2024年03月20日 23:30 はやり「良子ちゃんは風邪ひくとエッチになるんだよ~☆」 元スレ 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/12(土) 18:45:49.74 :2SMbngA20 和「さすが龍門渕さん、隙の無い打ち筋ですね」 透華「それだけではありませんでしてよ?」チラッ 咲「えぇっ!?その腕の重りは・・・。まさかそんなのつけて打ってたんですか?」 透華「どのくらいだと思いまして?」 和「・・・5kgくらいですか?」 透華「この重りは金!100万円ですの!」 咲「うわぁ~・・・」 読む →
2016年04月23日 01:00 照「酔いどれアラサー地獄変」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/04/22(金) 21:49:24.07 :U0HBlkDSO 瑞原はやり(30)「とりあえず生6つ、お願いしま~す☆」 小鍛治健夜(30)「宮永さんって早生まれだったんだね。もしかして二十歳になったばっかり?」 野依理沙(29)「成人! おめでたい!」 赤土晴絵(28)「もうチームの先輩とかと飲みに行ったりした?」 宮永照(20)「この前誕生日が来たばっかりなので、お酒自体初めてです」 戒能良子(22)「それなら自分の限界を知っておいた方がいいね。世界戦に起用されて、 しかも優勝したとなれば、今まで以上にスキャンダルを狙われるだろうからね」 読む →
2015年08月14日 04:05 【咲-Saki-】はやり「花嫁修業に挑戦だぞ☆」 関連SS 【咲-Saki-】みさき「野依プロが挑戦・・・ですか?」 恒子「プロ雀士の挑戦!」えり「拡大スペシャル!」 【咲-Saki-】咲「私、本気で挑戦します!」 【咲-Saki-】はやり「花嫁修業に挑戦だぞ☆」 【咲-Saki-】菫「大星にもそろそろ挑戦させるか・・・」 【咲-Saki-】透華「衣の挑戦ですわ!」 元スレ 全てのレス 2: ◆JMtHZYT6.E:2015/08/10(月) 17:39:41.68 :Y1ASU9Y00 恒子「へぇ~、瑞原プロってまだ良い人居ないんだー」 良子「はい…そろそろ牌のお姉さんからも身を引いて家庭を持っても良い頃だと思うのですが…」 恒子「まぁでも瑞原プロなら引く手数多でしょ?」 良子「それが…以前の料理を見ていただければ解る通り、家事等からっきしで…」 恒子「あぁ~…そゆ事…」 良子「少しでも身に付けてくれれば話は違ってくるのですが…」 恒子「ふむふむ…それじゃああれをやるしかないようだね!」 良子「私からもお願いします…」 読む →
2015年06月14日 17:30 京太郎「私は、瑞原はやりです☆」 後編 関連SS 京太郎「私は、瑞原はやりです☆」 前編 京太郎「私は、瑞原はやりです☆」 後編 元スレ 317: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/05(金) 00:54:21.67 :ORx/XDDXo ─瑞原はやり 出雲大社の後は、宍道湖周辺を散策して、そのまま松江市内に戻って来ていた そろそろ、新幹線の時間。帰る時間 だから、松江駅までやって来た でもその前に、行かなきゃいけないところがあった はやり「ごめん、京太郎くん。ここで、しばらく待っていてくれる?、たぶん、そんなに時間はかからないから」 京太郎「ええ。構いませんが」 はやり「ありがとう」 京太郎「どこか行くんですか?」 はやり「ちょっと、お花を摘みにね」 京太郎「……ええ、行ってらっしゃい」 はやり「うん」 京太郎くん、また一歩大人っぽくになったのかもね 318: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/05(金) 00:56:13.48 :ORx/XDDXo 駅を離れて、馴染みの道を歩いていく ところどころ、風景が変わっていた。変わっていないところも 一段ずつ上るしかできなかったこの階段も、今ならこの通り。ほらっ、二段抜かし! ここを通り過ぎていると、あの日の、昔の出来事が、自然と思い出されていく 小学二年生の頃、彼女と出会ったこと。彼女に元気づけられたこと、助けられたこと、憧れたこと 一人で横浜のライブを見に行った。お母さんがお金を出してくれて、初めての一人旅 ふふっ、後で聞いたけど、ほんとは一人じゃなかったんだけどね 彼女は病気だった あんなに凛々しくてカッコイイ大人の女性が、私みたいな子供の前で、それこそ泣いてしまうほどの 牌のおねえさんだって、人間なんだ。私が励まさなきゃ、ってそう思った たとえ遠くにいたとしても、私の声が彼女に聞こえるようにして 中学、高校もここで過ごした ああ、懐かしい。みんなとの、楽しい思い出 辛かったことももちろんあったけど、そんなのは水面の泡みたく、もうどこにも残っていなかった あの頃は、ほんとに楽しかった 部室で麻雀に明け暮れて、みんなで頑張って東京に行くんだって張り切って みんな、純粋で真っ直ぐだった。もちろん、私だって でも はやり「真深さん……」 319: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/05(金) 00:57:31.06 :ORx/XDDXo ここにくると、そんな思い出が蘇ってきてしまって、嬉しくもあり、悲しくもあった 私には、なぜ須佐之男が、須賀の地を離れ、母親のいる根之国に行ったのかよく分かる 彼にとってのその場所は、居心地が良すぎたんだ 心地よさってのは、ほんの少し量を誤れば、劇薬にもなり得る 私にはよく分かる ああ、着いちゃった 看板を見上げてみる。何も変わってない。そう、ここだけは、何も ドアを開けた 「いらっしゃいませ~」 はやり「……」 「どうかなさいました?」 はやり「いえ……なんでもないです」 感情を悟られないように、なるべく平坦に応答する 「ふーむ。だったら、この焼き菓子なんて、どうかしら?」 "菓子"と"かし" はやり「…変わらないなあ」 「?」 でも、商品を差し出したその手は、幾分小さくなったようにも見える いや、この手が大きいだけかな 320: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/05(金) 00:59:04.47 :ORx/XDDXo はやり「このポスター…」 私の、ライブのポスター。送ったの、貼ってくれてたんだ 「あらー、気付いちゃった、気付いちゃった!」 嬉しそう 「これね、私の娘なの!」 はやり「……そう」 「ありゃー…最近の男の子は知らないのかな。瑞原はやり、私の娘なの。可愛いでしょう?」 可愛いなんて、もうそんな歳じゃないよ。親バカ ポスターの方に手をかざし、身体全体を使って大げさに説明してくれた はやり「…そうかな」 「そうよ、なんたって私の娘なんだから!」 はやり「……」 「あなたは、あまりアイドルとか牌のおねえさんは好きじゃない?」 はやり「…分かりません。そんな気持ち、もう忘れたみたいで」 「ふむ…あなた、なんだかカサカサしてるわね」 はやり「カサカサ?」 「お菓子にはね、お砂糖と脂肪分がたぁーっぷり入ってるから、食べると心と身体が潤うの」 「お菓子は心の栄養なのよ」 はやり「…そうかもしれませんね」 お菓子か。昔はよく作ったりしてたな はやり「…このポスターのライブ、もう終わっちゃってますよ」 「あら!、あらあら、ほんとね。後で別のに貼り替えておかなくちゃ」 321: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/05(金) 01:00:25.76 :ORx/XDDXo はやり「あの…勝手に選んでるんで、しばらく一人にしてもらえませんか?」 「そう?、なら、決まったら呼んでね」 ちょっと、ぶっきらぼうだったかもしれない。ダメだな、私 何か、作業が残っていたのか、カウンターの奥に引っ込んでしまった 独りになった 甘い香りがする。私の、家のにおいだ 子供の頃、他の友達にそういうことをよく言われた。私から、甘い匂いがするって ケーキ、クッキー、焦がしたキャラメル。発酵バターの香りが懐かしい 今、オーブンで焼いているのは、フィナンシュかな? 私もよく作った。彼女も、美味しそうに食べてくれた 甘い香りに釣られるようにして懐古していると、ドスンという重量感のある塊を落としたような音が聞こえた カウンターの中を覗いてみる はやり「どうかしました?」 「あたたた……一気に2個持とうとしたのがいけなかったわね」 手首のあたりを押えるようにして、一方の手で庇うような仕草をしていた 小麦粉だろうか、粉末の入った袋の一つが床に落ちていた。袋の形が少し変形しているけど、散乱はしていなかった はやり「手伝いますよ。力ならあるんで」 「いやいや、お客さんにそんなことさせるには──」 はやり「いいんですよ。ほらっ、こんくらい軽い!、あの台に載せておけばいいんですね?」 「男の子は、力持ちねー」 はやり「他にも、何かありますか。ついでにやっちゃいますよ」 「あら、助かるわ。なら、このお砂糖の袋と──」 322: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/05(金) 01:01:34.20 :ORx/XDDXo なんか、思いがけずに手伝うことになってしまったけど、これでいいんだよね? 重い物を運び終わったら、お礼と言われて紅茶を出された 「悪いわね、手伝ってもらっちゃって。やっぱり、男の子がいると楽チンだわ。年取ると、ダメだわ」 はやり「いや、そんな…」 さすがに、「あなたも十分若いですよ」と、軽口は叩けない 「娘にも、昔はよくこうやってお手伝いしてもらってたの」 「とってもいい子なんだから。娘のことを知ったら、あなたもきっと好きになるわ」 はやり「ははは…」 だといいんだけど はやり「その…お茶はありがたいんですけど、他のお客さんに悪いんじゃないでしょうか?」 「いいの、いいの。この時間帯はお客さんあんまり来ないし」 「最近じゃ、この店舗より、通販の売上の方が多いくらいでね」 「特に、長野にはお得意様が何人もいてね。毎週のように買ってくれるのよ」 はやり「それなら、将来は通販一本でやっていくのもありかもしれませんね」 「そうはいかないわ。今でもちゃんと、来てくれるお客さんがいるしね。あなたみたいな」 323: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/05(金) 01:02:59.08 :ORx/XDDXo 二人でこうやって何でもない会話をしていると、本当に子供の頃に戻ってしまったような気分になってくる あの頃の、母親に守られていれば、たったそれだけのことで安心することができた、幸せな時間を でも、今はあの頃とは違う 私は、会話をしながらも、彼女の身体をつぶさに眺めていた 身体が、縮んでしまったようにさえ思えた さっきみたいに、重いものは持つのはもう大変になってきているみだった 筋力の衰え。腕が細くなった 前に、帰省した時よりも、白髪が増えた。染めてるんだろうけど、それでも分かった 目じりにも、皺が目立つようになってきていた 身体だけじゃない、心までもが縮んでいって、最後にはこのまま消えていなくなってしまうんじゃないか そんな妄想すら付き纏った そう、歳をとったんだ あんなに綺麗な人だったのに。私の自慢の… でも、そんなのは当たり前 だって、私はもう28歳。もう少しすれば、30歳になってしまうんだから 時間は止まってはくれない そんなことは、分かりきった当然のこと。子供でも分かる理屈 私はもう、人生の道のりの3分の1を、既に通り過ぎてしまっていた そして、この人はもっとさらに 324: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/05(金) 01:04:02.23 :ORx/XDDXo 果たして、あと何回、こうやってこの人に会うことができる? あと何時間、一緒にいられる?、あと何文字、言葉を──気持ちを交わすことができる? 「大丈夫?」 はやり「っ……」 ごめんね、お母さん…ごめんなさいっ… はやり「あっ…──」 「?」 はやり「あ────」 あのねっ、私ね、初めて好きな人ができたの 私の半分くらいの歳の子なんだけど、とても素敵な男の子 いつも周りのことを見てくれていて、私のことを理解してくれるって 彼になら、私ね── 今度は、こんなんじゃない、もっとちゃんとした形でお母さんに紹介するよ きっと、お母さんだって気に入るよ。ううん、絶対に そうだ、今度みんなで一緒にお菓子作りしようよ 彼、変なところで器用だから、すぐに上達するかもしれない まだまだ、行っていないところもたくさんある。彼と一緒に、ここの良いところ教えてあげようよ 一緒に過ごせば、彼のよさだって分かるはず 彼だって、ここの生活を気に入ると思うよ。だって島根は良いところなんだから なんなら、このお店を継いだっていい お母さん、私ね……私ねっ……── 325: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/05(金) 01:05:15.13 :ORx/XDDXo はやり「っ……」 「?」 ダメだよ。言えないよ、こんなこと…! 出てこない。言おうと思っても、突っかかってしまって……唇を噛みしめるしかないなかった だから、別の言葉を出すしかない。私は、瑞原はやりじゃないんだ… はやり「……あの、一人で寂しくないですか?」 「んー…、まあそうね。そう思うことも、あったりなかったり」 「最近は、娘もめっきり電話してこないしね。メールとかばかりで、何やっているのかしら」 はやり「…ごめん」 「なんであなたが謝るの?」 「でもね、それでいいの。便りがないのは元気にしている証拠」 はやり「でも」 「どこで何をしていたって構わない。ふふっ、もちろん迷惑なことはダメだけど」 はやり「……」 「なんなら、ずっと帰ってこなくてもいいとさえ思ってる」 はやり「そんなのは…」 「私は娘のことを信じているし、愛しているし、だぶん向こうだって同じはず」 「これって、素敵なことじゃないかしら?」 はやり「……」 326: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/05(金) 01:06:06.97 :ORx/XDDXo 「私の人生と、娘の人生は違うわ。だから、交わらないことだってあるはず」 「私は、それを嬉しく思う」 はやり「なんで…?」 「なぜ?、だって、そうでしょ?」 「どこにいようが、なにをしようが、立派なアイドルで、みんなの牌のおねえさんであったとしても」 「瑞原はやりは、瑞原はやりなんだもの」 「私にはね、それで十分なの」 はやり「……」 その時、焼き上がりを告げる、無機質な電子音が鳴り響いた 「あら、焼きあがったみたいね」 はやり「そうみたいですね」 「何にするか決まったかしら?」 はやり「…いえ、まだちょっと」 「うん、ゆっくり考えていってね」 _______ ____ __ 327: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/05(金) 01:07:06.58 :ORx/XDDXo ─須賀京太郎 はやりさんがどこかに行っている間、暇だったので売店でお土産を購入した とはいえ、戒能さんとマネージャーさんのだけなんだけど 時間にして、1時間くらいだろうか。はやりさんが帰って来た なんとも形容しがたいんだけど、喜び半分悲しさ半分みたいな表情をしつつ、お菓子を渡された はやりさんが、お菓子作りが得意なのは知っていたけど、まさか自分で作ったものではないだろうし でも、素直に「美味しい」と言ったら、喜んでくれたのでよしとしよう そして、そのまま新幹線に乗り込み、島根を後にすることにした 京太郎「なんだか、長かったような、あっという間だったような」 京太郎「色々とあった気はするんですが、時間的にはほんとにすぐに感じて」 はやり「楽しい時間はすぐに過ぎるものなんだね」 京太郎「身の危険を感じることもありましたしね…」 はやり「?」 京太郎「いーえ、なんでも」 彼女の本心を聞いてみたくもなったけど、今はやめておくことにした 328: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/05(金) 01:08:28.28 :ORx/XDDXo 代わりに、別の質問をしてみることにする 京太郎「一つ、気になっていたことがあるんですけど、いいですか?」 はやり「うん」 京太郎「また、神話の話に戻りますけど」 京太郎「結局、須佐之男は最後にはどこに落ち着いたと思いますか?」 はやり「根之国じゃないのかな?」 京太郎「そうでしょうか?」 はやり「なんで?」 京太郎「母親のいる根之国に行きたいと泣き喚いて、父親の伊耶那岐に勘当されて、姉の天照に迷惑かけて追放されて」 京太郎「一人で地上に降り立って、矢俣遠呂智を倒して、櫛名田比売(クシナダヒメ)と結婚して」 京太郎「須我神社という住まいを建てたと思ったら、大国主の時代には、根之国の大神になっている」 はやり「子供の頃の念願が叶って、母親のいる根之国に行くことができた。なら、それでいいんじゃないのかな」 はやり「確かに、現代的には、それはマザコンとかになるのかもしれないけど」 はやり「けど、須佐之男が、彼自身がそれを幸せと思ったのなら、それが最も良いことなんだと思うよ」 はやり「彼には、あの場所が、少しだけ住み心地が良すぎたんだよ」 はやり「矢俣遠呂智を倒した出雲のヒーロー……それは彼には、荷が重すぎたの」 329: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/05(金) 01:09:26.07 :ORx/XDDXo 京太郎「本当にそうでしょうか?」 はやり「なら、京太郎くんの考えは?」 京太郎「たぶん須佐之男は、最後は結局、須賀の地に戻ったんじゃないかと思うんですよ」 はやり「根拠は?」 京太郎「うーん、と。ここからは、俺の想像力たくましい部分なんですが」 京太郎「少し長くなりますけど、聞いてもらえますか?」 はやり「うん」 京太郎「まず、須佐之男が、なぜ須賀の地から根之国へ行くことになったのか考えてみます」 京太郎「疑問に思いません?、なんの説明もなしに、須佐之男が根之国にいた理由」 はやり「まあ、それは…」 京太郎「しかも、根之国で大国主に試練を課す場面、妻の櫛名田比売がまったく登場しないのも不思議なことです」 京太郎「なぜ、須佐之男は根之国行くことになったのか?、櫛名田比売は、あの時どこにいたのか…?」 はやり「さ、さあ」 京太郎「この疑問に対する、最も合理的かつ説得力のある答えは──…おそらく、二人は」 はやり「……」ゴクリ 京太郎「別居していたんです」 330: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/05(金) 01:10:36.89 :ORx/XDDXo はやり「」 京太郎「須佐之男と櫛名田比売は、そりゃあ神様ですから大層長生きなんでしょう。たぶん、不老です」 京太郎「人間の結婚なんてものは、結構な数で離婚に至るといいますし」 京太郎「それこそ、神様なんてのは、ずぅーっと結婚生活しているわけですからね」 京太郎「いざこざの一つや二つ、いやいや数百個はあったはず」 京太郎「新婚ほやほやの、のろけ状態なんてものは、そう長くは続きませんよ」 はやり「」 京太郎「もちろん、人間の理屈を、神様に押し付けてしまうことについては、本来慎重にならなければいけないんでしょうけど」 京太郎「けれど、はやりさんの話を聞いた限り、日本の神様たちも、ある部分では同じように思い悩んでいたりしているようですし」 京太郎「この推測にも、一定程度の信憑性があると考えます」 京太郎「だから、彼らの仲にも、別居に至るようなものが、その長い夫婦生活の中にあってもおかしくないと思うんです」 京太郎「そして、大国主の時代には、ついに別居するまでの夫婦関係になってしまっていた、というわけですね」 須佐之男『もう、お前とはやっとられん!、娘を連れて、ママのいる根之国に行ってやるもんねー!!』 櫛名田比売『勝手にしろ、このマザコン野郎っ!、お前の母ちゃん、でーべそー!!』 京太郎「まあ、こんな感じでしょうね」 はやり「」 331: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/05(金) 01:11:46.79 :ORx/XDDXo 京太郎「そうやって、娘と二人で根之国に赴く須佐之男」 京太郎「そこでは、娘と一緒と幸せに暮らしていたことでしょう。母親も、近くの黄泉国にいたでしょうしね」 京太郎「だけど、そんなのは長くは続かない。ある時、女たらしの超絶イケメン・大国主が現れます」 京太郎「しかも、出会ってすぐに、娘と結婚の約束をしてしまったではありませんか」 京太郎「これには流石にムカついて、いろんな試練を課したものの、娘には邪魔されるし、なかなかうまくいきませんし、踏んだり蹴ったりです」 京太郎「ついには、大切な宝物を盗まれて、可愛い娘まで連れていかれて……一人ぼっちになってしまった」 京太郎「さぞ、寂しかったでしょうね。孤独です」 はやり「……」 京太郎「鬼嫁から逃げるようにして、意気揚々と、娘と一緒に根之国に来たものの、結局一人になってしまった」 京太郎「新しい居場所だったはずの場所には、もはや価値なんて…」 はやり「幸せってのは、脆いの。だって、ついつい人は、自分以外の何かに、それを求めてしまうものだから」 京太郎「……かもしれません」 332: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/05(金) 01:12:56.09 :ORx/XDDXo 京太郎「でも、そんな時、頭に浮かんできたのは、他でもないあの土地だったはずなんです」 京太郎「だから、娘のいなくなった後、しぶしぶかもしれませんけど、妻のいる須賀の地に戻ったと思うんですよ」 京太郎「居場所なんてもんは、そうそうあるもんじゃないですし、偉い神様だってたぶんそうです」 京太郎「須佐之男は、須賀の地に戻ったんです」 京太郎「だって、そこが、一番心地よくて、須賀須賀しい場所だったんですから」 はやり「……」 京太郎「どうです、俺の須佐之男終焉の地仮説は?、なかなか、よくできてるでしょう?」 はやり「……」 京太郎「?」 はやり「ふふふっ……あははっ!、京太郎くんって、もしかしてエスパー?」 京太郎「えと……何の話でしょう?」 はやり「こんなバカげた説、初めて聞いたよ……あー、おかしっ!、これ自分で考えたの?」 京太郎「バカげたって……はやりさん、酷いなあ」 はやり「いや、違うの。ううん、確かにバカげてるけど、馬鹿にしてるわけじゃないの、ごめんね」 はやり「こんな風に、自由な、勝手な解釈する人って、初めてだったから……私の頭が固かっただけかもしれない」 京太郎「?」 はやり「あー……やっぱり、あなたとここに来て正解だったよ」 京太郎「まあ、そう言ってもらえるなら、いいんですけど…」 はやり「ありがとうね。本当にありがとう」 333: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/05(金) 01:13:52.61 :ORx/XDDXo _______ ____ __ 新幹線を乗り継いで、ようやく長野に戻って来た クタクタになりながら、鞄の中から鍵を取り出して、鍵穴に差し込んだ時だった 良子「ハロー」 またこの展開か。なんという神出鬼没 京太郎「…もう夜です」 良子「あら、そうだった」 京太郎「疲れてるんで……とにかく中に入りますね」 荷物はとりあえず廊下に置くことにして、そのまま部屋へと直行した 良子「何かない?」 京太郎「え…?」 良子「私は、甘いものが好きなんだ」 京太郎「……」 良子「おっみやげ、おっみやげ」 京太郎「……」 良子「おっみやげ、おっみやげ」 京太郎「…ちょっと待ってください」 なんてわがままな師匠なんだ 334: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/05(金) 01:15:05.93 :ORx/XDDXo 良子「うん、うん……ナイスセレクト。ベリーグッド」 京太郎「それはよかったです」 ここで食べるのかよ 良子「あっ、そうそう。用があってここに来たんだった」 口の周りに、食べカスが付いてますよ… 京太郎「用ですか?、今日じゃなきゃダメなんですか?」 正直疲れた。早く眠りにつきたい 良子「いや、別に」 京太郎「……で、要件はなんです?」 もういいや 良子「仕事用のメールは見た?」 京太郎「あー……そういや、この3日間確認してないですね」 良子「なら、見てごらん」 言われるがままに、仕事で使っているアドレスを覗いてみると 京太郎「『写真撮影』、『イベントの参加日程』…」 これは、いつものだな 京太郎「『主人がオオアリクイに殺されて1年が過ぎました』……、これは迷惑メールか」 良子「もう1個下」 京太郎「えーと、ハートビーツ大宮から……大会について」 良子「……」 京太郎「大会について……」 良子「……」 京太郎「えっ、大会?、俺が!?」 335: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/05(金) 01:16:23.00 :ORx/XDDXo 良子「イエス」 京太郎「まさか、参加しろって!?」 良子「イエス」 京太郎「いやいやいや、むりむりむりむりっすよ!?」 良子「ノープロブレム」 京太郎「こういうのは、はやりさんに許可取らないと!?」 京太郎「そりゃあ、俺だってたくさん練習してきましたし、着実に実力はついてきてると思ってますよ」 京太郎「けど、プロの方々と対等にやれるなんて、まったく思いません」 京太郎「もちろん、大会には出てみたいです。けど、それとこれとは話が──」 良子「この大会の規模は小さいよ。ランキングには影響ないし、トップランカー、トップチームはまず参加しない」 良子「野球で言うなら、オープン戦みたいな感じ」 良子「シーズンの成績には反映されないけど、アピールやテストの場になるような」 京太郎「そういう意味ではなくてですね!?」 良子「はやりさんは、そこまで固いことは言わないんじゃないかな。たぶんだけど」 京太郎「で、でも…」 良子「なぜ、私がこのことをあらかじめ知っていたかというと」 良子「実は、この大会の解説を頼まれていてね。私も見るんだ。しかも間近でね」 336: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/05(金) 01:17:43.93 :ORx/XDDXo 良子「良い腕試しになるよ。プロの世界を、一度肌で感じてみるといい。勉強にもなる」 京太郎「しかしですね…」 良子「個人戦は、話にならないと思うから。団体戦だね」 良子「適当に理由をつけて、個人戦には参加しないように」 京太郎「んな、勝手な…」 良子「ハートビーツは強いよ。はやりさんは大将だから、京太郎が打つときには、かなりの余裕ができているはず」 良子「大量リードの時は、野球でもサッカーでも、新人に経験を積ませる絶好の場になる」 良子「こんなチャンスは滅多にない。だから、やるべき」 京太郎「……」 戒能さんの表情は、その飄々とした口調とは裏腹に、真面目そのものだった いつかの日と同じようにして、何かを確信しているようだった そして、宣告した 良子「既に、舞台は整った──京太郎」 京太郎「はい」 良子「いよいよ、最後の使者がやってくる」 良子「クライマックスだ」 何かが終わるのか、あるいは始まるのか……彼女にはそれが見えているようだった だけど、少なくとも、俺にとっての──俺たちにとっての正念場は、すぐそこに来ているらしかった クライマックス……か 337: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/05(金) 01:18:57.52 :ORx/XDDXo ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 健夜「は…はっ……ぶえぇぇぇくしゅっっ!!」 健夜「ハッ!、これはイケメンハリウッド俳優が私の噂をしているに違いない!!」 恒子「……だといいね」ニコリ 健夜「冗談だよ!?、そんなぎこちない笑顔されると、こっちも傷つくよ!」 恒子「すこやんが言うと、冗談に聞こえなくて」 健夜「うぅ……いいもんいいもん。どーせ私なんて……」 恒子「あちゃー…。すいませーん、店員さーん!、この鬼(アラサー)殺しってのください」 「はーい。かしこまりました」 健夜「最近さー、はやりちゃん、付き合い悪いんだよねー」 恒子「そうなの?」 健夜「前までは、二人で夜遅くまで、妄想デートについて熱く語ったものなんだけど」 恒子「……いいご趣味ですね」 健夜「……きっと、男が出来たんだよ」 健夜「……きっと今頃、ハラジュクとかシブヤとかオダイバとかウグイスダニとかで、イチャイチャデートしてるんだよ」 恒子「鶯谷はないんじゃないかなあ……アハハ」 338: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/05(金) 01:19:50.99 :ORx/XDDXo 健夜「もういい!、今日はとことん飲んじゃうよー!」 恒子「気になるなら、聞いてみればいいのに」 健夜「もし……もしもだよ?、「いるよ」、なんて返事が来た日には、私は……」 恒子「どす黒い目をしてらっしゃる」 恒子「大丈夫だよ、すこやん。瑞原さん、最近戒能さんと一緒にいることが多いって噂に聞いたから」 健夜「ほんと…?」 恒子「ほんとにほんと。確かな情報筋だよ」 恒子「そりゃあもう、師弟関係のようだった、ってさ。誰かとデートしてる暇なんてないよ」 健夜「なら安心だね」ニコリ 恒子「…この足の引っ張り合いよ」 健夜「今度、大会で一緒になるから、ちょっと心配だったんだ」 恒子「おー、こわ」 健夜「久し振りに、ちゃんとした大会ではやりちゃんと打てるかもしれないんだ。楽しみ!」 恒子「すこやんと対等にやれる人って、結構限られてるもんね」 339: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/05(金) 01:21:17.05 :ORx/XDDXo 恒子「どこでやるの?」 健夜「来月の終わり、東京でね」 恒子「ふーん、大将だっけ?」 健夜「そうそう」 恒子「じゃあ、すこやん打たないで敗退ってのもあるんだね」 健夜「……まあ、お世辞にもうちは強くはないからね」 健夜「でも、いいんだ。私が先鋒で出ちゃうと、あとが楽になり過ぎちゃうから」 健夜「ちゃんと緊張感を持ったまま打って、みんなには成長していってほしい」 恒子「くわぁーっこいいー」 健夜「そ、そんなんじゃないよ//」 恒子「まっ、ハートビーツと当たるまで、頑張って欲しいもんだね」 健夜「そうだね。そうなったらいいな」 健夜「あー、楽しみ」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 349: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/05(金) 23:56:19.90 :ORx/XDDXo ──1月上旬 長野 ─瑞原はやり 今日は、京太郎くんと初詣に行ってきた 京太郎くんと初詣……あー、なんかいいかもこの響き しかも、二人っきり!、手も繋いだ!、ちょっといい雰囲気になったりもした! はやり「……///」 こ、これは、間違いなく、確実に、一歩一歩、二人の関係が進展していることの現れ! も、もしかしたら、この流れのまま……こっ、告っ…!──なんてことにっ!? はやり「……」 いやいやまてまて落ち着け、瑞原はやり。ここは慎重に、クールにいこうじゃない だ、第一、その…こ、告白だなんてっ、学生じゃあるまいしっ! で、でも、今日の京太郎くん、なんだかいつも以上に真剣な表情をしたりもしているし その可能性も無きにしも非ず、って感じじゃないのかな…!? ねえ、ねえ!、どうなの、どうなの京太郎くん!? 京太郎「あの、はやりさん。お話があるんですが」 はやり「えっ」 こ、こ……これはまさか、ほんとに私の妄想が現実へと昇華され 京太郎「あの、お仕事についての話なんですけど…」 はやり「……」 はやり「……」 はやり「あ、そう」 京太郎「?」 まっ、現実なんてそんなもんだよね… 350: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/05(金) 23:57:59.57 :ORx/XDDXo でも、こんなにあらたまって仕事の相談するなんて、なんの仕事だろう? 大きな仕事は来ないようにしているはず。かといって、京太郎くんだってだいぶこの仕事にも慣れてきたはず なんだろう? 京太郎「実は、その……麻雀の大会に参加するように、チームの方から連絡がありまして」 はやり「麻雀?」 ああ、そうか。なるほどね はやり「うん、分かったよ。それについては、私の方から断って──」 京太郎「違うんです!」 はやり「?」 京太郎「あ、ごめんなさい。けど、それとは逆なんです。俺、その大会に参加してみたいと思ってるんです」 はやり「え」 京太郎くんが、大会に?、プロが参加するような? お世辞にも、京太郎くんの実力は… 京太郎「……」 はやり「冗談……ではないみたいだね」 京太郎「ええ。1月の終わりにある、東京での大会なんなんですけど」 はやり「!?……へ、へえ」 京太郎「?」 1月の終わりの東京というと……あの大会か。私も、調整ために何度か出場したことがある ランキングには影響なく、世間での注目度も低い大会 経験上、私が心配するような、"そこまで"の相手は出てこないはず 京太郎くんが、麻雀を嫌いなったりさえしなければ、私はそれだけでいい だって 351: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/05(金) 23:59:01.34 :ORx/XDDXo はやり「なんで、急に?」 京太郎「俺、戒──自分なりに麻雀の勉強を続けてきました」 京太郎「俺だって、いつまでも弱いままじゃ嫌だって思ってきました」 京太郎「はやりさん、あなたのように強く、あなたのように成りたいって」 はやり「……」 京太郎「これ、チャンスだと思うんです」 京太郎「個人戦には参加しません。団体戦なら余裕もあるはずです」 京太郎「あなたの顔に、泥を塗ることになるかもしれません」 京太郎「けど、俺はそれでも──」 はやり「ん、いいよ」 京太郎「え?」 はやり「いいよ。参加して」 京太郎「いいんですか…?、そんなあっさりと」 はやり「うん」 京太郎「なぜです?」 はやり「京太郎くんが、ちょっと大人っぽくなってきたからそのご褒美」 京太郎「?」 352: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/06(土) 00:00:29.60 :f9qhEBN0o 京太郎くんは、もしかして自分の才能に気付いているのかもしれない でなきゃ、プロの大会に参加しようとなんて思わないはず 最初、京太郎くんの麻雀の実力がどんなものか見たとき、私は気付いた この子には、和ちゃんにも引けを取らないくらいの才能"は"あるって まあ、開花するかどうかも曖昧なものなんだけど けど、才能なんてものは、プロになるような人なら誰でも持っている 問題は、如何にしてその資質を現実に反映させられるかどうか 団体戦なら、京太郎くんの言う通り、確かに余裕がある うちのチームは強い。この程度の規模の大会で、遅れをとるなんてことはまずあり得ない おそらく京太郎くんは、そこで自分に何ができるのか知りたいんだ 強くなりたいんだ。ふふっ、男の子だ それなりに現実も見えてるし、自分なりに先に進もうとしている なんだか、ちょっとだけ置いていかれた気分 でも、そんな京太郎くんを応援したいって気持ちにも確かになって……だから、承諾することにした ま、まあ…惚れた者の弱みと言いますか。でもほんとは、もう一つ理由があって…… プロの厳しさを知っていながら……私も、甘いのかもね 353: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/06(土) 00:01:28.47 :f9qhEBN0o はやり「でも、プロの世界は厳しいよ」 京太郎「嫌というほど、分かってます…」 なんか、すごいゲッソリしてるけど……なんで? はやり「?、ま、まあ、なら私が直々に教えて──」 京太郎「あ、いえ、それは……その、間に合ってます」 はやり「私に教わるのが嫌なの!?」 京太郎「いえいえっ…!、そういうわけでは──」 なぜか、その理由は教えてもらえなかったけど、そのままはぐらかされてしまった 彼にも、なにか秘密があるみたいだ けど、悪いことを企んでいるようには見えなかったので、見逃すことにした なぜなら、私にも、秘密があったから 1月終わりの東京に、実は私も行くことになっている 同じ時、同じ会場、同じ大会。プロの他に学生の部があることを知らないみたい 清澄高校は、そこに参加することになっている はやり「ふふっ」 京太郎「?」 運命なんてのは信じてないけど、私はそこに運命を感じた 何かが起こりそうな予感を 354: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/06(土) 00:02:47.37 :f9qhEBN0o ──1月下旬 東京 大会1日目 ─瑞原はやり 久「ほら、さっさと行くわよ須賀くん」 はやり「はいはい、ちょっと待ってくださいね、まったく…」 咲「今更ですけど、なんで竹井先輩来てるんですか?」 久「咲……受験が終わるとね、学生は暇になるのよ。そして、暇は人をダメにするの」 久「私は理解した。このままじゃ、いけないって。だからこうして、あなたたちのサポートに──」 和「荷物、思いっきり持たせてるじゃありませんか」 まこ「遊びに来たかっただけじゃろう、どーせ」 咲「今回は、京ちゃんも参加するんだから、自分のものは自分で持ってくださいよ」 優希「ほら、さっさとタコスを用意するんだじぇ」 久「……」 久「……」 久「そうよ!、確かに、私は遊びに来ただけ!、それが悪くって!?」 久「進路の決まった学生なんて、分かってる!、でも、暇なの!、暇過ぎるの!」 久「でも、ちょっと立ち止まって聞いてほしい、そんな女の戯言を!」 久「あれは、鬱屈とした夜、満月だけが私を照らしてくれていた。街灯揺らめく繁華街を彷徨う人々の中、私はふと──」 まこ「ホテルはこっちじゃったか」 和「そうみたいですね。あっ、プロデューサーさん。荷物持ちますよ」 久「……わーい」 355: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/06(土) 00:04:17.48 :f9qhEBN0o 久々に東京に来た。もちろん、大会に参加するため 学生の部は、さらにさまざまな部門に分かれているけど、私は男女不問の団体戦に出場する予定だ 久ちゃんが引退した穴を埋めるようにして、私を団体戦に参加させるために、まこちゃんが取り計らってくれた しかも、大将戦 ……まあ、これは私の実力──というか京太郎くんの実力を考慮してのことだけど 要は、私に回ってくる前に、試合を終わらせておくか、あるいは余裕を持たせて打ってもらいたいという気遣い みんな、そこそこ強いから、たぶんそんな展開にはなってるんだろうけど ははっ、なんだか京太郎くんとまったく同じ立場になっちゃてる、私 こんなにもまったく異なる人間が、偶然にも同じような状況で麻雀をすることになるだなんて もしかしたら、京太郎くんが前に言っていたみたいに、本当に麻雀の大会運営の神さまなんてものがいて 私達のことを繋ぐようにしてくれているのかもしれない はやり「……」 はやり「……」 はやり「//////」 あぁ……こんなこと、今どき女子中学生でも考えないよ!、バカバカっ!! 咲「なに、ニヤニヤしてるの?、気持ち悪いよ?」 はやり「ぅ、うっせ、言ってろ」 えっ、私、そんな顔してた!?、お、落ち着け、私! 咲「?」 ああ……そろそろ、京太郎くんもこっちに到着した頃かな 私がいるって気付いたら、きっとびっくりするだろうな 驚いてくれるだけじゃない、喜んでもらえたらもっと嬉しい そしたら、麻雀だってなんだって頑張るよ でも、頑張り過ぎたら京太郎くんが困ったことになっちゃうかな? ああ、早く会いたいな 357: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/06(土) 00:08:44.30 :f9qhEBN0o ─須賀京太郎 良子「来たね、パダワン」 京太郎「それ、めっちゃ恥ずかしいんで、外でやらないでもらえませんか?」 良子「…サノバビッチ」 京太郎「戒能さんのイメージがどんどん崩れていく…」 良子「さて、ここで一つクエスチョン。これからの予定は?」 京太郎「ホテルに荷物を置いてから、そのまま会場へ行き、チームの方々と合流」 良子「その後は?」 京太郎「団体戦では、うちのチームは第1シードなんで、2回戦からです」 京太郎「うまく勝ち進めば、今日は2回戦と3回戦の2試合を戦うことになります」 京太郎「2日目の明日は、準々決勝と準決勝」 京太郎「そして、最後の3日目に、決勝となっています」 京太郎「団体戦に出場するだけなんで、俺の予定はこれだけになります」 良子「よろしい。日程の把握はちゃんとできているようだね」 京太郎「こういう細かいとこからちゃんとしておかないと」 良子「うん、いい心構え」 358: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/06(土) 00:10:56.59 :f9qhEBN0o 良子「時間が押している。付きっきりとうわけにもいかないし、そろそろ行かないと」 良子「試合前に、何か聞いておきたいことは?」 京太郎「……勝つために必要なことは何ですか?」 良子「そんなものがあるのなら、私にも教えてほしいくらいだね」 京太郎「ははっ」 良子「練習したことを思い出して、しっかりね。まあ、これが一番難しいことなんだけど」 京太郎「はい!」 良子「グッバイ」 京太郎「はい、試合会場で。また」 京太郎「……行くか」 ここは、東京。他でもない、俺は試合を、麻雀をやりに来た 以前、そう、はやりさんと入れ替わったあの時、俺は清澄高校のただの付き添いの雑用だった みんなの手前、内心平気な素振りはしていたけど、そりゃあ当時、その立場を快くは思っていなかった だってそうだろ?、ただの付き添いだぞ、付き添い それに比べて、優希とか和とか、特に咲なんか超が付くほどの大活躍。そりゃ嫉妬したさ でも、今は違う 偶然によって与えられた立場とはいえ、俺は再び戦うためにここに来ることができた このチャンス、絶対に逃さない! プロ相手に勝てるとなんて、これっぽちも思っちゃいないが、ただで負けるつもりもない いくら彼女に了承されたとはいえ、牌のおねえさんに無様な戦いは決して許されない 私は、瑞原はやりなんだ! 読む →
2015年06月14日 17:05 京太郎「私は、瑞原はやりです☆」 前編 関連SS 京太郎「私は、瑞原はやりです☆」 前編 京太郎「私は、瑞原はやりです☆」 後編 元スレ 4: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/01(月) 23:36:31.13 :SbWyCqOB0 憧れの人が、アイドルであると知ったとき、私は後でその言葉の意味を調べたことがある 家に置いてあった分厚い英和辞典を取り出して、慣れない手つきでページをめくったものだった そこには、こう記してあった 【idol】 1 a.偶像、聖像 b.偶像神、邪神 2 偶像視[崇拝]される人[もの] 、崇拝物、アイドル 語源 ギリシャ語の「形、幻影」の意 余計に分からなくなった。だから、今度は国語辞典を引っ張り出した 【アイドル】 1 偶像 2 崇拝される人や物 3 あこがれの的 「あこがれの的」、これだっ!、みんなを笑顔にできる、素敵なお仕事だ!! その時の私は、それはもう素直にそう思ったものだった 『人をよろこばせようとするってことは、はやりちゃんにもアイドルの素質があるのかも』 そう、みんなを喜ばせることのできる、みんなを元気にさせてあげることのできる、そんな仕事。それがアイドル 『アイドル』の意味を知ったとき、私はただただ強く単純に「アイドルっていいな」。そう思った だけど、それと同時に、私にはある考えが頭をよぎったのを覚えている アイドルっていうのは、喜ばす人がいて、相手がいて初めて成立するお仕事だ じゃあ、誰からも必要とされなくなったアイドルは、一体どうすればいいんだろうか?、と なんでこのことを、あの人にちゃんと聞かなかったんだろう チャンスなら何度もあったはずなのに あの人なら……私が憧れた彼女なら、この答えを知っていたはずなのに、もう聞くことはできないのに 私は大人になった。こんな子供みたいな質問は、もう誰にもできない だから、その答えを、私はまだ知らないままでいる 6: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/01(月) 23:38:25.30 :SbWyCqOB0 ──8月中旬 インターハイ会場 久「それじゃ、須賀くん。頼んだわよ~」 京太郎「へいへい、了解ですよ」 和「私も行きますよ」 京太郎「いいよ、このくらい大丈夫だ」 和「そうですか…?」 優希「そうそう、のどちゃん。人には人の仕事がある、ってどこかの偉い人も言ってたじぇ」 京太郎「なに言ってんだか」 咲「あっ、そうだ京ちゃん。ついでに、ジンギスカンキャラメル買ってきてくれない?、お姉ちゃんが、マジでゲロウマだって」 京太郎「売ってないだろう…」 久「外のアンテナショップに売ってたわよ」 京太郎「マジすか!?」 咲「?」 まこ「悪いがよろしく頼んだぞ。あと、余ったお金で好きなもの買ってきてええからな」 京太郎「うぅ…やっぱり和と染谷先輩だけは天使ですよ。んじゃ、ちゃっちゃと行ってきます!」 7: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/01(月) 23:40:47.84 :SbWyCqOB0 インターハイがついに終わった。時間的にはそれから少し経ってからのこと 部長から買い出しを仰せつかったいつもの場面だ みんな疲れているようだし、それ自体には不満はない。喜んでその任を引き受けようじゃないか だが、まるで女性のパシリにさせられているかのようなその格好は、男として少し情けないような気もする 俺にも麻雀の実力があって、この全国大会に出場出来ていれば、この状況も多少変わったものになっていたんだろうか? いや、こんなものこそ情けない男の妄想だ。だけど、在りもしない妄想は継続させてみる 例えば、俺がこのインターハイで大活躍して、麻雀プロになるというのはどうだろう あらゆる人からの惜しみない拍手と称賛を独り占めにする俺 きっとそれは、例えようもないほど幸せで満ち足りた感覚に違いない もちろん、奥さんはおもちの豊かな美しい女性がベストだ 家事もできて、料理がうまくて、俺と一緒にLOVEを育むことのできる素敵な人物だと尚良い そんな人と一緒に人生を過ごすことができたなら、幸せ以外はあり得ないはずだ 子供は3人、一軒家で庭は綺麗な緑の芝かつスプリンクラー付き。休日には家族みんなでピクニック キャッチボールだってしようじゃないか 京太郎「……」 ああ…虚しくなってきた スプリンクラーは残念ながらないけど、うちにだって綺麗な緑の芝生はあるじゃないか 俺は、それで我慢しよう。カピだっているし 俺みたいな人間が、何かに成ることができるだなんてありえない 京太郎「さっさと、買い出し済ませるか…」 まあでも、アラサーのよくするような、白馬の王子様の妄想よりかは幾分マシではないだろうか? 10: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/01(月) 23:42:39.97 :SbWyCqOB0 さあ、くだらない妄想終わり!、さっさと買い物済ませて、みんなのところに戻ろう 大会が終わったからだろうか、人はまばらだった 今なら、人ごみがすごくて昨日まで使えなかった最短ルートを通って、外のコンビニへ向かうことだってできる ついでに、少し駆け足になったって、誰も注意しないだろ。ラッキーなことに、警備員さんの姿も見当たらない 『急がば回れ』、『廊下は走らない』。こんなことは、この際無視してしまおう。『臨機応変』だって重要だ さあ、あの角を曲がって── ???「きゃあ!!」 京太郎「いてっ…!」 ドンッという音と共に、目の前が一瞬真っ暗になった 視界が一転して、世界が回った、いや俺が回ったのか、あるいはその両方か ラノベの主人公みたいな語りはともかく……誰かにぶつかってしまったみたいだった 京太郎「あたた…すみません、大丈夫ですか?」 ???「あはは……大丈夫、大丈夫」 11: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/01(月) 23:44:51.77 :SbWyCqOB0 京太郎「ごめんなさい、前見てなかったもんで……ケガとかないですか?」 ???「う、うん…とりあえず大丈夫みたい」 京太郎「そうですか…よかった」 手を貸して、身体を起こすのを手伝う なんだか妙に重く感じるな……この人が重いのか?、いや俺が非力なだけだな。最近運動してないし 起こすついでに、俺は相手の姿をよく見てみた 下はローファーでスラックスを履いている。上は半袖のシャツで、髪は金髪、身長は182cmといったところ 健康だけが売りの男子高校生、といった風で、他には特徴らしい特徴はない 顔は可もなく不可もなく。締まりのないマヌケ面。おそらくは、彼女もいない寂しい高校生活をダラダラと過ごしているはずだ たぶん、中学生時代はハンドボールをやっていて、今現在は清澄高校麻雀部で雑用に勤しむ情けない日々を送っているのだろう 麻雀は初心者そのもので、県予選でも大した成績は残せなったはずだ そして、家では世界一可愛いカピバラを飼って、い、て…────あれ? こんな冴えない感じの男を、俺は知っているような… 京太郎「あーと……」 ???「えーと……」 京太郎「一ついいですか?」 ???「ごめん、私からもいいかな?」 京太郎「俺だっ!?」 ???「私だっ!?」 目の前には俺がいた 12: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/01(月) 23:46:21.26 :SbWyCqOB0 俺は俺なんだけど、目の前いる人物もどうやら俺のようだった。日本語がおかしい 俺があんたであんたが俺で?、えーと……こういう場合のもっとも単純な答えは、と 京太郎「とうっ!!」ビシッ ???「なにその変なポーズ…?」 京太郎「…いや、鏡に映った映像を見ているのかと思いまして、その確認を」 ???「私達、会話してるよね」 京太郎「うーん…じゃあ幽体離脱で」 ???「君、自分の体も見えてるよね?」 京太郎「そうなんすよねぇ…」 ???「あはは…」 京太郎「ふーむ、俺が2人いるということは……分かりましたよ!、確か、ドラえもんの秘密道具にこんなのがあったような」 ???「フエルミラー!」 京太郎「いえすっ!!」 ???「……」 京太郎「そんなわけないっすよねー」 13: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/01(月) 23:48:05.18 :SbWyCqOB0 うむ、取り敢えず落ち着いて考えてみよう。まずは、さっきぶつかった相手を見る うん、間違いなく俺だ。他人から見た俺ってこんな感じなのか… なんだろう、録音した自分の音声を聞いたときに感じる、あのものすごい違和感に通じるものがある だけど、相手の口調から、今の俺?はおそらく女性のようだった。なんて気持ち悪い光景なんだ ???「ん?」 その首をかしげる姿、相手には悪いけど気味悪いからやめてもらいたい いや、まて。まだ自分のことをキチンと確認していないじゃないか えーと……あれ、スカート?、そういえば、目線もかなり低いな。150cmくらいか、ヘッドフォン…? 胸のあたりの重量が異常だ。おかしい あれっ…………股間のあたりに、妙な、感覚が、する、というか──しないっ!? 京太郎「ないっ!?」 ???「なにが?」 京太郎「俺の股間の、大事な大事なデザートイーグルですよ!!」 ???「でりんじゃー?」 京太郎「『で』しか合ってないっ!っていうか、分かって言ったでしょう!?」 ???「あはは」 近くにあった、窓ガラスを見る。微かにだが光が反射してくれて、自分の姿が目に入った 京太郎「な、な、なっ……!」 こ、この年甲斐のない、きっつい衣装……低身長ながらの圧倒的存在感のおもち その他もろもろの絶妙な28歳加減……間違いない、これは!! 京太郎「瑞原、プロ……なのか?」 はやり「あはは……どうやら、そうみたいだね」 身体が、入れ替わっている…?、なんて馬鹿な… 14: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/01(月) 23:49:51.21 :SbWyCqOB0 京太郎「じゃ、じゃあ……あなたが──俺の体に入っているのが、瑞原プロなんですか…?」 はやり「そうみたいだね、実感はないけど」 まさか、こんな事が……入れ替わったのもびっくりだけど、その相手が、まさかあの瑞原プロなんて 運がいいのか悪いのか……いやどう考えても悪いだろ! 京太郎「こんな、3世代くらい前の少女漫画に出てきそうな設定……読者がついてきませんよ!」 はやり「えっ、はやりが子供のころは結構あったんだけど?」 京太郎「そんな設定、化石っすよ化石」 はやり「か、化石……がーん」 京太郎「あと、その「はやり」呼び、止めてもらえませんか?、正直、ちょっと…」 京太郎「せめて、「私」でお願いできますか?」 はやり「そ、そうだよね。今、男の子なんだもんね」 まあ、28にもなって「はやり」ってのが、そもそもキツいっすけどね 京太郎「でも、案外落ち着いていられるもんですね。なんだか不思議な気分です」 はやり「現実感がなさ過ぎて、どう反応していいか分からないよ…」 京太郎「ですね」 はやり「いや、でも……案外こういうのも」ボソ 京太郎「はい?」 はやり「んー、なんでもない」 京太郎「はぁ…」 15: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/01(月) 23:51:01.35 :SbWyCqOB0 はやり「うーん、状況が分かったのはいいんだけど…どうしよっか?」 京太郎「ど、どうしましょう…かね?」 ちーん、沈黙 はやり「もう一回、ぶつかってみる?」 京太郎「俺はともかく、瑞原プロの身体でそういうことをするってのは、ちょっと気が引けます」 はやり「そう?」 京太郎「できるかどうかも分かりませんし」 はやり「うーん…」 京太郎「あっ!」 はやり「どうしたの?」 京太郎「俺、買い物頼まれてるんだった…」 はやり「そうなの?、じゃあ、とりあえず私が行ってくるよ」 京太郎「いや俺が!……といきたいところですけど、無理っすね」 17: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/01(月) 23:52:44.79 :SbWyCqOB0 仕方なく外のコンビニとアンテナショップで買い物を済ませて、みんながいるところに向かった その途中簡単な打ち合わせをする 京太郎「いいですか。とにかくその女性口調はNGですからね」 はやり「分かってる。任せて」 京太郎「あと、用が済んだら、適当に言い訳してここに戻ってきてくださいね?」 はやり「りょーかい」 京太郎「ともかく、「はい」と「分かりました」と「イエス」と「御意」だけで済ますんです」 はやり「君、かわいそうな青春送ってるんだね……御意ってなにさ」 京太郎「ほっといてください」 はやり「あ、そういえば大事なこと聞き忘れてたよ。君、名前なんて言うの?」 京太郎「ああ、俺ですか」 京太郎「俺は、須賀京太郎です」 京太郎「清澄高校麻雀部所属の高校一年生です」 はやり「須賀京太郎くん、ね。大丈夫、お姉さんに任せて。現役アイドルの演技力をとくとご覧あれ、ってね☆」 そう言って、部長たちにいるところに向かう瑞原プロ うーん、やっぱり気持ち悪い 18: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/01(月) 23:54:31.47 :SbWyCqOB0 久「あら須賀くん、あなたにしては少し遅かったわね」 はやり「いやぁー、途中美しい女性に出くわしてしまいましてね」 まこ「なに言っとるんじゃ…」 はやり「はい、じゃあ頼まれたものです」 久「いつもありがとね」 はやり「いいんすよ、これが俺の仕事ですから」 ちょっと従順過ぎる気もするが、結構うまいな。さすがベテランの感もある現役アイドル 久「じゃあ、買うもの買ったし、そろそろ戻りましょう。さすがに疲れちゃったわ」 和「そうですね」 咲「そういえば、明日の帰りの出発何時でしたっけ?」 まこ「たしか、長野行の新幹線は──」 はやり「はやっ!?」 咲「はや…?」 はやり「あぁー、清澄って長野だったもんね……」ボソボソ まこ「どうした、そんなに驚いて」 優希「ホームシックか、かわいい奴め。うりうり」 はやり「い、いや、なんでもないぞ……気のせい気のせい…はぁー」 久「そ、そう…?」 はやり「すみません、部長。ちょっと用事思いだしましたので、先に行ってていいっすよ」 久「あら、そう?」 はやり「んじゃ、失礼します」 19: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/01(月) 23:55:40.15 :SbWyCqOB0 再びこっちに戻ってくる瑞原プロ なんだかプンプンしている。うん、気持ち悪い はやり「長野なんて聞いてないよ!」 京太郎「す、すみません。言い忘れてました」 はやり「まあ、それはもういいや……ほんと、どうしよっか…入れ替わり生活でもする?」 京太郎「さっきの見た限り、瑞原プロの演技は問題ないようでしたから、学生生活はできるかもしれませんけど…」 はやり「けど?」 京太郎「俺、麻雀ヘッタクソなんで、瑞原プロの代わりは絶対無理っす」 はやり「…そっかー」 京太郎「誰かに相談します?」 はやり「私たち入れ替わりました、って?、お医者さん行き、確定だね」 京太郎「ですよね……瑞原プロって所属は大宮でしたっけ?、ということは、住まいは埼玉に?」 はやり「うん」 京太郎「うーん…」 20: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/01(月) 23:56:38.26 :SbWyCqOB0 こういう場合って、どうするのが最善なんだろう? すぐに元に戻れればそれがベストだけど、現実的にはこの状況が長引いたときの場合も考えなくちゃいけない 入れ替わり生活はさっき言った通り無理だ。ほんとうにちょっとした仕事くらいならまだ何とか可能かもしれない けど、代わりに大会に出場するってのは、どう考えたって不可能だ ということは、瑞原プロの大会参加は当分無理かもしれない 俺の方はどうだろう。流石に学校には行かなきゃいけないだろう。夏休みもすぐに終わるし 休学するってのも一つの手か……でもなぁ、親になんて説明すりゃあいいんだよ それに二人がそれぞれ別の地域に暮らすってのも、情報交換とかの面から不安があるし……あー、分からねぇ はやり「……」 京太郎「はぁ……」 はやり「よしっ、分かったよ。ここは、牌のお姉さんに任せなさい!」 京太郎「?」 はやり「はやりと長野で暮らそっか☆」 京太郎「えーと」 京太郎「……はやっ!?」 21: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/01(月) 23:58:39.07 :SbWyCqOB0 ──8月中旬 長野 京太郎「ほんとに、こんなの大丈夫なんですかね…」 はやり「だじょーぶ、大丈夫!、牌のおねえさんを信じなさい!」 京太郎「うーん」 咲たちと同じ新幹線に乗り、再び長野まで戻ってきた俺たち 瑞原プロが清澄のみんなと別れてから再び合流し、今自宅に向かっているところだ ちなみに俺は目立つのを避けて、深めの帽子をかぶり、服装もかなり地味目なものを着用している まあ、一応有名人だしね 京太郎「でも、やっぱり不安ですよ。ボロ出した時のこと考えると…」 はやり「顔も身体も一緒なんだから、多少変な様子だとしても、それを気にする人はわずかだよ」 京太郎「そうかもしれませんけど…」 はやり「失敗した時のことばかり考えるのは二流のすることなのだよ、須賀京太郎くん」 京太郎「なんか楽しんでません?」 はやり「べっつにー」 瑞原プロの考えはこうだ まず、俺(というより瑞原プロ)は学校にいかなくてはならない。なので、瑞原プロは長野に住む必要がある 次に俺の方だが、もちろん彼女の代わりに大会に参加することはできないので、埼玉で暮らしていてもあまり意味がない さらに、二人別々の場所に暮らすというのも、何かあった時に不便だ ならば、二人とも同じ長野で暮らせばいいじゃん!、とのことらしい……本当にそれでいいの? ちなみに、瑞原プロはしばらく大会の参加を控える旨を、すでにチームの方に伝えている あの後すぐに、どこかに連絡を入れて、その段取りを済ませたようだ。というより、俺も少し手伝った 偶然とはいえ、彼女の麻雀プロとしてのキャリアの一部を無駄にさせてしまうことに心が痛んだ 22: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:00:35.49 :MVeHCSPq0 京太郎「でも、わざわざ俺の代わりに学校に行かなくたっていいと思うんですけど…?」 はやり「休学とか?、最悪留年になって、あの咲ちゃんだっけ?、彼女たちの後輩になりたいっていうのなら構わないけどね」 京太郎「……」 ちょっと想像してみる ------------------------------------------------- 咲『ほら、さっさと卓についてよ、1年生京太郎クン。ダメダメな君を、私自ら教育してあげるからさあ』ニヤニヤ 優希『なんだこのタコスは、1年生京太郎!!、この程度の仕事、ちゃんとしてくれなきゃ困るじぇ…チッ』 和『あっ、いたんですか、1年生須賀くん』 まこ『茶でも飲むか、京太郎?』 ------------------------------------------------- 京太郎「うっ…」 最悪だあ… その言葉、半ば脅迫の様にすら聞こえる。いや、そもそも俺に選択肢などほとんどないのだ ああそれと、肝心の住む場所だが、瑞原プロは俺の自宅に住んでもらい、俺は近くの別の場所に部屋を借りるつもりだ これもまた、心配の種なんだよなぁ… 京太郎「到着しました」 はやり「ははぁー、ここが須賀くんのお家ってわけだね。いいところみたい」 京太郎「そうすか?」 はやり「これから私が住む場所だからね。ふふっ、楽しみ」」 23: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:02:20.85 :MVeHCSPq0 京太郎「俺は全然楽しみじゃねえっす」 はやり「えー、男の子の憧れの一人暮らしが、もうこんな歳でできるんだよ。嬉しくないの?」 京太郎「そりゃあ、そういうのは確かにありますけど、心配の方が勝ります」 はやり「……須賀くん」 京太郎「?」 はやり「こんな歳になって、今まであり得なかった、他の誰かの、全く別の可能性を試すことができる」 はやり「これって素晴らしいことじゃない?」 京太郎「……」 はやり「さ、私はもう行くよ。新しい住まいが確保できるまで、ホテルで頑張ってね!」 そう言って走り去ろうとすると、はたと立ち止まりこちらを振り向いた はやり「はやりの身体でエッチな事、しちゃダメだよ☆」 そう言って、瑞原プロは『俺の』家に帰って行った 京太郎「…ほんとにしてやろうか、コノヤロー」ボソ あっ、俺の宝物の隠し場所をいじらないように注意するのを忘れた 他にも言うべきことがたくさんあったけど、それはまた後日にしよう あり得ないはずのことが突然起こり過ぎて、さすがに疲れた、休もう しかし、俺のベッドは駅前のわびしいホテル……ああ、俺の人生どうなっちゃうの 24: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:04:04.18 :MVeHCSPq0 ──9月上旬 長野 ─須賀京太郎 9月、夏休みも終わり2学期の始まり あれから、瑞原プロへの演技指導や、俺の新居の確保、親に隠れてひそかに行った私物の移動などもろもろを済ませた 俺は今、須賀家とは少し離れたところに部屋を借りて住んでいる 家事は慣れた。タコス以外の料理もある程度覚えた。洗濯も掃除もスムーズだ 一人暮らしって時間が有り余って、暇で、自由で──なんてのは幻想だったらしい。案外やることがある とは言っても、学校に行くわけじゃないないから、家事を済ませてしまえば自然と時間はできるもの 勉強?、一応俺の部屋から教科書など一式は持ってきてはいるが… 京太郎「やる気でねぇー」 せっかくこんなおいしいシチュエーションなんだから、もっと他にやるべきことがあるはずだ 京太郎「あっ、片づけ」 瑞原プロのところから、服などの必需品を送ってもらっていたのを忘れていた 二組の下着をローテーションさせる生活も今日で終わりだ! 京太郎「ぐへぇー、さぁ~て、はやりんは普段どんな下着を着用しているのかチェックしましょうねー」 我ながらキモイ。他人と話す機会がほとんどないから、頭がおかしくなっているみたいだ 段ボールを漁ると、出るわ出るわ大量の下着。白、水色、黄緑、薄いピンク、etc、etc… 京太郎「……」 俺に見られる思って、恐らくは男受けの良さそうな、綺麗目なものを一生懸命選んだに違いない くぅー、アラサー女性の健気な努力……泣けるぜ 25: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:05:22.64 :MVeHCSPq0 いや、しかし。これだけ大量の、しかも(年齢は多少高くとも)容姿の整った豊満な胸部を持った女性の下着を前にしても… 京太郎「なんともないな、これ」 ただの布きれじゃん。ただし、ワイヤー入り 始めの頃は、この生活環境を整えるために四苦八苦していたから、「そういうもの」を楽しむ余裕が無かった しかし、今ではブラの付け方だって一人前だし、裸でシャワーを浴びる姿を鏡に映しても特になにも感じない 瑞原プロの名誉のために詳しくは説明しないが、シモの管理だって万全だ。男、須賀京太郎、抜かりはない だがしかし、俺の青春から清らかなる夢がまた一つ、散っていったのかもしれない。女体への飽くなき幻想が 何気なく片方の脂肪を揉んでみる。ただの脂肪だ。かつては夢が詰まっていたんだけどなあ さてさらに、届いた段ボールを整理していると、油性ペンでドデカく書かれた文字が目に飛び込んできた 京太郎「『暇つぶし』、ね…」 もしかしたら、こんな俺の為に、瑞原プロが時間を潰す道具を用意してくれたのかもしれない 中を開けてみると 京太郎「ブルーレイ、DVD……レーザーディスクぅ!?」 銀河英雄伝説、CCさくら、私をスキーに連れってって、東京ラブストーリー、101回目のプロポーズ、etc、etc… 京太郎「わ、わっかんねー…全てがわかんねー」 ま、まいいや…とりあえず 京太郎「せっかくだから、俺はこの『CCさくら』を選ぶぜ!」 京太郎「……」 京太郎「……」 京太郎「……ほえ~」 27: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:06:23.75 :MVeHCSPq0 ─瑞原はやり はやり「鞄の中身よしっ!、身だしなみよしっ!、笑顔もよしっ!」 母「あんた、朝から元気ねぇ…」 はやり「ほら、母さんも。笑顔、笑顔!」 母「こ、こうかしら」 はやり「チョベリグだね」 父「ちょ、チョベ……しばらくぶりに聞いたぞ、京太郎」 はやり「じゃっ、、行ってきまーす!」 玄関のドアを、勢いよく開けた 照りつける太陽、澄み切った青空、心地よい風、木漏れ日の並木道 世界のすべてが、私の新たな門出を、新たな学生生活を祝ってくれているみたいだった 咲「あっ!、おはよう、京ちゃん」 はやり「おう、おはよう。咲」 この子は宮永咲ちゃん。夏のインターハイでも大活躍だったから印象に残ってる いずれ、私たちと同じ舞台でやることになるかもしれないほどの逸材だ 咲「んー…京ちゃん。なんだか──」 え、まさか早速バレた!? 咲「少し太った?」 あー、この身体になってから体重あんまり気にしなくなったもんね… はやり「最近の不摂生が祟ったかなぁ…あはは」 29: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:07:47.55 :MVeHCSPq0 咲ちゃんと適当に話をしながらの登校 須賀くんから、基本的なことは既に大体聞いている。演技には抜かりはない。世間話なんてお茶の子さいさいだ 友人との朝の登校。これぞ青春といった光景。ああ、なんだか懐かしい気分になってくる あの頃の私は、この一瞬の輝きをずっと持ち続けていたような気がする 何気ない登校風景なのに、そんな気がしてくる。私も歳を取ったのかもしれない はやり「校門だ…」 咲「なに?、感慨深く浸っちゃって」 はやり「いや、別に」 私の新しい学生生活がここで始まるんだ。緊張しないはずがない 校門をくぐって、使い古されくたびれ気味の下駄箱で上履きに履き替える 教室に向かう。ドアを開ける。皆に「おはよう」の挨拶をする 隣の席の人と昨日見たドラマの話をする。担任の先生が来てホームルームが始まる この何でもない、ただの作業が妙に懐かしい。ああ、私、今、高校生なんだ。私、今、アイドルじゃないんだ 咲「京ちゃん、どうしたの?」 そう、私は『瑞原はやり』じゃない。『須賀京太郎』なんだ はやり「大丈夫、俺は須賀京太郎だ」 咲「?」 自分に言い聞かせるように、そう言った 30: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:09:25.92 :MVeHCSPq0 今日は二学期の始めで授業はない。体育館での集会が終わってしまえば、後は部活動だけ 部活動。須賀くんは麻雀部所属。だから、私も麻雀部 私も高校生の頃は同じだった。性別は違くても、これは一緒 咲「んじゃ、そろそろ行こっか?」 はやり「そうだな」 咲ちゃんと連れ立って部室に向かう 咲「こんにちはー」 はやり「ちはー」 まこ「おう、来たな」 優希「咲ちゃん、久しぶりだじぇ」 咲「一昨日会ったばっかりだよ」 優希「あれ、そうだっけ?」 はやり「ははは」 和「……」 咲「和…ちゃん?」 和「!!……ん、ああ…咲さん。来ていたんですか」 咲「さっき、思いっきり挨拶してたじゃん。大丈夫?」 和「ええ、もちろん大丈夫ですよ」 咲「そう…?」 はやり「……」 32: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:10:50.25 :MVeHCSPq0 滞りなく部活動が進んでいく 仲間と集まって何か一つのことに没頭するこの風景は、まるで はやり「みんな…」 まこ「ん、どうしたんじゃ、ボーっとして?」 はやり「い、いえ。なんでもないっす」 優希「どーせ、夜遅くまでエッチなサイトでも覗いて夜更かししていたに違いないじぇ」 はやり「ば、バッカ。そんなんじゃねーよ。そんなこと言ってると、もうタコス作ってやんねーぞ」 優希「スミマセンデシタ」 はやり「よろしい」 咲「まったく優希ちゃんは……ねえ、和ちゃん」 和「え、ええ…そうですね」 はやり「……」 まこ「おう、もうこんな時間か。今日は二学期の始めじゃし、そろそろ終わりにするかのう」 その時、扉の開く音がした 久「はろー……って少し遅かったみたいね。1回くらい打ってこうと思ってたんだけど」 はやり「残念、もう帰るところですよ」 久「まっ、一緒に帰れるだけでもよしとしようかしら」 33: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:12:17.08 :MVeHCSPq0 和「…すみません、私はお先に失礼させていただきます」 ガチャ 久「あら、あらあら?」 咲「和ちゃん、どうしたんだろう?」 優希「今日はずっと上の空だったじょ」 まこ「そうじゃな」 久「ふー……和も、夏のインターハイで一皮むけたと思っていたんだけどね」 この子は、とても勘のいい子みたい はやり「どういう意味ですか?」 久「『それ』を知ってしまうとね、人は何度でも『それ』を求めてしまう生き物なのよ。特に彼女は強いから」 久「私はそこまでは行けないだろうから、本当はよく分からないんだけど、ね」 はやり「…そうですね」 咲「?」 久「ふっ、一皮むけた、なんて。須賀くんのプライドを傷つけてしまったかしら?」 はやり「ほほほほほ包茎ちゃうわ!」 咲「ほーけい?」 優希「ホッケの亜種か?」 まこ「……////」 はやり「……」 はやり「すみません、ちょっと用事が出来たんで、先に帰らしてもらいます。ではっ!!」 久「うーん、青春ねぇ…いってらっしゃい」 34: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:13:43.39 :MVeHCSPq0 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 久「須賀くんはくすぶっていると思っていたんだけど。案外やるわね」 まこ「わしとしては大歓迎じゃがな」 咲「HO KEY?」 優希「箒?」 まこ「え、ええかげんにせんか!//」 咲「それにしても、京ちゃんの今日の打ち方、少し変じゃありませんでした?」 まこ「そうか?」 優希「京太郎くらい京太郎らしかったじぇ」 咲「そうなんだけど……なんていうか」 久「?」 咲「誰か別の人が、京ちゃんの打ち方を完璧にトレースしているような…」 咲「『京ちゃん』らしすぎる、っていうか。あまりにも完全に、枠の外にはみ出ないように自制しているような…そんな感じ」 優希「ま、まさか誰かと入れ替わったとか!」 まこ「エイリアンの仕業じゃな」 久「私は超能力を推すわ」 優希「クローン説で」 咲「きっと痛い衣装を着たアラフォーの人とぶつかった拍子に、心が入れ替わったんだよ」 久「ははっ、それだけはないわね」 まこ「さっ、バカやってないで帰るとするかのう」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 36: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:15:19.83 :MVeHCSPq0 少し時間を使いすぎた。廊下は走ってはダメって言うけど、この時だけは許してほしい ただ、やっぱり男の子の体。ちょっとくらい走っても全然疲れないや いたっ! はやり「…和っ!!」 和「須賀くん、ですか。どうかしました?」 はやり「え~っと…その」 どうしよう。若い頃の勢いそのまま、みたいに飛び出してきたんだけど、なに言うか考えてなかった 和「?」 いや…いいんだ。私は須賀京太郎。今は男子高校生。少しくらいの失敗と逸脱なら許されるんだ そんなことしたって誰も気にしないんだ。だって私は、アイドルなんかじゃないんだから はやり「俺は、須賀京太郎だ」 和「はぁ…?」 はやり「和。お前の気持ちは何となく分かるよ」 和「何を言っているんですか?」 はやり「夏のインターハイで、お前がどんな目標を掲げていたのか、俺にはよく分からない」 和「……」 はやり「でも、お前は見事にそれを達成したはずだ。達成感、満足感、高揚感、祝福と称賛……全部手に入れたはず」 和「なにを馬鹿なことを」 はやり「でも、それは長くは続かない。『成功者は、麻薬中毒者がヘロインを求めるように勝利を求める』」 和「…マシュー・サイドですか」 はやり「『勝利の効果は、麻薬に似てあまりにも短く、選手は表彰台を去るやいなや憂鬱になり、生きる目的を失う』」 和「……」 はやり「今の和の状態は、それに近いんじゃないか?、胃袋だったら食べ物を与えてやればそれで済む。だが、こいつはそうはいかない。だろ?」 和「そんなことありません」 素直じゃないね 38: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:17:06.81 :MVeHCSPq0 はやり「俺は知ってるぞ、その穴の埋め方を」 和「へえ……あなたにですか」 はやり「お前には麻雀の才能がある。実力もある。努力もする。容姿も、スタイルも悪くない」 まっ、私ほどじゃないけどねっ!……ねっ!? 和「セクハラですか」 はやり「俺ならお前に、さらにもう一段階上の世界を見せてあげることができる」 和「……」 はやり「和、アイドルに成ってみないか?」 和「……」 和「……」 和「……」 和「……」 和「……はぁ!?」 なぜ、この時私は、こんなことを言ってしまったのか? 自分でもよく分からなかった 40: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:20:42.20 :MVeHCSPq0 _______ ____ __ 結局その後、和ちゃんには「なに言ってんだ、こいつは…」みたいな顔されて、帰られてしまった 『アイドルに成ってみないか?』 なぜこんな台詞が自分の口から飛び出したのか 気の迷い、若さゆえの過ち…まあ、なんでもいいけど でも、今になって冷静に考えてみると、それは案外悪くない案じゃないかと思えてくる 和ちゃんは麻雀もできるし、顔だって可愛いし、胸だってバインバインのビルバインだし、アイドルの素地はあると思う そうだよ、私なら和ちゃんのプロデューサーさんになれる! 和ちゃんをアイドルマスターに導いてあげることができる! 清澄初のスクールアイドル!、アイドル活動略してアイカツ!、Wake Up, Gir──いや、これはいいや おお、なんだか学生生活らしくなってきたよ。これぞ青春の一ページだよ! よーしっ、あの夕日に向かって走るよっ、私っ!! はやり「とりゃあああぁーー!!!」 「あれ、須賀さん家の子よね…」 「見なかったことにしておきましょう」ニコッ 「そうね」 聞こえてるよ、奥様方!! 42: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:22:08.12 :MVeHCSPq0 そのまま走りながら、須賀くんの所に向かう その日の用事が済んだら、須賀くんと情報交換する約束になっているから はやり「須賀くーん、ただい──」 京太郎「はやり、怪獣じゃないもん!!」 はやり「……」 京太郎「ハッ!?」 はやり「ゴハァ…!!」 京太郎「瑞原プローーー!!!」 はやり「黒歴史はね……決して、よみがえらせてはね…ダメなんだよ」 京太郎「瑞原プロ、あなたもかつて……こんなキツいお姿、お見せしてしまって申し訳ないです」 はやり「いいんだよ、須賀くん。かなりダメージ大きかったけど大丈夫……あと私はそんなにキツくないよ、ねっ…?」 京太郎「モチロンデス」 はやり「さて、出鼻くじかれたけど、今日はどうだったかな?」 京太郎「家事して、アニメ見て、ドラマ見て。それだけですね」 はやり「暇な主婦みたい…」ボソ 京太郎「聞こえてますよ」 京太郎「それで、瑞原プロの方はどうでしたか?」 はやり「うん、私の方はね──」 『アイドルに成ってみないか?』 はやり「無難にやり過ごしたよ。みんなも私のこと、変に思ったりはしてなかったと思う」 京太郎「流石瑞原プロ、演技なんか俺より俺らしいっすからね」 こんなことは言わなくてもいいよね。落ち着いたらまた話そう この後も、色々と学校での出来事を話したりして、情報の共有をした こうして、私の学校生活の一日目が終了した 44: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:23:43.87 :MVeHCSPq0 ──9月中旬 長野 ─須賀京太郎 京太郎「暇だ」 そう、暇だ 瑞原プロが送ってくれたアニメやドラマや映画もだいたい見終わってしまったし、今日の家事はほとんど済ませた 暇で暇で仕方ないのだ ああ、学校って学業だけじゃなくて、暇つぶしの側面もあったんだな。また一つ勉強になった だけど、迂闊に外をウロウロして、正体がバレるのだけは避けなくてはならない 変装と言う手もあるにはあるが、未だに俺の行動範囲は近所のスーパーまでくらいなもの。正直、俺の変装スキルは高くないと思う はっきり言って、誰にもにバレないという自信はない でも、そろそろもう少し移動の幅を広げても良い頃合いなのかもしれない このままだと、この4畳半×2の神話体系の中で脳が干からびて死んでしまう。退屈死 ウサギは寂しさのあまり死んでしまうという俗説があるが、人間は退屈さのあまり死んでしまうのだ つまり、今の俺に必要なのは刺激 京太郎「刺激……刺激ねぇ」 確かに、この二つのおもちは刺激的に違いないのだが、残念ながらもう慣れてしまった 長時間椅子に座っていると腰が痛くなってくるから、時々立ってストレッチしなきゃいけないこの体にはもう慣れた 俺は瑞原はやり。年齢は28。体重は49kg(仮)。身長は151cm。ハートビーツ大宮所属のアイドル雀士。出身は島根 和了スピードと守備がすごくて、キツい格好してて、小鍛冶プロとか戒能プロとかとも知り合いで、頭も良いらしくって、それで、それで……? あれ…?、意外とよく知らねえな 瑞原プロから通り一遍の情報は聞いていたけど、彼女自身のことは全然知らない プロになったいきさつとか、アイドルになった理由とか、何が好きで何が嫌いかとか、いつもどんなことを考えているのかとか 俺は、瑞原はやりなんだ。だから、俺は彼女のことをもっと知らなくちゃいけない 京太郎「調べてみるか」 45: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:24:55.55 :MVeHCSPq0 早速、ネットでその名前を検索にかけてみる 京太郎「うわ…」 出るわ出るわ、あることないこと、憶測をまるで事実のように語るブロガー、誹謗中傷、下衆なゴシップ記事 その他数えきれないほどの、もはや悪意を通り越した無関心。童心のような残酷な遊び心。心の不感症 もちろん、ファンの声もたくさんあった。だけど、悪意ってのは善意よりもよっぽど目立つ そしてそれは、本人が意図した以上の効果をあげて、簡単に人の心を傷つける これを見たのが瑞原プロじゃなくよかったよ 勝手な事言ってくれちゃって、まあ 京太郎「有名人も大変なんだな…」 嫌気がさしたので、仕方なくwekipediaにあたってみる 簡単なプロフィール、経歴、アイドル活動について、麻雀のプレースタイルとその分析 俺が知りたいのは、そんな水の上に浮いた油みたいな、上っ面の情報じゃないんだ もっとこう、彼女に……いや、今の俺に肉薄できるような、本質的な 47: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:26:22.76 :MVeHCSPq0 京太郎「あぁー、ダメだ」 どうやら、俺の欲しい情報はネットでは拾えそうもなかった それでも30分くらい粘っていると、興味を引くサイトに行き当たった 『アイドル雀士、瑞原はやり選手を遠くから見守る会』、…公式ファンクラブか やっぱり、アイドル雀士ともなると、こういうのがあるんだな さらに詳しく覗いていく。会合…ファン同士の集りなんてのもあるのか。ふむふむ、場所はと… 京太郎「長野、ね」 ふーむ……一週間後。場所もそんなに遠くないし、一日の間に行って帰ってこられる距離だ 暇は有り余っている。お金は有り余ってない 行動範囲を広げるいい機会だし、瑞原はやりという人物について知るための絶好のチャンスでもある 京太郎「いっちょ、行ってみっか」 よーしっ、そうと決まればさっそく会員登録だ!、えーと、名前は……本名はマズいしなあ… 京太郎「……」 京太郎「『内木一大』、と」 ごめん、副会長!、ごめん!! 他の名前が思い浮かばなかったんです!、少し変えたから許してっ!! 48: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:27:29.86 :MVeHCSPq0 よしっ、会員登録完了!、あとは、時が来るのを待つだけだぜ! ああ、なんだか久しぶりに生きてる感じする。やっぱり自分から何かしないとな 京太郎「あっ!」 そうだ、大事な事を忘れていた。画像検索 京太郎「どれどれ…」 うわぁ…自分の姿が、しかもきっつい格好でネット上にアップされているのを見ると、なんかこう、クるな 京太郎「水着姿まで……うわぁ、別の意味でたまらんなぁ。うわぁ…」 こういうのを見て、三大欲求の一つを鎮めている方々がいらっしゃるのかと思うと……複雑な気分だ だって、俺の身体だぜ? 京太郎「や、やめよう…」 これ以上見ていると、俺のガラスのハートが壊れかねない そうして、ブラウザを閉じようとしたとき、ある女性の画像が妙に目に付いた。少し古めの画像だった 京太郎「この、髪飾り…?」 瑞原プロと比べると、意志の強そうな鋭い目をした女性。凛々しい感じの、綺麗な人だった そして、瑞原プロがいつも着けている。いや、今この机の上に置いてある、この髪飾りと 京太郎「同じ…?」 いや、まさかな……そんな偶然あるわけない、か さっ、くだらない妄想やめやめ!、やること決まったし、夕飯の用意をしなくちゃな 来週が楽しみだ! 51: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:28:48.94 :MVeHCSPq0 ──9月下旬 長野 ─須賀京太郎 あれから一週間後。ついに来たぜ、長野駅 帽子は深めのキャスケット。さらにサングラス、マスク。極めつけはサラシ! まあ、あの爆乳が完全に隠れているかと言えば、そうでもないが、上着をかなり厚くしたのでうまく誤魔化せていると思う 着ぶくれして暑いけど…そこはなんとか我慢しようじゃないか この季節もあり、若干変質者のような格好になってしまったが、正体がバレるよりはマシだ 髪型は悩みに悩みぬいたあげく、シンプルにサイドのお団子に落ち着いた。女性の髪をあまり弄くるのは、俺のモラルに反する 身長はシークレットで底上げ、全体の色合いは地味地味アンド地味。そしてもちろん、すっぴん(28)! イケる!! 京太郎「くっくっく……!」 「ママー、あの人ー」 「こら、近づいたらダメよ」 京太郎「……」 言動も気をつけなきゃね 53: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:30:23.73 :MVeHCSPq0 地図を見ながら移動する。お目当ての会場のホテルは 京太郎「これか…………えっ、マジで!、このホテル!?」 で、でかい…つーか、今更だけど、ここ結構有名な高級ホテルだったよな? 俺なんかが入っちゃっても大丈夫?、警備員さんにつまみ出されない?、ポリスメンのお世話にならない!? いやいやいやいや、男は度胸!、なんでもやってみるもんだ! いざっ! 怪しまれないように、なるべく堂々と中に入っていく。ドアマン、受付嬢の視線が気になったが加齢に、いや華麗にスルー 上の階のホールを貸切にしているとの話だったので、エレベーターで早速向かう つーか、アイドルの会合に高級ホテルの大広間を使うのって普通なのか?、この界隈のことはよく分からないけど そして、到着 受付発見、人が集まっているし間違いないだろう 正直、想像していたより人数は少ない。それになんだか、年配の方が多いような、というより若者の姿が全く見当たらない なんだろう、もっと若いエネルギー溢れる近付き難い空間を予想していたので、少々肩透かしを喰らった気分だ まあいいや、受付を済ませよう 55: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:31:50.57 :MVeHCSPq0 受付の人を見る。頭皮が若干寂しくなりつつあるが、どうして中々、社会の荒波に揉まれ尽くした堅牢な雰囲気があった 社会的なヒエラルキーでは上位に位置するであろう、教育者といったところだ 俺の想像が正しければ、おそらく長野県の清澄高校の集会で、よく偉そうな口上を垂れ流している─── 京太郎「……」 京太郎「校長っっ!!!?」 校長「うむ、いかにも私は絶好調だが」 京太郎「そっちの好調じゃないっ!?」 校長「まあ、いい。会員番号19937──おおっ、メルセンヌ素数だな!」 知らねーよ 校長「なるほど、最近入会した若い子がいると聞いていたが、君だったか。ええ……名前は、内木一大くん、か……?」 あっ、やべっ 校長「内木、内木……」ブツブツ やべっ…やべっ…帽子の外から髪の毛出てるし、やべっ…こんなことなら、名前も考慮して男装してくんだった 京太郎「」ダラダラ 校長「副会長」ボソ 京太郎「っ!!」ビクッ 校長「……ふっ、若いな。マスク、サングラス、それに偽名までして」 あ、あれっ…なんかいい具合に勘違いしてくれてる? 校長「しかし、女装まですることはなかったのでは?」 京太郎「え、え~と、そのー……趣味です!」 校長「こりゃたまげた…いや、若い人の趣味に首を突っ込むのは老人の悪い癖か。しかし、君の気持ちも分かるよ」 校長「私も若いころはそうだった。他人の目が気になるあまり、今の君の様にしてこの会合に参加したものだったよ」 知らんがな 校長「さあ、入りたまえ。そして、はやりんを遠くから一緒に応援しようじゃないか」 京太郎「は、はぁ…」 た、助かったのか…?、つーか、「はやりん」とかさすがに気持ち悪いです 56: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:32:57.45 :MVeHCSPq0 危機一髪。どうやら校長は、俺のことを本物の副会長だと思ってくれたみたいだった 変装に力を注いでおいてよかったぜ。あと、なるべく声のトーン落としておいたのが正解だったな。マスク効果もあったかもしれない 中に入ると、テーブルとイスが用意されていた。各自座るようになっているのだろう 会員番号と一致する席に着いて、周りの様子をそれとなく伺った やはり40~60歳くらいの人が目立つ、というより俺を除けば99%そんな感じだ 仕立ての良いスーツや、一組ウン十万もしそうな革靴を履いた(社会的にはアレの)ナイスミドルの紳士達も混じっていた 試しに右隣の人をマジマジと観察してみた。腕時計は 京太郎「パパパパテック・フィリップゥゥ!?」 「?」 俺のGショックが霞む…歩くとき腕をぶつけないように気をつけよ… 時間だ。そろそろ始まりそうな雰囲気になってきた 校長「おや、君が隣か。奇遇だね」 よりによって、あんたかよ 校長「君、今回が始めてだろう?」 京太郎「は、はぁ」 校長「ならば私が解説してあげよう。先輩ハヤリストとしてね」 ハヤリスト…?、えーと、リアリストとかファンダメンタリストとかの仲間か? 57: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:34:21.80 :MVeHCSPq0 『お集まりいただきありがとうございます。では早速、第59回『瑞原はやり選手を遠くから見守る会』の会合を──』 京太郎「59回目って、結構な数ですね」 校長「年に3回から4回の頻度で開催しているからね、こんなもんだろう」 年に3、4回ということは、このファンクラブは一体いつから?、59÷3はと…………俺は考えるのを止めた 校長「さて、ここで少しは教育者らしい質問をしようか。59、この数字の意味が分かるかな?」 唐突だな 京太郎「えーと、素数…ですか?」 校長「その通りだ。君はなかなかセンスがある」 校長「素数とは孤独な数字だ。1と自分自身以外では割り切ることのできない自然数。そして、素数と素数は決して隣り合うことはない」 校長「もちろん、2と3を除けばだがね。素数とは、決して仲間と一緒になることのできない、孤独な数なのだ」 校長「そして、それゆえに素数とは本当に根本的で"素"な数なんだよ。そういう意味では人間にも似ている」 京太郎「はぁ」 校長「その中にあって、特別な素数の組が存在する。双子素数だ」 京太郎「双子素数、ですか…?」 校長「双子素数とはその差が2となる素数の組をいう。例えば3と5、11と13などだね。つまり最も数の近い素数の組だ」 京太郎「はい」 校長「ちなみに、59と61も双子素数になる」 京太郎「なるほど」 校長「素数と言う孤独な数字にも、双子が存在する。人間で言えば瓜二つの兄弟といったところか」 校長「だが、その双子であってさえも、所詮それは別の数字に過ぎない」 校長「どんなに他人に成りきろうとしても、どんなに同じように振る舞おうとも、結局その人はその人にしか成れないのだ」 京太郎「まあ」 校長「つまりだね」 京太郎「……」ゴクリ 校長「我らがはやりんはオンリーワンということだよ」 真面目に聞いて損したよ 58: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:36:17.79 :MVeHCSPq0 校長の短い講義が終了すると、少しだけ間延びした 何か質問でもしてみようか 京太郎「あー…と、数学がお好きなんですね」 校長「ふふっ……なかなか痛いところを突くな、君は」 京太郎「?」 校長「私はね、数学者に成りたかったのだよ」 京太郎「そう、なんですか」 校長「ああ。子供の頃から、数を使った遊びが得意でね」 校長「ガウス、オイラー、ヒルベルト、リーマン、ラマヌジャン、ノイマン、小平邦彦……憧れたものだった」 京太郎「……」 校長「頭の中には、数字が地図のようにしてマッピングされていてね」 校長「小さい頃は、みんなもそうだと思っていたんだが、後々違うのだと分かったよ」 校長「私は、その地図を使って自由に計算することができた。自慢じゃないがね、私は特別だった。大学ではもちろん数学を専攻した」 試しに大学名を聞いてみると、誰もが知っているあの大学だった 校長「没頭したよ。のめり込んだ。そして、かなりいいところまでいったんだが……でも、色々あってね。ダメになった」 校長「為にならない教訓を教えておこう。世の中には、才能だけではどうしようもないこともある」 校長「しかし、才能が物を言う場合も確かにあってね。ははっ、なかなか難しい」 京太郎「……」 校長「流れに流れて、こうして私は校長という職に就いているのだが…いやはや」 校長「私は何にも成れなかった。成れると思っていた時期もあったのだが」 京太郎「……」 校長「夢に破れて、それでもすがりつくようにして、高校の数学教師になってね」 校長「それから、しばらくしてからのことだった。私がはやりんに出会ったのは」 校長「彼女は、私のアイドルに成ったよ」 その時の校長は、俺には見ることのできない、はるか遠くを眺めていた そこに、どんなエピソードあったのか、それは説明してくれなかったけど、聞こうとも思えなかった きっとそれは、校長にとって、とても大切なはずのものだったから 59: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:37:23.29 :MVeHCSPq0 『我がファンクラブの会員数は前年の同じ月に比べて、マイナス3.4%と7か月連続の──』 まるで企業業績の報告のような… 京太郎「会員の数って減っていっているんですね」 校長「そうだね。最盛期には軽く10万以上あったものだが……」 校長「今では脱会した人の数字を繰り上げて、今の君の会員番号付近に落ち着くというわけだね」 京太郎「なるほど」 校長「盛者必衰とはいえ、あの頃を知っている者からすると悲しいものがあるよ」 『それと比較して、咏派の伸び率は依然として堅調、特に戒能派はその数をデビュー以来指数関数的に増やし続けており──』 咏派とか戒能派とかなんだよ。女子麻雀界のファンクラブにおける派閥闘争か 京太郎「そういうのもあるんですね…」 校長「そうだね。彼らの勢いは凄まじいものがあるよ。噂によると、うちを脱会して向こうに改宗した者も多いと聞く」 改宗って、宗教かよ 校長「ハヤリストの風上におけない不届き者たちだ。しかし、これが現実なのだ」 校長「これは、あらゆる競争分野で言えることだが、下からの突き上げは年々キツくなる一方なのだよ」 校長「我々も、その権力と財力と政界へのコネを駆使して、はやりんのPR活動は行ってはいるのだが」 京太郎「そ、そうなんすか…」 校長「最近では、うちの学校を利用して、はやりんの為に何ができるか考えているくらいだよ」 それは止めた方がいい 61: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:39:14.15 :MVeHCSPq0 『我がファンクラブの年齢別の構成を割合にして表すと、この図32-4のようになっており、40代から60代に著しく偏って──』 京太郎「偏り過ぎじゃありません、これ?」 校長「そう思うよ。そして、これこそが我々の組織の問題なのだ」 京太郎「どういう意味ですか?」 校長「若い人がね、全然入ってこんのだよ。君みたいなのは特別だ。いつの間にかここは、ただの年寄りの集いになってしまった」 校長「ライブをしても、ハコが空くのが当たり前に」 校長「握手会をしても、以前のような長蛇の列はもう見られない」 校長「少し前にあった麻雀の大会でも、成績が芳しくなかったしね。はやりんも、今はなぜか活動を自粛しているようだ」 校長「もしかしたら、そろそろ──」 京太郎「……」 校長「いや、私がこんなのではいけないな。それに君みたいな者もまだきっと全国にいるんだ。大丈夫に決まってる」 『本ファンクラブの創始者で、会長と副会長を務める、kapiさんとmegumiさんからお便りを──』 京太郎「なんでそんな人達が、この会に参加してないんでしょう?」 校長「私もお会いしたことがないから詳しくは知らないがね、あくまで「遠くから」はやりんを見守るのがここの趣旨だからだそうだ」 校長「ライブにも行かない、握手会にも参加しない。ただひたすら、はやりんを遠くから応援してきたのが、彼らなのだ」 京太郎「へえ、硬派なんですね」 校長「聞くところによると、会長と副会長は、はやりんが小学生の頃ある麻雀大会で優勝したのも見て、その魅力に憑りつかれたという」 校長「それからすぐに、この会の前身を結成し、二人三脚ではやりんをデビュー前から密かに応援していたそうだ」 京太郎「へ、へえ…」 犯罪者一歩手前だな 校長「ちなみに、妻子持ちだそうだ」 うわぁ…家族の方お気の毒に 校長「御二方とも今は長野に住んでいるとのことだから、もしかしたら今回こそお会いできるかもと思っていたのだが…」 うわぁ…この校長といい長野終わってんな 校長「megumiさんは少しでもはやりんの近くにいたいと、『早く東京に行きたい…』、と以前テレビ電話でぼやいていたものだよ」 京太郎「ま、まあ、家族の意向もあるでしょうしね…」 62: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:40:33.93 :MVeHCSPq0 その後もつつがなく会は進行していき、食事の段になった。そういうのもあるのね お酒も出た。ただ、いくら成人した女性の身体とは言え、校長の手前、飲むのは無理だった ちょっとくらい、飲んでみたかったものだけど お酒も入り、皆さん和気あいあいと談笑している。ただしその内容は、混じりっ気なし100%アイドル雀士のそれだ お、恐ろしい光景…まっいいや、気を取り直そう。現実は、ほどほどに直視するのが良いときもある 京太郎「あー、そういえば、ちょっと聞いておきたいことがあったんですけど」 校長「なにかね?」 京太郎「この、髪飾りなんですけど…」 校長「ほう、これは……はやりんのものか。よく同じものを」 京太郎「え、え~と、これは…………女装趣味の一環で手作りを」 校長「う、うむ、なるほど……これが何か?」 京太郎「はやりんの画像検索しているとき、たまたま見つけたんですけど、これと同じ髪飾りをしている女性の画像を見つけまして」 校長「んー……そうか」 京太郎「?」 校長「私も詳しくは知らないがね、その女性は春日井真深という人だそうだ」 校長「かつてのアイドルだ。以前の牌のおねえさんだよ。テレビでよく見たものだった。凛々しくて、はつらつとしていて」 校長「はやりんとは少しタイプの違う人だったな。素敵な人だった」 京太郎「そうなんですか」 校長「もちろん、なぜはやりんが彼女と同じ髪飾りをしているのか、ファンの間では噂話が飛んだものだった」 校長「ただの偶然だとか、はやりんが彼女をリスペクトしてのものだとか、あの髪飾り自体は形の似た全くの別物だとか、ね」 校長「私みたいなロマンチストは、はやりんが彼女からそれを受け取ったとみているのだが…どうだろう?」 京太郎「……」 校長「要は、よく分からないということだ。こういうミステリアスな部分も、はやりんの魅力だと思わないかね?」 京太郎「な、なんとも…」 63: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:41:31.14 :MVeHCSPq0 そして、宴もたけなわ、酒の力も借りて気分も雰囲気も最高潮に達したとき 「では、そろそろ、皆でいつもの写真撮影といきますか!」 「ほっほっほ、そうですな」 校長「ほら、君もこっちに来たまえ」 京太郎「お、俺もっすか!?」 校長「あたり前田のクラッカーだよ」 や、やだなー…でも、まっ、仕方ないか 整列しての写真撮影。学校での集合写真を思いだすな 「では、皆さん行きますよー。一足す一はー?」 「「はやっ!」」 何の脈絡もねえ! フラッシュがたかれた _______ ____ __ 64: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:42:46.24 :MVeHCSPq0 京太郎「ふー、疲れたな…」 なんか、凝った変装したり、思いがけない知り合いがいたり、とにかく色々あって予想以上に疲れた 今じゃ、須賀家より居心地の悪いあのアパートの一室が懐かしく感じられる。早く帰って休みたい 何気なしに、空を見てみた 京太郎「満月、か」 日本では、暦を読むことを「月を読む」と書いて月読(ツクヨミ)と言ったそうな──と、文学少女・咲から聞いたことがある 月読ってのはあれだ、よくゲームとか漫画に登場する強そうな神様。日本神話の神様らしいけど、俺はよく知らない その、漫画とかゲームでお馴染みの神様が、実は元の神話ではほとんど語られていないと知ったのも、例の文学少女の入れ知恵だ つまり、よく分からない神様なんだな みんなに広く知られているものに限って、案外よく知られていなかったりするものだし、その多くは語ることができないということか それが良いことなのか、あるいは悪いことなのか、今の俺にはよく分からないけど 例の髪飾りを、満月にかざしてみる。月の光が、髪飾りの輪郭をなぞる。どちらが本物の月なのか 京太郎「春日井真深さんだったか」 俺はまだ、瑞原はやりという人物が分からないけど、今日でほんの少しだけ何か掴めたような気がする 今まで考えなしに、キツイとか、痛い格好してるとか、いろいろ言って茶化してたけど、それはもうやめよう そんなことしたって、彼女の輪郭がぼやけるだけだ。本物がどっちなのか分からなくなってしまう 俺は──いや俺だからこそ、彼女をアイドルでもプロ雀士でもない、一人の『瑞原はやり』として見なくちゃいけない でないと、俺のことも分からなくなるから。そう、俺は瑞原はやりなのだから 京太郎「私は、瑞原はやりだ」 俺は、例の髪飾りを髪に結いつけながらそう言った 65: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:44:51.97 :MVeHCSPq0 ──9月下旬 長野 ─瑞原はやり 先生「では、先週は2次元のイジング模型を扱ったから、今日は3次元に拡張して考えてみよう。簡単におさらい──」 はやり「うーん」 咲「どうしたの、京ちゃん?」 はやり「どうしても崩せない山があったとして、咲ならどうする?」 咲「う~ん……『リン・シャン・カイ・ホーー!!』、ってポーズキメながら叫べば、花が咲いてみんな笑顔になるよ」 はやり「お前の頭の中がリンシャンカイホ―、だよ」 咲「…うん、私も正直そう思う」 ここで言う山とは、もちろん比喩に過ぎない。そしてその山は、和ちゃんに他ならない あれ以来、何度となくアプローチをかけてはいるけれど、素っ気なく振られるのがせいぜい。無視だって何度もあった 「こんのぉー、若いからって調子に乗ってぇー」、と2回くらいは思ったものだ そんなこんなで、さてどうしようかと、頭をひねっているいるところ 咲「京ちゃんがどんな山を想像してるのか知らないよ。けどそういう時は、自分の強みと、相手の弱みを一緒に考えてみるのが一番だよ」 咲「自分の強みでもって、相手の弱みに正面からぶつかることができれば、大抵その山は崩れるものだから」 強みと弱みを一緒に、ね 66: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:45:42.32 :MVeHCSPq0 先生「ハミルトニアンはここに書いたとおりだから、後は各自解いてみてくれ。時間は──」 私の強み。麻雀なら、日本でも上位の実力。歌とかダンスには自信あり。頭の良さは悪くないと思ってる 対して、和ちゃんはどうだろう? 麻雀については、言うまでもなく中々の実力者。容姿は抜群で、胸もスタイルもいい感じ。学校の成績も良いみたい じゃあ弱みは? 性格がけっこう硬そうだな、と何度か感じたことがある。融通も利かなそう。義理は堅そうだけど はやり「……」 勝負を吹っかけてみようかな。できればみんなの前での口約束もあった方がいい なんの勝負にしようかな。はっきり言って、学校のお勉強程度なら負ける気はしない はやり「テストか」ボソ いや、テストまでにはまだ期間があるし、そこまで時間はかけられないし、待ってだっていられない それに、須賀くんの成績を不自然なほど爆上げしてしまうのは、ちょっとどうかと思う 周りに迷惑のかからない、もっと即効性のあるものを はやり「麻雀だ」ボソ ふふっ、決まりだね。待っててね、和ちゃん。トッププロの実力を、しかと見せてあげるよ ああ、放課後が楽しみ。こんな悪巧みみたいなことするの、いつ以来だろう?、ワクワクするな はやり「くっくっく…」 咲「ちょ、ちょっと京ちゃん」 はやり「ん?」 先生「前出て解いてみようか、須賀くん」ニコリ はやり「……」 はやり「2次元の場合と同じようにして、シュルツらが用いたように第二量子化の手法をまず活用してみると意外な知見が得られます」 はやり「まず、この行列を──」 先生・咲「はわわ~」 67: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:46:36.10 :MVeHCSPq0 授業は終わった、お昼ご飯はモリモリ食べた、掃除も終わったし、帰りのホームルームだって終わった 後は放課後、部活動だっ! はやり「よっしゃあ、行くぜぇ、咲ィィ!!」 咲「なに、そのノリ気持ち悪い」 はやり「…行くか」 咲「うん」 部室に向かいながら、和ちゃんとの会話や闘牌についてシミュレーションする はやり「……」 うんうん、悪くないよこの感じ。久しぶりに頭がフル回転している、この、程よく熱のこもってくる感覚 咲「大丈夫?」 はやり「脳汁がプッシャーってなってる」 咲「やっぱり気持ち悪いね」 はやり「言ってろ」 咲ちゃんにも、手伝ってもらうからね 68: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:47:29.64 :MVeHCSPq0 はやり「こんにちはー」 咲「こんにちはー」 優希「おーす」 まこ「おう」 和「こんにちは、咲さん」チラ 咲「うん」 はやり「……」 和ちゃん、私は無視ですかそうですか。まっ、今はこれでいいよ むしろ都合がいいかな、この方が 咲「和ちゃん、京ちゃんと喧嘩でもしてるの?」 和「いいえ、喧嘩なんてしていませんよ。ただ最近ちょっとストーキング紛いのことをされているといますか…」チラ はやり「わーお」 咲「京ちゃん…」ジロ 優希「ついに犯罪者までに成り下がったか…」 まこ「ええと、110番110番」 はやり「冗談でも止めてください、傷つきます」 和「嘘ですよ。軽めのジョークです…ねえ、須賀くん?」ニコリ はやり「……」 これは、須賀くんの誇りと尊厳のためにも、頑張らないといけない感じみたいだね 69: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:49:02.43 :MVeHCSPq0 いつものように部活動が進んでいく。要は打って、喋って、それだけ。けど、例のことに備えて頭の中はフル回転 時間がどんどん進んでいく。そして、そろそろ終わりが見えてきた頃、頃合いだ 対局の終わった和ちゃんに、アタックする はやり「なぁなぁ、頼むよ和さん。俺の話を聞いておくれよ」 和「…またですか。あなたも懲りない人ですね」 はやり「しつこさは、時として武器になることもある」キリッ 和「意味が分かりませんよ。自分の行いを正当化しないでください」 はやり「あーあー、せっかく才能あるんだから、試すくらいはいいんじゃないか?」 和「私には向いていませんし、何よりそんなことしたくありません。第一、あなたも私も素人です」 はやり「みんな最初は素人さ。それにまだ、時々ボーっとしてたり、ため息ついてたりするだろ?」 和「あなたの言動で、疲れているだけです」 はやり「なあ、和。みんなが笑顔になって喜んでくれたら、それはとても素敵なことだろう?」 和「それは、まあ、そうなんでしょうけど…ですけど、それは私の仕事ではありませんし」 そういう、突っぱねきれないところは、ちょっと甘いかな はやり「歌ったり、踊ったり、ときどき手品とかもしてみたり」 はやり「自分がみんなを喜ばすことができたと実感できたとき、それはもう身体全体が満たされて、心が豊かになって」 はやり「すごいんだよ、あれは。他の何かに例えようのないくらい」 はやり「みんなを笑顔にできるってことは、それだけで尊いことなんだよ」 和「なぜ、あなたにそんなことが分かるんです?」 はやり「分かるよ。だって────私は」 和「?」 私は、、、、、、私は、須賀京太郎 だから、瑞原はやりじゃないし、牌のおねえさんでもない。ただの男子高校生 『なぜ、あなたにそんなことが分かるんです?』 頭がくクラクラする。なら、私は、、、一体── はやり「……」 和「大丈夫、ですか?」 70: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:50:15.45 :MVeHCSPq0 久「いいじゃない、和。須賀くんの頼み、きいてあげれば。何の話か知らないけど」 和「他人事だと思って…って、来ていたんですね」 久「だって、他人事だもーん」 和「……」イラッ 久「…でも、本当にそうなのかしら?、嫌だと感じたら、あなたはもっと強く拒絶するタイプと思っていたんだけどね」 和「…誤解ですね」 久「実はまんざらでもなくて、「須賀くんなら、私の固く凍った心を溶かしてくれるかも、キュン///」、なーんて思ってるんじゃないかしら」 まこ「乙女じゃな」 和「そんなオカルトありえません。あと、その声真似やめてください。不快です」 久「あーらら、怒られちゃった」 和「もう…」 久「それにね、須賀くんは麻雀はヘッタクソだし、ときどき空気になるけど、相手が嫌なことをそんなにするとは思えないのよねー」 和「……」 咲「褒めているのか、けなしてるのか…」 久「まっ、いいわ。そんなに嫌なら、なんか条件出して断わっちゃいなさいよ。それが分かりやすいわ」 和「条件?」 久「ズバリ勝負ね」 まこ「「これに懲りたら、もう私に近づかないでよね、変態っ!」、ってとこじゃな」 久「今の可愛かったわよ、まこ。今度からは、ツンデレキャラとしてもやっていけるわね」 まこ「阿呆め」 優希「うまうま」モグモグ …いつの間にか、思い通りの展開になっていた。本当は自分でここまで持っていくつもりだったのに でも、ちょうどいいや はやり「いいぜ、それで。勝負しよう、和。それでこの話はもう無しだ」 和「…分かりました。では、何で?」 咲「自作小説」 優希「タコス作り」 久「ガールハント」 まこ「二人に任す」 はやり「……」 71: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:51:28.74 :MVeHCSPq0 まあでも、次に和ちゃんが何を言うか、想像はついてる 和ちゃんは、私がどれだけ本気かを試すつもりだ。そしてこの場所、空間。なら、そこから導き出される答えは一つに決まってる それは 和「麻雀にしましょう。順位でまさった方が勝ちということで」 ほらね、分かりやすい子。打ち方もそうだけど、その機械的なまでの均質さは彼女の弱点でもある だから、私がわざわざ誘導するまでもなく自動的にこうなる はやり「いいぜ」 「「えっ!?」」 優希「ほんとにいいのか京太郎?、間違いなく負け戦になるじぇ!、お前が死んだら、誰が私のタコスを作るんだじょ!」 久「アリがクジラに戦いを挑むようなものよ!」 まこ「もうちょい何か、いい案があると思うんじゃが…えーと、ほら…うーんと、ほら、腕相撲とか?」 咲「次回っ、京太郎死す!」 はやり「おいおい、みんな酷くない…いいんだよ、これで」 和「あなたがどれだけ本気なのか、私に見せてください。まあ、それができればの話ですけどね」 はやり「……」 なるほどね、須賀くんを、いや私を見くびっているってわけだ。自分は勝つに違いないと だけどね、真剣勝負の場ではね、それは命取りになるんだよ あなたの戦い方は知っている。100回やって、その中で如何にして相手より多く勝つか、これに尽きるから でもね、和ちゃん。たった一回の真剣勝負において、その考え方がどれだけ危ういことなのか、身をもって教えてあげるよ はやり「ごめんね、和ちゃん」ポツリ 和「?」 残念だけど、あなたは負ける。だってそこは、私の独擅場なんだから。あなたの入る余地はない はやり「さあ、席に着いてくれ。和、咲、それと部長もお願いします」 まこ「おんしらはともかく、わしらは本気で打ってもええんかのう」 はやり「ええ、そうしてください」 だって、そっちの方が計算しやすいんだもん。優希ちゃんとか、久ちゃんって、変な打ち方してよく分からないとこあるし はやり「さあ、行きますよ」 ねえ、和ちゃん。私が教育してあげるよ _______ ____ __ 72: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:52:43.57 :MVeHCSPq0 優希「勝った…のか?」 久「ど、どうやら…そうみたいね。ちょっと信じられない展開だわ…」 優希「相変わらずの素人麻雀で、のどちゃんに競り勝つとは…」 久「運が良かったとしかいいようがないわね…」 咲ちゃんが1位、まこちゃんが2位、私が3位、そして── 和「な、な、なっ……」 はやり「4位、和」 須賀くんの打ち方をできるだけ模倣しつつ、咲ちゃんとまこちゃんを利用しながらのギリギリ3位 我ながら、計算されつくしたほぼ完璧な闘牌 ねえ、和ちゃん。弱いなら弱いなりの戦い方っていうのがあるんだよ。強いだけのあなたには、ちょっと分からないかもしれないけどね 咲「……」 まこ「なんか、変な感じのする対局じゃったな、咲」 咲「…ええ」 ちょっと不自然が過ぎたかな。咲ちゃんは麻雀に関してだけは、異様に勘が鋭いから何かを察知したみたい まっ、それでも姿形が『須賀京太郎』の、私の正体が分かるわけないけど 久「で、どうしよっか?」 まこ「時間も時間じゃし、いつもなら帰る場面なんじゃが…」 優希「のどちゃん放心しちゃってるじょ…」 和「」 はやり「いいですよ。俺が見ときますんで、正気に戻ったら一緒に帰りますから」 まこ「そ、そうか?」 久「そうね、じゃあ後のことは、若い二人にお任せして」 まこ「お見合いか」 優希「ご趣味は?」 咲「読書を少々、麻雀はたしなむ程度に//」 優希「なんと控えめで素敵な女性!、結婚しよう!!」 咲「まっ///」 はやり「…とっとと、帰りやがれ」 73: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:53:35.34 :MVeHCSPq0 和ちゃんと私以外は、それからすぐに部室から姿を消した 今この部室には、私と和ちゃんだけ。しかも、和ちゃんは放心状態 このくらいの年齢の男の子は、女の子と二人っきりになるとすぐ襲っちゃうものだって、物の本に書いてあったような そして、そこから始まるラブストーリーもあるって、須賀くんの持ってたちょっとエッチな本に書いてあったような そういえば、東京ラブストーリーの中で、女の子の方からセック──生殖行為を要求する場面があった。今で言う肉食系ってやつ? もしかしたら、ここで和ちゃんを襲わないのは、それはそれで典型的男子高校生としては不自然なことなのかもしれない はやり「えいっ」 試しにほっぺを突っついてみる はやり「わっ、わわっ!?、すごい弾力…!」 …今度は花瓶の水をちょっと腕に垂らしてみる はやり「す、すごい…!弾く、弾いてるよ、これ!?」 はやり「……」 はやり「あー…」 なんだか虚しくなってきた。やめよう、こんなことしても何にもならないよね ごめんね和ちゃん、あなたの身体でちょっと遊んじゃった 和「────はっ!」 あっ、正気に戻った 74: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:54:39.82 :MVeHCSPq0 はやり「あー…と」 和「どうやら…私は負けたみたいですね」 はやり「そうだな」 和「…どうしてなんでしょうか?」 はやり「勝負は時の運。今回ばかりは、運がたまたま俺を味方にしてくれただけさ」 和「そうでしょうか?、私には……いえ、やめましょう。では、約束通りあなたの──」 はやり「本当に嫌だったら、断ってくれていいんだぞ。俺は、そういうことはしたくない」 和「……」 ああ、なんて自分勝手でわがままな台詞。身体だけじゃなく、心まで高校生に戻ってしまったかのような…ごめんね、須賀くん 和「……」 和「私は、あなたの言う通り、夏のインターハイからずっと、どこか変な感じがしていたんです」 和「最初はそれが何なのか、よく分かりませんでした。だから、どうすればいいのか分からなくて、一人で悶々としていたんです」 和「そんな時、須賀くんがいきなり変なことを言いだして、それを聞いた瞬間頭がカーッとなってしまって」 はやり「変なこと、とは失礼な」 和「それからしばらくは、あなたの言った言葉の意味はよく分かりませんでした。というより、実感の方だけが伴わなかったといいますか」 和「けれど、何度も何度も頭の中で反芻していくうちに、やっぱりその通りなんかじゃないかって、最近思えるようになったんです」 和「ねえ、須賀くん。私は、一体どうしたらいいんでしょうか。あなたはその答えを知っているのですか?」 75: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:56:09.51 :MVeHCSPq0 はやり「よく大人は、『子供には無限の可能性がある』とか言うけど、そんなのは嘘っぱちだ」 はやり「そんなものは、何にも成れなかった大人が、過去の自分に対しての幻想を、その子供に押し付けているに過ぎない」 はやり「大抵の人間は、何にも成れないし、何かを成すこともできない、所謂『普通』の大人になっていく」 はやり「別にそれが悪いってんじゃない、ただそれが現実ってだけだ」 和「はい」 はやり「だけど和、お前には才能がある。お前には、この社会の中で、特別な何かに成れる可能性を持っている」 はやり「その可能性が、いずれどのようにして結実するかは分からない。けど、俺はそれを見てみたいとも思ってる」 和「……」 はやり「お前に足りないのは他人だ」 はやり「他の人間をもっと知って、心から憎んで愛し、そして喜ばすことができるようになれば、別の世界が見えてくる」 はやり「その先に、お前の欲しい答えがあるはずだ」 はやり「だから、もう一度だけ聞くぞ。これが多分最後のチャンスだ」 そう、私とあなたの 和「はい」 はやり「和、アイドルに成ってみないか?」 和「はいっ!」 その笑顔は、かつて私が持っていたものをすべて満たしているかのような、そんな笑顔だった 76: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:57:15.89 :MVeHCSPq0 ──10月上旬 長野 ─須賀京太郎 10月に入った。あれから、もう1ヶ月以上経つ。時間が進むのって早い またしても特にやることがなく、暇をしていたある休日。俺の生活に、突如変化訪れた はやり「須賀くんっ!!」 京太郎「ああ、瑞原プロ。こんにちは。どうしたんですか、そんなに慌てて」 はやり「あのね、話しがあるんだけど、その……ごめん、先に謝っておく。ごめん!」 京太郎「えーと……なんのことだかさっぱりで」 はやり「あっ、ごめっ……えと、あのね」 京太郎「まあまあ、とりあえず茶でも用意しますから、上がってください」 テーブルにコーヒーをを用意して、興奮した瑞原プロを落ち着かせ、二人とも席に着いた 京太郎「で、どういったご用件でしょうか?」 はやり「なぜ急にビジネスライクに……あー、でも、それとも関係あるのか」 京太郎「?」 はやり「実はね、須賀くんにやってほしい仕事があるの」 京太郎「…そんなにかしこまった様子だと、『瑞原プロ』としての仕事ってことみたいですね」 京太郎「でも、それなら、俺は麻雀弱いから無理ということで、既にチームには大会の参加は不可だと伝えているはずだったでしょう?」 はやり「そうじゃないの、麻雀の方じゃなくて……アイドルとしての活動をしてもらいたいの」 京太郎「……アイドルぅ!?」 77: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 00:58:21.47 :MVeHCSPq0 はやり「昨日、ここから出た後のことなんだけど、マネージャさんからメールで連絡があってね」 京太郎「ふむふむ」 はやり「そろそろ活動を再開してもらわなくちゃ困るって、泣きつかれちゃって…」 京太郎「いやいやいや、そんなの断っちゃってくださいよ!」 はやり「須賀くん…」 京太郎「むりっすよ!、俺、ちょっと前まで普通の男子高校生だったんですよ!?、いくら瑞原プロからの頼みとはいえ──」 はやり「須賀くん、アイドル活動ってその人だけのものじゃないの。私が稼がないと、マネージャーとか事務所とかにも影響が出てくるの」 はやり「新作を全く書かない作家に就いている編集者がもしいれば、その人はいずれクビになっちゃうってわけ」 京太郎「いや、でもですね…」 はやり「勝手な頼みってのは分かってる。だけどお願い。難しいことをしろとは言わない」 はやり「私もマネージャーさんに掛け合って、できるだけ負担の少なそうな仕事を選んでもらうから」 はやり「だから、お願い…」ウルウル うっ、ガタイのいい身長182cmの男子高校生の上目づかい…別の意味で破壊力満点だぜ 京太郎「……」 でも、瑞原プロの頼みか…そういえば、初めてのことかもしれないな、こんなこと こんな状況に陥ったのは、もちろん偶然のことだけど。今の生活があるのは、もちろん瑞原プロの援助のおかげでもあって この部屋に住めるのだって、彼女がお金を支払ってくれたから。こんなニートみたいな生活を送れるのは、他でもない彼女のおかけなのだ こうやって事実を列挙していくと、俺、ヒモみたいだな… 78: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 01:00:06.39 :MVeHCSPq0 京太郎「……分かりました」 はやり「そ、それってオッケーってこと…?」 京太郎「か弱い女性を悲しませるのは、俺の信条に反します。その頼み、引き受けますよ」 はやり「あ、ありがとうっ…!」ダキッ 京太郎「ちょっ!、痛いっ、痛いっす」 はやり「あっ、ご、ごめん。ちょっと、力強かったみたい」 京太郎「い、いや、大丈夫です…はは、なんとか」 こんなでかい奴に抱きつかれると、身動きすらとれないもんなんだな。体格差があると、これほど違うものなのか やっぱり、瑞原プロはか弱い女性らしい。世間でどう思われようとも、俺だけはそれを知っている これは、趣味の悪い優越感か? はやり「これで気兼ねなく、和ちゃんのアイ──じゃなかった、学園生活を謳歌できるってもんだよ!」 京太郎「アイ…?」 はやり「あ、アイはアイでも、虚数単位のiだから!?、アッアー、明日の数学の時間楽しみだなー」 京太郎「そ、そうすか……学校生活を満喫しているようでなによりです」 はやり「まあね」 京太郎「そんなに楽しいもんですか?」 はやり「うんっ!!」 ただひたすら、楽しいことだけを追い求めているような、純粋さそのままの子供のような満面の笑み 彼女のこんな笑顔、初めて見たかもしれない そんな顔をされてしまうと、ほんの少しだけ、嫉妬してしまいたくなる その後、色々と細かい打ち合わせを済ませて、瑞原プロは帰っていった 京太郎「俺が、アイドルねえ…」 1ヶ月ちょっと前の俺に、「未来の君は、アイドル活動をしているんだよ」、と言ったって、誰も信じないだろうな アイドルというものが何なのか、よく分からないままの突然のアイドル活動 そんなことをしていいものか、俺にその資格はあるのか、そもそもこんなことうまくいくのか… 残念ながら、俺の些細な不安なんか、現実にとってはどうでもいいらしかった とにかく、俺のアイドル活動は、この小さな部屋から幕を開けたようだ 79: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 01:01:04.48 :MVeHCSPq0 ──10月上旬 東京 ─須賀京太郎 京太郎「ふおぉー、緊張してきたー…」 マネ「緊張するなんて珍しいわね、大丈夫?」 京太郎「プロデューサーさん…」 マネ「誰がプロデューサーさんだ、誰が」 この人は、俺の──というより瑞原プロのマネージャーさんだ キリッとしたスーツ姿の美しい女性 以前なら、間違いなく近くに寄っただけで、下半身の京ちゃんが熱膨張を引き起こしてしまいかねない魅力的な人だ …まっ、現在はなんともないけど。ま、まさか心の方まで女体化が進行しつつあるなんてことはないよね? マネ「あんた、十分休んだんだから、今日はビシバシ働いてもらうわよ」 京太郎「はーい」 今日は、俺のアイドル活動第一弾としての、言わば試運転の日になる 所謂、握手会というやつだ。これなら、特段特別なスキルは求められないので、最初にやるにはもってこいの仕事 ──なのかもしれない。実はよく知らない 瑞原プロが、このように手配してくれたのだ。正直、かなり助かる 80: ◆Lw8TjwCkqM:2015/06/02(火) 01:02:02.61 :MVeHCSPq0 マネ「それにしても、あんたその…大丈夫なの?」 京太郎「はい?」 マネ「はい?、じゃないわよ。その手よ、手。酷い腱鞘炎で、しばらく大会には参加できないっていうから、心配してたのよ」 京太郎「はい?」 マネ「まっ、あんたももう若くないんだし、仕事柄そこらへん酷使するから、そうなっても仕方ないのかもねえ…」 け、腱鞘炎て…まあ、確かに悪くない言い訳かもしれないけど、腱鞘炎て… マネ「今日は握手するだけだし、重い物持ったりもしないから大丈夫だと思うけど、痛くなったら早く言うのよ?」 京太郎「うん、分かってる。ありがとうね」 なんだか、良い人を騙したような気分になってくる。罪悪感。いや、その分さらに頑張ってやるのが男というものか 京太郎「んじゃ、行ってくるよ」 マネ「んー…ちょっと待ちなさい。表情がちょっと硬いわね」 そういや、瑞原プロも笑顔が一番大事って言ってたな 京太郎「こう?」 マネ「いや、もうちょい口角をさ、イーってな感じで、うん、うん…よしっ、オッケー!、さっ、行ってらっしゃい」 この身体になってから長いこと経つけど、口調はともかく他人の表情一つまねるのすら、結構苦労するもんなんだな その点、一発で俺になりきってしまう瑞原プロは、やっぱりすごいと素直に思う 京太郎「よしっ、今度こそ行ってきます!」 読む →
2014年09月14日 00:30 豊音「トヨネダヨ…アケテ…アケテ…」 元スレ 全てのレス 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/09/13(土) 21:59:26.73 :hePIh3qb0 塞「ひぃぃ!?」 豊音「ネェ?ナンデイジワルスルノ?アケテ…」ドンドン! エイスリン「オマエ トヨネジャナイ!カエレ!」 白望「そうだ!来るな!」 豊音「ミンナ…チョーヒドイヨー」 白望「酷いのはお前だ!胡桃を、こんな目に遭わせて!」 胡桃「はぁはぁ……」 2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/09/13(土) 22:03:51.24 :4yrD9KHBo ポポポ 読む →
2014年04月12日 13:30 咏「えりちゃん、今日の飲み会付き合ってくんね?」 元スレ 全てのレス 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/11(金) 18:45:36.47 :tkhYWR5+0 えり「……」テクテク 咏「もうすぐ着くから~」ヒラヒラ えり「はい……でも本当に良いんですか?」 咏「何が~?」 えり「プロの方々の飲み会に、私が参加しても……」 咏「別に良いんじゃね~? 知らんけど~」ヒラヒラ えり「知らないじゃ困りますよぉ……何しに来たって顔されたら私」ウゥ 咏「大丈夫だって~、えりちゃんは心配症だねぇ」 えり「でもでもぉ……」ソワソワ 咏「……」ニコニコ 咏(そういう所も可愛いんだよなぁー! えりちゃんはー!) 読む →
2013年07月04日 00:30 戒能良子「神代の病人」 関連SS 京太郎「神代の守人」 小蒔「神代の戻人」 滝見春「神代の浄人」 戒能良子「神代の病人」 薄墨初美「神代の狩人」 宮永咲「神代の想人」 石戸霞「神代の良人」 元スレ 4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/29(土) 17:09:41.62 :0hQFfYEeo 俺と良子さんは電車に揺られて隣県の奈良まで向かっていた。 「春と合流出来るのは何時頃に?」 「すぐに来る……たぶん、メイビー。」 下らない会話をしていたら目的の駅に着いた。 俺たちはロープウェイに乗り継ぎをして件の温泉旅館に向かうことにした。 旅館の受付を済ませて部屋に行く。 「しかしよかったんですか?」 「ん? 何が?」 「態々泊まりにしてましたけど三人だとお金結構掛かりますよね?」 「ノープロブレム、子供が気を使うな。」 「その代わりと言ってはなんだけど一つ聞いていい?」 「なんですか?」 「気になったんだけど……如何に神様と言えどオカルトの回数を制限できるの?」 「確かに京太郎はあの時ゴッドを降ろした。」 「善狐も確かに憑いていたしトークもした。」 「狐にお供えや御参りする事で信仰で狐自体が強くなったから園城寺さんの負担も減ると思う。」 「でも一巡先は結局のところは園城寺さんが使うオカルト。」 「園城寺さん本人が無理にでもオカルトを使おうと思えば使えるのでは?」 「さぁ……どうでしょうね。」 「もしかしてマネーを受け取らなかったのって……」 「信じるものは救われるってやつです。」 読む →
2013年06月11日 19:05 健夜「私まだ若いけど結婚を意識する年齢なのかな?私まだ若いけど」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/08(土) 23:57:24.86 :hhqrKyQ50 恒子「急にどったのすこやん」 健夜「いや、この間雑誌読んでたらそんな電波に見舞われまして」 恒子「なんの雑誌?」 健夜「ゼクシィ」 恒子「…」 健夜「…」 恒子「…すこやん今27だっけ」 健夜「はい」 恒子「…確かにそろそろ考えた方がいいかもねぇ」 健夜「はい」 恒子「ちなみに当てはあんの?」 健夜「いいえ」 恒子「…」 健夜「近所に住んでて幼い頃から面倒を見てくれる優しいお兄さんもやんちゃだけど憎めないツンデレな幼馴染も私の事お姉さんお姉さんって慕ってくれる可愛い弟分も スポーツ万能で日陰者な女の子あこの場合私のことねにも別け隔てなく接してくれる爽やかなイケメンクラスメイトも私の人生の道程には転がっておりませんでしたので」 恒子「…」 読む →
2013年04月11日 17:05 戒能「クールでビターでスウィート」 元スレ 全てのレス 5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/10(水) 18:13:38.35 :Bd4+gCem0 ~飲み屋 恒子「どもどもー遅くなりました~」 健夜「お疲れ様~」 咏「おっせーぞふくよーん」フリフリ はやり「おっせーぞーっ☆」 戒能「グッドイブニングですー」 恒子「いやー、すんません…って、もう一部は出来上がっちゃってますねぇ」 はやり「酔ってまぁす☆」ゴロゴロ 咏「もなずくー」 読む →
2013年04月10日 21:05 健夜「今年ももうすぐあの季節がやってくるね……」靖子「ええ……」 元スレ 全てのレス 2:>>1ありがとう:2013/04/04(木) 23:57:51.89 :R9Rid1ZgP ―――――――都内、某個室居酒屋 健夜「プロ麻雀せんべいカードの写真撮影………!」 靖子「………」 えり「たしかにまあ、プロ雀士の方々にとって頭の痛い問題でしょうね」 健夜「アナウンサーはそういうの無くていいよねえ」 えり「いえ、私たちもカードではありませんがそういう仕事あるんですよ」 健夜「え」 えり「女子アナウンサー名鑑」 健夜「ああ……」 読む →
2013年04月08日 17:05 野依「野依日和!」プンスコ 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/08(月) 00:10:07.72 :IQuuoGLb0 【野依さんはちょっと口ベタなプロ雀士さんです……☆】 村吉「今日も解説お疲れ様です、野依プロ」ペコ 野依「おつかれさま!」 村吉「このあと近場の居酒屋で打ち上げがあるんですが……よかったらどうですか?」 野依「……!」モジモジ 村吉「…あ、いくらなんでも急すぎですよね。すいません……」 村吉(……ん?)ジーッ 野依「……!」 野依「……!!」プンスコ 村吉(あ、喜んでるのか) 読む →
2012年10月22日 15:05 はやり「歳の差っていけないこと?」 元スレ 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/21(日) 22:26:26.79 :ppjbEaot0 瑞原はやり(28)。牌のおねえさんやってます。 「オッケーでーす! お疲れ様でしたー」 はやり「お疲れ様でした☆」 D「はやりちゃん今日も良かったよー」 はやり「ありがとうございまぁす☆ はやり嬉しいっ」 みんなに笑顔を振りまいてお仕事終了。 元々こういった人前に出るお仕事は好きだし、この歳でアイドルだとか、そういう体裁を気にしたことはない。 幸い容姿的には-十歳でも通用するし――キツいと言われることがない訳ではないけど――何より自分が楽しんでいるから。 ほんの少しのキャラ付け、興味のあったロリータファッション。お砂糖スパイス素敵なモノ。 これら全てが私の一部。 読む →