェェェッ!!」 P「人気女優の迫真の泣き喚く演技を間近で見れるなんてこっわめっちゃ怖」 あまりにも迫真過ぎる。 ちょっと引く。 まゆ「ふぅ、このくらいお手の物です」 P「じゃ、俺行って来ますね」 ちひろ「車ですか?」 P「電車で行きます」 まゆ「ストップストップはーふみにっつうぇいと!うぇい!うぇいっ!」 P「……うぇーい」 まゆ「いえ、ウェイでは無くですね……明日、ランチご一緒しませんか?」 P「明日は……あ、大丈夫そうだな。どっか行きたい店とかあるか?」 まゆ「近くに、前から気になってた喫茶店があるんです」 P「おっけー、ちひろさんはどうですか?」 まゆ「分かってますよねぇ?!」 ちひろ「……お二人でぞうぞ」 まゆ「それでは行ってらっしゃい、プロデューサーさん」 P「あぁ、行って来ます」 30: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/19(木) 17:47:38.43 :l6LXopvHO P「っふぅ……」 夜、玄関前で大きく深呼吸。 片手に鞄、もう片手にお土産。 取り敢えずもう一度深呼吸する。 思い切り吸い込み過ぎてむせそうになった。 P「…………よし」 ガチャ P「ただいまー」 どたどたどた リビングから此方へ向かう足音が聞こえて。 美穂「おかえりなさいっ!Pさんっ!!」 ギュゥゥッ、っと抱き締められた。 P「おう、昨日は帰って来れなくてごめんな」 美穂「いえ、李衣菜ちゃんもわたしもかなり酔ってたから帰って来なくて正解だったかもしれません」 P「……あいつは大学間に合ったのか?」 美穂「今朝、この世の終わりみたいな顔で出て行きました」 P「……ほんと、ほどほどにな」 荷物を片手に纏めて、美穂を軽く抱き寄せる。 美穂「さ、ただいまのお約束は……?」 P「おう。ただいま、美穂」 ちゅ、っと軽く唇を重ねる。 美穂「はいっ!おかえりなさい、Pさんっ!」 P「お土産買ってきたぞ。今日は千葉行ってたから落花生。梨はこの時期はまだみたいだ」 美穂「七味はちゃんと買ってきましたか?」 P「もちろん、流石に何度もは忘れないよ」 美穂といつも通りの会話をしながらリビングへ向かう。 いつも通りに振る舞えるか不安だったが、大丈夫そうだ。 卓上には既に夕飯が用意されていて、そのどれもがまだ温かそうで。 丁度俺が帰ってくる時間を見計らって作ってくれたんだなと思うと、苦しくなる。 31: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/19(木) 17:48:11.21 :l6LXopvHO 美穂「さ、いただきます」 P「いただきます」 うん、美味しい。 美穂「七味があると美味しいですねっ!」 P「うんごめんって、今度から必ず次の日には買うようにするから……」 美穂「あ、智絵里ちゃんどうでしたか?」 P「えっ、どうって……」 一瞬ドキッとする。 美穂「えっと、どのくらいお酒飲めましたか?って意味です」 P「あー、うーん……まぁ苦手では無さそうだったな」 だよな、大丈夫だとわかっていてもバレてないか不安になる。 後ろめたい事があるとどうにも挙動不審になりそうなのはどうにかならないものか。 美穂「今度、わたしが一緒に飲みたいって言ってたって伝えてくれましたか?」 P「うん、んで暇があったら連絡くれよって頼んどいた」 美穂「ありがとうございます。智絵里ちゃん、あんまりライン確認しないみたいでなかなか連絡取れないんですよね……」 寂しそうに呟く美穂。 そうなのか……? 俺のラインは遅くても半日後には返信来るけど。 美穂「あ、昨日シャワーは浴びられましたか?」 P「あぁ、最近の漫画喫茶はサービスが豊富でありがたいな」 美穂「……えっと……わたしなら、もっと豊富なサービスを提供出来ますけど……」 顔を赤らめ、少し目を逸らす美穂。 美穂「……昨日は狭い場所で疲れが取れなかったと思うから……今日は、わたしが身体を流してあげますっ!」 P「……ありがとう、美穂」 女性と二人きりで飲んでその晩帰って来なかったのに、一切そういった疑いを向けて来ない美穂に申し訳無くて。 そんな彼女を一度だけとはいえ裏切ってしまった事が苦しくて。 P「せっかくだし温泉の素でも使うか」 美穂「はいっ!一緒に気持ち良くなりましょうっ!」 言って、即また顔を真っ赤にする美穂。 そんな同居人が可愛過ぎて、今すぐにでもキスしたくなる。 やっぱり俺は、美穂を選んで正解だった。 美穂と一緒になる道を選んで良かった。 P「んじゃ、洗い物は俺がやるよ」 美穂「はいっ、その間にわたしは洗濯物を畳んじゃいますから」 いつも通りの日常に戻るのは、なんてことなかった。 二人で過ごす時間は幸せで、当たり前が嬉しくて。 ……それなのに。 昨夜の出来事は、心にこびり付いたままだった。 32: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/19(木) 17:57:58.88 :l6LXopvHO P「すみません、サンドイッチセット二つとポテトじゃがいもポティトゥセットを一つで」 まゆ「まゆはブレンドで」 P「あ、じゃあ俺も同じので」 六月十三日、水曜日の昼下がり。 俺たちは事務所近くの喫茶店に来ていた。 落ち着いた雰囲気とお洒落な店内BGMが心地良く。 なんだかワンランク上の昼を過ごせている様な気分になる。 まゆ「……で、ですよ?」 P「なんだ……いや、まぁ、うん。分かってる」 加蓮「なになに?私分かんないんだけど。ツーカーとかズルくない?あ、私オレンジジュースで」 まゆ「なんで加蓮ちゃんが居るんですか?って事ですよぉ!」 まゆと二人と言う約束だったのだが、何故か加蓮がいた。 加蓮「別に良いじゃん、撮影午前中で終わって暇してたんだし」 まゆ「しかも何ですか、せっかくお洒落な喫茶店に来たのに変なランチセット注文して……」 加蓮「文句なら店に言いなよ!気になるんだからしょうがないじゃん!!」 まゆ「店員さん『えっ?これ注文する奴いんの?!』みたいな顔してましたよぉ……」 P「まぁまぁ、良いだろたまには三人でも」 まゆ「たまには?本当にたまにはだと思ってるんですか?」 加蓮「違うの?」 まゆ「まゆとプロデューサーさんが二人きりでランチの約束をした時は毎っ回加蓮ちゃんが居るんですよぉ!!」 加蓮「あ、プロデューサー塩取って」 P「はいよ」 まゆ「プロデューサーさん?」 P「いや……だって事務所で暇そうにしてたから……」 加蓮「優しいね、プロデューサーは。まゆはその優しさを否定するの?」 まゆ「加蓮ちゃんに対してのみは否定しても良いんじゃないかと最近本気で検討してます」 美味しいコーヒーを傾けながら、二人の会話を見守る。 時間は……まだかなり余裕あるな。 33: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/19(木) 17:58:39.68 :l6LXopvHO まゆ「ふぅ……まあ良いです。そのうちディナーにでも連れてって貰います」 加蓮「あ、プロデューサー。こないだのお店まゆも連れてってあげたら?」 まゆ「良くなさそうです。えっ、二人は結構お食事してるんですか?」 加蓮「あれ?まゆは違うの?」 まゆ「……プロデューサーざぁん……」 P「いや、だってまゆは夕飯は誘って来ないから……」 まゆ「美穂ちゃんに気を遣ってるんですよぉ……」 そっか、そこまで考えてくれてたんだな。 P「でもまぁ金曜は結構空いてるぞ。美穂が大学の友達と飲みに行く事多いから」 次の日玄関やリビングのソファでぐでーっと寝てる事多いけど。 まゆ「ふむふむ……覚えておきます」 「お待たせしましたー」 サンドイッチとポテトじゃがいもポティトゥが運ばれて来た。 ……うっわ…… 加蓮「……ごめん、ちょっと食べ切れる気がしないから手伝ってくれない?」 まゆ「仕方ありませんねぇ……」 P「凄いボリュームだな……」 山盛りになった多種多様なポテトがとんでもない存在感を放っている。 明らかに成人男性が一日に必要なカロリーを超えてそうだ。 加蓮「あ、でも美味しい」 まゆ「……むむ、美味しいです」 P「美味しいな。これぱくぱく食べられちゃうわ」 まゆ「いやぁん、まゆも食べられちゃうっ!」 加蓮「は?」 P「えぇ……」 まゆ「……ごほんっ!ごっほんっ!ゴッッホンッ!!」 加蓮「水飲む?」 まゆ「いえ、むせてる訳では無いので……水に流して下さい」 それにしても、ここのサンドイッチも美味しいな。 34: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/19(木) 17:59:09.78 :l6LXopvHO ピロンッ 加蓮「あ、李衣菜からライン来た。なんだろ?」 李衣菜か…… そういえば、美穂と李衣菜はよく会ってるが俺は会ってないな。 そのうち智絵里も誘って食事にでも行くか。 加蓮「あっやばっ。カラオケ行く約束してたんだった」 まゆ「しっしっ!さっさと退場して下さい」 加蓮「言われなくたって行くし!じゃあね、カラオケエンジョイしてくる!!」 キレ気味に加蓮が出て行った。 ……ポテトと支払い、押し付けられた。 まぁ元より俺が持つつもりではあったが。 まゆ「……嵐の様でしたねぇ」 P「元気だなぁ、この歳になると羨ましくなってくるよ」 まゆ「うふふ、プロデューサーさんもまだ十分若いと思いますっ」 P「現役アイドルにそう言って頂き光栄の至りだよ」 のんびり、ポテトをつまみながらコーヒーを飲む。 驚くほど合わない。 まゆ「……ところで、プロデューサーさん」 少し。 まゆの声のトーンが下がった気がした。 まゆ「……美穂ちゃんとは、最近上手くいってるんですか?」 P「んっ?あぁ、もちろん」 まゆ「浮気とかしてませんか?他の女の子に目移りしちゃったりとか」 P「何言ってんだ、する訳ないだろ。俺は美穂一筋だよ」 脳裏をよぎるのはほんの数日前の夜の事。 けれどそれを、誰かに知られる訳にはいかない。 P「突然どうしたんだよ。今撮影してるドラマってそんなドロドロした内容なのか?」 まゆ「いえ……先日智絵里ちゃんと二人で飲んだって言ってたから、もしかしてそんな禁断の関係が、なんて妄想しちゃいまして」 うふふ、と笑うまゆ。 ……大丈夫だ、バレてる訳じゃない。 所詮はまゆの妄想だ、そんな証拠はどこにも無い。 35: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/19(木) 17:59:35.53 :l6LXopvHO まゆ「まぁプロデューサーさんに限って浮気なんてあり得ませんでしたねぇ、失礼しました。あんなに可愛い女の子と同棲してるんですから」 P「おう、すっごく可愛いぞ。俺には勿体無いくらい……って言ったら美穂に怒られちゃうな」 まゆ「うふふ、ですよねぇ。プロデューサーさんは優しいですから」 P「優しいとかの問題じゃ無いだろ、浮気は」 まゆ「でも、そんな優しいプロデューサーさんは……智絵里ちゃんに一度きりで良いですからって泣き付かれたら、断れないんじゃないかなぁなんて思っちゃったんです」 一気に、脳が真っ白になった様な感覚に陥った。 俺は今、きちんと呼吸出来ているだろうか。 心臓の音がまゆまで聞こえてしまっていないだろうか。 コーヒーカップを落とさなかったのは奇跡と言えるレベルだ。 P「……こ、断るに決まってるだろ。美穂を裏切る様な事はしたくないからな」 まゆ「うふふ、ごめんなさい。お年頃な女の子ですから、そう言った事がついつい気になってしまうんです」 P「まったく……やめてくれよ?」 まゆ「ごめんなさい。まゆも、美穂ちゃんとプロデューサーさんの幸せを願っていますからっ!」 少しずつ、ようやく頭が落ち着いてきた。 大丈夫だ、大丈夫だから。 まゆに揶揄われているだけだから。 まゆ「でも、気を付けて下さいねぇ?女の子っていうのは弱いけれど強かな生き物なんです」 P「気を付ける、って……まぁ覚えておくよ」 ブーン、ブーン P「ん、先方さんから連絡だ。悪いけど代金置いとくから支払い任せていいか?」 まゆ「はい、貴方のまゆにお任せ下さいっ!」 財布からお札を数枚出し、鞄を持って席を立つ。 まゆ「……一度きりだなんて……それで済むはずが……」 最後にまゆが言っていた言葉は、よく聞き取れなかった。 37: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/19(木) 18:19:20.65 :l6LXopvHO 美穂「Pさん」 P「はい」 金曜日、朝。 朝食を食べている最中、美穂からなんかお叱りを受けた。 美穂「智絵里ちゃんとの連絡、本当に取ってくれてるんですか?」 P「一昨日に今月どっか空いてる日無いか?ってラインを送ってそれっきり既読も付いていません」 美穂「わたしもです!!」 なんかハイテンションで怒られてる。 美穂「忙しいのは分かるけど……うん、忙しいならしょうがないよね」 納得して頂けた様だ。 なら俺怒られ損ではないだろうか。 美穂「もーっ!わたしも久し振りに智絵里ちゃんと飲みたいのーっ!!」 お前智絵里と飲んだ事無いだろ。 駄々っ子モードの美穂に言っても多分聞かないだろうから黙っておくが。 美穂「わたしもよく送ってるんです。金曜日ならわたしもPさんも空いてますよーって」 P「返信は?」 美穂「なるほど、みたいなスタンプが一つだけ……」 P「とても雑」 美穂「もう良いですっ!今夜は久し振りに李衣菜ちゃん呼んで飲みますっ!!」 お前今週頭もあいつと飲んでたよな。 美穂「あ、Pさんも来ますか?」 P「今日何時になるか分からないしな……まぁ俺がいるとしづらい話もあるだろうし遠慮しとくよ」 美穂「ふーんだっ!Pさんへの愚痴に付き合ってもらうもんっ!!」 P「…………」 美穂「あっ、あの……えっとっ!ありませんよ?!わたし、本当にPさんの事が大好きだから……今のはその、勢いと言いますか……」 焦る美穂が可愛い。 全く、それくらい分かってるのに。 P「大丈夫だって、俺も美穂の事大好きだから」 美穂「むぅ……嬉しいんですけど、なんだか掌の上みたいな感じですね……」 P「ほら、そろそろご馳走さましないと遅れちゃうぞ」 美穂「話し掛け方までなんだか幼い子向けになってませんか?!」 P「すまんって、なんだか可愛くてさ」 美穂「……素直に喜べない……でも嬉しい……うーん……」 38: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/19(木) 18:19:47.35 :l6LXopvHO P「洗っちゃうから食器運んでくれー」 美穂「幼くないもん。わたし幼くないもん!もう二十歳だもん!!」 幼い、とても幼い。 二十歳とは思えない。 いやまぁお酒入るとこんな感じだけど。 美穂「……Pさんは……幼い子は嫌いですか?」 P「いや、大好きだよ」 美穂「……ロリコン……?」 P「美穂が好きって意味だよ……」 美穂「……わたし、言外に幼いって言われてません?」 P「割とストレートに言ってるつもりだけど。っていうかじゃあさっきの質問は何だったんだよ」 美穂「そ、それはっ!え、えーっと!そのっ!い、いつかそういう日が来る事を望んでくれてるかなーなんて…………えへへ……」 ……それは……子供って意味だろうか。 P「……あ、朝からする話じゃないな……」 美穂「あ、照れてまふか?」 P「噛んでるぞ」 美穂「わ、わたしだって焦ってるし恥ずかしかったんですから!!」 P「ま、そうだな……美穂が大学を卒業して、その先の事が全部決まったら……」 美穂「…………うぅ……はい……」 顔を真っ赤にして俯く美穂。 本っっ当に可愛いな…… 可愛さの奔流で世界のどこかで竜巻が起きる。 美穂「あっ、一限のレポート授業開始前に提出でした……!」 P「あー……片付けやっとくから、行ってらっしゃい」 美穂「朝の約束!」 P「ばっちうぇるかむ!」 ちゅっ、っと。 唇を重ねて、美穂を見送る。 美穂「行ってきまーす!」 P「行ってらっしゃい」 ドタドタと階段を降りて行く音がした。 さて、それじゃ俺も食器洗って出る準備しないと。 39: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/19(木) 18:20:29.24 :l6LXopvHO ちひろ「これが終われば金曜日……これが終われば金曜日です……!」 P「いやもう金曜日ではありますからね?」 ちひろ「だーらっしゃい!同棲野郎は毎日花金みたいなものじゃないですか!」 いや、別にそんな訳無いが…… ちひろ「毎晩帰ると恋人が待っててくれて、お酌までしてくれるんですよね?!あー!羨ましいです!!」 P「……ちひろさん、なんか今日荒ぶってないか?」 加蓮「昨日高校の友達の結婚式に出て心に重傷を負ったんだって」 ちひろ「はぁ……何処かに良い人落ちてませんかー……」 P「落ちてる物を食うなんて……」 ちひろ「いえ、食べはしませんよ?あ、でも結局食べる事に……ってなんて事言わせるんですか!」 加蓮「今日はまゆが居ないから落ち着けると思ったらコレだよ。分かる?朝事務所来たら熱帯低気圧に出迎えられた私の気分」 P「すまんって、いやでも俺別に遅刻した訳じゃ無いし……」 加蓮「ちょっと早起きしてみようかなーなんて思ったら……もう二度と起きない」 P「死んでる死んでる。早起きはしなくて良いからせめて起きて」 にしても、結婚式か…… 美穂、大泣きするんだろうな。 ウェディングドレスと白無垢、どっちが似合うかな…… あーやばい、迷うぞ……この際どっちも着せたいな。 人生で一度きりなんだし、悔いは残したくない。 加蓮「うげー……プロデューサーも頭に台風わいてる?」 P「フルスロットルで回転させて美穂にどっちが似合うか考えてる」 ちひろ「えっ?!もうそのご予定が?!」 P「いずれ、ですけどね」 ちひろ「うぅ……あんなに若かった美穂ちゃんも、今では結婚を視野に入れて同棲生活……それに比べて私は……」 P「……お酒、飲みに行きます?」 ちひろ「プロデューサーさんと飲んだってお持ち帰りは発生しないじゃないですか……」 P「それ目当てで飲むのか……」 加蓮「……こうはなりたくないかな……」 40: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/19(木) 18:20:57.44 :l6LXopvHO ピロンッ 加蓮「あ、プロデューサーライン来てるよ」 P「誰だろ……ん、智絵里だ」 智絵里『突然でごめんなさい。気になるお店を見つけたんですけど、今夜空いてたりしませんか……?』 P「お、ちひろさん。今夜智絵里空いてるみたいなんですけど一緒に飲みに行きませんか?」 ちひろ「あ、是非是非。久し振りに智絵里ちゃんと会って、尚且つ飲めるなんて素敵なプレミアムフライデーになりそうですね」 P「ついでに美穂と李衣菜にも声かけとくかな」 加蓮「良いなー」 P「加蓮もいずれな」 P『もちろん大丈夫だぞ。ちひろさんとか美穂とかにも声掛けて大丈夫か?』 智絵里『あ、その……先日の事をきちんと謝りたいから、二人っきりが良いです。ダメですか……?』 ……先日の事……か。 P『おっけ、分かった。二十時で大丈夫か?』 智絵里『はい。お願いします』 P『店のリンクだけ後で貼っといてくれ』 P「すみませんちひろさん、無理になりました」 ちひろ「はー何がプレミアムフライデーですか。金曜日なんてなくなっちゃえば良いんです」 P「なんか今このタイミングで智絵里に用事が入っちゃったみたいで」 加蓮「ふーん……タイミングわっる。あーでも私を除け者にしようとした罰かもね」 ケラケラと笑う加蓮。 世界の法則の乱れを願うちひろさん。 そんな中、俺はと言えば。 P「……はぁ……」 ちひろ「残念でしたね、プロデューサーさん。あっ、そう言えば今日会社で飲み会やるって言ってた気がしますけどどうですか?」 P「あぁいや、大丈夫です。美穂達の方混ぜてもらうんで」 智絵里からの、謝罪という文面で。 先日の事を思い出して、心が重くなっていた。 42: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/20(金) 02:08:36.95 :NQZNGfM20 P「それじゃ、お疲れ様でした」 ちひろ「お疲れ様です、プロデューサーさん」 会社の飲み会に参加が決まって気分が良さそうなちひろさんと別れ、駅へと向かう。 こんなに参加表明が遅くても大丈夫なのかと思ったが、どうやら事務所の近くの居酒屋を貸し切る為どのタイミングからでも自由参加出来るらしい。 すごい、この事務所凄い。 まぁそれは置いといて、智絵里から送られて来た店を調べて最寄りへ向かう電車に乗る。 見たところ前回飲んだバーと似た様なお店だ。 気に入ってくれたんだとしたら嬉しい限りだな。 それに、智絵里から誘ってくれるなんて。 昔の自分に『智絵里からお酒誘われる日が来るぞ』なんて言っても信じないだろうな。 智絵里「あっ……お疲れ様です、Pさん」 約束の駅へ着くと、既に智絵里は待っていた。 P「おう、お疲れ智絵里。待たせて悪かったな」 智絵里「ふふ、わたしも今丁度着いたところですから。それと……来てくれてありがとうございました」 P「智絵里の方から誘ってくれるなんてな」 智絵里「驚きましたか?」 P「そこそこ……って言い方は失礼か」 智絵里「Pさん、金曜日は空いてる日が多いって聞いてたから……」 P「まぁな。それと、美穂からのラインも返信してやってくれよ?」 智絵里「……そうですね。ここ何日かレポートに追われてて、誰かからライン来ても大体スタンプで返しちゃってたから……」 あー、それはしょうがないな。 P「それじゃ店向かうか。この近くだよな?」 智絵里「はい。わたしが案内してあげます……!」 43: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/20(金) 02:09:47.94 :NQZNGfM20 P「さて……ほんの数日ぶりだけど。乾杯」 智絵里「乾杯っ!」 カンッ! 心地良い音が響き、一気にジョッキを傾ける。 お洒落なお店だが、俺が注文したのは生だった。 金曜日の一杯目はやっぱりこれが飲みたかったから。 智絵里「わあ……凄い飲みっぷりですね」 P「うん、美味い!智絵里は何頼んだんだっけ?」 智絵里「レモンサワーです。最初のうちはコレを頼んでおけば間違いないって誰かが言ってたから……」 とても分かりみが深い。 飲める様になって最初の頃はずっと柑橘類のサワー系飲んでた気がする。 少しずつグラスを傾ける智絵里は、相変わらず小動物っぽさがあって可愛いな。 智絵里「そう言えば、Pさんってタバコ吸って無かったでしたっけ……?」 P「ん、あー。美穂と同棲始めてからキッパリやめたよ」 苦手かどうかは分からないけど、その方が良いと思ったから。 美穂の性格的に思ってても言うかどうか分からなかったし、なら自主的にやめておくのが正しい判断と言えるだろう。 智絵里「そっか……わたしは好きだったから……」 P「タバコの匂いが?」 智絵里「えっと、タバコを吸ってるPさんがです。その後の匂いもだけど、吸ってるのカッコいいなって思ってたから……」 P「智絵里は匂いそんな気にならなかったんだな。まぁ最初の頃に李衣菜や加蓮に臭いって言われてから、かなり気を使うようにはしてたつもりだけど」 智絵里「はい……あ、わたしと飲む時は吸っても大丈夫ですよ?」 P「もう買ってないし、一本吸ったらもう一本ってなっちゃいそうで怖いからやめとくよ」 智絵里「そっか……そうだよね……」 残念そうな表情をする智絵里。 まぁでも、またやめられなくなって美穂に迷惑掛けたくないし。 P「智絵里は興味あるのか?」 智絵里「いえ、自分で吸うつもりは……健康が一番ですから」 P「正しい、うん。吸わないのが一番だよ」 元アイドルだけあって、その辺の意識はきちっとしてるんだな。 そして元喫煙者が何を言ってるんだってなるが、タバコは吸わない方がいい。 健康と肺活量とお金がゴリゴリ削れてく。 44: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/20(金) 02:10:56.63 :NQZNGfM20 智絵里「あ、こないだ頂いた写真、部屋に飾らせてもらいました」 P「それは良かった。なんならちひろさんに頼めば何十枚何百枚と貰えるけどどうする?」 智絵里「……いえ、一枚の方がより大切に出来るから……」 P「……そっか。ならま、気が向いたり欲しくなった時にでも連絡くれればデータ送るから」 智絵里「はい、ありがとうございます」 それからしばらく色々と飲んで。 腹が八分目くらいまで埋まって来た頃。 P「そういえば、智絵里はお酒が気に入ったみたいだな」 智絵里「これでも好奇心はありますから。こないだ気になってたけど飲めなかったお酒、今度挑戦したいなって思ってて」 P「んで、お店探したんだな」 智絵里「はい。あ、それで……その……」 智絵里の声のトーンが、少し下がった。 ……あんまり俺も話したく無い話題だから、そのまま避け続けてくれても良かったんだけどな。 智絵里「……こないだは……本当にごめんなさい……!」 目に涙を浮かべて、そう口にする智絵里。 智絵里「わたし、とってもワガママで、ズルくて……Pさんを困らせちゃって……!」 P「……それは……」 智絵里「美穂ちゃんを裏切る様な事をさせちゃって、本当に酷い事しちゃったんだって……!Pさんは優しいから、美穂ちゃんと会う時とっても苦しかったと思うから……!」 それは……その通りだ。 だからこそ、あんまり掘り返して欲しく無かった。 智絵里「それと……実はこっそり、Pさんが寝てる間にPさんのスマホで美穂ちゃんにライン送っちゃったんです……」 P「……あぁ、だから……」 送った覚えが無いと思っていたが、本当に俺は送ってなかったんだな。 指紋認証なんて、相手が寝てれば指を乗せるだけで簡単に解除出来るし。 45: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/20(金) 02:11:22.51 :NQZNGfM20 智絵里「終電逃しちゃう時間になっても、Pさん気持ち良さそうに寝てて……起こすのは可哀想だったのと、美穂ちゃんに連絡しないのも可哀想だったから……」 P「そっか……それはうん、俺が悪いな。それと、他には何もしてないよな?」 智絵里「はい……それだけです」 P「なら、まぁ…………次からはやめてくれよ?無理やり起こしてもいいから」 智絵里「はい、約束します……」 P「……その時から、もう全部決まってたのか?」 智絵里「……ごめんなさい……!Pさんが寝ちゃった時、きっとこれが最後のチャンスだって……そんな事を考えちゃって……!」 P「あぁいや責めてる訳じゃ無いっていうか……そんな泣いて謝らなくても良いから……」 智絵里の涙は、見たくない。 智絵里「わたしが……わたしが、弱かったから……!」 P「……ちゃんと謝れるだけ、強いさ」 智絵里「でも……わたし、次会う時美穂ちゃんにどんな顔して会えばいいのか……」 P「……大丈夫だよ、俺たちが言わなければ気付かれないんだから。言ったら美穂も傷付くだろうし、俺たちも辛いし。黙ってるのがお互いの為だ」 智絵里「そう……ですよね……」 P「さ、この話はおしまい。飲んでさっさと忘れるのが一番だ」 智絵里「……はい」 下がった気分を無理やり上げるべく、追加で少し強めのお酒を注文する。 智絵里の表情は、なかなか明るくならなかった。 46: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/20(金) 02:11:49.37 :NQZNGfM20 P「さて、そろそろ出るか」 智絵里「はい……あ、わたしが誘ったから……」 P「良いって良いって、このくらい払わせてくれよ」 時刻は二十三時を回った頃。 そろそろ店を出てのんびり歩いて駅へと向かっても、終電には余裕で間に合うだろう。 智絵里「なら……はい、ご馳走さまでした」 未だに、智絵里の表情は暗いままで。 なんとなく居心地が悪くて、こんな時こそタバコが吸いたくなった。 吸わないが。 美穂を裏切る様な真似なんてしたくないから。 P「来週は美穂にも声掛けてやってくれよ?」 智絵里「はい……空いてたら、そうします……」 P「……気分、悪いのか?」 智絵里「そういう訳じゃ無いけど……」 どうにも歯切れが悪い。 水でも買って渡すべきだろうか。 そんなこんなで駅へと着く。 既に人通りは少なく、ちらほら見える人は大体酔っ払いか中々解散しない大学生グループかキャッチだった。 梅雨前の夜風は冷たく、路上を転がるビニール袋が寒さを一層引き立てる。 P「それじゃ、智絵里……」 智絵里「……あっ……えっ、っと……!」 またな、と。 そう言おうとした時だった。 47: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/20(金) 02:12:20.04 :NQZNGfM20 智絵里「……まだ……別れたく無いです……」 智絵里が、抱き付いて来た。 触れ合う部分から伝わる温もりは、お酒も相まってかなり熱い。 P「お、おい……」 智絵里「……Pさんは忘れられるかもだけど……わたしは……忘れられないんです……!」 ぎゅぅぅぅ、っと。 抱き付く力が強くなる。 智絵里「忘れようとしても、あの時の幸せが……Pさんの温もりが忘れられなくって……!」 P「智絵里……」 智絵里「あれからずっと、Pさんの事しか考えられなくなっちゃって……!諦めるって、決めたのに……!もっと好きになっちゃって!」 ぼろぼろと涙を溢す智絵里。 そんな彼女を見るのが辛くて、俺は背中に腕を回し抱き寄せた。 P「……ごめん……」 智絵里「……ねぇ……Pさん……」 P「……それは……ダメだ」 その先の言葉は、何となく予想がついてしまった。 けれど、それに頷く訳にはいかない。 もうこれ以上、美穂を裏切る様な事はしたくない…… 智絵里「……今度こそ、絶対最後にしますから……!」 P「……なあ、智絵里。最後とかそう言う問題じゃ……」 智絵里「お願いです……!お願いだから……!」 P「……ダメだ」 智絵里「……わたし……美穂ちゃんに送りたくないから……」 P「えっ……?」 48: ◆x8ozAX/AOWSO:2018/07/20(金) 02:12:48.18 :NQZNGfM20 涙を流しながらも、スマホの画面をこちらへ向ける智絵里。 そこに写っているのは、一糸纏わぬ姿で抱き締めあっている俺と智絵里だった。 P「おい……」 不用心だったのは、俺の方だった。 智絵里ならそんな事はしないと思っていたのに…… 智絵里「……ワザとじゃ無いんです……Pさんの寝顔だけ撮れれば良かったのに、わたしまで写っちゃって……」 確かに智絵里自身は画面端にチラッと写っているくらいだが。 それでも見る人が見れば、これは智絵里だと断定出来てしまう。 智絵里「ごめんなさい……今夜、してくれたら……必ず消しますから……」 P「…………」 智絵里「……家にパソコンはありません……Pさんが、自分で消して良いですから……!」 智絵里の家に、見た感じパソコンは無かったけど。 それを完全に信頼出来るかと言われれば否定するし、かと言って今否定したら全てが終わる。 智絵里「お願いです……!わたし、美穂ちゃんと……また、笑顔で会いたいから……!」 P「…………智絵里……」 智絵里「わたし、二人の事を心から祝福したいから……!だから……今度こそ、最後だから……!」 どの道、俺に断るなんて選択肢は残されて無かったが。 それでも、智絵里がそこまで言ってくれたなら…… P「……あぁ、分かった……」 智絵里「……っ!ありがとうございます……!」 P「だけど、一つ約束してくれ。事が終わったら、俺にスマホを確認させてくれよ……?」 智絵里「はい……約束します……!」 それなら、今度こそこれで最後に。 もう絶対に、美穂を裏切らないと誓って。 俺と智絵里は並んでホテルへと歩いた。 読む →
2018年07月15日 09:30 【デレマス】プロデューサーくん「もふもふしていってね!」 元スレ 全てのレス 1: ◆tMhnVrptgSx5:2018/07/15(日) 03:14:21.15 :7z4kNylwO アイドルマスターシンデレラガールズ、小日向美穂メインの二次創作です デレマス2018年エイプリルフールのマスコット総選挙より、 プロデューサーくんをこっそりもふもふしたことのあるアイドル達の一部が登場します ほんのちょっぴりだけ百合要素あり 全部で10,000字程度です ※〇〇にはあなたの名前を入れて読んでね! (えっ? ファンの方からプレゼント…? 私に?) (じ、じゃあ、開けますね………) (わぁっ! おっきなくまさん!) (○○さん、あの…あ、ありがとうございました!) (…送り主の書いてないプレゼント、だ、誰がくれたんでしょうねぇ…ふふ!) 読む →