2023年08月12日 21:00 右京「だんだん相棒との別れ方がひどくなってる気がしますねぇ」 元スレ 全てのレス 1:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/03/22(日) 11:24:17.09 :C2UIs4b0p.net ーロンドンのホテルー 右京「亀山くんのときは彼が自主的に辞職したので快く別れられましたが」 右京「神戸くんのときは本人の意思を尊重せず、半ば無理矢理部署異動したみたいですしねぇ」 右京「そしてカイトくんに至っては……」 右京「やはり僕は人材の墓場なのでしょうかねぇ、無期限の謹慎処分が解かれたらまた一人ですし」 プルるるるる 右京「おや、電話ですか、誰でしょう?」 右京「もしもし」 ???「もしもし、おひさしぶりです、杉下さん」 読む →
2023年08月05日 22:30 右京「被疑者は……武藤遊戯……ですか」 元スレ 全てのレス 1:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/02/09(月) 18:03:09.46 :65VbNxow0.net 亀山「右京さん!インセクター羽蛾殺人事件の容疑者リストが出来上がったそうです!」 右京「ああ!亀山くん」 ――――――――――――――――――――――――――― 右京「全部で4人ですか……」 右京「おやっ!……高校生も含まれていますねぇ……」 右京「……武藤……遊戯……変わった名前ですねぇ……」紅茶スー 読む →
2021年10月06日 18:00 肉棒 勃った二人の特命係 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しが深夜にお送りします:2014/10/15(水) 12:10:39 :b0G8bzWg 亀山「右京さんっ俺とホモセックスしてください!!!」右京「はいぃ?」亀山「俺すごくムラムラしてるんです。だから早く俺のケツの穴にぶち込んでください!」右京「亀山君、落ち着きなさい。ムラムラしているなら自慰をしたらどうです?」亀山「そういう問題じゃないんです!右京さんはセックスしたい時、自慰で我慢出来ますか?」右京「確かに出来ませんねぇ。しかし困ったことに今はゴムを持ち合わせていません」亀山「そんなのいらないですよ。生でぶち込んで下さい」右京「生の危険を知りなさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!!!!」亀山「!?」 読む →
2020年07月03日 00:00 右京「タイムパラドクスゴーストライター?」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2020/07/01(水) 00:24:33.81 :A7tKNGJh0 相棒×タイムパラドクスゴーストライターのクロスssです。 よろしければどうぞ。 2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2020/07/01(水) 00:25:53.45 :A7tKNGJh0 「くぅ~!ハッピーエンドで終わってよかったなぁ~!」 五月某日、警視庁特命係の部屋で組対5課の角田課長がマイカップに注がれたコーヒーを飲みながらある雑誌を読み耽っていた。 その雑誌とは集英社から毎週月曜日に出版されている全国の子供たちが愛読する少年ジャンプ。 昭和の時代から発行された少年向けの雑誌を中年の角田課長がそれも警視庁の職場で読み漁っていた。 「角田課長、いくらなんでもここで少年ジャンプを読むのはどうかと思いますけど…」 そんな少年ジャンプを読み漁る課長を冠城亘が思わず注意を促した。 いつもみたくコーヒーを飲みに来るのであれば冠城も咎めたりはしない。 だがいい歳をした中年が、それも組対5課の課長ともあろう人が少年ジャンプを読んでいれば注意されるのは当然だ。 「固いこと言うなよ。家だと女房が鬼滅の刃のコミックスを独占して満足に読めないんだからさ。」 「鬼滅の刃…それっていま話題のあの漫画ですか…?」 「そうだよ。8000万部も突破したあの超人気漫画だよ。うちの連中みんな夢中でさ…」 そんなことを言われて冠城が隣の組対5課を覗くと殆どのデスクに鬼滅の刃のコミックスが置かれていた。 冠城も名前だけは知っていたがまさかここまで人気だとは思いもしなかった。 読む →
2020年03月03日 20:00 幼女「うぅ…>>3が産まれるぅ!」杉下右京「おやおや…」 元スレ 全てのレス 1:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/11/25(月) 12:24:03.429 :rd4eqyDCa.net 幼女「>>3が産まれちゃうよぉ!!」 杉下右京「これはいけません!亀山くん!>>7の準備を!」 亀山「はい!右京さん!」 3:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/11/25(月) 12:24:39.681 :dFh5ebZba.net >>1 7:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/11/25(月) 12:25:02.113 :BA2YUgmgd.net ギロチン 読む →
2020年02月01日 23:00 相棒 右京「ちはやふる?」 元スレ 全てのレス 1:やまお ◆zrdihTOThA:2020/02/01(土) 18:49:58 :6rf6AQUg 風子「そうなんだ。」友携帯「あ、そろそろ行かなきゃ。ごめん切るね!」ケッコン シタイ風子「あっちょっと!」ツーツー…風子「切れちゃった…今血痕、死体って…もう一度掛けて」プププ… 友携帯「何?今忙しいの!」風子「今どこ?何してるの?」友携帯「公園だよ!忙しいから切るよ。すぐ行かなきゃ、じゃあね!」ツーツー…風子「…掛からない、電源が切られたのね。」 読む →
2020年01月17日 07:00 亀山「う、右京さん! 顔プル激しくしないで!」 右京「うるさいですね……」プルプルプル 元スレ 全てのレス 1:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/16(Thu) 23:19:59 :M0Tvr44m0.net 亀山「あ、あぁ~ッ!」 チノ「はい、今日の推理は終わり。お疲れさまでした」 ワイ「うぅ……あ、ありがとうございました……」 数週間前、念願の警視庁に就職したのだが、『犯人に銃取られて人質にされるような警察官がいると警視庁の信用が無くなるのでは』 という懸念の声があり、結果、特命係に配置換えされることになった。しかし右京さんはなんだか ワイのことがキライみたいで、いつもいつも不愛想に更年期顔プルプルして、犯人タイホタイホなのだった。 読む →
2020年01月01日 19:00 右京「万引き家族?」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2019/12/16(月) 01:32:38.92 :w7wIwWN50 相棒×万引き家族のssです。 クロス元は去年カンヌ国際映画祭で出展された作品になります。 よければ見てやってください。 2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2019/12/16(月) 01:34:49.27 :w7wIwWN50 2018年6月末日――― 時刻は昼の12時過ぎ、都内某所にある商店街を背広姿で歩く二人の男たちがいた。 警視庁捜査一課に所属する伊丹と芹沢の両刑事。 いつも通り眉間にシワを寄せて顔を強ばらせる伊丹に駆け寄りながら付いていく芹沢。 二人が目指すのはこの商店街の裏通りにある小さなスーパーだ。 「オイ、さっさとついてこい。時間ねえんだぞ。」 「わかってますよ。けど昼飯くらいちゃんとした場所で取りましょうよ。」 「バカ言え。そんな余裕があってたまるか。」 警視庁捜査一課の刑事となれば多忙なのは当然。 だが食事をする余裕もないほど時間に追われていた。 ちなみにこのスーパーだが既に築30年は経過している悪く言えばボロ屋な建物。 店内は簡素な作りで表通りにあるチェーン店のスーパーとは比較にもならないボロさが悪目立ちしていた。 いくら時間がないとはいえもう少し場所を選んでも罰は当たらないだろと芹沢も内心愚痴を吐く始末。 そんなスーパーに伊丹と芹沢は揃って入店した。 読む →
2019年04月27日 00:30 相棒「目撃者・後日談 ~16年ぶりの再会~」 関連SS 相棒×聲の形「灯台下暗し」 相棒「目撃者・後日談 ~16年ぶりの再会~」 元スレ 全てのレス 3:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2019/04/21(日) 14:21:09.94 :i/o/WJrU0 以前、相棒と聲の形のクロスオーバーSS「灯台下暗し(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1526886958/)」を投下したものです。 二度目のSS投下となります。 以下は、読む前に把握していただきたい事です。 1.本作品はタイトル通り、相棒のシーズン1第5話「目撃者」の続編というコンセプトのオリジナルSSです。 該当エピソードを視聴していれば、より楽しめるかと思いますが、 それ故に同エピソードのネタバレが多分に含まれます。 2.時系列はシーズン17第3話と第4話の間。 なので相棒は冠城君で、特命係に青木君がいて、花の里も営業中です。 3.ストーリーの都合でオリジナルキャラや独自設定も出てきます。 苦手な方はご注意ください。 最後に、先述のクロスオーバーSSと世界観は共有していますが、 本作においては全く触れる事はないので、読んでいなくても大丈夫です。 むしろ、「目撃者」を観ていた方が、より楽しめるかと思います。 4:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2019/04/21(日) 14:22:29.03 :i/o/WJrU0 ―2018年・11月某日― 雨が降りしきる深夜……人気のない場所で密かに事件が起きていた。 その場所には、胸から血を流した、みすぼらしい風貌の男性が1人倒れている。 外見からして、ホームレスであろうか。 そのホームレスらしき男性を黒服の男が見下ろしており、 手には何かを持っている様子であった。 更に翌日、深夜1時過ぎ…… 東京都世田谷区のとある公園で、また事件が起きる。 胸に何かが刺さった1人の男性が、倒れたまま動かなくなっていたのである。 そして、彼の目の前には、黒い服の青年が1人立ち尽くしている。 その青年の手には、ボウガンらしきものが握られていた。 読む →
2018年06月07日 07:10 相棒×聲の形「灯台下暗し」 関連SS 相棒×聲の形「灯台下暗し」 相棒「目撃者・後日談 ~16年ぶりの再会~」 元スレ 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 16:15:58.62 :YOGuTys40 初投稿になります。 以下は、この作品を読む前に把握していただきたい事でございます。 1.この作品は、相棒と聲の形のクロスオーバーSS。 時系列は相棒側は、シーズン16第1・2話が終了してから 第8話までの間の11月という設定で、右京さんの相棒が冠城亘君です。 聲の形は、小学生編になります。 2.世界観は相棒寄り。聲の形の年代も相棒側に合わせた形になります。 3.ストーリーの都合で、双方の原作に登場していないオリキャラや独自設定が出て来ます。 苦手な方はご注意して下さい。 最後に、私は聲の形そのものは未見です(そもそも、見る勇気が…) 一応ネタバレ情報等は見ていますが、それでも原作と合わない部分が出てくるかもしれないことをご了承下さい…… 2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 16:16:24.68 :YOGuTys40 ―2017年 11月― 岐阜県のとある市で『ある事件』が起きた。 それは、『見落としてはならないもの』を 見落としてしまった者達が犯してしまった大きな過ち…… これは、そんな彼らと関わった2人の刑事の物語である。 3:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 16:16:52.46 :YOGuTys40 ~相棒シーズン16 オープニング~ 4:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 16:17:18.33 :YOGuTys40 相棒×聲の形 ~1日目~ ある日、東京から岐阜県水門市を2人の男が訪れた。 1人は眼鏡を掛け、スーツを着た初老の男。 もう1人は、彼より若い男。 初老の男の名は『杉下右京』 警視庁の陸の孤島にして人材の墓場とも言われる『特命係』の係長で、 数々の難事件を解決してきた、本庁きっての切れ者にして変わり者で有名な人物だ。 もう1人の若い男は『冠城亘』 かつては法務省事務次官『日下部彌彦』の下にいたキャリア官僚で、 当初は出向という形で特命係を出入りし、何かと右京に絡んできていたが、 1年前に起きたある事件をきっかけに法務省をクビになり、警察学校に入学。 その数ヶ月後、紆余曲折合って杉下右京の現在の相棒となった。 ちなみに、彼が本格的に特命係入りを果たして、今年で早二年目である。 5:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 16:17:48.95 :YOGuTys40 冠城「ここですね」 そんな窓際部署の2人は、とある一軒家に辿り着く。 表札には『伍堂』と書かれてある。 早速、その家の呼び鈴を右京が鳴らすと、中から若い風貌の男性が姿を現した。 若い男性「はい…どちら様でしょうか?」 右京「東京の警視庁から来ました、特命係の杉下右京です」 そう言いながら警察手帳を見せる右京に続いて、 冠城も「冠城です」と名乗った。 右京「交番巡査の伍堂圭三さんですね?」 「警視庁からの命令で、あなたが東京への旅行の際に落とした、警察手帳をお届けに上がりました」 と言って、スーツの中から自分の物とは別の警察手帳を差し出す右京。 それを見て「あぁ、間違いない!僕のですよ!」と言って手帳を受け取る伍堂と呼ばれた男。 今回、特命係に下された命令は、この伍堂刑事に警察手帳を届ける事だったのである。 6:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 16:18:25.07 :YOGuTys40 伍堂刑事「ありがとうございます!」 「見付からなかったらクビだと部長から言い渡されて、どうしようかと思っていたところで……」 「本当に、助かりました!」 冠城「お礼は、届けてくれた方に言って下さい」 右京「今度からは気を付けて下さいよ?」 「念押しで常に持ち歩くのは構いませんが、警察手帳は我々警察官の命のようなもの」 「今回は、善良な市民が拾ってくれたから良かったものの、万が一犯罪者の手に渡りでもしたらそれこそ大変です」 伍堂刑事「以後、気を付けます!」 右京の注意を受け、びしりと敬礼する伍堂刑事。 そんな彼に見送られながら、特命係の2人は家を後にした。 7:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 16:19:06.44 :YOGuTys40 冠城「しっかし、旅行先で警察手帳落とすなんて、間抜けにも程があると思いませんか?」 右京「もっともな意見です。後は、気を付てくれるようになる事を祈るしかありません」 冠城「それにしても、内村刑事部長も面倒なお使いを頼んだものですね……」 「いち早く届けなければならないものだったとはいえ……」 「何も、東京から離れたこんな所に、わざわざ俺達送り込む必要ないんじゃないですかね?」 「持ち主も分かってるんだし、郵送で送ればいいのに」 右京「あの方の事ですから、恐らくそれすら面倒だったのでしょうねぇ…」 冠城「ところで…ちょっとお腹空きません?」 右京「言われてみると……」 冠城「じゃあ、早速近場の店でも探しましょうか?」 右京「構いませんが、出来る限り安いお店をお願いします。 僕達は、観光に来たわけではありませんからねえ」 冠城「ホント、真面目ですね。少しくらい羽目を外しても罰は当たりませんよ」 と言いつつ、冠城はスマホを取り出して、近場の安い店を探し始めた。 8:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 16:19:56.84 :YOGuTys40 右京「…?」 その時であった。右京がふと、側にあった小学校の裏門目を向けてみると、 門の向こうで小学6年程度の3人の少年の姿が目に留まる。 それ自体は、特に何でもなかったが、問題は少年達の様子…… 3人の内2人が、1人の少年に暴力を振るっていたのだ。 右京「冠城君…!」 冠城「どうしたんで……あっ!」 右京の声掛けで目の前で起こっている事に気付いた冠城は、店を探すのを中断。 すぐさま2人の少年に向かって「君達、何してるんだ!」と叫ぶ。 その声に反応した2人の少年は、まずい…!と言った様子でその場から逃げ出した。 9:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 16:22:08.02 :YOGuTys40 少年「………」 一方、暴行を受けていた少年は、その場からフラフラと立ち上がりながら、 門の向こうにいる右京達にゆっくり顔を向ける。 右京「大丈夫ですか?」 冠城「酷い怪我だね…一度保健室で診てもらった方がいいよ」 右京「僕達も一緒に行って先生に相談してあげますよ」 少年「……」 優しく声を掛ける特命係の2人であったが、少年は何も言わずにフラフラと立ち去った。 予想外の反応に、冠城は不思議がる。 右京「?」 一方、右京はある事に気付く。向こうにある体育館らしき建物の陰から、 限りなくピンク色に近い茶色の髪をしたショートボブカットの少女が覗き込んでいたのだ。 だが、その少女は右京に見付かったのに気付いたのか、すぐに建物の陰に姿を消してしまう。 冠城「どうしました?」 右京「いえ……何も」 冠城「それにしても今の……ただ事じゃありませんでしたね」 右京「そうですねぇ……」 冠城「腹ごしらえの前に、立ち寄りますか?ここ……」 問い掛ける冠城。 右京の答えは、言うまでも無くYESであった。 10:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 16:23:21.80 :YOGuTys40 ―水門小学校 校長室― 水田校長「私が、校長の水田門木です」 校長室に招き入れられた特命係の2人に自己紹介をし、お辞儀をする水田校長。 それに対して、特命係の2人もお辞儀し返し、水田校長に促されて椅子に腰かける。 水田校長「警察の方が、何のご用でしょうか…?」 右京「実は、少しばかり確認したい事がありましてね…」 水田校長「確認……ですか?」 右京「つい先程、校舎内でこちらの学校の生徒さんが、別のクラスか同じクラスかは分かりませんが……」 「2人の生徒さんから、暴力を振るわれているところを見掛けました」 「そこで、この学校で何が起こっているのか、確かめようかと……」 冠城「申し訳ありませんね。細かい事が気になる方でして」 水田校長「…………」 右京の問いに、水田校長は顔を曇らせた。 11:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 16:23:54.23 :YOGuTys40 冠城「……?」 その様子に冠城は怪訝に思う。 一方、校長はそれに気付かないままこう答えた。 水田校長「多分……喧嘩か何かでしょう」 右京「喧嘩?」 水田校長「はい…当校では、生徒が他の児童に暴力行為を行ったと言う事実は、確認されていません」 「しかし、年頃の子供も多いですからね……ちょっとした事で、衝突を起こすといった事はあると思いますよ」 右京「なるほど…ちょっとした衝突による喧嘩ですか………」 冠城「となると、思いの外大した事ではなかったって訳ですね?」 冠城の言葉に水田校長は「はい…」と答えた。 右京「お忙しい所、お時間を取らせてしまいました…」 水田校長「いえ構いません。これも、あなた方の仕事でしょう……?」 冠城「そうですね。じゃ、行きますか?」 右京「えぇ…これで、失礼します」 こうして右京は、冠城と一緒に校長室を後にしようと立ち上がったが…… 12:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 16:24:59.36 :YOGuTys40 右京「あ…!最後にひとつだけよろしいですか?」 13:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 16:25:36.40 :YOGuTys40 と言って、また校長にある事を聞いた。 右京「この学校で、他に何かしらのトラブルがあった事はありませんでしたか?」 「例えば、先程の男の子の件とは別に、いじめもしくはそれに相当する事案があったとか……」 水田校長「…………いいえ」 右京「そうですか…」 一言そう答えると、右京は冠城を連れて校長室を後にした。 それを確認すると、水田校長は自分以外誰もいなくなった室内で 「ふぅ……」と、まるで肝が冷えるような状況から脱したかのように、安堵の表情を浮かべていた。 14:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 16:31:51.78 :YOGuTys40 ―水門小学校 廊下― 校長室を後にした特命係の2人が、外に向かって歩いていたその時であった。 ???「だから何度も言ってるだろう!お前にアイツらを糾弾する資格は無い!」 右京と冠城「「?」」 突然、向こうから誰かの怒鳴り声が聞こえる。 何事かと思いその先に向かい、覗き込んでみると、 そこには先程の少年が、教師と思われる眼鏡を掛けた男性と向かい合っている。 一応、少年は手当てを受けたらしく、顔中絆創膏だらけ。 だが、教師らしき男性は彼に対し、何故かあまりいい顔をしていない。 それだけにとどまらず、こうも言い放った 教師「これはお前がまいた種だ!自分でやった事は、自分でどうにかしろ!」 少年「け、けど……」 教師「何だ?文句があるなら、言ってみろ」 少年「…………」 教師「無いならさっさと教室に戻れ!次の授業に間に合わんだろ」 教師に吐き捨てられ、少年は何も言い返さずに教室に戻っていく。 その一部始終を、特命係の2人は隠れて静観する。 そして…… 15:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 16:32:33.74 :YOGuTys40 少女「……………」 右京「……」 右京はまた、あの少年の姿を心配そうに見ている少女の姿を目撃するのであった。 16:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 16:34:51.23 :YOGuTys40 その後、校舎から離れた特命係の2人は、近場に飲食店で食事をとる事になった。 冠城「どうです?あなたのご注文通り、近くて安いお店を探してあげました」 右京「確かにそうですが……」 冠城「そうですが……何か?」 右京「この料理…明らかに君好みのものではありませんか?」 冠城「別にいいじゃないですか。パイナップル入りの酢豚がある訳じゃあるまいし…」 右京「そういう問題ではないですがねぇ……」 そのようなやり取りを交わしつつ、淡々と料理を口にしていく特命係の2人。 その途中、冠城はいきなり「右京さんは、どう思います?」と問い掛けた。 17:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 16:37:16.96 :YOGuTys40 右京「何がですか?」 冠城「何がって…さっきの事ですよ」 「率直に言って、俺はあの校長は怪しいと考えています」 右京「怪しい、ですか……」 冠城「えぇ……」 「あの2人の少年が彼にしていた事は、喧嘩にしては明らかに度が過ぎてる感じだったし…」 「何しろあなたに問い掛けられた時、あの校長の顔色は明らかに変わっていました」 「そこで俺が考えたのは、『学校があの少年へのいじめを知りながら、見て見ぬ振りをしているではないか?』ということなんですが……」 右京「確かに、色々と気になる点があるのは事実です。しかし、ひとつ分からない事があります」 冠城「分からない事って?」 右京「先程の少年の担任と思われる教師の言葉です」 「あの時彼は、『これはお前がまいた種だ!自分でやった事は、自分でどうにかしろ!』と言っていました」 「それも、あんなに傷だらけな少年を前にしてです」 18:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 16:38:35.95 :YOGuTys40 冠城「確かに、なんか引っ掛かりますね」 右京「いずれにせよ、あの学校が何か隠しているのは、間違いないでしょう」 冠城「それをはっきりさせないと気が済まない」 右京「えぇ…」 冠城「そう来なくちゃ、面白くありませんね」 右京「冠城君…遊びではありませんよ?」 右京の突っ込みに、冠城は「分かってますっ!」と返す。 冠城「で?次は何処当たるつもりですか?」 右京「その事ですが、もう決めてあります」 冠城「何です?」 右京「それはですねぇ……」 19:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 16:42:15.48 :YOGuTys40 数時間後…… 水門小学校は下校時間になり、生徒達が次々と正門から出て家路に就く。 その様子を、特命係の2人が遠くから隠れて覗いている。 冠城「どうして、下校中の子供達を見張らなくちゃならないんです?」 右京「…………」 冠城「ここで待ち構えて、さっきの少年を捕まえて話を聞き出すという算段ですか?」 右京「………………」 冠城「まあ確かに、方法としてはありかもしれませんが……」 右京「君……少し黙っててくれませんか?」 冠城「すみません……」 と言って頭を下げる冠城。 20:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 16:42:54.34 :YOGuTys40 右京「…来ましたよ」 冠城「え…?」 その直後、目当ての子供が学校から出てくる。 それは、先程少年の様子を見ていた少女であった。 少女は、特命係の2人が見張っている事に気付かないまま、家路に就く。 冠城「女の子?」 右京「行きますよ」 冠城「あ…はい!」 予想外の相手に戸惑いつつも、冠城は右京と共に彼女を尾行する。 一見すると、普通に歩いて帰っているように見えるが…… 21:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 16:48:39.65 :YOGuTys40 冠城「………あの娘、やけにキョロキョロしてません?」 冠城の言う通り、少女はやたらと周囲を気にしながら歩いている様子であった。 右京「確かにそうですねぇ……」 冠城「まさか、俺達の気配に勘付いたとか?」 早くも尾行がバレたと考える冠城。その時、彼の横を自転車に乗った男性が走り抜ける。 運が悪い事に、男性の行く先には、尾行中の少女がいた。 しかし、男性は曲がるのが面倒なのか、 避ける気配がなく代わりにベルを鳴らして自分の存在を知らせている。 少女「…」 だが、何故か少女は振り返らず、まるで何事もないかの如く前進している。 冠城「危ない!」 冠城の声と共に特命係は助けに出ようとしたが、 尾行の為に距離を取っていたせいだろう、間に合わなかった。 22:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 16:52:28.39 :YOGuTys40 キキ――ッ! が、男性の方が寸での所で急ブレーキを掛けた為、衝突は避けられた。 少女「!!」 そして、ようやく自分の後ろに自転車が来ていた事に気付いたのだろう、 少女は男性の方に振り返り、驚いている。 その際、右京は彼女の耳に注目したのだが、この時誰も気が付いていない。 男性「馬鹿野郎!何であんだけ鳴らしたのに避けねぇんだよ!今度から気を付けろ!!」 怒鳴り付けてくる男性に対し、少女は無言で頭を下げている。 そんな彼女の様子を確認すらしないまま、男性は走り去った。 彼が走り去るのを確認すると、少女は再び歩き出す。 23:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 16:55:28.30 :YOGuTys40 右京「…大事に至らなくて良かったですね」 冠城「しかし、感じ悪い人でしたね」 「目の前に人がいると分かってるんだから、自分の方から避ければいいのに……」 男性の行動に呆れ返る一方、冠城はある疑問を抱く。 冠城「けど…何であの娘、ベルの音に気付かなかったんでしょうか?あれだけ鳴らされたら、普通誰だって気が付くのに……」 右京「どうやらあの娘、耳が不自由なようですよ」 冠城「何でそんなこと分かるんですか?」 右京「今、ほんの一瞬だけ耳に補聴器を入れているのが見えたもので……」 冠城「相変わらず、細かいところに目が行くこと……」 右京「君もせっかく鼻が利くのですから、視野も広くなくては困りますよ」 右京の言う事に冠城は「出来る限り精進してみます」と答えた。 それと同時に、彼女がやたらと周囲を気にしているのに納得がいった。 音がよく聞こえない以上、他に頼れるのは自分の目だけ。 だからこそ、周囲に気を配らねばならなかったのだろう。 24:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:00:05.47 :YOGuTys40 そんな事がありつつも、2人は少女の尾行を続けた。 尾行の末、彼らは一件のマンションに辿り着く。 彼女の入っていったマンションを前に、冠城が「ここがあの娘の家ですか…」 と呟く一方、右京はマンションに向かって歩き出す。 冠城「あ、ちょっと待って下さいよ!」 自分を置いて先に進む上司の後を、冠城は急いで着いて行く。 彼らが向かったのは、マンションの管理人室。 そこで、マンションの管理人と対面する。 25:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:01:20.06 :YOGuTys40 管理人「私が管理人の者です」 右京「どうも…警視庁特命係の杉下右京です」 冠城「冠城亘です」 特命係の2人は、名乗りながら警察手帳を管理人に見せた。 管理人「警察の方が、ウチに何のご用で…?」 右京「実は、お会いしたい方がいらっしゃいましてねぇ……」 管理人「お会いしたい方?どちら様で?」 右京「こちらのマンションに、『西宮さん』と言う方は住んでいらっしゃいますか?」 管理人「西宮……えぇ、確かに住んでますよ。何か、御用で?」 右京「大した事ではありません。少し、確認したい事があるだけです」 冠城「何はともあれ、西宮さんのお宅に案内してくれませんか?」 管理人「分かりました」 こうして、特命係の2人は西宮家の前に案内された。 26:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:02:02.73 :YOGuTys40 管理人「こちらです」 右京「どうもありがとう……」 冠城「今回の事は、我々が本部に直接お伝えしますので、後はお任せ下さい」 管理人「分かりました。どのような事情があるのか知りませんが、お仕事頑張って下さい」 そう言い残して、管理人は立ち去った。 27:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:02:41.91 :YOGuTys40 冠城「……さて、そろそろ話してくれませんか?」 右京「何をですか?」 冠城「とぼけないで下さい」 「何で急に、あの娘を尾行しようなんて話しになったんです?」 「おまけにあの娘の名前……いつ知ったんですか?」 「俺達、まだ一度もあの娘と会ってないはずなんですが」 右京「実は、先程あの少年の様子をあの娘が覗いているのが見えましてねぇ……」 「彼女が何か知っているのではないかと思ったんです」 「その上、胸のところに名札をしていました。名前はそこから…」 冠城「本当に細かい所に目が行きますね」 「とはいえ……目の付け所はいいと思いますよ?」 「隠し事をしようとしている人や被害者本人をつつくより、目撃者に当たった方が情報を得られる確率は高いですからね」 右京「分かったのならば、行きますよ」 冠城「はい」 28:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:03:20.36 :YOGuTys40 ピンポーン! 一通り話しを終えると、特命係の2人は西宮宅の呼び鈴を鳴らす。 すると、1人の老婆が玄関の扉を開けて顔を出す。 この家に暮らす少女の祖母『西宮いと』である。 いと「はい?」 右京「西宮さんですか?」 いと「そ、そうですが…あなた方は?」 右京「東京の警視庁から来ました、特命係の杉下右京です」 伍堂刑事の時と同じ要領で名乗りながら警察手帳を見せる右京と、 それに続いて「冠城です」と名乗る冠城。 唐突な警察官の訪問に、いとは目を丸くした。 29:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:12:06.85 :YOGuTys40 いと「あの…警察の方が、どうして?」 右京「お宅にいらっしゃる娘さんに、用がありましてねぇ…」 冠城「もう学校も終わってる時間ですし、戻られていますよね?」 いと「え、えぇ…しかし孫に何のご用が?」 右京「大した事ではありません。少し、お話しを聞きたいもので…」 いと「とにかく、外で立ち話も何ですので、中へどうぞ…」 右京「お心遣い、感謝します」 冠城「お邪魔させて頂きます!」 30:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:13:32.70 :YOGuTys40 いとに案内され、西宮宅に上がり込む特命係の2人。 すると今度は、黒髪のショートヘアーのボーイッシュな出で立ちの少女が待っていた。 少女の3歳年下の妹『西宮結絃』である。 結絃「婆ちゃん、その人達誰?」 いと「警察の方よ。ウチの娘に用があるみたいなのよ」 結絃「それって……ひょっとしてオレ?」 右京「残念ながら違います。君より3歳くらい年上の娘の方で……」 結絃「それって姉ちゃん?」 冠城「そんな所だね……」 結絃「それじゃあ、オレ呼んでくるから、その間そこで婆ちゃんと一緒に待ってなよ」 結絃はそう言って姉を呼びに向かっていった。 31:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:14:21.26 :YOGuTys40 いと「やれやれ、気が早いね……」 冠城「いえ…むしろ大助かりですよ」 右京「それにしても、随分とボーイッシュなお孫さんですねぇ…」 いと「おや…ゆずが女の子だと分かるんですか?」 右京「えぇ……」 「髪も短く服装も男性的で、パッと見た感じ男の子に見えますが」 「目元や唇、顔の輪郭等に少女としての特徴が見えたものでして……」 いと「これはまた、随分と細かいところに目を付けたこと……」 右京「そういう所を気にしてしまう性分でして……」 冠城「しかし…あの娘、あれですよね?今時で言うその、僕っ娘……的な、そういうのですよね?」 いと「………」 冠城の言葉に、いとは何故か表情を曇らせた。 32:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:15:50.68 :YOGuTys40 いと「それだけなら、まだ良かったんですがね……」 冠城「え…?」 いと「何でもありません。こちらの事です……」 「ゆずが、もう1人の孫を連れて来るまで居間の方で待っていて下さい」 こうして特命係の2人は居間に案内され、自家製のしそジュースを振る舞われる。 それから少しすると、ショートボブカットの少女が結絃の手で彼らの前に連れて来られる。 彼女こそ、暴行を受けた少年を見つめていた少女だ。 33:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:16:35.33 :YOGuTys40 結絃「ほら、これがお姉ちゃんに用事がある刑事さんだよ」 右京「どうも初めまして。特命係の杉下右京です」 冠城「冠城亘です」 少女「…………」 自己紹介をする特命係の2人に対し、 少女は何も喋らず、代わりに両手で何かしらのジェスチャーを見せた。 34:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:17:46.91 :YOGuTys40 冠城「?」 結絃「刑事さん、手話分かんないかな?」 冠城「ごめんね…こう言う子とは、筆談でしか会話した事なかったから……」 「ちなみに…何て言ってたの?」 結絃「『始めまして、私の名前は西宮硝子です』だよ」 右京「西宮硝子ちゃんと言うのですか…」 冠城「硝子ちゃんは、喋る事も出来ないんですね」 いと「全く喋れない訳ではありません」 「しかし、生まれ付き耳が不自由だったことが祟って、正しい声の出し方が分からないもので……」 結絃「だからさ、刑事さん達には悪いけど、オレが通訳やるから、お姉ちゃんに何聞きたいのか話してくれない?」 35:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:18:48.20 :YOGuTys40 右京「その必要はありませんよ」 結絃「え?」 予想外の答えに結絃はキョトンとする。 そんな彼女をよそに、右京は硝子の前に立ち目線を合わせると、 笑顔を浮かべながら手話で 「僕は特命係の杉下右京。あちらにいるのは、冠城亘君…」 「今日は、君にお話しがあってここに来ました」 と伝える。 極々自然に手話を使う右京の姿に結絃は驚いた。 36:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:19:17.10 :YOGuTys40 結絃「す、凄い!刑事さん、手話出来るの?」 右京「彼と違い、いかなる相手ともコミュニケーションを取れるよう、必要最低限のスキルは身に着けているもので……」 冠城「右京さん……今、さり気なく僕の事けなしませんでした?」 と冠城は突っ込んだが、右京は無視して手話で硝子との会話を始める。 37:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:22:58.86 :YOGuTys40 右京「硝子ちゃん……今から僕の質問に、正直に答えて下さい。いいですね?」 手話を交えながらの指示に梢子は「分かりました」と手話で伝える。 右京「今日、君の通っている学校でいじめられている男の子を見かけました」 「君は、その男の子の事を心配そうに見ていましたね?」 右京の問い掛けに、硝子は少し表情を濁しながら「はい…」と手話で答えた。 右京「一体彼は何故、あんな事になってしまったのですか? 「彼の事を見ていた君なら、何か事情を知っていますよね?」 更なる質問を掛ける右京。 だが、硝子は複雑そうな表情を浮かべ、手話をやる手を止めてしまう。 39:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:25:57.33 :YOGuTys40 いと「おや…どうしたんだね?」 硝子「………」 中々その先を話そうとしない硝子。 その様子は、心を痛めているように見える。 一方、右京の手話を見ていた結弦は、何かに気付いたかのように右京にある事を聞く。 結絃「刑事さん……横から悪いけど、そのいじめられていた男の子ってどんな奴だった?」 右京「そうですねぇ…黒く、ボサボサした髪をしていて、少しばかりつり目な印象受けました」 結絃「ボサボサ頭のつり目……」 「もしかして……『石田』かな?」 40:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:26:25.86 :YOGuTys40 右京「石田?」 結絃「石田将也……お姉ちゃんをいじめてた野郎さ」 「ひょっとして刑事さん達、お姉ちゃんが学校でいじめられた事、調べてるの?」 右京「はいぃ?」 結絃の言葉に、右京らは疑問の表情を浮かべた。 41:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:27:28.36 :YOGuTys40 結絃「違うのか?」 右京「確かに、僕達が調べているのは、あの学校で起こっているいじめの事ですが…」 冠城「僕達は、男の子がいじめられている事実を確認しようと、硝子ちゃんに話を伺いに来ました」 「だから、硝子ちゃんがいじめられていたという話しは、初耳です」 右京「一体、どういう事なのでしょうか?差し障りがなければ、お教え頂けませんか?」 いと「えぇ…」 42:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:27:58.80 :YOGuTys40 そう言っていとは、事の経緯を語り始める。 梢子があの学校の6年2組へ転校したのは、今年の4月頃…… その時は、特にこれと言った異変はなかったのだが、6月頃から何かがおかしくなり始めた。 硝子がずぶ濡れで帰ってきたり、筆談用に持たせたノートや靴を紛失したり…… 挙句の果てには補聴器の紛失と故障が8回、それに伴って耳を負傷するという事態が発生。 そこで硝子と結絃の母親が、学校側を問い質したのだという。 43:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:30:06.53 :YOGuTys40 いと「そこで開かれた生徒会で、石田君が犯人である事が判明したんだそうです……」 右京「そうでしたか…」 冠城「しかしその石田君、どうして硝子ちゃんをいじめたんですかね?」 「8回も補聴器に手を出すなんて、さすがにやり過ぎだと思いますよ」 結絃「決まってんじゃないか。お姉ちゃんが耳悪いから、その事バカにしてたんだよ!」 「オレも、アイツが姉ちゃんの補聴器捨ててるとことか見たし!」 結絃の一言に特命係の2人は、硝子の身に何が起きたのか大体把握できた。 人は、自分と大きく異なるものを見ると、 珍しがってちょっかいを出したり、排除しようとしたりするもの。 要するに、石田は硝子の聴覚障害をネタに彼女をいじめていたのだろう。 そう思う一方で、右京の脳内に『ある疑問』が渦を巻き始める…… 44:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:31:02.30 :YOGuTys40 いと「ゆず……落ち着きなさい。その事はもう終わったんだから………」 結絃「け、けど……」 冠城「終わったって?」 結絃をたしなめるいとの一言に、疑問を呈する冠城。 45:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:31:28.41 :YOGuTys40 ???「ただいま」 その時であった。1人の女性が部屋にこの家に入ってきたのである。 彼女こそ、梢子と結絃の母親である『西宮八重子』だ。 結絃「……!」 いと「おや八重子、今日は随分と早かったねぇ」 八重子「今日は色々とあってね…あら?あなた達は?」 右京「どうも…警視庁特命係の杉下です」 冠城「冠城です…諸々の事情があって、お邪魔させてもらっています」 八重子「ふーん……?」 特命係に対して無関心そうに振舞う八重子であったが、硝子がこの場にいる姿を見て顔色を変える。 46:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:33:39.45 :YOGuTys40 八重子「硝子!アンタ、宿題は終わったの?」 硝子「あ……ぅ………」 八重子「その様子だとまだなようね。さっさと部屋に戻りなさい!」 冠城「あ…あの、奥様?僕達、彼女に用事がありましてね……」 八重子「うるさいわね!アンタ達には関係ないことよ!」 結絃「ちょっと母さん!この刑事さんの話しも聞いてやりなよ!」 八重子「アンタもうるさいわね!」 「大体、何で警察がウチに上がってるのよ?ウチは、何もやましい事やってないわよ!」 「ほら硝子!部屋に戻りなさい!」 そう怒鳴り散らした末、八重子は硝子を無理矢理自室に引っ張っていった。 47:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:34:31.83 :YOGuTys40 結絃「クソ!アイツめ……!」 いと「これ、ゆず……」 「刑事さん、娘の八重子が不快な思いをさせてしまい、申し訳ありません……」 冠城「いやいやいや!不快だなんてとんでもない!」 右京「いきなり上がり込んだのは、事実ですからねぇ…早々に退散させてもらいます」 「硝子ちゃんも、少しばかり話すのを躊躇っている様子でしたし、無理強いは出来ません」 「また、日を改めてお伺いします……」 いと「え、えぇ…」 こうして、申し訳なさそうないとを背に、特命係の2人は西宮宅を後にする。 その後、いとは心配そうに…… 結絃は恨めしそうに…… それぞれ違う表情で、母親に無理やり連れていかれた 硝子の部屋の扉を無言で見つめるしかなかった。 48:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:38:39.60 :YOGuTys40 ―水門市内― 冠城「まさか、あなたに手話の心得まであったとは驚きです」 「あなたの事ですから、耳の不自由な人間が関わった件がいくつかあってもおかしくないとは、思っていましたが……」 「その手の方と直接会話する術を、きちんと持っていたんですね?」 右京「かくいう君は元はキャリア官僚だったんですから、手話のひとつくらいは出来なくてはならないと思うんですがねぇ……」 冠城「申し訳ありませんね。あなたと違い、幽霊やプリキュアに関心を持てる程の多趣味性がないものでして……」 右京「冠城君……前者はともかく、後者はあの時の捜査に必要だったから調べただけであって、大して興味があった訳ではありませんよ」 冠城「大して興味がないのなら、シールになっている人物が何のアニメのキャラクターなのか特定するのに、結構時間が掛かるはずです」 「しかし、俺の記憶が正しければ、あなたは写真に映ったあのシールを見てから」 「あのキャラクターがプリキュアである事を特定するのに、あまり時間が掛からなかったような気がするんですが……」 「そこのところ、どうなんです?」 右京「…………」 冠城の問いに、右京は何も答えなかった。 黙秘を実行した上司に、冠城は先程けなされた仕返しが出来たような気分になるが、 「まあ、その事はともかく……」と言って気持ちを切り替える。 49:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:40:45.45 :YOGuTys40 冠城「右京さんはどう思いました?硝子ちゃん達のお母様の態度……」 「確かに唐突に上がり込んだのは俺達だし、2人の刑事2人がいきなり上がって来たと知ったら」 「最初のお婆様みたく自分達が疑われてるんじゃないかと勘ぐってしまうのは、まあ分かりますが……」 「だからといって、あんなに言うことないと思いませんか?」 右京「確かにあまりにも辛辣ではないかと、僕も思います。ただ……」 冠城「ただ?」 50:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:41:15.03 :YOGuTys40 右京「あのお母様からは、何かしらの『意思』を感じました」 冠城「意思ですか?」 右京「ご本人は、厳しい顔のままでいるつもりだったようですが、僕には彼女の目から強い意思が宿っているように見えました」 「それが何なのか、現段階では見当が付きませんが、障害を持つお子様がいらっしゃる家庭です。何か複雑な事情があってもおかしくはない……」 冠城「ああいう家庭は、デリケートな面が多いですしね」 「ただ、それなら何で硝子ちゃんは、あの学校に通ってるんでしょう?」 「あの水門小って学校、見た感じ普通の学校ですよね?」 右京「その点も気になりますが、今重要なのはそちらではありません」 冠城「あの少年の事ですね」 冠城の言葉に右京は「えぇ…」と答えると、こう続ける。 51:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:44:53.76 :YOGuTys40 右京「この一連の調べで、あの子の身に起きた出来事の背景が少しずつ見えてきました」 「結絃ちゃんの話しが正しければ、あの少年の名前は石田将也……当初彼は、西宮硝子ちゃんをいじめていた」 「最初はただちょっかいを出しているだけだったのか、それとも始めからいじめに相当する行為だったのか……」 「いずれにせよ、石田君は硝子ちゃんが難聴である事を理由に嫌がらせを行った」 「その行為が積みに積み重なり、とうとう彼女の補聴器を8度に渡って故障・紛失させ、その上耳を負傷させる事態にまで発展させてしまった」 「恐らく、昼間彼の担任と思われる方が言っていたのは、この事を指していたのでしょうねぇ……」 冠城「この事から石田君は硝子ちゃんをいじめた事で、クラス内から報復を受けている可能性が高い」 「となると、あれは石田君の自業自得と言う事になりますが……」 52:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:47:01.88 :YOGuTys40 右京「そうだった所で、あのようなやり方が許されると思いますか?」 「それに、今日我々が知ったのは、硝子ちゃんと石田君がいじめを受けていたと言う大まかな事実だけ……」 「詳しい状況を把握した訳ではありません」 「硝子ちゃんいじめの報復と断定するのは、あまりにも早過ぎる」 冠城「俺達、まだ石田君本人に話を聞いていませんしね」 「それに、『もう終わった』という西宮さん達の言葉も気になるし……」 「……ん?」 53:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:48:11.87 :YOGuTys40 その時であった。噂をすれば何とやらか、向こうの道を昼間見た少年…… 即ち、石田将也がトボトボ歩いている姿を特命係の2人は発見する。 昼間の暴行の跡である、顔の絆創膏が相変わらず痛々しい。 そんな印象を彼らが抱いていると、石田は一件の店に入っていく。 それは『HAIR MAKE ISHIDA』と書かれた看板がある床屋であった。 54:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:48:56.37 :YOGuTys40 冠城「HAIR MAKE ISHIDA(ヘアメイクイシダ)……」 右京「恐らく、ここが彼の自宅でしょう。そして、看板にイシダとあると言う事は……」 冠城「やはり、彼が石田将也君で間違いない…」 右京「…冠城君」 冠城「何ですか?」 右京「至急、今夜泊まる宿を探して下さい」 55:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:50:25.60 :YOGuTys40 「東京に帰るのは、まだ少し先になりそうです」 56:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:53:14.44 :YOGuTys40 冠城「了解……」 57:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/21(月) 17:55:42.03 :YOGuTys40 1日目(第1話)はここまでになります。 次回は、石田周りを攻めて行きます。 以下は補足 その1.伍堂圭三。 本作のオリジナルキャラクターです。名前の元ネタは特にありません。 当初は伍堂啓介にする予定でしたが、広瀬啓介と被るので現在の名前に変更したという経緯があります。 ちなみに彼、今後もストーリーに絡んできますのでお忘れなく。 その2.水門小学校の校長。 聲の形公式のキャラクターですが、原作アニメでは名無しの権兵衛でした。 当SSでは、名前が無いと少し不便かなと思い、勝手に名前を追加させてもらいました…… ちなみに、水田門木と言う名前にこれと言った元ネタは無く、 水門小学校の水門の響きから適当に着想したものです。 それと、右京さんが手話できるのはシーズン5元日スペシャルで披露された公式設定です。 また、聲の形側の月数はネットで調べた考察を参考にしているので、 原作と違うかもしれません事をご了承ください…… 63:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 11:56:44.37 :1GsLvrze0 相棒×聲の形 ~2日目~ 翌日の朝…… 西宮宅では硝子は朝食を終え、服を着替えて学校に行く時間になっていた。 硝子「………」 だが、硝子は1人気乗りしない表情を浮かべている。 そんな彼女が自身の脳裏に浮かべているのは、昨日いじめられたり、 教師に突き放されたりしていた石田の姿…… そして、その事を調べに来た右京の顔であった。 八重子「硝子!学校に行く準備は出来たの?!」 それを遮らんと言わんばかりに、怒鳴るような声と共に八重子が姿を現す。 64:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 11:57:13.85 :1GsLvrze0 八重子「もう出来てるじゃないの!早く行きなさい、遅刻するわよ!」 硝子「………」 八重子「何よその顔は!あの事はもう終わったのよ?」 「そんな顔をしてると、またあのクソガキに舐められるわよ!」 娘の表情に苛立つような表情を浮かべる八重子は、彼女の腕を無理矢理引っ張り、玄関へ連れて行く。 それを結絃は見逃さない。 結絃「母さん!ちょっとは優しくしてやれよ!」 八重子「うるさいわね。ほら!行きなさい硝子!」 反論しようとする結絃を無視して、八重子は硝子を押す。 八重子の強い押しに硝子は素直に従うしかなく、学校へと出掛けて行った。 65:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 11:57:40.01 :1GsLvrze0 八重子「さて…私も早く仕事に行かなくちゃね」 「母さん!私がいない間結絃を甘やかさないで頂戴」 結絃「ちょっと…婆ちゃんはオレらのこと甘やかしてなんか……」 バタン! だが、結絃の言葉を無視して、八重子も仕事に出て行ってしまった。 66:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 11:58:52.22 :1GsLvrze0 結絃「またシカトかよ!」 いと「ゆずや、仕方ないよ……」 「それに、石田君の事ももう終わったんだから………」 結絃「石田の事……か」 67:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 12:00:11.58 :1GsLvrze0 いと「……どうしたんだい?」 結絃「いや、昨日の刑事さんの言ってた事が少し気になってさ」 いと「石田君がいじめられている……確かそんな事言ってたねぇ」 結絃「アイツがいじめられようが、知った事じゃないけどさ…」 「『何でそれを、刑事さんが調べてるんだろ?』って思って……」 「しかも、姉ちゃんがそれを見てたっていうし……」 「一体、何が起きてるっていうんだ?」 いと「…………」 結絃「とにかく、学校が終わったら姉ちゃんに聞いてみるよ」 いと「そうね……そうするのが一番かもね………」 68:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 12:00:39.65 :1GsLvrze0 ―石田宅― 石田「母ちゃん…俺、行ってくるから」 一方、石田もまた学校へ登校しに行く所であった。 美也子「行ってらっしゃい……ショーちゃん」 そんな彼を、母親の『石田美也子』は見送る。 しかし、玄関を出る石田の後ろ姿は、とても暗く映った。 69:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 12:03:27.04 :1GsLvrze0 美也子「…………」 何故彼は、あんなに暗いのだろうか? そう言えば昨日、傷だらけで学校から帰ってきた。 いや、昨日だけではない。 本人は、また学校ではしゃぎ過ぎたといっていたが…… その割には、あまりにも傷の具合が酷過ぎる。 美也子(やっぱり……あの子………) 70:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 12:04:01.04 :1GsLvrze0 いじめられているのか? そう考え、美也子は首を横に振った。 もし仮にそうであったとして、自分に何が出来る? 彼が硝子をいじめたのは紛れもない事実…… いじめの加害者の母親の自分がいくら言った所で、 よその子をいじめた母親が何を言うのかと断じられるのは目に見えている。 美也子「ショーちゃん……」 それでも彼女は、これ以上何もしてあげられない自分に、歯がゆさを感じた。 71:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 12:06:22.77 :1GsLvrze0 ―水門小への通学路― 小学校低学年・高学年が自身の母校へと向かう道。 その途中で、石田と硝子が出くわした。 石田「あ…」 硝子「…………」 目が合ってしまう2人…… 石田はとても複雑そうにしている一方、硝子は彼の顔をジッと見ている。 彼の顔には、未だに昨日の傷の手当てをした跡である、絆創膏が貼られてある。 72:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 12:06:51.50 :1GsLvrze0 石田「な…なんだよ?」 硝子「…………」 石田「なに人の顔ジロジロ見てんだよ!」 硝子「……………」 石田「あぁ…そういやお前、耳聞こえなかったんだっけ?それでいて、凄く音痴で……」 硝子「……………」 石田「大体、俺がこうなったのは全部お前のせいだ!お前なんか来なかったら…!」 まるで、今の自分の状況に対する苛立ちをぶつけるかのように言い放つ石田。 しかし硝子は、表情を崩さず彼を見続けている。 そんな彼女に、石田は余計苛立ちを募らせた。 73:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 12:07:22.20 :1GsLvrze0 石田「ンな顔されても分かんねぇよ!なんか言いたきゃはっきり言えよ!このぉ!」 当たり散らすように硝子を軽く押し飛ばすと、石田はさっさと先に行ってしまう。 それでも梢子は、怒らずに彼の後ろ姿をジッと見つめていた…… 74:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 12:07:57.56 :1GsLvrze0 ―旅館の前― 冠城「さあて…右京さん、今日は何処から行きますか?」 そう言いながら旅館から出て来つつ、「やっぱり、石田君のお宅ですか?」と冠城は隣を歩く上司に尋ねた。 右京「そうするつもりですが、今日は別行動と行きましょう」 冠城「別行動ですか。それは面白い……」 右京「…………」 面白がっている様に振る舞う冠城に対し、右京は冷ややかな目を向けた。 冠城「冗談です!だから、何をすればいいか教えてくれません?」 右京「………それはですね」 右京は、冠城に何をして欲しいのかを説明した。 75:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 12:09:40.82 :1GsLvrze0 冠城「分かりました。出来る限りやってみましょう」 右京「お願いします。僕は、石田君のお宅を当たります」 こうして、2人はそれぞれ別の場所へと向かって行った。 77:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:13:20.56 :1GsLvrze0 ―HAIR MAKE ISHIDA― 店内には客がおらずガラガラであった。 石田の硝子いじめが発覚して以来、こんな調子なのだ。 あんな出来事が起きたのだ、何処からか噂が流れて石田家に不信感を抱かれてもおかしくない…… ???「お邪魔します」 だがその時、誰かが店に入って来る。 美也子「いらっしゃいませ…」 美也子が店の出入り口に目を向けると、そこには眼鏡とスーツ姿の男が1人…… 言うまでもなく、特命係の杉下右京だ。 右京は、「どうも初めまして。こういう者です……」と言いながら警察手帳を見せた。 78:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:14:30.44 :1GsLvrze0 美也子「警察?」 右京「東京の警視庁にある特命係から来ました、杉下右京です」 「あなたが、石田将也君のお母様ですか?」 美也子「は、はい。母の石田美也子ですが………」 右京「少々お話があります。お時間頂いても、よろしいですか?」 美也子「…………」 79:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:15:55.70 :1GsLvrze0 「はい、構いません……」 80:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:16:44.17 :1GsLvrze0 警察がウチに来た…… この事実に、美也子はある確信を抱き、右京を自宅の居間に案内した。 81:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:19:14.94 :1GsLvrze0 ―石田家の居間― 右京「本当にいきなり押し掛けて、申し訳ありませんねぇ……」 美也子「そんな事ありません。最近めっきりお客様が減ってしまって、暇でしたから…」 最近、客が減っている…… 何故、そうなっているのかについて、右京はあえて言及しなかった。 石田の硝子いじめが関連している事は、今までの調べで明らかであったからだ。 一方、美也子は恐る恐るこう尋ねた。 82:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:20:31.54 :1GsLvrze0 美也子「ところで、刑事さん……お話と言うのはもしかして、息子の……」 「ショーちゃ…じゃなくて、将也のことで来たのでは……?」 右京「そんな所です」 美也子「じゃあ目的は……」 右京「彼が、西宮硝子ちゃんに対して行ったいじめについて、詳しい話を伺いに……」 右京の一言に、美也子の表情が一気に重苦しくなる。 それだけ、息子の所業を憂いているという事なのだろう。 息子が硝子をいじめた事実に対する 強い責任と自任の念を美也子から感じつつ、右京は話しを続ける。 83:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:21:07.63 :1GsLvrze0 右京「ご察しであると思いますが、我々はとある事情から息子さんのした事を調べました」 「結果、西宮硝子ちゃんの事をいじめていた事実が判明した……」 「しかし、動機の面が未だ不透明でありましてねぇ……」 「硝子ちゃんの妹さんは、硝子ちゃんの難聴の事を馬鹿にしていたのではないかと仰っていましたが……」 「実際のところ、どうなのでしょう?」 84:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:22:32.24 :1GsLvrze0 美也子「…多分、その娘の言う通りだと思います」 「ショーちゃんは、友達とつるんで度胸試しとか言って河に飛び込んだり、自分より体の大きい人に喧嘩を売ったり……」 「親の私が言うのも何ですが、やんちゃ過ぎる悪ガキでした」 右京「随分と無茶をなさっていたのですねぇ……」 「しかし、止めなかったんですか?」 85:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:24:33.34 :1GsLvrze0 美也子「…………」 「はい……」 「数年前に夫が出て行って以来、1人で店を切り盛りしていて忙しかったですし……」 「何より、変に叱るより、好きにさせておいた方がいいと思っていました」 「一番上の娘も、しょっちゅう恋人をとっかえひっかえに連れて来てたので」 「尚更、子供達は自由にしておくべきだと……」 「けど、それがこんな事になってしまうなんて……」 右京「普段からやんちゃが過ぎていたという事は、硝子ちゃんへのいじめもそれの延長線上のようなものだったと?」 美也子「恐らくは…………」 「それに、今年に入ってから、お友達の子とつるむ事がなくなってきたので、それも関係しているのかもしれません」 86:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:25:04.63 :1GsLvrze0 右京「………」 「ところで、息子さんが硝子ちゃんをいじめた事で、学校から他に何か聞いていませんか?」 美也子「いいえ…将也が西宮さんのお子さんをいじめていたこと以外、なにも……」 彼女のその言葉に、右京は「なるほど……そうですか」と納得してみせる。 87:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:26:41.40 :1GsLvrze0 美也子「あの…聞きたいのは、それだけですか?」 右京「えぇ……何か?」 美也子「…せっかくお伺いしてくれた所、こんな事を言うのは申し訳ありませんが……」 「出来るなら、もう息子の事で来ないで欲しいんです……」 右京「…………」 「…息子さんの事で色々とお辛い事はご察しします」 「しかし、警察としてこの問題に目を瞑る訳には……」 美也子「違うんです」 これ以上、石田の事で責められるのが 嫌なのだろうと思って言った右京であったが、美也子はそれを否定した。 88:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:27:57.81 :1GsLvrze0 右京「違う?それは、どういう事で……?」 美也子「………」 89:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:28:23.80 :1GsLvrze0 「実は…………」 90:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:29:08.13 :1GsLvrze0 ―水門小学校― 6年2組の教室では、いつも通りの授業が行われ、いつも通りの時間が過ぎていた。 ただ1人、石田を除いては…… 91:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:29:37.42 :1GsLvrze0 石田「……………」 昨日特命係の2人に見付かった事があったのか、向こうがそう言う気分なのかは不明だが、 今日は肉体的苦痛を与えるようないじめは行われはしなかった。 だがその代わり、誰からも無視され、一部の生徒からはケラケラと笑われている…… 92:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:30:17.64 :1GsLvrze0 石田「ん…?」 その時であった。石田は自分の席に目を向けると、そこには梢子がいた。 一体彼女は何をしているのかと言うと、彼の机を雑巾がけをしている。 本来ならば、自分の机を誰かが掃除してくれる事は喜ばしい事であるはずなのだが、 相手がよりによって自分がいじめた相手…… 石田は、それが不愉快に感じた。 93:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:31:04.35 :1GsLvrze0 石田「おい!何勝手に人様机拭いてんだよ!あっち行け!」 硝子「あ……」 彼は怒鳴りながら梢子を机から突き放すと、もう手を出されまいと言わんばかりに席に腰掛ける。 それでも硝子は心配そうな目を向けるが、「何見てんだよ?さっさと行けよ!」と結局突き放されてしまう。 耳がはっきりと聞こえないとは言え、彼の様子からそう言われていると察したのだろう、 硝子はシュンとしながら彼の席から離れるしかなかった。 94:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:32:18.47 :1GsLvrze0 石田(たく…何なんだよ!) そう言えば、この前も勝手に机の中を漁っていた事もあったっけ……? と、硝子の行動を思い出したが、今の状況の事で頭が一杯な石田は、 その理由まで考える余裕はなかったのであった…… 95:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:33:57.92 :1GsLvrze0 その頃、校長室ではある男が水田校長に呼び出されていた。 石田がいる6年2組の担任教師である。 担任「校長…いきなり呼び出して、何でしょうか?」 水田校長「竹内君。実は昨日、警察の方が私のとこに来てね……」 校長の問いに、『竹内』と呼ばれた6年2組の担任は「警察が?」と少しばかり驚く。 竹内「一体、何の用で来たんで?」 水田校長「…………」 「『この学校の生徒が、暴力を振るわれている現場を見た』と……」 96:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:35:00.48 :1GsLvrze0 竹内「……………」 水田校長「一応、喧嘩と言う事にはしておいたんだが……」 竹内「…………」 「あなたが喧嘩だと思っていらっしゃるのなら、そうなのでは?」 水田校長「んーまあ…そうだと思いたいんだが……」 「向こうは『いじめか何かがあったのではないか?』と疑っているみたいでね」 竹内「それに対しては、何と答えたんです?」 水田校長「『特に何もなかった』と……」 97:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:36:01.65 :1GsLvrze0 竹内「……………」 「だったら、問題ないじゃないですか」 「西宮いじめの犯人は石田……そういう事で話しは付いたはずです」 「あれ以来、私のクラスも平和です。今更聞くような事じゃないでしょう?」 水田校長「それも、そうだな……」 「すまんね……西宮君のいじめ問題があったばかりだから、少し心配になって………」 竹内「本当に、要らない心配ですね」 呆れた風に返すと、竹内は「では、業務に戻らせてもらいます」と言って退室する。 98:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:37:34.28 :1GsLvrze0 竹内「ふぅ…………」 そして、校長室の外で安堵するかのように息を吐いた。 99:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:39:56.24 :1GsLvrze0 ―放課後― 石田はいじめられる前にさっさと家に帰ろうと、足早に学校を出ようと歩いていた。 ???「おい…!」 だが、正門を出た辺りで、彼は後ろから誰かに呼び止められる。 その声に石田は反射的に反応し、振り返ってしまう。 ???「お前……さっさと帰って逃げようとか思ってるんじゃねぇよな?」 振り返った先には、昨日自分に暴力を振るっていた2人の少年…… 名前は、『島田一旗』と『広瀬啓祐』 100:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:41:18.59 :1GsLvrze0 石田「な……なんだよ?何の用だよ?」 島田「インガオーホーの続き……」 石田「え…?」 島田「だから、昨日のインガオーホーの続き」 石田「…!」 島田の言葉に石田の表情が青ざめた。 要するに、昨日特命係に中断させられた暴行の続きを、今から始めようと言われたのだ。 101:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:42:19.98 :1GsLvrze0 石田「お、おい……こんな所で続きやるの、まずいんじゃねぇか……?」 島田「だから、今から場所移すんだよ……広瀬!」 広瀬「おう!」 島田に命令され、広瀬は石田を押さえつける。 石田「や、止めろよ…!明日でもいいだろ?!」 島田「そうやって逃げようたってそうは行かねぇよ」 考えを見透かしたかのように返す島田。 そして抵抗虚しく、何処かに連れて行かれそうになる石田。 だが…… 102:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:45:17.35 :1GsLvrze0 ???「ちょっと、そこの君達ぃ~」 103:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:45:48.54 :1GsLvrze0 突然、自分達以外の男性に呼び止められ、彼らはその声がした方向を振り返る。 島田と広瀬「「!」」 振り返った瞬間、2人は驚きの表情を見せる。 何故ならそこには、昨日自分達の石田へのいじめを止めてきた冠城亘がいたからだ。 104:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:46:26.62 :1GsLvrze0 冠城「その子を何処へ連れて行く気かな?」 島田「え…あ……」 広瀬「そ、それは……その………」 冠城「もしかして、昨日僕達のせいで出来なかった喧嘩の続きかな?」 島田と広瀬「「………」」 105:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:48:18.68 :1GsLvrze0 冠城「駄目だなぁ……」 「君達みたいな年頃になると色々あるのは分かるけど、だからって喧嘩は良くないよ?仲良くしなきゃ~」 広瀬「お、おい…!島田……」 島田「に…逃げろ!」 何でまた邪魔が……! と悔しさを感じたものの、今この場で捕まっては元も子もない。 そう言う訳で、広瀬と島田は一目散に逃げて行った。 106:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:48:58.03 :1GsLvrze0 冠城「…………」 この場から立ち去る彼らを見た後、冠城は「大丈夫かい?」と石田に声を掛ける。 彼らから解放された石田は、何も言わずにさっさとその場から立ち去ろうとした。 107:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:50:49.77 :1GsLvrze0 冠城「石田将也君だね?」 石田「!?」 だが、冠城に自分の名前を呼ばれ、石田は驚き、足を止めて彼を見た。 何故、彼は自分の名前を知っているのだろうか? 昨日、少し顔を合わせただけで、一言も会話していないのに…… 108:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:51:27.52 :1GsLvrze0 冠城「やっぱり……君が石田君なんだね?」 石田「あ…アンタ、一体……?」 冠城「話したいのは山々だけど、ここだとちょっとまずい……場所を移そう」 石田「あ…あ、あぁ……」 冠城の提案に流されるままに乗っかる石田。 こうして、彼を連れて移動を開始しようとする冠城であったが…… 109:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:53:59.95 :1GsLvrze0 冠城「?」 その時、後ろの方を見ると、硝子が遠くからこちらを見ている事に気付く。 しかも良く見てみれば、彼女の目線は石田の方にも向けられているようにも見えた。 110:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:55:26.48 :1GsLvrze0 冠城「…………」 冠城はその様子が少し気になったものの、 今は石田の方が優先であった為、その場を立ち去るしかなかった。 こうして冠城は、石田を連れて近場のファミレスに入り、 そして隠れるのに最適そうな席に腰掛けた。 111:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:56:46.01 :1GsLvrze0 冠城「ここなら、向こうの席からはすりガラス越しで君の姿は良く見えないし」 「外からも、僕の陰になって君の姿は誰にも見えない」 「唯一の目撃者は店の人とそこの監視カメラだけど……」 「店員が他の客に君の事を話すわけないし、監視カメラの映像だって一般人が見れるものじゃない」 「そもそもこんな店、子供だけで入れやしない……」 「どうだい?彼らから身を隠すには、打って付けだろ?」 そう言ってウインクしてみせる冠城。 だが、石田は彼に対する不信感を拭いきれなかった。 そんな中、店員の女性が冠城が注文したオレンジジュースを石田に持って来る。 112:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:57:33.87 :1GsLvrze0 冠城「ほら……喉乾いただろ?」 石田「け、けど……」 冠城「僕からのおごりだ。遠慮しないで飲めって」 石田「………」 冠城にそこまで言われると、石田は半ば仕方なしにオレンジジュースに口を付ける。 そして、彼が全部飲みきったあたりで、冠城は表情を切り替える。 113:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:58:48.84 :1GsLvrze0 冠城「自己紹介がまだだったね。僕はこういう者だ……」 そう言って冠城は、自分の手帳を見せる。 冠城「警察手帳……一度くらいは見た事あるだろ?」 石田「! じゃ…じゃあ、アンタは……!」 冠城「僕は、東京の警視庁から来た刑事だ」 「名前は、冠城亘……」 石田「冠城亘……」 114:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 15:59:50.19 :1GsLvrze0 冠城「さて、どうして僕があそこにいたのかだけど……」 身分を明かした冠城は、昨日島田達のいじめを止めた後、 右京と共に色々と調べて回った事を石田に明かした。 冠城「そうして君の事を調べていく内に、君が西宮硝子ちゃんをいじめていた事が分かったという訳だ」 「だから、あそこで君を待っていたんだ。その事を詳しく聞く為にね」 石田「…………」 事情を聞かされた石田の表情は重かった。 当然だろう、自分の所業がこんな形で警察に知られるとは、思ってもみなかったのだから。 そして、冠城がその事を咎めに来たのだろうとも考えた。 115:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 16:01:58.60 :1GsLvrze0 冠城「言っとくけど、僕は君を咎める為に話しを聞こうってわけじゃないんだ」 予想外の言葉に石田は「え…?」と疑問符を浮かべる。 冠城「君、今いじめられているでしょ?」 石田「い、いや…それは……」 冠城「隠さなくたっていい。昨日のあれは、どう見ても喧嘩なんかじゃない」 「無抵抗な相手をリンチにして痛めつける……立派ないじめだ」 「さっきだって、そうなり掛けていたんじゃないのかい?」 石田「……」 116:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 16:03:47.09 :1GsLvrze0 冠城「しかし、何故硝子ちゃんをいじめる側だった君が、今度はいじめられる立場になったのかっていう疑問があってね……」 「僕は最初、硝子ちゃんをいじめた事に対する報復だと思ったんだけど……」 「ウチの上司は、他の可能性も疑ってるみたいでね……君に直接聞いて来いって言われたんだ」 石田「…………」 冠城「だから…正直に話して欲しい」 「今君がいじめられているは、硝子ちゃんをいじめた事に対する報復なのか?そうじゃないのか?」 真剣な面持ちで、石田と顔を合わせながら冠城は問い掛ける。 一方石田は、そわそわした様子で答えようとしない。 答えるべきかどうか迷っているようだ。 そこで冠城は、次のような事を言った。 117:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 16:04:22.81 :1GsLvrze0 冠城「話したくないのなら、それで構わない」 「一般人……それも子供から強引に事情を聞き出すなんて、警察のする事じゃないからね」 「けど……それでいいのかい?」 石田「え…?」 冠城「君は今、担任の先生からの助けも得られない状況に陥っているんじゃないのかい?」 石田「どうして、そのことを?」 冠城「昨日、学校でたまたま見たんだよ。君が、先生に相手にされていない現場を……」 石田「…………」 118:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 16:06:22.25 :1GsLvrze0 冠城「それに、被害者が被害に遭ったと認めてくれなければ、僕達警察も手の出しようがない。事件性が、認められないからね」 「しかも僕らは違う所轄の刑事だ……この市には長くはいられない。いつ、警視庁に呼び戻されてもおかしくないんだ」 「そうなったら、君を助ける大人はいなくなるだろうね」 「それでも乗り切れる……後悔しないという自信があると言うのなら、僕達は引き下がるつもりでいるけど」 石田「……!」 119:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 16:07:23.90 :1GsLvrze0 冠城の言葉に、石田は表情を曇らせる。 少しばかり脅すような真似をして冠城は心を痛ませたが、間違った事は言っていないつもりだ。 このまま石田が何も話さなければ……救いを求めてくれなければ、意味がない。 6年生と言えども、彼はまだ子供……大人の助けがなければ生きていけない年頃だ。 だから尚更、彼自身が自分達大人に救いを求めてくれなければ、その時点で終わってしまう。 それこそ、昨日今日といじめから救ったことすら無意味になる。 120:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 16:08:10.17 :1GsLvrze0 冠城「大丈夫……君から聞いた事は、上司以外には誰にも話さない」 「僕の上司も、同じ対応を取ってくれるだろう」 石田「ほ、ホント……か?」 冠城「僕達は警察だ……秘密は守るよ」 秘密は守るという冠城の言葉…… この一連の流れで、石田の心は揺れ動く。 そして…… 121:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/27(日) 16:08:38.75 :1GsLvrze0 石田「じ、実は……」 読む →
2018年05月09日 17:00 右京「誰も知らない?」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/05(土) 10:54:14.16 :sPA3Iy4L0 相棒×誰も知らないのクロスssです クロス先は2004年に映画化された作品ですが知らない方でもわかるように描いてあります。 ちなみにこのssを読む際は出来たら相棒シーズン16の19話を見ることをお勧めします。 子供の日にちなんでお子さんと一緒に読んでください。 2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/05/05(土) 10:54:46.16 :sPA3Iy4L0 「♪~」 ある日、杉下右京が出勤すると 同部署の冠城亘が自分のデスクで上機嫌で鼻歌を歌いながら手紙を読んでいた。 「手紙読んだくらいで何をニタニタ笑ってんですか。気持ち悪っ…」 そんな上機嫌な冠城に対して毒舌を吐くのは この度、特命係に島流しされてきた青木年男だ。 青木は普段から嫌なヤツではあるが 同じく手紙を読んでいる冠城も指摘されても仕方のないくらい顔がニタついていた。 これでは指摘されるのも無理もないことだが… 「お前…人が気分いい時に水を差すなよ… これはこの前の事件で知り合った高田創くんとその弟くんからのお手紙なんだよ。」 「だからって何でニヤついてるんですか?ガチでキモいんですけど…」 「別にいいだろ。あの兄弟はこれまで大変な人生だったんだ。 それを俺たちがあの子たちの未来を切り開いてそれで感謝の手紙を貰った。 せっかく前職辞めてまで警察官になったんだ。 未来ある青少年を導く役に立てて嬉しいと思わないのか?」 「さあ、知りませんね。こっちは未来どころか島流し部署に左遷されてお先真っ暗ですよ。」 青木が特命係に送られた事情は正直自業自得な部分も含まれているが… そんな青木を尻目に右京も冠城宛ての手紙を読んでみた。 読む →
2018年04月13日 01:00 右京「異世界召喚?」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/04/12(木) 19:47:28.25 :aoQmCl8o0 相棒ssです。 ちなみにこのssを読む際は出来れば相棒シーズン16の最終話を見た後に読んでくれたら幸いです。 それではどうぞ。 2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/04/12(木) 19:48:15.81 :aoQmCl8o0 ある日、警視庁特命係の部署で杉下右京は新聞を購読していた。 その一面にはこのような記事が掲載されていた。 [20~30代の男性が相次ぐ謎の失踪?真相は未だ不明!?] それは一ヶ月前頻繁に多発する 20~30代の一般男性が行方不明になるという不可思議な事件。 日本全国至る場所で男性たちが相次いで行方不明になっており 警察も捜査を行っているがどういうわけか手掛かりは一切なし。 ある日突然、何の前触れもなく消える。それはまるで神隠しの如き犯行。 そのため捜査に乗り出した警察も 行方不明になった彼らの痕跡を一切掴めずお手上げの状況が続いていた。 読む →
2018年04月04日 17:00 【古畑x相棒】古畑「特命係~…?」【クロスオーバーss】 元スレ 全てのレス 2: ◆0n24s4VnXw:2018/04/04(水) 12:55:07.73 :O+dju4MyO … …… ……… 古畑「えー…皆さんは人を信じたことはあるでしょうか?」 古畑「無いという方はほぼいないと思いますが、それと同時に信じたけども裏切られた事もあると思います」 古畑「人を信じても相手が自分を信じてくれるとは限らない。それが信頼という難しさだと私は思います。簡単に人を信頼なんかしちゃダメです」 古畑「しかし、本当に信頼できる人が目の前に現れたとしたら…あなたならどうしますか?私ならきっとこうするでしょう。それは…」 ……… …… … 読む →
2017年10月19日 21:35 工藤新一vs杉下右京 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/07/15(土) 06:18:39.53 :zbBN/4bC0 タイトル通り名探偵コナンと相棒のクロスssです。 けど中身はコナンの未来ifなssにもなります。 コナン側は黒の組織を倒してから10年後のお話です。 2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/07/15(土) 06:19:53.34 :zbBN/4bC0 俺の名は高校生探偵工藤新一。 幼なじみで同級生の毛利蘭と遊園地に遊びに行って、 黒ずくめの男の怪しげな取り引き現場を目撃した。 取り引きを見るのに夢中になっていた俺は、 背後から近付いて来るもう一人の仲間に気付かなかった。 俺はその男に毒薬を飲まされ、目が覚めたら体が縮んでしまっていた。 ………というのがもう10年前の話だ。 俺は阿笠博士の助言で江戸川コナンと名乗り黒ずくめの男たちの組織を追い続けた。 当初は俺一人だけの孤独な戦いだった。 だがそんな戦いに灰原哀、服部平次、それにFBIや公安と頼りになる仲間が加わった。 そして彼らの協力により俺は宿敵であった黒の組織を壊滅することに成功。 これはそれから10年後の物語… 読む →
2017年06月24日 01:15 右京「聲の形?」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/06/14(水) 23:16:21.71 :coAf0aU90 相棒×聲の形のクロスオーバーssです。 舞台は2011年。聲の形のキャラたちは小学生時代の設定になります。 相棒役は神戸さんです。 2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/06/14(水) 23:16:46.94 :coAf0aU90 「これは…あいつだ…」 「あいつのせいでこんなことに…」 「あの女の…呪いなんだ…」 数日前、ある数人組が恨みがましくそう叫んだ。 呪い。その言葉の意味がこれから起きるとある出来事へと繋がることになる。 読む →
2017年05月05日 07:05 サターニャ「なるほど、セッ◯スって悪魔的な行為なのね」 元スレ 全てのレス 1:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/04(木) 10:08:25.770 :s3yF2p+o0.net サターニャ「ちょっとガヴ、あんたまたゲームやってんの」 ガヴリール「今は違うぞ」 サターニャ「なによ気になるじゃないの!見せなさいよ!」 ガヴリール「Twitter、いわゆるSNSってやつだよ。いろんな人と交流できるんだ。ゲームの情報交換したりまあ小遣・・・まあいろいろできるんだよ」 サターニャ「面白そうね!私も早速登録してみるわ!」 読む →
2017年03月30日 15:05 ガヴリール「私宛てに殺人予告が届いてた」右京「警視庁の杉下です」亀山「亀山です」 関連SS ガヴリール「私の下着を盗んだ奴を捕まえてほしいんだが…」右京「警視庁の杉下です」亀山「亀山です」 ガヴリール「ヴィーネが刺されて死んでた」右京「警視庁の杉下です」亀山「亀山です」 ガヴリール「喫茶店の食器がなくなってるらしい」右京「警視庁の杉下です」亀山「亀山です」 ガヴリール「私宛てに殺人予告が届いてた」右京「警視庁の杉下です」亀山「亀山です」 元スレ 全てのレス 1:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/29(水) 11:35:55.788 :kNOQu/9S0.net ガヴリール宅 ガヴリール「あ、警部さんこっち。上がって」 右京「お邪魔します」 亀山「うわっ…なんだこの汚い部屋!」 ガヴリール「いやー、ヴィーネが最近まで死んでたから掃除してなくってさ」 ヴィーネ「私のせいにすんな!自分で警部さん呼んだんだから掃除くらいしときなさいよ!」 ガヴリール「警部さん男だしこういうの気にしないだろ?」 亀山「ま、まぁ…。好きな子の部屋がこんなんだと流石に幻滅しますけどね?」 ヴィーネ「つーか女のあなたが言う台詞じゃないでしょ…」 読む →
2017年03月29日 19:35 ガヴリール「喫茶店の食器がなくなってるらしい」右京「警視庁の杉下です」亀山「亀山です」 関連SS ガヴリール「私の下着を盗んだ奴を捕まえてほしいんだが…」右京「警視庁の杉下です」亀山「亀山です」 ガヴリール「ヴィーネが刺されて死んでた」右京「警視庁の杉下です」亀山「亀山です」 ガヴリール「喫茶店の食器がなくなってるらしい」右京「警視庁の杉下です」亀山「亀山です」 ガヴリール「私宛てに殺人予告が届いてた」右京「警視庁の杉下です」亀山「亀山です」 元スレ 全てのレス 1:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/28(火) 15:11:13.448 :b0w0Pyoc0.net 喫茶店 亀山「あ、このコーヒーうまいっすね!なんていうか、深みがある…っていうんでしょうか。こういうの」 右京「僕もそう思います。良い喫茶店を見つけました」 マスター「おぉ、本当かい!?実は私、ブレンドコーヒーには自信が」 ガヴリール「マスター。その話はもう良いっす」 ガヴリール「つーか。何でわざわざ私が働いてる喫茶店に来たの?」 亀山「あ、それはですね。ここのマスターが盗難の被害届を出したもんですから」 右京「その事情聴取に参りました。決してガヴリールさんが働く姿を見ようとしたわけではないので、ご心配なく」 ガヴリール「警部さん絶対私のこと馬鹿にしてるよな」 右京「馬鹿になど…していませんよ?」 読む →
2017年03月27日 21:35 ガヴリール「ヴィーネが刺されて死んでた」右京「警視庁の杉下です」亀山「亀山です」 関連SS ガヴリール「私の下着を盗んだ奴を捕まえてほしいんだが…」右京「警視庁の杉下です」亀山「亀山です」 ガヴリール「ヴィーネが刺されて死んでた」右京「警視庁の杉下です」亀山「亀山です」 ガヴリール「喫茶店の食器がなくなってるらしい」右京「警視庁の杉下です」亀山「亀山です」 ガヴリール「私宛てに殺人予告が届いてた」右京「警視庁の杉下です」亀山「亀山です」 元スレ 全てのレス 1:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/26(日) 18:38:44.713 :d5Mp27WZ0.net 亀山「果物ナイフで背中を一突き…ですね」 ガヴリール「珍しくヴィーネが朝来ないもんだから、家に行ったらこの有様だ」 右京「そうですか。家の鍵はかかっていましたか?」 ガヴリール「いや。ドアノブ回したら普通に空いたけど」 亀山「しかしー…ご友人が亡くなったというのに、そこまで落ち込んではいないんですね」 ガヴリール「ヴィーネは悪魔だし地獄で手続き踏んだら蘇れるからな」 亀山「えっ」 右京「なるほど。しかし仮に彼女が蘇ったとしても殺人は罪、必ず犯人は捕まえます」 ガヴリール「よろしく頼むわ」 亀山「いやちょっと右京さん納得して良いんですか」 読む →
2017年03月26日 19:30 ガヴリール「私の下着を盗んだ奴を捕まえてほしいんだが…」右京「警視庁の杉下です」亀山「亀山です」 関連SS ガヴリール「私の下着を盗んだ奴を捕まえてほしいんだが…」右京「警視庁の杉下です」亀山「亀山です」 ガヴリール「ヴィーネが刺されて死んでた」右京「警視庁の杉下です」亀山「亀山です」 ガヴリール「喫茶店の食器がなくなってるらしい」右京「警視庁の杉下です」亀山「亀山です」 ガヴリール「私宛てに殺人予告が届いてた」右京「警視庁の杉下です」亀山「亀山です」 元スレ 全てのレス 1:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/03/25(土) 19:44:53.669 :NNlSEE/20.net ガヴリール宅 亀山「右京さん、まさか下着ドロの捜査をやらされるだなんて…あんまりじゃないですか」 右京「亀山君。言われればなんでもするのが特命係、そう仰ったはずですよ?」 亀山「まぁ…そうですけども」 ガヴリール「なぁ…こんなオッサン2人で大丈夫なのか?」 亀山「お、おいおい。誰がオッサンだ、俺はまだ…」 ヴィーネ「ちょっとガヴ!あなたが警察に通報したから警察の人達来てくれたんでしょ、失礼なこと言わないの!」 ガヴリール「へいへい」 読む →
2017年03月02日 15:05 杉下右京「如月千早…ですか」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/12/27(火) 06:36:43.85 :KXuA2Jaz0 伊丹「こいつがガイシャか」 芹沢「え~っと、被害者は赤羽根…芸能プロダクションに勤めているみたいですね」 伊丹「事務か何かか?」 芹沢「ガイシャの所持品の名刺を見ると、どうやらプロデューサーみたいですね」 伊丹「プロデューサー?フン、そいつは色々とありそうだな」 芹沢「ですね」 読む →
2017年02月12日 08:30 花粉症の少女「口をガムテープで塞がないでぇ!」誘拐犯「黙れ……!」 元スレ 全てのレス 1:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/02/11(土) 20:36:03.149 :8WYhKwdk0.net 誘拐犯「騒ぐんじゃない……!」 花粉症の少女「ひっ……!」 誘拐犯「大人しくしていれば危害は加えない……! わかったら大人しく――」 花粉症の少女「いやぁ!!! 殺さないでぇ!!!!!」 誘拐犯「だから、黙っていれば危害は無いと言ってるだろう……! なんでわざわざ騒ぐんだ……!? お前、死にたいのか……!?」 花粉症の少女「ひぃ……! し、死にたくない……! 死にたくないっ!!!」 誘拐犯「だったら……悪いことは言わないから、大人しくこのガムテープで口を塞ぐんだ……! いいな……?」 花粉症の少女「死ぬぅ!!!! 殺されるぅ!!!!!!」 誘拐犯「おい……! だから黙れって……! おまえ、いい加減にしないと本当に……!」 花粉症の少女「だ、だって……抵抗しないと口を塞ぐじゃないですかっ! く、口を塞がれたら……私……! い、息ができません……!」 誘拐犯「鼻ですればいいだろう……! お馬鹿さんか……!?」 花粉症の少女「花粉症なんです!!! 私……か、花粉症で、鼻が詰まってるんです……!!!」 誘拐犯「……!」 5:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/02/11(土) 20:37:49.257 :DpiEA04t0.net わかる 読む →
2017年01月23日 06:30 声優「ご主人様が帰ってきた~! 嬉しいなぁ~!」右京「何故でしょう」 元スレ 全てのレス 1:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/22(日) 20:17:03.009 :9K+gHMde0.net 声優「え?」 右京「この映像を見る限り、他の可能性も考えられると思うのですが」 声優「あの……えっと……?」 右京「ああ、申しわけない。どうにも、細かいことが気になってしまう……僕の悪い癖」 音響監督「ちょっとちょっと、収録中に困りますよ! 何なんですか、アンタ!」 右京「警視庁特命係の杉下です」 音響監督「け、刑事さん……!?」 右京「二三、お聞きしたいことがあるのですが」 音響監督「いや、そう言われましても……」 右京「お時間はとらせませんので、ぜひ」 音響監督「ま、まあ……時間がかからないのであれば」 右京「ご協力、ありがとうございます。では、さっそくですが――そちらの」 声優「えっ、わ、私ですか……?」 右京「先ほど、貴方は子犬が男性に駆け寄る映像に合わせ『ご主人様が帰ってきた、嬉しいな』という台詞を割り当てました」 右京「僕はこういったことには疎いのですが、一般的に『アテレコ』と呼ばれている作業ですよね?」 声優「はい……それで、刑事さんは何が気になってるんですか……?」 右京「僕が気になっているのは一点。何故、貴方はこの子犬が飼い主の帰宅に喜んでいると決めつけたのか……ということですよ」 声優「き、決めつけたって……! そんなつもりは」 読む →
2016年06月06日 21:30 右京「僕としたことが……キチガイゲージが溜まってしまったようですねぇ」プルプル 元スレ 全てのレス 1:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/06/05(日) 20:04:25.035 :wWdZTeKf0.net 亀山「えっ、ほ、本当ですか!? ああ、まずいな、こんな出先で……右京さん、我慢できます?」 右京「持ちこたえて……あと、30秒といったところでしょうか」プルプル 亀山「えーっと、そうだ! 俺、例の物探してきますから!」 右京「ええ。お願いします」プルプル ダッ 亀山「急げ急げよ~!」 ~数分後~ 亀山「右京さん! ティーカップとポット、買ってきました! 右京さん? どこいっちゃんたんだ……? 右京さーん!」 右京「イー! イー!」 パチパチパチ!!! 亀山「いた!」 子供「ねえママ。どうしてあのオジサンは『イーイー』って言いながら噴水の中で拍手してるの?」 母親「シッ! 見ちゃいけません!」 亀山「あー! くそっ! 間に合わなかったか……!」 読む →
2016年05月09日 17:05 右京「346プロダクション?」 関連SS 武内P「シンデレラ…プロジェクト…」 美城「シンデレラガールズ、プロジェクト」 瑞樹「…」美城「…」 右京「346プロダクション?」 「巣立ち」 元スレ 全てのレス 3: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:19:36.49 :BMHm4lO9O 右京「…」 右京「…!」パチ 右京「…ここは…」 右京「…どこ…ですかねぇ…」 右京「…」キョロキョロ 右京「…僕の家では、ないようですが…」 右京「…」フゥー 右京「…困りましたねぇ…」 右京「…?」 右京「…はて、これも…僕の鞄ではないようですが…」 右京「…」ガサガサ 右京「…」 『346プロダクション 係長 杉下右京』 『会社TEL』 右京「…はて…この名刺は…?」pipipipi 右京「…」prrrr prrrr 『はいもしもし346プロダクション総務課、米沢です』 右京「…!……杉下です」 『杉下係長!どうされました!?こんな時間に…』 右京「こんな時間…とは?」 『何って…もう10時ですよ?』 右京「…」バッ 『AM10:02』 右京「これはこれは…申し訳ありません。どうやら寝過ごしてしまったようです」 『おや?杉下係長がですか?珍しい事もあるんですなー…』 右京「ええ。なにぶん今しがた目覚めてしまったようですから」 『…あー………でも、まあ…』ボソボソ 右京「…?」 『杉下係長から借りた落語のCDが余りにも面白くてですな…私からはほら、出勤中、スカウトに精を出し過ぎたって言っておきますから…』ボソボソ 右京「そうしていただけると助かります」 『まあ、気にせずゆっくり来ることですな』 右京「ええ。感謝します」 右京「…」 右京「…何なんですかねぇ…これは」フゥー 4: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:20:28.53 :BMHm4lO9O 翌日 右京「…」 346プロ『』 右京「…はて…僕は一体…どうなってしまったんでしょうねぇ…?」 「おや杉下君。お早う」 右京「…おはようございます」 「うむ?私の顔に何かついているかね?」 右京「いえ。昨日は少し羽目を外してしまったもので、ご迷惑をかけたのではないかと…」 「そうかね?いやいや君の事だ。仕事に精を出していたんだろう?米沢君からもそう聞いているものだからね」 右京「おやおや…」 「まあ、たまにはゆっくりすることも大事だよ。…だが君は今…大変な時期だったね…」 右京「はいぃ?」 「…私で出来ることなら、何とか手助けしてあげたいんだが…」 右京「…」 「とにかく君には期待しているんだ。是非頑張ってくれたまえよ!」 右京「…ありがとうございます」 「うむ!」 右京「…」pipipi 『アドレス登録件数 3件』 『千川ちひろ』 『今西部長』 『米沢守』 …。 右京「…今西部長!」 今西「ん、ん?…な、何かね?」 右京「…いえ、なにぶんまだまだ初めての事ですからねぇ…お力添えして頂ければと思いまして…」 今西「…うむ!任せておきたまえ!」 右京「…」ペコ 今西「頑張ってくれたまえよ!期待しているからね!」 右京「ええ。お心遣い、感謝致します」 5: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:21:08.81 :BMHm4lO9O 右京「…」ペラ 『プロジェクト(仮) 室長 杉下右京』 『○階 階段右突き当り』 右京「…ここでしょうかねぇ…」 『プロジェクト(仮) 室長 杉下右京』 右京「…困りましたねぇ…」ガチャ 右京「失礼します…」 …。 右京「…誰か、いらっしゃいませんか?」 …。 右京「…」 …。 右京「…」ペラ 『プロジェクト内アイドル 未定』 右京「…」 米沢『私からはほら、スカウトに精を出し過ぎたって言っておきますから…』 今西『仕事に精を出していたんだろう?米沢君からもそう聞いているものだからね…』 右京「…なるほど。そういうことでしたか…」 右京「…僕にも、不思議な体験をする機会があったんですねぇ…」 6: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:21:57.94 :BMHm4lO9O 米沢「は?名刺を失くした?」 右京「ええ…どうやら昨日何処かで落としてしまったようなんです。僕としたことが…」 米沢「いやはや…昨日に引き続き珍しいですなぁ…」 右京「ええ。ですので早急に新しいものを…」 米沢「…え…」 右京「…」 米沢「…そ、早急にと言われましてもですな…」 右京「恐らく電話一本で済むと思いますがねぇ?」 米沢「おわっ…相変わらず勘が鋭い…」 右京「…ところで、つかぬ事をお聞きしますが…」 米沢「…なんですかな?」 右京「…実は僕、アドレス帳の名前の部分だけを、消してしまったんです」 米沢「…は?」 右京「米沢さんなら、恐らくどなたか存じ上げると思うのですが…」 米沢「…杉下係長。本当に大丈夫ですか?どこか調子が悪いのでは?」 右京「あ、これはこれは…。買いかぶり過ぎですよ。僕も所詮、人の子ですからねぇ…」 米沢「はあ…まあ、分かる範囲で…」 右京「まず、この連絡先ですが…」 米沢「…ああ。この方は…千川ちひろさんですな」 右京「千川ちひろさん。…ええ…と…あの…」 米沢「あの緑スーツの若い事務員の方ですよ」 右京「ああ!そうでしたそうでした…」 米沢「それでですな…」 右京「ええ…」 7: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:22:55.36 :BMHm4lO9O 右京「…」ガチャ 右京「…」スッ 右京「…」 『346プロダクション 社員心得』 右京「…」ペラ 『その1…』 右京「…」ペラ 『作業手順』 右京「…」ペラ 『アイドルを勧誘するにあたって』 右京「…」ペラ 『オーディションを開催するにあたって』 右京「…」ペラ 『月の売上報告会…第4週土曜』 右京「…」ペラ 『LIVE・イベント・オファー等』 右京「…」パタン 右京「…成る程」 右京「…僕もついに不思議な体験をする機会が出来ましたよぉ…」 「…あのー…」コンコン 右京「どうぞ」 「…あ、失礼します…」ガチャ 右京「…おや、貴方は…」 ちひろ「杉下さん。先日の日報がまだ届いていないようなので…」 右京「ああ!これは僕としたことが…」 ちひろ「簡易的でも構いませんから、書いておいてください。杉下さんの机に入れておきましたから」 右京「どうもありがとう。…あ、千川さん」 ちひろ「は、はいっ?」 右京「…このプロジェクトルームなんですがねぇ?」 ちひろ「え、ええ…」 右京「これ、いつまでにアイドルの方を呼べば良いのですかねぇ?」 ちひろ「え…えーと…ですね…せめて、今月中には…」 右京「ああ…それはそれは。分かりました」 ちひろ「そ、それでは…」ガチャ 右京「…」フゥー 右京「…困りましたねぇ…」 8: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:24:16.50 :BMHm4lO9O ちひろ「…」 ちひろ「…あの人、やっぱり苦手だなぁ…」 ちひろ「…それに、あのプロジェクトって…」 ちひろ「…いわゆる、追い出し部屋…なのよね…」 ちひろ「なのに…あんなに楽しそうに…」 ちひろ「…あの人、どうしてアイドル事務所のプロデューサーなんてやってるんだろう…」 ちひろ「あの人の能力が役に立つ仕事って、他にいくらでもあると思うのに…」 9: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:29:32.81 :BMHm4lO9O 翌日 今西「やあ」 米沢「あ、これは今西部長。何かありましたかな?」 今西「うむ…それがだね…」 米沢「はい?」 今西「彼に関することなんだが…」 米沢「…」 今西「…」 米沢「…少し、席を外しますか」ガタッ 今西「うむ。そうしてもらえると助かるよ」 ちひろ「…」 10: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:30:41.29 :BMHm4lO9O 今西「…すまないね」シュボッ 米沢「いやあ…中々人前では出来ませんからな」 今西「…しかし、嫌な風潮もあったものだよ」 米沢「…そうですな」 今西「私から見て、杉下君以上に人を見る目がある人間はいない」 米沢「…」 今西「それをどうして皆、分からないのか…」 米沢「…」 今西「思い当たる節は、無いわけではない」 米沢「…」 今西「…杉下右京。彼の下に着いた社員やアイドルは悉く引退、辞職していく」 米沢「…それが、彼の異名となった…」 今西「…杉下右京は、人材の墓場」 米沢「…ふむ…」 今西「おかげで今、彼を煙たがるアイドルや社員は大勢いる」 米沢「…」 今西「だが、それは勘違いだ」 米沢「…私も、そう思うのですがね」 今西「彼はいつだって、誰とでも真っ直ぐ向き合うような人間だよ」 米沢「…ですが、真っ直ぐ向き合い過ぎてしまう…」 今西「…加えて、あの記憶力と洞察力だ」 米沢「社員もアイドルも、彼と関わると自信を失い、辞めて行く…」 今西「…それは、彼のせいではないと思うのだがねぇ…」 米沢「…物腰柔らかな接し方とは裏腹に、社員やアイドルの核心をこれでもかというくらい突く…」 今西「…」 米沢「…彼はプロデューサーとして最も大事なものが欠けているのかもしれませんな…それで、その杉下係長がどうかなさいましたか?」 今西「うむ。…それなんだがね?」 米沢「…」 11: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:31:35.37 :BMHm4lO9O 今西「…この間の、彼がスカウトに明け暮れて時間を忘れていたという…君の優しい嘘だがね?」 米沢「…バレておりましたか…」 今西「…まあ、私からもスカウトだ外回りだと報告しておいたからそれは良いとして、だ」 米沢「何ですかな?」 今西「考えてもみたまえ。オーディション会場で彼の前で一体何百人の子供達が涙を流したと思う?」 米沢「…その場に私はいませんでしたからな。どうとは言えませんが…まあ、想像はつきます」 今西「…まあそれは置いといて、だ」 米沢「…今思うと、彼がスカウトなどするわけもありませんでしたな」 今西「…」 米沢「…む?」 今西「…その、まさかだよ」 米沢「…その、まさかですか…」 今西「…彼が、スカウトに出掛けたのだ」 米沢「…なんと」 今西「…警察を呼ばれなければいいのだがねえ…」 米沢「…流石に身元引き受け人はお任せ致しますよ…」 今西「…」 ちひろ「…」 ちひろ「(…どうして、部長はあの人の事をそんなに…)」 13: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:32:40.36 :BMHm4lO9O 同日 PM14:20 「はーい!当日チケット売ってるよー!チケット持ってない人は買わなきゃ入れないよー!」 「…」 「おっ!?そこのお嬢ちゃん!…もしかしてチケット持ってないの?」 「…売り切れだったんだよぉ…」 「じゃあ買わなきゃ!ちなみに…どっちの席?」 「…でも、それ…アレでしょ?ダフ屋って…」 「堅いこと言わないでよー。こういうの、何処でもやってんだからさー…」 「…んー…」 「で?どっち?…あ、でもあれだ。そのユニフォームって…キャッツだよね?」 「…ん。そう」 「じゃあ良いのあるよ!何と1塁側最前列!」 「えっ!?」 「これまさに奇跡だよ!!このチケット買う為に今日ここに来たんだって!」 「…」 「だってチケット無いのに来たってことはさ、ある程度こういうのも期待してたんでしょ?」 「…くら…」 「ん?」 「…それ、いくら?」 「…んー…苦労したからなー…3でどう?」 「うぇっ!?3万!?」 「当たり前だよー!そりゃあこれ一番良いアングルで見られるんだから!」 「…んー…」 「もしかして手持ちじゃ足りない?」 「…足りないよー…」 「うーん…じゃあ2万5千!!」 「高いよー!」 右京「そういう問題ではないと思いますよ」 「!?」 「!?」 14: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:33:41.21 :BMHm4lO9O 「…誰?お嬢ちゃんの知り合い?」 「…んー…知らない」 右京「僕が彼女の知り合いかどうかはともかく、転売目的でチケット類を公衆に対して発売する場所において購入すること。公衆の場で、チケット類を他者に転売することは迷惑防止条例で禁止されています」 「んぐっ…あ、アンタ警察か?」 右京「…いえ、警察ではなく。ただの通りすがりですよ」 「じゃ、じゃあ俺を捕まえる資格はねえよな?偉そうに説教垂れやがって…」 右京「ですが、警察を呼ぶことは僕でも彼女でも出来ますよ」 「なっ…」 右京「もし警察に捕まれば、10年以下の懲役または500万円以下の罰金。そのチケットを何枚売れば元が取れますかねぇ…まあ、売れないでしょうが」 「…チッ…なあ、オッさん」 右京「何でしょうか?」 「あんまゴチャゴチャ言ってっとなぁ…痛い目見んぞ!!」ダッ 右京「…」ヒョイ 「おわっ!?」ドタッ 右京「…」グイイッ 「い、いででででで!!わ、分かった!!分かった!!もうやめるから!!ダフ屋やめるから!!」 右京「もう遅いと思いますよぉ?」 「…えっ?」 警察「…」 「あっ…」 警察「申し訳ありません。少しお話を伺いたいのですが」 「…あー…」 右京「まだ彼女には売ってはいないようです」 警察「そうでしたか。犯人逮捕にご協力感謝致します!!」 右京「ええ。お仕事頑張ってください」 警察「はいっ!!…ほら行くぞ。立ってホラ」 「…ぁーぃ…」 右京「…」 「…」 15: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:34:32.17 :BMHm4lO9O 右京「貴方、良かったですねぇ」 「えっ?」 右京「もしあの場でチケットを買っていたら、貴方も刑罰の対象になっていたかもしれませんよ?」 「え…えええっ!?アタシもなっちゃうの!?捕まっちゃうの!?」 右京「本来の正規のルートを通さずに買ってしまってますからねぇ…それに、犯罪を助長することにもなってしまいます」 「…ごめんなさい…」 右京「…しかし貴方、野球がお好きなんですねぇ」 「?うん!でもね…好きなのはやっぱりキャッツなんだ!!」 右京「ほー…キャッツ…ですか」 「うん!」 右京「いやはや…野球には疎いものでして。どういった球団なのか…名前しか知らないんですよ」 「えー!?知らないのー!?」 右京「ええ。本当、野球には疎いものでして…ですが、この湧き上がる歓声を聞いていると、どうにも興味が湧いてしまいますねぇ」 「…そうだなー…おじさんもキャッツのファンの一員になる?」 右京「ええ。是非」 「じゃあそこで一緒に観ようよ!あそこの店なら中継で観れるからさ!」 右京「おやおや…。貴方がよろしければ…」 「あ、アタシ姫川 友紀!おじさんは?」 右京「…杉下 右京と申します」 友紀「じゃあ右京さん!助けてもらったお礼も兼ねてガンガン!キャッツの事を教えちゃうからね!」 右京「ああ、それはどうもありがとうございます…ですが」 友紀「?」 右京「先程の後にこんな事をするのは人としてどうかと思うんですがねぇ?」スッ 17: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:35:12.81 :BMHm4lO9O 友紀「…?これ、名刺…」 右京「申し遅れました。僕は346プロダクションで働かせていただいているものです」 友紀「346?…346って…。あ!あの超大きいアイドル事務所!!」 右京「ご存知でしたか。…実はですねぇ?先程、僕は貴方に声をかけようと思っていたんですよ」 友紀「え…アタシに?」 右京「ええ。ですが偶然、先程のようになってしまった…ただそれだけだったんですよ」 友紀「…えっと…それ…もしかして…?」 右京「ええ。是非とも貴方に、346プロダクションでアイドルとして活動して欲しいんですよ」 友紀「…え…」 右京「…」 友紀「…ええええええええええ!!!?」 18: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:36:11.64 :BMHm4lO9O 右京「何か…おかしかったですかねぇ?」 友紀「だ、だってだよ?アタシ…だって…あれぇ?」 右京「…そうですねぇ…ああ、僕という人間は、こういう時、言葉を発することがどうにも苦手でして…不便な性格です」 友紀「そ、そりゃそうだよ。褒めるところなんて…」 右京「ですが…こうして貴方と話していると、僕も何故か笑顔になるんですよ」 友紀「そ、そうかなぁ…」 右京「ええ。これは、何と言うのですかねぇ……ああ!癒しというものですかねぇ」 友紀「い、癒し…?だって、アタシってほら…うるさくない?」 右京「そうでしょうかねぇ…先程の青年にも、僕にも全く警戒心を出さず笑顔で接する貴方のその少年のよう純粋さ。僕はそこに惹かれたのかもしれませんねぇ」 友紀「え、ええと…と、とりあえず!あの、店に…い、行こうよ!試合始まっちゃう!」 右京「ええ。では一先ず、キャッツのお勉強をさせていただきます」 友紀「よ、よーし!ガンガン教えちゃうからねー!」 19: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:37:08.28 :BMHm4lO9O …。 友紀「あの時はさ、正直驚いたよね」 友紀「え?いや…普通さ、スカウトって…何か、名刺渡してはいさよならみたいな感じじゃないのかなって…」 友紀「でもさ、右京さんは違ったんだよね」 友紀「もう絶対アタシをアイドルにする気満々でさ…。その為なら2時間でも3時間でも10時間でも付き合ってやるって感じでね」 友紀「…今になってみると、ぜーんぶ、右京さんの掌の上だったのかなーって」 友紀「でもね?悪い気が一切しないんだよね…」 友紀「…何だろ…よく分かんないや」 友紀「だってさ、右京さんって、絶対人を悪く言ったりしないし、絶対に見捨てたりしないんだよね」 友紀「怒られたこともあるけど、それでも見限ったりするなんてこと絶対無かったよね」 友紀「…不思議な人…」 友紀「…だったよね」 …。 20: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:38:21.66 :BMHm4lO9O PM16:00 友紀「…あ!もうこんな時間!?」 右京「おやおや…。何か用がありましたか?」 友紀「う、ううん…。そのー…右京さんは、お仕事大丈夫なのかなーって…」 右京「そうですねぇ…ああ、確かにお仕事がありましたねぇ。…ですが貴方のお話と…」 友紀「…」 『キャッツ逆転大勝利ー!』 右京「試合が面白くてですねぇ…忘れてしまいました」 友紀「…」 右京「では、そうですねぇ…手短に、5分だけ」 友紀「…5分だけ?」 右京「ええ。来る来ないは別として、話せることは話しておきたいものですからねぇ」 友紀「う、うーん…」 右京「まず、何故僕が貴方を選んだか」 友紀「う、うん…」 右京「まず一つ。明るいところです」 友紀「明るい…」 右京「二つ。とても話しやすいところ」 友紀「…」 右京「そして三つ目。これは簡単です。…外見です」 友紀「…そ、そんな事言われてもー…」 右京「ただ外見だけでアイドルになれるのならば、こうして一緒に話をしたりはしません」 友紀「…」 右京「僕の見立てでは、貴方には天性の才能があるようです」 友紀「才能?」 右京「ええ。先程貴方がテレビ画面に向かって応援のコールを叫び出した途端、周りの方々も呼応するかのように応援を始めました」 友紀「…」 右京「君を中心として、輪が出来たんですよ。これを才能と言わずして何と呼びますかねぇ…」 友紀「…買い被りってことは?」 右京「僕、こう見えて、目には自信があるんですよ」 友紀「…」 右京「もし僕のお願いを聞いてくださるのでしたら、いつでもいらっしゃってください」 友紀「…いつでも?」 右京「ええ。明日でも、来週でも」 友紀「…」 右京「今からでも構いませんよ?」 友紀「…そ、それはまだちょっと早いかな…」 右京「ああ、これは失礼しました…どうにも羽目を外し過ぎたようです」 友紀「えっと…」 右京「それでは僕はこれで。…あ、お釣りはどうぞご自由に」 友紀「えっ?…あ、ちょっ…」 21: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:39:11.11 :BMHm4lO9O 友紀「…行っちゃった…」 友紀「…えっと…」 友紀「…アタシが…」 友紀「アイドル…」 友紀「…」pi pi pi 友紀「…」prrr prrr prrr… 友紀「…あ、もしもし…お母さん?」 友紀「うん。久し振り…うん。元気にやってるよ」 友紀「うん。お父さんは?…相変わらず?良かった…」 友紀「…うん。いや、別に何かあったわけじゃな…んー…いや、あったけど…」 友紀「わ、悪いことじゃないよ。ただね…」 …。 友紀「うん…うん…」 友紀「…うん。…分かった」 友紀「うん。お母さんも。お父さんに宜しく伝えといて」 友紀「うん。…ありがと」pi 22: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:39:59.71 :BMHm4lO9O 右京「…」ガチャ バタン 右京「…」ガラ 『日報』 右京「…」 『本日の仕事内容』 今西「杉下君、私だ。入るよ」コンコン 右京「どうぞ」 今西「失礼するよ」ガチャ 右京「お疲れ様です」 今西「ああお疲れ様。…で、どうだったね?初スカウトの成果はあったかね?」 右京「そうですねぇ…」 今西「まあ確かに安易にオーディションを開くより、自分の目で見て確かめた方が良い事もあるからねぇ」 右京「ええ」 今西「…ただ、そうだね…あまり時間をかけ過ぎるのも、後後困りかねないからね」 右京「はいぃ?」 今西「…少なくとも来月までには成果を上げろというのはあまりにも酷だ」 右京「…」 今西「何か困った事があったら気にせず言ってくれたまえよ?」 右京「…お心遣い、感謝します」 今西「それでは、お疲れ様」バタン 右京「ええ。お疲れ様でした」 右京「…」 右京「…」 今西『初スカウトの成果はあったかね?』 右京「…」 右京「僕は、どういった人間だったんですかねぇ…」 23: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:40:58.86 :BMHm4lO9O 「…」 人生で、初めてだった。 「…」 確かに、今までの人生でナンパされたこともあった。 学生時代はそれなりに…青春だって経験してきた。 「…」 だけど、なんだろう。 あの人は、違う。 「…」 アタシに対して、何にもいやらしい目をしなかった。 熱心に勧誘していたけど、そこに無理強いはなかった。 …それもそうかも。 「…そもそもアイドルなんて、儲かるのかな…」 出来るとは思えない。 だからこそ、右京さんはアタシに無理強いをしなかった。 …それでも、絶対にアタシをアイドルにしたい。 そんな目だった。 「…」 …正直、どちらにするか、まだ迷ってる。 「…」 だからこそ、その答えを決めに来た。 …だから、今日。 今日の、右京さんの言葉を聞いて、決める事にした。 「…だけど…」 …。 ……。 「…アタシって本当に、こんな所に呼ばれたのかなあ…?」 24: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:41:47.21 :BMHm4lO9O そこには、見る者を圧倒するような大きな城。 自分がこんな所で何のオーディションも受けずにアイドルになれるなんて、信じられない。 ピシッとしたスーツの…社員の人かどうかは分からないけど。 「…」 ふと、自分の身姿をたまたま停めてあった車の窓で確認する。 「…」 少なくとも、ここはアタシにはかなり不釣り合いなんじゃないかって、そう思う。 「…」 正門の前から中の様子を確認する。 「…あ!」 一瞬。 一瞬だけだけど、見えた。 「…あれって、城ヶ崎美嘉…だよね…」 …。 こんな所に、呼ばれたってこと…? 「ちょっと君!」 「えっ!?」 25: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:42:40.83 :BMHm4lO9O 警備員「え、じゃないよ!ここは関係者以外立ち入り禁止!!それとも許可取ってんの!?」 友紀「え…あ…」 警備員「まー…よくいるんだけどね。君みたいにここからずーっと中の様子見ててさ。酷い奴なんかカメラ構えたりするんだからねぇ」 友紀「え、えっと…」 警備員「何?」 友紀「こ、これ…」 警備員「…え…これ…杉下係長の…」 友紀「は、はい…」 警備員「…うーん…じゃあ、ちょっと…待っててくれる?」 友紀「あ、はい…」 警備員「…あ、もしもしー。はい。杉下さんからの勧誘を受けたという方がー…はい。はい…」 友紀「…」 警備員「えっ?」 友紀「!」 警備員「…あー…はい。じゃあ、はい。お待ちしてますー…」 友紀「…?」 警備員「あのね?杉下係長に繋いだんだけど…ちょっと別の人が来るみたいだから」 友紀「…え、えっと…それって…?」 警備員「あ、違うんだよ!杉下さんに繋ごうとしたら別の人が会うからって総務課の方がね…?」 友紀「えっと…まだ、入ったら…ダメですか?」 警備員「うーん…ちょっとここで…」 友紀「は…はあ…」 …。 …気まずいなあ…。 26: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:43:31.07 :BMHm4lO9O その後、警備員と他愛のない話をしながら、やがてここに来るだろう右京さん以外の人を待っていた。 「…」 恐らくここの専属アイドルかな…。 あまりアイドルに詳しいわけではなかったから、誰かは分からない。 けど、例えそれか誰だとしても…。 「…?」 「…?」 「…?」 …。 まるで、捕まった子供を見るような目がアタシの精神を徐々に削っていく。 …。 誰でもいい。 この警備員さん以外の関係者なら、誰でもいいから話しかけて欲しい。 それならこんな風に見られることはないはずだから。 「多分もう少ししたら来ると思うから」 「…はあ…」 この寒空、なんたって警備員のおじいちゃんと一緒にいなきゃいけないんだろう…。 呼ばれたから来ただけなのに…。 「…」 …来たのは、アタシの意思、か…。 「…あのー…」 「!」 27: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:44:27.27 :BMHm4lO9O 「…えっと…」 「貴方が杉下さんからスカウトを受けた方ですか?」 「は、はい…」 「…本当に?」 「あ、えっと…名刺…これ…」 「…は、はあ………あの人、本当に…」 「…?」 「…分かりました。でしたら案内致しますのでついてきて下さい!」 「…はあ…」 …。 何だろ…この人。 変わったスーツだなあ…。 「…あ、それと…」 「な、何ですか?」 「…杉下さん、変な事吹き込んでませんよね?」 「…?」 「ほら、ここの会社の愚痴とか、貴方…あ、お名前…」 「あ、姫川 友紀です…」 「姫川さんですね!私は…千川ちひろです!」 ちひろさんはそう言うと、名刺の代わりに胸の幼稚園児みたいな名札を強調してきた。 「じゃ、じゃあ、ちひろさんで!」 「はい!」 28: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:45:30.10 :BMHm4lO9O 「…で、どうなんですか?」 「え?」 「ほら。さっきのお話です…」 ちひろさんは、どうやら杉下さんがアタシを勧誘してきたことがあまりにも珍しいみたいで、その背景をやけに詳しく聞いてきた。 「…え、えーと…特にそういうことは…寧ろ助けてもらったというか…」 「た、助けてもらった…?」 「はい。あのー…ドームで、野球の試合を見ようとしてたんですけど、チケット買えなくて…それでダフ屋に捕まっちゃって」 「あー…そこを…」 「そこを右京さんに助けてもらって…ちょっと怒られて」 「怒られた!?」 「あ!いや違うんですよ!?アタシそのダフ屋からチケット買いそうになっちゃってて…それも犯罪だぞって優しく諭されて…」 「…やっぱりあの人、苦手だなあ…」 「え?」 「…まあ、多分…杉下さんの所に行ったら…」 「…?」 「ちょっとだけ、いや…かなり現実を知ることになると思いますよ」 「…どういうこと…ですか?」 その煮え切らない態度。 何なんだろう、この人…。 仮にも杉下さんはこの会社の係長なのに、何だかアタシが杉下さんの誘いを断ることを期待してるみたいな感じ。 …アタシは、この人が苦手だなあ。 「…ええと、○階の…何処だっけ…」 それに上司のいる部屋なのにも関わらず、場所すら書類を見ないと分からないなんて。 「…」 アタシは自然と口数が少なくなっていった。 「あ、ここを右突き当たり…」 「…」 「…ここ、ですね。…なんせ、最近出来たばかりですからね…」 「…?」 「…私はここで。では詳しい事は正式に決まってから…」ペコ 「…どうも…」ペコ 29: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:46:18.50 :BMHm4lO9O …何だか、不自然過ぎる。 そもそも、杉下さんの仕事が忙しいからとか、そんな理由も聞いてない。 それに、道中の右京さんへの発言。 …まるで、煙たがってるような、そんな感じ。 …あんなあからさまに、そんな事…。 …だとしたら、考えられるのは…。 「…」 ここにいる、右京さんが、何かしらそういう原因を持ってるってこと…。 「…」 でも、あの人がそんな、女性社員に煙たがられるような事するわけがない。 …自信無いけどさ。 「…」コンコン 『はーい』 「あの…アタシ…」 『はい。存じ上げておりますよ』 「え?」 『どうぞ。お入り下さい』 「あ…うん…」 …。 30: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:47:22.69 :BMHm4lO9O …。 「…え…」 「どうも。お待ちしておりました」 …そこに広がるのは…いや。 「…」 …広がってない。 「どうかされましたか?」 「あ…えーと…」 …狭い。 5人も入ったら、満員になりそうなくらい狭い。 …つまり、圧倒的に狭い。 「…どうやら僕は、狭い空間に縁があるようでしてねぇ」 「?」 「いえ、こちらの話です」 …。 高そうなスーツに、サスペンダー。 奥に帽子と、トレンチコートがかけられてる…。 「…」 棚を見ると、ティーセット。その上は難しそうな本。 …ここが、アイドル事務所のプロジェクトルーム? 「外は寒かったでしょう。紅茶でも飲んでいって下さい」ゾボボボボボボボ 「え、あ…うん。………ん!?」 「どうかされましたか?」 「えーと…その淹れ方、何?」 「ンフフ…美味しくなるんですよぉ」 …。 31: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:48:10.59 :BMHm4lO9O 右京「ああ、千川さんに…」 友紀「うん。何か案内するーって言ってた癖にここの扉の前でスーってさ」 右京「そうですねぇ…まあ、どうやら僕はそこまで評価の高い人間ではないようですからねぇ…」 友紀「…そうなの?」 右京「何をしたのか、全く見当もつかないんですがねぇ…」 友紀「…でも、右京さんが何かするなんて無いよ。無い無い!」 右京「そうだと思いたいのですがねぇ。いつ何処で恨みを買っているものか分からないものですから」 友紀「だって、アタシの事助けてくれたよ?」 右京「たまたまですよ」 友紀「…」 右京「…さて、今日ここに来てくださった。まずはそこにお礼を言わせて下さい」 友紀「あ、うん…」 右京「その様子だと、まだどちらにするかは決めてらっしゃらないようですからねぇ」 友紀「…アタシって、もしかして分かりやすい?」 右京「分かりやすいというよりは、素直だと思いますよ」 友紀「それ、分かりやすいって事だよ…」 右京「おやそれは失礼しました…」 友紀「…でも、ありがと」 右京「…そうですねぇ…」 友紀「…」 右京「ここの部屋を見る限り、大仰なアイドル活動が出来るかどうか…保証できないかもしれません」 友紀「…」 右京「だとしたら、どうでしょう?」 友紀「…」 右京「実は僕も、アイドルをプロデュースするという経験は浅いものでしてねぇ…」 友紀「え!?」 32: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:49:12.16 :BMHm4lO9O 右京「ええ」 友紀「え…なのにスカウト…?」 右京「ええ」 友紀「えええ…?」 右京「ですから、牛歩戦術でゆっくりじっくりと見極めていこうと思っている次第です」 友紀「ぎ、ぎゅうほ…?」 右京「ですから、そんなすぐにデビューという訳にはいかないかもしれませんねぇ」 友紀「う、うーん…」 右京「…ですが」 友紀「?」 右京「僕は、君が辞めると言わない以上、何があっても前に進ませます」 友紀「…」 右京「勿論嫌なこともあるでしょう。辛い事も多い筈です」 友紀「…」 右京「ですから、無理強いはしません」 友紀「…アタシに、任せるってこと?」 右京「ええ」 友紀「…あんまり、熱心な感じじゃないね」 右京「貴方の人生ですからねぇ」 友紀「…ねえ」 右京「はい」 友紀「あのさ、その…『貴方』っていうの、やめてよ」 右京「はいぃ?」 友紀「だってさ、それこれからやっていきたいって相手にかける言葉じゃないよ?」 右京「そうですかねぇ…」 友紀「そうだよ!せめて名前で呼ぶとか、貴方じゃなくて、…うーん…」 右京「…そうですねぇ…なら、姫川君。これでどうでしょう?」 友紀「…何か男扱いみたいだよぉ…」 右京「ああ、これはこれは…申し訳ありません。僕、昔からこうでしてねぇ…ええ。僕の、悪い癖…」 友紀「…」 33: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:50:17.03 :BMHm4lO9O 友紀「…あのね…」 右京「ええ」 友紀「この間、右京さんに勧誘された後さ、アタシ親に電話したんだよね」 右京「ああ、それはそれは…」 友紀「…それでね、言われたんだ」 右京「それは、何と?」 友紀「…好きにすればいいって」 右京「…ほお…」 友紀「…でもそれって、別に放任とかじゃないんだよね」 右京「…と、言いますと?」 友紀「人生って、一回しか無いからって。だから好きにしてもいいけど、後悔だけはするなって」 右京「…なるほど」 友紀「…だから、これだけは質問させて?」 右京「何でしょう?」 友紀「アタシ、これからどんなアイドルになるの?」 右京「…そうですねぇ…」 友紀「…」 右京「…これは、僕の提案なんですがねぇ?…チアガールのようなものはどうでしょう?」 友紀「…チアガール…」 右京「ええ。この間の貴方の店の中で起こしたちょっとした出来事。僕はあれがとても印象的でしてねぇ…」 友紀「あの、応援のこと…?」 右京「ええ!まさに。貴方には人を元気付け、力を湧き上がらせる才能があるんですよ!」 友紀「…」 右京「ですから、その才能を生かした仕事をしませんか?」 友紀「…アタシの、才能…」 右京「ええ。是非」 友紀「…」 右京「…」 友紀「…やっぱり、無理だよ」 右京「おやおや。…ちなみに、何か理由がおありでしたか?」 友紀「…」 34: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:51:02.32 :BMHm4lO9O 高校時代を思い返す。 「…」 野球部の、マネージャー時代。 「…」 アタシのマネージャーとしての仕事は、色々あった。 球を磨いたり、足りない物を発注したり、練習試合のプログラムを組んだり。 部員のユニフォームを洗濯したり、書類を作ったり。 …でも、アタシが一番頑張っていたのは、部員のケア。 応援してもダメな時はダメで、その時は励ましたり、一緒に悲しんだり。 「…」 でも、あの時。 あの時の事は、今でも鮮明に記憶に残ってる。 「…」 高校生活、最後の夏。 対戦相手に全く歯が立たなくて、そのまま大差をつけて負けてしまった時。 アタシが出来ることと言えば、部員を頑張って励ますことくらいだった。 「…」 …けれど。 35: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:51:55.85 :BMHm4lO9O 『…畜生…』 『…これで俺らの野球人生終わりかよ…』 …。 で、でもみんな頑張ってたよ! 『…頑張って、この結果なんだよ』 で…でも…。 『…』 す、凄くかっこ良かった!アタシにとっては凄くかっこ良かったんだよ! 『…は?』 …えっ…? 『大差つけられて、負けて…それがかっこ良かった?』 …そ、そんなつもりじゃ…。 『そりゃ、お前は後ろで見てるだけだもんな』 え…。 『それでも何年も一緒にいてさ、そんな言葉かけるか?こんな時に」 …。 『…もういいよ。どうせ終わりだしさ』 …。 『…だけど、せめて最後くらいは空気読んでほしかったけどな』 !? 『…じゃ、お疲れ…』 …そ、そんな…。 アタシ…そんなつもりじゃ…。 …違う、のに…。 36: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:52:50.81 :BMHm4lO9O 友紀「…それでさ、アタシその事がトラウマで、逃げるみたいな感じで東京に来たんだ」 右京「…」 友紀「…かっこ悪いでしょ?」 右京「…そうでしたか。そのような背景があるにも関わらず、申し訳ありません」 友紀「ううん。気にしないで」 右京「…ですが尚更、僕は君をプロデュースしてみたい」 友紀「えっ…」 右京「そんな気持ちになりましたねぇ」 友紀「…だ、だって…アタシ…」 右京「…」 友紀「アタシ…みんなの気持ちも考えずに…無責任なこと言って、怒らせて…それで…逃げて…」 右京「…ならば、その秘密を抱えたまま、君はその人生を全うしますか?」 友紀「…」 右京「君の罪は、部員の皆さんのプライドを傷つけてしまったこと」 友紀「…うん」 右京「ならば、その罪と向き合うべきです。その罪の意識をしっかりと持ち続けるべきです」 友紀「…罪の、意識…」 右京「ええ。その後の人生が大きく変わるはずですよ」 友紀「…」 右京「それに、罪という秘密を抱えたままで、本当の幸せを手にすることなど、僕には出来ないと思うんですがねぇ」 友紀「…」 右京「今一度、向き合ってみませんか?…自分の罪と」 友紀「…アタシの、罪と…」 右京「きっと、見えてくるはずです。これからの人生が」 友紀「…本当に?」 右京「ええ。きっと」 友紀「…本当の本当に?」 右京「ええ」 友紀「…信じて、いいの?」 右京「ええ」 友紀「…」 右京「…」 友紀「…なら、約束」 右京「何でしょう?」 友紀「…アタシの人生、ちゃんと幸せにしてね?」 右京「ええ。勿論」 友紀「…じゃあ、これから…ン゛ン゛!」 右京「…?」 友紀「…よろしく!!右京さん!!」 右京「ええ。よろしくお願いします」 37: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:53:39.21 :BMHm4lO9O …。 友紀「何でだろうね。今思えばこれ、愛の告白みたい」 友紀「うえっ!?さ、流石に無いよ!っていうか向こうもそう思ってるよ!」 友紀「だって考えてみなよ…。少なくとも年齢差30以上あるんだよ?」 友紀「これ、絶対無理だって。世間的に」 友紀「アタシ達の中ではマシって…そんなこと言ったらキリないじゃん!」 友紀「もー…」 友紀「…でも、楽しかったね…」 友紀「…まあ、そうだけど…」 友紀「まあ、ね…」 友紀「…もう、いないんだよね…」 …。 38: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:54:34.14 :BMHm4lO9O 今西「聞いたかい!米沢君!」 米沢「…ええ。耳にはしております」 今西「いやあ…これを機に、彼の評価が変わればいいんだがねぇ」 ちひろ「…あの…」 米沢「おや千川さん。どうかされましたかな?」 ちひろ「ええ。その…彼って…」 米沢「ああ、杉下係長ですな。貴方が案内した姫川さんという方が正式に彼のプロジェクトでデビューすることが…」 ちひろ「…えっ!?」 米沢「?」 今西「あの杉下君が…ついに本格的にプロデュースを始めるんだ。私達も全力でバックアップしようじゃないか」 米沢「そうですな…。ああ、千川さんは彼女と少し話したそうで」 ちひろ「え、は、はい…」 米沢「どうでしたかな?彼女は…今までのアイドル達と比べて…」 ちひろ「そ、そこまでは…」 今西「うむ…まあ、彼が自分で選んだんだ。それなりの実力が無ければこんな事にはならんだろう」 米沢「そうですなぁ…まあ、しばらくは見守っていくとしますかな」 今西「うむ…」 ちひろ「…」 ちひろ「(どうして…)」 ちひろ「(今までの人だったら、こんな事あり得なかった…)」 ちひろ「(…あの人の下に着いて、良いことなんか殆ど無いのに…)」 ちひろ「(…でも、まさか…違う?)」 ちひろ「(今度は…違うというの…?)」 40: ◆GWARj2QOL2:2016/03/14(月) 21:55:49.84 :BMHm4lO9O 翌日 友紀「おはよー!」 右京「おはようございます」 友紀「…ん?これ、何?」 右京「それですか?ええ…前の職場で、使っていたんですよ。出退勤時に掛け直してくれると助かります」 友紀「ふーん…じゃあ…よい…しょっと!」カタン 『杉下右京』 『姫川友紀』 右京「では…まず昨日渡した書類ですが…」 友紀「ん!書けたよ右京さん!」 右京「ありがとうございます。…おや、元気な字ですねぇ…」 友紀「これからアイドルとしてやってくんだから。これくらい大袈裟な方がアタシらしいかなって!」 右京「良い心がけです。…ところで、君。お腹は空いていませんか?」 友紀「あ…うん。実は…朝ご飯抜いてきちゃって…」 右京「おやおや。それはいけませんねぇ…」 友紀「だってほら…身体測定とか…体重…」 右京「成る程…ですがこういう時に最も大事なことがあります」 友紀「?」 右京「それは、変に飾らないことです」 友紀「飾らないこと…?」 右京「ええ。付け焼き刃程度の努力など、すぐにダメになりますからねぇ」 友紀「う…気にしだしたら余計に…」グウウウウ 右京「おやおや。…でしたら、君の好きな物を食べに行くとしましょう。何でもというわけにはいきませんがねぇ」 『AM9:00』 友紀「あー…でも、リクエストしていいんだよね?」 右京「ええ。何が良いですか?」 友紀「じゃあ、揚げ物と、お肉にピザと…」 右京「……困りましたねぇ……」 第一話 終 読む →
2016年01月05日 07:30 右京「ハッカドール、知っていますか?」米沢「はい」 元スレ 全てのレス 1:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/01/04(月) 20:09:15.332 :vfU3rsvR0.net 米沢「どんな作業でも捗らせてくれる魔法のようなアプリだと、巷で囁かれているとか」 米沢「まあ、都市伝説ですな。噂の域を出ない、いわばオカルトのようなものでして」 右京「実に、興味深いですねぇ。もしそのアプリケーションが実在するのだとしたら」 右京「難解な事件を紐解くための何かを、僕にもたらしてくれるかもしれません」 米沢「ははぁ、杉下警部ならばそうおっしゃると思いました。オカルト方面もいけますからな」 右京「ええ。複雑怪奇な現象をこの目で見てみたいというのが、僕の積年の願いです」 米沢「ではでは、どうぞ。このスマートホンにアプリが入ってます」 右京「すでにインストール済みでしたか。なるほど……起動すれば、いいのでしょうかねぇ」 米沢「どうでしょう、なにぶん詳しいことはネット上にも書かれていませんから」 米沢「今のところ、一度も動作したことはありません。やはり悪戯なのではないかと……」 ピュィィィン ハッカドール1・2・3号「「「 君にシンクロするパーソナルエンタメAI! ハッカドール! 」」」 右京「おやおや……!」 米沢「こ、これは……!」 読む →
2016年01月04日 15:05 杉下右京「おやおや、サイクロンで聖なるバリア―ミラーフォース―は無効化できませんよ?」 元スレ 全てのレス 1:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/01/03(日) 04:06:08.389 :oI+28pv+d.net 神戸尊「お言葉ですが警部殿、カードが無くなれば効果は発動しなくなるのが道理では?」 杉下右京「カードはすでに発動していますよ、破壊などしても無意味ですよ 君ともあろう人が、実に初歩的なミスを犯すのですねぇ」 神戸尊「なにぶん初心者なもので」 杉下右京「君がカードにかけた金額と時間を考えると、とても初心者とは呼べませんがねぇ あ、その魔法に神の宣告を」 神戸尊「よろしいんですか?発動はしているので意味はありませんよ?」 杉下右京「はいぃ?神の宣告は無効化のカードですよ」 神戸尊「おっと…」 杉下右京「君も少しはルールを勉強したらどうですか?…はい、僕の勝ちです」 6:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/01/03(日) 04:09:13.411 :BAtAuAtx0.net ルールブックを全部読んでも全体の2割程度のルールしか覚えることができない神ゲー遊戯王 読む →
2015年12月27日 12:05 右京「まだ分かりませんか? あなたが……ママになるんですよ……!」 元スレ 全てのレス 1:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/12/26(土) 20:14:20.176 :8xjw5SM40.net 幼女「ふぇぇ……」 右京「ママになりなさぁい!!!」プルプル 亀山「う、右京さん!?」 芹沢「ちょっとちょっと! やばいですよ! 止めないと!」 伊丹「おい! 押さえつけろ!」 ~警察庁~ 右京「愛らしい幼子を目にすると、理性を失い、たちまち襲いかかってしまう……僕の悪い癖」 官房長「その癖、なおしてよ。正義の味方のお巡りさんが未成年を犯そうとしたなんて、洒落にならないでしょ」 亀山「努力はしてるみたいなんですけどね。これがなかなか」 官房長「生まれもっての性癖はそう簡単に変わりませんか。困ったね」 亀山「はい。いっそ、切り落としちゃおうかーなんて、話してるんですけどね?」 官房長「切り落とす?」 亀山「その、右京さんのチンコを。まあ冗談なんですけど」 官房長「いいじゃない。切り落としちゃいましょう。杉下、それでいいよね?」 2:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/12/26(土) 20:15:11.232 :1E2tJqPU0.net 相棒の愛棒が 読む →
2015年12月14日 21:30 右京「それともう一つ…そのランドセルどこのお店で購入されました?」 元スレ 全てのレス 1:名無しさん@そうだ選挙に行こう:2015/12/14(月) 12:20:00.023 :GS7fHs1/0.net 心くん「かっこいいでしょー!」 読む →
2015年10月20日 19:25 チノ「まさかこの歳になってオネショをしてしまうとは…」 元スレ 全てのレス 1:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/10/18(日) 23:23:24.597 :l0dgzjyW0.net ココア「チノちゃん、なんだかんだで無事に二期が始まったね!」 チノ「はい、正直ココアさんが忘れてて登場しないんじゃないかと内心ヒヤヒヤしてました」 ココア「ぷんぷん!いくら私だってそこまでおとぼけじゃないよ!」 リゼ「こらこら、せっかくの記念パーティーなんだからケンカするなって」 千夜「そうよ、シャロちゃんだってドラッグストアのアルバイトドタキャンして来てくれたんだから」 シャロ「ちょ、ちょっと…!リゼ先輩の前で余計なこと言わないでって!」 チノ「何はともあれ皆さん一話お疲れ様でした、お菓子も飲み物もたっぷりあるので皆さんどうぞ楽しんで下さい」 ココア「あはは、チノちゃんはあんまり沢山飲んだらお漏らししちゃうから気をつけないとね?」 チノ「失礼な、赤ちゃんじゃないんですからそんなことありえません」 一同「はははは…」 読む →
2015年05月25日 12:05 右京「ザーボンさん、ドドリアさん行きますよ」 元スレ 全てのレス 1:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/05/24(日) 10:23:03.347 :vXBDcxJEp.net ザーボン「う、右京さんどちらに行かれるんですか」 右京「決まってるではありませんか、真犯人のところですよ」 ドドリア「げへ、さすがは右京さんだ、もう真相を見抜いちまったようだな」 ザーボン(くっ……。こんどこそわたしのほうが先に犯人を見つけようと思っていたのに!) 読む →
2014年10月17日 15:05 右京「ミノル…?」 元スレ 全てのレス 1:1:2014/10/15(水) 22:37:01.98 :sPJt6rQq0 相棒×クロユリ団地のクロスssです。 クロユリ団地の方は基本映画の設定を使っていますが、 ssの都合でかなり原作を弄っています。 久しぶりの相棒ssですがそれでもいいという方はよろしければ見てやってください。 2:1:2014/10/15(水) 22:38:16.97 :sPJt6rQq0 ~???~ 甲斐「ハァ…ハァ…ここはどこだよ!?」 暗い密室、そこで甲斐享は目が覚めた。 何故自分がここにいるのか? 本来ならそんな当たり前な事すらも把握できずに、ひたすら叫び続けていた… 甲斐「誰か!誰かいないのか!?」 必死に助けを呼ぶカイト。 そんな時… 『ねぇ、遊ぼ?』 甲斐「え…?」 ふと聞こえた幼い子供の声。 恐る恐る振り返ってみるとそこにいたのは… 読む →
2014年04月08日 15:05 ルパン三世vs名探偵コナン&相棒! 元スレ 全てのレス 1: ◆jPpg5.obl6:2013/12/11(水) 21:00:46.22 :43+qQ+pE0 ルパン×コナン×相棒の多重クロスssです まず諸注意ですがコナンと相棒で役職が被るのは基本相棒のキャラを優先しますので ※(警視総監とか刑事部長とか) 作者のコナン知識は40巻で止まってます、正直40巻で挫折しましたので なのでそれ以降の新キャラとかあまりよく知りません… かなりオリジナル設定が入るのでそれが嫌だという方は正直すみません それでもいいという方はよろしければ読んでやってください 2: ◆jPpg5.obl6:2013/12/11(水) 21:01:17.25 :43+qQ+pE0 この物語は映画『ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE』の後日談である。 プロローグ ~関西の某寺院~ そこでは現在大捕り物が行われている最中であった。 追われているのはなんとあの世界的な大泥棒 ルパン三世なのだから。 ルパン「だ~から俺じゃないっての~!」 服部「やかましいわボケ!そんな言い訳通用すると思うなや!」 大滝「平ちゃん!大阪府警の意地に掛けて絶対に逃がしたらあかんで!」 追っているのは西の高校生名探偵服部平次、泣く子も黙るという大阪府警の名物刑事大滝警部率いる大阪府警の警察官たち。 そしてもう一人… 3: ◆jPpg5.obl6:2013/12/11(水) 21:02:17.19 :43+qQ+pE0 カイト「おらー!待ちやがれー!」 警視庁特命係の甲斐亨巡査部長、何故彼がこの関西で ルパン三世を追っているのかというとそれには理由があった。 大滝「いやぁすんませんなぁ、警視庁の刑事はんにまで捜査を手伝わさせてもろて!」 カイト「いえ…こっちにはたまたま出張で来てたし…お手伝いできるのはむしろ光栄ですから…」 カイト(本当はただの雑用で大阪府警遥々まで来ただけなんだけどまさか帰る間際にこんな大捕り物に駆り出されるとは思わなかった…) 服部「コラ二人とも!口っちゃべっとる場合やないで!さっさと捕らえんとキッドに逃げられてしまうわ!?」 カイト(どうでもいいけどさっきから追ってるあの怪盗キッドだけど… 確か怪盗キッドって白いスーツとマントのシルクハットなんだよな。 あれどう見ても全身黒のタイツだしおまけに加齢臭漂ってそうなおっさんぽくねえか?) ルパン「ムムッ!何か失礼な事を言われた気がするぜ。ま、それはともかくとしてだ…」 読む →
2014年04月01日 07:30 右京「江戸川コナン……?」 元スレ 1: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/28(土) 01:00:48.17 :cb7YYF1o0 ・これは『名探偵コナン』と『相棒』のクロスオーバーSSです。 ・ 右京「毛利探偵事務所の監視?」 ↑を再構成&修正した完全版です。 そのため、上記スレのコピペ部分が一部出てきますが、ご了承下さい。 ・事件現場等の描写でエロやグロが唐突に出てくる場合がありますので、ご注意下さい。 ・亀更新になりますが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。 ・『コナン』は原作コミック82巻まで、『相棒』はseason12の設定に準拠します。 ・刑事部部長については、 『コナン』の小田切敏郎が劇場版第4作『瞳の中の暗殺者』における息子・敏也の不祥事を理由に退き、 後任として『相棒』の内村氏が就いているという設定でお読み下さい。 ちなみに警視総監は白馬探の父です。 2: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/28(土) 01:01:52.05 :cb7YYF1o0 ――花の里―― 右京「江戸川コナン……?」 幸子「ええ! 今日の昼間、新宿へ買い物に出かけてて、そこでたまたま♪」 幸子「コナン君も保護者の方と一緒だったんで、声は掛けなかったんですけど」 幸子「あんな所でお目にかかれるなんて思わなかったから、私、もうビックリで」 甲斐「……確か、キッドキラーと呼ばれている都内の小学生でしたっけ?」 幸子「そうよ、この記事に出てる子。カワイイでしょ♪」ピラッ 幸子「コナン君って、鈴木財閥の相談役が怪盗キッドに挑戦する度に、宝石を守ってくれるじゃない?」 幸子「まだあんなに小さいのに、すごいなぁって思って。私、応援してるんですよ」 右京「この写真、確か彼が『紫紅の爪』を守った時のものですね」 甲斐「コナン君、何だか嫌そうな顔して映ってません?」 幸子「隣にいる相談役が苦手なんじゃないですか?」 幸子「そもそも、この人がキッドに挑戦する理由も馬鹿げてると思いますし」 甲斐「あぁ……そういや中森警部がボヤいてたような」 3: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/28(土) 01:02:59.42 :cb7YYF1o0 右京「人の偉業よりは、犯罪などの重大事件の方が大きく取り扱われてしまうものですからねぇ」 甲斐「っていうか、新聞記事の掲載順に一々こだわってんのが、一般人には理解しづらいですよ」 幸子「ま、今度の『赤面の人魚』も、コナン君の勝ちだと思いますけどね♪」 右京「……そうだと良いですねぇ」 4: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/28(土) 01:04:02.36 :cb7YYF1o0 ――二週間後・東京都内・錦座の殺人事件現場―― コナン(小五郎声)「以上の証拠から……高坂さん、犯人は貴方以外に考えられないんですよ」 高坂「クソッ……絶対にバレないと思ったのに!」ガクッ コナン(小五郎声)「あいにくですが、この世に完璧なトリックなど存在しません」 高坂「あいつが悪いんだ! 俺の親友を事故死に見せかけて殺した、あの男が!!」 目暮「……それ以上は、本庁で聞こう。連れて行け」 芹沢「午後8時41分。高坂元晴、殺人の容疑で逮捕します」ガチッ 高坂「……ちくしょう。こんな所で、毛利小五郎なんかに会わなければ……!」 伊丹「さ、行こうか」 コナン「…………フゥ」 小五郎「……」スピー コナン(何とか今回も解決できたな。さすがに疲れたぜ……) 5: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/28(土) 01:05:03.22 :cb7YYF1o0 高木「あれ、コナン君?」 佐藤「毛利さんの後ろで、何やってるの?」 コナン「あ、いや……」ゴソゴソ…ヒョイ、カラーン コナン「探偵団バッジがソファーの下に入っちゃって」 高木「ん? ……あぁ、これだね。取ってあげるよ」 佐藤「高木君、ソファーを傾けるわよ」 高木「あ、了解です」カタン 高木「……はい、コナン君。もう落としちゃダメだよ?」 コナン「ありがとー♪」 伊丹「おい、高木! 何やってんだ。早く本庁に戻るぞ!」 芹沢「佐藤さんも。急いでください」 高木・佐藤「「あ、はい!」」 6: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/28(土) 01:06:02.88 :cb7YYF1o0 高木「じゃあね、コナン君。気をつけて帰るんだよ?」 佐藤「明日、毛利さんと一緒に警視庁へ来てね」 コナン「はーい。また明日ね」バイバイ バタン! ブロロォ…… コナン「……さてと。俺も帰るか」ピッ…prrr…prrr コナン「あ、蘭姉ちゃん? 今、小五郎のおじさんと事件現場に居るんだけど」 コナン「おじさん、疲れて寝ちゃったみたいなんだ……うん、分かった。タクシーで帰るね」 7: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/28(土) 01:06:56.81 :cb7YYF1o0 ――翌日の午後・警視庁内・鑑識課―― 右京「昨夜、錦座で起きた殺人事件の証拠品は、これですね?」 米沢「ご覧になりたければ、どうぞ遠慮無く」 右京「どうも。米沢さんも、現場には行っていたんでしょう?」 米沢「えぇ。眠りの小五郎にお会いできたのは驚きでしたが」 右京「昨夜も、彼は見事な推理を披露したとか」 米沢「杉下警部並みの理路整然としたトリックの説明に、思わず聞き入ってしまいましたよ」 右京「そうですか。僕も一度、彼の推理を拝聴してみたいものです」 右京「ところで、米沢さん。この証拠品は、毛利探偵がどこで見つけた物なのでしょう?」 米沢「あぁ、それは毛利探偵ではなく、江戸川コナン君が見つけた証拠品です」 右京「……コナン君が、ですか?」 8: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/28(土) 01:07:45.40 :cb7YYF1o0 米沢「ええ。あの少年は勝手に現場へ入り込んでくるので、鑑識からすれば邪魔なんですが……」 米沢「毛利探偵といることが多いせいか、妙に現場に慣れていましてね」 米沢「その上、現場の不審な点を指摘したり、今回のようにヒョコッと証拠品を見つけてきたりするので」 米沢「目暮警部達も、彼を現場から追い出そうとしないものですから。我々も少し困ってるんです」 右京「米沢さんは、以前にもコナン君に会ったことがあるのですか?」 米沢「いえ、直接会ったのは昨日が初めてです。ただ……」 米沢「トメさんの話では、今まで彼が居合わせた現場でも、重要な証拠品を見つけることが多々あったようで」 米沢「捜査一課の中には、コナン君のことを毛利探偵並みに信頼している者もいるそうです」 右京「なるほど……それは興味深いですねぇ」 9: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/28(土) 01:08:41.13 :cb7YYF1o0 バタン! 伊丹「おい米沢。昨日頼んどいた鑑定、終わったか?」 芹沢「……って、やっぱり居た」アチャー 右京「既に事件は解決しているのですから、そこまで嫌そうな顔をしなくても良いと思いますが?」 伊丹「そうですけどね……ったく。ガキのお守りだけでもウンザリなのに、警部殿の相手までしてられませんよ」 右京「おや、迷子でも保護したのですか?」 伊丹「違いますよ。芹沢、戻るぞ」スタスタ 芹沢「はーい」チラッ 右京「何か、僕に言いたいことでも?」 芹沢「あぁいえ。大したことじゃないんですが……伊丹さん、さっきからずっと機嫌悪いんですよ」ヒソヒソ 右京「はいぃ?」 10: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/28(土) 01:09:59.55 :cb7YYF1o0 芹沢「佐藤さんと千葉さんが、午前中から他の現場に出ちゃったんで」 芹沢「伊丹さんが高木さんと一緒に、毛利さんとコナン君の調書を取ってたんです」 芹沢「でも毛利さん、記憶が一部飛んでるみたいで、肝心の推理で言ってた内容があやふやでしてね」 右京「一晩寝たぐらいで記憶が不確かになるとも思えませんが……不思議ですねぇ」 芹沢「まぁコナン君が内容をキッチリ覚えててくれたんで、調書作成は何とか終わったんですけど」 芹沢「高木さんとの雑談混じりの聴取に、伊丹さんがイラついちゃって」 右京「……伊丹さんは、そういう時に無駄話をされるのが苦手ですからね」フフッ 11: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/28(土) 01:11:02.36 :cb7YYF1o0 右京「そういえばコナン君は、重要な証拠品を見つけてきてくれたと米沢さんから聞きましたが」 芹沢「ええ……それは良いんですけど、あの子、現場をウロチョロしないでほしいですよ」 芹沢「昨夜も毛利さんが現場からつまみ出したのに、いつの間にか戻ってきてて」 芹沢「強行犯三係は誰一人、あの子のことを注意しないんですからビックリです」 芹沢「伊丹さんも怒ってましたよ。殺人現場なんて、子供に見せていいものじゃないでしょ?」 右京「ええ。しかしコナン君は、好奇心旺盛な子供なんですねぇ」 芹沢「旺盛すぎますって。あの子から直接一課へ通報が来ることも結構あるんですけど」 芹沢「正直言って、勘弁してほしいですね」 12: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/28(土) 01:11:42.59 :cb7YYF1o0 伊丹「おい、芹沢! さっさとしろ!!」 芹沢「あ、はい!」 右京「引き留めてしまってすみません。また機会があれば、昨日の事件のことを教えてください」 芹沢「ええ。それじゃ、僕はこれで」 芹沢「お待たせしました」 伊丹「お前、警部殿に妙なこと吹き込んでねぇだろーなぁ?」 芹沢「言ってませんよ……っていうか、言うほどのことなんて無かったでしょ?」 伊丹「……フン」 キィィ……バタン! 右京(江戸川コナン……中々、面白い少年のようですねぇ) 右京(まずは、彼と親しいという高木さんに話を聞いてみましょうか) 17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2013/12/28(土) 15:01:32.61 :YrYcpxKY0 右京さんならコナンの正体突き止められそうだな 19: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/29(日) 15:45:09.56 :++u20aeQ0 ――捜査一課前・休憩スペース―― 高木「二人とも、今日はお疲れ様でした」 小五郎「おう」 コナン「佐藤刑事、まだ帰ってこないの?」 高木「あぁ、さっき被疑者を確保したって連絡があったから大丈夫だよ」 小五郎「元刑事の俺が言うのもアレだが……こんなに事件が多いんじゃ、オメーらも大変だな」 高木「まぁ、これがボク達の仕事ですから」ハハッ コナン「佐藤刑事と千葉刑事によろしくね」 高木「うん。また何か事件が起きたら、連絡してね」 コナン「は~い♪」 小五郎「何が『は~い♪』だ! そんな連絡が無いのが一番平和だっての。じゃあな、高木」 高木「ええ。蘭さんにもよろしく」 小五郎「おぅ」 コナン「じゃあね、高木刑事」スタスタ 高木「…………フゥ、やっと終わった~」 20: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/29(日) 15:46:35.60 :++u20aeQ0 ……カツカツカツ 佐藤「高木君」 高木「あ、佐藤さん。お帰りなさい。……もうこっちへ戻ってきても良かったんですか?」 佐藤「ええ。後は千葉君と白鳥君に任せてきたわ」 佐藤「毛利さんとコナン君、もう帰ったの?」 高木「えぇ、ついさっき」 佐藤「そう……ちょっと話したいことがあったんだけど」 佐藤「ま、いっか。今度、時間が空いた時にでも事務所に顔出すわ」 高木「佐藤さん……?」 右京「おや、一足遅かったようですねぇ」 高木「うわぁっ! ……って、杉下警部!?」 佐藤「何か、警部が動くほどの重大な事件でも?」 右京「いえ。毛利探偵にお会いして、昨日の事件のお話を伺いたかったのですが……」 右京「既に帰られたと聞いて、少々残念に思っただけですよ」 21: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/29(日) 15:48:35.33 :++u20aeQ0 高木「警部、いきなり後ろに立たないで下さいよ。心臓が止まるかと思いました」 右京「あぁいや、僕も驚かせるつもりは無かったんですが……」 右京「そういえば、貴方方も昨日の事件現場に居たんでしたね?」 佐藤「ええ。コナン君から通報があったので、鑑識を連れて錦座まで駆けつけて」 高木「後から来た伊丹さんと芹沢さんに現場を任せて、ボク達は聞き込みに……」 右京「あの二人、貴方方がコナン君を現場から遠ざけようとしない、と随分怒っていましたよ?」 高木「え……マジっすか?」ギク 右京「ええ。米沢さんも、少々眉を顰めていましたし」 佐藤「すみません……あの子、頭の回転がすごく速いし、我々が見落としがちなことにも気付くので」 佐藤「現場に置いておいた方が有益なことが多いんです。それで、つい……」 右京「しかし、限度というものがあるのではないでしょうかねぇ?」 高木「でもコナン君、毛利さんに連れられて、色んな現場に遭遇しているせいか」 高木「ほとんど動揺した様子もないので、大丈夫かなって……あぁいや、ホントはまずいのは分かってます」 22: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/29(日) 15:50:12.42 :++u20aeQ0 右京「……お二人の目から見て、コナン君はどういう子ですか?」 高木「一言で言えば、不思議な子です」 佐藤「確かに、現場をあちこち調べ回るのは、毛利さんもよく怒ってるんですけど」 佐藤「関係者から色んな証言を聞き出したり、凶器や証拠の隠し場所を突き止めたりしてくれるし……」 高木「それに、TVから得た知識や、工藤君から教わったことを得意げに話したりもしますよね」 右京「工藤君……と言うと、高校生探偵の工藤新一君のことでしょうか?」 高木「ええ。コナン君と工藤君は親戚同士で、結構マメに連絡を取り合ってるみたいですよ」 右京「あの二人が親戚とは、初耳ですねぇ」 高木「ボクも驚きました。工藤君の身内関係の話は、あまり聞いたことがなかったので」 高木「それに……ボクはあの一件以来、コナン君が普通の小学生とは思ってません」 23: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/29(日) 15:51:40.96 :++u20aeQ0 右京「あの一件とは?」 高木「佐藤さんにとっては嫌な記憶ですけど」チラッ 高木「ボクが東都タワーのエレベーターに閉じ込められた事件……覚えてますか?」 佐藤「…………」ピク 右京「ええ。三年前、松田刑事を殉職させた爆弾魔の起こした事件でしたね」 高木「あの時、ボクと一緒にエレベーターに乗ってたのが、コナン君だったんです」 右京「……確か、爆弾を解体したのは高木さんではなく」 高木「コナン君です。あの歳の子供なら、恐怖で泣き叫んでもおかしくない状況だったのに……」 高木「彼はそんな素振り一つ見せず、淡々と爆弾を解体してました」 高木「その様子が、あまりにも異様に思えて……ボクはコナン君に尋ねたんです」 高木「『君は一体、何者なんだい?』って」 右京「……彼は、何と答えたのですか?」 高木「『――知りたいのなら教えてあげるよ。あの世でね』と」 佐藤「本当に、コナン君がそう言ったの?」 高木「ええ。結局、エレベーターを脱出できた後も色々あったので、答えは聞けないままになっちゃいましたけど」 高木「……あの時のコナン君の表情、今でも忘れられませんよ」 右京「なるほど。コナン君は、とても度胸のある小学生なんですねぇ」 右京(どうやら普通の子供でないことだけは、確かなようですし……少し、調べてみましょうか)クスッ 24: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/29(日) 15:53:05.51 :++u20aeQ0 ――特命係―― 甲斐「あ、杉下さん! どこ行ってたんですか」 右京「米沢さんに頼んで、昨夜の事件の証拠品を見せてもらっていただけですよ」 甲斐「それにしちゃ、随分と遅いお戻りのようですけど。どっか外にでも出てました?」 右京「僕はずっと庁内にいましたよ? 特にこれといった事件も起きていませんでしたし」 甲斐「じゃあ、これ手伝って下さいよ。俺一人じゃ量が多すぎます」バサッ 右京「この書類の山を仕分けているのですか?」 甲斐「ええ。サイズ別に分けて、リサイクルに回す書類なんですけどね」 甲斐「捜査二課の奴がドジやらかして、マル秘文書も一緒に入れちゃったんで」 甲斐「分けるついでに文書も捜してくれって押しつけられたんです。これはA4、こいつはB5……と」ポイポイ 右京「おやおや、それは大変ですねぇ……」ガサガサ 25: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/29(日) 15:54:41.12 :++u20aeQ0 右京「ところで、そのマル秘文書とは一体何についてのものなのでしょう?」 甲斐「今度の怪盗キッドの予告現場……『グリーン・エンペラー』展示場の警備計画書です」 甲斐「宝石そのものは、鈴木財閥が雇った最強のボディーガードとかいうのが守るらしいですけど」 甲斐「建物の周辺には警官を配置するそうですからね。それの詳細な計画が書いてあるとかで」 右京「それを誤ってリサイクル用の文書ボックスに入れてしまうとは……二課の方も迂闊ですねぇ」 甲斐「俺がこの書類の山を引き取りに行った時、中森警部はカンカンで。娘さんが必死に宥めてました」 甲斐「今からこんなんじゃ、今回もキッドの確保は期待できませんね」ハァ… 右京「キッドの狙いが鈴木財閥の所有するビッグジュエル、ということは……彼も警備に参加するのでしょうか?」 甲斐「え?」 右京「江戸川コナン君ですよ」 右京「警察や財閥の私的な警備とは別に、相談役が個人的に呼び寄せることもあるそうですからね」 26: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/29(日) 15:57:32.02 :++u20aeQ0 甲斐「……たぶん、あの子も現場には来るんじゃないですか?」 甲斐「中森警部や茶木警視がどんなに渋面しても、相談役やお嬢様からの依頼って形なら、現場に入れざるを得ないですし」 右京「鈴木財閥のお嬢様が、警備の依頼をすることもあるのですか?」 甲斐「ええ。鈴木財閥には二人の娘がいるんですけど。下の子が、毛利探偵の娘さんと幼馴染みの大親友で」 甲斐「そのお嬢様も、コナン君のことを随分と信頼してるみたいです」 甲斐「最近じゃ、『おじ様が宝石を取られても、アンタが取り返してくれるから大丈夫』なんて言ってるそうですよ」 右京「随分と詳しいようですが、どなたから聞いたのですか?」 甲斐「二課から書類の山を引き受ける交換条件として、裏話を聞かせてもらったんですよ。色々とね♪」ニッ 右京「なるほど。他にどんな話があるのか気になりますが、先にこれを片付けてしまいましょうか」ガサガサ 甲斐「はーい」バサッ…ポイポイ 31: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/30(月) 22:28:09.72 :R71q84GV0 ――二時間後・捜査二課前―― 甲斐「そんじゃ、失礼しました~」バシーン!! 右京「カイト君。いい加減、機嫌を直したらどうですか?」 甲斐「だってマル秘文書が見つかったのは、書類の山の一番下だったんですよ?」 甲斐「あの野郎……な~にが『真ん中ぐらいに挟まってると思うんですけどぉ』だ!」 右京「まぁ良いじゃありませんか。これで他者に情報が漏れる心配もなくなったわけですし」 右京「予告日が明後日に迫っている以上、今から警備計画を練り直したのではギリギリだったでしょうからねぇ」 甲斐「確かにそうですけど……あ~もう! 今度同じことがあったら、絶対に突っぱねてやる!!」 右京「まぁまぁ……我々の仕事はこれで終わりです。後は二課に頑張ってもらいましょう」 甲斐「あ~あ。当日は現場を覗きに行くつもりだったけど、やめとこ……」 右京「……僕は、行ってみましょうかねぇ」 甲斐「ん? 杉下さんも、やっぱりキッドのことが気になるんですか?」 右京「いえ。僕が気にしているのは、江戸川コナン君の方ですよ」 32: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/30(月) 22:29:16.54 :R71q84GV0 右京「彼がどんな風にキッドから宝石を取り返しているのか、少し興味が湧いてきたものですから」 甲斐「言われてみれば……確かに。二課の人達に聞いても、いつの間にかヒョッコリ取り返してくるらしいですし」 右京「彼が宝石を取り返すことができるということは、キッドと接触する機会があるということ……」 右京「コナン君は、一体どういう風に怪盗キッドと接触を図っているのかと思いましてねぇ」 甲斐「どういう風にって……偶然、逃走中のキッドと出くわしたとかじゃないんですか?」 右京「確かに偶然という場合もあったでしょう。しかし、コナン君が関わった現場の数を考えれば、全てがそうとは限りません」 甲斐「……そりゃまぁ、そうですけど」 右京「今回も現場の指揮を取るのは中森警部ですから、僕は展示場には入れないでしょうが」 右京「幸子さんの付き添いがてら、外から見物してきますよ」 甲斐「あぁ……そういや幸子さん、また生でコナン君を見たいって言ってましたね~」ハハハ… 33: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/30(月) 22:30:54.34 :R71q84GV0 ――通路脇―― 捜査員A「…………行ったか」チラッ カツカツカツカツ…… ――路地裏―― 捜査員A(……ここまで来れば、いいでしょう) ベリベリッ……パサッ ベルモット「フゥ……」 ベルモット(杉下右京……ある事件をきっかけに、特命係という窓際部署へ追いやられた男) ベルモット(しかし、その頭脳は警視庁随一と言っても過言じゃない……そんな男がクールガイに目を付けるなんて) ベルモット(下手にあの子のことを探られて、彼の正体に感づかれたら厄介だわ) ベルモット(住民票はあの阿笠とかいう博士がどうにかしているようだけど、戸籍を調べられればボロが出るのは必至……) ベルモット(…………いえ、待って。この状況を、逆に利用できないかしら?) ベルモット(上手くすれば、クールガイにも気付かれないところで杉下を排除できるはず) ベルモット(でも、面倒な状況であることには変わりないわね。バーボンに迂闊なことは言えないし) ベルモット(……ここは、一番手っ取り早い方法を使いましょうか)フッ 35: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/30(月) 22:32:18.07 :R71q84GV0 ――三日後・特命係―― 甲斐「結局、今回もコナン君の勝ちですか」パラ… 右京「京極真君の活躍もあってのことですから一概には言えないでしょうが……キッドの犯行が失敗に終わったのは確かです」 甲斐「京極真? あぁ……あの400戦無敗の空手家ですか」 甲斐「柱を空手で全部へし折った上に、天窓までジャンプって……どんだけ馬鹿力なんですかね」 右京「それは僕も直接見たわけではありませんが……世界中の猛者と戦うために、腕を磨いているだけのことはあると思いますよ」 甲斐「見物はどうでした? 幸子さんと行ったんでしょ?」 右京「それが、多すぎる人の波から彼女を守るのに必死でしてね。捕り物を見られたのはほんの数十秒といったところですか」 甲斐「ありゃ……それじゃ、行かなくて正解だったかなぁ」 右京「そうかもしれませんねぇ」 36: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/30(月) 22:33:01.80 :R71q84GV0 芹沢「お邪魔しま~す……」 右京「おや。芹沢さんの方からここを訪ねてくるのは、珍しいじゃありませんか」 芹沢「こっちだって来たくなかったんですけど……内村刑事部長と中園参事官が呼んでますよ」 甲斐「呼び出しなら内線電話一本で済むのに、わざわざ芹沢さんに伝えさせるって……」 右京「新手の嫌がらせでしょうかねぇ?」 芹沢「とにかく、伝えましたからね。早く行って下さいよ」プイ…スタスタ 甲斐「……何か呼び出されるようなことに、心当たりはあります?」 右京「いえ、特には。カイト君の方はどうです?」 甲斐「僕も無いですよ」 右京「いささか腑に落ちませんが……行くのが遅くなるとうるさい人達ですし、さっさと行きましょうか」 甲斐「はーい……」 37: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/30(月) 22:34:14.47 :R71q84GV0 ――内村の執務室―― 右京「毛利探偵事務所の監視……それが我々の任務だと仰るのですか?」 内村「そうだ。あの事務所の関係者周辺では、やたらと事件が頻発するからな」 内村「本庁や所轄でも、不審がる声が相次いでいるんだ」 中園「我々本庁の人間も忙しくて人員を割けないのだが、暇なお前達なら適任だろうと思ってな」 甲斐「監視対象は毛利探偵ってことですか?」 中園「いや、今回の対象は彼ではない。江戸川コナンという居候の少年の方だ」 右京「はいぃ?」 甲斐「昨日のキッド関連のニュースで僕も見ましたけど、彼はまだ小学生ですよ?」 右京「家主の探偵ではなく居候の子供を監視とは、一体どういうことなのでしょう?」 中園「コレを見ろ」カタカタ 甲斐「何ですか? このサイト……『毛利小五郎の事件ファイル』?」 内村「奴が世間で名を知られ始めた頃から、これまで解決した事件についてまとめたサイトだ」 38: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/30(月) 22:35:45.89 :R71q84GV0 中園「問題は、この項目だ」カチッ 右京「『江戸川コナンの関わった事件の数』……ですか」 甲斐「……これ、全部そうですか?」 中園「そうだ」 中園「あの少年が毛利小五郎の元に預けられたのは、半年ほど前のことだが……何せ事件の数が多すぎてな」 内村「いくら小学生でも、それはさすがに怪しいと思わんか?」 右京「確かに。ここまで事件遭遇率の高い小学生は、見たことがありませんねぇ……」 甲斐「うわ……凄いですね。こんなデータを取ってるサイトがあるなんて、知りませんでしたよ」 右京「マスコミで報道されるのは、毛利探偵についての記事がほとんどですからね」 内村「最近では、あの子供が一課の高木や千葉と顔なじみになり、奴らをパシリにしているという噂まである」 内村「仮にも警視庁捜査一課の刑事とあろう者が、小学生に良いように使われるなど情けない」 内村「キッドキラーだか何だか知らんが、子供風情に大きな顔をされるのは不愉快だ!」 39: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/30(月) 22:36:32.90 :R71q84GV0 中園「と、とにかくあの少年の周囲で事件が多発するのは、何か原因があるのではないかと思ってな」 中園「明日から一週間ほど張り込みを続けて、江戸川コナンとその周囲を探ってほしい。必要であれば、多少の聞き込みも許可する」 中園「言っておくが、我々はあの少年を疑っているわけじゃないぞ?」 甲斐「……コナン君は、小田切さんと白馬警視総監のお気に入りですもんね」ボソッ 内村「何か言ったか!?」ムッ 甲斐「いえ、別に」 右京「では、失礼させて頂きます」 甲斐「失礼しました~」バタン 40: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/30(月) 22:37:39.02 :R71q84GV0 ――翌日・毛利探偵事務所近くの路上・右京の車内―― 甲斐「ったく……小学生を監視だなんて。これが警察の仕事ですか?」 甲斐「たまたま出先で事件に出くわして通報したのが積み重なって、あの数字になっただけでしょ?」 甲斐「偶然なら偶然だって、上の連中も割り切りゃいいのに。ホント、何を考えてんだか」 右京「上層部は、コナン君が事件に関わるのが余程嫌なようですねぇ」 甲斐「小学生が事件に遭遇することを喜ぶ大人なんていませんって」 右京「それは僕も異論はありませんが……」 右京「どうやらコナン君は、ただの小学生というわけではなさそうですよ」 甲斐「は?」 41: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/30(月) 22:38:41.18 :R71q84GV0 右京「昨日、参事官達の前を辞した後、コナン君のことを少し調べてみました」 右京「江戸川コナン君は、高校生探偵として知られる工藤新一君の親戚だと、高木さんから聞いたのですが……」 右京「工藤君の親類縁者を調べた結果、江戸川コナンなる人物は存在していなかったのですよ」 甲斐「え!?」 右京「彼は現在小学一年生で、誕生日を迎えていますから、7歳のはず」 右京「もう役所の電子化が進んだ頃に生まれている年齢です」 右京「しかし7年前、役所に出された出生届のデータを閲覧・検索しましたが、彼のデータはなかった」 右京「出生届が出されていない……つまり、コナン君は無戸籍児ということになります」 甲斐「無戸籍児?」 右京「ええ。普通はコナン君の母親が、夫との間に何らかの確執があったために」 右京「コナン君の出生届を出せないままだったと考える所でしょうが……」 甲斐「いや、普通そうでしょ。警視庁のファイルでも、父親の情報は一切ありませんでしたし」 右京「もう一つ、可能性があります」 甲斐「もう一つ……?」 42: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/30(月) 22:40:09.02 :R71q84GV0 右京「誰かが何らかの目的で、江戸川コナンという架空の人物を作り出した可能性です」 右京「これならコナン君の出生届が出されていない、ひいては戸籍が無いのは当たり前ですし」 右京「父親についての情報が無いことにも説明が付きます」 右京「元々存在するはずのない人物の父親など、見つかるはずもありませんからねぇ」 右京「同様に、文代さんという名の母親も実在している方なのか、かなり怪しいものです」 甲斐「え……ちょ、ちょっと待って下さいよ。杉下さんの言ってることが正しいとしたら」 甲斐「江戸川コナンと名乗って、あの探偵事務所で生活してる彼は……どこの誰なんですか?」 右京「さあ、誰でしょうねぇ」 甲斐「誰でしょうねって……杉下さん……」 甲斐「まさか、それが……参事官達がこんな監視を命じた、本当の理由ですか?」 右京「あの方々がそこまで考えているかはまだ分かりませんが、何らかの事情があるのは確かなようです」 右京「とにかく我々は命令通り、コナン君と彼の周辺について、詳しく調べてみましょう」 甲斐「は、はい……」 右京「おや、ちょうどコナン君が帰ってきたようですね」 43: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/30(月) 22:41:15.05 :R71q84GV0 ――毛利探偵事務所前―― 歩美「ねぇねぇ。今度の土曜日、みんなでまた遊園地に行こうよ!」 コナン「遊園地ぃ?」 元太「おっ、それ良いなぁ。賛成!!」 光彦「トロピカルマリンランドで、新しいアトラクションができたそうですよ」 灰原「私はパス」 歩美「え~、哀ちゃんも行こうよ~」 光彦「灰原さんも一緒じゃないと、楽しくありませんよ~」 歩美「チケットは哀ちゃんの分ももらってあるの。だからお願い、一緒に行って!」 灰原「……分かったわよ。でも小嶋君の買い食いのお金、博士は一切出さないから」 元太「ええ~!? 何でだよ!!」 44: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/30(月) 22:41:59.79 :R71q84GV0 灰原「自分で稼いだお金を自由に使う分には、誰も文句言わないわ」 灰原「でも、小嶋君が今まで好き勝手に飲み食いしてきたのは、他人のお金よ?」ジロッ 光彦「確かに元太君、城崎温泉に行った時も、牛丼と中華まんを食べ過ぎて……」 歩美「和葉お姉さんのお財布を空にして、怒らせちゃったもんねー」 コナン「北ノ沢村に行った時は、たこ焼きを10皿も食べて、腹を壊したんだったな」 元太「う……」 灰原「いい加減、バクバク食べ過ぎる癖を直しなさい」 灰原「このままだと健康にも良くないし、周りの人に嫌われちゃうわよ?」 元太「……わ、分かったよ」チッ コナン(ぜってー分かってねぇな、こいつ……) 45: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/30(月) 22:43:18.66 :R71q84GV0 ――探偵事務所近くの路上・右京の車内―― 甲斐「……色々と、突っ込みどころの多い会話ですね」 右京「見たところ、あの元太という少年は肥満と言うべき体格ですし」 右京「茶髪のお嬢さんの言ったことは、もっともだと思いますよ」 甲斐「いや、それは否定しませんけど。あ、コナン君が事務所に入りましたね」 甲斐「お友達はそれぞれ帰宅……至って平和ですね」 右京「今はそうでも、これから何が起きるかは分かりません。このまま張り込みを続けましょう」 ~2時間経過~ 甲斐「さすがに日が落ちると、急激に冷えてきますね」ブルッ 右京「事務所に動きもないようですし、あのポアロという喫茶店で休憩といきましょうか」 甲斐「賛成でーす」 46: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/30(月) 22:44:04.66 :R71q84GV0 ――ポアロ店内―― 梓「いらっしゃいませ~。二名様ですね、こちらの席にどうぞ」 右京「どうも」 甲斐「……ここって、馴染みのお客さんが多いみたいですね」ヒソヒソ 梓「そうなんです。昔から通って下さってる方がたくさんいますよ」 甲斐「あ、聞こえてました?」ハハハ 梓「お二人は、刑事さんなんでしょう?」 右京「おや、お分かりになりましたか?」 梓「兄が事件に巻き込まれて、一課の方々が店で張り込んでたことがあったんですけど」 梓「その時、高木刑事から張り込み中の刑事さんの見分け方をこっそり聞いたんです」クスッ 甲斐(高木さん……何やってんすか) 安室「毛利探偵事務所の方を見ていたようですが、何か事件でもあったんですか?」 右京「……貴方は?」 安室「失礼、こちらでウェイターをしている安室と言います」 47: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/30(月) 22:45:50.42 :R71q84GV0 安室「三人の会話が聞こえてしまったもので……お気に障りましたか?」 右京「いえいえ。私達も、ずっとここで立ち話をしていましたからね」 甲斐「とりあえず、座りましょうか」ガタ 右京「では、失礼」カタン 右京「紅茶と、何かオススメのメニューを頂けますか」 甲斐「俺はコーヒーとサンドイッチのセットで」 梓「分かりました、少々お待ち下さい。安室君、お冷やをお願いね」 安室「はい」 ~10分後~ 梓「はい、おまちどおさま」 梓「当店自慢の、あんかけスパゲティです。こちらがサンドイッチです」 右京「これは美味しそうですねぇ」 甲斐「ホントですね、ちょっと意外……あ、失礼」 梓「いえいえ。そういうお客様の反応も、店側の楽しみの一つですから」 安室「ところで、お二人がどういう事件で張り込んでいるのかは……?」 甲斐「守秘義務がありますんで、すみません」 安室「ですよねー」ハハハ 安室(チッ……この店に来る刑事は、結構口が軽いのに) 右京「やはり、気になりますか?」 安室「ええ。僕、毛利小五郎先生に弟子入りしてる探偵でもあるんで」 安室「先生、何か深刻な事件にでも巻き込まれたのかなって……」 右京「なるほど、貴方も探偵でしたか」 48: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/30(月) 22:47:14.06 :R71q84GV0 右京「毛利探偵とも師弟関係というなら、少しお聞きしたいのですが」 安室「はい、何でしょう?」 安室(よしよし、何とか事情を聞き出せそうだな)ホッ 右京「最近、江戸川コナン君の周辺をうろつく、怪しい人物はいませんでしたか?」 安室「コナン君の周りを……ですか?」 右京「ええ。実は警視庁に、コナン君をつけ狙う輩がいるという情報が寄せられまして」 安室「え!?」ギクッ 甲斐(おいおい、守秘義務があるって言ったばっかなのに。一体何を喋るつもりだ?)ハラハラ 右京「コナン君はキッドキラーとして、随分と有名になったでしょう」 梓「そうですね。ウチの新規のお客さんにも、コナン君目当てで来てる方がいましたから」 右京「一部の方々がストーカーじみた行為に走っているようだと、前刑事部長の小田切さんも心配されてましてねぇ」 甲斐(うわぁ。この人、小田切さんの名前を勝手に使ってる……) 梓「えっ? それ、ホントですか!?」 右京「世の中には特殊な趣味の人もいますし、ここ最近の米花町内の不審者情報も多かったですし」 右京「周辺の警護と実態調査のために、我々が来たというわけです」 甲斐「ま、まぁ犯罪予防の一環っていうか……」ハハッ 49: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/30(月) 22:48:26.19 :R71q84GV0 右京「お店でいる時には、周辺の人通りなどはよく見えますよね」 右京「何か思い当たるようなことは、ありませんでしたか?」 安室「え、あぁ……いや……僕は、そういう変な人を見かけたことは無いです」 安室(強いて言うなら一人、いることはいるが……アレは手を出す危険は少ないだろうし) 右京「そうですか。梓さんはどうでしょう?」 梓「私も無いですねぇ。これからは、ちょっと気をつけて見てみます」 安室(……この刑事達、単にストーカーの調査をしに来たわけじゃないな。本当は何が目的だ? 誰を疑っている?) 安室(まさかプールバーでの殺人事件の時、僕が江戸川コナンの跡を尾けていたところを、誰かに見られたのか?) 安室(いや……もしかすると赤井の妹や、FBIの奴らの動きを日本警察が察知してのことかも……) 安室(いずれにせよ、警察の動きをもう一度確認した方が良さそうだ) 50: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/30(月) 22:49:25.37 :R71q84GV0 ~20分後~ 右京「では何か分かったことや、思い出したことがあったら、言って下さい」 甲斐「張り込みの間は、ここを贔屓にさせてもらいますんで」ニコッ 梓「はい。またお待ちしてます♪」 安室「ありがとうございましたー」 安室(確かここ一週間、ベルモットが頻繁に警視庁へ潜り込んでいたな……今日の仕事が終わったら連絡を取るか) 安室(あの女に貸しを作るのは癪だが、やむを得ん)チッ 51: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/30(月) 22:51:29.98 :R71q84GV0 ――バーボンの潜伏先―― 安室「……というわけなんだが。あの二人が動いている本当の理由について、何か知っていることはないか?」 ベルモット『私は特にこれといった話は聞いてないわ。その二人が言った通りじゃないの?』 安室「彼らの言うことに裏がないという根拠でもあるのか?」 ベルモット『根拠というか……ネット犯罪対策を強化する会議で、小田切が周囲に漏らしてたのは本当よ』 ベルモット『あの子はなるべくリスクを避けて動く一般人じゃなく、自ら危険に飛び込む探偵だから何かと心配だってね』 ベルモット『それに、あの子を隠し撮りしてるネズミがいるの、貴方も気付いてるでしょ?』 安室「あぁ。彼の登下校を覗き見している、20歳ぐらいの若い男だろう?」カタカタ…タン! 安室「ネット上にも、奴が撮った盗撮画像が数多くアップされてるな。……ダウンロード数も半端無いが」 ベルモット『まぁ。人気者なのね、彼』フフッ 安室「怪盗キッドとの対決を応援する女性達だけじゃなく、その手の趣味がある男共にもな」 ベルモット『……本人が知ったら、さぞかし驚くでしょうね』 52: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/30(月) 22:52:20.53 :R71q84GV0 安室「フン……しばらくは動くのを控えて、あの刑事達をやり過ごすが」 安室「正直、警察に事務所周辺をうろつかれるのはまずい」 安室「せっかくベルツリー急行でシェリーを始末できたというのに……こちらも問題ばかりだな」 ベルモット『バーボン。もしかして、こないだ言ってた確証とやらが中々掴めないから、焦ってるの?』 安室「バカを言うな。面倒事は少ないに越したことはないだろうが」ムッ ベルモット『あら、怖い』クスクス ベルモット『それじゃ、そっちも頑張ってね。あのお方も良い報告を期待しているわ』 安室「あぁ。警察の動きで、何か掴めたことがあれば知らせてくれ」 ベルモット『ええ。それじゃ』 ピッ 安室「さて……当分は大人しくしておくか」 53: ◆rzOq/SCuAA:2013/12/30(月) 22:56:33.04 :R71q84GV0 ――ベルモットの滞在先のホテル―― ベルモット「バーボン。悪いけど、今回は貴方にも少しピエロになってもらうわよ……」フフフ ベルモット(杉下右京がクールガイについて探り、彼の正体を知れば、何故あの姿になったのか疑問を抱いて調べるはず) ベルモット(それを理由にして、杉下を消せばいい。どのみち組織には邪魔な男だと思っていたし……) ベルモット(シェリーのことは手を引いたけど、他の人達については何の約束もしてないものねぇ)ニヤリ 57: ◆rzOq/SCuAA:2014/01/01(水) 11:37:13.71 :EiH25teU0 ―― 一週間後・警視庁内・特命係―― 甲斐「一週間ず~っと毛利探偵事務所の前で張り付いたけど、特に事件は起きませんでしたね」 甲斐「周辺住民に聞き込んでみても、皆さん口を揃えて『コナン君は良い子だ』と言ってましたし」 甲斐「学校でも友人が多く、成績面も音楽以外は問題なし。戸籍と両親のこと以外に不審な点はありませんでした」 右京「表面的に調べただけでは、確かにそうでしょう」 右京「しかし僕の推測通り、江戸川コナンという人物が何者かによって作り出された存在であるとしたら……」 右京「ちょっとやそっとのことでは、その正体は掴めないでしょうね」 『米花町で殺人事件発生!現場は三丁目の公園近く……』 甲斐「俺らがいなくなった途端に、これですか」ゲンナリ 右京「やはりもう一度張り付いて、様子を見た方が良いかもしれませんねぇ」 甲斐「ですね……」 右京「今度は『ポアロ』の方々にも内緒にしておきましょう。特に、梓さんが不安がってしまいますからね」 甲斐「……はーい」 甲斐(あそこのコーヒー、気に入ってたのになぁ……) 58: ◆rzOq/SCuAA:2014/01/01(水) 11:38:27.76 :EiH25teU0 ――翌日・捜査一課―― 高木「よし、今日の聴取はこれで終わり……っと。コナン君、もう帰って良いよ」 コナン「お疲れ様、高木刑事。佐藤刑事も」 佐藤「コナン君こそ。もう六時前だけど大丈夫?」 高木「学校が終わってすぐ来てもらったのに、時間かかっちゃったね。送っていこうか?」 コナン「平気だよ。これから帰宅ラッシュで、人が多くなる時間だからさ」 高木「そうかい? じゃあ、探偵事務所に着いたらメールか電話してね」 コナン「うん。それじゃ、ボクはこれで……」 佐藤「あ、ちょっと待って。高木君、あのこと聞いときましょ」 高木「え? あぁ……アレですか」 コナン「なぁに? 何の話?」キョトン 高木「正直、ちょっと聞きづらいんだけど……コナン君、ストーカーに悩んでるってホントかい?」 コナン「へ!?」 59: ◆rzOq/SCuAA:2014/01/01(水) 11:39:45.95 :EiH25teU0 高木「一昨日だったかなぁ。ボク達が『ポアロ』に行った時、梓さんから聞いたんだけどね」 佐藤「コナン君、何度か新聞やニュースで報道されたことがあるじゃない?」 佐藤「それを見た一部の人が、コナン君見たさに探偵事務所の周辺をうろついてるらしいって……」 コナン「え…………ボク、知らないよ?」 コナン「そういう人がいたら、小五郎のおじさんか蘭姉ちゃんに絶対言うもん」 高木「だよねぇ。まぁ、一応心配だったからさ」ハハッ 高木「何かあったら、ボクでも佐藤さんでも良いから、ちゃんと相談してね」 コナン「うん! じゃあ、さよなら~」バイバイ 佐藤「はーい、さよなら」 高木「気をつけてね」 パタン… コナン(……何なんだ、ストーカーって……もしかして、こないだ歩美や灰原を隠し撮りしてた男のことか?) コナン(それとも、ここ最近、事務所前に停まってた妙な車の方か?) 60: ◆rzOq/SCuAA:2014/01/01(水) 11:40:59.05 :EiH25teU0 ――毛利探偵事務所前―― コナン(あの車だ……組織にしては目立つ行動だし、無いと思ったんだが) コナン(念のため、おっちゃんに言っとくか) ――事務所内―― コナン「ただいま~」 小五郎「おぅ。帰ったか」 コナン「ねぇ、おじさん。事務所の前の、あの車……」 小五郎「ん~?」チラッ コナン「ここのところ、ずっとあそこに停まってるじゃない? あれって一体……」 小五郎「あぁ、気にすること無ぇって。どっかの営業マンの車だろ」 小五郎「そんなことより、ガキは宿題でもしてこい」 コナン(ダメだな……全然取り合ってくれねぇ) コナン(しゃーねーなぁ。心配掛けたくなかったけど、蘭に言うか) コナン(俺はともかく、蘭に妙なことしないか気がかりだし) 61: ◆rzOq/SCuAA:2014/01/01(水) 11:42:08.84 :EiH25teU0 ――毛利家・リビング―― 蘭「も~。お父さんたら、またお酒飲んで寝ちゃって!」プンプン コナン「ねぇ、蘭姉ちゃん。ちょっと良い?」 蘭「どうしたの?」 コナン「最近、事務所の前にずっと車が停まってるの、知ってる?」 蘭「え?」 コナン「何かね、高木刑事と佐藤刑事が言ってたんだけど。この辺りで、変な人がうろついてるんだって」 蘭「あ、それ梓さんから聞いたわ。コナン君にストーカーがいるって」ハッ 蘭「そうか……もしかして、その車に乗ってる人が……」 蘭「コナン君、今日は何も変なこととか無かったわよね!?」 コナン「う、うん……」 コナン「あの車、まだ事務所の前にいるのかな?」 蘭「ちょっと待ってね。コナン君、窓から離れて」ソロ… 蘭「……今はいないみたいね。車は一台も無いわ」 コナン「ホント? 良かったぁ」 蘭「でも明日になったら、またいるかもしれないし……油断できないわね」 コナン「うん……」 62: ◆rzOq/SCuAA:2014/01/01(水) 11:44:09.48 :EiH25teU0 蘭「ねぇコナン君。しばらくの間、学校の行き帰りや放課後は、一人にならないようにしてくれる?」 コナン「え?」 蘭「だって、どんな人に狙われてるのか、分からないじゃない?」 コナン「じゃあ放課後、みんなと遊びに行ったりするのはダメ?」 蘭「ん~……誰かと一緒なら大丈夫だとは思うけど、なるべく大人がいる場所で遊んでちょうだい」 蘭「そうなると、阿笠博士の家が一番安全かなぁ……」 蘭「結構冷え込むようになってきたし、中で遊んだ方が良いって言ったら、元太君達も納得してくれると思うわ」 コナン「分かった。じゃあ放課後は、博士の家で遊ぶようにするよ」 蘭「博士の家から帰る時は、私かお父さんが迎えに行くまで待ってて。お父さんには話しておくから」 コナン「え……だ、大丈夫だよ、そこまでしなくても。博士に頼んで、送ってもらうからさ」 蘭「そう? でも気をつけてね」 コナン「う……うん」 コナン(……蘭に話したの、失敗だったかな?) コナン(けど、あの車の奴らが、事務所を監視するためにバーボンが呼び寄せた組織の仲間だとしたら……) コナン(最近のバーボンの動き、中々読めねぇんだよな……) コナン(ま、それは世良も同じだけど。あいつは敵じゃないみたいだし、ほっといても害はないだろ) コナン(でも一応、このことは灰原や博士にも話しといた方が良さそうだな。黙ってると、またうるせーし) 63: ◆rzOq/SCuAA:2014/01/01(水) 11:46:21.92 :EiH25teU0 ――翌日・放課後・阿笠博士の家―― ピロローン……ジャジャーン!! 歩美「あ~、また元太君の勝ちかぁ……」 元太「へへ~ん♪」 光彦「もう一ラウンド残ってますから、分かりませんよ? 今度こそ!」ピコ 元太「何回やっても同じだって。今度も負けねーぞ!」 灰原「……相変わらずゲームには目がないわね、あの子達」 コナン「なぁ灰原。ちょっと……」 灰原「何よ?」 コナン「いいから。博士も」 阿笠「んー?」 灰原「どうしたの?」 コナン「いや……実は最近、視線を感じるんで、妙だとは思ってたんだけど……」ヒソヒソ コナン「どうやら探偵事務所が、誰かに監視されてるみたいなんだ」 灰原・阿笠「「え?」」 64: ◆rzOq/SCuAA:2014/01/01(水) 11:48:37.27 :EiH25teU0 コナン「ここ一週間、事務所の前に黒の乗用車がずっと停まっててよ」 灰原「車種は? まさか、ポルシェ356Aじゃないでしょうね」 コナン「ちげーよ、日産のフィガロだ。大体、ジンは監視なんてやらされるような下っ端じゃねーだろ?」 灰原「そ……そうね」 阿笠「何か他に気付いたことや、分かっていることはあるのか?」 コナン「関係あるかは分かんねぇんだけどな……」 コナン「高木刑事達の話だと、俺にストーカーがついてるって噂があるみたいでさ」 阿笠「新一にストーカーじゃと?」 コナン「あぁ。キッド絡みの報道を見た一部の奴らが、行きすぎた行動に出てるらしい」 コナン「蘭も『ポアロ』の梓さんから話を聞いて、神経尖らせててさ。しばらく一人になるなって言われちまって」 灰原「……そういえば、一週間ぐらい前にいたわね。貴方を隠し撮りしてたカメラ小僧」 コナン「はぁ? あいつが撮ってたのは、オメーと歩美じゃねーのか?」 コナン「どうせ『麒麟の角』の報道で、オメーら二人に目を付けた幼女趣味のヤローだろ」 灰原「違うわよ。あの男の視線は、明らかに工藤君に向いてたわ」 コナン「男の俺なんか撮って、何が楽しいんだよ。ワケ分かんねー」 灰原「…………ちょっと来なさい」ハァ… コナン「?」 65: ◆rzOq/SCuAA:2014/01/01(水) 11:50:45.49 :EiH25teU0 カタカタ…カタ…タン! 灰原「コレよ、このサイト。見て」 コナン「何だよ。一体何が……っ」ギョッ 阿笠「こ、これは……!」 灰原「このサイトにアップされた写真は、アングルや撮影時刻からすると、あの男が撮ったものと見て間違いないわ」 灰原「これは登下校中、こっちは放課後に公園で遊んでた時……」 灰原「先週の更新では、横の一般道から学校の中を覗いて撮影したものもあるわね」 灰原「ぜーんぶ、中央に映ってるのは工藤君……」 灰原「分かった? あの男が撮ってたのは私や吉田さんじゃなく、貴方よ」 コナン「あ……あのヤロー、ショタコンかよ……うわ、すっげぇ鳥肌立った。気持ち悪ぃ~!」 コナン「つーかオメー、何でこんなサイトがあるって知ってんだよ?」 灰原「前に博士が動画を投稿して、メガネに私が映り込んでたのを見つけたことがあったじゃない?」 灰原「あの男が撮った写真の中に、私が映ってたら削除しようと思って。それでこのサイトを突き止めたのよ」 66: ◆rzOq/SCuAA:2014/01/01(水) 11:52:39.27 :EiH25teU0 コナン「なるほどな……けど、例の車が事務所前に居座るようになってから、あのヤローはほとんど見てねーぞ?」 阿笠「つまり、その盗撮男とは別の連中ということじゃな?」 コナン「あぁ。目的はまだ掴めてねーが、バーボンは『ポアロ』に留まったままだ」 コナン「でもバイトとしての仕事もあるから、事務所にずっと張り付けるわけじゃない」 コナン「だから奴のバイト中、事務所を監視するための仲間を呼んだのかもしれねーと思ってよ」 阿笠「まさか奴らは、まだ哀君の生存を疑っておるのか?」 コナン「いや、それならこっちの方に監視が付くさ」 コナン「黒兵衛の事件の時、バーボンは変装した状態とはいえ、灰原を見てるはずだからな」 コナン「それでもこの家の周囲に変わった様子がないってことは、灰原がまだ生きてるのに気付いてないと見ていいだろう」 灰原「じゃあ、今回のターゲットは工藤君ってこと?」 コナン「それもはっきりとはしてねぇが……もしかしたら、また小五郎のおっちゃんに目を付けてるのかもな」 コナン「とにかく、そういうわけだからさ。そっちも用心はしといてくれ」 コナン「バーボンが次に何を仕掛けてくるか、予測が付かねぇからな」 阿笠「分かった。ここと君の家のセキュリティは任せてくれ」 コナン「頼むな、博士」 灰原「貴方も気をつけなさいよ。何かあっても、一人で突っ走ったり、抱え込んだりしないで」 コナン「わーってるって」 70: ◆rzOq/SCuAA:2014/01/03(金) 16:38:34.48 :WNY3hkw20 ――二日後・杯戸町四丁目―― 歩美「文乃ちゃんの猫さん、見つかった?」 元太「全然だぜ……ホントにこの辺りにいるのかよ?」 光彦「誤算でしたね。結構目立つリボンをしてるって聞いたから、すぐに見つかると思ったんですけど」 灰原「日も暮れてきたし、一旦捜索は中止ね。あんまり遅くなると、おうちの人も心配するわ」 コナン「だな」 灰原「貴方は相変わらず、蘭さんから口を酸っぱくして言われてるし」 コナン「うっせーな。俺のせいじゃねーよ」 女性A「キャアアアアア!」 コナン・灰原「「!?」」 歩美「何? 今の悲鳴……」 灰原「角のところにあった喫茶店かしら?」 光彦「と、とにかく行ってみましょう!」 元太「おう!」 タタタタタタ…… 71: ◆rzOq/SCuAA:2014/01/03(金) 16:39:30.37 :WNY3hkw20 ――喫茶店内―― バタン! コナン「どうしたんですか!?」 女性A「あ……あれ……」 コナン「…………」スタスタ…スッ コナン「この人は?」 女性A「……お、お客の一人。コーヒーを飲んでたら、急に苦しみだして……」 灰原「救急車は手配したわ。あと五分ぐらいで来るって」 コナン「ダメだ……もう息はねぇ。警察も頼む」 灰原「高木刑事で良い?」 コナン「あぁ」 コナン(状況から見て、毒殺だな。まずは使われた毒物を特定してもらわねーと) コナン(店内には、被害者を含めて客が五人と従業員が二人。この人を狙っての犯行か、それとも……) コナン「刑事さん達が来るまで、今いる場所から動いちゃダメだよ。店内の物もいじらないで」 女性A「え……」 コナン「犯人だと疑われたくなかったら、動かないでってこと」 女性A「……坊や、一体……?」 コナン「江戸川コナン……探偵さ」キラーン 72: ◆rzOq/SCuAA:2014/01/03(金) 16:41:14.07 :WNY3hkw20 ~20分後~ 高木「コナン君!」 コナン「あ、高木刑事」 伊丹「……またこのガキか」 芹沢「伊丹さん、ここは現場ですからね。抑えて下さいよ」 伊丹「分かってるよ、バカ!」ゴンッ 芹沢「いてっ!」 コナン「お店の中にいた人達には、動かないでって言ってあるから」 高木「じゃあみんな、君達が悲鳴を聞いてお店に駆け込んだ時と同じ位置にいるんだね?」 コナン「うん。でも被害者の飲んでたコーヒー、倒れた拍子に零れちゃってて」 高木「あぁ……この辺のカーペットを押収すれば、毒の成分も分析できるから大丈夫だよ」 73: ◆rzOq/SCuAA:2014/01/03(金) 16:42:25.80 :WNY3hkw20 高木「米沢さん、お願いします」 米沢「分かりました。トメさん、店内の指紋は頼みますね」 トメさん「おうよ」 米沢「では、失礼……」ゴソゴソ 米沢「分析の結果は、すぐにお知らせしますので」 高木「はい」 伊丹「……んじゃ、調べるとするか」 甲斐「被害者は立花陽平(47歳)。ミツバコーポレーションの商品開発部部長……」 甲斐「免許証と名刺から分かるのは、このぐらいですね」 伊丹・芹沢「「なっ!?」」 右京「立花さんは、よくこのお店にいらっしゃるのですか?」 女性A「え、ええ……お昼や仕事中の休憩に、よく立ち寄って下さるんです」 女性A「普段は部下の松永さんという方も一緒なんですけど、今日はお一人で……」 右京「注文は、いつもコーヒーを?」 女性A「はい」 74: ◆rzOq/SCuAA:2014/01/03(金) 16:43:38.40 :WNY3hkw20 コナン「気に入った豆の種類とか、無かったの?」 女性A「いいえ。その時々に入った豆の中から、気分次第で選んでたから。今日お出ししたのは、モカ・マタリよ」 コナン「ふーん……」 コナン(立花さんを殺害するために、特定のコーヒー豆に毒を仕込むのは不可能ってことか) コナン「立花さんは、ボク達がお店に来る直前に倒れたんだよね? 今日は何時頃に来たの?」 女性A「えっと……確か四時五十分ぐらいだったわ」 コナン「ボク達がここに来たのは、五時八分頃だったから……」 右京「被害者が来店してから倒れるまでの時間は、十八分ほどということですね」 甲斐「こら、ボク。興味があるのは分かるけど、そういうことを聞くのは俺達刑事の仕事だぞ?」 コナン「あ……ごめんなさい」アハハ… 伊丹「特命係は呼んでないはずなんですがねぇ」 芹沢「何で二人がここにいるんですか?」 右京「別件で近隣を通りかかったところ、パトカーが店の前に停まっているのが見えたものですから」 甲斐「何かあったのかな~と思って、来てみたんです」 伊丹「それなら、その別件とやらを片付けてきたらどうなんだ」 甲斐「用件はもう終わって、帰る途中だったもんで。お気遣い無く」 伊丹「……ったく」チッ 芹沢「頼むから、邪魔だけはしないで下さいよ」 右京「ご心配には及びません」 甲斐「そうそう」 芹沢「ホントかなぁ……」 75: ◆rzOq/SCuAA:2014/01/03(金) 16:44:35.33 :WNY3hkw20 ~1時間後~ 米沢「結果が出ました。使用された毒はストリキニーネですね」 米沢「絨毯に零れたコーヒーと、カップの中から毒が検出されています」 右京「それ以外に、毒が付着していた場所はありませんでしたか?」 米沢「今のところは、見つかってないですなぁ」 米沢「そうそう。トメさんに店内の指紋を調べてもらったのですが、そちらは僕もまだ聞いて……」 コナン「ねーねー、トメさん」 トメさん「ん? 何だ、ボウズ」 コナン「お店の中の指紋、どうだったの?」 トメさん「特に変わったところはないよ。被害者の席からも、被害者とお店の人以外の指紋は出なかったし」 コナン「被害者は、いつもこの席に座ってたんだよね?」 トメさん「あぁ。そのことは、高木がさっき店の人に聞いてたよ」 トメさん「でも常連の人なら、そこが被害者の指定席だって知ってたみたいだぞ?」 コナン「ふーん……ありがと、トメさん」 トメさん「ボウズ、探偵ごっこは程々にな」 コナン「はーい」 米沢「……あの少年は、相変わらずのようですなぁ」 甲斐「杉下さん……」ヒソ… 右京「しばらく、彼の動きを観察してみましょう」 76: ◆rzOq/SCuAA:2014/01/03(金) 16:46:18.32 :WNY3hkw20 コナン「ねぇ高木刑事、ちょっと聞きたいんだけど」 高木「何だい?」 コナン「被害者がいつもあの席に座ることを知ってた常連さんって、今日ここに来てるの?」 高木「あぁ、いるよ。一番奥の席に座ってる鈴川さんって女の人と、入口から二番目のテーブルにいる渡辺さん夫婦」 高木「でも彼らは、たまたま店で一緒になることが多くて、お互いの顔や名前、座る位置を覚えてただけだそうだからね」 高木「今のところ、立花さんと他の接点がある人も見つかっていないし、事件とは関係ないと思うよ」 コナン「……他の常連さんで、立花さんの指定席のことを知ってる人は、いないのかなぁ?」 高木「いることはいるけど、今日は午前中に来て帰ったそうだよ」 コナン「ふーん……」 伊丹「おい、高木! ガキと喋ってる暇があったら仕事に集中しろ!!」イライラ 芹沢「まぁまぁ、伊丹さん。他のお客さんもいるんですから」 高木「あ、すみません……ごめんね、コナン君。ボク、ちょっと……」 コナン「ううん、気にしないで。教えてくれてありがと、高木刑事」 77: ◆rzOq/SCuAA:2014/01/03(金) 16:47:11.86 :WNY3hkw20 コナン(店内はテーブルが五つ、窓際に並べられている。それとカウンター席が五つ……) コナン(一番奥のテーブルに鈴川さん、入口から二番目に渡辺夫婦……被害者の席は真ん中のテーブルだった) コナン(カウンター席の奥から二番目と三番目には、近隣に下宿してる女子大生の二人) コナン(事件発生当時、従業員の一人は、渡辺さんの奥さんにコーヒーのお代わりを持っていってて) コナン(もう一人は、女子大生の注文を受けてハニートーストを作っていた) コナン(毒を仕込むチャンスが最も多かったのは従業員二人だけど……他の客達も被害者の近くに座っていたから) コナン(トイレに行ったり、雑誌を取りに行くふりをしたりすれば、被害者のカップに毒を入れることは可能だ) コナン(しかし、それだと何らかの方法で被害者の意識をカップから逸らすか、被害者が席を立った隙を狙う必要があったはず……) コナン(それに、コーヒーから検出された毒がストリキニーネってのも引っかかるな……) コナン(経口摂取してから痙攣などの症状が表れるまでには三十分程度かかる毒なのに) コナン(店の人の話だと、被害者は来店から二十分足らずで倒れている) コナン(まさか、カップに入れたストリキニーネはフェイクで、本当は即効性のある別の毒で被害者を殺害したのか?) コナン(もしそうだとしたら、犯人は一体どんな手を使ったんだ?) コナン(とにかく、店に入ってからの全員の行動を聞いてみねーとな) 78: ◆rzOq/SCuAA:2014/01/03(金) 16:48:54.13 :WNY3hkw20 灰原「江戸川君、ちょっと」ヒソ… コナン「何だよ。今は推理に集中してーんだけど」コソコソ 灰原「お店の前に停まってる、あの黒い車……」 コナン「ん? ……日産のフィガロ!」 灰原「例の車のナンバーは、記憶してる?」 コナン「あぁ。事務所前に停まってたのと、同じやつだ」 灰原「それじゃ、探偵事務所を監視してる人が、この中にいるってことよね?」 コナン「でも、この店の客は全員徒歩で来てるはずだから……あれは警察関係者の車か?」 灰原「もしかすると、奴らは警察を装って、貴方を監視してるのかもしれないわ」 コナン「……灰原。オメーはあいつらを連れて、隙を見て帰れ。博士に連絡すれば、近くで拾ってもらえるだろ」 コナン「オメーらがいないことに警察が気付いたら、親が心配して迎えに来たって言っとくから」 灰原「バカ言わないで! その後で貴方が奴らに捕まったりしたら、結局は私達にも危害が及ぶでしょうが」 歩美「二人とも、何の話してるの?」 コナン「え!? あ、いや……」 灰原「この分だと遅くなるだろうし、家に連絡して迎えに来てもらった方が良いかなって相談してただけよ」 灰原「外はすっかり暗くなっちゃったから」 歩美「あ、ホントだ~。もう真っ暗!」 光彦「とりあえず、家には電話しておきましょう。まだ捜査には時間がかかりそうですし」 元太「俺、腹減った~……」グゥゥ… コナン(ノー天気な奴らだな……ったく)ハハハ 読む →
2014年02月08日 12:05 右京「着信アリ?」 元スレ 元スレ 全てのレス 全てのレス 1: ◆jPpg5.obl6:2014/01/29(水) 18:15:37.78 :nZpEVRBq0 相棒×着信アリのクロスSSです。 需要なんてろくにないと思いますがそれでもという方はどうぞお読みください。 2: ◆jPpg5.obl6:2014/01/29(水) 18:16:13.44 :nZpEVRBq0 <2013年11月13日> 特命係の杉下右京と甲斐亨は城南大生・北川奈月が殺害された捜査で立ち寄った、 東山証券の本社ビルからの帰り道にある会話をしていた。 右京「キミ、内定ももらった事ないのによくコーヒーをかけられたとわかりましたね。」 カイト「俺実は…内定もらって断った事あったんです…その時は…凄い嫌な顔されてそれこそコーヒーぶっ掛けられそうな剣幕だったんで…」 右京「なるほど、しかしわかりませんねぇ… キミは早稲田大学出身です、恐らく一流の企業から内定を貰えたはず。 それなのにそんな就職先を蹴ってまで警察官の道を選んだ… しかも先ほどの会話の内容からして人事の面接官の方に剣幕を捲し立てられるほどに嫌な顔されても敢えて断った。 僕としてはどうにも納得いかない部分があるのですが…」 そんな右京の疑問にカイトは渋々ながらもこう答える。 読む →
2013年12月29日 23:05 杉下右京「おやおや、ソウルジェムが真っ黒ですねぇ」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/29(日) 14:07:01.15 :1nwQPwOb0 右京「ティロ・フィナーレ!・・・ですか」ボソッ 亀山「?どうしたんですか急に」 右京「ある方の死に際の一言ですよ」 右京「ある意味、辞世の句という言い方もできましょう」 亀山「へぇ、横文字ってことは外国の方ですか?」 右京「日本の方ですが、髪は黄色ですよ」 右京「名を、仮に黄色ちゃんとしましょう」 亀山「金髪じゃないんすか?」 右京「うーむ、微妙なところですねぇ」 右京「紅茶が好きな方でしたよ」 亀山「へぇ、右京さんと似てるんすかね」 読む →
2013年11月15日 21:05 右京「毛利探偵事務所の監視?」 関連SS 右京「毛利探偵事務所の監視?」 右京「江戸川コナン……?」 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/11/15(金) 00:24:00.63 :kj1JUj+40 ――警視庁内―― 右京「それが我々の任務だと仰るのですか?」 内村「そうだ。あの事務所の関係者周辺では、やたらと事件が頻発するからな」 内村「本庁や所轄でも、不審がる声が相次いでいるんだ」 中園「本庁も忙しくて人員を割けないのだが、暇なお前達なら適任だろうと思ってな」 甲斐「監視対象は毛利探偵ってことですか?」 中園「いや、今回の対象は彼ではない。江戸川コナンという居候の少年の方だ」 右京「はいぃ?」 読む →
2013年11月03日 00:40 右京「呪怨?」 元スレ 1:1:2013/09/15(日) 17:46:50.51 :naaF0keR0 相棒×呪怨のクロスSSです。 需要が無いかもしれませんが興味を持たれた方はよろしければ読んでやってください。 2:1:2013/09/15(日) 17:49:07.14 :naaF0keR0 呪怨 強い恨みを抱いて死んだモノの呪い。 それは、死んだモノが生前に接していた場所に蓄積され、『業』となる。 その呪いに触れたモノは命を失い、新たな呪いが生まれる。 3:1:2013/09/15(日) 17:49:40.12 :naaF0keR0 第1話 剛雄 2008年 東京都練馬区某所にあるアパートで惨殺死体が発見された。 パシャッ パシャッ 米沢たち鑑識が現場検証を行っている中、 現場に駆け付けた捜査一課の伊丹たちもこの光景に思わず吐き気を催すくらいであった。 芹沢「ウゲェ…酷い状態ですね、思わず吐きたくなりますよ。」 三浦「こんなところで吐くんじゃないぞ…刑事のゲロで現場荒らされたなんて話にも ならないんだからな!」 伊丹「たくっ!何年刑事やってんだ!新米じゃねえだろ!」 三浦「だが確かにこいつぁ酷過ぎるな…なんだってんだ…」 芹沢「米沢さん…こんな状態の死体相手でも黙々と仕事してるんですね…」 米沢「まあプロですから、駅のホームで引かれた死体とかの方がもっと酷いですからな…」 5:1:2013/09/15(日) 17:50:22.29 :naaF0keR0 ベテランの刑事でさえ目を覆いたくなる光景、それほどまでにこの殺害現場は凄惨な 光景に包まれていた。 伊丹「まぁ…俺もこんな惨殺死体の殺人現場は仕事でなけりゃ絶対に来たくはないがな。」 米沢「同感ですな、ですがその惨殺死体の殺人現場に好き好んで来る方もいらっしゃる ようですよ。」 伊丹「そんなヤツいるわけ…あぁ!?」 亀山「ここが殺害現場ですか。」 右京「失礼しますよ。」 三浦「呼んでもいないのにまた来たか…」 伊丹「コラー!亀山係の特命!!いつもいつも勝手に来るんじゃねえ!お呼びじゃねえんだよ!」 亀山「誰が亀山係だ!ちゃんとなぁ…特命係の亀山さまと呼べ!」 伊丹「何気にさま付してんじゃねえよ!?」 芹沢「先輩もう特命係である事に違和感を感じなくなっちゃいましたね。」 6:1:2013/09/15(日) 17:52:42.53 :naaF0keR0 三浦「たしかお宅ら先日瀬戸内米蔵先生を検挙して今日はその裏付けの調書を 取ってたんじゃないんですか?」 右京「えぇ、その調書の作業も終わって戻る最中にこちらで事件だと聞いたもので。」 亀山「大至急こっちに来てやったんだよ、感謝しろよこの野郎♪」 伊丹「うっせえ!早く帰れ!」 亀山と伊丹の毎度の漫才もようやく終わり右京は現場の状況について尋ねてみた。 右京「それで被害者の身元は?」 芹沢「殺されたのはこの家に住む『小林真奈美』さんですね、発見したのは近所の隣人です。 何か妙な音がしたのでこちらに来たら玄関から血だまりが溢れてたので通報したとの事です。 殺害方法は刃物による刺殺です、ちなみに妊娠中だったそうですよ…だからお腹の子も…」 伊丹「まったく胸糞悪くなる話だぜ!妊婦殺しただけじゃ飽き足らずお腹にいる 赤ん坊まで殺しやがって!!」 右京「お腹の中にいる赤ん坊まで?それは一体どういう意味ですか?」 7:1:2013/09/15(日) 17:53:24.43 :naaF0keR0 米沢「それは…こういう事ですよ…」 米沢は右京の疑問を解決させるべく『あるモノ』が入ったビニール袋に指を指した。 しかし中に入っているモノが何かとはあまり告げたくはなかったからだ。 亀山「あの…中に何が入っているんですか?」 米沢「私も鑑識の仕事やってそこそこ経ちますが…あんなモノを見るのは初めてでした…」 右京「どうやら中身はトンデモないモノのようですね、ちょっと我々も拝見してみましょうか。」 だが中身を見た瞬間右京たちは驚愕する、なんとそこに入っていたのは… 亀山「ウゲッ!なんですかこれは!?」 伊丹「おい吐くんじゃねえぞ!こんあところで吐いたら現場からしょっ引くぞ!」 8:1:2013/09/15(日) 17:53:57.03 :naaF0keR0 亀山「わかってらぁ!けどこいつは…」 右京「これは…胎児の死体ですね!しかもこの身体だとまだ出産時期ではありません。 まさか…」 米沢「ハイ、杉下警部のお察しの通り犯人は被害者のお腹の中にいる赤ん坊を 刃物で無理矢理切り開き取り出したのでしょうな…」 亀山「なんて酷い事を…犯人絶対に許せねえ!」 伊丹「お前に言われなくたってなぁ!俺たちが絶対に犯人捕まえてやらぁ!」 右京「ところで被害者は妊娠していたという事はご主人はどちらに?」 9:1:2013/09/15(日) 17:54:39.68 :naaF0keR0 三浦「ご主人は小林俊介、小学校の教師です。 さっきから連絡してるんですが音沙汰無しなんですよ。 まったく女房と子供がこんな目に合ったってのにどこで何やってんだか…」 伊丹「もしかしたら旦那が犯人かもしれねえな、よし!旦那を探すぞ!」 三浦、芹沢「「了解!」」 伊丹たち捜査一課が犯人を旦那であると決めつけていたが、そんな伊丹たちは無視して 右京と亀山は現場検証を行っていた。 10:1:2013/09/15(日) 17:55:09.90 :naaF0keR0 右京「おや、受話器が外れていますね。」 米沢「恐らく犯人と揉み合ってる最中に外れたのでは…」 右京「とりあえず通話記録を割り出してもらえますか。」 米沢「細かい事がなんとやらですな、わかりました!」 亀山「しかし被害者の女性を殺しただけじゃ飽き足らず、お腹の子供までこんな 惨たらしい目に合わすなんて…これは怨恨の線が濃いですね!」 右京「確かに僕も動機は怨恨だと思いますが…しかし問題は何故ここまで惨たらしく 殺したかですが…」 亀山「やはり伊丹たちが言うように旦那が殺したんでしょうか?」 右京「もしそうならわざわざ自宅に死体を残すと思いますか? こんな家の中で殺せば一発で自分が犯人だと疑われてしまいますよ。」 亀山「それじゃあこれは他の第三者の犯行だと?けど誰が…」 右京「確かご主人は小学校の教師をなさってるとか、ちょっと職場に行ってみましょうか。」 11:1:2013/09/15(日) 17:56:01.03 :naaF0keR0 ~小学校~ さっそく右京たちは小林俊介が勤める小学校へと向かった。 校長「さっきも刑事さんたちにお話ししましたけど…あの強面の刑事さんに。」 亀山「すいませんねぇ、ヤツらとは部署が違うんで…」 右京「申し訳ありませんがもう一度お話を聞かせてもらえますか。」 校長「わかりました、けど小林先生の勤務態度に問題なんてなかったですよ。 まあ問題があったといえば児童の方なんですけど…」 12:1:2013/09/15(日) 17:56:43.60 :naaF0keR0 右京「児童の方?」 校長「これはさっきの刑事さんたちには関係ないと思って話さなかった事なんですけど、 実は小林先生が受け持ったクラスにはひとりだけ不登校児がいましてね。 名前が『佐伯俊雄』という子なんですが…」 右京「佐伯俊雄くんですか、何故その少年は不登校を?」 校長「クラス内ではイジメの問題はなかったそうです、何か問題があったとするなら 恐らく…家庭の問題でしょうな。」 亀山「家庭の問題?」 校長「こんな事大きな声では言えませんがね…俊雄くん…虐待に合ってる可能性が あるんですわ…」 右京「児童虐待…ですか。」 13:1:2013/09/15(日) 17:57:20.61 :naaF0keR0 亀山「そんな…大変じゃないですか!児童相談所には連絡したんですか!?」 校長「あんなところ…確たる証拠がなきゃろくに動いちゃくれませんよ… それで先日小林先生が自宅訪問に行ったらしいんですが…」 右京「それでどうなりましたか?」 校長「実は…それ以来音沙汰が無いんですよ、まさか佐伯さんと何かトラブルがあったんじゃ…」 右京「なるほど、ところで…ひとつよろしいでしょうか?」 校長「何でしょうか?」 14:1:2013/09/15(日) 17:58:24.97 :naaF0keR0 帰り道、車の中で右京と亀山は先ほどの話について検証をしてみた。 右京「…」 亀山「右京さん、さっきの話気になっているようですね。」 右京「佐伯俊雄という少年の自宅を訪問した後に小林俊介は行方不明になった。 もし彼が母子を殺害したのであればその直前にわざわざ自宅訪問すると思いますか?」 亀山「けど教え子の親が担任の教師に虐待を注意されたからってあんな惨殺をしますかね? そんな事で怒り狂っていたとなればそいつは常軌を逸してますよ。」 右京「とりあえず佐伯俊雄少年の自宅に行ってみましょうか。」 亀山「うっす!」 15:1:2013/09/15(日) 17:58:57.43 :naaF0keR0 ~佐伯家~ 右京と亀山は一応話を聞くために佐伯家にやって来ていたが… 亀山「佐伯さ~ん、いますか!警察ですよ!」 ドンドン ドンドン 亀山は力強くドアをノックしたが誰も出る気配が無かった。 右京「亀山くん。」 亀山「何すか?今ドアをノックしてる最中なんですけど!」 右京「庭が荒れ放題ですねぇ…」 亀山「庭?…うわっ!雑草だらけッスね…」 16:1:2013/09/15(日) 18:00:00.21 :naaF0keR0 そう…右京が指摘した通り佐伯家の庭は手付かずの状態であり、 木が一本生えている以外は雑草などが無造作に生い茂っていた。 亀山「勿体ないッスね、都内の庭付き一軒持ちなのにこんな荒れ放題にしちゃって…」 右京「そうですねぇ、おや?あれは…」 亀山「どうかしたんですか?」 右京「庭にある木の根元…何か掘られた跡がありますね。」 亀山「あ…本当だ、何でしょうね?」 右京「確かめてみましょうか。」 亀山「ちょっ!?右京さん…ここ私有地なんですよ!」 右京「細かい事が気になるもので…僕の悪い癖♪」 亀山「いいのかなぁ…」 17:1:2013/09/15(日) 18:01:09.06 :naaF0keR0 亀山の心配を余所に右京はさっそくその木の根元を掘り返してみると… そこには一冊のノートが埋められていた。 ノートには『川又伽椰子』という名前が書かれていてさっそくノートの中身を見たが そこに書かれていたのは… 右京「この文章は…」 亀山「何が書かれていたんですか?」 右京「おやおや、キミも気になりますか?」 亀山「やっぱりこういうのはどうしてもねぇ、気になっちゃうじゃないですか! それでなんて…」 右京「…これはどうやらその川又伽椰子さんの日記なんですけどねぇ… 彼女は我々が捜索中の小林俊介氏を愛していたようですよ。」 亀山「愛していた?どういう事ですか!」 右京は亀山にもその日記を見せるとそこには川又伽椰子の熱烈的な愛が綴られた 文章が載っていた。 18:1:2013/09/15(日) 18:01:36.03 :naaF0keR0 『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』 『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』 『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』 『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』 『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』 『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』 『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』 『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』 19:1:2013/09/15(日) 18:02:04.24 :naaF0keR0 『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』 『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』 『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』 『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』 『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』 『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』 『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』 『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』 20:1:2013/09/15(日) 18:02:31.85 :naaF0keR0 『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』 『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』 『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』 『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』 『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』 『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』 『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』 『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』『小林君が好き!』 21:以下、新鯖からお送りいたします:2013/09/15(日) 18:03:26.70 :naaF0keR0 亀山「な…なんじゃこりゃ!?」 右京「どうやらこの川又伽椰子なる女性は小林俊介氏の事を熱愛していたようですよ。 これが相思相愛だったのか…それとも彼女の一方的な愛だったのかはわかりませんが…」 亀山「いや…こんな気持ち悪い文章書いてるんだから絶対後者に決まってますよ!」 右京と亀山が日記について言い合ってる直後であった、ある人物が二人に声を掛けてきた。 22:1:2013/09/15(日) 18:04:22.07 :naaF0keR0 ―「おいアンタら!ウチで何をしている!?」 亀山「へ?ウチ?」 ―「そうだ!ここは俺のウチだ!お前ら何をしている!?」 右京「ひょっとして佐伯さんですか?失礼しました、我々は警察の者です。」 剛雄「警察だと?」 右京「ハイ、警視庁特命係の杉下と言います。」 亀山「同じく亀山です。」 剛雄「警察が何しに来た?」 23:1:2013/09/15(日) 18:05:07.53 :naaF0keR0 右京は家主であるこの男に先日俊雄のクラスの担任である小林俊介が行方不明で 何か心当たりがないかと尋ねたが返ってきた返事はというと… 剛雄「フンッ!人さまの女房に手を出したヤツの事なんぞ知らん!」 亀山「手を出したってどういう事ですか?」 剛雄「アンタらもその日記を見たんだろ、ならわかるだろ!」 右京「ところで…ひとつお願いがあるのですが…俊雄くんと会わせてもらえますか?」 剛雄「俊雄は………病気だ!会う事は出来ない!」 亀山「あなたが虐待を行っているという話があるんですけどねぇ…」 24:1:2013/09/15(日) 18:05:48.66 :naaF0keR0 剛雄「うるさい!アンタらは殺人事件の捜査で来たんだろ、早く帰れ!!」 バタンッ 亀山「あの…まだ話は終わってないんですよ!開けてください!」 ドンドンドン ドンドンドン 亀山は再び力強くドアをノックするもののそれ以降佐伯剛雄が出て来る事は無かった。 右京「どの道我々は令状を得ているわけではありません、今日のところは帰りましょう。」 亀山「け…けど、あの親父絶対子供を虐待してますよ!このままにしておいていいんですか?」 右京「だからですよ、このまま僕たちが彼にストレスを与え続けていればその矛先は 誰に向かうと思いますか?」 亀山「はい…」 結局その日は大人しく引き下がるしかなかったが帰り際、 亀山は再度佐伯家を覗くと窓の外で白いワンピースを着た髪の長い女性が自分たちを見送っていた。 25:1:2013/09/15(日) 18:06:24.18 :naaF0keR0 ~花の里~ 結局ろくな手掛かりも無しで二人はいつもの花の里で一息ついていた。 美和子「じゃあ何かね?虐待の可能性がありながらノコノコ帰ってきちゃったわけ? 情けないわねぇ…」 亀山「俺だってさぁ…踏み込みたいよ、けど無理なんだよしょうがねえだろ…」 右京「えぇ、令状もありませんからどうしようもありません。」 亀山「ところで話は戻しますけど小林俊介は何処へ行っちゃったんですかね?」 26:1:2013/09/15(日) 18:06:56.77 :naaF0keR0 右京「そうですねぇ、妻と子供が殺されたという事は彼の身にも何か異変があったとみて 間違いないと思います、もしかしたら彼も既に…」 たまき「それにしてもお腹の中の子供まで恨むだなんて…まるで嫉妬のような感じがしますね。」 右京「嫉妬…ですか?」 たまき「ほら、推理小説とかでもあるじゃないですか。 無理矢理別れさせられた女性が嫉妬に悩んで相手の子供を殺しちゃうとか。 そういう時って憎んでる相手本人じゃなく本人の親しい人を殺した方が 余計苦しむんじゃないかって。」 亀山「……なぁ…たまきさんってたまに凄く恐い事言うよな…」 美和子「そうだよ、だから絶対たまきさんを怒らせちゃダメなんだからね!」 右京「なるほど、本人ではなくその親しい相手ですか…」 27:1:2013/09/15(日) 18:08:05.65 :naaF0keR0 翌日… ~特命係~ 翌日、亀山が特命係に出勤すると右京はある一冊のノートを読んでいた。 亀山「おはようございま~す!あれ?右京さん、今読んでるノートってもしかして…」 右京「えぇ、昨日佐伯家の木の根元に埋めてあったノートを持ってきたのですが。」 亀山「あのノート持ってきちゃったんですか!警察官がそんな事しちゃダメでしょ!」 右京「それはともかくこのノートを読んでみましたがとても興味深い事がわかりました。」 亀山「一体何がわかったんですか?」 28:1:2013/09/15(日) 18:09:30.33 :naaF0keR0 右京「昨日、佐伯俊雄くんの小学校へ行った時に校長先生にお願いして 俊雄くんの家族構成の資料をお借りしたのですが そのノートの持ち主である川又伽椰子なる女性は旧姓で現在は『佐伯伽椰子』という 名前だそうですよ。」 亀山「佐伯?…まさか昨日俺がベランダ越しで見た女性が…」 右京「そう、昨日お会いした佐伯剛雄の奥さんですよ。」 亀山「あの強面の…ていうかあの人薄幸そうな美人だったよな… あんなおっさんに美人の奥さんは羨ましいわ… ってそんな事じゃないですよね、その佐伯伽椰子がどうしたというんですか?」 右京「実は彼女、大学時代に小林俊介と同期だったようですよ。」 亀山「動機ってそれじゃあ二人は知り合いだったんですか!?」 右京「いえ、知っているのは佐伯伽椰子だけだったみたいですよ。 どうやら昨日キミの言った通り彼女の一方的な愛情のようみたいですねぇ。」 29:1:2013/09/15(日) 18:10:29.75 :naaF0keR0 亀山「随分と二人の間柄に詳しいですけどそれってまさか全部ノートに載っている事 なんですか?」 右京「えぇ、このノートに事細かく載っています。 例えば見てください、ここです。」 亀山「え~と何々?」 98年 10月3日。 今日、小林クンと目があった♥♥♥♥ 小林クンは又、いつもの本屋にきて、その時の事。私の予想した通りだ。 いつもの.… 亀山「何だこれ?書いてある事がほとんどストーキング行為じゃないですか!? あんな美人な奥さんなのに性格がこんな残念だなんて…」 右京「彼女は引っ込み思案な性格だったようで学生時代は彼と一度も喋れなかったようですよ。」 亀山「ちょっと貸してみてもらえますか?うわっ!なんじゃこりゃ!? 小林俊介の詳細なプロフィール…ホクロの数…しかも数える時に天井裏に忍び込んでいた!? …これは…なるほどこの事件全部謎が解けましたよ!」 30:1:2013/09/15(日) 18:11:12.36 :naaF0keR0 右京「では参考がてらキミの推理を聞かせてもらえますか?」 それから亀山は珍しく自分の推理を右京に語り始めた。 亀山「つまりこういう事ですよ! 当時の川又伽椰子はずっと小林俊介に一目惚れしていた!! しかし想いは果たせず伽椰子は佐伯剛雄となし崩し的に結婚… だが伽椰子はそんな小林俊介への想いは忘れられなかった! そして伽椰子は小林俊介への想いを果たそうとした、けどそれにはある障害があった! それこそが小林俊介の妻真奈美!伽椰子は真奈美とお腹の子を惨殺した! どうですかね?」 右京「そうですねぇ、今の推理は…50点てところでしょうか。」 亀山「ご…50点!?今の推理ダメなんですか?」 右京「いえ、案外いいところまで突き詰めていると思いますよ。 まあそれはともかくとして僕は少し出かけます。」 31:1:2013/09/15(日) 18:12:08.43 :naaF0keR0 亀山「どこへ行くんですか?」 右京「俊雄くんが生まれた産婦人科の病院です、僕の勘が正しければ恐らく…」 亀山「すいません、俺もちょっと…いいですか?」 右京「おや?キミはどちらへ?」 亀山「あぁ…パスポートを取りに…」 右京「そういえば亡くなった兼高公一さんの報告をしに行くために申請していたのですよね。」 亀山「すんません、仕事中なのに…」 右京「いえ、構いませんよ。」 32:1:2013/09/15(日) 18:13:14.84 :naaF0keR0 それから数時間後… 亀山「すいません、待たせちゃって!そっちは何か収穫掴めましたか?」 右京「えぇ、恐らく確信に近付けたと思うのですが…」 亀山「へぇ…そうですか、しかし佐伯剛雄は女房の浮気を知ったから 子供を虐待してるんすかね? まったく自分の子供をなんだと思っているんだか…生まれた時とか名前をちゃんと考えて あげた時の事を忘れちゃうもんなのかな?」 右京「子供…名前…?『俊雄』、『俊介』『剛雄』…亀山くん!それですよ!!」 亀山「え…何がですか?」 右京「しかし困りましたね、現時点では証拠が何も無い…どうしたものだか…」 33:1:2013/09/15(日) 18:14:18.91 :naaF0keR0 犯人が分かっても証拠が無い、悩んでいた右京と亀山の前にいつものあの男がやってくる。 角田「よっ、暇か?コーヒー貰いにきたよん♥ プハァーッ!やっぱりここで飲むコーヒーが一番だねぇ♪」 亀山「いや…コーヒーなんてどこで飲んでも一緒でしょ…」 角田「何言ってんの!ここで飲むのがいい…うん…これは…」 亀山「どうかしたんですか?」 角田「いや…この名前…こいつって確か……」 課長の思わぬ発見により事件はこの後急展開を迎える事になる。 34:1:2013/09/15(日) 18:14:47.79 :naaF0keR0 ~佐伯家~ ピンポ~ン ―「佐伯さん、業者の者ですけど開けてもらえますか?」 剛雄「業者だと?そんなモノは頼んでいないぞ!」 ―「でもねぇ、ここだと言われてきたものでして…ちょっと玄関開けてもらえますか?」 佐伯剛雄は覚えのない業者の来訪に困惑したが、玄関越しでその連中が業者である事に 確認を取り玄関を開けようとした、だが… 35:1:2013/09/15(日) 18:15:32.28 :naaF0keR0 大木「ハイ警察!」 小松「佐伯剛雄!匿名のタレコミがあったので捜査させてもらうぞ!」 剛雄「なっ!警察だと?お前ら騙しやがったな!?」 そう、先ほど剛雄が玄関越しで見た業者とは組対5課の大木と小松が変装した姿だった。 右京「騙すような真似をしてすみませんねぇ、しかしこちらも人の命が掛かってますので… 亀山くん!急いで家の中を調べてください、俊雄くんの保護を最優先で!」 亀山「了解!!」ダッ 剛雄「ま…待て!令状も無しで家の中入っていいと思ってんのか!?」 36:1:2013/09/15(日) 18:17:12.05 :naaF0keR0 角田「匿名のタレコミがあるって言ったろ! まあ匿名というよりも特命からのタレコミなんだけどな… 佐伯剛雄!城南金融の幹部で麻薬密売の噂のあるお前さんだ、簡単に捜査の令状が 降りたぞ! おい、大木!小松!お前たちも亀ちゃんの手伝いに行ってやれ!」 大木、小松「「ウィーッス!!」」 剛雄「いい加減にしろ!こんなの不当捜査だ!何故俺がこんな目に合わなきゃ…」 自分は無罪だ、そう主張する剛雄だがそんな彼の主張に対し右京は怒りを露わにする。 右京「いい加減になさい!あなたは既にいくつもの罪を犯している!! 佐伯剛雄さん、率直に言います。 小林真奈美さんとそして体内にいる赤ん坊を殺害したのは…あなたですね!」 剛雄「な…何を下らん事を…何故俺がそんな女を殺さなければならない…」 37:1:2013/09/15(日) 18:18:13.54 :naaF0keR0 右京「最初に僕がここに来た時あなたはこう仰った。 『アンタらは殺人事件の捜査で来たんだろ』と、しかしあの段階ではまだ事件の報道は 伏せられていたんですよ!」 剛雄「そ…そんなの偶然だ!そんな事で俺を犯人と決め付ける気か!?」 角田「そうだ…確かに確たる証拠は…」 角田がそう言った時だった、2階を探している大木と小松が玄関口の右京と角田にあることを告げた。 大木「課長!2階の部屋なんですけど一室だけ鍵の掛かっている部屋があるんですけど…」 角田「鍵の掛かっている部屋だと?」 右京「恐らくその部屋です、構いません!ドアを壊してもいいからその部屋に入ってください!」 38:1:2013/09/15(日) 18:18:43.10 :naaF0keR0 小松「わかりました、行くぞ!」 大木「せーの!」 ドンッ! ドンッ! 2階から力強い物音が聞こえてきた、最早2階の鍵の掛かった部屋が破れるのも時間の問題であった。 剛雄はこの行為は違法だと主張し始めた。 剛雄「やめろ!これ以上やるなら弁護士を呼ぶぞ!」 右京「呼ぶならどうぞご自由に、しかしあなたが弁護士を呼んでいる間に彼らがドアを こじ開ける方が早いと思いますがね!」 剛雄「クソッ!」 39:1:2013/09/15(日) 18:20:16.37 :naaF0keR0 角田「なぁ…警部殿…一体2階に何があるんだい?」 右京「課長、このおウチですが車がありませんね。」 角田「車だと?」 右京「殺人が行われた場合、まず処置をしなければならないのは死体の始末です。 一人の人間の身体を処分するにしても安易に捨てるわけにもいかない… まあこの場合一番無難なのは山奥の深くか、それとも海の中に捨てるのが一番でしょうが それらを行えない場合どうするのでしょうかね?」 角田「そりゃ…自分の見える範囲に死体を…そうか!じゃあ2階には!?」 右京「えぇ、僕の考えが正しければ…」 そう右京が剛雄の前で推理を語っている最中に、2階で調べていた大木と小松が あるモノを発見した。 40:1:2013/09/15(日) 18:21:26.79 :naaF0keR0 大木「ありましたー!死体です!」 小松「男の死体と…それと女性のバラバラ死体ですよ!?」 角田「バラバラ死体だと!」 右京「それでは2階に行ってみましょうか、勿論佐伯剛雄さん…あなたも一緒に!」 そして右京と角田は剛雄を連れ2階の鍵の掛かった部屋に入った。 そこにあったのは小林俊介の死体と女性のバラバラ死体… それに黒猫の死体までが放置されていた。 角田「うっぷ!酷い臭いだ…こりゃ恐らく死後数日は放置してやがったな… 一課の連中に連絡しておけ、さすがに俺たちだけじゃ手に負えん!」 大木「わかりました!」 右京「こちらの男性の死体は恐らく小林俊介で間違いないでしょう。 さて…問題なのはこちらの女性の死体です。 この女性は…あなたの奥さんである佐伯伽椰子さん…そうですね!」 41:1:2013/09/15(日) 18:21:58.63 :naaF0keR0 剛雄は暫く沈黙した後にこう答えた。 剛雄「そうだ!俺が殺した!」 角田「な…何でだ!こんな美人な奥さんを殺す動機が何処にあるってんだ!?」 右京「それは…奥さんである伽椰子さんが愛した人がご主人である剛雄さんではなく、 こちらの小林俊介氏だからですよ!」 角田「じゃあ動機は…浮気か?」 右京「いえ、実際に小林氏と伽椰子さんはそんな関係ではなかったはずですよ。 それに浮気と言っても彼女の一方的なモノだったはずでしょうし。」 角田「それじゃ…何でこいつは殺したりなんか…」 42:1:2013/09/15(日) 18:22:28.47 :naaF0keR0 右京「実は病院に行ってきましてね、俊雄くんが生まれた産婦人科の病院です。 そこである事が判明しました。」 角田「一体何がわかったんだ?」 右京「佐伯剛雄は…精子欠乏症なのですよ!」 角田「精子欠乏症って確か男が子供作れないってヤツだろ? けどこいつには子供が…まさか!?」 右京「そう、佐伯剛雄が小林真奈美を惨殺した理由は…あなたは自分の息子である 俊雄くんが自分と血縁関係にないと疑ったからですね!」 43:1:2013/09/15(日) 18:23:26.13 :naaF0keR0 剛雄「そうだ…俊雄が生まれてからその後も子供を作ろうとしたが… ダメだったんだ…それで病院に行って検査してもらったら…俺は精子欠乏症だと診断された… そしてアンタが昨日見つけた日記…アレを見て…俺は気付いたんだ! 小林って男と伽椰子が浮気をして出来たのが俊雄だってな!!」 角田「なるほど、自分の子供じゃないのに腹が立って相手の女房とその子供を殺したって訳か…」 剛雄「それに伽椰子は子供に『俊雄』なんてふざけた名前を付けやがって…」 角田「何で『俊雄』って名前がふざけた名前なんだよ?普通の名前じゃねえか!」 44:1:2013/09/15(日) 18:25:04.72 :naaF0keR0 右京「なるほど、あなたもその事に気付いたようですね。 そうです、伽椰子さんは愛する人の名前を子供に付けたのですよ。 だからこそ小林俊介の『俊』の字を『俊雄』くんの『俊』の字として名付けたのでしょう。」 剛雄「そうさ…俺はそんな事も知らずに9年も俊雄を育てた…許せなかった! あの女!俺がこんなにも愛していたのに!!」 右京「なるほど、伽椰子さんが異常なまでに小林俊介を愛していたようにあなたもまた、 伽椰子さんを異常なまでに愛していた…あなた方夫婦はある意味で似た者夫婦だったのですね。」 そして剛雄は泣き崩れる。 右京たち周囲の目も気にせず…それはまるで悔し涙を浮かべるように… 45:1:2013/09/15(日) 18:25:59.56 :naaF0keR0 角田「そういえば亀山は何処にいったんだ?」 大木「確か1階の方を探してるはずですけど…」 右京「佐伯さん、まだあなたに聞かなければならない事があります! 俊雄くんはどうしましたか?僕の考えが正しければ恐らく俊雄くんは…」 剛雄「俊雄…俊雄は…いなくなった…」 角田「ハァ!?ふざけた事言ってんじゃねえぞ!小学生の子供がいなくなるわけねえだろ! もしかして…お前もう殺しちまったんじゃねえのか?」 46:1:2013/09/15(日) 18:26:40.19 :naaF0keR0 剛雄「本当なんだ…俺は伽椰子を殺した後に俊雄も殺そうとした。 その前に飼い猫のマーが邪魔で殺しちまったが…あいつは1階の押し入れにいると思って 開けてみた…だが…姿は見えなかった… それから俺は家の中を隈なく探したが俊雄の姿は見つからなかった… 何処へ行ったのかなんて俺が訊きたいくらいだ!」 角田「まさか家から脱出したってのか?」 右京「しかし近隣の警察には家出少年の通報はありませんでした。 まだどこかに隠れているかもしれませんね、急いで手配をしま…」 ガタゴト ガタゴト 右京が俊雄の捜索手配をしようとした時2階の屋根裏が騒がしくなってきた。 気になって屋根裏を覗いて調べるとそこにいたのは… 47:1:2013/09/15(日) 18:28:12.03 :naaF0keR0 右京「亀山くん!何故1階の屋根裏を調べていたキミが2階の屋根裏にいるのですか?」 亀山「右京さん!よかった…まだ無事だったんですね!急いでここから逃げましょう!」 角田「な…何言ってんだよ?まだ現場検証とかちゃんとやらなきゃいけないんだぜ!」 亀山「そんな事してる暇は…あれ?その袋に入ってるのはもしかして佐伯伽椰子ですか?」 右京「えぇ、そうですがよくわかりましたねこちらの人物が佐伯伽椰子だと…」 亀山「なんてこった…じゃあ…クソッタレ!佐伯剛雄!お前の所為でなぁ… 大変な事になっちまったんだぞ!!」 角田「おいおい亀ちゃんなんだってんだよ?ちゃんとわかるように説明してくれよ!」 亀山「説明してる暇がありません!とにかく今すぐここから出るんです! 右京さん、俺の事信じてください!お願いします!!」 48:1:2013/09/15(日) 18:29:24.15 :naaF0keR0 亀山はまるで切迫した事態かの如く右京たちに詰め寄り、右京は亀山の態度に只ならぬ 予感を感じていた。 右京「わかりました、キミの言う事を信じましょう。 課長、申し訳ありませんが亀山くんの言う通りここからすぐに出ましょう!」 角田「なんだかよくわからんが…わ…わかったよ!」 こうして全員亀山の言う事を信じて佐伯家を後にした。 何故かこの時亀山は佐伯伽椰子、それに小林俊介の死体をそのままにしろと言い、 その時点では遺体の回収は行われなかった。 49:1:2013/09/15(日) 18:31:22.51 :naaF0keR0 それから本庁に戻った特命係は本部長に烈火の如く怒られ散々な目に合った。 彼らが怒られるのはいつもの事であるが、その理由が実は連絡を受けた捜査一課が改めて佐伯家を 現場検証に訪れた際に、小林俊介の死体しか見つからず佐伯伽椰子の死体は何処にも見当たらなかった。 それに捜索中の佐伯俊雄も… その後捜査一課が血眼で家中を捜索したが結局俊雄少年と伽椰子の死体は発見する事が出来なかった… 50:1:2013/09/15(日) 18:31:56.80 :naaF0keR0 ~特命係~ 二人は内村部長に散々絞られ部屋に戻ってきた、右京は再度亀山に佐伯家で何があったのか 尋ねたが亀山は何故かその事を言わなかった。 亀山「すみません…どうしても言えないんです…」 右京「そうですか、わかりました。どうしても言えない、つまり言えない事情があるなら 僕はこれ以上キミを言及する気はありません。」 亀山「…」 51:1:2013/09/15(日) 18:33:02.24 :naaF0keR0 右京「ですが俊雄くんと伽椰子さんの死体行方以外にもひとつ不可解な事があります。 それは電話です。」 亀山「電話?」 右京「捕まった佐伯剛雄は小林真奈美を殺害直後に小林家の電話から 小林俊介の携帯に連絡をしていたそうですよ。 しかしここでひとつ疑問があります、小林俊介の死亡推定時刻はどうやら その佐伯剛雄の連絡があった直後だそうです。 つまり佐伯剛雄が小林俊介を殺害するのは不可能、誰か他の人間に殺された 可能性があるのですが…」 亀山「たぶん…いや間違いなく佐伯伽椰子でしょうね。」 右京「なるほど佐伯伽椰子ですか。 確かに彼女には動機があるかもしれませんがそれもおかしい。 何故なら彼女は……佐伯剛雄が小林真奈美を殺す前に既に惨殺してたんですよ!」 亀山「…」 52:1:2013/09/15(日) 18:34:02.90 :naaF0keR0 この時亀山は驚かなかった、それどころか『ああ、やっぱり』という表情を浮かべていた。 そんな亀山に対して右京は再度尋ねる。 右京「つまりキミが昨日見た佐伯伽椰子は既に死んでいたはず…なのですが… 本当に彼女は佐伯伽椰子だったのですか?」 亀山「それは…間違いないはずですよ…恐らくね…右京さんまた佐伯家に行く気ですよね… 行くのやめてもらえますか…」 右京「はぃ?」 ―「あら、なんだか亀山さんにしては随分と消極的な発言ですね。」 亀山「あなたは…小野田官房長!」 右京「どうしてこちらへ?」 小野田「お前たちのためにわざわざ来たんですよ、まったく犯人逮捕出来たとはいえ 死体の消失、おまけに少年の行方不明、内村さんがクビだと言っても仕方ありませんね。」 53:1:2013/09/15(日) 18:34:47.08 :naaF0keR0 亀山「迷惑かけてすんません…」 小野田「そう思うなら事情くらい聞きたいのですがね、亀山さん。」 亀山「本当に言えないんです、けど右京さん…あの家に行くのは本当にやめてください。 恐らく何年か後でまたあの家で何か事件が起こるはずです、それまで絶対にあの家には 近付かないでください!」 亀山は何故か佐伯家に近付くなという警告を右京に伝える。 しかしさすがの右京もいくら亀山の言う事とはいえその理由もわからず仕舞いでは 安易に従う事が出来なかった。 右京「キミの話はどうも肝心な部分が抜けています、それでは従う事は出来ませんね。」 小野田「せめて理由を言ってほしいですね。まだ佐伯俊雄少年が生存している可能性も ありますから捜索を止めるわけにはいかないんですよ。」 54:1:2013/09/15(日) 18:35:27.24 :naaF0keR0 亀山「危険…だからです、これから先あの家は恐らく近付いただけでやばい事が起こるはずです! 俺も詳しい事は言えないんです!いえ…言っちゃいけないんです。 それに俊雄くんはもう『この世にはいません、あの子はあの世の住人になったんですから!』」 亀山の話はどうも支離滅裂な話でさすがの右京と小野田も付いていけなかった。 しかしあの亀山がここまで言うのなら何かあると思い右京はそれ以上の事を聞かなかった。 右京「わかりました、キミがそこまで言うのなら僕はもう何も言いません。 僕はもう帰ります。」 亀山「本当にすいません!けど右京さん、これだけは絶対に覚えててください。 今、佐伯家に行ってもどうしようもありません… けど数年後…事件が起きた時…その時は…必ずなんとかなるはずですから!」 小野田「なんとも的を得ない話ですね、お偉方は納得出来ませんよ…」 亀山「あ、小野田さん。ちょっとお話があるんですけど…」 小野田「?」 55:1:2013/09/15(日) 18:36:10.04 :naaF0keR0 その夜、とある回転寿司屋で… 右京「亀山くんと何を話していたのですか?」 小野田「実は亀山くんから口止めされてるんですけど…まあいいでしょう。 なんかね…僕あと少ししたら死ぬかもって話らしいの、さすがに何の話だか わからないから本気に出来ないんだけどね。」 右京「死んでしまうとはまた物騒な話ですね、どういう訳で死ぬのですか?」 小野田「さてね、それ以上の事は教えてくれませんでしたから。 それと亀山さん…近々ねぇ…いや僕から言うのはやめておきます、この事は亀山さんが 直接言った方が良いのでしょうね。」 右京「そうですか、ところで…お皿は戻さないでください。」 56:1:2013/09/15(日) 18:37:39.59 :naaF0keR0 その夜、警視庁の拘置所にて… 剛雄は身柄を拘束されてこの拘置所の独房に入っていた、そんな時であった。 ガサガサ ガサガサ ゴソゴソ ゴソゴソ 剛雄「何だ?この物音は?」 57:1:2013/09/15(日) 18:38:36.07 :naaF0keR0 気になった剛雄は音のした方を見るとそこには白いビニール袋があった。 鉄格子の隙間からそのビニールを取ろうとした剛雄だったが… 剛雄「「ギャァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!」」 その後駆けつけた係の者たちが剛雄の独房を見るとそこにあったのは… ポタッ ポタッ ポタッ 血だまりと化した佐伯剛雄の死体があった、状況から察するにこの死は事故死として警察は判断。 結局この事件は犯人の佐伯剛雄の死亡という形で幕を閉じた。 58:1:2013/09/15(日) 18:39:40.99 :naaF0keR0 この事件から暫くして都内で小菅彬によるウイルス騒動の事件が発生し、 その事件を解決した直後亀山薫は警視庁を辞職、亡き友人の志を受け継ぐためにサルウィンへと渡った。 2年後、亀山の言う通り小野田公顕は警視庁の幹部職員に逆恨みの形で刺されて死亡。 尚、現在でも佐伯俊雄の捜索は続けられているが………未だに発見されてはいない。 それから時は流れる… 4:以下、新鯖からお送りいたします:2013/09/15(日) 17:49:55.35 :dKtGhW0AO 期待 もしかして 相棒×リング の作者か? 59:1:2013/09/15(日) 18:42:25.22 :naaF0keR0 とりあえずここまで 1話だけで結構時間かかりましたわ… >>4 そうです、以前スレで右京さんと伽椰子が戦ったらどうなるって いうレスをヒントに書いてみました。 ちなみに今のところ右京さんが伽椰子に勝てる展開が想像できません… どうしたらいいんだろうか? 61:以下、新鯖からお送りいたします:2013/09/15(日) 18:47:37.84 :eb+BydfUo 乙 右京さんがいくら正論吐いて怒っても、 説得とか理屈とかそんなものが通じる段階はとっくに通り過ぎてる相手だからなあ しかも亀山くんいないとか無理ゲーすぎる まあホームズだって解決できない事件あったし… 読む →
2013年09月12日 19:05 右京「呪いのビデオ?」 元スレ 1:1:2013/08/31(土) 20:57:56.07 :ENOChXK80 相棒とリングのクロスSSです。 リングの内容は基本映画版をベースにしてますが所々で 原作の設定も入っています。 2:1:2013/08/31(土) 20:58:13.69 :ENOChXK80 東京都某マンション 8月25日、PM23:30 ここに一人の男性の変死体が見つかる、しかしそれは… 伊丹「マンションから転落死か、それにしても…」 芹沢「一体何なんですかねこの顔は…?」 三浦「俺も刑事歴長いがこんな顔は見た事ねえな…」 その変死体はまるで恐ろしいものを見たかのような形相をしていた。 3:1:2013/08/31(土) 20:58:41.67 :ENOChXK80 伊丹「これってアレか?死後硬直でこうなったのか?」 米沢「いえ、死後硬直でもこれほど顔面の筋肉が硬直するなんてまずあり得ませんよ。 これほど不可解な事件は我々だけでは無理だと思い、その手の専門家をお呼びいたしました。」 伊丹「ちょっと待った!何だその専門家ってのは?」 カイト「どうも♪」 右京「その専門家です。」 伊丹「ゲッ…特命係…」 三浦「これはこれは警部殿、お早いご到着で。」 芹沢「まぁ、確かに専門家ですね…」 伊丹「あのねぇ…警部さん、いつもいつも言ってますけど…」 芹沢「まぁいつもいつも解決してくれちゃってますからね。」 伊丹「コラ芹沢!プライドを持て!!」 4:1:2013/08/31(土) 20:59:12.30 :ENOChXK80 右京「それで被害者の身元は?」 芹沢「ハイ…被害者の名前は吉野 賢三、仕事はTV局のディレクターです。 ただしここ1週間ほど会社を無断欠勤が続いていたそうですが…」 三浦「1週間も無断欠勤…?何でそんな事を?」 芹沢「その件についてなんですが…今被害者の同僚の方が来てくださっているんですが…」 小宮「同僚の小宮です、あの吉野さんは本当に…」 伊丹「えぇ、お亡くなりになりました。それで彼が1週間も無断欠勤をした理由を知りたいんですけど…」 小宮「吉野さんが無断欠勤をした理由ですか…その前に吉野さんの部屋を 見せてもらえないでしょうか?」 右京「部屋の中ですか?それはまたどうして?」 小宮「それは部屋についてからお話ししたいので…」 伊丹「わかりました、まぁ外で話すのも難ですしとりあえず吉野さんの部屋に行きましょうか。」 三浦「おい米沢、被害者の部屋に入れるか?」 米沢「入れる事は入れますけど…」 8:1:2013/08/31(土) 21:07:52.53 :ENOChXK80 ~吉野の部屋~ 8月25日、PM23:50 そこは資料が散乱して散らかっており更に驚くべき奇妙な点があった。 居間にあったTV…それがガムテープでモニター部分を覆っていたが それが何故か解けていた。 右京「米沢さん、このTVの周りなんですが…これは最初からガムテープで覆われていたのですか?」 米沢「えぇ、これが意味するところがまったくわかりません。」 右京「ですよねぇ、TVを見たくなければ電源を切ればいい。 なのにわざわざTVのモニターをガムテープで覆う、正直僕にはこの行動の意味が分かりません。」 カイト「モニターが壊れてたとかそんなんじゃないんですか?」 右京「いえ、TV自体が故障しているというわけでもないようですね。 至って普通に動きますが」pi pi カイト「本当だ、普通に映像が映りますね。」 9:1:2013/08/31(土) 21:09:03.20 :ENOChXK80 伊丹「あの…警部殿!勝手に被害者の部屋を弄らないでください!」 芹沢「それにしてもこの部屋の資料…気味が悪いですね。 資料にある新聞の切り抜き、これ全部15年前の日付ですよ。」 三浦「15年前だと?何だってそんな物が…」 小宮「あの刑事さん…ちょっといいですか。 吉野さんのビデオデッキにビデオが入っていませんでしたか?」 伊丹「ビデオデッキ?吉野さんは今時レコーダーじゃなくビデオ使ってんですか?」 小宮「いえ…ちょっと事情があって…それであるんでしょうか?」 三浦「米沢、どうなんだ?」 米沢「えぇ、一応押収した証拠品からビデオテープがありましたけどこれが何か?」 右京「失礼、おや?このテープですがラベルに『COPY』と書いてありますね。 もしかしてダビングされたものでは?」 10:1:2013/08/31(土) 21:10:02.00 :ENOChXK80 米沢「とりあえず中身を調べるため一応鑑識で預かりましょうか。」 小宮「ダ…ダメだぁぁぁぁ!? このビデオを見ちゃダメなんだ!頼む、調べないでくれぇぇぇぇ!!!!」 そう言うと小宮はそのビデオを床に叩きつけ再生が出来ないように壊してしまった。 伊丹「ちょっと…アンタ!証拠品に何してんだ!?」 しかし伊丹の怒鳴り声は小宮の耳には届かなかった、それどころか 彼は次第に妙な事を口走るようになった。 小宮「まさか…嘘だろ…やっぱり噂は本当だったんだ!? どうする…次は俺だ…俺の番なんだ…」 カイト「あの…大丈夫ですか?しっかりしてください。 とりあえず居間の方にでも腰を掛けて落ち着いてくださいね。」 小宮「居間…あぁ…ハイ…わかりました…」 右京「カイトくん、暫く小宮さんに付き添ってあげてください。 彼は心身衰弱なさっているようですので。」 カイト「ハイハイ、わかりましたよ。」 11:1:2013/08/31(土) 21:10:41.37 :ENOChXK80 伊丹「それにしても15年前の事件か、しかしこれ…どれも事故死扱いだよな。」 三浦「あぁ、記事を読む限りじゃ事件性はなかったはずだ。」 芹沢「被害者は何でこんなモノを調べていたんですかね?」 その記事の切り抜きにはこう書かれていた。 大石智子:17歳、○月×日、横浜の自宅で急性心不全で死亡 岩田秀一:19歳、○月×日、交差点でバイクで信号待ちをしていた際に事故により死亡 (なお事故死する直前に急性心不全に見舞われてた模様。) 辻遥子:17歳、○月×日、恋人の能美武彦とドライブ中に急性心不全で死亡 能美武彦:19歳、○月×日、辻遥子と同くドライブ中に急性心不全で死亡 右京「けどコレまた奇妙ですね。」 12:1:2013/08/31(土) 21:11:13.47 :ENOChXK80 伊丹「また警部殿は勝手に口を出して…それで奇妙な点とは?」 右京「被害者のみなさんが同じ日にしかも死因まで同じで亡くなっています。 これは偶然なのでしょうか?」 三浦「本当だ、確かに日付と死因が同じだ…しかしこれが何だと?」 芹沢「そうですよ、ただの偶然じゃ…」 右京が疑問を抱いていた時、米沢から被害者の検視結果が報告された。 それはまた奇妙なモノであった。 13:1:2013/08/31(土) 21:11:47.58 :ENOChXK80 米沢「たった今検視の結果が出ました、被害者は転落する直前に既に心臓発作を起こし 急性心不全で亡くなっていたらしいです。」 右京「また急性心不全ですか、切り抜きの被害者たちと同じ死に方…これを偶然で 片づけて良いものでしょうかねぇ…」 伊丹「しかし急性心不全という事はつまり…事故か?」 三浦「まぁつまり…被害者はベランダに出た途端に急性心不全になりそのまま転落した。 そういう事になるな。」 米沢「現状で考えればそういう事になりますな、ただそうなるとあの被害者の 恐ろしいモノを見た形相が気になるところですが…」 伊丹「まぁ事件性が無いならそれに越した事はねえな、後は参考人にいくつか事情聴取 してそれで事件は終わりだ。」 14:1:2013/08/31(土) 21:12:22.46 :ENOChXK80 しかしその時誰もが予想しえない恐ろしい事態が起きた。 8月26日AM0:00 小宮「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!?」 先ほどカイトに連れられて居間で休憩を取っていた小宮がとんでもない断末魔の悲鳴を上げた。 15:1:2013/08/31(土) 21:13:28.96 :ENOChXK80 カイト「小宮さん!しっかりしてください!!」 右京「カイトくん!どうしたのですか!?」 カイト「それが小宮さんが急に苦しみだして…」 小宮「うぐぎぎぎぎぎぎ!!!!ガハッ…」バタッ 伊丹「おいどうなってんだ!こいつ何か持病でも抱えているのか!?」 カイト「そんな事知りませんよ…ダメだ…この人もう息していません?! 急いで救急車呼んでください!!」 右京「……」 その後救急車が駆けつけ小宮の心肺蘇生が施されたがその甲斐虚しく彼は死んでしまった。 16:1:2013/08/31(土) 21:14:12.65 :ENOChXK80 ~警視庁~ 内村刑事部長の部屋 8月26日、AM9:00 ここに伊丹、三浦、芹沢、そして特命係の右京とカイトが呼び出されていた。 内村「馬鹿者!刑事が参考人を目の前で死なすとは何事だ!!」 中園「お前たちは市民を守る警察官だろうが!一体何をやっていた!?」 伊丹「お言葉ですが…小宮さんは急性心不全で亡くなってしまい、我々も手を施したのですが…」 三浦「あまりにも突然だったもので、どうする事も出来なかったのです。」 芹沢「一応病院の報告だと彼は病死扱いという事ですが…」 17:1:2013/08/31(土) 21:14:39.10 :ENOChXK80 内村「当然だ、こちらに落ち度があってたまるか。」 中園「しかし事情聴取中に急性心不全はあまりにも世間体が悪過ぎます。」 内村「また謝罪会見か、痛たた…胃が痛くなってしまった、お前やっておけ!」 中園「えぇ!またですか!?」 内村「何だ、不満があるのか?」 右京「えぇ、不満です。」 18:1:2013/08/31(土) 21:16:00.80 :ENOChXK80 内村「杉下…また現場に居たそうだな、今度という今度は…」 右京「お叱りは後ほど、被害者の吉野さんは15年前に急性心不全で亡くなった4人の 若者の急性心不全の病死を調査していました。 そして吉野さんご自身も転落する直前に急性心不全で亡くなっている、それに同僚の方まで… この一件を事故死で処理するのはあまりにも不可解です、調べておく必要があると思いますよ。」 内村「黙れ杉下!捜査に口を挟むな!」 右京「ちなみに被害者の吉野さんはTV局の人間です、報道の方がこの事件をただの 事故死だなんて扱うとは僕には到底思えませんがね…」 カイト(黙れと言われても全然黙らねえし…) 19:1:2013/08/31(土) 21:16:32.22 :ENOChXK80 中園「くっ!しかし杉下の言う通りですよ、下手にマスコミに騒ぎ立てられるよりは 建前だけでも捜査をすればこちらの面子も保てます!逆にここで捜査を打ち切れば…」 内村「警察が無能と騒ぎ立てられるか、よしいいだろう!お前たち… 形だけでも捜査をやっておけ!とにかくマスコミをこれ以上騒がせるな!」 伊丹、三浦、芹沢「「ハッ!」」 内村「それと特命はこの件には一切関わるな、これ以上胃が痛くなっては敵わん…」 20:1:2013/08/31(土) 21:17:08.46 :ENOChXK80 ~特命係~ 8月26日、AM10:00 角田「よ、暇か?聞いたぞお前ら、また内村部長に怒られたそうだな…って元気ねえな。」 カイト「…ハァ…」 右京「落ち込んでますねぇ…」 カイト「そりゃ落ち込みますよ、小宮さんは俺の目の前で亡くなったんですから… ところで杉下さん、その資料ってもしかして…」 右京「えぇ、吉野さんの部屋にあった大石智子、岩田秀一、辻遥子、能美武彦の4人の 事件の資料を調べています。 調べれば調べるほどこの事件が奇妙である事がわかりましたよ。」 21:1:2013/08/31(土) 21:17:57.33 :ENOChXK80 カイト「それってどういう事なんですか?」 右京「僕は最初、被害者の死亡日時、及び死因が同じだと言いましたよね。 しかし警察の捜査資料を見ると彼らの死亡時刻は全て同じ時刻を刺しているのですよ。 最早これは偶然という言葉で片付けていい事件ではありません!!」 カイト「同じ日、同じ死亡時刻、そして同じ死因…こんな事ありえねえよ…」 角田「確かになぁ…偶然の一致にしては恐ろしいモノだと…ちょっと待て! 岩田秀一と能美武彦…この二人何処かで聞いた事ある名前だな…何だっけ?」 カイト「本当ですか?」 角田「ちょっと待ってろ、今調べてくる!」 右京「角田課長が調べを終えるまで恐らく時間が掛かるはずです。 それまでは…我々も行きますよ。」 カイト「行くって何処へですか?」 右京「吉野さんの勤めるTV局ですよ。」 カイト「わかりました!」 22:1:2013/08/31(土) 21:18:27.23 :ENOChXK80 ~TV局~ 8月26日、AM11:30 右京とカイトはさっそく亡くなった吉野と岡崎の同僚に事情聴取をしようとしたが 既に伊丹たちがそれを行っていた、だがあまり捗ってはいないようだった… 右京「吉野さんと小宮さんの死について何か心当たりはないか同僚のあなたにお尋ねしたいのですが…」 早津「…」 伊丹「無駄ですよ警部殿、俺たちが聞いてもこの人黙ったままですから…」 23:1:2013/08/31(土) 21:19:25.10 :ENOChXK80 カイト「この人まるで死んだ小宮さんみたく生気の抜けた表情してますね。」 早津「小宮…あぁ…刑事さん助けてください!俺まだ死にたくないんですよ!?」 芹沢「ちょ…ちょっと急にどうしたんですか!?」 早津「ハァ…ハァ…あれを見ちまった俺にはもう時間が無い…ダメだ… もうすぐ…俺は死ぬ!」 三浦「落ち着いてください小宮さん!そうならないためにも我々警察が絶対に 貴方の事をお守りしますから!」 早津「ダメだ…やっぱり俺たちは呪われちまったんだ!?」 カイト「呪われた?一体何にですか?」 24:1:2013/08/31(土) 21:19:53.90 :ENOChXK80 早津「そ、それは…」 右京「それはひょっとしてビデオテープが関係しているんじゃありませんか?」 早津「何故それを?まさかあなた方もビデオを見たんですか?」 右京「いえ、僕らはあのビデオを見ていません。 ですがあなたのその怯えた表情…そして小宮さんが死の直前に見せた不可解な行動… それらを推理すればあのビデオに何かあると誰でも気づきますよ。」 早津「…これから話す事、刑事さんたち信じてくれますか?」 右京「あなたが話す事が真実なら、我々はそれを信じるだけですよ。」 カイト「何があったのか話していただけますね!」 25:1:2013/08/31(土) 21:20:25.65 :ENOChXK80 早津は小さく頷き怯えながらも語り始めた。 早津「俺たち…というか吉野さんは…15年前にうちの局のディレクターの『浅川陽子』が 追っていた『呪いのビデオ』に関する取材をしていたんです。」 右京「『呪いのビデオ』?」 伊丹「何だそりゃ…バカバカしい…」 三浦「シッ!ようやく喋ってくれたんだ、少し黙ってろ!」 カイト「そういえば俺が学生の頃そんな噂が流行ってましたよ、見たら1週間後に 必ず死ぬ『呪いのビデオ』!けどすぐにその噂消えちゃいましたけど…」 26:1:2013/08/31(土) 21:25:01.41 :ENOChXK80 早津「俺たちは15年前…浅川さんの頼みでその件をいくつか調べていたんです… そしたら…浅川さんが死んだって話を聞いて…」 右京「その浅川さんという方は『呪いのビデオ』の所為で亡くなられたのでしょうか?」 早津「いえ、彼女は呪いのビデオを見て1週間経ったのに生きていたんです! けどその後すぐに交通事故に合って死んだと聞きましたが… それから15年後…俺たちも『呪いのビデオ』を見たんです、まずは 吉野さんが先に18日に見て…次に翌日の19日に小宮さんが…それに最後に俺が22日に… 順番通りなら次に死ぬのは俺なんですよ!」 27:1:2013/08/31(土) 21:25:50.03 :ENOChXK80 右京「ひとつよろしいでしょうか。あなた方はその『呪いのビデオ』とやらを 何処から入手したのですか?」 早津「岡崎さん…昔ここにいた同僚なんですけど…その人も15年前浅川さんに『呪いのビデオ』 の取材を手伝っていたらしいんですけど…」 カイト「けど…どうしたんですか?」 早津「その後、急に発狂して自分から精神病院に…だからウチじゃ『呪いのビデオ』に 関するネタは一切タブーになったんです。 それが1週間以上前に突然…吉野さんがある特ダネを掴んだから『呪いのビデオ』を なんとかして入手したいと言い出して…それで当時の岡崎さんの机を探していたら 『呪いのビデオ』が出てきたんです…」 右京「なるほど、それが吉野さんのマンションにあった『COPY』のラベルが貼ってあった 『呪いのビデオ』という訳ですね。」 28:1:2013/08/31(土) 21:26:30.68 :ENOChXK80 伊丹「あの…ちょっといいですか、警部殿。」 右京「はぃ?」 伊丹「今の話全部聞く限りだと…その…捜査一課じゃオカルトは扱っていないというか…」 三浦「まぁその…我々も忙しいので…」 芹沢「そのですね、この一件全部特命係にお任せした方が良いんじゃないかというのが 我々の判断でして…」 カイト「つまりは今の話を聞いて馬鹿らしくなって俺たちに丸投げってわけですか?」 伊丹「あのなぁ!捜査一課はオカルト専門外なんだよ!まぁ『呪いのビデオ』とやらで また死体でも出たら呼んでください、では!」 30:1:2013/08/31(土) 21:27:39.83 :ENOChXK80 伊丹たちはこれ以上事件性は無いと判断し、後は特命係に一任するといいさっさと帰ってしまう。 残った右京とカイトは引き続き早津から事情を聞く事にしたが… 早津「あの人たち…俺が言った事…全然信じてなかったですよね… あなたたちも馬鹿な事言ってるなってそう思ってますよね…」 カイト「いや…そんな事ないッスよ!俺ら信じてますから!」 (と言っても本当のところは伊丹さんたちと同じで半信半疑なんだよね。) 早津「あの…試に写メでも何でもいいから俺を写してもらえますか? そうすればわかりますから…」 右京「わかりました、カイトくん。ちょっとやってみてください。」 カイト「了解ッス。」パシャッ 31:1:2013/08/31(土) 21:28:53.76 :ENOChXK80 カイトは自分のスマフォで早津の写真を撮ってみた、するとどうだろうか。 画像の早津の顔はまるで白い靄みたいなのが掛かっていた。 右京「カイトくん…キミ…画像撮るの下手ですねぇ。」 カイト「いや…俺はちゃんと撮ったし手振れすら起こしてませんって!」 早津「ずっとなんですよそれ…『呪いのビデオ』を観てからずっとそんな画像になって… 最初に気付いたのがTVのカメラに自分が映った時でした。 最初はカメラの不調だなって思ってたんですけど…他の人はそんな事なくて…俺だけ… ねぇ…俺やっぱり呪われているんですよ!刑事さん助けてよ!!!!」 カイト「落ち着いてください!こんな画像の顔に靄が掛かったくらいじゃ人間死にませんから!」 早津「何言ってんだ!『呪いのビデオ』に関わってもう何人もの人間が死んでんだぞ!? アンタらこの現状を見てまだ信じられないってのかよ!?」 32:1:2013/08/31(土) 21:29:28.48 :ENOChXK80 右京「ひとつよろしいでしょうか。」 早津「ハァ…ハァ…一体何ですか?」 右京「先ほどあなたが仰った15年前に事件を調べた浅川さんは1週間経っても死ななかった そうですがそれはつまり呪いを解いたという事ですよね、つまり呪いを解く方法は必ず あるとそういう事じゃありませんか?」 早津「そうです…俺らも浅川さんが1週間経っても生きてたからてっきりあのビデオは インチキだと思ってたんです…けど実際はこうして… 浅川さんは恐らく呪いを解く方法がわかったんだ!それさえわかれば俺も死なずにすむのに…」 33:1:2013/08/31(土) 21:31:17.88 :ENOChXK80 カイト「あの…その浅川さんは『呪いのビデオ』に関して何か言ってなかったんですか? 例えばメモとか残してたりとか…」 早津「それが浅川さんは…事件の事はひとりで調べていて…呪いを解いた直後… 彼女は突然失踪して当時の資料は全部失われたんです、そしてその時オリジナルの 『呪いのビデオ』も焼いてしまったそうです…」 右京「オリジナル?もしかしてあの『COPY』のラベルが貼ってあった『呪いのビデオ』は ダビングされたものではありませんか?」 早津「そうです、浅川さんか紛失しないようにって何本かテープをダビングしてたらしい んです。 その1本を恐らく岡崎さんが入手したんだと思います… そうだ…ビデオだ!あの『呪いのビデオ』に呪いを解く鍵があるはずだ! 刑事さん!ビデオは今どこにあるんですか!?」 34:1:2013/08/31(土) 21:31:54.36 :ENOChXK80 カイト「残念ですが…」 右京「テープは壊されてしまいました、小宮さんが事件現場に行った時 突然テープを破壊してしまったもので…修復も出来ない状態です…」 早津「そ…そんな…もうダメだ!あのテープが無ければ俺は…死んじまうよ!?」 右京「落ち着いてください、我々があなたの呪いを解く方法を必ず調べます。 ですからあのテープの内容を教えて頂けますか?」 35:1:2013/08/31(土) 21:32:42.65 :ENOChXK80 それから早津はテープの内容について細やかに説明をした。 彼は記憶力のよい人間とは思えなかったが、それでも『呪いのビデオ』を鮮明に覚えていたのだ。 彼が見た映像は以下の通りだった。 37:1:2013/08/31(土) 21:34:32.95 :ENOChXK80 冒頭のメッセージ『終いまできけ、さもないと亡者に喰われるぞ。』 ひとりの老婆が『その後、体はなあしい?しょーもんばかりしているとぼうこんがくるぞ。いいか、たびもんには気ぃつけろ。うぬは、だーせん、よごらをあげる。 あまっこじゃ、おーばーの言うこときいとけぇ。じのもんでがまあないがよ』と話しかける。 鏡に映る髪を結う着物を着た30代後半~40代前半の女。 次にまた鏡に人が映るがそこには先ほどの着物の女性ではなく 髪が長くて白い服を着ている少女が映る。 何かに苦しむ人々の姿、白い布を被り指を指す男性。 新聞記事、噴火についての内容が記されている。 サイコロが振られる音、そして『嘘吐き!嘘吐き!』と人々から罵声される。 空が映るシーン、だがそれは何故か丸く映っている。 人の眼、何度か瞬きをしてその瞳に映る『貞』という文字。 井戸、周りは木々に覆われた森で井戸はかなり古く一部分が欠けている 特徴のある物であった。 最後にまたメッセージが出る、内容は『これをきいた者は、1週間後の この時間に死ぬ運命にある、死にたくなければ…』 38:1:2013/08/31(土) 21:35:46.04 :ENOChXK80 早津「とりあえず幾つか覚えている事を絵にして描いてみました、これです。」 早津は先ほどの説明の他に『呪いのビデオ』の映像を幾つか絵にして右京たちに見せた。 髪を結う女性と髪の長い少女、白い布を被る男性、井戸の光景。 正直どれも意味不明なモノばかりであった。 カイト「これだけじゃ何がなんだかわかりませんよ…」 39:1:2013/08/31(土) 21:37:27.40 :ENOChXK80 さすがにカイトがお手上げと思い根を上げたが右京はある疑問を早津にぶつけてみた。 右京「先ほどのお話でひとつ気になる点があります、最後のメッセージに 『死にたくなければ…』とありますが、それから何か表記されてませんでしたか?」 早津「それが…その…」 カイト「どうしたんですか?」 早津「肝心の最後の部分が上書きされてたんです!その所為で俺たちは呪いを解く方法が わからないんですよ!」 右京「ちなみに上書きしたのは?」 早津「浅川さんがダビングした際にはもう上書きされていたはずです。 恐らくメッセージを消したのは浅川さんが入手する前かと… それに上書きされた内容は15年前にやってたバラエティ番組でたぶん誰かの悪戯じゃ…」 40:1:2013/08/31(土) 21:37:54.04 :ENOChXK80 右京「なるほど、大体の事は分かりました。それでは我々はこれで失礼します。」 右京とカイトは早津から必要な情報を聞き出し足早に帰ろうとするが 早津は鬼気迫る顔で右京たちにこう言った。 早津「お願いです!俺にはもう4日しかないんです! だからそれまでに呪いを解く方法を見つけ出してください!」 41:1:2013/08/31(土) 21:39:33.58 :ENOChXK80 ~特命係~ 8月26日 PM13:00 TV局を後にした右京たちは特命係の部屋に戻り角田課長の報告を聞いていた。 角田「それでな、この岩田秀一と能美武彦の二人はかつて城南金融で麻薬を売ってた 密売人なんだよ。まぁそういってもこいつらは下っ端中の下っ端でな、 都内じゃ足が付くから伊豆とか箱根辺りの遠くのペンションに行って麻薬を売ってたんだよ。」 右京「なるほど、彼らは麻薬の前科がありましたか。」 角田「当時こいつらの客はほとんどが高校や大学のガキ相手で、勉強の効率アップ だとか言って商売してたらしいよ。」 42:1:2013/08/31(土) 21:40:11.60 :ENOChXK80 カイト「それじゃ亡くなった『大石智子』や『辻遥子』もその二人の客だった可能性が?」 角田「たぶんそうかもしれんな、ちなみにこいつらが最後に取引場所に使ってたのが 『伊豆パシフィックランド』っていう貸別荘だそうだ。」 右京「なるほどわかりました、カイトくん行きましょう!」 カイト「ちょっと杉下さん!まさか杉下さんもあんな『呪いのビデオ』なんて信じてるんですか?」 右京「以前言いましたが僕はオカルトに興味津々でしてね、特に幽霊や超能力なんて 興味を注がれませんか?」 カイト「まったく…まぁ早津さんを落ち着かせるのもいいかもしれませんね、俺も付いてきますよ!」 43:1:2013/08/31(土) 21:41:20.75 :ENOChXK80 角田「けど行ったってもう何も無いけどね…」 カイト「え?そこ今はもう潰れちゃったんですか?」 角田「あぁ…15年前だったかな、その別荘の床下にある『井戸』から『死体』が出てきてね。 それ以来気味悪くて人が寄り付かなくなって潰れちまったんだとさ。」 カイト「『井戸』…『死体』…杉下さん…まさか!?」 右京「課長、そのお話詳しくお聞かせ頂けますか?」 44:1:2013/08/31(土) 21:42:40.51 :ENOChXK80 角田「あぁ、ウチも当時その別荘に張り込みとかしてたからその事件はよく覚えてるが 死体を見つけたのは二人の男女だったそうだ、男の方は『高山竜司』、女の方は… 『浅川玲子』…確かそんな名前だったな。」 カイト「『浅川玲子』ってそんな…!けど二人は何で死体を見つけたんですか?」 角田「警察も事情を聞こうとしたんだが高山って男が翌日、自分の家で死んでてさ… そんで浅川って女の方も事件後行方不明でわざわざ実家の方まで尋ねに行ったら、 なんと驚いた事に親御さんが変死体で発見されてたんだよ! まぁそういっても親御さんも歳だったし死因もわからなくはないんだけど…」 右京「急性心不全…ではなかったのでしょうか?」 角田「よくわかったね、そんで事件から暫くしてようやく所在が分かったんだが その後浅川って女がトラックにはねられてさ、即死だったよ。 結局何で二人が死体を発見できたのかは今でも謎のままなわけだわ。」 45:1:2013/08/31(土) 21:44:27.47 :ENOChXK80 右京「という事は…その死体は身元不明のまま無縁仏で処理されたという事でしょうか?」 角田「いや、一応死体の身元は判明しているんだがね… 親類が遺骨を引き取りに来てたみたいだしたぶん実家の墓に供養されてんだろう。」 右京「ちなみにその死体の名前はわかりますか?」 角田「よく覚えてるって言ったろ、仏さんの名前…何故だか知らんが頭に こびり付いて離れやしないんだよな。 それで名前は『貞子』、さだが『貞』の字の『山村貞子』という名だ。」 カイト「『貞』ってあのビデオの内容の…杉下さん…まさかこれってやっぱり…」 右京「えぇ、『呪いのビデオ』…本物かもしれませんね!」 47:1:2013/08/31(土) 21:47:53.70 :ENOChXK80 とりあえずここまで リング側はリング2以降の話になっています らせん、ループ、貞子3Dの設定は無しで 49:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 21:55:43.42 :88z619TJo 乙 リングって一言に括っても色々あるんだな… 59:1:2013/09/02(月) 03:42:57.29 :PdUwOLb+0 ~静岡県警~ 遺留品係 8月26日、PM15:00 右京とカイトは先ほどの角田課長の話を聞きここ静岡県警の遺留品係に来ていた。 職員「それではこちらでお待ちください。」 カイト「まさかその日のうちに静岡県警の遺留品係を尋ねるなんて、杉下さん行動早過ぎですよ。」 右京「何を言っているのですか、早津さんの呪いはあと4日までなんですよ。 我々には時間も手掛かりも少ない、迅速に行動するに越した事はありませんよ。」 職員「お待たせしました、『伊豆パシフィックランド』での事件の資料です。」 右京「どうもありがとう、やはり思った通りです。カイトくん、これを見てください。」 カイト「これは15年前の『伊豆パシフィックランド』の宿泊者名簿…これは!」 60:1:2013/09/02(月) 03:43:43.24 :PdUwOLb+0 右京「えぇ、『岩田秀一』、『能美武彦』、『大石智子』、『辻遥子』、の4人の名前が載っています。 それに彼らが泊まった日、この○月□日は…ひぃ…ふぅ…15年前の彼らが亡くなった ○月×日の一週間前です、つまり彼らは…」 カイト「『伊豆パシフィックランド』に泊まった日…全員で『呪いのビデオ』を観た… そういう事ですか?」 右京「それから彼らはビデオに細工を施してしまった、恐らくただの悪戯半分だったのでしょうが まぁ本物だとは思わなかったのでしょうね、その所為で彼らは最初の犠牲者になってしまった。 そしてそれから数日後…見てください。『浅川陽子』…彼女もここに泊まりに来ていますよ。」 カイト「それじゃ『呪いのビデオ』は元々ここに置いてあって… それが『浅川陽子』によって持ち出された…」 右京「そういう事になりますね、それで『井戸』から見つかった『山村貞子』の死体の 検視報告書も見たいのですが…」 61:1:2013/09/02(月) 03:44:16.11 :PdUwOLb+0 右京は職員に『山村貞子』の検視報告書を尋ねたがこの時職員の顔は思わず真っ青になってしまった。 少し渋った様子を見せながら職員は右京たちに『山村貞子』の検視報告書を見せた。 職員「こ…これが『山村貞子』の検視報告書です…」 カイト「大丈夫ですか?顔が真っ青ですよ。」 職員「…」 右京「拝見します、これは…どういう事ですか?」 カイト「何かおかしな点でもあったんですか?」 右京「『山村貞子』は『井戸』で死亡してから死体の検視報告では1年しか経過していません。 しかし発見者である『高山竜司』と『浅川陽子』の証言によれば彼女 が井戸に落とされたのは、その30年も前だというのですよ!?」 カイト「何ですかそれ!まさか『山村貞子』は『井戸』の中で30年も生き続けていた わけじゃあるまいし…」 62:1:2013/09/02(月) 03:44:48.75 :PdUwOLb+0 職員「彼女が『井戸』の中で生きていたのは間違いありませんよ…」 カイト「それって…どういう事なんですか?」 右京「詳しいお話を聞かせてもらえませんか。」 それから職員は恐らくは話したくはないだろう事について右京たちに当時の状況について話を語り始めた。 職員「あれは15年前、私も現場に駆り出されたのですが…『井戸』の中に入ってみると… 壁のあちこちに彼女が壁をよじ登ろうとして痕跡があったんですよ!」 カイト「つまり『山村貞子』は『井戸』に落とされた時まだ生きていたんですか?」 職員「ハイ、私が壁を見回すと彼女の削げ落ちた爪が見つかりました。 検視報告書を見てください、『山村貞子』の爪…割れてるでしょう…」 右京「確かに…彼女の指はかなりの負傷が確認されています。」 職員「恐らく『山村貞子』は生きながらあの『井戸』の中に閉じ込められたんだと思います。 発見者の話によると『井戸』はコンクリートの蓋がされてあって例えよじ登れる事が 出来たとしても外に出る事は不可能だったでしょうね…」 63:1:2013/09/02(月) 03:45:25.25 :PdUwOLb+0 カイト「つまり『山村貞子』は自ら自殺したのではなく…」 右京「何者かの手により『井戸』に閉じ込められた…という事になりますね。」 カイト「けど一体誰が…?」 右京「それはまだわかりません、ところで『山村貞子』の死体は親族の方が引き取られた と聞きましたが?」 職員「えぇ、『山村貞子』の叔父にあたる『山村敬』という老人が引き取りに来られました。 確か大島の実家の方へ遺骨を持ち帰ったと聞きましたが。」 64:1:2013/09/02(月) 03:46:10.86 :PdUwOLb+0 右京「大島ですか…『山村貞子』の死体が発見された『井戸』に行ってみたいのですが 現在でも『井戸』は存在しているのでしょうか?」 職員「あの場所…ご存知かもしれませんが死体が出た騒ぎで近寄らなくなりましてね、 けど何年か前に国がそこに施設を作りたいから買い取ったそうですよ。 何の施設だか明かされていませんが周辺住民もあんな薄気味悪い場所を 買い取るモノ好きがいてくれて助かったと喜んでいましたがね。」 カイト「じゃぁ立ち入るのは…」 職員「ちょうど『井戸』があった辺りに建物を作ったみたいですし恐らく『井戸』なんて もう取り壊されたでしょう、それにあそこはちょっとした施設ですから警察といえど 無許可で立ち入りは許されんでしょうな。」 カイト「どうやらここで行き詰りのようですね。」 右京「…」 65:1:2013/09/02(月) 03:46:46.93 :PdUwOLb+0 ~花の里~ 8月26日、PM19:30 伊豆から戻った右京とカイトはいつもの花の里で夕食を食べていた。 右京「…」 幸子「思いつめた顔をなさって…何か考え事ですか?」 カイト「まぁこの人が考え事するのはいつもの事なんで気にしないでください。 けど…どうしますか?当時の事件関係者のほとんどが死んでてろくに話を聞けませんよ?」 右京「明日…大島に行ってみようかと思います。」 カイト「まさか『山村貞子』の遺骨を引き取った『山村敬』を尋ねる気ですか?」 右京「えぇ、今のところ手掛かりはそれしかありませんからね。」 66:1:2013/09/02(月) 03:47:14.77 :PdUwOLb+0 カイト「なるほど…けど山村貞子は何で伊豆の『井戸』に閉じ込められてたんですかね? 一体『山村貞子』の身に何があったんだ?」 右京「なんとか彼女の足取りを掴めれば良いのですが。」 カイト「『呪いのビデオ』の内容…今のとこ判明したのは『井戸』と『貞』の字だけか。 せめてもうひとつくらいわかればな…何でしたっけ『しょーもん』がどーたらこーたら…」 右京「『しょーもんばかりしているとぼうこんがくるぞ。』ですよ、これくらい 一発で覚えておくものですよ。」 カイト「無茶言わないでくださいって、みんなが杉下さん並の記憶力があるわけじゃないんですから…」 67:1:2013/09/02(月) 03:47:45.83 :PdUwOLb+0 幸子「あの…今のもう一度言ってもらえますか?」 カイト「え?みんなが杉下さん並の記憶力があるわけじゃないって言っただけですけど?」 幸子「いえ…そこじゃなくてさっき杉下さんが仰った…」 右京「『しょーもんばかりしているとぼうこんがくるぞ。』の事ですか?」 幸子「そう、それです!確か刑務所に居た時に大島出身の人がいて その人がよく方言で言ってたんですよ、『しょーもんばかりしているとぼうこんがくるぞ。』って!」 カイト「まさかこんなところでヒントが出て来るなんて…それでこれ何て意味なんですか?」 68:1:2013/09/02(月) 03:48:11.80 :PdUwOLb+0 幸子「確か…『水遊びばかりしていると幽霊が出て来るぞ』そんな意味だって言っていましたけど…」 カイト「『水遊び』…『幽霊』…ますますオカルト染みてきやがる… これじゃ捜査一課の伊丹さんたちがお手上げになるのも無理ないっすね。」 右京「幸子さん、どうもありがとう。やはり大島に何かあるとみて間違いないですね!」 カイト「けど早津さんの呪いの日まであと4日…つーかもう今日も終わりますし 実質3日くらいしかありませんよ。 そんな短期間で俺たち二人だけで45年以上も前に死んだ人間の足取りを追うのは 正直厳しくないですか?」 右京「そうですね、まぁ一応手は打っておいたので心配する必要はないと思いますよ。」 カイト「?」 69:1:2013/09/02(月) 03:48:37.57 :PdUwOLb+0 ~警視庁~ 組対5課 同時刻 大木「お疲れっす。」 小松「お先に失礼します、あれ?課長残業っすか?」 角田「まぁな、特命の連中には世話になってるからちょっと調べ事をね…」 70:1:2013/09/02(月) 03:49:07.55 :PdUwOLb+0 ~大島~ フェリー乗り場 8月27日、AM10:00 アナウンス「ご乗船ありがとうございました、またのご乗船をお待ちしております♪」 カイト「片道2時間、ようやく着きましたね。」 右京「さて…それじゃ山村さんのお宅へ向かうとしましょうか。」 カイト「あ、その前に一応ここの駐在さんに来る事連絡しておいたはずなんですけど… おかしいな、誰も来やしない?」 71:1:2013/09/02(月) 03:50:05.60 :PdUwOLb+0 右京「キミ…駐在さんを旅行会社のツアーガイドと勘違いしてませんか?」 ??「す・ぎ・し・た・さ~ん!お待ちしていましたよ!!」 右京「おや…この声は?」 カイト「何だこの垂れ幕は!?」 その垂れ幕にはでかでかと… ―歓迎!特命係御一行様!!― 大島へようこそ!! …と書かれてた。 カイト「恥ずっ!どうなってんだこれ!?」 72:1:2013/09/02(月) 03:50:44.20 :PdUwOLb+0 右京「それでこんなところで何をしているのですか陣川くん?」 陣川「ハッ!実は近年この大島にも犯罪の魔の手が押し寄せているようなので この陣川公平がその魔の手から大島の人々を救うため参上した次第です!」 カイト「つまり何かヘマやらかしてここに飛ばされたって訳でしょ、何やってんすか?」 右京「まぁそれはともかく陣川くん、さっそくですが我々は山村さんのお宅へ行きたいのですが…」 陣川「その前にせっかく垂れ幕まで作ったんですし、みんなで仲良く写真を撮りましょうよ♪」 カイト「あのですねぇ…俺ら別に遊びに来たわけじゃ…」 右京「まぁいいじゃないですか、どの道フェリーは午後まで便がありませんし記念に一枚くらい。」 73:1:2013/09/02(月) 03:51:11.68 :PdUwOLb+0 陣川「それじゃ行きますよ、ハイチーズ!」 パシャッ それから右京とカイトは陣川の運転する車に乗り山村宅へと向かっていた。 陣川「いやー、嬉しいな!杉下さんとまた捜査が出来るなんて♪今度はどんな事件なんですか?」 カイト「いや…まだ事件と呼べるほどのモノじゃないんですけど…」 右京「45年前に失踪した『山村貞子』なる人物の足取りを追っているんですよ。 既に彼女は亡くなっていますが彼女の遺骨を引き取ったという、 『山村敬』という人物に会いに来たのですよ。」 陣川「前任の駐在の話だと『山村』という家は以前はでっかい網元だったらしいんですけど 今は旅館を経営してるって話ですよ。」 カイト「旅館?」 陣川「確か先代はもう15年前に死んで今は息子夫婦しかいないのですが…」 右京「15年前ですか。」 74:1:2013/09/02(月) 03:51:41.31 :PdUwOLb+0 ~山村家~ 8月27日 AM11:00 右京たちは訪れた山村家が営む旅館を訪れ、女将である『山村和枝』に『山村貞子』に ついての話を聞こうとしたが… 和江「帰ってください!」 カイト「あの奥さん…我々はお話を聞きたくて…」 和江「養父はその『貞子』さんの所為で死んでしまったんですよ! それもあなたたちのような本土の人たちに何度も関わったばかりに!!」 右京「失礼ですがそれはどういう意味でしょうか?」 和江「よくも白々しい…とにかくお話する事はありません!お帰りください!」 陣川「あのねぇ…奥さん、こちらは本庁から来てて…」 右京「いえ…陣川くん、我々は今日のところは帰りましょう。失礼します。」 和江「…ハァ…」 75:1:2013/09/02(月) 03:52:18.88 :PdUwOLb+0 ~駐在所~ 8月27日、PM19:00 陣川「すみません、まだ夏休みの時期ですので旅館を取れなかったもので…」 カイト「日帰りの予定がまさか1泊する羽目になるなんて、おまけに陣川さんの駐在所でとは…」 陣川「なんだぃ!文句あるのか!?」 右京「元々日帰りで済ます予定でしたが、まぁ夏休みだと思って満喫しましょう。」 カイト「けどあの奥さんの態度…一体何があったんですかね?」 76:1:2013/09/02(月) 03:52:57.83 :PdUwOLb+0 陣川「実は杉下さんたちには黙っていたのですが…これも前任の駐在から聞いた話なんですけどね… 15年前に当時の山村家の当主の『山村敬』氏が本土に行ったきり帰ってこなくて… 暫くしたら死体で発見されたとか…」 右京「なるほど、そんな事があったわけですか。ところでお亡くなりになった原因は?」 陣川「なんでも急性心不全だったとか…まぁ歳だったんでしょうね。 かなりの高齢だったという話ですから、遠出した無理が祟ったんじゃないんですかね?」 カイト「急性心不全…まさか『山村敬』さんも…」 右京「『呪いのビデオ』に巻き込まれた可能性が高いですね!」 77:1:2013/09/02(月) 03:53:39.94 :PdUwOLb+0 その時駐在所の部屋の中である写真を発見した。 それは苦しみ…もがいている人々、白い布を被っている男性の写真が貼られていた。 陣川「あぁ、この写真ですか?昔この大島で噴火がありましてね。 その時に撮られた写真だそうです、なんでも大変だったらしいですよ。 突然の噴火で住民は大混乱、ガスは蔓延するし…当時はガスマスクなんて無かったから 白い布を頭に覆って対応してたとか…」 カイト「杉下さんこれって…」 右京「えぇ、間違いないようですね。」 78:1:2013/09/02(月) 03:54:10.39 :PdUwOLb+0 ―「ごめんくださ~い。」 駐在で話し合っていた右京たちのところへ一人の50代くらいの女性が訪ねてきた。 女性は何やら荷物を持ってこちらへやって来たようだが… 陣川「お、来た来た!待ってましたよ!」 女性「ハイ陣川さん、頼まれてた夕食持ってきましたよ。」 カイト「陣川さん…これは一体?」 陣川「まぁ旅館は駄目でしたけど、一応わざわざお越しいただいたわけですし せめてご馳走くらいはと思いまして近くの旅館に夕飯をお願いしたんですよ!」 カイト「おぉ!陣川さんなのに気が利きますね♪」 陣川「それ…褒めてるつもりなのかい?」 79:1:2013/09/02(月) 03:54:43.20 :PdUwOLb+0 右京「失礼、ひとつお尋ねしたいのですがよろしいでしょうか。」 女性「ハイ…なんでしょうか?」 右京「実はですね、恐らくこの島の方言なのですが… 『その後、体はなあしい?しょーもんばかりしているとぼうこんがくるぞ。 いいか、たびもんには気ぃつけろ。うぬは、だーせん、よごらをあげる。 あまっこじゃ、おーばーの言うこときいとけぇ。じのもんでがまあないがよ』 これの意味を知りたいのですがご存じありませんか?」 80:1:2013/09/02(月) 03:55:14.92 :PdUwOLb+0 女性「随分と古い方言を使うんですね、そんな方言使うのこの島でも かなりの年寄りじゃないと使いませんよ。 確か意味は… 『その後、身体の具合はどうだ? 水遊びばかりしていると、お化けがくるぞ。 いいか、よそ者には気をつけろ。 お前は、来年子供を生むのだ。 娘っこだから、お婆ちゃんの言うことはよく聞いておけ。 地元の者で構わないじゃないか』という意味ですね。」 カイト「身体の具合はどうだ?水遊びばかりしているとお化けがくる? よそ者には気を付けろ?お前は来年子供を生む?おばあちゃんの言う事は良く聞け。 地元の者でも構わないじゃないか? これ…もう何の事だかさっぱりわからないんですけど?」 右京「つまりこれはお年寄りの忠告なのでしょうね、里帰りした若い未婚の女性を 心配しての忠告でしょうね。 若い女性のお身体の心配をして、よそ者への警告、子供の出産、 大体こんなところでしょうかね。」 81:1:2013/09/02(月) 03:55:46.89 :PdUwOLb+0 カイト「そうだ、あの奥さんくらいの年齢ならたぶん知っているんじゃないんですか? 俺たち『山村貞子』って女性を調べに来たんですけどね…」 女性「『山村貞子』ってひょっとして貞ちゃんの事かい?」 右京「『山村貞子』さんの事…ご存じなのですか?」 女性「ご存じも何も私はあの子とは同級生だからね、けどあの子は15年前に…」 右京「えぇ、それは存じてます。その『山村貞子』さんの事について何か存じている事は ありますか?」 女性「アンタら…貞ちゃんのお母さんの『山村志津子』さんについて知っているかい?」 82:1:2013/09/02(月) 03:56:18.70 :PdUwOLb+0 カイト「『志津子』?いや…奥さん、俺たちは『貞子』さんについて聞いてるんですけど。」 右京「カイトくん、ここはとりあえず黙って聞いておきましょう。」 女性「『山村志津子』…昔からこの島にいる連中の間じゃこの人の名前が出ると みんな口を閉ざしてしまうんだよ。」 それから女性は語り始めた、かつて『山村志津子』は過去に伊豆大島の噴火を予知した 超能力者であった事、彼女の噂を聞きつけた『伊熊平八郎』という本土から来た学者が 『志津子』と不倫関係に陥りやがて子供を身籠り生まれた子が貞子である事、 そして… 女性「それから暫くして従兄弟の『山村敬』さんが『志津子』さんを売り出そうと マスコミを集めて公開実験をやったらしいんだよ。 実験は成功したらしいんだが『志津子』さんはマスコミ連中からやれインチキだのと 衆目の前で罵られてね…それが原因で発狂しておかしくなったのさ…」 カイト「酷い話だな、『山村志津子』さんは見世物にされちまったわけですね…」 83:1:2013/09/02(月) 03:56:48.29 :PdUwOLb+0 女性「酷いのはその後さ、その実験中にインチキだと騒いだ記者が死んじまったんだよ。 死因は急性心不全…ただの病死扱いだったけどこれは『志津子』さんが 呪い殺したんじゃないかって当時噂されててね…」 右京「ひとつ聞きたいのですが、その実験に娘である『山村貞子』さんは 現場に立ち会わせていたのですか?」 女性「そうだと思いますよ、これは貞ちゃんから聞いた話ですから。」 右京「あなたは『貞子』さんと随分親しかったみたいですけど彼女は どんな人だったのでしょうか?」 女性「大人しいけど優しい子でしたよ、けど小学校卒業して母親の『志津子』さんが 亡くなったらすぐに父親と一緒に本土の方へ行っちゃったんですけどね。」 右京「では彼女が生前この島に帰ってきた事は?」 女性「大人になってから何度か母親の『志津子』さんの法事で戻ってきたはずだと思いますけど…」 84:1:2013/09/02(月) 03:57:15.99 :PdUwOLb+0 話を終えた後、女性は帰って行った。 右京とカイトは先ほどの話を『呪いのビデオ』と照合してみた。 カイト「さっきの話で大きく前進しましたね。つまり『山村貞子』は 何度目かの法事でお婆さんから忠告を受けていた。」 右京「『老婆の方言』、『噴火の記事』、『逃げ惑う人々』、『白い布を被った男性』、 そして『サイコロの音』、『インチキという人々の罵声』、恐らくこれは 『山村志津子』の超能力の公開実験の光景を意味しているのでしょう。」 カイト「明日もう一度山村家に行ってみましょう、あの家絶対に何か隠してますよ!」 87:1:2013/09/02(月) 08:23:18.17 :PdUwOLb+0 そして翌日 ~山村家~ 8月28日、AM8:00 ドンドン 陣川「山村さん、駐在の者です!昨日も言ったように『貞子』さんの件でお話があるんですけど!」 右京、カイト、陣川の三人は朝早く再び山村家を訪れていた、しかし留守なのか人の気配が無かった。 88:1:2013/09/02(月) 08:36:26.39 :PdUwOLb+0 右京「もしかしたら何かあったのかもしれません、家の中にお邪魔してみましょう。」 カイト「いいのかな…こんな事しちゃって…」 陣川「何を言うんだ!警察官が市民の安全を考えるのは当然の事じゃないか!」 右京「陣川くんの言う通りですよ、さぁ中へ入りましょう。」 カイト「まったく都合がいいんだから…お邪魔しま~す。」 89:1:2013/09/02(月) 08:37:23.52 :PdUwOLb+0 家の中に入ってみるもののやはり人の気配はしなかった、三人は家の中を探索すると 『ある部屋』に辿り着いた、その部屋には割れた『鏡』が置いてある和室だが 右京とカイトはその『鏡』に見覚えがあった。 カイト「この『鏡』…鏡面部分が割れてますけどこれ間違いないですよ!」 右京「えぇ、あの女性が髪を結っていた『鏡』と同じ形をしていますね。 しかし何故鏡面が壊れているのでしょうか?」 陣川「あの杉下さん…部屋の隅に置いてあった古い写真があるんですけど… 映っているのは女性です、年齢は30代後半といった感じですかね?」 陣川が見つけた写真、その写真に写っていた女性は早津の描いた 『髪を結う30代後半~40代前半の女性』と同じ顔をしていた。 カイト「ビンゴですよ杉下さん!やっぱりこの家に何かあるんですよ!」 90:1:2013/09/02(月) 08:37:54.43 :PdUwOLb+0 右京「…そろそろ出てきては如何ですか、和江さん?」 和江「いつから気付いていたのですか?」 右京「表の車はそのままでしたし靴はキレイに整ったまま、外出した形跡が無い事くらい 一目瞭然ですよ。」 陣川「なるほど!さすがは杉下さん!一発でそんな事を見破るなんて!!」 カイト「いや見破ってないのアンタだけだから…」 91:1:2013/09/02(月) 08:38:23.64 :PdUwOLb+0 和江「正直…もう私疲れたんです。この家…呪われているんですから…」 カイト「呪われている…どういう事ですか?」 和江「その写真の女性が原因です。」 右京「この写真の女性…『山村志津子』さんですね。」 和江「そうです、私は元々この家に嫁として入ったので『志津子』さんどころか 『貞子』さんの事も知らなかったんですけど… 15年前の事でした、今のあなた方みたく『貞子』さんや『志津子』さんについて 尋ねてきた男女の二人組が来たのです。」 カイト「『浅川陽子』と『高山竜司』の事ですね。」 92:1:2013/09/02(月) 08:38:55.85 :PdUwOLb+0 和江「二人は義父に『貞子』さんと『志津子』さんの事を聞いた数日後に 本土で『貞子』さんの遺骨を引き取ってくれとの連絡が入りました。 養父はその遺骨を引き取り…それから…」 右京「海に埋葬したのですね。」 和江「そうです…海は『貞子』の生まれた場所だと養父は常々そう言ってましたから。 そのすぐ後です、養父が死んだのは…」 陣川「けど急性心不全だと伺いましたよ、高齢だったし仕方ないのでは?」 和江「何も知らないくせに!あなた…養父がどんな顔で死んでたかわかりますか? まるでこの世のモノとも思えない恐怖に怯えた死に顔をしていたのよ!!」 カイト「恐怖に怯えた死に顔…ですか。」 右京「亡くなった吉野さんや小宮さんと同じですね。」 和江「それから暫くしてからよ…ウチの中に幽霊が出始めたのわ。『志津子』さんの幽霊が… あなたたちが入ったこの部屋…泊まりに来るお客から気味の悪い女が髪を結いながら こちらを見つめているって…私も…もう何度も見ているわ…」 93:1:2013/09/02(月) 08:39:45.73 :PdUwOLb+0 右京「ひとつお聞きしたいのですが、あなたは昨日僕たちが訪れた時に 『あなたたちのような本土の人たちに何度も関わったばかりに』と仰いましたね。 『何度も』…つまり僕たちや浅川さんたちの他にもここに『山村親子』について 尋ねに来た人がいるんじゃないのですか?」 和江「えぇ…子連れの若い女性が『貞子』さんについて訪ねてきました。 女性は確か名前が『高野舞』と名乗ってましたけど。 そういえば彼女が来てから『志津子』さんの幽霊が出始めたような気が…」 右京「『高野舞』…ですか、彼女は何故子供を連れていたのでしょうかね?」 和江「そんな事知りませんよ、いいえ…もう何も知りたくない…」 和江はそのまま俯いてしまい泣き出してしまった、後で帰ってきた旦那に彼女を託し 右京とカイトは島を立ち去ろうとする。 しかしフェリー乗り場に乗り込もうとした二人の前に昨日駐在に夕食を 届けに来てくれた女性がやって来た。 94:1:2013/09/02(月) 08:40:14.05 :PdUwOLb+0 フェリー乗り場 8月28日、PM12:00 カイト「どうしたんですか!そんなに慌てて?」 女性「間に合ってよかった!実は思い出した事があるんだけどね。」 右京「わざわざフェリー乗り場まで駆けつけてくれたのです、一体どういった ご用件なのでしょうか?」 95:1:2013/09/02(月) 08:41:54.16 :PdUwOLb+0 女性「私、一度だけ山村の家に遊びに行った事があるのよ。 『志津子』さんの事件があってから暫くはあの家にあまり人が近寄らなくなったんだけど 私は貞ちゃんの友達だったから…親に黙って遊びに行ったのよ。 それでね…その時に既に気が振れた志津子さんが私を睨んでて…それで恐くなった私は 貞ちゃんとはぐれて家の中で迷子になったのよ。 その時だったわ、私は貞ちゃんを見つけたんだけど…けどそれは貞ちゃんじゃなかった。」 カイト「ちょっと待ってください!それはつまり『貞子』さんの姉とか妹じゃないんですか?」 女性「いいえ…当時あの家に女の子は貞ちゃんしかいなかった、その女の子は貞ちゃんと 同じ外見をしてたけど貞ちゃんじゃない…根拠のない直観だけど私にはその確信があった。 その子は長い黒髪で顔を隠していたけどその隠れた顔から気味の悪い目つきで 私を睨んできた、恐くなった私は急いで逃げたんだけど… 気付いたらその子はいなくなっていた、それにいつの間にか貞ちゃんも戻ってたって話よ。」 右京「『長い髪で顔を隠した女の子』…ですか。」 カイト「それって…あの『呪いのビデオ』で『志津子』さんと一緒に居た…」 右京「えぇ、その子と見て間違いないでしょう。」 カイト「なんだか怪談染みた話ですね、杉下さん…今の話聞いてどう思いますか?」 右京「…さぁ、まだ何とも言えませんね…」 96:1:2013/09/02(月) 08:42:49.33 :PdUwOLb+0 東京に戻った直後彼らは警視庁の特命係の部屋に戻っていた。 ~特命係~ 8月28日、PM16:00 角田「それじゃぁ何かい?二人して大島で一泊してたってのかい? まったく窓際部署は気楽でいいねぇ…こっちは忙しい合間を縫って手伝ってあげたのにさ…」 カイト「わかってますって、だからお土産買ってきましたから!ハイ、大島名物のくさや♪」 角田「お前さぁ…若いんだからもっと小洒落た物買って来いよ… まぁそれはともかくとしてだ、調べておいた件だが面白い事がわかったぞ。 『山村貞子』の死体を発見した『浅川陽子』と『高山竜司』だがこの二人… なんと元夫婦だったんだとさ!」 カイト「元夫婦?」 97:1:2013/09/02(月) 08:44:05.61 :PdUwOLb+0 右京「やはりそうでしたか、若い男女が長時間一緒に行動しているのですから もしかしたら二人はただならぬ関係かと思っていましたが…なるほど。」 角田「それでな二人には子供がひとりいたんだが… 名前は『浅川陽一』といって事件当時はまだ小学1年生だった。 まぁ両親は死んじまって親類も『高山竜司』の方は天涯孤独だったようだし 『浅川陽子』も前に言ったが両親が死んじまって… それで仕方なく当時『高山竜司』の教え子ってのが引き取ったそうだ。」 カイト「教え子が?親族でもない人間が引き取ったんですか? いくら恩師だからってそこまでしますかね?」 角田「そこは俺には言われてもわからんが…とにかく二人は今でも一緒に暮らしているらしいぞ。」 右京「ちなみに『浅川陽一』を引き取った教え子の名前は?」 98:1:2013/09/02(月) 08:44:43.12 :PdUwOLb+0 角田「当時大学生で今は城南大学の教授の『高野舞』って女だ。」 カイト「『高野舞』!杉下さん…この事件一体どうなってんですか!? 調べれば調べるほど謎が深まるばかりじゃないですか!」 右京「…角田課長、『山村貞子』について何かわかった事は?」 角田「そっちはさっぱりわからんかった、何しろ45年も前に失踪した人間の足取りを 掴む事なんて無茶過ぎる…当時彼女がなんらかの事件に関わっていたのなら 警察のデータに名前くらい残っているかもしれんが生憎何も無くてな… 前科者のリストだって調べたんだぞ…それでも何も出なかったよ。」 カイト「けど彼女は何かの事件に巻き込まれて『井戸』に閉じ込められた、つまりこれって…」 右京「そう、つまり警察には届け出されていない事件に彼女は巻き込まれた。 いえ…もしかしたら彼女自身が巻き起こしてしまったのかもしれませんね…」 カイト「けど足取りは掴めず仕舞い…これでお手上げですかね?」 99:1:2013/09/02(月) 08:45:14.31 :PdUwOLb+0 角田「フフフ、…と普通は思うだろ、だが組対5課の課長を舐めるなよ! 実はな『貞子』の方は無理だったが父親の『伊熊平八郎』の居場所が判明したんだよ!」 カイト「『伊熊平八郎』って『山村貞子』の父親ですよね!まだ生きてるんですか!?」 角田「そうだ!だが結核を患っているらしくてな、現在は『南箱根療養所』に入院している。」 100:1:2013/09/02(月) 08:45:59.71 :PdUwOLb+0 ~南箱根療養所~ 8月29日、AM10:00 翌日、右京とカイトは朝早くに『南箱根療養所』を訪れていた、目的は勿論 『山村貞子』の父である『伊熊平八郎』から『呪いのビデオ』を解くためである。 二人は『伊熊平八郎』の病室までやってきたが彼は結核を患いその命は残りわずかと いった様子である。 ちなみに今日で早津の命は残り一日であった… 看護師「あの…『伊熊』さんは結核が悪化してもう余命幾許もない状態ですのでくれぐれも 無理はさせないで上げてください。」 カイト「わかっておりますって。」 右京「出来れば我々と伊熊さんだけでお話ししたいので席を外してもらえますか?」 看護師「わかりました、何かあれば知らせてください。」 こうして看護師は病室から出て行き、室内には右京とカイト、それに『伊熊平八郎』の 三人だけで話を始めた。 101:1:2013/09/02(月) 08:46:34.03 :PdUwOLb+0 カイト「『伊熊』さん、わかりますか?我々は警視庁の者なんですけど! 伊熊「…シュコー…」 カイト「ダメですね、ピクリとも動きもしない… まぁ酸素マスクつけてるし喋るのは無理そうですけど」 右京「『伊熊』さん、僕たちはあなたの娘である『山村貞子』さんについてお尋ねしたい のですがわかりますか?」 伊熊「!?」 『山村貞子』この名前を言った直後『伊熊平八郎』の反応は明らかに変化があった。 そして彼は酸素マスクを取り次の言葉を言った、それは… 102:1:2013/09/02(月) 08:47:06.71 :PdUwOLb+0 伊熊「サダコ…スマナイ…ダガ…オマエハキケンナンダ…ダカラワタシハオマエヲフウイン…スルシカナカッタ…」 カイト「危険…何を言ってるんですか?」 右京「…『伊熊』さん…単刀直入に要件を申し上げますが僕たちは彼女の作った 『呪いのビデオ』の謎を解くためにこちらに伺いました、何か心当たりはありますか?」 伊熊「『ノロイ』…ソウカ…アノコハイマデモノロイツヅケテイルノカ…ムリダ…アノコノノロイヲトクコトハデキナイ…」 カイト「ちょっと…何を言ってるんですか?」 伊熊「モシモノロイヲトクコトガデキルノナラ…ソレハ…ノロイヲフヤスシカナイ…」 右京「!?…やはりそういう事ですか…」 伊熊「グフッ!」 カイト「『伊熊』さん!?」 この後『伊熊平八郎』の容体は急変し彼は面会謝絶となってしまった。 これ以上の聞き込みは無理だと判断した二人はその場を立ち去るしかなかった。 103:1:2013/09/02(月) 08:48:10.40 :PdUwOLb+0 ~特命係~ 8月29日、PM16:00 結局二人はろくな情報を得られずに帰ってきた、しかし既に右京はある確信に 思い至っていた。 カイト「ねぇ…杉下さん…」 右京「はぃ?」 カイト「本当はもう呪いを解く方法わかっちゃったんじゃないんですか? それなのに何で教えてくれないんですか?」 右京「確かに…僕は『山村貞子』が仕掛けを施した『呪いのビデオ』から 助かる方法を見つけ出しました…しかし…」 カイト「何故教えないんですか!早津さんにはもう残り9時間しかないんですよ!?」 そうカイトは正義感強く右京に強く訴えた、しかし右京の口から出た返事は ある意味そんなカイトの訴えをあざ笑うモノだったのかもしれない。 右京「キミ…これから僕が言う事に大人しく聞く自信はありますか? 何があろうと…怒らず…そして絶望しないと…」 カイト「わ…わかりました…もう覚悟は出来ています、だから話してください。」 104:1:2013/09/02(月) 08:49:10.36 :PdUwOLb+0 そして右京はカイトの前で『呪いのビデオ』の真相を語り始める、だがそれは 決してすべてが円満に解決するための糸口などではなかった… 右京「そもそも『呪いのビデオ』を解く方法は至って簡単なのです。 知ってしまえば誰もが実行できる…そんな方法です。 『山村貞子』はそうやって『呪い』を増やそうとしていたのでしょうね。」 カイト「『呪い』を増やす…どういう事なんですか?」 右京「『呪いのビデオ』の老婆が言っていた言葉… 『その後、体はなあしい?しょーもんばかりしているとぼうこんがくるぞ。 いいか、たびもんには気ぃつけろ。うぬは、だーせん、よごらをあげる。 あまっこじゃ、おーばーの言うこときいとけぇ。じのもんでがまあないがよ』 これこそが最大のヒントだったのですよ!」 カイト「けどその意味って… 『その後、身体の具合はどうだ? 水遊びばかりしていると、お化けがくるぞ。 いいか、よそ者には気をつけろ。 お前は、来年子供を生むのだ。 娘っこだから、お婆ちゃんの言うことはよく聞いておけ。 地元の者で構わないじゃないか』っていうお年寄りが良く言う忠告みたいなモン でしょう、これのどこにヒントがあるんですか?」 105:1:2013/09/02(月) 08:49:41.66 :PdUwOLb+0 右京「全てがヒントなのではありません、この言葉のある一部分…そう… 『うぬは、だーせん、よごらをあげる。』これが最大のヒントなのです!」 カイト「確かそれ『お前は、来年子供を生むのだ。』って意味じゃ…」 右京「そう…『子供を生む。』これこそが最大の手掛かりなのですよ!」 カイト「最大の手掛かりって…それどういう意味なんですか?」 106:1:2013/09/02(月) 08:51:14.30 :PdUwOLb+0 右京「『岩田秀一』、『能美武彦』、『大石智子』、『辻遥子』、『高山竜司』、 そして15年後に『呪いのビデオ』を観て亡くなった『吉野賢三』…それに『小宮』 恐らく他にも被害者はいるかもしれませんがこれだけの被害者が出しながら 何故『浅川陽子』だけが1週間経っても生き残っていられたのか… それはつまり他の被害者は誰も1週間以内に行わなくて彼女だけが行った行為が あったのですよ!!」 カイト「『浅川陽子』のみが行った行為…それって『山村貞子』の死体を『井戸』から 見つけ出した事じゃないんですか? いや…違う…それなら何で『高山竜司』が死んだんだ?」 右京「『浅川陽子』と『高山竜司』もそう思っていたのでしょうね。 恐らく二人はこう思ったはず、『井戸から貞子を救い出し供養すれば呪いは止まる』と… しかし彼らは読み違えてしまった…結果『高山竜司』のみが死んでしまったのです。」 107:1:2013/09/02(月) 08:51:53.74 :PdUwOLb+0 カイト「じゃぁ…『浅川陽子』だけがやって『高山竜司』だけがやらなかった行為… 一体何だ…『子供を生む』…『呪いを増やす』…『呪いのビデオ』… 『COPY』のラベル…ハッ!? 杉下さん…俺…わかっちゃった気がするんですけど…まさか…けどそんな… そんな簡単な方法で助かるんですか!!?」 右京「そう…被害者の中で『浅川陽子』だけが行った行為…『呪いのビデオ』の 複製…つまりダビングして他の相手に見せる事なんですよ!!」 カイト「なら…すぐにこの事を早津さんに教えなきゃ…あっ…」 右京「そうです、その『呪いのビデオ』はもう小宮さんが吉野さんの部屋で 処分させてしまったからテープをダビングする事はもはや不可能です…」 108:1:2013/09/02(月) 08:53:03.53 :PdUwOLb+0 カイト「けど『山村貞子』の目的ってなんですか?こんな事をして何になると思ったんですか!?」 カイトは当然の疑問を右京にぶつけた、右京はカイトの疑問に答えるべく 黒板に三角形をピラミッド方式に4層ほど区切って書き、 それぞれ上が上位層、2番目が中位層、3番目が下位層、そして4番目が最下層と説明した。 右京「この上位層をたとえば『浅川陽子』としましょう。 『浅川陽子』は生き残るために『呪いのビデオ』を複製し他者に見せる。 更に見せられた他者はそれを他の者に見せようとする、これが2番目の中位層です。 それから『呪いのビデオ』は巡り歩き… 最後にこの4番目の最下層の人間たちに行きつきます。 しかし彼らは既に『呪いのビデオ』の存在を知っている…既にそこまで浸透している のですから知らないという方がおかしい…ですから当然見ないという反応をするでしょう。 そうなると死ぬのは3番目の下位層の人間たちが当てはまります。」 109:1:2013/09/02(月) 08:54:16.66 :PdUwOLb+0 カイト「何だよこれ…考えただけで頭がおかしくなる… 杉下さん…この連鎖が途中で途切れる可能性はありますよね?」 右京「勿論…いくつかはあるはずです…が…どれかひとつは必ず残って この4番目の最下層まで辿り着くのだけは間違いありません。 そしてこの3番目の下位層…計算すれば全人類の4分の1…およそ四人に一人が 死ぬ計算になるでしょうね。」 カイト「そんな…これじゃまるでウイルスじゃないですか!?」 右京「ウイルスですか…うまい例えですね。 ですが無論これは机上の計算ですから実際はこれよりも被害が大きいはずです。 しかしそれは未然に防げました、恐らく偶然でしょうが小宮さんが 『呪いのビデオ』を破壊してくれたおかげでこれ以上の被害は出ないでしょう。」 110:1:2013/09/02(月) 08:55:21.98 :PdUwOLb+0 カイト「じゃあ『早津』さんが助かるには…」 右京「『呪いのビデオ』を複製して他人に見せる事ですが…かりに出来たとして 誰に見せる気ですか? 見せられた相手には更に他の誰かに見せてそれの繰り返し… ですがそれもいずれは終わりが来て先ほど話した結果になるのですよ。」 カイト「ならもう『早津』さんは助からないって事なんですか?」 右京「残念ながらそうなりますね…」 カイト「ならせめてここまでの経緯を『早津』さんに話しましょう、一応俺たちは 早津さんにこの件を頼まれた訳だしせめて最期まで付き合ってあげないと…」 右京「そうですね、彼にはすべてを知る権利があります。」 111:1:2013/09/02(月) 08:56:08.04 :PdUwOLb+0 こうして右京とカイトは早津にすべてを伝えるべく彼の会社へ向かった。 しかし早津は会社には来ておらず、それどころか家や携帯に掛けても留守で 散々探し出して彼が実家にいる事を突き止めた。 しかし残り時間は5分を切っていた。 112:1:2013/09/02(月) 08:56:35.78 :PdUwOLb+0 早津の実家 8月29日、PM23:55 右京とカイトは早津の実家を訪ねたが彼は自分の部屋に引き籠っており 両親の言う事にすら聞く耳を持てなかった。 カイト「早津さん!警視庁の甲斐とそれに杉田です!このドアを開けてください! お話があるんです!」 早津「それってまさか助かる方法が見つかったんですか!?」 右京「残念ですが…あなたを救う方法は見つかりませんでした。」 早津「そ…そんな…」 カイト「申し訳ありません…せめてあなたの最期まで俺たち付き合う事にしました…」 113:1:2013/09/02(月) 08:57:54.32 :PdUwOLb+0 早津「俺…俺…死ぬのなんて嫌ですよ…まだまだやりたい事たくさんあるし… それに…嫌だぁぁぁぁぁぁ!!!!死にたくなんかないよ!!?」 それから右京とカイトは『早津』に『呪いのビデオ』の経緯を説明した。 『山村貞子』の事や『山村志津子』、『伊熊平八郎』、等の事を… しかし『呪いのビデオ』の呪いを解く方法だけは教えなかった。 これ以上下手な希望は持たせたくはないという配慮だったのかもしれない。 早津「なるほど、そういう事でしたか…『山村志津子』、『伊熊平八郎』、 確か浅川さんが当時『吉野』さんや『岡崎』さんにそんな名前の人たちを 調べるように頼んでいたのを思い出しましたよ。 あ、もう時間だ。不思議なモノですね…人間死期を悟るとこんな穏やかな気持ちに なれるなんて…」 114:1:2013/09/02(月) 08:58:24.41 :PdUwOLb+0 そして彼のタイムリミットが残り5秒を切り出した。 ⑤ ④ ③ ② ① 早津「うっ!」 115:1:2013/09/02(月) 08:59:11.02 :PdUwOLb+0 8月30日、AM0:00 右京「早津さん!?」 カイト「しっかりしてください!」 早津「…」 早津「……」 早津「………」 116:1:2013/09/02(月) 08:59:45.42 :PdUwOLb+0 早津「あれ?俺生きてる…生きてるぞぉぉぉぉぉぉぉ!?」 そう、早津は死んでいなかった。それどころか彼は元気よく飛び跳ねていたのだ。 これにはさすがの右京とカイトも首を傾げた。 カイト「これってつまり…『呪いのビデオ』がインチキだったって事なんですかね?」 右京「…」 117:1:2013/09/02(月) 09:00:29.66 :PdUwOLb+0 ヴィー ヴィー ヴィー その時右京の携帯に連絡が入った、その相手は… 陣川『どうも杉下さん!こんな夜分に申し訳ありません!実はですねぇ…』 右京「もしもし陣川くんですか、今立て込んでいますので…はぃ?」 カイト「陣川さん…こんな時に…空気読めよな。それで何の用事だったんですか?」 右京「どうやら先日大島で撮った写真を僕の携帯に送ってくれるそうですが…」 カイト「どうかしたんですか?」 右京「陣川くんが言うには写りが悪いとか言っているのですよ。」 118:1:2013/09/02(月) 09:03:40.26 :PdUwOLb+0 そして陣川から送られてきた画像を見て右京は何故早津が助かったのかがようやくわかった。 右京「なるほど、そういう事でしたか。どうやら『早津』さんは自分でも知らないうちに 既に複製していたのですね。」 カイト「な…何を言っているんですか?大体『呪いのビデオ』はもう『小宮』さんが壊したから…」 右京「『絵』ですよ、『早津』さんが僕らに見せた『呪いのビデオ』の内容を描いた絵… あれが恐らくダビング代わりになったのでしょう。」 カイト「けど…誰に見せたっていうんですか?あの絵を見たのは俺と杉下さんしか…まさか!?」 右京「先ほど陣川くんが僕の携帯に転送した画像です、見てください。」 そこには右京、カイト、それと陣川が写っていた、しかしまともに写っていたのは陣川だけで 右京とカイトの顔には以前にカイトが早津を写メで撮った際の白い靄が掛かっていたのだった。 右京「どうやら『山村貞子』の『呪い』は既に僕らに行き渡っていたようですよ。」 128:1:2013/09/02(月) 19:41:50.64 :PdUwOLb+0 ~カイトの家~ 8月30日、AM6:30 カイト「…」 悦子「ねぇ享…大丈夫なの?帰って来てから顔が真っ青なんだけど?」 カイト「え…あぁ…大丈夫だって!ハァ…」 右京から自分たちが『山村貞子』の『呪い』を受けていると知ったカイトは それから自分がどうやって自宅まで帰宅できたのか思い出せない程に落ち込んでいた。 129:1:2013/09/02(月) 19:42:26.20 :PdUwOLb+0 カイト(俺が『呪いのビデオ』の『絵』を見せられたのは8月26日だ。 今日を合わせてもあと4日しかない…どうしたら…) 悦子「ちょっと…本当に大丈夫なの?何かあったらちゃんと言いなさいよ。」 カイト「何度も言わせんなって、俺は大丈夫だからさ。早く朝飯食おうぜ!」 その時カイトはある事を閃いてしまった、自分も『早津』と同じく 『呪いのビデオ』の『絵』を誰かに見せれば助かるのではないかと… その瞬間カイトの脳裏には先日自分の目の前で死んだ『小宮』の死に顔を思い出してしまった。 カイト(俺もあんな風に苦しんで死ぬのかな…イヤだ…あんな死に方は絶対に御免だ!) 130:1:2013/09/02(月) 19:42:54.23 :PdUwOLb+0 カイト「な…なぁ…悦子ってさ…『呪いのビデオ』の噂って聞いた事…!?」 この時自分が悦子に何を言おうとしたのか…すぐに後悔し止めた。 いくら自分の命を守るためとはいえ愛する者を犠牲にしたら死ぬより後悔するだろうと 思ったからだ。 カイト「ゴメン!今言った事すぐに忘れてくれ!それじゃ俺もう職場に行くわ!」 悦子「ちょっと待って亨!今『呪いのビデオ』って言ったよね。 私さぁ、その噂についてちょっと気になる話を昔チラッと聞いた事があるんだけどね…」 カイト「だからさっきの話は忘れろって…マジで!どんな話なんだよ?」 131:1:2013/09/02(月) 19:43:25.07 :PdUwOLb+0 ~特命係~ 8月30日、AM9:00 カイト「杉下さん!重大な事がわかりました…っていねぇし… やっぱあの人も所詮は人間か、自分があと4日後に死ぬなんてわかれば仕事どころじゃないよな。」 132:1:2013/09/02(月) 19:44:06.40 :PdUwOLb+0 右京「お早うございます。」 カイト「うわぁっ!?後ろにいたんですか…脅かさないでくださいよ! 俺てっきり…いえなんでもありません。」 右京「はてさて何を言っているのやら…それで先ほど大声で叫んでましたが 何かわかったのですか?」 カイト「実は俺…悦子に『呪いのビデオ』の事を話しちゃって…」 右京「まさかキミ…『早津』さんみたく悦子さんに『呪いのビデオ』の『絵』を見せて 彼女に『呪い』を…」 カイト「いや!そんな事しませんよ!まぁギリギリで思いとどまったんですけどね… …ってそうじゃなくて悦子が昔聞いた『呪いのビデオ』に関わる噂話があるんですけど!」 133:1:2013/09/02(月) 19:45:25.26 :PdUwOLb+0 そしてカイトは悦子から聞いた話を右京に語った。 悦子が聞いた話によればとある『女子学生』が古い屋敷に迷い込んだ夢の話らしい。 その『女子学生』は広い屋敷の中で迷子になり、ふと気づくとある階段の前に近付いていた。 彼女はその階段を上ろうとするがその階段を上の階から奇妙な不気味さを感じてしまい、 上る事が出来なかった。 そんな時であった。 「「ギャァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!」」 若い女の叫び声が聞こえた、気になった『女子学生』は屋敷を飛び出し声のした庭へ向かった。 そこには古びた『井戸』があり、それに白い服を着た『髪の長い若い女』を襲う『中年の男』が 彼女を殺そうとして… 134:1:2013/09/02(月) 19:46:07.95 :PdUwOLb+0 カイト「その『長髪の女』は『中年の男』によって『井戸』の中に落ちていったという話です。」 角田「ヒィィッ!?恐えな…何だそれ…怪談か?」 カイト「あ、課長お早うございます…ていうか居たんですね。」 角田「コーヒー貰いに来たのにお前らが変な話をして気付かなかったのが悪いんだろ。 それにしてもさっきの話なんだよ…朝っぱらから恐がらせるなっての!」 右京「今の話…どこかおかしくありませんか?」 カイト「そりゃ夢の中の話ですからねぇ、おかしいところはあるでしょう。」 135:1:2013/09/02(月) 19:47:18.76 :PdUwOLb+0 右京「いえ、そうではなく…何故その女子学生は階段の上に恐怖を感じたはずなのに 舞台が突然『井戸』の方に移るのかです… 『女子学生』、それに『中年の男』と『長髪の女』…僕はこの物語には、 あともう一人登場人物がいるように思えるのですがね…」 カイト「それよりどうすんですか!俺たちあと4日しかありませんよ…」 右京「僕はもう一度『早津』さんを尋ねようと思います、思えば亡くなった『吉野』さんは 何故15年も前の『呪いのビデオ』を手に入れようとしたでしょうか? 彼は『特ダネ』を掴んだと言っていました、この事が少し気になると思いませんか?」 136:1:2013/09/02(月) 19:48:37.23 :PdUwOLb+0 カイト「気になるって…記者が『特ダネ』掴むなんて当然でしょ、メシの種なんですから。」 右京「確かにそうでしょう、しかし15年前に事件を追っていた『浅川陽子』が死に、 もう一人の同僚の『岡崎』さんが精神病院に入院しなければいけない事態になり TV局内でも曰くつきの『呪いのビデオ』ですよ。 当時関わっていた彼らはその危険性を十分理解してたはず、それなのにあえて 調べなければならなかった。何故なのでしょうかね?」 カイト「あーっ!もうわかりましたよ、さっさと『早津』さんとこ行きましょう! 残り4日ですよ、4日!」 右京「それと課長にはひとつお願いがあるのですが…」 角田「え?また!?」 137:1:2013/09/02(月) 19:49:06.35 :PdUwOLb+0 カイト「気になるって…記者が『特ダネ』掴むなんて当然でしょ、メシの種なんですから。」 右京「確かにそうでしょう、しかし15年前に事件を追っていた『浅川陽子』が死に、 もう一人の同僚の『岡崎』さんが精神病院に入院しなければいけない事態になり TV局内でも曰くつきの『呪いのビデオ』ですよ。 当時関わっていた彼らはその危険性を十分理解してたはず、それなのにあえて 調べなければならなかった。何故なのでしょうかね?」 カイト「あーっ!もうわかりましたよ、さっさと『早津』さんとこ行きましょう! 残り4日ですよ、4日!」 右京「それと課長にはひとつお願いがあるのですが…」 角田「え?また!?」 146:1:2013/09/04(水) 06:23:37.40 :gRLCo//T0 TV局 8月30日、AM11:00 早津「いやぁ!生きてるって本当に素晴らしいですよね♪ 昨日からまるで鉄板でも入ってるのかと思うくらい重い肩がすんごい軽くなりましたよ!」 カイト「そりゃよかったですね…まったく俺たちに呪いを移しておいて気楽なモンですよ…」 右京「まぁ僕たちが言えた義理ではありませんよ、我々は危うく彼を見殺しにするところ だったのですからね…」 早津「それで今日はどういったご用件来たんですか?」 右京「そもそも『吉野』さんが掴んだという『特ダネ』とは何なのか、それについて 伺いたいのですが。」 147:以下、新鯖からお送りいたします:2013/09/04(水) 06:24:31.71 :gRLCo//T0 早津「『特ダネ』?えぇ、確かに『吉野』さんは何か『特ダネ』を掴んだと言ってましたが まだ確定した情報じゃなかったので俺たちには教えてくれませんでしたね。 けど亡くなる前に政治絡みの事を調べてたのは間違いないですよ、何度か張り込みを していたらしいですから。」 カイト「政治絡み?『呪いのビデオ』と『政治』なんて全然接点が無いじゃないですか?」 右京「ちなみに張り込みをしていた相手…どなたかわかりますか?」 早津「そういえば…一度だけ張り込みに連れて行ってもらったんですけど… 確か相手は片山雛子先生でしたね!」 カイト「片山雛子ってあの女性国会議員で総理補佐官じゃないですか!? 将来の大物と噂されてる若手議員と『呪いのビデオ』…ダメだ…全然当てはまんねえや…」 148:1:2013/09/04(水) 06:25:10.83 :gRLCo//T0 右京「片山議員ですか…なるほど、大変参考になりました。」 早津「それじゃ俺は仕事があるのでこれで!それとこの『呪いのビデオ』の『絵』ですけど 俺が持ってても仕方ないんで刑事さんたちにあげますよ、あぁ…生きてるって素晴らしいなぁ♪」 カイト「まったく…『特ダネ』って本当は片山議員のスキャンダルか何かでしょう。 絶対『呪いのビデオ』とは無関係っすよ、もうこれ以上『早津』さんから 肝心な情報は聞けませんよ。」 右京「では次に行きましょうか。」 カイト「まさか…片山議員のとこに乗り込んで… 『呪いのビデオで人が死んだのですが何か心当たりありませんか?』と尋ねる気ですか? 言っておきますけどそんな事したら門前払いされちゃいますよ!」 右京「いえ、行くのは片山議員のところではなく…」 149:1:2013/09/04(水) 06:26:25.97 :gRLCo//T0 ~城南大学~ 高野舞のオフィス 8月30日、PM14:00 右京とカイトは15年前『高山竜司』の教え子であり、 『浅川玲子』と『高山竜司』の一人息子である『浅川陽一』を引き取った 『高野舞』の下を尋ねていた。 彼女のオフィスに招かれた右京とカイトだがその部屋に右京はある疑問を抱いた。 舞「その…警察の方がお話って一体…」 右京「その前にちょっと気になる事が、大学教授の方なのにこの室内にはTVは勿論 PCすら置いてない…いえ、『鏡面的』な物がほとんど置いてないのはちょっと 不思議に思いましてね。」 舞「あの…まさかそんな事を尋ねに来たんですか?」 右京「すみませんねぇ、細かい所まで気になるのが僕の悪い癖でして…」 150:1:2013/09/04(水) 06:34:23.71 :gRLCo//T0 カイト「率直にお伺いします、高野さん…あなたは『呪いのビデオ』について何か 心当たりはありますか?」 カイトが『呪いのビデオ』訪ねた瞬間、『高野舞』の顔は真っ青になった。 この反応を見た右京とカイトは彼女は『呪いのビデオ』に関して、 重大な事を知っているという確信した。 舞「『呪いのビデオ』…何故あなた方がそれを…」 右京「実は我々も『呪いのビデオ』を見てしまったのですよ…」 カイト「俺たちのタイムリミットはあと4日しかありません。 当時の事…話していただけますか!」 舞「正直に申し上げます…私は…『呪いのビデオ』は見ていません。 けど…その所為で私の恩師である『高山竜司』が死んだのは存じています。 私から言えるのはそれだけです…」 151:1:2013/09/04(水) 06:40:58.56 :gRLCo//T0 カイト「いや…嘘だ!さっきの反応…あなたは間違いなく何かを知っているはずだ!」 舞「…」 舞はそれっきり黙秘した、さすがに令状も取れていない捜査なので強硬手段も出来ないが、 このままでは拉致が明かないと踏んだ右京は彼女にある脅しをかけてみた。 右京「そういえばこの大学にはそのお亡くなりになった『高山竜司』さんの ご子息である『浅川陽一』さんが在学中だと聞いているのですが…」 舞「まさか…あなたたち…また『陽一』くんを使って…帰ってください! もうお話する事なんかありません!!」 コンコン 右京「どなたかノックなされてるようですが?」 舞「まさか…」 152:1:2013/09/04(水) 06:41:54.99 :gRLCo//T0 陽一「『舞』さん、大声上げてどうしたの?廊下まで響いたよ。」 高野「『陽一』くん!どうして…ここに?」 右京「すみませんねぇ、どうしてもお話を聞きたいものでして。 僕らもこれでも切羽詰まった状況ですので申し訳ないと思ったのですが…」 舞「まさか『陽一』くんを呼んだのはあなたたちなんですか!」 そう、右京は予めこの大学に在籍している『浅川陽一』を『高野舞』の部屋に来るよう お願いしていたのだ。 カイト「すいません、本当はこんな事したくはないんですけど…」 右京「これまでの関係者のみなさんの殆どが『呪いのビデオ』や『山村貞子』に 関するお話になると口を閉ざしがちでしたのでこうする以外なかったのですよ。」 153:1:2013/09/04(水) 06:42:44.38 :gRLCo//T0 陽一「あの…僕に話って何ですか?」 カイト「あなたのお母さんである『浅川陽子』さん、それとお父さんである『高山竜司』さん… 二人について話を聞こうと思いましてね。」 右京「『陽一』さん、当時の事知っている事があるなら教えて頂けますか?」 陽一「母さんと父さんの事ですか…母さんは僕が小さい頃に死んじゃったし… 父さんなんか生まれてから一度も会った事すらないですよ…」 カイト「お父さんと会った事が無い!?」 右京「二人は離婚してますからね。 離婚したのは『陽一』さんが物心つく前の事だったのでしょう。」 154:1:2013/09/04(水) 06:43:30.99 :gRLCo//T0 カイト「じゃあ『高山竜司』さんはろくに子供と会っちゃいなかったのか… それなのに『高野』さん…あなたよく『陽一』さんを引き取ろうとしましたね。 実の父親の『高山』さんですらもしかしたら面識がないかもしれない息子をですよ?」 舞「いけませんか!恩師の息子を引き取ったら犯罪とでも言う気ですか!?」 右京「カイトくん、言い過ぎですよ! しかしカイトくんの言い分も一理あります、実の父親ですらまともにあった事の無い 子供を引き取った、美談ではありますが疑う余地が無くも無い。 もしかしたらあなた方には15年前に何かそうなるだけの『事件』が起きたのではないですか?」 舞「あの…だから…それは…」 右京「『高野』さん、あなたの態度から察するにあなたも『山村貞子』の力に 恐怖を感じているようですね。 ですから…これだけは約束させてください。 僕たちはあなたたちの平穏な日々は絶対に壊しません!」 カイト「俺たち話を聞いたらさっさといなくなるんで、安心してください。」 155:1:2013/09/04(水) 06:44:19.95 :gRLCo//T0 舞「わ…わかりました、けどその前に『陽一』くんに席を外させてください。 彼には教えられないから…」 陽一「『舞』さん!僕はもう大人だよ!それに僕も気になってたんだ。 もうおぼろげな記憶しか覚えてないんだけど小学校の母さんが死んだ時期だけ どうも記憶が曖昧で…僕も真実を知りたいんだよ!!」 右京「知らせてあげるべきだと思いますよ、彼ももう大人です。」 カイト「そうですよ、『陽一』くんはあなたが思っているほどガキじゃありませんって!」 舞「それではお話します、あれは先生が亡くなった直後でした…」 そして『高野舞』は15年前に自分の身に何が起こったのかを右京とカイト、 それに『浅川陽一』に話し始めた。 156:1:2013/09/04(水) 06:45:17.23 :gRLCo//T0 彼女は『高山竜司』の死亡後に『浅川玲子』の同僚である『岡崎』と知り合い 彼から『呪いのビデオ』に関する話を聞いた。 それから『岡崎』と一緒に『浅川玲子』の行方を追う事になり、 それから暫くして『浅川玲子』とその息子である『浅川陽一』を見つけたが… 舞「当時の『陽一』くんは…『貞子』の怨念にとり憑いつかれていた… こんな事警察の方が信じてくださるとは思いませんけど…」 カイト「いや!信じますから大丈夫ですって!」 右京「構わずお話を続けてください。」 157:1:2013/09/04(水) 06:46:34.53 :gRLCo//T0 舞「その『貞子』の怨念で『浅川』さんはトラックに撥ねられて…即死でした。 私と『陽一』くんはその時現場に居たので…その時の酷い有様は今でも忘れられません… そして私は『貞子』の謎を解くために『貞子』の生まれ故郷である大島へ向かいました。」 カイト「やっぱりあなたは大島の…あの山村家に向かったんですね!」 舞「えぇ、その時に『志津子』さんの鏡を…壊してしまって…」 右京「なるほど、アレはあなたが壊したのですか。」 舞「その後…あの恐ろしい『実験』が行われたんです…」 右京、カイト「「『実験』?」」 158:1:2013/09/04(水) 06:47:31.94 :gRLCo//T0 それは『川尻』という精神科医が『浅川陽一』にとり憑いついた『山村貞子』の怨念を 除去するという実験であった。 『高野舞』の話によればその実験の前に、最初の犠牲者である『大石智子』の死亡現場に 居合わせていて、後に精神病院に入院した『倉橋雅美』を使って実験を行ったが その実験の所為で『倉橋雅美』は危うく死亡しかけたという極めて危険な実験だったらしい。 それから実験は開始されたが… 『貞子』の怨念は人の制御出来るモノではなかった、『貞子』の怨念は暴走し、 実験の場にいた殆どの人間は『貞子』に殺されたという… ちなみに『山村貞子』の叔父である『山村敬』もこの実験に参加していたとの事だった。 159:1:2013/09/04(水) 06:48:23.21 :gRLCo//T0 カイト「そんな実験が行われていたのかよ…」 右京「なるほど、『山村敬』さんもこの実験に…やはり彼の死も『呪いのビデオ』に 関わるモノでしたか。 しかしひとつ疑問が、それほど大勢の犠牲が出ながら何故あなた方だけが助かったのですか?」 舞「それは…先生が私たちを救ってくれたからです。」 右京「先生?つまり『高山竜司』の事ですね。」 舞「あの実験の時…気付いたら私は『井戸』の中にいたんです… 必死になって一緒に『井戸』に落ちた『陽一』くんを探しいたんですけど見つからなくて… 諦めていたらそこへ先生が現れて…」 陽一「思い出したぞ!?そうか…あの人は父さんだったんだ! 小さい頃『舞』さんと一緒に『井戸』に落ちた記憶があって…その時誰か男の人に助けられて… それから手を握られて…その人の手を握った瞬間に怒りとか憎しみみたいな、 ドス黒い感情が一気に抜け落ちていった覚えがあります…」 舞「それから私は必死に『井戸』を這い上がりました、気が付くと元の場所に戻っていたんです。」 160:1:2013/09/04(水) 06:49:12.69 :gRLCo//T0 カイト「かつて『呪いのビデオ』を使ってそんな実験が行われていたのかよ…」 右京「なるほど、あなたが『陽一』くんを心配する理由がよくわかりました。 それにしても実験ですか…かつて『山村貞子』の母親である『山村志津子』も 無理矢理超能力の実験を行われ、そして娘の『貞子』も…因果ですねぇ。」 陽一「『呪いのビデオ』…そういえば思い出した事があるんですけど… 昔、母さんが僕に『ビデオをダビングしてお爺ちゃんに観せろ』って言ったんですよ。 これって何か関係ありますか?」 カイト「それって…まさか…」 右京「なるほど、『浅川玲子』はそうやって息子であるあなたを助けたわけですか。」 陽一「あの…何か知ってるんですか?」 右京「それは…」 カイト「ちょっと杉下さん!すみません、俺らもそれ以上は知らないんで…」 陽一「はぁ?」 161:1:2013/09/04(水) 06:50:08.69 :gRLCo//T0 右京「ところで…精神病院に入院なされている『岡崎』さんなのですが、 先ほどの『高野』さんのお話では彼は『呪いのビデオ』を観てないそうですね。 にも関わらず『岡崎』さんは精神病院へ入院する事になった、その辺の事情に 何か心当たりはありますか?」 舞「そういえば…私と知り合った時『岡崎』さんは女子高生に『呪いのビデオ』の 取材をしてて、その子『沢口香苗』というんですけど、ただ…その子も…」 右京「『呪いのビデオ』で死んだと?」 舞「はい、死に顔が酷かったって聞きましたから… 私が知っている事は以上です、これ以上お話しする事は…」 右京「えぇ、大変参考になるお話でした。どうもありがとう。」 162:1:2013/09/04(水) 06:50:38.01 :gRLCo//T0 カイト「最後に俺からもいいですか?特に『陽一』さんに聞いてほしいんですけど…」 陽一「何でしょうか?」 カイト「今日の事…いや…『呪いのビデオ』の事なんか全部忘れちゃってください! こんな事憶えてたらあなたたち絶対不幸になっちゃいますから! 突然押し掛けて変な事言ってると思いますけど…とにかくこれで失礼します…」 163:1:2013/09/04(水) 06:51:28.73 :gRLCo//T0 こうして右京とカイトは『高野舞』のオフィスを後にした。 帰りの車の中で右京はカイトにある事を尋ねた。 右京「キミ、先ほど僕が『陽一』さんに尋ねられた際…思わず会話を遮りましたね。 彼には知る権利があったはずですよ。」 カイト「そんな事言われなくてもわかってますよ…けど何も知らないとはいえ…実の祖父を 自分の命が助かるために犠牲にしたなんて俺には伝えられないですよ…」 右京「なるほど、それがキミの考えですか。」 カイト「何すか?文句があるなら聞きますけど。」 右京「文句なんてありませんよ、それが正しいと思うならキミは胸を張るべきだと思いますがね。」 カイト「それって皮肉ですか?それよりこれからどうしますか? 確かに『高野舞』の話は参考になりましたが結局『実験』は失敗じゃ…」 右京「いえ…大変参考になるお話でしたよ、なるほど…これで繋がってきました。 さぁ行きますよ、カイトくん!」 カイト「次はどこへ行く気ですか?」 右京「勿論、精神病院に入院してる『岡崎』さんのところですよ!」 171:1:2013/09/04(水) 19:13:28.43 :gRLCo//T0 ~精神病院~ 8月30日、PM17:00 右京とカイトはさっそく精神病院に行き受付で入院している『岡崎』を尋ねようとするが… カイト「え!『岡崎』さんは退院した!?」 看護師「ハイ、1ヶ月くらい前に身内の方が引き取りに来ましたよ。」 右京「ちなみにお尋ねしたいのですが引き取りに来られた身内の方はどんな人たちだったのでしょうか?」 172:1:2013/09/04(水) 19:14:16.21 :gRLCo//T0 看護師「確か背広姿の男性が数名…だったと思います。 兄弟とか言ってましたけど顔は全然にてませんでしたね、ハハハ。」 右京「ちなみに退院されたのは何曜日の事でしょうか?」 看護師「そりゃ勿論日曜日ですよ、休日を利用してやって来たと言ってましたからね。」 右京「ところでここにもうひとり入院なさっている『倉橋雅美』さんにも お話を伺いたいのですが…」 看護師「彼女をですか?正直彼女の面会は許可しにくいのですが…」 右京「ある事件でどうしても彼女の協力を得たくて、どうかお願いします。」 看護師「わかりました…担当の医師に言ってみます。私ちょっと席を外しますから。」 カイト「嘘言っちゃって…精神障害の人間の証言なんかに刑事能力無いでしょうに。」 右京「おやおや、僕は別に嘘など言ってませんよ。 彼女は僕たちが追っている『呪いのビデオ』の事件に協力をしてくれればそれは事実ですから。」 カイト「ハイハイ、屁理屈捏ねたら杉下さんの右に出るヤツなんていやしませんよ…」 173:1:2013/09/04(水) 19:15:09.64 :gRLCo//T0 それから1時間も待たされようやく二人は医師の立会いの下『倉橋雅美』と面会 する事が出来た。 しかし右京とカイトは彼女が自分の病室から面会室まで来る過程に思わずギョッとした。 何故なら彼女の視界に『ある物』を見せないために看護師が布で隠しながらここまで 歩かせてきたのだからだ。 そしてようやく会えた『倉橋雅美』と話を始めようとするがこの15年間で彼女は 驚くほどに窶れてしまった。 彼女の年齢はまだ30代前半だというのにその髪は最早白髪だらけ、 目も恐らく満足に寝てないのだろうか大きな隈が出来ていた。 『倉橋雅美』の状態を見たカイトはとてもじゃないが彼女から満足な話は聞けないと 判断するがそれでも右京は敢えて彼女に話を切り出した。 右京「『倉橋』さん、今日はあなたにお話が合って来たのですが。」 雅美「…」 174:1:2013/09/04(水) 19:16:04.90 :gRLCo//T0 右京「『呪いのビデオ』…ご存知ですよね。」 雅美「あ゛…あ゛ぁぁぁぁぁぁ!?」 『呪いのビデオ』…その言葉を聞いた瞬間、彼女はいきなり大声を叫びだした。 医師「『倉橋』さん!しっかりして…大丈夫ですからね、鎮痛剤用意して!早く!」 カイト「ちょ…ちょっと本当に大丈夫なんですか!?」 彼女は髪を掻き毟りまるで何かに怯えてしまいその場で暴れ出した。 カイトも彼女が暴れないようにと抑えるのを手伝っていたがその拍子に自分の スマートフォンを落としてしまった。 カイト「いけねっ!携帯落っことしちまった…」 雅美「あ…あぁぁ…キャァァァァァァァァァ!?」 この瞬間彼女はこの世のモノとは思えないほどの叫び声を上げてその場で気絶してしまった。 最早話を聞くどころではない状態になった『倉橋雅美』はそのまま病室に戻されてしまうのだった。 175:1:2013/09/04(水) 19:16:42.62 :gRLCo//T0 右京「…」 カイト「あの…俺…何かしました?」 右京「僕が見た限り彼女はキミが落としたスマートフォンを見てあんな叫び声を上げた ようですが…」 カイト「けど…こんなモン見たくらいで何で気絶するほど怯えるんですか?」 医師「いや…申し訳ない、こちらから最初に注意しておくべきでした。 彼女はTVの画面や鏡などを極端に嫌いそれに恐怖しているらしいんですよ。」 右京「TVの画面を?それは何故でしょうか?」 176:1:2013/09/04(水) 19:17:21.27 :gRLCo//T0 医師「実は彼女…ここに入った直後なんですが…今はあんな状態ですがその頃は まだ口が訊けたんですけどね、当時妙な事を言ってたんですよ。 『TVの画面から髪の長い女が出てきて殺しに来る』って…」 カイト「TVの中から…」 右京「髪の長い女が出てくる…なるほど、これは確かに信じがたい話ですね。」 医師「そんな話は恐らく彼女の幻覚か何かだと思ってウチの職員は誰も相手に しませんでしたよ… ただ一人を除いてね。」 右京「その一人とはもしや『川尻』という名の精神科のお医者さんではありませんか?」 医師「えぇ…確かに『川尻』という名の医師が当時『倉橋雅美』の担当医でしたが… あなた方どこでその事を?」 右京「それはお気になさらず、ところで『川尻』医師が当時残した資料とか残っていませんかね? できれば拝見したいのですが。」 177:1:2013/09/04(水) 19:17:49.14 :gRLCo//T0 医師「そんな物残っちゃいませんよ、『川尻』さんが死んだ時に警察の人が 全部証拠物件だとか言って持ってったんですから!」 カイト「じゃぁまだ警察に保管されてるかも!」 右京「カイトくん!すぐに警視庁に戻りましょう!」 右京とカイトは警視庁に戻ろうとするがその前に右京は河原に寄り道をしていた。 178:1:2013/09/04(水) 19:18:15.71 :gRLCo//T0 ~河原~ 8月30日、PM19:00 カイト「どうしたんですか?こんなとこに車止めて?」 右京「ひとつやらなければいけない事がありましてね…」 そう言うと右京はある物を取り出した、それは… 179:1:2013/09/04(水) 19:18:44.59 :gRLCo//T0 カイト「それは確か早津さんから貰った『呪いのビデオ』の『絵』じゃないですか! そんなモンどうすんですか?」 右京「こうするのですよ。」 カチッ ボッ カイト「燃やした…」 そう、右京は早津から貰った『呪いのビデオ』の『絵』を燃やしてしまった。 それは次第に燃え広がり灰となり、さらにその燃えカスを足で踏み粉微塵にして 河に流してしまった。 180:1:2013/09/04(水) 19:19:22.27 :gRLCo//T0 右京「これでこれ以上『山村貞子』の『呪い』が他の人間に降り注ぐ事は無くなりましたね。」 カイト「えぇ、これで心置きなく死ねますね…ハハ…」 右京「そんなに早く諦める必要もないと思いますがね…あと4日あります。 必ず僕たちが助かる糸口は見えるはずですよ。」 カイト「そうだといいんですけどね。」 右京「それよりもキミにひとつ言っておきたい事があります。 これから先誰に尋ねられようと決して『呪いのビデオ』の内容を教えないでください。」 カイト「え?だって『絵』なら今…杉下さんが処分しちゃったじゃないですか? 内容なんかもう伝えられないですよ。」 181:1:2013/09/04(水) 19:22:34.38 :gRLCo//T0 右京「『山村貞子』の『呪い』は『呪いのビデオ』に限らず…『絵』になっても 『呪い』が有効でした。 つまりもしかしたらですよ…これは僕の想像になりますが… 彼女の『呪い』は『手記』や最悪…『口頭』での説明でも『呪い』が可能かもしれません!」 カイト「そんな…今更そんな事言ってもこの件に関わっている人が どれだけいると思ってるんですか!? 『山村貞子』や『伊熊平八郎』の事を調べた角田課長や 花の里で老婆の方言を教えてくれた幸子さん!捜査一課の伊丹さんたち! それに大島の陣川さんや『山村和江』さんとか彼らにも既に『貞子』の『呪い』が かけられているんですか!?」 右京「いえ、彼らには肝心の『呪いのビデオ』の内容は明かしていません。 大島で撮られた陣川くんの写真を見るに呪いに掛かっているのは今のところ… 僕たちだけのはず。 つまり僕たちが『歩く呪いのマスターテープ』みたいな物なんですよ。」 182:1:2013/09/04(水) 19:23:04.50 :gRLCo//T0 カイト「つまりこれからは極力誰にも頼らず捜査しなきゃいけないって事ですか… ハハ…まったくやってくれるよ『山村貞子』…」 右京「そう悲観する事もありませんよ、相手は15年前の亡者です。 どんな時でも今を生きる人間が既に死んだ人間に負けるはずはありませんよ!」 カイト「まったく…頼りになるんだかわからねえ相棒だなぁ…」 右京「何か言いましたか?」 カイト「いいえ…なんでもないッスよ、それより早く警視庁に戻りましょうよ。 なんてったってあと4日なんですからね…」 183:1:2013/09/04(水) 19:23:40.55 :gRLCo//T0 ~警視庁~ 遺留品置場 8月31日、PM13:00 カイト「ふぁぁぁぁぁ…」 右京「たかだか一日徹夜したくらいで欠伸ですか?気が弛んでますねぇ。」 カイト「あのねぇ…こういうのは生理的なモノなんですよ! そんな事より…見当たんないッスよね、『川尻』医師の遺留品…」 右京「書類上ではここに置いてあるはずなんですがねぇ。」 警視庁に戻ってさっそく『川尻』の遺品を探す右京とカイトであったが どういうわけだかその遺品は見つからず気付けば日を跨いでいるといった有様であった。 読む →
2012年12月15日 09:10 亀山「右京さん!アイドルマスターですよ、アイドルマスター!」 元スレ 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/14(金) 22:04:45.45 :T/W1U4Ql0 千早『やくそーくすーるよぉーきみとーかなーえるー』 亀山「くうー……俺ダメっすこういうの、チクショー」ボロボロ 米沢「ええ、これは感動ものですな……」 右京「おはようございます。おや、何を見ているのですか?」 亀山「あっ、右京さん。いやね、こないだの犯人から押収したブツの中にあったモノなんすけど……」 右京「おやおや、押収した証拠品を私的に楽しむのは、褒められたことではありませんねぇ。米沢さん、あなたもですか」 米沢「はぁ、いやしかし、これがなかなか面白くてですね」 亀山「そうっすよ!右京さんもどうすか?アイドルマスター」 右京「アイドルマスター……ですか?」 読む →