2024年01月24日 22:30 恭子「なんですか、この……サプリ?」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/19(土) 23:20:39.26 :slJxt2kZP 漫(はぁ……今日も鳴いたしとんだわ) 漫(せっかくレギュラーに選ばれたのに、これじゃあ他の人に申し訳が立たへん……) 恭子「あれ、漫ちゃんまだおったん?」 漫「あ、はい……ちょっとトイレに行ってまして……」 恭子「せやったんか、じゃあ最後の鍵閉め頼んでもええ? 私ちょっと用事があるんやけど」 漫「はい、任せてください」 恭子「じゃ、また明日な」 漫「お疲れ様でした」 漫「……ふぅ」 漫(っていうことは、残ってるのは私だけか)ガララッ 読む →
2023年11月01日 23:00 洋榎「手からからあげを出せる能力?」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/30(水) 00:49:24.48 :dQLIJ182i 愛宕家 絹恵「お姉ちゃんそのからあげどうしたん?」 洋榎「おー絹!実はな…お姉ちゃん手からからあげ出せるようになってん」 絹恵「へー凄いやん」 洋榎(…あれ、ツッコミ無し?) 読む →
2023年08月20日 22:30 恭子「私が何したって言うんや……」郁乃「生まれてきたからやない?」 元スレ 全てのレス 2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/04(日) 05:40:47.17 :f1FU2chd0 洋榎「恭子ちょっとええか」 普段からは想像できないような小声で声をかけられた 恭子「主将?どうしたんですか?」 洋榎「こっちこい」 周囲を覗いながら手招きされる 3:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/04(日) 05:41:27.06 :f1FU2chd0 恭子「どうしたん?こそこそして」 洋榎「いいからついてこい」 不審に思いながらも洋榎の後について歩く 恭子「準備室?なんか備品無くなったんか?」 洋榎「そうやないなんけど」 はっきりとモノを言う洋榎にしては珍しく言い淀んでいる 読む →
2015年09月13日 12:05 照「宮永ホーンが日に日に増えていく」 元スレ 全てのレス 2: ◆hzxtYzT615Za:2015/09/10(木) 00:49:00.53 :MoBLOuXY0 照「どうしよう菫…」 菫「どうしようって私に言われてもな」 照「ことの発端は1週間前」 菫「いきなり回想か」 照「朝起きると宮永ホーンが2つになっていた」 菫「そうか」 3: ◆hzxtYzT615Za:2015/09/10(木) 00:55:33.69 :MoBLOuXY0 照「それから毎日、日を追うごとにどんどん増えて」 照「今ではこんな頭に」トゲトゲ 菫「確かにひどい頭だな。モヤッとボールみたいだ」 照「昨日、淡にはトゲピーってあだ名を付けられた」 菫「なかなかセンスあるな」 照「チョゲブリィィイイイ」 菫「やめろ気持ち悪い」 照「はい」 読む →
2015年08月08日 09:50 絹恵「お姉ちゃん、捨て妹やて」洋榎「ほーん」 元スレ 全てのレス 1:際限のないほのぼの:2015/08/08(土) 01:36:16.40 :r4VHowCMO 絹恵「むっちゃかわええやん」 洋榎「ちーっちっちー」チッチッ 絹恵「心がほんわかするわ」 洋榎「なるほどな…この愛宕洋榎に拾え!と」 絹恵「ぷっ…しょーもな」 洋榎「いやうまかったやん!なんでや!」 絹恵「渾身のドヤ顔さえなかったらまだマシやったけどなー」 洋榎「そらドヤ顔にもなるやろ!」 <アハハハ 妹「……」ポツーン 読む →
2015年01月23日 00:30 恭子「いつか聞きたいその2文字」 元スレ 全てのレス 2: ◆aaEefGZMoI:2015/01/22(木) 20:23:06.68 :DsjzTcAto 洋榎「よーしわかった! つまり答えは1やな!」 恭子「ちょ、人の説明聞いとった!? なんでそんな答えになるねん」 洋榎「だーって難しくてわからんもーん」 恭子「そんなんじゃアカンて! 言うとくけどこれ教科書レベルの問題やからな? 来週の期末テストに間違いなく出るで!」 洋榎「はー…… こんなん人が解ける問題やないわ。 人類の英知を超えとるで」 恭子「だから教科書レベルやて! もー洋榎、こんなんで躓いてたらまた赤点とるで!」 洋榎「言うてもなー」 恭子「赤点とったら追試受けなあかんし、 一発目で乗り切るんが一番ええでしょ」 洋榎「せやけどなー…… あー、もう無理や! これ以上集中でけへん! 休憩にしよう休憩!」 恭子「はあ!? まったくもう…… 洋榎うちに何しに来たん? 勉強わからんから教えてー言うたんは洋榎やろ」 洋榎「せやけどもう頑張れへんわー…… あーええ布団」ゴロゴロ 恭子「勝手に人の寝床に寝っ転がるな!」 洋榎「頑張りの前には休憩が必要なんやー」ゴネゴネ 恭子「だから今がんば…… あーもう、これ以上言うても不毛なことにしかならんわ。 しゃーない、ちょっと紅茶用意するから待っといて」 洋榎「サンキュー! ホンマ恭子はええ嫁さんやなー」 恭子「誰がや!」 最初に違和感を覚えたのは、いつのことだったか。 多分、そんなに最近のことではないはずだ。 姫松高校。 南大阪の麻雀名門校に、私が入学してきたのは2年前。 同じくして、入学してきた彼女。 ファーストインプレッションは、最悪だったと言ってもいい。 読む →
2015年01月19日 15:05 郁乃「マジギレツアー in 姫松麻雀部!」 元スレ 全てのレス 1: ◆aaEefGZMoI:2015/01/18(日) 22:33:34.90 :oCkT3J+ro 郁乃「というわけで始まるでー、第1回 『マジギレツアー in 姫松麻雀部』!」 絹恵「何なんですそれ」 郁乃「名前の通りやでー。 マジギレツアーをうちでもやってみようてことやー」 漫「やから『マジギレツアー』て何です? 聞いたことないですよ」 郁乃「えー、そう? ちょっと前にガキ使でやっててんけどなー」 恭子「うちは見てないから知らんなあ」 洋榎「『マジギレツアー』……? あー、見た見た! あのしょーもないイタズラにマジギレせなあかんやつ! ダ○ンタウンとか出てた!」 郁乃「そうそう、それ! あれをうちでもやってみたらおもろいて思うてなー」 絹恵「あー、あれか! お姉ちゃんと一緒に見てたわ私」 漫「イタズラにマジギレ? どういうことです?」 郁乃「あーまあ、とりあえずルール説明していこうかー」 恭子「はい」 郁乃「今からいつも通りに部活やってもらうねんけど、 途中にいろんなイタズラが入るねん。 イタズラ言うてもしょーもないのばっかりやけどなー」 漫「はあなるほど」 郁乃「でな、そのイタズラをされた人はマジギレせなあかんねん。 私がこのゴングが鳴らすまでなー」カンカンカン 恭子「マジギレの演技力コンテストみたいなもんですか」 郁乃「そうそう、そういうこと」 由子「なるほどなー」 読む →
2015年01月17日 19:05 洋榎「風邪引いた……」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2014/12/29(月) 10:33:17.61 :Ts3dS1r00 洋榎「あ゙ー、喉痛い」 絹恵「久しぶりに来たなあ、風邪」 洋榎「せやなー、ここ一年ずっと健康優良児でおったのに……」ゴホゴホ 絹恵「徹夜とかしたん?」 洋榎「んー……アレが悪かったんかなあ」 絹恵「アレ?」 洋榎「合宿終わった日にな、3年生組でカラオケ行ったねん。 その後日付変わるまでファミレスでダベってたんがなー」 絹恵「あー、あの帰りがえらい遅かった時」 洋榎「せや。土曜やからって遊び呆けてたもんなあ。 あの帰り道はエグいくらい寒かったわ」 絹恵「じゃあそれが原因で間違いないな」 洋榎「やな。ただでさえ疲れとったのに…… せめて厚着しとけばよかったわ」ゴホゴホ 絹恵「でもなんでそんな夜遅うなってもうたん?」 洋榎「ダベってたら長くなったねん…… 進路のこととか話してたらあっという間に時計がてっぺんやったで」 絹恵「まあ話してたら時間てすぐ経つしなー」 読む →
2015年01月09日 07:05 洋榎「麻雀部で漫才やることになったで!」 元スレ 全てのレス 1: ◆aaEefGZMoI:2015/01/08(木) 23:03:41.40 :/FV7YaQh0 漫「……ってことはまさか主将」 洋榎「その通り! 今年の文化祭はうちらが漫才担当や!」 絹恵「うわーホンマか……」 恭子「ついに貧乏くじを引いてしまいましたね」 洋榎「アホ! 何が貧乏くじや! うちは待ちに待ちよったで! 絶好のチャンスやないか!」 漫「それは主将だけです」 由子「のよー」 洋榎「何やと!? なんや、誰も漫才やりとうないんか!?」 全員「……」 洋榎「かー! ホンマかいな! 一人くらいやりたいて言うのおると思うて楽しみにしてたのに」 漫「いや、去年文芸部がやってダダ滑りしてたん見てよく言えますね…… 観客もし~んてしてて正直胸が痛かったです」 洋榎「あれは文芸部の連中がおもんなかっただけやろ。 うちらは一味ちゃうってところを見せたる!」 絹恵「『うちら』やのうて『うち』やろ、 お姉ちゃんだけやからそんな思うてるの」 洋榎「ぐぬぬ……」 読む →
2014年10月08日 21:30 洋榎「にんじんめっちゃ美味しいわ~」 元スレ 全てのレス 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/08(水) 17:14:46.91 :mFNZwzXk0 愛宕家 雅枝「もう、洋榎はまたにんじんだけ残して!」 洋榎「だってにんじんなんて不味いだけやん」 雅枝「好き嫌いしてたら大きくなれへんで」 洋榎「うちはもう十分大きいからええわ」 雅枝「はぁ…絹恵はちゃんと食べとるのに」 洋榎「なら絹にやるわ。ほれ」ヒョイ 絹恵「ありがとうお姉ちゃん」 読む →
2014年08月29日 23:30 京太郎「虹の見方を覚えてますか?」 元スレ 全てのレス 2: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:08:07.12 :7qs9RLYB0 兆候が無かったといえば嘘になる 前からそれは確かにあったのだ。気が付かなかっただけ いや、気付こうとしなかっただけか… それにしても、そいつが俺に訪れたのは、あまりにも急だったように今にしてみれば思う それは、清澄が全国大会を終えて1ヶ月くらいだったか 大会の熱気もようやく落ち着いてきて、日常の風景がだんだんと戻ってきていた頃だ だからその日も、いつも通りの日常がまた始まると勝手に思い込んでいた その日までは 3: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:09:12.52 :7qs9RLYB0 ――9月上旬 長野 ジリリリリリリリ!!! 京太郎「うぁ……」 ジリリリリリリリリリリ!!!!! 京太郎「うるせーなー……まだ8時半じゃ…」 京太郎「…8時半!?」 京太郎「マイガッ!」 落ち着け京太郎…こういう時は素数を数えて落ち着くんだ 1、2、3、5、7、11、13…… …… 1は素数じゃねえ!! まだ30分はあるから、飯食わないで急げば間に合うかもしれない あ、でもパンくらいは食ってこうかな 4: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:10:18.51 :7qs9RLYB0 ガチャ 京太郎「かあさーん、パン一枚もらえ」 母「じゃあ、今夜は少し早く帰って来るのね?」 父「ああ、久しぶりにおいしいもんでも買って帰るかな?」 京太郎「パン一枚も」 母「あら嬉しい、楽しみ待ってるわ」 父「あまり期待しないでもらえると助かるよ」 京太郎「パ」 母「いってらっしゃい」 父「行ってきます」 チュ あー食パンおいしいなー。焼かなくても、何もつけなくてもおいしいなー いや嘘、なんて不味い食パンなんだ 俺に優しくしてくれるのはカピだけだよ、ちくしょう 5: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:11:08.80 :7qs9RLYB0 あれ?そういやカピの奴珍しく出てこないな… どうしたんだろう? 京太郎「じゃあ母さん、時間ないからもう行くよ」 母「……」 京太郎「カピのやつ出てこなかったから、もしかしたら元気ないのかもしれない。よく見といてよ」 母「……」 京太郎「母さん、聞いてる?もう行くからよろしくね。いってきまーす」 どうしたんだ母さん…さっきまで父さんとイチャイチャしてたくせに ってやべぇ、意外と時間食っちまった。急ぐか 6: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:12:37.60 :7qs9RLYB0 家を出てすぐ、近所のおばちゃんが目に入った 朝早くから花の手入れをしている。何の花だろう? 小さくて黄色い花を咲かしているが、あまりに綺麗には見えない 京太郎「おはようございまーす」 「……」 ん、聞こえなかったか? 京太郎「おはようございまーす!!」 「……」 なんだよ、いつもは返してくれるのに… まいっか、さっさと行こう 7: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:13:51.70 :7qs9RLYB0 京太郎「うわ…」 珍しく校門に先生が立っている。朝からご苦労なこって ここで足止めを食らうと、本当に遅刻しかねん 注意される前に、身だしなみを整えてっと…これでいいだろ 京太郎「おはようございます!」 先生「……」 京太郎「?」 またしても返されない。俺なんかしたっけか? まいいや、さっさと行こう 京太郎「あ」 やべっ…ワイシャツ後ろからはみ出してたわ よく気付かれなかったな、ラッキー 8: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:15:20.10 :7qs9RLYB0 _________ _____ __ 京太郎「うおおおおおおお!!!!」 ガラガラガラ 京太郎「セーーーーーーフ!!!」 シーン…… 京太郎「あれぇ…?」 勢いよく入ってきた割に、反応が無いよー。ぼっちだよー まあ、いいか。こういう日もある 席に向かおうとすると、クラスメイトの会話が聞こえてくる 「昨日の試合見たか、おい?すごかったよな!」 「ああ、かなり燃える展開だったな。やっぱ首位攻防戦はこうでなくちゃな」 「7回に追加点取られたときは、正直もうダメかと思ったね」 「そこで、9回のあのホームランだろ。痺れたね」 「そういえば、阪神は?」 「また負けた。ありゃあ、Aクラスも厳しいかも分からないね」 「「阪神(笑)」」 野球の話しらしかったが、興味ないので素通りする 9: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:16:24.97 :7qs9RLYB0 京太郎「おう、咲。おはよう」 咲「……」 京太郎「今日起きたのが遅くてさ、危うく遅刻するところだったんだぜ」 咲「……」 京太郎「それに何だか、誰も挨拶すら返してくれないし…今日は厄日かー」 咲「……」 京太郎「聞いてんのかよ。少しは反応してくれ」 ガラガラ 担任「おうみんな、おはよう。席つけー!」 京太郎「っと先生来たか、また後でな」 咲「……」 10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/19(火) 23:17:46.97 :EbtlGDhSO 消されたか………… 11: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:17:48.38 :7qs9RLYB0 担任「じゃあ早速出席取るぞー」 担任「新井ー」 「はい」 担任「梅野ー」 「はいはい」 担任「"はい"は一回」 その後もア行、カ行の名前を順に読んでいき、ついにサ行に入った この次だ。それとなく備える 担任「関本ー」 え… 12: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:19:00.35 :7qs9RLYB0 京太郎「すいません先生、俺飛ばしてますよ」 担任「福原ー」 京太郎「ちょ、ちょっと先生、無視は酷いんじゃないですか?」 担任「能見ー」 京太郎「先生、聞こえてるでしょ?な、なんか言ってくださいよ」 担任「マットー」 京太郎「いいかげんにしてください!!どうしたんですか先生!」バンッ 担任「宮永ー」 京太郎「咲もなんか言ってくれよ、俺なんかしたか?」 咲「はい」 京太郎「お、おい…咲……?」 13: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:20:12.45 :7qs9RLYB0 担任「よし、みんな揃ってるな」 京太郎「は?」 京太郎「俺まだ呼ばれてませんって…変な冗談やめてください!」 担任「毎日こうだといいんだがなぁ」 京太郎「みんなも!どうしちまったんだよ…なんか反応しろよ!」 勢いよく席から立ち上がり、先生のところまで詰め寄る 京太郎「先生もなんとか言ってくださいよ!どうしちゃったんですか、さっきからっ!?」ガシッ 担任「うわっ、ととっ」フラフラ 「ちょっと先生、何もないところで躓かないくださいよ~」 担任「ははっ、すまんすまん。俺も歳かなあ…」 担任「みんなも気を付けろー、歳食っちまうとこうなるからなぁ」 「「あははー!」」 14: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:21:13.15 :7qs9RLYB0 え え え え え え………………………………………え? 15: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:22:24.51 :7qs9RLYB0 ちょっと待てよ 今、躓いたのは 俺が先生の腕を掴んだからだろ? 担任「今日は特に伝えることもないから、これでおしまいな」 担任「みんな今日も元気に授業を受けてくれ、じゃあまた放課後に」 「「はーい」」 もしかして、これって……いじめとか無視とかじゃなくて…… その先を考えるのはやめた、だってそれは有り得ない事だったから そして、そんなことを考えてしまうこと自体、普通じゃないように思えた 16: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:23:57.57 :7qs9RLYB0 ________ _____ __ その後は、"普通に"授業を受けた 授業中に一回も、俺が指名されることはなかった 化学の実験は一人でした。クラスメイトはおろか先生すら何も言わなかった 体育では一人で準備運動をし、一人でストレッチをした 誰も記録をとってくれなかったので、仕方なく自分でタイムを計った ストップウォッチを借りるとき、先生に許可を求めたが無言だった お昼休み、咲が学食に行くようだったので付いていった レディースランチを頼めなかったので、別の注文を学食のおばちゃんにした しかし、聞こえなかったのだろう。いつまで経っても品物が来ることはなかった 仕方なく、厨房にお邪魔して自分の分をよそった いつものように咲の近くで食べた。会話はなかったが、食事はとてもおいしかった 今度からこの定食もいいかもしれない。だけど、少し塩味が効きすぎていた そして、放課後… 17: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:24:56.84 :7qs9RLYB0 ガチャ 京太郎「こんにちはー」 久「……」ペラペラ 京太郎「部長…じゃなかった竹井先輩。また来てたんですね」 久「……」ペラペラ 京太郎「咲の奴、遅れるって言ってましたよ。日直らしいんで」 久「……」ペラペラ ガチャ まこ「おっ!"元"部長、来ておったんか」 久「まあね、部長さん」 まこ「いつも通り、まこでええ」 久「ふふ、そうね。そうしとくわ」 18: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:26:31.72 :7qs9RLYB0 ガチャ 咲・和・優希「こんにちわー」 咲「あっ、竹井先輩また来てたんですか…受験とか大丈夫なんですか?」 久「んー、なんとなく大丈夫な気がするのよねー」 和「すごく駄目な人の台詞に聞こえますけど、先輩なら確かにそうかも知れません」 久「あら、褒められちゃった!」 優希「褒めてはないと思うじぇ…」 京太郎「あはは…」 まこ「ん?そう言えば、さっきから何読んどるんじゃ」 久「ああ、これね。インターハイの時の写真よ。懐かしいでしょ?」 和「懐かしいってほど昔のことでもないですけどね」 久「気分の問題よ、気分の」 咲「どれどれ…ちょ、ちょっと、先輩!こんな所も撮ってたんですか!?」 咲の寝ている姿だ 久「かわいいでしょ?」 咲「そんなことどうでもいいですよ!このデータ消してくださいよ!」 久「あらー、いい思い出じゃない」 19: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:27:33.12 :7qs9RLYB0 和「……」 和「すみません、先輩。そのデータ貰えませんか?」 咲「え」 和「いえ、むしろ買います。買わせてください」 久「あはは、もちろんいいわよ。1枚ずつ買うこともできるけど、どうする?」 和「うーん、そうですね…正直咲さんが映っていないものはいらないのですが」 久「ちなみに……全部一括購入すると、今なら咲の寝息音声が付いてくるわ」 和「!!」 和「……」 和「言い値でもらおうか」キリッ 優希「ちょ、のどちゃんキャラ変わってるじぇ!」 和「こまけぇこたぁいいんだよ!!」 まこ「ええかげんにせい!!」スパーン 久・和「あいたっ!」 まこ「まったく、こいつらは」 咲「うわぁ…」ドンビキ 20: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:28:40.01 :7qs9RLYB0 ハラリ 優希「あれ?何か落ちたじょ」 まこ「なんじゃろ?」 久「あら、これは……」 それは、大会の終わりに撮った"6人"全員の集合写真だった 優希「あはは、写真ののどちゃん、目が少し赤くなってるじぇ」 久「和にも案外かわいいところあるじゃない」 優希「それが今じゃこんなになって…」 和「"こんなに"とはなんですか、"こんなに"とは。そんなに変わってませんから」 咲「自覚がないんだね…」 まこ「重症じゃな」 和「皆さん最近、私に対する扱い酷くないですか…」 京太郎「はは…」 21: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:29:49.59 :7qs9RLYB0 久「なかなか綺麗に撮れてるでしょ?私写真家でも目指そうかしら」 まこ「そこら辺に適当に置いて、タイマー撮影しただけだったじゃろうが」 久「やだねぇ、まこ。冗談よ」 咲「でも、なんだか本当に懐かしい気がしてきますね。こういうのを見ると」 久「そうね、ほんの1ヶ月前くらいのことなのにね」 久「こんなの見ると――」 久「ここに映ってる"5人"で、また大会に出たくなっちゃうわね」 京太郎「……」 まこ「そうじゃな、でも勉強はちゃんとしといたほうがええと思うぞ」 久「もうっ!せっかく良い話にもっていこうとしたのに、台無しじゃない」 「「あはは――」」 22: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:31:13.88 :7qs9RLYB0 ああ…俺は馬鹿だ、大馬鹿だ 本当は家にいた時から変だと思ってた 通学途中にその疑問はほとんど確信に変わってた そして朝のホームルームで明らかに、自分がそうなんだと分かった でも、認めたくなった それを認めてしまうと、おかしくなってしまいそうになるから だから、今の今までなるべく普通に過ごしてきた だが、それもおしまいだ。諦めよう。俺の負けだ だってこの人達にすら、俺は…… 23: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:32:35.78 :7qs9RLYB0 京太郎「そうか…俺は消えたのか」 ポロポロ 京太郎「ぐ……ぅ…」 涙があふれてきた 京太郎「ちくしょう……くそっ!!…」 初めて人前で泣いた。それも女の子の前で 京太郎「俺がいったい…何したって言うんだよっ!!」 でも、そのことに誰も気付いてはくれなかった 京太郎「咲…優希…和…部長…竹井先輩……」 京太郎「なんで……」 それが何よりも悲しかった 32: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:47:10.02 :7qs9RLYB0 ――9月上旬 長野 あれから、1週間近く経ったが事態は少しも好転しなかった いや、現実を直視するなら、悪化したとも言えるかもしれない あの日俺は、他の人は自分をただ見ることができないだけ、くらいに思っていた しかし正確には違っていた まったく俺のことを認識してくれないのだ 大声を出しても、誰かにぶつかっても、視界に入っても反応しないばかりか 黒板に字を書いても誰も気が付かない、気が付けない いわば、完全に"いないもの"として、俺を扱っているかのようだ まるでどこかのアニメみたいだな。くだらない 33: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:48:09.27 :7qs9RLYB0 何度か実験してみたが、他人の示す反応には2つのパターンがあるらしかった 一つは完全に俺のことを無視するもの 基本的にはこれが行われているようだった しかし、例えば俺がわざと人を躓かせたり、物を落としてみたり… つまり無視できな程、物理的に何らかの影響を与えると、多少反応が異なる場合が稀にあった これが、二つ目のパターンだ 俺が消えたあの日、腕を掴んで先生がよろめいたことがあったが、あの時は"偶々"、"偶然"そうなったことに変わっていた またある時、教室に設置してあった本棚の本を間違って落としたことがある その時は、偶然そうなったのではなく、近くにいたクラスメイトが落としたことに変わっていた つまり、無視が基本のパターンだが、それだけでは無理がある場合ある そういうときは、"偶然そうなった or 他の人のせいでそうなった"――の2パターンに分かれるらしかった また、もしかして実は俺は既に死んでしまっていて、幽霊にでもなってしまったのだろうか? などど、荒唐無稽な妄想をしたこともあるが、どうやらそれも無いらしかった 家にあったビデオカメラで撮影したら、きちんとその姿は映っていた また、コンビニに行ってわざと監視カメラに写り、確認してみたがやはり俺の姿が映っていた だが、機械に映った姿ですら他の人に認識されることはなかった 他にも、細かい点を挙げればきりが無いが、この一週間で分かったことはだいたいこのくらいだ 34: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:49:01.41 :7qs9RLYB0 けどこんなこと分かってもどうしようもない いや、分かってしまったからこそ、どうしようもない気分にさせられた 俺以外の人にとって、須賀京太郎という人間は、この世に完全に存在しないことになっているのだから クラスメイトや両親、咲、和、優希、部長、竹井先輩、他のあらゆる人にとって… 神様なんてものが本当にいるかどうかは分からない しかし、もしいるとすれば、そいつは俺のことがとことん嫌いらしい 俺はこの一週間で、早々に敗北を認めざる得なかった 何に対してかは分からないが 24: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:34:42.53 :7qs9RLYB0 ――9月中旬 長野 さらに1週間が経過した この現象の性質も大まかに把握し、慣れてきた頃だ あれから、特にこれといって何かしたということはない 本来なら、元に戻るために何かしらの行動に出るべきなのだろう しかし、その方針すらよく分からないので、未だに何もできずにいた だからというわけではないが、普通の生活をしている 平日は学校に行き、授業を受け、部活をする 休日は、家でダラダラ過ごすか、一人で遊びに行ったりした 幸い俺の行動を制限するものは何も無かったので、かなり自由に振舞うことができた だからといって、犯罪を犯したり、反倫理的なことをしたり、なんてことはしなかった。一切 自分でもよく分からないが、どうしてもそういう気分になれなかったのだ むしろ、以前より幾分か自身を律するようになったようにさえ思える 自分で言うのもなんだが、人間とは本当によく分からない生き物だ 25: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:35:54.43 :7qs9RLYB0 ――9月下旬 長野 9月もいよいよ終盤に差し掛かってきた あれからさらに経ったがこれといって何もしていない いや、正確に言えば勉強と料理などの家事しかしていない なんで勉強?と思うかもしれないが、その理由は単純だ。楽しいからだ 以前の俺なら絶対にそんなことは言わなかっただろうが、自発的学ぶと考えは変わるものだ 人間と人間の作り出したもの、自然の美しさと細やかさと驚くべき法則の数々 全てがどこかで関わり合い、歪ながらも不自然な完成度でもって調和している 学べば学ぶほど、自分の愚かしさを痛感する なんて素晴らしいんだろうか ああ、頭がおかしくなっている 26: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:37:02.08 :7qs9RLYB0 だけど、俺も趣味として、ただ闇雲に勉強をしていたわけじゃない 元に戻るためのヒントが得られるかもしれないと考えたからだ 高校の物理、化学、生物の基本を学びつつ、心理学などにも手を出した 幸い時間は腐るほどあったし、誰にも邪魔されなかったので、ひたすら没頭することができた 最高の環境だな……クソくらえ だが、当初の予想通り元に戻るためのヒントなんて得られなかった まあ当たり前だ、こんなこと経験したのは恐らく人類でただ一人、俺だけだろうから まさに、chosen one、選ばれし者 フォースと共にあれ。なーんてな はぁ… 27: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:38:06.46 :7qs9RLYB0 ――10月上旬 長野 10月に入った 戻るためのヒントすら得られないまま、1ヶ月が経過した 最近何だかこの生活にも慣れてきて、このままでもいいんじゃないか、とすら思うようになってきている 変化の無い単調な毎日 世間の風景は少しずつうつろいで行くが、自分には何の関係も無いという疎外感 はは、そういえば1ヶ月間誰とも会話してないんだよな。不思議な気分だ まあいいや。今日も学校に行こう 京太郎「そろそろ、行ってくるよ。じゃあ…」 母「ねえ、あなた最近カピの元気が無いんだけど、何か知らないかしら?」 父「そうかぁ?」 母「私の方が家にいて一緒にいる時間が長いんだから、そのくらい気付くわよ」 父「うーん、分からないなぁ。最近何かあったけ?」 母「なかったと思うんだけど…何かしらね」 カピ「キュ~…」 京太郎「………行ってきます」 28: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:39:19.06 :7qs9RLYB0 _________ _____ __ ガチャ 京太郎「こんにちはー」 京太郎「あ、部長と――竹井先輩、また来てたんですね」 まこ「はぁー…」 久「どうしたの、まこ?ため息なんかして、珍しい」 まこ「いや、わしなんかが部長やってて本当にええのかと思ってな…」 久「なによ急に」 まこ「考えてもみぃ、麻雀の実力は1年の咲や和に及ばず、あんたみたいに指導力もない」 京太郎「……」 まこ「清澄はポっと出とはいえ、今や世間では全国で活躍した麻雀強豪校扱いじゃ」 まこ「来年には、そういう目的の部員も増えるじゃろう」 まこ「だから、わしなんかよりもっと別の――」 29: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:40:19.15 :7qs9RLYB0 久「…大丈夫よ、まこ。安心なさい」 京太郎「……」 久「清澄の部長はあなた以外ありえないわ」 久「確かに、今のあなたは部長としてはまだまだかもしれないわ」 久「けど私も最初はそうだったもの」 久「それでも、ダメならダメなりに少しずつ学んだり、誰かに助けてもらったりしたわ」 久「だからこそ、そんな私でもここまでこれたの」 まこ「……」 久「まこは、あの3人こと信用していない?」 まこ「そんなこと、ない…」 久「でしょう?なら大丈夫よ。困ったときは、みんながあなたの手をとってくれるから」 久「だから安心しなさい」 30: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:41:44.95 :7qs9RLYB0 まこ「人頼みなんじゃな」 久「あら、人の助けをうまく借りることは、人生をうまくいかせるためのコツの1つなのよ?」 まこ「ふふ、お前さんらしいのう」 久「そんなことないわ。だって、これはまこ、あなたから教わったことなんだから」 まこ「……」 久「さて、慣れないことしちゃったから疲れちゃったわ。だから今日はもう帰るわね」 久「あとのこと、よろしく頼んだわよ"部長"さん。じゃね!」 ガチャ まこ「まったく…かっこつけおって」 京太郎「…ほんと、そうですね」 ガチャ 咲・和・優希「こんにちはー」 まこ「おう、みんな来たか。さあ、今日も張り切って行くかのう!」 38: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:52:37.06 :7qs9RLYB0 _________ _____ __ 「「おつかれさまでしたー」」 まこ「おつかれさん」 まこ「悪いが牌が汚れてきたんで、掃除してもらってもええかのう」 咲「いいですよ」 まこ「あと牌譜の整理もやっておいてもらいたんじゃが…」 和「構いませんよ、私がやっておくんで」 まこ「ありがとう、すまんな」 咲「今日は家の手伝いしないとダメなんでしょう?」 優希「部長はすぐに帰ったほうがいいじぇ。最近頑張りすぎだじぇ」 まこ「みんなありがとう…お疲れさま」 ガチャ 咲「じゃあ、私と和ちゃんで先にに牌の掃除しちゃうね」 咲「優希ちゃんは牌譜の整理お願い、私たちも終ったら手伝うから」 優希「分かったじぇ」 和「了解です」 39: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:54:07.72 :7qs9RLYB0 咲「……」フキフキ 和「……」フキフキ 咲「……」 和「……」フキフキ 咲「ねえ、和ちゃん、ちょっと聞いてもらってもいいかな?」 和「なんですか?」 咲「ええとね…私、変かもしれないんだけど、こうやって雑用をするのがとても懐かしく感じるんだ」 和「懐かしく?いつも私達でやってるじゃないですか」 咲「そうなんだけど…でもそう感じるの」 和「はぁ…」 咲「それでさ、今の私達はそういうことの面倒臭さとか大変さとか分かってるけど」 咲「もし、他人に任せっきりだったら、そんなことも気付けなかったんじゃないかな?」 和「そうかもしれませんね」 京太郎「……」 和「でも、なぜそんな話を?」 咲「なんでだろ?けど誰かに何かを言い忘れてるような、そんな気に最近よくなるんだ」 咲「だから、他の人に聞いてもらいたかっただけなのかも…」 40: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:55:01.95 :7qs9RLYB0 和「……」 和「ふむ…もしかしたら熱があるのかもしれませんね」 咲「えっ」 和「さっ、ベットに横になってください」 咲「へ」 和「ああ、汗をかいてるじゃないですか。これは大変です」 咲「ひ、冷や汗だからっ!」ダラダラ 和「服は私が脱がせてあげますので、ご安心を」ハァハァ 和「え、なに?怖いですって…大丈夫です、痛くはありません」ハァハァ 和「なぁに、天井の染みを数えているうちに終ります。ですから――」 優希「落ち着けい!!」スパーン 42: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:55:57.09 :7qs9RLYB0 和「はっ!私は何を……すみません咲さん、どうやら内なる獣に支配されていたようです」 和「淫乱レズピンクって恐ろしいですねぇ……」 優希「それって自分のことじゃ…」 和「そんなオカルトありえません」 咲「」ガクガクブルブル 優希「私のツッコミも板についてきたじぇ…けどなんでだろう、涙が出てくるのは」ウルッ 和「花粉症ですか?大変ですね」 咲「大変なのは和ちゃんの頭の方だと思う」ボソ 京太郎「…咲も言うようになったなぁ」 京太郎「こいつら見てると、ほんと飽きないよ」 京太郎「……」 43: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:57:46.22 :7qs9RLYB0 _________ ______ __ 優希「ふぃー、終った終った」 和「そうですね、ではみんなで帰りましょうか」 咲「うん」 優希「…あーそういえば、やり忘れてることがあったの忘れてたじぇ」 咲「そうなの?なら私も手伝うよ」 優希「確か明日、お姉さんが帰ってくる日だったような」 咲「う、うん。そうだけど」 優希「なら、私とのどちゃんでやっとくから。咲ちゃんは帰っていいじょ」 優希「ねっ」チラ 和「……そうですね。今日は早く帰ってゆっくりしてください」 咲「そ、そう?じゃあ、またね」 バタン 44: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:58:40.23 :7qs9RLYB0 和「…で、なんの話ですか?」 優希「さすがのどちゃん、察しがよくて助かるじぇ」 和「……」 優希「のどちゃんは、いつまでそのキャラでいるつもり?」 和「何のことですか?」 優希「私にくらいには正直になってほしいじぇ」 和「……そうですね、咲さんが今よりもっと強くなったら」 優希「……」 和「咲さんはインターハイであまりにも注目を集めてしまいましたから」 和「きっとこれからは、外からの圧力が強くなります」 和「誹謗、中傷は当たり前。期待や羨望はわずかな失敗から、失望と罵倒へとあっという間に変わるでしょう」 和「友人、学校、マスコミ、ありとあらゆるものから好奇の目を向けられ、自分の居場所は限定されていきます」 優希「……」 45: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/19(火) 23:59:36.49 :7qs9RLYB0 和「私は、そういうのものにはもう慣れました」 和「しかし、咲さんは違います」 和「だから、咲さんがそういうものに負けないくらいに強くなるまで」 和「誰かが壁にならないといけないと思うんです」 和「私がこうしている内は、こちらに目線を逸らせますから」 優希「…のどちゃんはそれでいいの?」 和「ええ、構いません。咲さんは私の大事な友達ですから」 優希「のどちゃん…」 和「それに、これ。全部が演技というわけではないんですよ?」 和「9割5分くらいは本気ですから」 優希「9割5分っ!?高っ!!せめて半分くらいにしといてほしかったじぇ…」 和「冗談ですよ、冗談。ふふふ」 優希「目が笑ってないじぇ…」 京太郎「……」 46: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:00:32.59 :6dIXwKVy0 __________ ______ __ 京太郎「……」ペラペラ だめだ、なんだか集中できない 京太郎「はぁ…」パタン 仕方なく、読みかけの本を机に置く そろそろ… そろそろ、行動を起こすべき時かもしれない でも、どうしたらいい? 『人の助けをうまく借りることは、人生をうまくいかせるためのコツの1つなのよ?』 なら、一人ぼっちの俺は、誰の助けを借りればいいのか 『そんなオカルトありえません』 オカルト、オカルトねぇ…とりあえずこの線でいってみますか よしっ!! 48: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:01:42.58 :6dIXwKVy0 ――10月上旬 長野 準備は済ませた。旅行カバンに替えの服と下着を詰め込んだ 傘とレインコート、予備のマスクに小・中・大のビニールの袋を少々 タオル、ハンカチ、ティッシュは多めに入れといた これからどんどん寒くなっていくので、手袋とマフラーも念のため持った 銀行でお金を降ろせないので、仕方なく家の金庫から自分の貯金の分だけ拝借させてもらった 元に戻ることができたら、ちゃんと補填しておくつもりだ だから、父さん母さん。今のところは許しておいて欲しい 京太郎「さて、カピ行ってくるよ」ナデナデ カピ「キュ~…」 京太郎「元気でな」 京太郎「じゃあ、父さん母さんそろそろ出るよ」 母「いってらっしゃい」 父「ああ、行ってきます」 京太郎「…行ってきます」 49: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:02:51.76 :6dIXwKVy0 _________ _____ __ さて、まずは近場からだな ―鶴賀高校 京太郎「まずはここだろ」 実は、ここにはかなり早い段階で来ていた なにせ、俺と似たような人物がいたからな でもそのときは…… お、いたいた 桃子「さ、先輩っ!今日も部活に行くっすよ」 ゆみ「はぁ、またか」 桃子「だめっすか…?」 ゆみ「…仕方ない、1時間だけだからな」 桃子「さすが先輩っす!!」 やっぱり、駄目か… 50: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:03:52.29 :6dIXwKVy0 ―龍門渕高校 衣「ハギヨシー、おなか空いたぞ」 ハギヨシ「駄目ですよ、衣様。まだご夕食まで時間があります」 ハギヨシ「それに、すぐに部活が始まりますよ」 衣「むぅ…」プクー ハギヨシ「……」 衣「……」ジー ハギヨシ「はぁ…仕方ありませんね」 ハギヨシ「今日は特別ですからね、皆には内緒ですよ」 衣「うわっ、やったー!!」 ハギヨシ「はぁ、私もいいかげん甘いですね」 京太郎「……」 51: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:04:44.78 :6dIXwKVy0 ――10月上旬 ―宮守女子高校 トシ「おや、また来てたのかい」 塞「あはは、自習室として優秀なんで、ここ」 トシ「今日は他のみんなは来てないようだね」 塞「珍しいでしょう?まあ、でも、たまにはこういうのも悪くないですね」 トシ「あまり遅くならないうちに帰るんだよ。変質者が出るかもしれないからね」 塞「はは、こんなド田舎に出るのはお年寄りと野生動物くらいなもんですよ」 トシ「ふふ、そうだね。でも炬燵で寝落ちは駄目だから」 塞「ええ、気をつけます」 京太郎「……」 52: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:05:39.81 :6dIXwKVy0 ―白糸台高校 ガチャ 淡「こんにちはー」 菫「おう、久しぶりだな」 淡「菫先輩、おひさしぶりー」 菫「まあ、たまにはな」 淡「テルは来てないんですか?」 菫「ああ、あいつか…あそこで机に置いてあった菓子を勝手に食べてるぞ」 淡「あー、それ私のー!返して返して!」 照「もう遅い、ほとんど胃に到達してしまった。残念でならない」モグモグ 菫「せめて食べるのを止めろ。すまんな、淡。言っても聞かないくてな…」 菫「代わりにといってはなんだが、こいつも4月からプロになるんだ」 菫「その時たっぷりたかってやるといい」 淡「やったー、テルー大好き!」 照「そ、そんな…それでは私の『お菓子の家計画』が水の泡に…」ポロ 菫「なんだ、その如何にも頭の悪い妄想は…」 京太郎「……」 53: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:06:38.45 :6dIXwKVy0 ―永水女子高校 霞「今日は10月とは思えないくらい暑いわね…」 巴「そうですね、明日もこのくらいって天気予報で言ってましたよ」 初美「いやになりますねー」 春「……」ポリポリ 小蒔「はっ!だったら久しぶりにみんなで海にでも行きませんか?」 春「名案…」 霞「んー、でもねぇ…」 小蒔「だ、駄目ですか」ウルウル 巴「まぁ、いいんじゃないですか、たまには」 初美「そうですよー」 霞「んー…じゃあ明日にでも行きますか、海」 小蒔「やったー!」 小蒔「あ…でも水着…」 巴「どうかしました、姫様」 小蒔「い、いえ…あの…」 初美「ふふふ、最近また大きくなったのですよー。姫様のアレが」ジー 霞「ああ、なるほど。アレが」ジー 春「栄養豊富だから…」ジー 小蒔「も、もう、みんなして見ないでください///」 京太郎「……」ボタボタ 54: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:07:45.23 :6dIXwKVy0 ――10月中旬 大阪 ついに、この2週間に及ぶ旅の最終目的地に到着してしまった 他にも、阿知賀女子や新道寺女子、臨海女子などにも足を伸ばしたが手がかりなし こうしてみると、ほんと女子高ばかりだな。変態か、俺 本当は、ここに来る前になんらかの手がかりを得たかったが、残念なことにそれも無かった あと、残るは千里山女子高校くらいだ 確かあそこには、生死の淵を彷徨い、未来視をを身に着けた人がいるという これで駄目なら、もう…… 56: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:09:34.29 :6dIXwKVy0 ??「はぁ~、ええもん買うたわ。後で絹に自慢したろ~」ウキウキ ドンッ 誰かにぶつかってしまったが気にしない そちらの方を向くと、どうやら女性らしかった ピンクと赤のちょうど中間の色をした髪を後ろに束ねている。所謂ポニーテールというやつだ その色は、なんというか…濃い桜の花びらのような、そんな印象を受けた タレ目だが、気の強そうな雰囲気を漂わせている。おもちはない 決して美人と言うわけではないが、愛嬌のある顔立ちをしている ま、そんなことどうでもいいんだけど 千里山って、ここから北にあるんだよな。電車に乗って、それから―― ??「うわっ、すんません。前見てへんかった、ごめんなさい」ペコペコ え 57:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/08/20(水) 00:10:58.07 :u8R6byM90 僕らの天使愛宕ネキじゃないか! 60:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/20(水) 00:12:29.75 :XPXJcXh8o 流石愛宕ネキや!信じとったで! 66: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:22:00.59 :6dIXwKVy0 ??「あ、あれ?誰もおれへん…気のせいか?」 こ、これは…もしかして 京太郎「あ、あの、すみません!俺のこと分かりますか!?」 ??「っ!!」ビクッ ??「な、なんや?声だけ……聞こえて…」ブルブル 声しか聞こえない!?ここは慎重に、慎重に… 京太郎「お、俺須賀京太郎っていいます!」 ??「ひっ」 京太郎「……」ゾクゾク ああ…なんかこの反応いいな こう、いたずら心がね、くすぐられるというか 京太郎「ほう、どうやら俺の声が聞こえるようだな…」 ??「え、それって…?」ブルブル だめだ、我慢しろ須賀京太郎…クールになるんだ 68: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:24:04.40 :6dIXwKVy0 京太郎「俺の正体を知りたいか、お嬢さん?」 ??「あわわわわ…」ガクガク 京太郎「そう、俺は……」 ??「俺は…?」ガクガクブルブル 京太郎「グワァァァァ!!!!」クワッ ??「どっひゃあーーーーーーーー!!!!!!」ダッ 京太郎「だめだ、やっぱり堪えられなかったわ」 しかし、逃げちまったな。あ、荷物落としてる。相当焦ってたんだな 仕方ない、届けるついでに追うか 京太郎「まあ゛てえ゛~、逃げるな人間~…!」 ??「うぎゃーーーー!!!」 京太郎「オレサマオマエ、マルカジリーー!!」 ??「ほげえぇぇーーーー!!!!!」 69: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:25:29.39 :6dIXwKVy0 _______________ _____ __ ??「はぁ、はぁ…こ、ここまでくれば安心やろ」 京太郎「そんなことないんだよなぁ、これが」 ??「あわわわわわわ……」ブクブク ??「すすすすすいませんでしたーーーー!!!」 京太郎「…何のことですか?」 ??「おかんの分のから揚げ、1個食べたんは謝ります!だから、許してください!」 京太郎「おや?そんなことをしていたのですか。いけない娘だ」 京太郎「でも、他にもあるのでしょう?正直に言えば許してあげないこともないですよ」 ??「ほ、ほんまにほんま?」 京太郎「大阪の幽霊嘘つかない」 70: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:27:24.58 :6dIXwKVy0 ??「……あんな、実はこないだの晩、おかんがサラダ作ってたんやけど、そんとき…」 京太郎「そのとき…」ゴクリ ??「余ったさけるチーズ、まるまる全部食べてもうたんや…」 京太郎「ま、まさか裂かずに?」 ??「…せや」 京太郎「なんてむごいことを…」 ??「もうせえへん、せやから許してください!」ペコリ 京太郎「……仕方がありませんね。その罪許しましょう」 ??「!!や、やた!」 京太郎「ただし!!俺の話を聞いてもらうのが条件ですが」 ??「ゆゆゆゆ幽霊がうちにななななんの話や?」ガクガク 京太郎「幽霊?いやいや、違うんですよ……実は俺」 ??「じ、実は…」ゴクリ 京太郎「I am your father.」 ??「Nooooooooやでぇぇぇ!!!!!」 71: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:28:12.55 :6dIXwKVy0 ??「って、なに言わしてんねん!!」 京太郎「えー…そっちだって、ノリノリだったじゃないですか…」 京太郎「まぁでも、よくご存知で」 ??「せ、せやろー、さすがやろー?」 京太郎「では、お化け・幽霊といえば、英語でゴーストですが」 京太郎「『ゴースト』といえば?」 ??「ニューヨークの幻!!」 京太郎「攻殻機動隊!!」 ??・京太郎「……」 ??・京太郎「……」 ??・京太郎「ちっ」 72: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:29:18.58 :6dIXwKVy0 京太郎「どうやらあなたとは、仲良くなれそうもありません」 ??「奇遇やな、うちもそう思うわ」 京太郎「では、もう一回だけいきましょう」 ??「望むところや」 京太郎「…さっきニューヨークがでてきたので、それで行きましょうか」 京太郎「では、『ニューヨーク』といえば?」 ??・京太郎「星の王子様 ニューヨークへ行く!!」 ??・京太郎「……」 ??・京太郎「……」 ??「へへっ、やるやないか」 京太郎「あなたもね」 ??・京太郎「あっはははー!!」 74: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:30:42.48 :6dIXwKVy0 京太郎「あー、そういえば…まだ名前を聞いていませんでしたね」 京太郎「俺は須賀京太郎です。あなたは?」 ??「ああ、うちか?うちはな――」 ??「愛宕洋榎や」 愛宕、洋榎?…どこかで聞いたことがあるような、気のせいか? 洋榎「洋榎でええよ」 洋榎「って、ちゃうやろ…あかんで、うちいつの間に幽霊と普通に話してるやん……」 京太郎「あ、すみません。それ嘘です」 洋榎「う、嘘?」 京太郎「そうです。本当はただの人間です。姿こそ消えてはいますが…」 洋榎「…どういうことや?」 京太郎「ええ、実はですね――」 75: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:31:54.57 :6dIXwKVy0 ________ _____ __ 洋榎「へぇー、そんなんあるねんなぁ」 京太郎「信じてくれるんですか?」 洋榎「信じるも何も、信じるしかないやろ、これは」 京太郎「ですね、声だけしか聞こえないようですから」 京太郎「じゃあ、あの…」 洋榎「なんや?」 京太郎「俺が元に戻るのを、手伝ってくれません?」 洋榎「いやや、めんどい」 京太郎「即答っ!?そこは二つ返事で了承する場面でしょ」 洋榎「自分、アホやなぁ。顔も素性も分からん奴に、ほいほい付いていく女子がどこにおんねん」 京太郎「うっ、それはまあ、そうですけど…」 洋榎「まぁ、おもろい話聞けてよかったわ、ありがとさん。ほななー」 京太郎「ちょ、ちょっと待ってくださいよ」 洋榎「い・や・や」スタスタ まいったな。顔も素性もって…… そうだ!もしかして、これなら 76: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:33:51.07 :6dIXwKVy0 京太郎「待ってください、これ見れば俺のこと分かりますから!」ズイッ 洋榎「ん、なんやこの感触?」 京太郎「今、洋榎さんの手にある物を載せました。もしかしたら、単なる物なら見えるかも」 洋榎「お、お、お…なんか見えてきよった。これ、おもろいな」 洋榎「ん、生徒手帳かこれ?」 京太郎「やった、予想通り!それ俺のです、読めば俺のこと分かりますよね?」 洋榎「ちょい待ち、これあんたが誰かからパクったってこともありえるやろ?」 京太郎「うーん、それはその通りですね」 京太郎「なら、テストしてみましょう。それでいいでしょう?」 洋榎「テスト?」 京太郎「俺が、そこに書いてあること答えますから、それを確認してください」 洋榎「暗記してるって可能性もあるやろ?」 京太郎「俺、かなり几帳面なんで細かい事もメモしてあります」 京太郎「いくら、他人から盗んだとしても、普通そこまで覚えないでしょう?」 洋榎「うーん、そうやな…」 京太郎「さあ、いきますよ」 77: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:35:04.22 :6dIXwKVy0 _________ ______ __ 京太郎「どうでしたか?」 洋榎「完璧や。昨日の阪神の試合を見てるようやな」 京太郎「よ、よかったぁ…」ヘナヘナ 洋榎「しかし、清澄か…ちなみに自分、部活は?」 京太郎「ああ、言ってませんでしたね。麻雀部です、俺は弱いんですけど」 洋榎「なぁ、なら覚えてへんか、うちのこと?」 京太郎「え、俺が洋榎さんのこと?どこかで会いましたっけ?」 洋榎「姫松高校って知らん?」 京太郎「姫松、ですか?うーん…」 洋榎「ほら、インターハイで」 京太郎「インターハイ?麻雀の?」 洋榎「せや」 京太郎「うーん……」 洋榎「……」 78: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:36:32.69 :6dIXwKVy0 京太郎「……」ジー 京太郎「……」ジー 京太郎「ああっ、思い出した!洋榎さん、あなた姫松高校の人ですね!」 洋榎「せやせや」 京太郎「うちの部長と打ってた、やたら強くて」 洋榎「うんうん」 京太郎「やかましくて」 洋榎「う、うん?」 京太郎「おもしろい顔の人ですよね!?」 洋榎「それは余計や!」ブンッ 京太郎「……ふっ、残像だ」 洋榎「……ふんっ」スパーン 京太郎「いてっ」 洋榎「おお、声だけで案外分かるもんやな」 洋榎「そうや、大阪一の美少女雀士、愛宕洋榎とはうちのことや。よく覚えとき!!」 京太郎「え、美少女?どこですか?」 洋榎「ここや、目の前におるやろ?」ドヤ 京太郎「……」 京太郎「えーと、それでですね――」 洋榎「ちょ、無視すな///」 79: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:38:09.12 :6dIXwKVy0 京太郎「はいはい。で、手伝ってもらえませんか?」 洋榎「……」 洋榎「かわいそやな、とは思うけど…やっぱ無理や」 洋榎「どないしたらええか分かれへんのや…ごめん」 京太郎「…いえ、いいんです。俺の勝手な頼みなんですから、気にしないでください」 京太郎「あと、最初驚かしたのは謝ります。ごめんなさい」ペコリ 洋榎「……」 京太郎「久しぶりに他の人と話せて、とても嬉しかったんです」 京太郎「俺の話を最後まで聞いてくれて、ありがとうございました」 京太郎「もしかしたら、洋榎さんみたいな人がこの世界のどこかにまだいるかもしれません」 京太郎「地道に探してみますよ」 洋榎「あ……」 京太郎「ほら、そんな顔してたら駄目ですよ。大阪一の美少女雀士なんでしょう?」 京太郎「さ、俺はもう行きますね」 洋榎「……」 京太郎「ほな、さいなら。なーんてね」 洋榎「……ああ、ほなな」 80: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:39:54.62 :6dIXwKVy0 ________ _____ __ ―駅 ホーム はぁ、駄目だったか…せっかくの手がかりも、相手に振られちまったからしょうがない とりあえず、ホテルがありそうなところまで電車で行くか ??「はぁ~、ええもん買うたわ。後でお姉ちゃんに自慢したろ~」ウキウキ 水色の髪をした、活発そうな女の子だ。赤みがかったツーブリッジのメガネをしている、珍しい どうやら眼鏡にはこだわりがあるようだ そしてなにより、かなりのおもちの持ち主である。うむ しかし、この台詞さっきも聞いたような…気のせいか おっさん「デュフフ、デュフ…」 なんだ、このむさ苦しいおっさんは 今日は対して暑くもないのに、大量の汗をかいている そして、地面には荷物と思われる鞄が無造作に置いてある せっかく美少女を見て、癒されていたところなのに…実に台無しだ 81: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:42:00.59 :6dIXwKVy0 京太郎「あ、電車来た」 キラッ あれ、なにか光った?あのおっさんの鞄か?……それに、さっきの女の子 もしかして、そういうことか? 仕方ない、念のためついて行くか 電車に乗ると意外と混んでいる。身動きが取れない、というほどではないがスイスイと自由に動くことはできない さっきのおっさんの近くに行くと、案の定水色の髪の女の子のそばに陣取っている 足元には、不自然なほど自然にに鞄が置いてある そして、その女の子は運悪くスカートをはいている この状況とさっきの鞄からの光の反射 まぁ、これはあれだろうな……盗撮だ ジー 念には念を入れて、ファスナーを開き鞄の中を覗いてみると、確かにそれがあった 自分で使うためか、あるいはよそに売るためか どういうことかは知らんが、卑劣な行為であることには変わりない ましてや、こんな国の重要文化財級のおもちの持ち主に対して行うとは おもちマイスターの風上にもおけぬ! 82: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:43:09.41 :6dIXwKVy0 京太郎「余の顔を見忘れたか!!」 京太郎「成敗!!」 京太郎「えい」チョン ゴトッ おっさん「あ」 「えっ、なにあれ?もしかしてビデオカメラ…」 「え、え、盗撮?」 「捕まえろー!すいません、駅員さん呼んでー!!」 ザワザワ ふっ、勝利とはいつも空しいものだな ??「え、え、え…?」 京太郎「……」 83: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:44:30.58 :6dIXwKVy0 ________ _____ __ 「時間とらせて悪かったね」 ??「い、いえ…」 「…一人で平気そう?」 ??「大丈夫…大丈夫です。ほんまに」 「さよか。ほな、気ぃ付けてなぁ」 ??「お世話になりました」 気になって待っていたが、意外と大丈夫そうかな? ガラガラガラ 駅員室から出てきたが、さっきまでの活発そうな雰囲気が感じられない ??「はぁー…」トボトボ あれ、電車に乗らないのか? …いや、そうだよな 仕方がない、乗りかかった舟だ。最後まで乗船するのが礼儀と言うものだろう 京太郎「お美しいお嬢さん。この命に代えてもあなたことをお守りいたしますよ」キリッ ??「……」トボトボ 京太郎「大丈夫、大丈夫です。安心してください」 京太郎「俺がついてます」 84: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:45:54.74 :6dIXwKVy0 _________ _____ __ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 洋榎「絹のやつ遅いなあ、何やってるんやろ。携帯も繋がらんし…」 ビュウ 洋榎「うぅ、寒うなってきた」ブルブル 洋榎「出掛けるとき、けっこう薄着やったもんなぁ。大丈夫やろか?」 そういや、あいつ…須賀とかいったか、どこに泊まってるんやろ さすがにこんくらいの寒さじゃ、死なへんとは思うけど… 洋榎「うがー、うちらしくもない!」 洋榎「もう終った話やろ、これは…」 顔は見えへんかった、けど最後寂しそうな声してた やっぱあん時… おっ、あれは絹か?やっと帰ってきた。無事やったみたいやな あれ?でも、この声どこかで… ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 85: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:48:00.59 :6dIXwKVy0 京太郎「それで、その時こう言ってやったんですよ」 京太郎「『次からは、相手を見て喧嘩を売ることだな……』」 ??「……」トボトボ 京太郎「で、最後にこうつぶやいたんです」 京太郎「『持っててよかった、PSP』、ってね」 ??「……」トボトボ 京太郎「まだまだ他にもありますよ」 京太郎「あれは、俺が戦艦ミズーリでコック長をしていたときの話です」 京太郎「迫り来るテロリストをちぎっては投げ、ちぎっては投げ。ついに相手も――」 タッタッタッ 洋榎「絹ー、どないしたんこんな遅くまで?お姉ちゃん、心配してたんやで」 ひひひ、洋榎さん!?それに、お姉ちゃん?? 絹恵「……」グスッ 洋榎「絹?」 絹恵「う゛わ~ん、おねえ゛ち゛ゃ~ん…怖かったよぉ…」ブワッ 洋榎「どどどどないしたんや?お腹か、お腹痛いんか?」アタフタ 絹恵「いや、ちゃうねん…あんな、電車でその…男の人に」ゴニョゴニョ 洋榎「おおおお、男ぉ?もしかしておまえかー!須賀ぁーー!!絹に何さらしてけつけんねん!!!」 俺がいることバレてた!? 86: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:50:00.59 :6dIXwKVy0 京太郎「い、いや、俺じゃ―」 洋榎「どたまかち割って、脳味噌チューチュー吸うたろかぁ!ああ゛!!」 京太郎「ひっ!…そ、それでも僕はやってない!信じてください、洋榎さん!」 洋榎「やった奴は皆そう言うんや!!」 京太郎「やってない人だってそう言いますよ!?」 洋榎「あんなぁ…いくら絹がうちに似て美人やからって、してええことと悪いことがあるやろ!?」 京太郎「いや、全然似てませんし、それに洋榎さんはそれほど美人ってわけじゃ…」 洋榎「あ゛!?」 アカン、誰か助けて 絹恵「お姉ちゃん、なにしてるの?」 洋榎「へ……ちゃうねん、ちょっとその…痴漢魔に尋問をやな」 絹恵「痴漢?、まぁええわ」 絹恵「あんな、ほんでその…おっさんに盗撮されそうになってたんや」 洋榎「へ」 絹恵「でも、なんやしらんけど…急にカメラの入ってた鞄が倒れてな、そんでその人取り押さえられたんやけど…」 洋榎「せ、せやったん。絹はなんともなかったんか?」 絹恵「うん」 87: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:51:21.15 :6dIXwKVy0 洋榎「でもなんでこない遅く…?」 絹恵「その後、警察の人とかと話してたんや」 洋榎「それだけやないやろ?」 絹恵「…うん。そんで電車で帰ろうと思ったんやけど」 洋榎「…怖かったんやな」 絹恵「うん、だから歩いてきたんや。はは、馬鹿みたいやろ?」 洋榎「……そないなことない。でももう安心しぃやぁ、お姉ちゃんがついてる」ギュ 絹恵「お姉ちゃん…」ギュ 京太郎「……」 絹恵「私、子供みたいやね」 洋榎「うちからしたら、絹はまだまだ子供や」 洋榎「せやから、もっとお姉ちゃんのこと頼ってもええんやで」 絹恵「うん」 京太郎「……」 88: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:52:32.14 :6dIXwKVy0 _________ ______ __ 京太郎「いいんですか、先に行かせちゃって?」 洋榎「おかんがおるから、ええんや」 京太郎「そうですか」 洋榎「……結局、おまえちゃうんかったんか?」 京太郎「さっきから、そう言ってるじゃないですか」 洋榎「もしかして、その盗撮魔の鞄倒したのって?」 京太郎「……さぁて、電車の揺れで勝手に倒れたんじゃないですかね」 洋榎「絹と一緒におったんは?」 京太郎「こんな夜に、美少女が一人で歩くのは危険でしょう?」 京太郎「それに俺、美人の住みやすい街づくりを目指してるんで、その一環ですよ」 洋榎「ぷっ、なんやそれ」 89: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:53:54.49 :6dIXwKVy0 京太郎「あ」 洋榎「?」 京太郎「初めて笑ってくれましたね」 京太郎「怒ってるより、そっちの方がずっといい感じですよ」 洋榎「あほか」 京太郎「その通りです」 洋榎「なぁ、その…一人で寂しくないんか?」 京太郎「それが…よく分からないんですよね」 京太郎「最初のうちはそう思っていたのかもしれません」 京太郎「でももう、そんな気持ちも忘れてしまいました」 洋榎「……」 京太郎「じゃあ、そろそろ行きますね。今日の寝床探さないと」 京太郎「運がよければまた会いましょう。さよなら」 90: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:55:04.52 :6dIXwKVy0 洋榎「ちょいまち」 91: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:56:19.90 :6dIXwKVy0 京太郎「え、なんですか?」 洋榎「夕飯まだやろ?」 京太郎「そうですけど…」 洋榎「ほんなら、うちで食べていきぃ」 洋榎「おかんのから揚げは絶品なんやで」 京太郎「え、でも…」 洋榎「うちがええって言ってるんや、かめへん」 京太郎「えーと…それって、お礼ってことでいいんですかね?」 洋榎「ちゃ、ちゃうわアホ!困ってる人がおったら助ける、当たり前やろ!?」 最初助けてくれなかったじゃん!? 京太郎「…分かりました、せっかくだから頂いていきますね」 洋榎「そ、そうか…よかった」ホッ 京太郎「……洋榎さんも素直じゃないですねぇ」 洋榎「う、うっさい///」 京太郎「はいはい」 92: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 00:57:48.54 :6dIXwKVy0 洋榎「…絹のこと、ほんまありがとうな」ボソ 京太郎「?」 洋榎「ほな、帰ろか」 京太郎「…ええ」 京太郎「あ、そういえば大事なこと一つ聞き忘れてました」 洋榎「?」 京太郎「洋榎さんと絹恵さんって、姉妹なのに胸の大きさが全然ちが――」 洋榎「ふんっ」スパーン 京太郎「あふん」 大阪の人のツッコミってすごい。改めてそう思った 107: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 22:58:29.32 :6dIXwKVy0 ――10月下旬 大阪 洋榎さんとの出会いから、1週間経った あれから俺は、洋榎さんの家に居候している あの日、夕食を食べ終わった後、別の場所に寝床を探しに行こうとした しかし、洋榎さんがもう遅いからと家に泊まらせてくれた それ以来、なぜだかここに居候させてもらっている 別に許可をもらったでわけではない。そういう言葉は交わしてない でもなぜか、洋榎さんが色々と面倒を見てくれていてるうちに、こうなったのだ 俺に同情したのか、絹恵さんのことでの感謝か、あるいはこれこそが大阪人の人情というものなのか 判然とはしないが、洋榎さんにはとても感謝している 部屋は物置になっていたところを、掃除して使わせてもらっている 今までは、味気ないビジネスホテルなどの部屋を勝手に使わせたもらっていた(お金はもちろん払った) だから、こんな部屋でも家独特の温もりが感じられるので満足している ここでの生活にも慣れてきた、ある日のこと 110: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 23:03:58.71 :6dIXwKVy0 雅枝「今週は帰りが遅うなるから、家事は二人で分担しといてな」 この人は、愛宕雅枝さん。洋榎さんと絹恵さんのお母さんだ 髪の色は絹恵さん、髪型は洋榎さんと絹恵さんとのハイブリッド 眼鏡着用は絹恵さんに似ているが、そのタレ目は洋榎さんとそっくりだ そして、胸の脂肪はどうやら妹さんにしか遺伝しなかったようだ 実に残念である。洋榎さんはお父さんに似たのかな? 洋榎・絹恵「はーい」 雅枝「まぁ…洋榎はせんでもええねんけど」 洋榎「ちょ、おかん」 雅枝「まぁ、ええわ。行ってくる」 洋榎・絹恵「行ってらっしゃい!」 パタン 絹恵「ほな、私たちもそろそろ行こか?」 洋榎「そうやな」 洋榎「須賀はどないする?」ボソ 京太郎「今日は、千里山の方に行ってみようかと思います」 京太郎「あそこにもヒントがあるかもしれないので」 洋榎「そうか、ほなな」ボソ 京太郎「はい、また後で」 111: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 23:05:03.61 :6dIXwKVy0 ________ _____ __ はぁ……結局千里山でも収穫無しか まあ、そう簡単にうまく行くとは思っていない それに洋榎さんという、最大の手掛かりもある 気長にやっていこう ガチャ 京太郎「ただいまー」 洋榎「おう、おかえり。なんか収穫は?」 京太郎「いえ、さっぱりですね」 洋榎「そか」 112: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 23:06:55.58 :6dIXwKVy0 京太郎「そういえば、今週は雅枝さん遅くなるんでしたっけ?」 洋榎「ん?ああ、そうやな。せやから、家事せえへんと…」 京太郎「なら、俺手伝いますよ。これでもやもめ暮らしは長いんで」 洋榎「ほう、そうなんか……って、結婚しとったんかいっ!!」ビシッ 京太郎「さすが洋榎さん、いいツッコミです」 京太郎「やもめ暮らしは嘘ですけど、家事は慣れてるんで手伝いますよ」 洋榎「そ、そうか…?そうしてくれると助かるわ」 洋榎「なら…おーい、絹ー!」 絹恵「どうしたの、お姉ちゃん?」 洋榎「うちがご飯作っとくから、絹は風呂掃除して、ついでにお風呂沸かしておいてくれへん?」 絹恵「え゛っ、お姉ちゃんが料理!?それは止めておいた方が…」 洋榎「大丈夫、いけるいける!今回はサポートもあるし、お姉ちゃんにまかしとき!」 絹恵「サポート?まぁ、そこまで言うなら…」 洋榎「よっしゃ!汚名挽回したるでー」 京太郎「ベタですけど、汚名返上ですね 113: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 23:11:08.71 :6dIXwKVy0 _________ ______ __ 絹恵「この炊いたん、めっちゃうまいやん!お姉ちゃん、どないしたの?」 雅枝「いつもと少しちゃうけど、味がしゅんでておいしいなぁ」モグモグ 洋榎「せ、せやろー!うちが本気だしたらこんなもんや」ドヤァ 京太郎「煮物作るとき、洋榎さん鍋の様子見てただけですけどね」モグモグ 絹恵「このお魚もうまいなぁ…いくらでもいけそう。これなんの魚なん?」 洋榎「えっ!?え~…とそれは…」チラ 京太郎「銀だらの西京漬けです。ちなみに俺は鮭の方が好みです」パクパク 洋榎「銀だらや銀だら、うっかり忘れてたわ~(棒)」 雅枝「洋榎がこない料理がうまくなってたなんて…お父さんも今頃お空の上で喜んでるわ…」ホロリ 絹恵「そうやな……って!まだ生きてるから!!」 洋榎「おとんがおらん時、いっつもこのネタ使うからなぁ…もう流石に飽きたわ」 ちなみに、お父さんは出張中らしい 雅枝「…それにしても、洋榎、その…大丈夫か?」 洋榎「え、なにが?」 京太郎「…うん、我ながらうまい」モグモグ 雅枝「いや、ええんやで。育ち盛りやなぁ思て」 洋榎「?」パクパク 京太郎「?」モグモグ 114: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 23:13:13.57 :6dIXwKVy0 ─別の日 絹恵「お姉ちゃん、ほんまに大丈夫?別に無理せんでもええよ?」 洋榎「なに言うとるんや絹。最近のお姉ちゃんの変わりよう知ってるやろ?」 絹恵「まぁ、そやけど…」 京太郎「9割以上、俺がやってますけどね」 洋榎「部活遅れてまうやろ?家事はうちに任せて、早よ行きぃ」 絹恵「うん…分かった。じゃあ行ってきます」 洋榎「いってらっしゃい」 京太郎「では、わたくしも行ってまいりますわ、お姉さま!(裏声)」 洋榎「ブッ!」 絹恵「?」 洋榎「い、いや、なんでもあれへん…気ぃつけてな」プルプル パタン 京太郎「さて、家事の分担どうしましょうか?」 洋榎「って、行かないんかい!」ビシッ 京太郎「おうふ」 洋榎「絹は夕方頃帰ってくるから、それまでに掃除、洗濯して夕飯作っておけばええと思う」 京太郎「了解です。それにしても、洋榎さんは勉強とかしなくていいんですか?」 洋榎「勉強?なんで?」 京太郎「いや、ほら…大学受験とかあるでしょう?」 洋榎「おう、須賀~。うちをなめたらあかんでー」 京太郎「どういう意味ですか?」 115:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/20(水) 23:13:27.89 :0yyxUMEnO 傍目から見てどうなっとるんや…… 116: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 23:16:13.63 :6dIXwKVy0 洋榎「もう既に、麻雀プロのオファーが来てん。せやから勉強なんかせえへんで大丈夫なんやで~」 京太郎「へえー、すごいじゃないですか」 洋榎「せやろー、もっと褒めてもええんやで」ドヤ 洋榎「まあでも…ほんまははまだ本決まり、ってわけやないんやけどな」 京太郎「なんでですか?」 洋榎「実は1月と2月にプロも参加する大会があってな、そこで結果出さなきゃいけないんやと」 洋榎「ま、最終試験みたいなもんや」 京太郎「そこで、駄目だったらどうなるんです?」 洋榎「まぁ、アカンやろ。プロの世界は厳しいちゅうこっちゃ」 洋榎「せやから引退した今でも、時々部活には顔出してるんやで」 京太郎「そうだったんですか……で、オチは?」 洋榎「ないわ、そんなもん!」 京太郎「おかしいですね。大阪の人は長話の最後には、必ずオチをつけるとこの本に――」 洋榎「そないな本、ほってまえ!」 京太郎「いやん」 117: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 23:18:19.68 :6dIXwKVy0 京太郎「じゃあ、俺は風呂掃除してきますから、先に洗濯物洗っといてください」 洋榎「りょーかいりょーかい」 京太郎「使い方分かりますか?洗剤は多すぎても少なすぎても駄目なんですよ?」 京太郎「柔軟剤なんですが、雅枝さんは匂いがキツイのが苦手みたいなんであまり入れすぎないでくださいね?」 京太郎「あと、絹恵さんのデニム、新しいみたいなんでかなり色落ちすると思います。だから白物とは別々にしてください」 京太郎「それと、洗濯機の横に置いてあるバケツなんですけど、中に漂白してるタオルが入ってるんでちゃんとすすいでから――」 洋榎「おまえは主婦かっ!!」 118: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 23:20:09.15 :6dIXwKVy0 _______ ____ __ 雅枝「ただいまー」 洋榎「おかえりー」 雅枝「って、なんやこれ…大掃除でもしたん?」 洋榎「ま、まぁ、こういうのはいっつも絹とおかんに任せぱなしやったから…たまには、な」ポリポリ 京太郎「今日ばっかりは、洋榎さんもちゃんとやってましたからね」 雅枝「」ブワッ 洋榎「ちょ、おかん、どないしたん!?」 雅枝「うおー!洋榎~!!」ダキッ 洋榎「ちょ、やめ、やめて恥ずいから///」 京太郎「いい話だなー」 絹恵「夕飯も用意してあるみたいやしはよ食べよ、お母さん」 雅枝「ん」 119: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 23:22:41.03 :6dIXwKVy0 雅枝「夕飯まで用意してあるなんて…私は世界一幸せな母親やなぁ」ウルッ 京太郎「料理作ったのはほとんど俺ですけどね。でも、そう言われるのは嬉しいです」パクパク 絹恵「それにしても、お姉ちゃん。水垢の落とし方とかよう知っとったね?」 洋榎「えーと、それはあれや…そのー…」チラ 京太郎「水垢落としに使ったのはクエン酸です。台所の油汚れにはセスキ炭酸ソーダを使いました」モグモグ 京太郎「まあ、あのくらいならクエン酸で十分なんです」パクパク 京太郎「けど、酷いものは研磨剤やスケール除去剤を使わないとうまく取れないんですよ。勉強になりましたね」モグモグ 洋榎「長いわっ!」 絹恵「?」 洋榎「あっ!そ、そりゃあクエン酸やろ?うちかてそんくらい知ってるわ」 絹恵「お、お姉ちゃん…」ウルッ 雅枝「洋榎…」ウルッ 洋榎「二人して泣く事ないやろ…」 京太郎「ほら、普段粗暴な人が時折優しさを見せると、そのギャップの分だけ感動してしまうというアレですよ」パクパク 洋榎「うちの評価、そない低かったんかい!?」 絹恵・雅枝「?」 120: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 23:24:34.97 :6dIXwKVy0 京太郎「すみません、洋榎さん。ご飯おかわりいいですか?」 洋榎「……」コクリ 京太郎「了解です」 京太郎「やっぱり、イカの塩辛にはご飯が良く合いますねー」モグモグ 洋榎「せやなー」パクパク 京太郎「……」パクパク 洋榎「……」モグモグ 雅枝「……」 雅枝「あんなぁ、洋榎。あんまこないなこと言うたくないねんけど」 洋榎「?」 雅枝「最近ちょっと食べすぎやないやろか」 洋榎「へ」 雅枝「いつも軽く2人前は平らげるし、それに今なんてご飯3杯目やし」 雅枝「急に家事うまくなったんは嬉しいんやけど……なにか悩み事でもあるのかと思て」 洋榎「は?」 121: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 23:28:07.68 :6dIXwKVy0 京太郎「あーそういえば、言い忘れてました」パクパク 京太郎「時々、俺のしたことが他人のしたことに変わることがあるんですよ」モグモグ 洋榎「え」 京太郎「今回で言うと、俺が食べたものは洋榎さんが食べたことになってるんですね」パクパク 京太郎「いやー、不思議ですねー。まあ、これなら矛盾も起きませんし、よくできた現象です」モグモグ 洋榎「はい?」 京太郎「今日は大掃除して疲れたんでお腹減りますね。もう少しおかず貰おうかな」 京太郎「いやー、うまいなぁ」モグモグ 雅枝「洋榎…」 絹恵「お姉ちゃん…」 洋榎「いや、ちゃうちゃう!うちやないから!!」 京太郎「あ、知ってますか洋榎さん。チャウチャウは中国犬で元々は食用だったんですよ」パクパク 洋榎「んなこと知らんわ!それより食べるのやめてくれる!?」 雅枝「独り言まで…」 絹恵「お姉ちゃん…」 洋榎「あ゛、あ゛、あ、あああ…」カタカタ 京太郎「どんな話にもオチを付けてくる、洋榎さんは大阪人の鏡ですね」モグモグ 洋榎「そんなオチいややーーー!!!」 123: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 23:30:13.70 :6dIXwKVy0 ――10月下旬 大阪での生活にも馴染めてきたので、この一週間は大阪を中心して関西圏に手がかりを求めていた 兵庫、京都、奈良をとりあえず回ってきたが成果は上がっていない 念のため、神戸ではハーバーランドに出向いたが、誰も俺のことをつかまえてはくれなかった ゲームのようにうまくはいかないものだ とはいっても、この三県は立派な観光地でもあるので、思いの外楽しめてしまったのは事実だ 一人旅ってのは良さってのは、こういうことなのかもしれない 他人に気を遣わないで、ゆっくりと観光するというものもなかなか乙なものだ でも、再びここに来る機会がもしあれば、友達や麻雀部のみんなと来たいと思う 270:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/21(木) 15:02:00.41 :rwTZRVA90 神戸の件ってもしかしてハーバーランドでつかまえて? 懐かしい……あれって結構有名なのかな 272: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/21(木) 16:34:03.90 :nHoPjsIe0 >>270 神戸愛に溢れたいいゲームでしたね なかなかトゥルーエンドに行けなくて、選択肢の組み合わせ表を作って総当たりしたのが懐かしいです あそこは当時とは違い、今は結構様変わりしたようですが…時代の流れを感じます 124: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 23:32:07.69 :6dIXwKVy0 さて、これだけ探し回って、未だにまともな手ががりは洋榎さんのみ なぜだろうか? 洋榎さんとそれ以外との差はなんなのだろうか? 洋榎さんにしか、俺の声が聞こえないのはなぜだろうか? その洋榎さんにも、俺の姿は見えないのはなぜだろうか? そこに理由があるのなら、それは一体どういうものなのだろうか? 考えても答えが出ないのは分かっているが、それでも考えずにはいられない それにしても、随分疲れた 慣れない土地というのもあるけど、この一週間ずっと動きっぱなしだったから尚更だ 早く帰って、ゆっくり浴槽に浸かって、雅枝さんの作ったおいしいご飯を味わいたいものだ 126: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 23:35:13.72 :6dIXwKVy0 ――11月上旬 大阪 11月に入った 寒さが厳しくなってきて、いよいよ冬本番を感じさせる コートを着ないで外に出ると、寒いくらいだ まあ、それでも長野よりはマシだけど 俺は、関西小旅行を終えて久々に大阪に戻ってきていた ガチャ 京太郎「ただいまー」 洋榎「ん、この声…?須賀か、おかえり。1週間ぶりやなぁ、元気にしとった?」 京太郎「いやー、流石に疲れましたよ。成果も挙がりませんでしたし」 洋榎「ふーん…」 京太郎「だから、今日はゆっくり休みたいですね」 洋榎「休む?そら、アカンよ」 京太郎「何でですか?」 洋榎「これから出掛けるからや」 京太郎「どこへ?」 洋榎「甲子園」 京太郎「はい?」 127: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 23:36:19.55 :6dIXwKVy0 _________ ______ __ 雅枝「ほら、ゆっくりせんと、はよせんかいな」 絹恵「ああー…急にお腹が痛くなってきたなぁー(棒)」 雅枝「ん?」ニコリ 絹恵「やっぱしなんともなかったわ…」ハァ 京太郎「俺は別に行かなくてもいい気がするんですが…それに疲れてるんで休みたいんですけど…」 洋榎「ん?」ニコリ 京太郎「ナンデモアリマセン」 雅枝「ほな行くでー」 128: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 23:37:14.92 :6dIXwKVy0 ―車内 雅枝「……」 洋榎「……」 絹恵「……」ハァ なにこの、重苦しい雰囲気 京太郎「あっ、そうだ!ラジオつけましょう、ラジオ!いいいですよね?」 洋榎「……」コクリ 少しでも、この空気を紛らわせれば何でもいい 藁にもすがる思いとはこのこと 129: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 23:38:38.41 :6dIXwKVy0 ポチ 「いやー、昨日の試合はすごかったですねぇ。私途中まで絶対阪神が勝つと思ってましたもん」 洋榎・雅枝「……」ピクッ 「そうですねえ、でもオリックスも後半頑張りましたよ。あの逆転劇には思わず感動してしました」 洋榎・雅枝「……ちっ」 絹恵・京太郎「ひっ」ビクビク 「でも、これでお互い3勝3敗になったので最終戦までもつれ込みましたからねえ」 「ええ、まったく分からなくなってきました。今日の試合、非常に楽しみです」 「しかし、阪神はペナント3位からCSで這い上がって来ましたからね。勢いはほんとうにありますよ」 雅枝「おっ、分かってるやないかい」 洋榎「負ける気せぇへん地元やし」 負けフラグ、ゲットだぜ! でも、どっちとも地元ですよね? 「いやぁ、でも今のオリックスは打線が非常に調子いいですからね。私はこちらの方が若干有利なんじゃないかと――」 雅枝・洋榎「あ゛?」 絹恵「」ビクッ 京太郎「チャ、チャンネル変えましょ。ね?ちょうど今日のニュースが知りたかったんですよねー(棒)」 130: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 23:40:04.01 :6dIXwKVy0 ポチ 「えー、本日提出された法案は賛成33、反対4。つまり33―4!、33対4ですよ!!、で可決されました」 洋榎・雅枝「」ピクッ あわわわわわ… 「次のニュースです。昨日あった地震の影響で334世帯の――」 洋榎・雅枝「」ビキビキ 京太郎「そ、そうだ。明日の天気は何かなぁー」 ポチ 「明日の大阪市内の天気は、曇りのち雨となっております」 京太郎「ほっ…」 天気予報なら安牌だろ 「雨の確率は33.4%となっており、今後とも大気の状態は――」 大阪の天気予報ってすげー(棒) 洋榎・雅枝「……」ビキビキ 132: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 23:41:02.16 :6dIXwKVy0 ポチ 「実はここに植えてある桜の木は334本ありまして――」 ポチ 「ここは生徒数334人の――」 ポチ 「本日の3時34分頃――」 ポチ 「33-4――」 「33対4──」 もうどうしようもないね… 雅枝「洋榎」ニコリ 洋榎「うん」コクリ その後何が起こったか、俺の口からはちょっと言えない だが、車のラジオを修理に出す必要があるのは確かなようだった 133: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 23:41:54.67 :6dIXwKVy0 _______ ____ __ ―兵庫県 阪神甲子園球場 雅枝「モータープール、めっちゃ混んでるな…」 流石、最終戦とあってかなりの人だかりだ 恐らく全国からファンが集まっているのだろう 雅枝「お、空いてるとこあった」 雅枝「んじゃ、行こか」 車から降り、早速球場に向かう ここが阪神甲子園球場か… 野球には全く興味はないが、こうして歴史ある球場を前にすると、不思議と感動が沸き起こってくる シーズン中、毎試合の様にここに来るファンの方々の気持ちも、なんとなく分かるような気がした 136: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 23:42:52.26 :6dIXwKVy0 京太郎「あ、そういえば」 洋榎「ん、なんや?」 京太郎「俺のチケットって、もちろん無いんですよね?」 洋榎「まぁな」 京太郎「じゃあ、どうやって観戦すれば?」 洋榎「立ち見」 京太郎「え」 洋榎「立ち見」ニコリ 京太郎「はい…」 洋榎「死ぬ気で応援するんやで」ニコリ 京太郎「」 洋榎「あとこれユニフォームな」 京太郎「見えないから意味ないじゃないですか…?」 洋榎「気分や気分。ほら、さっさと着る!うちのエースや!」 京太郎「……背番号14」 137: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 23:44:13.71 :6dIXwKVy0 球場に入り、しばらくすると試合が始まった 凄い熱気だ。最終戦までもつれ込んだこともあり、互いの選手もファンも必死なのだろう どんなことであれ、何かに一生懸命に打ち込めることができるということに、多少の羨望を覚える さて、俺たちはというと 雅枝「……」 洋榎「……」 この2人、試合開始からひとっことも喋らない どこぞのアニメの司令官のように手と手を重ねて、その上に顎を乗せて静観している シンクロ率100%だ 熱心さを通り過ぎて、一種の狂気すら感じる 俺だったら絶対に他人の振りをするだろうな 絹恵「……はぁ」 絹恵さん、その気持ちよく分かります 139: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 23:45:58.60 :6dIXwKVy0 5回表、二死満塁の場面、阪神は守りで対するは下位打線。危険な状況だが打ち取れる可能性も十分高い ピッチャーが投げたボールははじき返されたが、芯から外れた鈍い音。なんでもないフライだ 誰もが取れると思っただろう。しかし、野手がファンブルしてしまい、その間にランナーが一人帰ってしまった 「「あぁ……」」 会場から、大きなため息が聞こえてくる 「何やっとんじゃ、ぼけぇー!さっさと引っ込めー!!」 後方から野次すら聞こえてくる。気持ちは分かるが、真のファンなら言うべきではないだろう ヤジもあり周りの雰囲気が悪くなっていたところ、雅枝さんと洋榎さんがいきなりスクっと立ち上がった 洋榎「がんばれー!!汚いヤジなんかに負けんなー!!」 雅枝「まだまだ1点差や!気張れやー、阪神!!」 140: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 23:47:34.11 :6dIXwKVy0 洋榎「失敗なんて誰にでもあるっ!まだまだ中盤や、次の打席頼んだでー!!!」 雅枝「そやそや!うちの娘なんかこの間、左右別々の靴下履いて出かけておったでー!!」 洋榎「ちょ…おかん!お願いやからその話はせんといてぇな!?」 「「あっはっはっ!!」」 「……」 「おいこらぁ!!喧嘩売ってんのか…!」 さっきのヤジの人だ 雅枝「あ゛?」ピキピキ 「おう、なんや!やる気かっ!!」 「……っ!!」 雅枝「?」バイン 「で、でけぇ…」 絹恵「ちょ、ちょっとお母さん、やめなよ…」バインバイン 「で、でけぇ…」 洋榎「おうおう、何か文句でもあんのか、おっちゃん」スカッ 「で、で…………あ!」 洋榎「?」スッカスカ 「…………」 「ご、ごめんな姉ちゃん。その、俺が悪かったよ…」 「こない人に優しくなれたの、ほんまに久しぶりや。ありがとうな」ニコリ その表情、憐れみを乗り越えて、もはや悟りを開いた聖人の域に達してらっしゃる これが現代における生類の憐れみ、いや"小"類の憐れみ、か… くっ… 141: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 23:51:45.94 :6dIXwKVy0 洋榎「おい、ほんまにいてこましたろか…」ピキピキ 京太郎「洋榎さん、落ち着いてください!」 洋榎「止めるな、須賀ぁ!うちは、うちは……!!」 京太郎「力に頼らず、争い事を治める。こんなこと、なかなかできることじゃないですよ」 洋榎「そ、そうか?うち、すごいんか……?」 京太郎「流石ですお姉さま、って感じですよ!だから、さあ!!胸を張ってください…………あ」 なかった 洋榎「……」 京太郎「……」 洋榎「……」 京太郎「……」 142: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 23:52:50.91 :6dIXwKVy0 洋榎「覚悟はできたかな?」ニコリ 京太郎「いいえと言ったら、許してくれます?」ニコリ 洋榎「NOやで」 京太郎「Oh…やで」 洋榎「SEE YA!!」ブンッ 京太郎「ホームラン!!」アウチ 絹恵「何やってるの、お姉ちゃん…?」 洋榎「大丈夫や、絹。悪は滅んだ」キリッ 絹恵「?」 京太郎「」ピクピク 143: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 23:54:49.74 :6dIXwKVy0 _______ ____ __ 絹恵「あああああ、アカンて……」 絹恵「このままやと前みたく、1ヶ月間朝食がロッ○の板チョコだけ、みたいにになってまう……」ガクガク 潔いのか悪いのか… でも、オリックスに負けたらどうなるんだろう?気になる 回は9回裏、表の守備を終えて点差は1点、このままだと阪神の負け ワンアウト一塁三塁の場面、長打を打てば一打逆転のサヨナラもあり得る 『ストライークッ!!』 絹恵「ああ…追い込まれてもうた」 洋榎「安心しぃや、絹。阪神がこのまま負けるわけないやろ」ニコリ ガクガクガクガク 京太郎「そんなこと言って洋榎さん、とんでもない勢いで貧乏ゆすりしてますよ!!」 洋榎「ハハハ、ナニユーテンネン」 ガクガクガクガク 144: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 23:56:10.37 :6dIXwKVy0 雅枝「洋榎、少しは落ち着きぃや。ほら、お母ちゃん見習って」ニコリ ダラダラダラダラ 京太郎「とか言いながら雅枝さん、脂汗すごいことになってますよ!!滝ってレベルじゃないですよ!?」 絹恵「あっ、打った」 京太郎「え」 洋榎「え」 雅枝「え」 右中間に鋭く飛んでいった打球は 京太郎「捕れないっ!!」 三塁ランナーは余裕のホームイン、同点! ライトの渾身の送球はコントロールよくキャッチャーの元へ 一塁ランナーは………… 『セーフッ!!!!』 145: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 23:57:25.75 :6dIXwKVy0 「「ワァァァァ!!!!!!」」 京太郎「や、やりましたよ洋榎さん!!」 絹恵「お母さん、お姉ちゃん!やったやん、勝ったんやで、優勝したんやで!!」 雅枝「……」 洋榎「……」 京太郎「洋榎さん…?」 絹恵「お母さん…?」 雅枝「」 洋榎「」 絹恵「気ぃ失ってる……」 京太郎「メディーーック!!!!」 146: ◆Lw8TjwCkqM:2014/08/20(水) 23:58:16.68 :6dIXwKVy0 こうして阪神は勝った 今度こそ、Vやねん、タイガース!! でも、この2人とは、もう一緒に試合観戦には行きたくはない。だって、ねぇ…? でも、絹恵さんとならいいな そうだ、絹恵さんとおそろいのユニフォームを着てサッカー観戦…… ふむふむ、なるほど……すばらっ! 絹恵さんのユニフォーム姿。ああ、やばい、めちゃくちゃ似合うな!! きっと、胸の辺りとか殺人的過ぎるだろうな!! サッカーはこれからもシーズン中だから、きっとそういう機会もあるだろう 楽しみだなぁ 読む →
2014年05月05日 00:20 【咲-Saki-】盲目の少女 後編 関連SS 【咲-Saki-】盲目の少女 前編 【咲-Saki-】盲目の少女 後編 333:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/02/16(日) 19:46:04.76 :8gfVIQ4j0 ―――― その日、咲は診察がある為いつもよりも急いで教室を出た。 校門の所で迎えに来た父親が待っているからだ。 繰り返される定期的な検診にうんざりしているが、こればかりはさぼる訳にいかない。 (嫌だな、この匂い) 視覚が閉ざされている分、他の神経はより研ぎ澄まされる。 病院特有な匂いに眉を寄せ、診察室へと向かう。 経過を見るだけで、今は特別なことをしない。 変化は無いかとお決まりの質問に、「無いです」と素っ気無く答える。 本当は尋ねてみたい。 ちゃんと目が見えるようになるか、教えてよって。 けれど不安な心を抑え、取り乱したりはしない。 もしそんなことを言ったら、父へ報告が行くだろう。 咲は父に心配を掛けたくなかった。 この目が見えなくなった時、父は泣いていた。 だから咲は不安な心を見せたりはしない。 いつでも平気だと、振舞っている。大丈夫だと、自分に言い聞かせて。 今、咲を支えているのは、夏予定の手術に成功すれば、 回復する可能性があるという医師の言葉だ。 必ず見えるようになると、信じるしかない。そうでなければ、動けない。 (そして、また麻雀をやるんだ) 視力がこんな状態だから、前と全く同じとはいかないだろう。 それでも牌に触れるのなら、贅沢は言わない。 (麻雀やれるようになったら、江口さんや竜華さん、怜さんや泉ちゃんともやりたいな) 大会の話を聞くと、いつも何故自分も出場出来る身じゃなかったのかと少し切なくなる。 勿論セーラから話を聞くことは、楽しいけれど。 読む →
2014年05月04日 23:50 【咲-Saki-】盲目の少女 前編 関連SS 【咲-Saki-】盲目の少女 前編 【咲-Saki-】盲目の少女 後編 元スレ 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/22(金) 00:34:15.60 :KHMtlW+j0 ※咲-Saki-のifストーリーです ※咲さんは盲目で、諸事情により千里山に通ってます ※千里山の部長はセーラです 2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2013/11/22(金) 00:37:46.18 :KHMtlW+j0 部室を抜け出して、セーラは一人で中庭を歩いていた。 単なる気分転換だ。 『用事がある為、席を外す。後の指示は頼む』 監督からメニューだけを預かり、今日の練習をこなしていたが、 ふっと外の空気が吸いたくなった。少しの間なら構わないだろう。 吹き抜ける風に、セーラは空を見上げた。 もうすぐ春休みも終わる。そうしたら新入生達が入ってくる。 麻雀部に、少しは歯応えのある部員は来るのだろうか。 退屈しないような新人でも入って来たら、面白くなりそうだが。 今のメンバーの実力等、色々考えながら足を進める。 ふと。 杖を振りながら歩いている少女が、セーラの視界に入った。 (初等部の生徒か?こんな所で何をしてるんや?) 見ている間にも危なっかしい足取りで、少女は歩みを進めていく。 杖で周りを探りながら、ゆっくりと。 読む →
2014年04月19日 09:05 怜「ホテルにこもってるのも暇やな。テレビでも見よか」 関連SS 咲 揚げたお芋さん シリーズ:目次 元スレ 全てのレス 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/04/18(金) 00:39:31.39 :O/jgpdW2o 怜「せや!」 怜「大会期間中で忘れとったけど、今夏休みやんな」 怜「やったら、アレがやってるはずや」 怜「久しぶりに観てみよか。懐かしいわ」 怜「どのチャンネルでやってるやろな」 怜「『じゃりン子チエ』の再放送」 ピッ 読む →
2014年04月11日 08:30 末原「お昼ごはんはお好み焼きですよ」 関連SS 咲 揚げたお芋さん シリーズ:目次 元スレ 全てのレス 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/04/10(木) 05:24:08.17 :8IDi6WfWo 絹恵「わぁ、美味しそうや!」 真瀬「早くよこせのよー」 洋榎「ん?なんやこのお好み焼き、ソースかかってへんやないか」 絹恵「ホンマやなぁ」 漫「自分で好きなソースかければいいって事でしょうか?」 読む →
2014年02月01日 23:05 洋榎「漫にはナマでさせるのに、ウチにはゴム付けさせるんやな……」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/31(金) 21:51:29.08 :jLYjbXe60 あとは頼んだ 2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/31(金) 21:56:03.58 :jCdbU4QxP 郁乃「ようやく完成したで……ふふ……」 郁乃「あとはこれを私が飲んで、末原ちゃんにタネ付けすればパーフェクトや」 郁乃「おっと、もうこんな時間……一応部活には行っとかんとな~」 読む →
2014年01月02日 23:05 洋榎「新年早々やかましいのが来よった」セーラ「せやな」 元スレ 全てのレス 4:代行ありがとうございました:2014/01/02(木) 16:47:57.53 :AEYD4/jDP 洋榎「ふわ~あ。昨日の紅白は、なんだかんだサブちゃんで盛り上がったなー」 絹恵「お姉ちゃん、おはよー。そんで明けましておめでとう」 洋榎「おう絹、おめでとー。オカンは?」 絹恵「お母さんは、朝から年賀状書いとったけど『あかん!挨拶回りの時間やー』言うて出かけてったで」 洋榎「そらまた年明けから忙しないことで」 洋榎「ならうちらは高校生ならではの、ぬくぬくとした正月を過ごさせてもらおか」 絹恵「うん、年賀状も色々来てるで」 洋榎「こっちは浩子からか。『10時に伺います』って、もう10時やけど・・・」 ピンポーン 読む →
2013年12月19日 17:05 末原「わるいゆめでも見ているようや……」漫「先輩……」 元スレ 全てのレス 3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/18(水) 23:41:38.47 :8pvXp1WZ0 全国大会 2回戦会場にて 恒子『試合終了ぉぉぉぉぉぉ!!!』 咲「おつかれさまです」ペッコリン 恒子『ベスト8進出は清澄高校と姫松高校だァァァァァ!!』 姉帯「うわああああああああああああん!!」 健夜『勝負事というのは残酷ですね』 霞「はぁおっぱいが重くて肩が……」 健夜『にゃろ……!』ギリッ! 末原「……」カタカタ 恒子『清澄タイフーン旋風です!!』 咲「またみんなで麻雀しようね!」ググッ! 姉帯「う、うん……」グジュ 末原「うぐ……」 カタカタ 読む →
2013年11月11日 00:30 末原「出来る事は全部やった…」赤阪「無理矢理そう思いたいだけ」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/11/09(土) 21:40:33.70 :dsJzOcyt0 全国大会 2回戦会場にて みさき『試合終了です』 咲「おつかれさまです!」ペッコリン みさき『準決勝進出は清澄高校と姫松高校です』 姉帯「まだ帰りたくないよおおおおおおおおおお!」 野依『ダメ……!!』=3=3 霞「あらあらうふふ」ポヨンポヨン 末原「あう……」カタカタ みさき『清澄旋風恐るべしですね』 野依『そうたい!』プンスコ! 咲「またみんなで麻雀しようね!」ググッ! 姉帯「うん……」グジュ 末原「……」 カタカタ 4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/11/09(土) 21:45:54.92 :dsJzOcyt0 姫松高校控室にて 末原「す、すみません……」カタカタ 由子「落ち込まないでなのよー!」 絹恵「そうですよ!今回は相手が強すぎやんですよ!」 末原「手も足も出ませんでした……」ポロポロ 漫「普通麻雀で足はつかいませんけど……」 洋榎「漫は黙っとき!」 末原「すみません……すみません……」ポロポロ 洋榎「謝らんでええって!」 由子「よく耐えたのよー!」 絹恵「勝負は時の運ですよ!次こそは先輩にも運が向いてきますって!」 末原「みんな……」 ガチャン 赤坂「ガチ!ガチ!ガチガチガチガチ!ガチレズすえはらちゃ~ん♪」 読む →
2013年10月30日 23:05 絹恵「咲ちゃんの誕生日に美味しいもの作りたい?」恭子「せや」 関連SS 洋榎「は?宮永咲と一緒に住んでる!?」恭子「せや」 恭子「は?咲に告ってこい!?」洋榎「せや」 絹恵「咲ちゃんの誕生日に美味しいもの作りたい?」恭子「せや」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/29(火) 21:31:00.38 :5gNmyM4r0 恭子「は?咲に告ってこい!?」洋榎「せや」の後日談的なものです 3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/29(火) 21:34:54.22 :5gNmyM4r0 恭子「この頃咲と一緒によく料理するんで、ちょっとは上手くなったと思うんやけど…」 恭子「何とか咲の誕生日までにもっと上達して、豪華なもんを作ってやりたいんや!」 絹恵「おおっ!私感動しました!」 絹恵「分かりましたよ恭子さん!私で良ければいくらでも教えます!」 恭子「ありがとな、絹ちゃん。恩にきるで」 洋榎「うちも手伝ったるでー」 恭子「いや洋榎はええわ」 洋榎「ひどっ!」 読む →
2013年10月03日 12:05 恭子「は?咲に告ってこい!?」洋榎「せや」 関連SS 洋榎「は?宮永咲と一緒に住んでる!?」恭子「せや」 恭子「は?咲に告ってこい!?」洋榎「せや」 絹恵「咲ちゃんの誕生日に美味しいもの作りたい?」恭子「せや」 元スレ 全てのレス 2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/30(月) 18:43:34.17 :R+AMRhbB0 洋榎「つーわけで恭子。いっちょ告ってこいや」 恭子「………は?」 洋榎「だーかーらー。咲に告ってまえって言ってんのや」 恭子「な!急に何言い出すねん!!」 洋榎「え?だって、咲のこと好きなんやろ?」 恭子「すっ!!」 洋榎「好きなら告ればええやん」 恭子「そそそ、そういうこっちゃないねん!!」 読む →
2013年09月25日 15:05 洋榎「は?宮永咲と一緒に住んでる!?」恭子「せや」 関連SS 洋榎「は?宮永咲と一緒に住んでる!?」恭子「せや」 恭子「は?咲に告ってこい!?」洋榎「せや」 絹恵「咲ちゃんの誕生日に美味しいもの作りたい?」恭子「せや」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/24(火) 19:16:55.31 :Gfk9nzdh0 洋榎「え!も、もも、もしかして、ど、どーせー!?」 恭子「同居や、同居」 洋榎「な、なんでや!?てかいつからっ!?」 恭子「一ヶ月前ぐらいからやな。理由は、たまたま同じ地域で部屋を探していたからや」 恭子「それなら、同じ部屋を借りて家賃や光熱費を折半した方が経済的やったからな」 洋榎「宮永って今大阪におるん?」 恭子「せや。こっちで保育士やっとるで」 洋榎「………マジかい」 4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/24(火) 19:21:26.62 :Gfk9nzdh0 洋榎「でも大丈夫なん?恭子、あの子のこと苦手言うてたやん?」 恭子「それは麻雀の話や。しかも高校の時の。今はもうお互い社会人やしな」 恭子「それに部屋も別々のルームシェアやから何も問題あらへんで」 洋榎「な、なるほど…」 せや。同居してるって言っても、夫婦みたいに一緒に生活するわけやない 恭子は恭子の生活をして、宮永は宮永の生活をする ルームシェアってそんなもんやんな なーんや、うち変な想像してもうてたわ てっきり恭子と宮永が「ただいま」「おかえりなさい。ご飯にする?お風呂にする?それとも…」的な会話を毎日繰り広げてるのかと… 5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/24(火) 19:24:07.91 :Gfk9nzdh0 ブー、ブー、ブー 洋榎「ん?恭子の携帯震えとんで」 恭子「え?ああ…ちょっと失礼」ピッ 恭子「うちや。…いや、大丈夫やで。ん…」 恭子は通話をしながら、おもむろに携帯を肩に挟んでポケットからボールペンとメモを取り出す さらさらと書かれていく文字から、うちは目が離せなかった 食パン 牛乳 卵 ティッシュ こ、これは……… 6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/24(火) 19:27:18.50 :Gfk9nzdh0 恭子「他には?…卵はLサイズでええんか?……わかった。ああ。今日はいつも通り帰るわ」 ピ、と終話ボタンを押して、恭子は通話を終える うちは恭子が書いたメモから視線を外さずに尋ねた 洋榎「……なあ恭子。今のって、宮永?」 恭子「?せやで」 洋榎「それ、買ってきてって頼まれたん?」 恭子「せや。それがどうかしたん?」 洋榎「めっちゃ2人で生活してるやん!!」 9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/24(火) 19:30:09.12 :Gfk9nzdh0 うちは買い物メモをずびし!と指差して言う 買い物頼まれるとか!帰る時間をいつも通りとか言っちゃう辺り、めちゃめちゃ親密やん!! 高校時代からは想像できんわ!! 洋榎「よっしゃ決めた!恭子、今日遊びに行ってええ?つーか行く!んで泊まるで!!」 恭子「は?いきなり何を言ってるんや。というか、勝手に決めんなや」 洋榎「ええやろ!何か面白そうやし!!」 恭子「面白そうって…」ハア 12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/24(火) 19:33:05.90 :Gfk9nzdh0 仕事が終わってから、うちと恭子は宮永に頼まれた買い物をして、2人が住むマンションにやってきた 洋榎「へー、結構いいとこに住んでるんやな」 市内の高層マンション 駅から徒歩15分 オートロックで、エントランスには警備員が常駐している 恭子「アイツ、都会暮らしは慣れてないから危なっかしくてな」 恭子「セキュリティの高いところなら安全やろ」 洋榎「……………」 14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/24(火) 19:36:06.49 :Gfk9nzdh0 何か、どこから突っ込んだらいいのかわからないんやが、要はあれやろ 宮永の為にセキュリティの高いところにしたってことでおk? 恭子ってこんなキャラやったっけ? てか、宮永大事にされすぎ 嫁か 恭子「帰ったで、咲」 咲「おかえりなさい、恭子さん」 恭子がドアを開けると、廊下の向こうからパタパタ、とエプロンをつけた宮永がやってきた 前言撤回 嫁 や っ た !! 15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/24(火) 19:37:01.03 :reL9qdLz0 嫁やん 16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/24(火) 19:38:30.03 :1JGgUye20 嫁だ 読む →
2013年08月27日 00:30 洋榎「あれは、10年前のことやったかなー」 元スレ 全てのレス 4:代行ありがとうございます:2013/08/17(土) 00:53:40.05 :88ZnPn4T0 ―――――愛宕家リビング――――― 絹恵(6)「ほいじゃあウチが『しもかわせいご』やるから、ひろこは『うぇずれい』な!」 浩子(6)「えー、いややわあんなブサイク……」 絹恵「『しもかわせいご』はセレッソふどうのしゅごしんなんやで~」 ※下川誠吾選手は2003年を最後に残念ながらJ2に飛ばされます 浩子「聞いてへんし……ほんで何したらええねん?」 絹恵「PKやでPK!ウチが止めるから!」 浩子「えー……家ん中でボールけったら、おばちゃんにしかられるやん」 絹恵「ええて!ぜったいとめるから!」 浩子「は~ぁ……お姉ちゃんはよかえってこんかな……三麻もでけへんから」 絹恵「キーパーグローブ買ってもろてん!」 浩子「はぁ、それでか、きぬえはアホやなー」 絹恵「このベランダのとこの戸ーがゴールな!」 読む →
2013年06月29日 10:05 洋榎「姉妹レズ系の◯ダルトビデオレンタルに挑戦やで!」 元スレ 全てのレス 7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/28(金) 19:24:14.49 :iwFds4Rm0 レンタルビデオ店にて 洋榎「遂に来たで!このカーテンの向こうがアダルトコーナーやな…」 ※ 18歳未満の方の立ち入りを禁じます! ※ 洋榎「むぅ…」 洋榎「まぁ、ウチは今年で18んなるし…大丈夫やろ多分」 洋榎「それに、こんな脅し文句でひるむような洋榎ちゃんやないで!」 洋榎「おてんとさん!無事に姉妹レズ系のビデオを借りて帰れるよう見守っといてや!」 洋榎「よっしゃ!突撃やー!」 洋榎(…知り合いとかおりませんように!)ドキドキ 読む →
2013年05月08日 15:30 洋榎「打倒チーム虎姫や!」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/05/06(月) 20:43:10.13 :7ht250QD0 <千里山女子高校 麻雀部部室> 竜華「…………」 セーラ「…………」 怜「…………」 恭子「…………」 洋榎「ん?どないしたん?はよ始めようや」 竜華「いや……事態がイマイチ飲み込めてないねんけど……」 洋榎「え?浩子から聞いてへんの?」 竜華「……愛宕さんと末原さんが来るのは聞いた」 洋榎「聞いてるなら問題ないやん。ゆーこがイマイチ乗り気やないみたいで不参加なんが残念やけどな」 セーラ「…問題っちゅうか、どういう事なのか知りたいなぁ」 洋榎「へ?今言うたやん。打倒チーム虎姫やって」 セーラ「だからその結論にに辿り着いた理由を教えてぇや」 洋榎「?」 読む →
2013年04月16日 09:05 洋榎「赤ん坊はコウノトリさんが連れてきてくれはるんや」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/16(火) 00:21:26.51 :URaZaETp0 洋榎「絹恵との子、まだ来えへんなあ」 絹恵「お姉ちゃん…」 お姉ちゃんは最近毎晩、窓を開けて外を見ながらこんな事ばかりつぶやいてる。 私はいつも、なんて声をかけていいかわからなくなる。 絹恵「今日はもう遅いから、コウノトリも寝てんのちゃう?」 洋榎「そうかなあ?」 絹恵「一時やで、もう」 洋榎「うーん…、今日も来んかったか」 絹恵「もう寝よう、お姉ちゃん」 洋榎「…しゃーないな。おやすみ、絹」 絹恵「おやすみお姉ちゃん」 読む →
2013年04月14日 09:30 蒲原「咲-Saki-の天然タラシ竹井久を許さない会だz」ボゴォッ 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 21:47:52.28 :NiQ8TZxf0 智美「」ピクピク 美穂子「あら…ハエが止まっていたから潰してしまったわ」 まこ「おう、今のはどう見てもハエじゃったのう」 胡桃「うるさかったよ、そこ」 春「ハエがいたら黒糖が美味しくなくなる…」 靖子「そうだな。美しい者を語る場にハエは無用だ」 美穂子「それじゃあみなさん、咲-Saki-の本格派美少女竹井久を許さない会、始めるわねー」 美穂子・まこ・胡桃・春・靖子「絶対に許すなー♪」 ゆみ「おい蒲原! 死ぬな蒲原ーーー!」 読む →
2013年03月30日 09:05 洋榎「宮永 照の便所飯を阻止する」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/29(金) 22:17:10.49 :flXGpYO90 <東京 白糸台高校付近> 洋榎「…………」 洋榎「ここが白糸台か……」 洋榎「よし…」ピッ..プルルルル....ガチャ 洋榎「あ、もしもし絹?ありがとう。ちゃんと着いたわ。ホンマ助かった」 洋榎「……え?ただ白糸台の強さの秘密を探れるかもしれんていうだけの事や」 洋榎「学校の近くをぐるっと回ったら帰るから…………ん?せやけど調べてみな分からんやんか」 洋榎「なんか見つけたらちゃんと絹にも教えるわ。期待しとき。ほなな」ピッ 洋榎「ふー……」 洋榎(絹も案外頭固いなぁ。環境っちゅうのはめっちゃ大事やないか) 洋榎(普段歩いてる通学路とか地元に住んでる人の感じとか、部活帰りに商店街で買い食いするお惣菜とかがあいつらの強さの秘密を握っとるかもしれんのに) 洋榎(こうして実際歩いてみる事で感じられるものもあるっちゅうもんや!)スタスタ 読む →
2013年02月22日 19:05 郁乃「ついに来たんやな……この時が!」 元スレ 全てのレス 2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/21(木) 22:24:59.93 :ApTnUxksP 洋榎「まぁ、いつかは来ると思ってたわ」 漫「それで、ルールはどないするんですか?」 郁乃「半荘1回勝負、25000持ちで、あとは普段の部活と同じルール……これでええな?」 洋榎「ええんとちゃう? どうせ勝つのはウチやからな」 絹恵「いくらお姉ちゃんでも、今日の勝ちは譲れへんよ?」 漫「みなさんには悪いですけど、今日は爆発させてもらいますんで」 「「「「…………」」」」ゴゴゴゴゴゴゴ 恭子(ど、どうしてこんなことになってもうたんや……) ◇◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 郁乃「~♪」 洋榎「なんや、今日の代行はまた一段と気色悪いなぁ」 絹恵「すっごく機嫌良さそうやね」 漫「またろくでもないこと考えてるんちゃいますか?」 読む →
2013年02月06日 11:30 郁乃「末原ちゃんの声集めてボーカロイドっぽいの作ったで~」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/05(火) 22:57:18.59 :U4avJrfw0 ――姫松高校・末原だいすきクラブ秘密基地 郁乃「じゃーん!」 洋榎「代行、あんた、天才やったんやな…」 漫「名前は、名前はどないしましょう!」 郁乃「漫ちゃん、へい漫ちゃん、あんた酔っぱらっとんのやったら逮捕&裁判やで?」 洋榎「せやな、未成年飲酒で死刑や」 漫「え、なんですかそれ、うち、なにかへんなこと…」 郁乃「末原恭子、スエハラキョウコ、これを超える名前がこの世にあるんか?あ?」 漫「あ…」 洋榎「口にするんも愚かしい愚問やな、愚問や、愚問やろが」 漫「す、すいません!うち、うち…!」 郁乃「以後気を付けや~」 洋榎「今回は書き取り教育で勘弁したるわ、この新品のノート一冊「末原恭子」の文字だけで埋めて提出せえ」 漫「喜んでやります!うっひゃあ!」 郁乃「あらあら、これじゃあ罰にならへんな~」 読む →
2012年12月23日 23:35 和「咲さんだけでご飯三杯楽勝ですね」優希「ならやってみるじぇ」 元スレ 6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/23(日) 17:01:10.18 :T/tHLgqu0 和「えっ」 優希「本当に咲ちゃんだけで、ご飯食べられるのか」 優希「見たいじょ私!」 和「ちょっと待って下さい優希、今のは言葉の文というか・・・」 久「何々~?何話してんの?」 優希「あっ部長、実はのどちゃんが・・・」ゴニョゴニョ 和「ちょっと優希!」 和(部長がそんな話を聞いたら、面倒なことに・・・) 久「ふむ、咲をおかずにご飯をねぇ・・・」ほうほう 久「・・・おもしろそうね」二ヤッ 久「ちょっと人集めて、それやってみましょうか!」 和「・・・えっ?」 読む →
2012年12月01日 12:30 胡桃「そーゆーのいーから幸せにする!」洋榎「ああ……絶対……!」 関連SS 胡桃「そーゆーのいーから愛の告白!」洋榎「あ……好きです……」 胡桃「そーゆーのいーから幸せにする!」洋榎「ああ……絶対……!」 元スレ 13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/30(金) 00:04:30.70 :yZYryEYz0 結婚式。 一生に一度(まあ何度かする人もいるみたいだけど)の、大きなイベント。 純白の衣装に身を包み、バージンロードを歩く。 そして神の前で愛することを近い、二人は幸せなキスをする。 でもそれで終わりじゃない。 これからたくさん続いていくんだ。 集まってくれた友人達に笑顔で報告をして、 ブーケトスで大騒ぎをして、 披露宴で笑い、泣き、二人の思い出と、出会う前の相手の人生に思いを馳せる。 これは、今現在流れている大学時代の馴れ初めフィルムを見ながら、 泣きそうな顔で思い出しているなんてこと無い日常の記憶である。 読む →
2012年12月01日 12:05 胡桃「そーゆーのいーから愛の告白!」洋榎「あ……好きです……」 関連SS 胡桃「そーゆーのいーから愛の告白!」洋榎「あ……好きです……」 胡桃「そーゆーのいーから幸せにする!」洋榎「ああ……絶対……!」 元スレ 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/27(火) 23:19:37.44 :BGWpoG1v0 社会に出て、昔を思い出すことが増えた。 いつもは主に、楽しかった高3の夏を思い出す。 岩手を出て散り散りになった友人達を思い返し、ふとメールをしたりするのだ。 でも最近は、言うほど年数が経っていない、大学時代のことを思い出す。 それはきっと、今日結ばれる貴女と、一緒に過ごした時代だから。 出会ったのは高校生の時だけど、やっぱり大学時代の仲間という印象が拭えない。 だからきっと、貴女との思い出を、一つ一つ思い出すため、あの頃を懐かしむのだろう。 迫り来る結婚式の開始時間。 それまでの時間つぶしのように、貴女との思い出に思いを馳せる―――― 読む →